JP2017144588A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】走査回数を増すことなく、隣接するバンド間で複数の異なる色のインクの付与順序を一致させることを可能とするインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】往方向の走査と復方向の走査とからなる4回の走査を行うとともに、4回の走査における連続する2回の走査の間に所定量の記録媒体の搬送を行うことにより、所定量に対応する幅を有した、記録媒体のバンドの記録を完成するマルチパス記録を行う記録制御部であって、4回の走査のうち第1回目の走査が往方向となるバンドAの記録では、第1回の走査で4つのノズル列の配列で往方向において最も後側に配置されたBkインクのノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出し、第1回目の走査が復方向となる、バンドAに隣接するバンドBの記録では、4回目のの走査で、4つノズル列の配列で復方向において最も後側に配置されたCインクのノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出する。【選択図】図8
Description
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、詳しくは、記録ヘッドの双方向走査に起因した色むらを低減する技術に関するものである。
記録ヘッドの往走査と復走査の双方向で記録を行い、所定領域(以下、バンドともいう)の記録を完成する記録方式では、隣接するバンド間で、往走査記録と復走査記録の順序が異なり、それによってバンド間での色みの違いを生じることがある。このバンド間の色味の違いは画像全体で色むらとなって現れる。
特許文献1には、このような双方向記録に起因した色むらを解決可能な構成として、ノズル列のバンド幅に対応して分割して得られる複数のノズル領域のうち、走査回に応じて端部のノズル領域を不使用とすることが記載されている。具体的には、複数回の走査と続く2回の走査の間の記録媒体搬送によって1つのバンドの記録を完成するマルチパス記録において、ある走査ではノズル列における一方の端部のノズル領域のノズルを不使用とし、次の走査では他方の端部のノズル領域のノズルを不使用とする。また、1つのバンドの記録を完成するための走査回数をNとするときN+1回の走査を行なう。これにより、例えば、1つのバンドの記録を完成するために必要な走査回数が4回の場合、総てのバンドについて5回の走査を行ない、第1走査が往路走査であるバンドにおいては第5走査(最終パス)は記録せず、また、第1走査が復路走査であるバンドにおいては第1走査は記録しないようにすることができる。その結果、いずれのバンドでも1回目の走査は往走査により記録され、2回目の走査は復走査で記録される、というように順に繰り返されて、4回目の走査は復走査で記録される。つまり、総てのバンドにおいて、ある走査回数のときに往路走査または復路走査のうちいずれで記録されるかの順番(記録動作における走査方向の組合せ)を一致させることができる。
特許文献1に記載の色むら低減技術は、走査方向配列する異なる色のインクそれぞれのノズル列について適用することにより、異なる色間で、隣接するバンド間の(総てのバンドにおける)、走査回に応じた走査方向の組み合わせを一致させることが可能である。それによって、異なる色のインクを用いて記録する場合のそれらインクの付与順序を隣接するバンド間で同じものとでき、バンド間の色むらを低減することができる。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、総てのバンドにおいてインクの付与順序を一致させるために、端部のノズル領域を不使用とすることにより記録しない走査が存在し、それによって、バンドの記録を完成するのに1走査分余分に走査を行うことになる。その結果、特に、バンドの記録を完成するに必要な走査回数が比較的少ないマルチパス記録の場合に、スループットが低下するという問題がある。
本発明は、走査回数を増すことなく、隣接するバンド間で複数の異なる色(種類)のインクの付与順序を一致させることが可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、異なる種類のインクを吐出するための複数のノズル列を配列した記録ヘッドを、当該ノズル列の配列方向に沿った第1方向と該第1方向と逆方向の第2方向に走査して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であって、前記第1方向の走査と前記第2方向の走査とからなる複数回の走査を行うとともに、前記複数回の走査における連続する2回の走査の間に所定量の記録媒体の搬送を行うことにより、前記所定量に対応する幅を有した、記録媒体の所定領域の記録を完成するマルチパス記録の制御を行う記録制御手段であって、前記複数回の走査のうち、第1回目の走査が前記第1方向となる、第1の前記所定領域の記録では、前記第1回の走査で、前記複数のノズル列の配列で当該第1方向において最も後側に配置されたノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出し、前記複数回の走査のうち、第1回目の走査が前記第2方向となる、前記第1の所定領域に隣接する第2の前記所定領域の記録では、最終回の走査で、前記複数のノズル列の配列で当該第2方向において最も後側に配置されたノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出する、よう制御する記録制御手段、を具えたことを特徴とする。
以上の構成によれば、走査回数を増すことなく、隣接するバンド間で複数の異なる色(種類)のインクの付与順序を一致させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
<装置構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るシリアル方式のインクジェット記録装置100の主要部のみを示す斜視図であり、主要部以外の図示を省略している。図1において、インクジェットカートリッジ101は、4色のインク、図に示す例では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)のインクがそれぞれ貯留された4つのインクタンクと、それぞれのインクに対応した4つの記録ヘッド102とによって構成されている。これら4つの記録ヘッド102のそれぞれは、インクを吐出するためのノズルが1200dpiの密度で1280個配列されたノズル列(不図示)を備える。キャリッジ106は、上述の4つのインクジェットカートリッジ101を着脱自在に搭載し、ガイド軸107に案内されてX方向およびその逆方向(−X方向)の移動が可能に構成されている。このキャリッジ106の移動によって記録ヘッド2の、主走査方向に沿った往、復走査が可能となる。なお、記録を行なっていないとき、あるいは記録ヘッド102の回復処理などを行なうときは、キャリッジ106は、図1の破線で示した位置(ホームポジション:基準位置、以下、単に「HP」ともいう)に移動し、記録ヘッド102の回復処理や記録待機を可能とする。そして、記録開始命令があると、キャリッジ106の移動により、記録ヘッド102は、X方向および−X方向の記録媒体Pに対する走査を行う。図8などで後述されるように、記録ヘッド102における各色インクのノズル列の配列は、HP側から、Bk、Y、M、Cの順となっている。また、本明細書では、キャリッジの移動領域におけるホームポジションとは逆側の端部の位置をバックポジション(以下では、単に「BP」ともいう)という。
(第1実施形態)
<装置構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るシリアル方式のインクジェット記録装置100の主要部のみを示す斜視図であり、主要部以外の図示を省略している。図1において、インクジェットカートリッジ101は、4色のインク、図に示す例では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)のインクがそれぞれ貯留された4つのインクタンクと、それぞれのインクに対応した4つの記録ヘッド102とによって構成されている。これら4つの記録ヘッド102のそれぞれは、インクを吐出するためのノズルが1200dpiの密度で1280個配列されたノズル列(不図示)を備える。キャリッジ106は、上述の4つのインクジェットカートリッジ101を着脱自在に搭載し、ガイド軸107に案内されてX方向およびその逆方向(−X方向)の移動が可能に構成されている。このキャリッジ106の移動によって記録ヘッド2の、主走査方向に沿った往、復走査が可能となる。なお、記録を行なっていないとき、あるいは記録ヘッド102の回復処理などを行なうときは、キャリッジ106は、図1の破線で示した位置(ホームポジション:基準位置、以下、単に「HP」ともいう)に移動し、記録ヘッド102の回復処理や記録待機を可能とする。そして、記録開始命令があると、キャリッジ106の移動により、記録ヘッド102は、X方向および−X方向の記録媒体Pに対する走査を行う。図8などで後述されるように、記録ヘッド102における各色インクのノズル列の配列は、HP側から、Bk、Y、M、Cの順となっている。また、本明細書では、キャリッジの移動領域におけるホームポジションとは逆側の端部の位置をバックポジション(以下では、単に「BP」ともいう)という。
記録媒体Pは、その搬送路において、記録ヘッド102の走査領域の上流側に設けられた、給紙ローラ105とピンチローラ106のローラ対と、下流側の排紙ローラ103と補助ローラ104のローラ対によって挟持されるとともに、給紙ローラ105と排紙ローラ103とが回転駆動されることにより、Y方向(副走査方向)に搬送される。
以上の構成を有する本実施形態のインクジェット記録装置は、記録ヘッドの所定回数の走査と、各連続する2回の走査の間のバンド幅に相当する所定量の記録媒体搬送を行うことにより1つのバンドの記録を完成する、マルチパス記録でインクジェット記録を行なうことができる。
図2は、マルチパス記録の一例を説明する図である。図2において、本実施形態の1つの色のインクの記録ヘッド102(ノズル列)を示しているが、他の色の記録ヘッドについても以下の説明は同様である。そして、図2に示す例は、4回の走査で1バンド(所定領域)の記録を完成する4パス記録を示している。4パス記録の場合、記録ヘッド102におけるノズル列を構成する1280個のノズルは、4つのノズルブロックA,B,C,Dに4等分され、1つのノズルブロックは320個のノズルで構成される。そして、1つのバンドは、1つのノズルブロックに相当するバンド幅(副走査方向のサイズ)を有することになる。図2には、バンド20−1,20−2,20−3、20−4が示され、これらのバンドについて順次記録が完成されて行く。
図2に示す例では、先ず、例えば、往方向(第1方向)の第1回目の走査(以下、第1走査または1パス目という)において、バンド20−1の第1走査の吐出データに基づいて、記録ヘッド102のノズルブロックAのノズルからインクを吐出する。次に、記録媒体Pを、1つのノズルブロック分の320個のノズル配列長さ分だけ副走査方向(Y方向)に搬送する。なお、図2においては、記録媒体Pを固定して、相対的に記録ヘッドがパスごとに矢印Y方向と逆方向に移動するものして表記している。次に、復方向(上記第1方向と逆方向の第2方向)の第2走査(2パス目)で、バンド20−1の第2走査の吐出データに基づいて、ノズルブロックBのノズルからインクを吐出する。この走査では、同時に、ノズルブロックAのノズルによってバンド20−2に対する第1走査(1パス目)の記録が行なわれる。バンド20−1に対して、ノズルブロックC、Dのノズルによって同様に、往方向の第3走査(3パス目)、復方向の第4走査(4パス目;ここでは最終回の走査または最終パス)の記録が行われ、バンド20−1の記録が完成する。以下、同様の記録走査を繰り返すことにより、バンド20−2、20−3、・・・に対する記録が順次完成することになる。
<制御系>
図3は、本実施形態のインクジェット記録装置100における制御系の構成を説明するブロック図である。記録制御部301は、記録装置100全体の制御を行なう。例えば、記録制御部301は、モータドライバ304を制御することにより、搬送モータ307を駆動し、給紙ローラ105と排紙ローラ103を回転させる。また、モータドライバ305を制御することにより、キャリッジモータ308を駆動し、キャリッジ106を主走査方向に(+X方向または−X方向に)移動させる。さらに、ヘッドドライバ306を制御することにより、記録ヘッド102からインクを吐出させる。インクを吐出するために必要な画像データは、外部に接続されたホストPC303からインターフェイス302を介して記録制御部301に入力される。記録制御部301は、受信した画像データに所定の画像処理を施し、記録ヘッド102が吐出可能な吐出データを生成する。
図3は、本実施形態のインクジェット記録装置100における制御系の構成を説明するブロック図である。記録制御部301は、記録装置100全体の制御を行なう。例えば、記録制御部301は、モータドライバ304を制御することにより、搬送モータ307を駆動し、給紙ローラ105と排紙ローラ103を回転させる。また、モータドライバ305を制御することにより、キャリッジモータ308を駆動し、キャリッジ106を主走査方向に(+X方向または−X方向に)移動させる。さらに、ヘッドドライバ306を制御することにより、記録ヘッド102からインクを吐出させる。インクを吐出するために必要な画像データは、外部に接続されたホストPC303からインターフェイス302を介して記録制御部301に入力される。記録制御部301は、受信した画像データに所定の画像処理を施し、記録ヘッド102が吐出可能な吐出データを生成する。
<画像処理>
図4は、記録制御部301が吐出データを生成する際の画像処理を模式的に示したブロック図である。所定の画像処理が施され、記録装置が使用する複数のインク色のそれぞれに対して記録“1”)または非記録“0”を定めた2値データは、記録バッファ401に一時的に保存される。一方、マルチパス記録において各記録走査で実際に記録(インク吐出)を許容する記録許容画素“1”と非許容画素“0”を定めたマスクパターンは、記録モードごとにマスクバッファ403に予め格納されている。記録制御部301は、記録ヘッドの走査を行う度に記録バッファ401に格納されたその走査に該当する記録データ402と、マスクバッファ403に格納されたマスクパターン404を呼び出し、AND処理部405にてこれらの論理積演算を行なうようにする。そして、その結果をヘッドドライバ306に送信して、対応する走査を実行する。記録制御部301は、上記のような論理積演算を走査の度に実行する。このような処理を行なうことにより、記録媒体Pのバンドには、記録ヘッド102による複数回の記録走査によって段階的に画像が完成されて行く。
図4は、記録制御部301が吐出データを生成する際の画像処理を模式的に示したブロック図である。所定の画像処理が施され、記録装置が使用する複数のインク色のそれぞれに対して記録“1”)または非記録“0”を定めた2値データは、記録バッファ401に一時的に保存される。一方、マルチパス記録において各記録走査で実際に記録(インク吐出)を許容する記録許容画素“1”と非許容画素“0”を定めたマスクパターンは、記録モードごとにマスクバッファ403に予め格納されている。記録制御部301は、記録ヘッドの走査を行う度に記録バッファ401に格納されたその走査に該当する記録データ402と、マスクバッファ403に格納されたマスクパターン404を呼び出し、AND処理部405にてこれらの論理積演算を行なうようにする。そして、その結果をヘッドドライバ306に送信して、対応する走査を実行する。記録制御部301は、上記のような論理積演算を走査の度に実行する。このような処理を行なうことにより、記録媒体Pのバンドには、記録ヘッド102による複数回の記録走査によって段階的に画像が完成されて行く。
図5は、本実施形態に係るマルチパス記録を行うためのデータ処理を示すフローチャートである。このフローチャートに記載されている処理は、インクジェット記録装置100とホストPC303とによって実行されるものである。ホストPC303を介してユーザーからの記録指示があると、パス数(N)が設定される。次いで、ホストPC303にインストールされているプリンタドライバは、RGB多値データを取得する(S501)。次に、プリンタドライバは、記録媒体の種類と記録品位とパス数(N)に対応づけられた3次元ルックアップテーブルを参照して、RGB多値データをその記録モードで使用可能なインク色に対応したCMYBk多値データに変換する(S502)。次に、CMYBk多値データに対して量子化処理を施して、CMYBk2値データを生成する(S503)。ホストPC303は、以上のようにして生成したCMYBk2値データを、インクジェット記録装置100に送信し、記録バッファ401に一旦格納する。次に、記録バッファ401に格納されている記録データを読み出し、パス数(N)に対応したマスクパターンをマスクバッファ403から読み出し(S504)、AND処理部405にてマスク処理を行なう(S505)。
<マスクパターン>
図6は、本実施形態で用いる4パス用の基本的なマスクパターンを説明する図である。図6に示すように、本実施形態のマスクは、4回の走査において均等に25%の記録許容比率のマスクパターンである。マスクパターン601は、各バンドの第1走査(1パス目)で用いるマスクパターン、マスクパターン602は同じく第2走査(2パス目)で用いるマスクパターン、マスクパターン603は同じく第3走査(3パス目)で用いるマスクパターン、マスクパターン604は同じく第4走査(4パス目)で用いるマスクパターンである。マスクパターン601〜604は、それぞれ4画素×4画素のマスクパターンであり、それぞれの格子が1200dpiの1画素に対応している。このマスクデータは黒画素が、記録許容“1”、白画素が記録非許容“0”の2値データとして、マスクバッファ403に格納されている。本明細書では、このような記録許容画素の割合を、記録許容比率という。また、図6に示す総てのノズルに対して一定記録許容比率のマスクパターンを「フラットマスクパターン」と称する。
図6は、本実施形態で用いる4パス用の基本的なマスクパターンを説明する図である。図6に示すように、本実施形態のマスクは、4回の走査において均等に25%の記録許容比率のマスクパターンである。マスクパターン601は、各バンドの第1走査(1パス目)で用いるマスクパターン、マスクパターン602は同じく第2走査(2パス目)で用いるマスクパターン、マスクパターン603は同じく第3走査(3パス目)で用いるマスクパターン、マスクパターン604は同じく第4走査(4パス目)で用いるマスクパターンである。マスクパターン601〜604は、それぞれ4画素×4画素のマスクパターンであり、それぞれの格子が1200dpiの1画素に対応している。このマスクデータは黒画素が、記録許容“1”、白画素が記録非許容“0”の2値データとして、マスクバッファ403に格納されている。本明細書では、このような記録許容画素の割合を、記録許容比率という。また、図6に示す総てのノズルに対して一定記録許容比率のマスクパターンを「フラットマスクパターン」と称する。
なお、上記の説明は、4画素×4画素の領域において、記録許容画素と記録非許容画素を配置したマスクパターンを例に説明したが、実際にマルチパス記録に採用するマスクパターンは、更にサイズを大きく設定することも出来るし、記録許容画素と非記録許容画素の配置が不規則になったマスクパターンを採用することも出来る。また、フラットマスクパターンのみならず、グラデーションマスクパターンの場合でも適用できることはもちろんである。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
図7(a)および(b)は、図6に示すマスクパターンを、本発明の第1実施形態に係る4パス双方向のマルチパス記録に適用する形態を説明する図であり、C、M、Y、Bkインクそれぞれの記録ヘッド(ノズル列)に用いるマスクパターンを示している。また、図7(a)は、バンドを記録する第1回目の走査(1パス目)が往方向の走査となるバンド(例えば、図2に示したバンド20−1、20−3)の記録に用いる各インクに対応するマスクパターンである。一方、図7(b)は、バンドを記録する第1回目の走査(1パス目)が復方向の走査となるバンド(例えば、図2に示したバンド20−2、20−4)の記録に用いる各インクに対応するマスクパターンである。なお、これらの図における、320個のノズルからなる各ノズルブロックに対応したマスクパターンは、4つのノズルに対応する4画素×4画素のパターンのみを示しており、この4画素×4画素の記録許容画素の配置パターンがノズル配列方向および走査方向にそれぞれ80パターン繰り返し表れるパターンである。また、符号600、601〜604でそれぞれ示される4画素×4画素の記録許容画素の配置が、同じ配置であることを示している。
図7(a)および(b)は、図6に示すマスクパターンを、本発明の第1実施形態に係る4パス双方向のマルチパス記録に適用する形態を説明する図であり、C、M、Y、Bkインクそれぞれの記録ヘッド(ノズル列)に用いるマスクパターンを示している。また、図7(a)は、バンドを記録する第1回目の走査(1パス目)が往方向の走査となるバンド(例えば、図2に示したバンド20−1、20−3)の記録に用いる各インクに対応するマスクパターンである。一方、図7(b)は、バンドを記録する第1回目の走査(1パス目)が復方向の走査となるバンド(例えば、図2に示したバンド20−2、20−4)の記録に用いる各インクに対応するマスクパターンである。なお、これらの図における、320個のノズルからなる各ノズルブロックに対応したマスクパターンは、4つのノズルに対応する4画素×4画素のパターンのみを示しており、この4画素×4画素の記録許容画素の配置パターンがノズル配列方向および走査方向にそれぞれ80パターン繰り返し表れるパターンである。また、符号600、601〜604でそれぞれ示される4画素×4画素の記録許容画素の配置が、同じ配置であることを示している。
詳しくは、図7(a)において、(a)−1、(a)−2、(a)−3は、それぞれCインク、Mインク、Yインクの記録ヘッドに適用するマスクパターンを示している。これらのマスクパターンはそれぞれ、記録許容比率が、1パス目は0%のマスクパターン600と、2、3、4パス目はそれぞれ25%のマスクパターン602〜604である。そして、2、3、4パス目のマスクパターンは、記録許容画素の配置について相互に補完する関係となっている。すなわち、Cインク、Mインク、Yインクについては、記録許容画素が合計75%で1つのバンドの画像を完成する。一方、(a)−4は、Bkインクの記録ヘッドに適用するマスクであり、記録許容画素の比率が、1パス目〜4パス目それぞれ25%のマスクパターン601〜604によって構成される。そして、これら4パスの記録許容画素の配置について相互に補完する関係となっている。すなわち、Bkインクだけが、記録許容画素が合計100%で1つのバンドの画像を完成する。
一方、図7(b)に示す、図7(a)に示したマスクとは逆方向の走査で適用するマスクのうち、(b)−1は、Cインクの記録ヘッドに適用するマスクであり、記録許容画素の比率が、1パス目〜4パス目それぞれの25%のマスクパターン602〜604、601を有して構成される。そして、これらマスクパターンは、4パスの記録許容画素の配置について相互に補完する関係となっている。これに対し、(b)−2、(c)−3、(b)−4は、それぞれMインク、Yインク、Bkインクの記録ヘッドに適用するマスクである。これらのマスクは、記録許容画素の比率が、1、2、3パス目はそれぞれ25%のマスクパターン602〜604と、4パス目は0%のマスクパターン600である。そして、1、2、3パス目のマスクパターンは、記録許容画素の配置について相互に補完する関係となっている。すなわち、Mインク、Yインク、Bkインクについては、記録許容画素が合計75%で1つのバンドの画像を完成する。
図8(a)および(b)は、図7に示すマスクを用いた、本発明の第1実施形態に係る、双方向走査によるマルチパス記録を説明する図である。このうち、図8(a)は、本実施形態の4パスのマルチパス記録における走査ごとの、各色インクのノズル列に適用されるマスクパターン、および各色インクの記録順序(付与順序)を示し、図8(b)は、記録を完成するバンドごとの適用するマスクパターンの記録許容比率を示している。これらの図において、符号C、M、Y、Bkで示される各色インクそれぞれの記録ヘッド102(ノズル列)の走査方向の配列は、上記各インクの付与順序を示すものであり、各走査で付与順序が先になるノズル列ほど左側に配置している。
HPからBPへ向かう方向を往方向とするとき、図8(a)に示すように、往方向の第1走査では、C、M、Y、Bkインクの順序でインク付与が行われる。そして、Cインクのノズル列について、記録媒体の搬送方向(Y方向)上流側から、図7(a)および(b)に示した、マスク(a)−1または(b)−1のうち、1パス目用のマスクパターン600、2パス目用のマスクパターン603、3パス目用のマスクパターン603、4パス目用のマスクパターン601が対応するノズルブロックに適用される。M、Y、Bkインクについても同様に、図7(a)および(b)に示した、マスク(a)−2、3、4または(b)−2、3、4からそれぞれのマスクパターンが選択される。次に、第2走査では、Cインクのノズル列について、記録媒体の搬送方向(Y方向)上流側から、図7(a)および(b)に示した、マスク(a)−1または(b)−1のうち、1パス目用のマスクパターン602、2パス目用のマスクパターン602、3パス目用のマスクパターン604、4パス目用のマスクパターン604が対応するノズルブロックに適用される。
以上、図8(a)に示した、各色インクのノズル列のノズルブロックに適用されるマスクを用いることにより、記録を完成するバンド(所定領域)ごとの記録は、図8(b)に示すようになる。例えば、バンドAでは、第1走査(1パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:0%→M:0%→Y:0%→Bk:25%となる。次の第2走査(2パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:25%→Y:25%→M:25%→C:25%となる。さらに、次の第3走査(3パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:25%→M:25%→Y:25%→Bk:25%となる。最後に、第4走査(4パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:25%→Y:25%→M:25%→C:25%となる。これに対し、バンドAに隣接するバンドBでは、第2走査(1パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:25%→Y:25%→M:25%→C:25%となる。次の第3走査(2パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:25%→M:25%→Y:25%→Bk:25%となる。さらに、次の第4走査(3パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:25%→Y:25%→M:25%→C:25%となる。最後に、第5走査(4パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:25%→M:0%→Y:0%→Bk:0%となる。
以上のとおり、本発明の第1実施形態によれば、先ず、バンドAでは、C、M、Yインクそれぞれについては、4回の走査で相互に補完する、記録許容比率の合計が75%の記録が行われ、また、Bkインクについては、4回の走査で相互に補完する、記録許容比率の合計が100%の記録が行われる。そして、このバンドAについて、各色インク相互の付与順序は、Bk(1パス目の25%+2パス目の25%)→Y→M→C(2パス目の25%+3パス目の25%)→M→Y→Bk(3パス目の25%+4パス目の25%)→Y→M→Cとなる。一方、バンドBについても、Bk、M、Yインクそれぞれについては、4回の走査で相互に補完する、記録許容比率の合計が75%の記録が行われ、また、Cインクについては、4回の走査で相互に補完する、記録許容比率の合計が100%の記録が行われる。そして、各色インク相互の付与順序は、Bk→Y→M→C(1パス目の25%+2パス目の25%)→M→Y→Bk(2パス目の25%+3パス目の25%)→Y→M→C(3パス目の25%+4パス目の25%)となる。このように、本実施形態によれば、4色のインクの付与順序は、隣接するバンドA、B間で同じ付与順序となる。その結果、パス数(走査回数)を増すことなく、双方向マルチパス記録における各色インクの付与順序を総てのバンドにおいて一致させることができ、バンド間に生じ得る色むらを低減することができる。
図9(a)および(b)は、図8に示した第1実施形態のバンドAおよびバンドBに対するそれぞれのインク付与量制御で用いるマスクパターンを設定する処理を示すフローチャートであり、図5のステップS504で読み出しの際に行われるマスクパターンの設定処理を示している。マルチパス記録のパス数をNとするとき、バンドAについては、ステップS504(図5)で、N=4パスのフラットマスクのマスクパターンを読み出し、ステップS901で、C、M、Y、Bkインクの記録ヘッド(ノズル列)から、最もHP側のノズル列(往方向における最も後側のノズル列)とそれ以外のノズル列とを判別する。最もHP側のノズル列の場合(YES判断)、ステップS902で、読み出した対応するマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)をそのまま維持する(25%)。最もHP側のノズル列以外のノズル列と判別されたノズル列については、ステップS903で、1パス目の、読み出した対応するマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)を0%とする。すなわち、マスクパターン600を設定する。
一方、バンドBについは、同様に、ステップS504(図5)で、N=4パスのフラットマスクのマスクパターンを読み出し、ステップS904で、C、M、Y、Bkインクのノズル列から、最もBP側(復方向における最も後側)のノズル列とそれ以外のノズル列とを判別する。最もBP側のノズル列の場合(YES判断)、ステップS905で、読み出した対応するマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)をそのまま維持する(25%)。最もBP側のノズル列以外のノズル列と判別されたノズル列については、ステップS906で、最終パス、本例では4パス目の、読み出した対応するマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)を0%とする。すなわち、マスクパターン600を作成する。
以上の処理によって、図8(a)および(b)にて上述した記録動作を行うことができる。
なお、上述の例では、ノズル列の配置の判別の都度、読み出したマスクパターンの記録許容比率を0%にする処理を行うものとしたが、この形態に限られないことはもちろんである。上記判別の後に、マスクパターンの読み出しを行い、それぞれの対応するマスクパターンを得るようにしてもよい。
また、以上の説明では、HPからBPへ向かう方向を往方向としたが、記録動作における往方向(第1方向)は逆であってもよいことはもちろんである。また、記録媒体に対する最初の記録が、復方向の走査から始まってもよいことはもちろんである。
また、上例では、1つのバンドを4パスの双方向走査で記録する例を説明したが、1つのバンドを記録するために必要な走査回数はこれに限定されない。例えば、2パスのなどより少ない走査回数または6パスなどより多い走査回数で1つのバンドを記録してもよい。また、記録に用いるインク色の数は4色に限定されず、3色などの少ない色数の場合でもよいし、また、5色以上の色数の多い場合でもよい。
<画像形成及び双方向ムラの評価>
評価用インクの組成
下記表記における「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準を表している。
評価用インクの組成
下記表記における「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準を表している。
シアンインク
(1)分散液の作製
先ず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸とを原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。
(1)分散液の作製
先ず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸とを原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。
上記ポリマー溶液を200g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を700g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10%質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 20部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 59.5部
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 20部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 59.5部
マゼンタインク
(1)分散液の作製
先ず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。
(1)分散液の作製
先ず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。
上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を800g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10%質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 40部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 39.5部
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 40部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 39.5部
イエローインク
(1)分散液の作製
先ず、アニオン系高分子P−1[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(重合比(重量比)=30/40/30)酸価202、重量平均分子量6500に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な10%ポリマー水溶液を作成した。
(1)分散液の作製
先ず、アニオン系高分子P−1[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(重合比(重量比)=30/40/30)酸価202、重量平均分子量6500に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な10%ポリマー水溶液を作成した。
上記ポリマー溶液を300g、C.I.ピグメントイエロー74を100gおよびイオン交換水600gを混合し、機械的に所定時間攪拌した後、遠心分離処理によって粗大粒子を含む非分散物を除去してイエロー分散液とした。得られたイエロー分散液は、その顔料濃度が10%質量%であった。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、顔料濃度4%の顔料インクを調製した。
・上記イエロー分散液 40部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(河権ファインケミカル株式会社正) 0.5部
・イオン交換水 39.5部
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、顔料濃度4%の顔料インクを調製した。
・上記イエロー分散液 40部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(河権ファインケミカル株式会社正) 0.5部
・イオン交換水 39.5部
ブラックインク
(1)分散液の作製
先ず、酸性カーボンブラック(MA−77;三菱化学製、pH3のもの)を用いて、次亜塩素酸ソーダを用いた通常の液相酸化処理を行う。反応時間および反応温度を適宜調整することによって反応を行い、得られたスラリーをろ過し、顔料粒子を十分に水洗することで、顔料ウェットケーキが得られる。次に、この顔料ウェットケーキを水に再分散させて、電導度が0.2μsになるまで逆浸透膜で脱塩する。さらに、この顔料分散液(pH=8.5)を顔料濃度が10%になるように濃縮して、自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液を得た。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10%質量%であった。
(1)分散液の作製
先ず、酸性カーボンブラック(MA−77;三菱化学製、pH3のもの)を用いて、次亜塩素酸ソーダを用いた通常の液相酸化処理を行う。反応時間および反応温度を適宜調整することによって反応を行い、得られたスラリーをろ過し、顔料粒子を十分に水洗することで、顔料ウェットケーキが得られる。次に、この顔料ウェットケーキを水に再分散させて、電導度が0.2μsになるまで逆浸透膜で脱塩する。さらに、この顔料分散液(pH=8.5)を顔料濃度が10%になるように濃縮して、自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液を得た。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10%質量%であった。
(2)インクの作製
上記方法で得られた顔料分散液を使用し、下記組成比を有する成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのメンブレンフィルタにて加圧ろ過して顔料を含有するインクを作製してインクとした。
・上記ブラック分散液 30部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 49.5部
上記方法で得られた顔料分散液を使用し、下記組成比を有する成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのメンブレンフィルタにて加圧ろ過して顔料を含有するインクを作製してインクとした。
・上記ブラック分散液 30部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 49.5部
画像記録
記録媒体PとしてCanon社製厚口コート紙HG(LFM−CPH/24/145)を使用した。
記録媒体PとしてCanon社製厚口コート紙HG(LFM−CPH/24/145)を使用した。
双方向ムラの評価
本実施形態によって作成した記録サンプルにて、画像品質に対する双方向ムラの許容量を官能評価にて判定した結果、双方向ムラは目立たなかった。
本実施形態によって作成した記録サンプルにて、画像品質に対する双方向ムラの許容量を官能評価にて判定した結果、双方向ムラは目立たなかった。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、図9に示したステップS903、S906で、記録許容比率を0%にする処理を行うものとした。このため、バンドAとバンドBと間で各色インクの付与順序は一致するが、合計の記録許容比率は異なる。例えば、Cインクについては、バンドAでは、総記録許容比率は75%になり、一方、バンドBでは、総記録許容比率は100%になる。このように隣接する記録領域(バンド)では、記録許容比率が異なったとしても、インク付与順序の方が双方向ムラの発生に対して支配的であることから、上述した第1実施形態は、各色インクのインク付与順序を同じものとした。
上述した第1実施形態では、図9に示したステップS903、S906で、記録許容比率を0%にする処理を行うものとした。このため、バンドAとバンドBと間で各色インクの付与順序は一致するが、合計の記録許容比率は異なる。例えば、Cインクについては、バンドAでは、総記録許容比率は75%になり、一方、バンドBでは、総記録許容比率は100%になる。このように隣接する記録領域(バンド)では、記録許容比率が異なったとしても、インク付与順序の方が双方向ムラの発生に対して支配的であることから、上述した第1実施形態は、各色インクのインク付与順序を同じものとした。
本発明の第2実施形態は、各色インクのインク付与順序を同じものとするとともに、バンドAとバンドBとの間で、記録許容比率を一致させる。これより、隣接する記録領域間での色味をより近いものとすることができる。なお、上述した第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
図10(a)および(b)は、本発明の第2実施形態に係る4パス双方向のマルチパス記録で用いるマスクパターンを説明する図であり、第1実施形態の図7と同様の図である。本実施形態は、上述のとおり、バンド間で、各色インクについて用いるマスクパターンの記録許容比率の合計が同じになるようにする。このことから、図7に示した第1実施形態のマスクパターンと異なる点は、4パス記録に用いるマスクパターンの一部のマスクパターンの記録許容比率を50%とすることである。
図10(a)および(b)は、本発明の第2実施形態に係る4パス双方向のマルチパス記録で用いるマスクパターンを説明する図であり、第1実施形態の図7と同様の図である。本実施形態は、上述のとおり、バンド間で、各色インクについて用いるマスクパターンの記録許容比率の合計が同じになるようにする。このことから、図7に示した第1実施形態のマスクパターンと異なる点は、4パス記録に用いるマスクパターンの一部のマスクパターンの記録許容比率を50%とすることである。
具体的には、図10(a)に示すように、バンドAに用いるマスクパターンのうち、Cインク((a)−1)の4パス目用のマスクパターン、Mインク((a)−2)の2パス目用のマスクパターン、Yインク((a)−3)の3パス目用のマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)を50%とする。これらのマスクパターンは、それぞれ合成したマスクパターン(604+601)、(602+601)、(603+601)で構成されるものである。また、図10(b)に示すように、バンドBに用いるマスクパターンのうち、Mインク((b)−2)の1パス目用のマスクパターン、Yインク((b)−3)の2パス目用のマスクパターン、Bkインク((b)−4)の1パス目用のマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)を50%とする。そして、これらのマスクパターンは、それぞれ複合したマスクパターン(602+601)、(603+601)、(602+601)で構成される。
図11(a)および(b)は、図10に示すマスクパターンを用いた、第2実施形態に係る双方向走査によるマルチパス記録を説明する図であり、第1実施形態に係る図8と同様の図である。図8と同様、図11(a)は、本実施形態の4パスのマルチパス記録における走査ごとの、各色インクのノズル列に適用されるマスクパターン、および各色インクの記録順序(付与順序)を示し、図11(b)は、記録を完成するバンドごとの適用するマスクパターンの記録許容比率を示している。また、符号C、M、Y、Bkで示される各色インクそれぞれのノズル列の走査方向の配列は、上記各インクの付与順序を示すものであり、各走査で付与順序が先になるノズル列ほど左側に配置している。以下では、図8にて上述した第1実施形態と異なる点を主に説明する。
図11(a)に示すように、往方向の第1走査では、C、M、Y、Bkインクの順序でインク付与が行われる。そして、Cインクのノズル列について、マスクパターン(a)−1または(b)−1のうち、1パス目用のマスクパターン600、2パス目用のマスクパターン603、3パス目用のマスクパターン603、4パス目用のマスクパターン601が対応するノズルブロックに適用される。M、Y、Bkインクについても同様に、図10(a)および(b)に示した、マスクパターン(a)−2、3、4または(b)−2、3、4からそれぞれのマスクパターンが選択される。次に、第1走査以外の第2走査では、Cインクのノズル列について、記録媒体の搬送方向(Y方向)上流側から、図10(a)および(b)に示した、マスクパターン(a)−1または(b)−1のうち、1パス目用のマスクパターン602、2パス目用のマスクパターン602、3パス目用のマスクパターン604、4パス目用のマスクパターン(604+601)が対応するノズルブロックに適用される。この第2走査では、4パス目用のマスクパターンが合成された、記録許容比率が50%のマスクパターンが所定のノズルブロックに用いられる。このようにして、図10(a)および(b)に示した、記録許容比率が50%のマスクパターンが、走査回とノズルブロックに応じて用いられ、1つのバンドを記録するそれぞれのインク色の合計の記録許容比率が100%となる。
以上、図11(a)に示した、各色インクのノズル列のノズルブロックに適用されるマスクを用いることにより、記録を完成するバンド(所定領域)ごとの記録は、図11(b)に示すようになる。例えば、バンドAでは、第1走査(1パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:0%→M:0%→Y:0%→Bk:25%となる。次の第2走査(2パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:25%→Y:25%→M:50%→C:25%となる。さらに、次の第3走査(3パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:25%→M:25%→Y:50%→Bk:25%となる。最後に、第4走査(4パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:25%→Y:25%→M:25%→C:50%となる。これに対し、バンドBでは、第2走査(1パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:50%→Y:25%→M:50%→C:25%となる。次の第3走査(2パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:25%→M:25%→Y:50%→Bk:25%となる。さらに、次の第4走査(3パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、Bk:25%→Y:25%→M:25%→C:25%となる。最後に、第5走査(4パス目)で、インクの付与順序と記録許容比率が、C:25%→M:0%→Y:0%→Bk:0%となる。
以上のとおり、本発明の第2実施形態によれば、バンドAについて、各色インク相互の付与順序は、Bk(25%+25%)→Y(25%)→M(50%)→C(25%+25%)→M(25%)→Y(50%)→Bk(25%+25%)→Y(25%)→M(25%)→C(50%)となる。一方、バンドBについても、各色インク相互の付与順序は、Bk(50%)→Y(25%)→M(50%)→C(25%+25%)→M(25%)→Y(50%)→Bk(25%+25%)→Y(25%)→M(25%)→C(25%)となる。加えて、C、M、Y、Bkインクの総てについて、いずれのバンドでも、記録許容比率の合計を100%とすることができる。これにより、バンド間の色むらをさらに低減することができる。
図12(a)および(b)は、図11に示した、第2実施形態のバンドAおよびバンドBに対するそれぞれのインク付与量制御で用いるマスクパターンを設定する処理を示すフローチャートであり、図9(a)および(b)と同様の図である。
第1実施形態に係る図(a)および(b)に示す処理と異なる点は、ステップS1001、S1002の処理である。すなわち、ステップS903で、最もHP側のノズル列以外のノズル列と判別されたノズル列について、1パス目の、読み出した対応するマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)を0%とした後、ステップS1001で、0%としたマスクパターンに対応したノズル列それぞれについて、記録許容比率25%を1パス目以外のパスのいずれかのマスクパターンに合成する。これによって、図11(b)に示すバンドAでは、第2走査(2パス目)のMインクのマスクパターンが50%となり、第3走査(3パス目)のYインクのマスクパターンが50%となり、第4走査(4パス目)のCインクのマスクパターンが50%となる。また、ステップS906で、最もBP側のノズル列以外のノズル列と判別されたノズル列について、4パス目の、読み出した対応するマスクパターンの記録許容比率(記録許容画素の配置)を0%とした後、ステップS1002で、0%としたマスクパターンに対応したノズル列それぞれについて、記録許容比率25%を4パス目以外のパスのいずれかのマスクパターンに合成する。これによって、図11(b)に示すバンドBでは、第2走査(1パス目)のBkおよびMインクのマスクパターンがそれぞれ50%となり、第3走査(2パス目)のYインクのマスクパターンが50%となる。
(第3実施形態)
上述の第2実施形態では、図12に示すステップS1001、S1002で、記録許容比率の他のパスへの合成を、1つのパスのみにしていた。これに対し、本実施形態は、記録許容比率の合成先を複数のパスとする。
上述の第2実施形態では、図12に示すステップS1001、S1002で、記録許容比率の他のパスへの合成を、1つのパスのみにしていた。これに対し、本実施形態は、記録許容比率の合成先を複数のパスとする。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
図13(a)および(b)は、本発明の第3実施形態に係る、4パス双方向のマルチパス記録にも用いるマスクパターンを説明する図であり、それぞれバンドAおよびバンドBを記録するときのC、M、Y、Bkインクそれぞれに対応するマスクパターンの記録許容比率を示している。図13(a)に示すように、例えば、バンドAを記録するCインクのマスクは、第2実施形態に係る図10(a)に示したのと同じで、記録許容比率は、1パス目から順に、0%→25%→25%→50%である。これに対し、Mインクについては、1パス目の記録許容比率0%の分に対応する25%を、2パス目、3パス目にそれぞれ等分して分配し(12.5%)、それぞれの記録許容比率を37.5%とする。バンドBの記録も同様に、図13(b)に示すように、Mインクについて、4パス目の記録許容比率0%の分に対応する25%を、1パス目、2パス目にそれぞれ等分して分配し(12.5%)、それぞれの記録許容比率を37.5%とする。
図13(a)および(b)は、本発明の第3実施形態に係る、4パス双方向のマルチパス記録にも用いるマスクパターンを説明する図であり、それぞれバンドAおよびバンドBを記録するときのC、M、Y、Bkインクそれぞれに対応するマスクパターンの記録許容比率を示している。図13(a)に示すように、例えば、バンドAを記録するCインクのマスクは、第2実施形態に係る図10(a)に示したのと同じで、記録許容比率は、1パス目から順に、0%→25%→25%→50%である。これに対し、Mインクについては、1パス目の記録許容比率0%の分に対応する25%を、2パス目、3パス目にそれぞれ等分して分配し(12.5%)、それぞれの記録許容比率を37.5%とする。バンドBの記録も同様に、図13(b)に示すように、Mインクについて、4パス目の記録許容比率0%の分に対応する25%を、1パス目、2パス目にそれぞれ等分して分配し(12.5%)、それぞれの記録許容比率を37.5%とする。
このような本実施形態によれば、1つのパスの最大の記録許容比率は、37.5%となり、1つのパスの記録のインク付与量が多くなってインク溢れや滲みなどによる画質悪化を抑制することができる。
図14(a)および(b)は、第4実施形態の変形例に係るマスクパターンを説明する図であり、それぞれバンドAおよびバンドBを記録するときの、一例としてMインクそれぞれに対応するマスクパターンの記録許容比率を示している。これら図における、マスクパターン(a)−22および(b)−22のように、1パス目の記録許容比率が0%を補う分の25%の分配先を3パスとしてもよい。この場合、1つのパスの最大の記録許容比率は33.3%となる。
また、マスクパターン(a)−23および(b)−23のように、分配先が複数パスの場合に、隣接する他インクの記録許容比率も考慮して、分配比率がパス間で異なるようにしてもよい。図に示す例では、バンドAの記録では、2パス目に15%、4パス目に10%が分配される。また、バンドBの記録では、1パス目に15%、3パス目に10%が分配される。
さらに、上述してきたフラットマスクではなく、グラデーションマスクを用いる場合も同様とすることができる。すなわち、マスクパターン(a)−24および(b)−24のように、破線で示される記録許容比率の分布を、実線で示される記録許容比率とすることができる。詳しくは、バンドAの記録では、マスクパターン(a)−24のように、1パス目の記録許容比率を0%とした分を2、3および4パス目に分配し、かつ記録許容比率のグラデーションを維持するようにする。同様に、バンドBの記録では、マスクパターン(b)−24のように、4パス目の記録許容比率を0%とした分を1、2および3パス目に分配し、かつ記録許容比率のグラデーションを維持するようにする。
この変形例によれば、各パスでのインク付与量が極端に多くなるパスが存在することを抑制し、インク溢れなどによる画質悪化をより抑制することができる。
(第4実施形態)
上述した第2、第3の実施形態では、C、M、Y、Bkインクのマスクパターンの記録許容比率の合計をそれぞれ100%で記録する場合を例に説明したが、本実施形態は、各色インクのマスクパターンの記録許容比率が異なる場合に、記録許容比率が比較的多いインクのマスクパターンについて、他のパスへの分配を行う形態に関する。これにより、記録許容比率の少ないインクについては、従来のフラットマスク、グラデーションマスクを適用することになり、双方向ムラを低減しつつ処理速度の向上を図ることができる。
上述した第2、第3の実施形態では、C、M、Y、Bkインクのマスクパターンの記録許容比率の合計をそれぞれ100%で記録する場合を例に説明したが、本実施形態は、各色インクのマスクパターンの記録許容比率が異なる場合に、記録許容比率が比較的多いインクのマスクパターンについて、他のパスへの分配を行う形態に関する。これにより、記録許容比率の少ないインクについては、従来のフラットマスク、グラデーションマスクを適用することになり、双方向ムラを低減しつつ処理速度の向上を図ることができる。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
図15(a)および(b)は、本発明の第4の実施形態に係るマルチパス双方向記録で用いるマスクパターンの設定処理を示すフローチャートであり、図12(a)および(b)と同様の図である。
図15(a)および(b)は、本発明の第4の実施形態に係るマルチパス双方向記録で用いるマスクパターンの設定処理を示すフローチャートであり、図12(a)および(b)と同様の図である。
ここでは、C、Y、Bkインクのマスクパターンの記録許容比率の合計が100%で、Mインクのマスクパターンの記録許容比率の合計が20%である場合を例に説明する。図15(a)に示すように、バンドAを記録する場合、ステップS901で最もホームポジション側のノズル列以外のノズル列(インク)と判別されると、ステップS1501で、そのノズル列(インク)に対応するマスクパターンの記録許容比率が、総てのノズル列(総てのインク色)のマスクパターンの記録許容比率の合計の10%以上か否かが判定される。この例のCおよびYインクのマスクパターンは記録許容比率の合計は100%であることから、それは全インクの(100/320=)31.25%となり、ステップS1501で肯定(YES)判断判定され、ステップS903、S1001の処理、すなわち、他のパスに分配する処理が行われる。これに対し、Mインクのマスクパターンは記録許容比率の合計は20%であることから、それは全インクの(20/320=)6.25%となる。この結果、ステップS1501で否定(NO)判断され、ステップS902の処理が行われる。同様に、図15(b)に示すように、バンドBについては、ステップS904で否定判断されたC以外のインク(ノズル列)については、ステップS1502で、全インクのマスクパターンの記録許容比率の10%以上か否かが判断される。YおよびBkインクのマスクパターンはそれぞれ記録許容比率が全インクのマスクパターンの31.25%なので、ステップS1502で肯定判断され、ステップS906、S1002の処理、すなわち、他のパスへの分配が行われる。一方、Mインクの記録許容比率は全インクの6.25%なので、ステップS1502で否定判断され、ステップS905の処理が行われる。以上の例のMインクのマスクパターンように、記録許容比率が少ないため双方向ムラ悪化への影響が少ないインクを選定して従来のマスクパターンを適用することにより、双方向ムラを低減しつつ処理速度を向上させることができる。
なお、上記の説明では、記録許容比率が少ないインクが1種類の場合を例としたが、記録許容比率が少ないインクが2種類以上の場合にも本発明を適用できる。また、記録に必要なインク色数は4色に限定されず、5色以上の色数の多い場合でもあってもよい。
(第5実施形態)
上述した第1〜第4の実施形態は、4パスなど偶数パス(偶数回の走査)の場合を例に関するものであるが、奇数パス(奇数回の走査)の場合に、例えば、図15に示すマスク設定処理を適用すると、バンドAとバンドBとでインク付与順序が異なることとなる。これに対し、本実施形態は、奇数パスで双方向マルチパス記録を行う場合に、バンドBのマスク設定処理を変更し、偶数パスだけでなく、奇数パスの場合でも双方向ムラを低減する。
上述した第1〜第4の実施形態は、4パスなど偶数パス(偶数回の走査)の場合を例に関するものであるが、奇数パス(奇数回の走査)の場合に、例えば、図15に示すマスク設定処理を適用すると、バンドAとバンドBとでインク付与順序が異なることとなる。これに対し、本実施形態は、奇数パスで双方向マルチパス記録を行う場合に、バンドBのマスク設定処理を変更し、偶数パスだけでなく、奇数パスの場合でも双方向ムラを低減する。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
図16(a)および(b)は、奇数パスの一例として5パスの双方向マルチパス記録において、図15(a)および(b)で設定したマスクパターンを説明する図であり、図16(a)はバンドAの記録に用いるマスクパターン、図16(b)はバンドBの記録に用いるマスクパターンをそれぞれ示している。C、M、Y、Bkインクそれぞれのマスクパターンの記録許容比率が100%の場合に、5パス双方向のマルチパス記録を行う場合、バンドAの記録では、最もHP側のBkインクのマスクパターンは5パスそれぞれの記録許容比率が20%となる。一方、Bkインク以外のC、M、Yのマスクパターンは、1パス目の記録許容比率は0%になり、それぞれ図16(a)に示すマスクパターンとなる。また、バンドBでは、最もBP側のCインクのマスクパターンは5パスそれぞれの記録許容比率が20%となる。それ以外のM、Y、Bkのマスクパターンは5パス目の記録許容比率が0%になり、図16(b)に示すマスクパターンとなる。
図16(a)および(b)は、奇数パスの一例として5パスの双方向マルチパス記録において、図15(a)および(b)で設定したマスクパターンを説明する図であり、図16(a)はバンドAの記録に用いるマスクパターン、図16(b)はバンドBの記録に用いるマスクパターンをそれぞれ示している。C、M、Y、Bkインクそれぞれのマスクパターンの記録許容比率が100%の場合に、5パス双方向のマルチパス記録を行う場合、バンドAの記録では、最もHP側のBkインクのマスクパターンは5パスそれぞれの記録許容比率が20%となる。一方、Bkインク以外のC、M、Yのマスクパターンは、1パス目の記録許容比率は0%になり、それぞれ図16(a)に示すマスクパターンとなる。また、バンドBでは、最もBP側のCインクのマスクパターンは5パスそれぞれの記録許容比率が20%となる。それ以外のM、Y、Bkのマスクパターンは5パス目の記録許容比率が0%になり、図16(b)に示すマスクパターンとなる。
この場合、バンドAのインク付与順は、Bk(40%)→Y(25%)→M(25%)→C(40%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(40%)→Y(25%)→M(25%)→C(60%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(20%)となる。また、バンドBのインク付与順は、Bk(40%)→Y(25%)→M(25%)→C(40%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(40%)→Y(25%)→M(25%)→C(40%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(20%)→C(20%)となる。このように、奇数パスの場合、図15に示す処理によってマスクパターンを設定すると、バンドAとバンドBの間でインク付与順序が異なってしまう。
そこで、マスクパターン設定処理を図17のように修正する。図17(a)および(b)は、本発明の第5実施形態に係るマルチパス双方向記録で用いるマスクパターンの設定処理を示すフローチャートである。これらの図に示すように、バンドBの記録に用いるマスクパターンの設定について、ステップS904の前に、バンドBの記録を完成するパス数が偶数か奇数かを判定するステップS1701を加える。パス数が偶数の場合には、上述した実施形態のように、ステップS905に進み、パス数が奇数の場合にはステップS1702に進む。そして、ノズル列(インク色)が最もHP側か否かが判断される。ここで、最もHP側のノズル列(インク)である場合は、ステップS905に進み、そうでないノズル列(インク)である場合は、ステップS1502に進む。これにより、バンドBの記録するパス数が奇数の場合で、ノズル列が最もHP側のノズル列(インク)である場合に、ステップS1502の処理を回避することができる。これにより、バンドAとの間でインクの付与順序を同じものとすることができる。
図18(a)および(b)は、本発明の第5実施形態に係る、5パス双方向のマルチパス記録にも用いるマスクパターンを説明する図であり、図17(a)および(b)に示す処理によって設定されたマスクパターンを示している。図18(b)に示すように、バンドBに用いるBkインクのマスクパターン(b)−4は、5パスの総てについて記録許容比率が20%のパターンとなる。その結果、バンドBのインク付与順序は、Bk(20%)→Y(25%)→M(25%)→C(40%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(40%)→Y(25%)→M(25%)→C(60%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(40%)となり、バンドAとの間でそれぞれのインク付与順序が一致する。
また、バンドBにおいて、図17のステップS1702で肯定判断された、最もHP側のインクであるBkについて、図19(b)に示すマスクパターン(b)−4とすることもできる。これにより、バンドAとバンドBとの間でインク付与順序が一致するだけでなく、各インクの付与量をも一致させることができる。
なお、上述の説明では、5パス双方向のマルチパス記録を例としたが、3パス、また、7パス以上の奇数パスにおいても適用される。また、記録に必要なインクは4色に限定されず、5色以上の色数が多い場合にも適用される。
(第6実施形態)
上述の第1〜第5実施形態では、濃、淡インクを区別せずにマスクパターンを設定する形態について説明した。本実施形態は、濃、淡インクを区別し、淡インクについてはバンドA、バンドBともに、従来のフラットマスクまたはグラデーションマスクを適用する。明度の高い画像は双方向ムラが元々目立ちにくいため、たとえ淡インクが多量に使われたとしても、淡インクのマスク制御は従来通りであってもよい。また、明度の低い画像は双方向ムラが目立ち易いが、この場合には淡インクの付与量が少ないため、従来と同様のマスクパターンを適用しても、双方向ムラへの影響は小さい。このように淡インクには、従来のマスクパターンを適用することで、色数が多い場合においても双方向ムラを低減しつつ処理速度の向上を図ることができる。
上述の第1〜第5実施形態では、濃、淡インクを区別せずにマスクパターンを設定する形態について説明した。本実施形態は、濃、淡インクを区別し、淡インクについてはバンドA、バンドBともに、従来のフラットマスクまたはグラデーションマスクを適用する。明度の高い画像は双方向ムラが元々目立ちにくいため、たとえ淡インクが多量に使われたとしても、淡インクのマスク制御は従来通りであってもよい。また、明度の低い画像は双方向ムラが目立ち易いが、この場合には淡インクの付与量が少ないため、従来と同様のマスクパターンを適用しても、双方向ムラへの影響は小さい。このように淡インクには、従来のマスクパターンを適用することで、色数が多い場合においても双方向ムラを低減しつつ処理速度の向上を図ることができる。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
図20(a)および(b)は、本発明の第6実施形態に係るマルチパス双方向記録で用いるマスクパターンの設定処理を示すフローチャートである。図20(a)に示すように、バンドAについては、ステップS901で否定判断されたノズル列(インク)のうち、ステップS2001で、肯定判断される淡インクについては、ステップS902に進み、従来のマスクパターンを設定する。また、図20(b)に示すように、バンドBについては、偶数パスの場合で、ステップS904で否定判断されたノズル列(インク)のうち、ステップS2002で、肯定判断される淡インクについては、ステップS905に進み、従来のマスクパターンを設定する。また、奇数パスの場合には、ステップS1702で否定判断されたインクのうち、ステップS2002で、肯定判断される淡インクについては、ステップS905に進み、従来のマスクパターンを設定する。このように、本実施形態によれば、淡インクはバンドA、バンドBともに従来のマスクを適用できることから、インク色数が多い場合においても、双方向ムラを低減しつつ処理速度向上を図ることができる。
図20(a)および(b)は、本発明の第6実施形態に係るマルチパス双方向記録で用いるマスクパターンの設定処理を示すフローチャートである。図20(a)に示すように、バンドAについては、ステップS901で否定判断されたノズル列(インク)のうち、ステップS2001で、肯定判断される淡インクについては、ステップS902に進み、従来のマスクパターンを設定する。また、図20(b)に示すように、バンドBについては、偶数パスの場合で、ステップS904で否定判断されたノズル列(インク)のうち、ステップS2002で、肯定判断される淡インクについては、ステップS905に進み、従来のマスクパターンを設定する。また、奇数パスの場合には、ステップS1702で否定判断されたインクのうち、ステップS2002で、肯定判断される淡インクについては、ステップS905に進み、従来のマスクパターンを設定する。このように、本実施形態によれば、淡インクはバンドA、バンドBともに従来のマスクを適用できることから、インク色数が多い場合においても、双方向ムラを低減しつつ処理速度向上を図ることができる。
以下に、本実施形態で用いる淡インクについて説明する。
ライトシアンインク
(1)分散液の作製
上記シアンインクについての説明と同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のシアン分散体を作製した。
(1)分散液の作製
上記シアンインクについての説明と同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のシアン分散体を作製した。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度0.4%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 4部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 75.5部
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度0.4%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 4部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 75.5部
ライトマゼンタインク
(1)分散液の作製
上記マゼンタインクについての説明と同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のマゼンタ分散体を作製した。
(1)分散液の作製
上記マゼンタインクについての説明と同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のマゼンタ分散体を作製した。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度0.8%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 8部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 71.5部
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度0.8%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 8部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
・イオン交換水 71.5部
(第7実施形態)
上述の第1〜第6の実施形態は、吐出量一定の記録ヘッドを用いる場合であるが、本実施形態は、大、小のインク滴を吐出できる大小ノズルを有する記録ヘッドを用いて記録する形態に関するものである。
上述の第1〜第6の実施形態は、吐出量一定の記録ヘッドを用いる場合であるが、本実施形態は、大、小のインク滴を吐出できる大小ノズルを有する記録ヘッドを用いて記録する形態に関するものである。
<装置構成>
本実施形態のインクジェット記録装置は、図1に示す記録ヘッド102のノズル構成以外の構成は上述各実施形態の記録装置と同様である。本実施形態の記録ヘッド102のノズル構成は、列数およびノズル配置は第1実施形態と同様であるが、ノズル列の4列のうち2列は大きいノズル径のノズルであって、他の2列は小さいノズル径のノズルが配置されている。それぞれの大きさのノズルによる吐出量はそれぞれ4pl、10plである。また、本実施形態の記録装置は記録ヘッドを構成する吐出基板間の製造ばらつきによるノズル径差、吐出量差に起因する濃度差の解消のため、同じ階調に対して平均吐出量が同程度になるように大小ノズルの使用比率を変えて記録を行なう。大小ノズルの使用比率のデータは記録ヘッド102に備えられた不図示のROMに記録されており、記録装置はそのデータを参照して処理を行なう。
本実施形態のインクジェット記録装置は、図1に示す記録ヘッド102のノズル構成以外の構成は上述各実施形態の記録装置と同様である。本実施形態の記録ヘッド102のノズル構成は、列数およびノズル配置は第1実施形態と同様であるが、ノズル列の4列のうち2列は大きいノズル径のノズルであって、他の2列は小さいノズル径のノズルが配置されている。それぞれの大きさのノズルによる吐出量はそれぞれ4pl、10plである。また、本実施形態の記録装置は記録ヘッドを構成する吐出基板間の製造ばらつきによるノズル径差、吐出量差に起因する濃度差の解消のため、同じ階調に対して平均吐出量が同程度になるように大小ノズルの使用比率を変えて記録を行なう。大小ノズルの使用比率のデータは記録ヘッド102に備えられた不図示のROMに記録されており、記録装置はそのデータを参照して処理を行なう。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
本実施形態のマスクパターンの設定は、バンドAについては、図20(a)に示す処理のうち、ステップS901で否定判断されたインクに関して、ステップS1001の内容を変更し、そのインクの1パス目に該当する記録許容比率を1パス目以外のパスに分配するのではなく、1パス目以外のパスの小ドットを大ドットに変換する。また、バンドBにおいても、図20(b)に示す処理のうち、ステップS904またはS1702で、否定判断されたインクに関して、ステップS1002の内容を変更し、そのインクの最終パスに該当する記録許容比率を最終パス以外のパスに分配するのではなく、最終パス目以外のパスの小ドットを大ドットに変換する。
本実施形態のマスクパターンの設定は、バンドAについては、図20(a)に示す処理のうち、ステップS901で否定判断されたインクに関して、ステップS1001の内容を変更し、そのインクの1パス目に該当する記録許容比率を1パス目以外のパスに分配するのではなく、1パス目以外のパスの小ドットを大ドットに変換する。また、バンドBにおいても、図20(b)に示す処理のうち、ステップS904またはS1702で、否定判断されたインクに関して、ステップS1002の内容を変更し、そのインクの最終パスに該当する記録許容比率を最終パス以外のパスに分配するのではなく、最終パス目以外のパスの小ドットを大ドットに変換する。
(第8実施形態)
上述の第1〜第7の実施形態では、総てのバンドにおいて、どの隣接するバンド間でもインクの付与順序を一致させることができるが、隣接するバンド間でパス数が異なるインクが存在する場合があり、そのインクに着目すると、インク付与順序が一致しても、パス数の差に起因した濃度むら(時間差むら)が生じることがある。本実施形態は、このような隣接バンド間でパス数が異なるインクについて、同じ走査における単一インク滴同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなるように制御する形態に関する。
上述の第1〜第7の実施形態では、総てのバンドにおいて、どの隣接するバンド間でもインクの付与順序を一致させることができるが、隣接するバンド間でパス数が異なるインクが存在する場合があり、そのインクに着目すると、インク付与順序が一致しても、パス数の差に起因した濃度むら(時間差むら)が生じることがある。本実施形態は、このような隣接バンド間でパス数が異なるインクについて、同じ走査における単一インク滴同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなるように制御する形態に関する。
図21(a)および(b)は、本発明の第8実施形態に係るマルチパス双方向記録で用いるマスクパターンの設定処理を示すフローチャートである。同図(a)は、バンドAの記録に用いるマスク設定処理を示し、同図(bは、バンドBの記録に用いるマスク設定処理を示している。
バンドAについては、ステップS901で、肯定判断された往復走査中の記録ヘッド102の最もHP側に配置されたインクのノズル列については、ステップS902で、1パス目の記録許容比率(25%)をそのままにしておき、ステップS2101で、そのインクのノズル列の1パス目と2パス目に対して、同じ走査における単一ドット同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなるような記録許容画素の配置(記録許容比率)を定める。一方、バンドBについては、ステップS904で、肯定判断定された往復記録走査中の記録ヘッド102の最もBP側に配置されたインクのノズル列について、ステップS905で、最終N(=4)パス目の記録許容比率(25%)をそのままにしておき、ステップS2102で、そのインクのノズル列の最終パスとその直前パスに対して、同じ走査における単一ドット同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなるような記録許容画素の配置(記録許容比率)を定める。
<マスクを用いた各色のインク付与量制御>
図22(a)および(b)は、本実施形態に係るマルチパス記録にも用いるマスクパターンを説明する図である。ここでは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)をそれぞれの合計の記録許容比率が100%となるマスクパターンを例に説明する。また、4パスのうち各パスのいずれかにおいて、すべての画素が非記録許容(“0”)のマスクパターン600が用いられた場合には、マスクパターン600が割り当てられたパスで本来用いられるはずであったマスクパターン(601〜604のいずれか)の記録許容比率は、別のパスのマスクパターンに分配する。
図22(a)および(b)は、本実施形態に係るマルチパス記録にも用いるマスクパターンを説明する図である。ここでは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)をそれぞれの合計の記録許容比率が100%となるマスクパターンを例に説明する。また、4パスのうち各パスのいずれかにおいて、すべての画素が非記録許容(“0”)のマスクパターン600が用いられた場合には、マスクパターン600が割り当てられたパスで本来用いられるはずであったマスクパターン(601〜604のいずれか)の記録許容比率は、別のパスのマスクパターンに分配する。
図22(a)に示すバンドAの記録に用いるマスクパターンにおいて、ステップS901で肯定判断されるBkのノズル列は、同じ走査における単一ドット同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなるようにするため(S2101)、マスクパターン(a)−4は、1パス目と2パス目にマスクパターン601、602を割り当てずに、記録許容比率が(601+602)/2となるマスクパターンを設定する。一方、図22(b)に示すバンドBの記録に用いるマスクパターンにおいて、ステップS904で肯定判断されるCは、同じ走査における単一ドット同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなるように制御するため(S2102)、マスクパターン(b)−1は、3パス目と4パス目にマスクパターン604、601を割り当てずに、記録許容比率が(604+601)/2となるマスクパターンを設定する。
これにより、バンドAの1パス目(往方向)は、記録ヘッド102のBP側から順番にマスクパターン600による記録許容比率0%でシアン(C)画像→マスクパターン600による記録許容比率0%でマゼンタ(M)画像→マスクパターン600による記録許容比率0%でイエロー(Y)画像→マスクパターン(601+602)/2による記録許容比率25%でブラック(Bk)画像が記録される。続けて、バンドAの2パス目(復方向)は、記録ヘッド102のHP側から順番に、マスクパターン(601+602)/2による記録許容比率25%でブラック(Bk)画像→マスクパターン602による記録許容比率25%でY画像→マスクパターン602による記録許容比率25%でM画像→マスクパターン602による記録許容比率25%でC画像が記録される。続けて、バンドAの3パス目(往方向)は、記録ヘッド102のBP側から順番に、マスクパターン603による記録許容比率25%でC画像→マスクパターン603による記録許容比率25%でM画像→マスクパターン603による記録許容比率25%でY画像→マスクパターン603による記録許容比率25%でBk画像が記録される。続けて、バンドAの4パス目(復方向)は、記録ヘッド102のHP側から順番に、マスクパターン604による記録許容比率25%でBk画像→マスクパターン604による記録許容比率25%でY画像→マスクパターン604による記録許容比率25%でM画像→マスクパターン604による記録許容比率25%でC画像が記録される。
一方、バンドBの1パス目(復方向)は、記録ヘッド102のHP側から順番に、マスクパターン602による記録許容比率25%でBk画像→マスクパターン602による記録許容比率25%でY画像→マスクパターン602による記録許容比率25%でM画像→マスクパターン602による記録許容比率25%でC画像が記録される。続けて、バンドBの2パス目(往方向)は、記録ヘッド102のBP側から順番に、マスクパターン603による記録許容比率25%でC画像→マスクパターン603による記録許容比率25%でM画像→マスクパターン603による記録許容比率25%でY画像→マスクパターン603による記録許容比率25%でBk画像が記録される。続けて、バンドBの3パス目(復方向)は、記録ヘッド102のHP側から順番に、マスクパターン604による記録許容比率25%でBk画像→マスクパターン604による記録許容比率25%でY画像→マスクパターン604による記録許容比率25%でM画像→マスクパターン(604+601)/2による記録許容比率25%でC画像が記録される。続けて、バンドBの4パス目(往方向)は、記録ヘッド102のBP側から順番に、マスクパターン(604+601)/2による記録許容比率25%でC画像→マスクパターン600による記録許容比率0%でM画像→マスクパターン600による記録許容比率0%でY画像→マスクパターン600による記録許容比率0%でBk画像が記録される。
ここで、バンドAに着目すると、その領域のインク付与順は、Bk(50%)→Y(25%)→M(25%)→C(50%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(50%)→Y(25%)→M(25%)→C(25%)となる。また、バンドBでは、その領域のインク付与順は、Bk(25%)→Y(25%)→M(25%)→C(50%)→M(25%)→Y(25%)→Bk(50%)→Y(25%)→M(25%)→C(50%)となる。このように、本実施形態によれば、バンドAとバンドBにおいて、インク付与順序は一致する。これとともに、インク付与順序が最初のBkインクに着目すると、バンドBではマスクパターン602+601に相当するインクはすべて1パスで付与されているのに対して、バンドAでもマスクパターン(601+602)/2に相当するインクはすべて1パスで付与されている。また、インク付与順序が最後のCインクに着目すると、バンドAではマスクパターン604+601に相当するインクはすべて1パスで付与されているのに対して、バンドBでもマスクパターン(604+601)/2に相当するインクはすべて1パスで付与されている。以上のように、本実施形態によれば、インクの付与順序を全バンドにおいて一致させることができ、かつインク付与の走査回数の差によるムラも低減できる。
100 インクジェット記録装置
102 記録ヘッド
301 記録制御部
404 マスクデータ
102 記録ヘッド
301 記録制御部
404 マスクデータ
Claims (8)
- 異なる種類のインクを吐出するための複数のノズル列を配列した記録ヘッドを、当該ノズル列の配列方向に沿った第1方向と該第1方向と逆方向の第2方向に走査して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記第1方向の走査と前記第2方向の走査とからなる複数回の走査を行うとともに、前記複数回の走査における連続する2回の走査の間に所定量の記録媒体の搬送を行うことにより、前記所定量に対応する幅を有した、記録媒体の所定領域の記録を完成するマルチパス記録の制御を行う記録制御手段であって、
前記複数回の走査のうち、第1回目の走査が前記第1方向となる、第1の前記所定領域の記録では、前記第1回の走査で、前記複数のノズル列の配列で当該第1方向において最も後側に配置されたノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出し、
前記複数回の走査のうち、第1回目の走査が前記第2方向となる、前記第1の所定領域に隣接する第2の前記所定領域の記録では、最終回の走査で、前記複数のノズル列の配列で当該第2方向において最も後側に配置されたノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出する、
よう制御する記録制御手段、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記記録制御手段は、前記複数のノズル列それぞれに対応したマスクパターンであって、ノズルからのインク吐出を許容する画素の割合である記録許容比率が定められたマスクパターンを用い、走査ごとの前記複数のノズル列それぞれにおけるノズルからのインク吐出を許容または非許容を定めることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録制御手段は、前記第1の所定領域の記録では、前記複数回の走査のうち、前記第1回目の走査以外の走査で、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列以外のノズル列に対応するマスクパターンであって、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きい記録許容比率のマスクパターンを用い、
前記第2の所定領域の記録では、前記複数回の走査のうち、前記最終回の走査以外の走査で、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列以外のノズル列に対応するマスクパターンであって、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きい記録許容比率のマスクパターンを用いることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御手段は、前記複数回の走査が偶数回の場合において、前記第1の所定領域の記録では、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率が、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きいマスクパターンを用い、
前記第2の所定領域の記録では、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率が、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きいマスクパターンを用いることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御手段は、前記複数回の走査が奇数回の場合において、前記第1の所定領域の記録では、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率が、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きいマスクパターンを用い、
前記第2の所定領域の記録では、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率が、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きいマスクパターンを用いることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御手段は、前記第1の所定領域の記録では、前記複数回の走査のうち、前記第1回目の走査以外の走査で、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列以外のノズル列に対応するマスクパターンであって、前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きく、かつ当該複数のノズル列に対応するマスクパターンの間で等しい記録許容比率のマスクパターンを用い、
前記第2の所定領域の記録では、前記複数回の走査のうち、前記最終回の走査以外の走査で、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列以外のノズル列に対応するマスクパターンであって、前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列に対応するマスクパターンの記録許容比率より大きく、かつ当該複数のノズル列に対応するマスクパターンの間で等しい記録許容比率のマスクパターンを用いることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録制御手段は、前記第1の所定領域の記録では、前記複数回の走査のうち、前記第1回目の走査で、前記前記第1方向において最も後側に配置されたノズル列のみ0でない記録許容比率のマスクパターンを用い、かつ、前記第1回目の走査および第2回目の走査で、単一ドット同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなる記録許容比率のマスクパターンを用い、
前記第2の所定領域の記録では、前記複数回の走査のうち、前記最終回の走査で、前記前記第2方向において最も後側に配置されたノズル列のみ0でない記録許容比率のマスクパターンを用い、かつ、前記最終回の走査および該最終回の前の走査で、単一ドット同士が接触して形成される連結ドットの生成頻度が相対的に高くなる記録許容比率のマスクパターンを用いることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。 - 異なる種類のインクを吐出するための複数のノズル列を配列した記録ヘッドを、当該ノズル列の配列方向に沿った第1方向と該第1方向と逆方向の第2方向に走査して記録媒体に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
前記第1方向の走査と前記第2方向の走査とからなる複数回の走査を行うとともに、前記複数回の走査における連続する2回の走査の間に所定量の記録媒体の搬送を行うことにより、前記所定量に対応する幅を有した、記録媒体の所定領域の記録を完成するマルチパス記録の制御を行う記録制御工程であって、
前記複数回の走査のうち、第1回目の走査が前記第1方向となる、第1の前記所定領域の記録では、前記第1回の走査で、前記複数のノズル列の配列で当該第1方向において最も後側に配置されたノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出し、
前記複数回の走査のうち、第1回目の走査が前記第2方向となる、前記第1の所定領域に隣接する第2の前記所定領域の記録では、最終回の走査で、前記複数のノズル列の配列で当該第2方向において最も後側に配置されたノズル列のみのノズルから記録媒体にインクを吐出する、
よう制御する記録制御工程、
を有したことを特徴とするインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016026196A JP2017144588A (ja) | 2016-02-15 | 2016-02-15 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016026196A JP2017144588A (ja) | 2016-02-15 | 2016-02-15 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 |
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JP2016026196A Pending JP2017144588A (ja) | 2016-02-15 | 2016-02-15 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 |
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JP (1) | JP2017144588A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020049902A (ja) * | 2018-09-28 | 2020-04-02 | ブラザー工業株式会社 | 制御装置、および、コンピュータプログラム |
-
2016
- 2016-02-15 JP JP2016026196A patent/JP2017144588A/ja active Pending
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