JP2017107166A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】情報を通知する画像を、乗員によって的確に気づかれるように虚像表示することが可能なHUD装置の提供。【解決手段】HUD装置100は、車両Aに搭載され、乗員としての運転者Dによって視認可能な虚像60を表示する。HUD装置100は、虚像60として結像される画像70の光を射出する虚像表示器40と、凹面状の投影面30をそれぞれ有する複数のコンバイナプレート21〜23と、切替機構90とを備えている。投影面30は、投影される画像70を拡大して、虚像60として表示させる。各投影面30の拡大率は、互いに異なっている。切替機構90は、虚像表示器40から射出された光が投影される第一投影範囲PA1に配置する選択コンバイナプレート20sを、複数のコンバイナプレート21〜23のうちで切り替えることができる。【選択図】図3

Description

この明細書による開示は、移動体の乗員によって視認可能な虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、車両に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置)において、照射装置から射出された画像の光が投影されるコンバイナと、コンバイナを回転変位させる回転変位手段とを備える構成が開示されている。このHUD装置では、コンバイナの投影面上に回転中心軸が設定されており、回転変位機構は、下端の移動軌跡が回転中心軸を中心とした円弧となるように、コンバイナを回転変位させる。
特開2013−160841号公報
さて、近年のHUD装置には、多種多様な情報を虚像表示によって乗員に通知することが求められてきている。ここで、特許文献1のHUD装置では、回転変位機構によってコンバイナが回転変位されても、虚像の結像位置は、微調整される程度である。このように、特許文献1のHUD装置では、情報を通知する虚像の結像位置を切り替えることが実質的に不可能である。そのため、乗員は、HUD装置によって提示された情報を認識し損ねたり、又は頻繁に提示される情報を煩わしく感じてしまったりし得た。
本開示は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報を通知する画像を、乗員によって的確に気づかれるように虚像表示することが可能なHUD装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、開示された第一の態様は、移動体(A)に搭載され、移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(60)を表示するHUD装置であって、虚像として結像される画像(70)の光を射出する虚像表示器(40)と、虚像表示器から射出された光が投影される凹面状の投影面(30,330)をそれぞれ有し、当該投影面に投影される画像を拡大した虚像を表示させ、各投影面の拡大率が互いに異なっている複数の投影部材(21〜23,221〜223,321〜323,421,423,521,523)と、虚像表示器から射出された光が投影される投影範囲(PA1)に配置する投影部材を、複数の投影部材のうちで切り替える切替機構(90,290)と、を備えるHUD装置とされている。
この態様における複数の投影部材のそれぞれには、拡大率の異なる投影面が設けられている。故に、投影範囲に配置されて虚像表示器から射出された光の投影される投影部材が切替機構によって切り替えられれば、虚像の拡大率の変更により、ひいては虚像の結像位置が明確に変更され得る。
このようなHUD装置であれば、投影部材の切り替えにより、画像の光が虚像として結像される結像位置を、この画像によって乗員に通知される情報の特性に応じて、変更することが可能となる。したがって、HUD装置は、情報を通知する画像を、乗員によって的確に気づかれるように虚像表示することができる。
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
第一実施形態のHUD装置による虚像表示を運転席から見た状態を模式的に示す正面図である。 インシツルメントパネル内に収容されたHUD装置の斜視図である。 HUD装置の構成を模式的に示す断面図である。 HUD装置の電気系の構成を示すブロック図である。 遠方虚像として虚像表示される第一画像の一例を示す図である。 中間虚像として虚像表示される第一画像の一例を示す図である。 第二実施形態のHUD装置による虚像表示を運転席から見た状態を模式的に示す正面図である。 HUD装置の構成を模式的に示す断面図である。 第三実施形態によるHUD装置の構成を模式的に示す断面図である。 第四実施形態によるHUD装置の構成を模式的に示す断面図であって、各コンバイナプレートを収容凹部に収容した状態を示す図である。 複数のコンバイナプレートのうちの一つが第一投影範囲に配置された状態を示す断面図である。 第五実施形態によるHUD装置において、各コンバイナプレートを収容凹部に収容した状態を示す斜視図である。 複数のコンバイナプレートのうちの一つが第一投影範囲に配置された状態を示す斜視図である。 参考例を示す斜視図である。 参考例を示す斜視図である。
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1〜図3に示す本開示の第一実施形態によるヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display,HUD)装置100は、車両Aに搭載されている。HUD装置100は、車両Aの乗員である運転者Dによって視認可能な種々の虚像60を表示する。HUD装置100は、運転者Dの正面に配置されている。HUD装置100の本体部分は、車両Aのインスツルメントパネル11に収容されている。
HUD装置100は、コンバイナユニット20、虚像表示器40、実像表示器45、ハウジング50、切替機構90、及び制御回路80(図4参照)等によって構成されている。
コンバイナユニット20は、車両Aのウインドシールド13から、運転者Dの着座する運転席側へ離れた位置に、ウインドシールド13とは別体で設けられている。コンバイナユニット20は、複数(三つ)のコンバイナプレート21〜23、及び保持軸部28等によって構成されている。
各コンバイナプレート21〜23は、入射する光の一部を透過し、他の一部を反射するハーフミラーである。各コンバイナプレート21〜23は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、及びガラス等の透光性材料の板材により、横長の略矩形状に形成されている。各コンバイナプレート21〜23はそれぞれ、凹面状に湾曲した投影面30を一つずつ有している。投影面30には、虚像表示器40から射出され、虚像60として結像される種々の画像(以下、第一画像)70の光が投影される。各コンバイナプレート21〜23は、凹面状の各投影面30により、投影された第一画像70の光を運転者Dへ向けて反射する。その結果、投影された第一画像70を拡大した虚像60が、投影面30よりも遠い位置に、運転者Dによって視認可能に表示される。
各コンバイナプレート21〜23は、互いに異なった曲率で凹面状に湾曲している。そのため、各投影面30は、互いに異なった拡大率を備えた凹面鏡として機能する。具体的に、最も高い曲率で湾曲するコンバイナプレート21には、三つの投影面30のうちで最も拡大率の大きい遠方投影面31が形成されている。一方、最も低い曲率で湾曲するコンバイナプレート23には、三つの投影面30のうちで最も拡大率の小さい近傍投影面33が形成されている。そして、コンバイナプレート22には、遠方投影面31及び近傍投影面33の中間の拡大率を有する中間投影面32が形成されている。
保持軸部28は、樹脂材料によって円柱状に形成されている。保持軸部28は、ハウジング50によって仮想の回転軸RA周りに回転可能に支持されている。保持軸部28には、各コンバイナプレート21〜23の一方の長辺が取り付けられている。各コンバイナプレート21〜23は、長辺の延伸方向を保持軸部28の軸方向に沿わせた姿勢にて、保持軸部28に一体的に保持されており、保持軸部28と共に回転する。各コンバイナプレート21〜23は、保持軸部28に規定される回転軸RA周りに互いに間隔を開けて保持されている。具体的に、各コンバイナプレート21〜23は、回転軸RAの周方向に120°ずつずらされて、保持軸部28に固定されている。
以上のコンバイナユニット20は、ハウジング50に対する回転により、第一投影範囲PA1に配置させる一つ(以下、選択コンバイナプレート20s)を、複数のコンバイナプレート21〜23のうちで切り替える。第一投影範囲PA1にある選択コンバイナプレート20sは、インスツルメントパネル11の上面から突き出した状態で、投影面30を運転席側へ向けている。選択コンバイナプレート20sには、虚像表示器40によって第一画像70の光が投影される。選択コンバイナプレート20sとして選択される一つが複数のコンバイナプレート21〜23のうちで変更されることにより、各投影面30に投影された各第一画像70の光は、各投影面30から互いに異なる距離の結像位置で結像される。
詳記すると、コンバイナプレート21が選択コンバイナプレート20sとされた場合、遠方投影面31に投影された第一画像70の光は、例えば遠方投影面31から1.5メートル程度前方に、遠方虚像61(図5参照)として結像される。コンバイナプレート22が選択コンバイナプレート20sとされた場合、中間投影面32に投影された第一画像70の光は、例えば中間投影面32から0.7メートル程度前方に、中間虚像62(図6参照)として結像される。コンバイナプレート23が選択コンバイナプレート20sとされた場合、近傍投影面33に投影された第一画像70の光は、例えば近傍投影面33から0.5メートル程度前方に、近傍虚像63(図1参照)として結像される。
虚像表示器40は、第一投影範囲PA1に配置された選択コンバイナプレート20sの投影面30へ向けて、第一画像70の光を射出する構成である。虚像表示器40は、車両Aの前後方向において、コンバイナユニット20の後方に配置されている。虚像表示器40は、液晶パネル41及び虚像光源43等によって構成されている。
液晶パネル41は、表示面42を有している。表示面42は、矩形の平板状に形成されている。表示面42には、多数の画素が二次元状に配列されている。各画素には、赤色、緑色、及び青色のサブ画素が設けられている。液晶パネル41は、サブ画素の光の透過率を制御することにより、表示面42上に種々の第一画像70をカラー表示可能である。尚、以下の説明では、表示面42上に形成された第一画像70を、特に「中間画像70b」と記載する。
液晶パネル41は、表示面42を選択コンバイナプレート20sの投影面30と向かい合わせた姿勢にて、ハウジング50内に設置されている。表示面42には、投影面30での反射によって生じる歪みを補正した形態で、虚像60として結像される中間画像70bが形成される。
虚像光源43は、白色の光源光を放射する複数のLEDと、各LEDから放射された光を液晶パネル41へ導光するプリズムとを有している。各LEDから放射された光は、表示面42の背面側に導光され、表示面42に形成された第一画像70を透過照明する。表示面42を通過した光は、第一投影範囲PA1にある投影面30に投影される。
実像表示器45は、車両Aの前後方向において、コンバイナユニット20の前方に配置されている。実像表示器45は、複数のコンバイナプレート21〜23のうちで、第二投影範囲PA2に配置された一つ(以下、退避コンバイナプレート20r)の投影面30へ向けて、第一画像70とは異なる第二画像75の光を射出する。退避コンバイナプレート20rは、第一投影範囲PA1から外れた位置に退避している二つのコンバイナプレートのうちの一方である。第二投影範囲PA2は、第一投影範囲PA1の下方に規定されている。第二投影範囲PA2は、実像表示器45から運転者Dの視点位置へ向かう仮想の光軸線上に設定されている。実像表示器45は、液晶パネル46及び実像光源48等によって構成されている。
液晶パネル46は、虚像表示器40の液晶パネル41と実質同一の構成である。液晶パネル46は、第二画像75をカラー表示可能な表示面47を有している。液晶パネル46は、表示面47を、退避コンバイナプレート20rの投影面30と向かい合わせた姿勢にて、ハウジング50内に設置されている。表示面47に形成される第二画像75の内容は、第一画像70と実質同一の内容であってもよく、又は第一画像70とは異なる内容であってもよい。
実像光源48は、虚像光源43と同様に、白色の光源光を放射する複数のLEDと、各LEDから放射された光を液晶パネル46へ導光するプリズムとを有している。各LEDから放射された光は、各表示面47の背面側に導光され、表示面47に形成された第二画像75を透過照明する。表示面47を通過した光は、第二投影範囲PA2にある投影面30に投影されることで、退避コンバイナプレート20rの背面に、第二画像75の実像65を発光表示させる。
ハウジング50は、図3に示すように、樹脂材料によって箱状に形成されたHUD装置100の筐体である。ハウジング50は、虚像表示器40、実像表示器45、及び制御回路80(図4参照)を収容している。ハウジング50は、運転者Dから視認され難いように、インスツルメントパネル11に収容されている。ハウジング50には、第一投射開口51、第二投射開口53、コンバイナ支持部55、及び収容凹部57が設けられている。
第一投射開口51は、ハウジング50を構成する複数の壁部のうちで、表示面42から選択コンバイナプレート20sの投影面30へ射出される光の照射範囲に形成された貫通開口である。第二投射開口53は、ハウジング50を構成する複数の壁部のうちで、表示面47から退避コンバイナプレート20rの投影面30へ射出される光の照射範囲に形成された貫通開口である。第一投射開口51及び第二投射開口53には、透過蓋材52及び透過蓋材54がそれぞれ嵌め込まれている。各透過蓋材52,54は、透光性の樹脂材料によって板状に形成されている。各透過蓋材52,54は、各画像70,75の光の透過を許容しつつ、各投射開口51,53を物理的に塞ぐことにより、ハウジング50内への塵及び埃の侵入を防いでいる。
コンバイナ支持部55は、車両Aの幅方向において対向するハウジング50の両側壁部に形成された軸受部である。コンバイナ支持部55は、コンバイナユニット20がハウジング50に対して回転可能となるように、保持軸部28の軸方向の両端を軸受支持している。コンバイナユニット20は、保持軸部28の軸方向を車両Aの幅方向に沿わせた姿勢で、コンバイナ支持部55に取り付けられている。
収容凹部57は、ハウジング50の上面に設けられた窪み部分である。収容凹部57の開口58は、インスツルメントパネル11の上面の形状に合わせて、湾曲した形状とされている。収容凹部57は、複数のコンバイナプレート21〜23の少なくとも一部と、保持軸部28とを収容している。第一実施形態では、複数のコンバイナプレート21〜23のうちで選択コンバイナプレート20sを除く二つが、収容凹部57に収容される。
切替機構90は、複数のコンバイナプレート21〜23を保持軸部28と一体的に回転変位させる機構である。切替機構90は、回転軸RA周りにコンバイナユニット20を回転させることで、第一投影範囲PA1に配置する選択コンバイナプレート20sを、複数のコンバイナプレート21〜23のうちで切り替えることができる。切替機構90は、ステッピングモータ91及び減速ギア部92等によって構成されている。
ステッピングモータ91は、例えば永久磁石型モータであり、コンバイナユニット20を変位させるための回転力を出力軸から出力する。減速ギア部92は、一つ又は複数の伝達ギアを噛合させた構成である。減速ギア部92は、ステッピングモータ91の回転を減速させつつ、保持軸部28に伝達する。こうした構成により、切替機構90は、ステッピングモータ91の出力軸の回転により、コンバイナユニット20の角度位置を変位させることが可能である。
制御回路80は、図4及び図3に示すように、HUD装置100による表示を制御する回路である。制御回路80は、プロセッサ、RAM、及び記憶媒体等を有するマイクロコントローラ81を主体に構成されている。制御回路80は、各液晶パネル41,46、各光源43,48、及びステッピングモータ91に加えて、車両Aに搭載された表示制御装置88と接続されている。
表示制御装置88は、車両Aに搭載された通信バス89と接続されている。通信バス89には、種々の搭載センサによる検出結果に基づいた車両Aの情報が出力されている。表示制御装置88は、通信バス89を通じて車両Aの情報を取得する。表示制御装置88は、取得した車両Aの情報を運転者Dに通知するための第一画像70を選定する。加えて表示制御装置88は、取得した車両Aの情報の特性に基づき、選定した第一画像70の投影に適した拡大率を有する投影面30を選択する。表示制御装置88は、選択した投影面30に選定した第一画像70を投影させるための制御信号を、制御回路80へ出力する。
制御回路80は、表示制御装置88から出力された制御信号に従い、各液晶パネル41,46の表示制御、及び各光源43,48の発光制御を実施する。加えて制御回路80は、切替機構90によるコンバイナユニット20の回転制御を実施する。これにより切替機構90は、虚像表示器40によって投影される第一画像70に関連付けられた選択コンバイナプレート20sを選択し、選択した選択コンバイナプレート20sが第一投影範囲PA1に配置されるよう、ステッピングモータ91の作動を制御する。
以上の制御回路80及び表示制御装置88による制御に基づき、HUD装置100が表示する虚像60及び実像65の詳細をさらに説明する。
図5に示すように、緊急度及び重要度の少なくとも一方が高く、運転者D(図3参照)に直ちに認識して欲しい情報を通知する第一画像70が、遠方虚像61として表示される。例えば、予防安全表示及び道案内表示等に係る第一画像70が、遠方投影面31(図3参照)と関連付けられており、遠方投影面31に投影される。例えば、車両A(図3参照)に搭載された衝突被害軽減(自動)ブレーキの作動を通知するAEB(Autonomous Emergency Braking)インジケータ画像71a等が、予防安全表示の遠方虚像61として表示される。また、右左折するポイントを通知するターンバイターン画像71b等が、道案内表示の遠方虚像61として表示される。これらの画像71a,71bは、通知する情報が有効な期間に限って一時的に表示される。
図6に示すように、主に運転者D(図3参照)の入力に対するフィードバックとしての情報を通知する第一画像70が、中間虚像62として表示される。具体的には、車両A(図3参照)に搭載されたエンターテイメント系の機器、及びコンフォート系の機器に関連する第一画像70が、中間投影面32(図3参照)と関連付けられており、中間投影面32に投影される。例えば、運転者Dによって選択された楽曲の情報を通知するトラック画像72、運転者Dによって選択された空調機器の設定温度を通知する画像等が、中間虚像62として表示される。
図1に示すように、主に車両Aの状態を通知する第一画像70が、近傍投影面33と関連付けられており、近傍投影面33に投影されて、近傍虚像63として表示される。例えば、車両Aの走行速度を示す車速画像73、車両Aの瞬間燃費に基づくエコドライブインジケータ画像等が、近傍虚像63として表示される。
第二画像75は、複数種類の第一画像70のうちで、近傍投影面33と関連付けられている画像と同様に、主に車両Aの状態を通知する。例えば、車両Aの外観形状を模った自車ステータス画像75a、シフトインジケータ画像75b、及び燃料計画像75c等が、実像65として表示される。
ここまで説明した第一実施形態の各コンバイナプレート21〜23には、拡大率の異なる投影面30それぞれが設けられている。故に、第一投影範囲PA1に配置されて虚像表示器40から射出された光の投影される選択コンバイナプレート20sが切替機構90によって切り替えられれば、中間画像70bから虚像60への拡大率も変更される。その結果、例えば、空調機器等の車載機器の操作に係る表示項目の変更、車両Aの状況の変化、或いは運転者Dの選択操作等に応じて、虚像60の大きさ及び結像位置が明確に変更され得る。
このようなHUD装置100であれば、コンバイナプレート21〜23の切り替えにより、第一画像70の光が虚像60として結像される結像位置を、この第一画像70によって運転者Dに通知される情報の特性に応じて、適宜変更することが可能となる。したがって、HUD装置100は、情報を通知する第一画像70を、運転者Dによって的確に気づかれるように虚像表示することができる。
加えて第一実施形態では、複数のコンバイナプレート21〜23が保持軸部28によって一体化されている。故に、切替機構90は、複数のコンバイナプレート21〜23を個別に動かさなくてもよくなる。以上によれば、切替機構90の構成を簡素化することが可能になる。
また第一実施形態では、保持軸部28と一体化された複数のコンバイナプレート21〜23が回転軸RA周りに回転する構成である。故に、切替機構90は、コンバイナプレートの切り替えに際して、新たに選択されたコンバイナプレートを第一投影範囲PA1へ移動させる作動と、第一投影範囲PA1に配置されていたコンバイナプレートを退避させる作動とを、同時に行うことができる。以上によれば、選択コンバイナプレート20sの切替時間が短縮され得るので、切り替えに伴った虚像表示の中断時間の短縮も実現可能となる。
さらに第一実施形態のように、多種の第一画像70と各コンバイナプレート21〜23とがそれぞれ関連付けられていれば、運転者Dに情報を通知する各第一画像70の結像位置は、その情報を通知するのに好適な位置となり得る。故に、HUD装置100は、情報を通知する第一画像70を、運転者Dによって的確に気づかれるように表示可能となる。
加えて第一実施形態のHUD装置100では、第二投影範囲PA2に配置された退避コンバイナプレート20rの凸面状の背面に第二画像75が実像表示される。このような実像65の表示位置は、退避コンバイナプレート20rの背面であるため、各虚像60の表示位置と明確に異なってくる。以上のように、HUD装置100は、虚像表示に使用されていない退避コンバイナプレート20rを活用した実像表示を、虚像表示と組み合わせることにより、情報提示の表現の幅をさらに広げることが可能となる。
尚、第一実施形態において、退避コンバイナプレート20rが「退避投影部材」に相当し、コンバイナプレート21〜23が「投影部材」に相当し、保持軸部28が「保持部」に相当する。また、車両Aが「移動体」に相当し、第一投影範囲PA1が「投影範囲」に相当する。
(第二実施形態)
図7及び図8に示す第二実施形態のHUD装置200は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態によるHUD装置200は、コンバイナユニット220、ハウジング250、及び切替機構290と、第一実施形態と実質同一の虚像表示器40及び制御回路80(図4参照)等とによって構成されている。コンバイナユニット220、ハウジング250、及び切替機構290は、第一実施形態の各要素20,50,90(図3及び図4参照)に相当する構成である。またHUD装置200からは、第一実施形態の実像表示器45(図3参照)に相当する構成が省略されている。HUD装置200は、運転者Dから見て、例えばコンビネーションメータ110の上方且つ奥側に配置されている。
コンバイナユニット220は、車両Aのウインドシールド13とは別体で設けられた複数(三つ)のコンバイナプレート221〜223と、各コンバイナプレート221〜223を支持しているスライド支持部228等とによって構成されている。各コンバイナプレート221〜223は、第一実施形態の各コンバイナプレート21〜23に相当する構成であり、凹面鏡の機能を備えた投影面30をそれぞれ有するハーフミラーである。各コンバイナプレート221〜223において、各投影面30の拡大率は、互いに異なっている。各コンバイナプレート221〜223は、各投影面30を運転席側へ向けた姿勢で、車両Aの前後方向に沿って並ぶ配置とされている。
遠方投影面31を有するコンバイナプレート221は、三つのコンバイナプレート221〜223のうちで、虚像表示器40から最も離れた前方に位置している。近傍投影面33を有するコンバイナプレート223は、三つのコンバイナプレート221〜223のうちで、虚像表示器40に最も近い後方に位置している。中間投影面32を有するコンバイナプレート222は、二つのコンバイナプレート221,223の間に位置している。
スライド支持部228は、ハウジング250に固定されている。スライド支持部228には、車両Aの上下方向に沿って延伸する複数のガイド溝229が形成されている。各ガイド溝229には、各コンバイナプレート221〜223が個別に取り付けられている。スライド支持部228は、各ガイド溝229により、各コンバイナプレート221〜223を車両Aの上下方向に昇降可能に支持している。こうしたスライド支持部228の支持により、各コンバイナプレート221〜223は、ハウジング250から個別にせり出し可能となっている。
以上のコンバイナユニット220は、三つのコンバイナプレート221〜223のうちの一つを選択コンバイナプレート220sとして、ハウジング250から突き出させることにより、第一投影範囲PA1に配置する。三つのコンバイナプレート221〜223のうちで、選択コンバイナプレート220sを除く他の二つは、ハウジング250に収容された状態となる。選択コンバイナプレート220sとして持ち上げられる一つが変更されることにより、コンバイナユニット220は、投影面30の拡大率、ひいては各虚像60の結像位置を切り替えることができる。
ハウジング250は、車両Aの幅方向において対向する両側壁部により、スライド支持部228を保持している。ハウジング250には、投射開口251と、プレート開口255とが形成されている。投射開口251は、第一実施形態の第一投射開口51に相当し、透光性の透過蓋材252によって塞がれている。プレート開口255は、各コンバイナプレート221〜223の上方に形成されている。プレート開口255は、ハウジング250からせり出される選択コンバイナプレート220sを通過させることができる。
切替機構290は、各コンバイナプレート221〜223を個別に昇降させる機構である。切替機構290は、制御回路80(図4参照)からの制御信号に従い、選択コンバイナプレート220sを第一投影範囲PA1にせり出させると共に、他のコンバイナプレートをハウジング250内に引き込むことができる。こうした作動により、第一投影範囲PA1に配置される選択コンバイナプレート220sが、複数のコンバイナプレート221〜223のうちで切り替えられる。
切替機構290は、例えば複数組の螺子軸及び螺子ナットと、複数のモータ等とによって構成された螺子機構である。各螺子軸は、各ガイド溝229に沿って上下方向に延伸している。各螺子ナットは、それぞれ螺子軸と螺合している。各螺子ナットは、それぞれ各コンバイナプレート221〜223に固定されている。螺子ナットは、回転する螺子軸に沿って、各コンバイナプレート221〜223と一体的に移動可能である。各モータは、サーボモータ又はステッピングモータ等であり、各螺子軸に一つずつ設けられている。切替機構290は、各モータによって各螺子軸を個別に回転させることにより、各ガイド溝229に沿った各コンバイナプレート221〜223の上下移動を可能にしている。
ここまで説明した第二実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を奏し、選択コンバイナプレート220sの切り替えによって、虚像60の大きさ及び結像位置が明確に変更され得る。したがって、HUD装置200は、情報を通知する第一画像70を、運転者Dによって的確に気づかれるように虚像表示することができる。尚、第二実施形態では、コンバイナプレート221〜223が「投影部材」に相当し、スライド支持部228が「支持部」に相当する。
(第三実施形態)
図9に示す第三実施形態のHUD装置300は、第一実施形態の別の変形例である。HUD装置300は、第一実施形態のコンバイナユニット20(図3参照)に替えて、コンバイナユニット320を備えている。コンバイナユニット320の各コンバイナプレート321〜323に区画された投影面330は、拡大率だけでなく、透過率も互いに異なっている。
各コンバイナプレート321〜323は、第一実施形態と同様に、入射する光の一部を透過し、他の一部を反射するハーフミラーである。各コンバイナプレート321〜323は、互いに濃度の異なるスモーク板によって形成されている。その結果、各コンバイナプレート321〜323の各投影面330は、互いに異なる透過率を有しており、互いに異なった反射率を示すようになる。そのため、各投影面330は、互いに異なった拡大率及び反射率を備えた凹面鏡として機能する。
具体的に、コンバイナプレート321には、最も拡大率の大きい遠方投影面331が形成されている。遠方投影面331の透過率は、三つの投影面330のうちで、最も低い値(例えば20%)に設定されている。コンバイナプレート323には、最も拡大率の小さい近傍投影面333が形成されている。近傍投影面333の透過率は、三つの投影面330のうちで、最も高い値(例えば70%)に設定されている。コンバイナプレート322には、遠方投影面331及び近傍投影面333の中間の拡大率を有する中間投影面332が形成されている。中間投影面332の透過率は、遠方投影面331よりも高く、近傍投影面333よりも低い値(例えば40%)に設定されている。
以上の透過率の設定により、遠方投影面331の反射率は、中間投影面332及び近傍投影面333の各反射率よりも高くなる。その結果、コンバイナプレート321が選択コンバイナプレート320sである場合に結像される虚像60は、他のコンバイナプレート322,323が選択コンバイナプレート320sである場合の虚像60よりも高輝度となる。一方、近傍投影面333の反射率は、遠方投影面331及び中間投影面332及び近傍投影面333の各反射率よりも低くなる。その結果、コンバイナプレート323が選択コンバイナプレート320sとされた場合に結像される虚像60は、他のコンバイナプレート321,322が選択コンバイナプレート320sとされた場合の虚像60よりも低輝度となる。
一例として、車両Aの外部の環境が晴天時等の非常に明るい場合では、制御回路80(図4参照)による切替機構90の制御により、透過率の低い遠方投影面331が第一投影範囲PA1に配置される。このように、高反射率の遠方投影面331が用いられることで、外光の多い環境であっても、虚像60の見易さは、確保可能となる。また、運転者Dに通知される情報の緊急度が高い場合でも、高反射率の遠方投影面331が第一投影範囲PA1に配置される。その結果、高輝度の虚像60を用いた報知により、運転者Dによる情報の見逃しが低減される。一方、夜間等の暗い環境では、透過率の高い近傍投影面333が、第一投影範囲PA1に配置される。このように、低反射率の近傍投影面333が用いられることで、暗順応している運転者Dに対しても、眩しく感じられ難い虚像60が表示され得る。
ここまで説明した第三実施形態でも第一実施形態と同様の効果を奏し、HUD装置300は、運転者Dによって的確に気づかれ易い虚像60を表示できる。加えて第三実施形態では、透過率の異なる複数のコンバイナプレート321〜323を選択的に用いる構成により、外光量及び情報の緊急度等に合わせて虚像60の輝度が調整される。以上によれば、虚像60によって通知される情報は、さらに確実に運転者Dに伝わるようになる。尚、第三実施形態では、コンバイナプレート321〜323が「投影部材」に相当する。
(第四実施形態)
図10及び図11に示す第四実施形態のHUD装置400は、第三実施形態の変形例である。HUD装置400は、第一実施形態のコンバイナユニット20(図3参照)に替えて、コンバイナユニット420を備えている。コンバイナユニット420は、二つのコンバイナプレート421,423、カバープレート426、及び保持軸部28等によって構成されている。コンバイナユニット420の少なくとも一部は、ハウジング450に設けられた収容凹部457に収容されている。
コンバイナプレート421,423は、第三実施形態のコンバイナプレート321,323(図9参照)に相当する構成である。コンバイナプレート421には、遠方投影面431が区画されている。コンバイナプレート423には、近傍投影面433が区画されている。遠方投影面431の透過率(例えば20%)は、近傍投影面433の透過率(例えば70%)よりも低い値に設定されている。以上の設定によれば、遠方投影面431の反射率が近傍投影面433の反射率よりも高くなる。故に、虚像表示器40から遠方投影面431に光を投影する場合の虚像60は、虚像表示器40から近傍投影面433に光を投影する場合の虚像60よりも高輝度に表示される。
カバープレート426は、遮光性の樹脂材料等によって平板状に形成されている。カバープレート426の外形形状は、各コンバイナプレート421,423の外形形状と概ね同一の横長の略矩形状である。カバープレート426の表面の質感及び色は、インスツルメントパネル11の上面に合わせられている。
保持軸部28は、ハウジング450によって回転軸RA周りに回転可能に支持されている。保持軸部28は、車両Aの幅方向に回転軸RAを沿わせた姿勢にて、前後方向における収容凹部457の開口458の中間に配置されている。保持軸部28には、各コンバイナプレート421,423の各一方の長辺と、カバープレート426の一方の長辺とが取り付けられている。
各コンバイナプレート421,423及びカバープレート426は、回転軸RA周りに互いに間隔を開けた状態で、保持軸部28に保持されている。回転軸RAの周方向において、カバープレート426及びコンバイナプレート423は、約180°ずれて位置している。各コンバイナプレート421,423及びカバープレート426の外形形状は、保持軸部28によって前後に区切られた開口458の半分の領域と相似形であり、且つ、開口458の半分の領域よりも僅かに小さくされている。
以上の構成によるコンバイナユニット420は、二つのコンバイナプレート421,423を共に第一投影範囲PA1から退避させている場合に、カバープレート426及びコンバイナプレート423を、開口458を実質的に塞ぐ防塵カバーとして機能させる。詳記すると、カバープレート426は、保持軸部28によって区画された開口458の二つの領域のうちで、運転者Dから遠い前方の領域を覆っている(図10参照)。一方、コンバイナプレート423は、保持軸部28によって区画された開口458の二つの領域のうちで、運転者Dに近い後方の領域を覆っている。
加えて、一方のコンバイナプレート423が第一投影範囲PA1に位置しているとき、他方のコンバイナプレート421は、保持軸部28から虚像表示器40の下方へ向けて延伸している(図11参照)。こうした配置により、虚像60が表示されている場合に、コンバイナプレート421は、収容凹部457のうちで虚像表示器40の下側の空間を覆う防塵カバーとして機能する。
ここまで説明した第四実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を奏する。加えて第四実施形態では、虚像60が表示されない場合に、各コンバイナプレート421,423は、インスツルメントパネル11から突き出さないように、収容凹部457に収容される。加えて、コンバイナプレート423及びカバープレート426は、防塵カバーとして用いられて、収容凹部457を運転者Dから視認され難くさせる。以上によれば、虚像60の表示が行われていない場合の運転席前方の見映えが向上する。
さらに、コンバイナプレート421及びカバープレート426は、開口458の概ね全体を覆うことにより、インスツルメントパネル11から窪んだ収容凹部457への埃や塵の進入を防ぐことができる。また、虚像60が表示されている場合では、コンバイナプレート421が、虚像表示器40の下側にて収容凹部457の運転者D側を目隠ししている。こうしたコンバイナプレート421の配置により、虚像60を表示しているときのインスツルメントパネル11の上面の見映えも、高く維持される。尚、第四実施形態では、コンバイナプレート421,423が「投影部材」に相当し、カバープレート426が「蓋部材」に相当する。
(第五実施形態)
図12及び図13に示す第五実施形態のHUD装置500は、第四実施形態の変形例である。HUD装置500のハウジング550には、収容凹部557に加えて光路凹部559が形成されている。光路凹部559は、車両の前後方向において収容凹部557の後方に形成されており、収容凹部557と同様にインスツルメントパネル11に対して窪んでいる。光路凹部559の各側壁部のうちで最も運転者D側に位置する一つには、虚像表示器40が収容されている。光路凹部559は、虚像表示器40から第一投影範囲PA1へ向かう光路を形成している。
コンバイナユニット520は、第四実施形態と同様に、保持軸部28に保持された二つのコンバイナプレート521、523とカバープレート526とを有している。コンバイナユニット520は、虚像60が非表示とされている場合に、カバープレート526及びコンバイナプレート523を概ね収容凹部557の開口558に位置させることができる(図12参照)。以上により、カバープレート526及びコンバイナプレート523は、開口558を実質的に塞ぐ防塵カバーとして機能する。
加えてコンバイナユニット520は、コンバイナプレート523を第一投影範囲PA1に位置させた場合に、コンバイナプレート521により、開口558のうちで保持軸部28よりも運転者D側の領域を塞ぐことができる(図13参照)。またコンバイナユニット520は、コンバイナプレート521を第一投影範囲PA1に位置させた場合に、コンバイナプレート523と及びカバープレート526により、開口558の概ね全体を塞ぐことができる。
ここまで説明した第五実施形態でも、第四実施形態と同様の効果を奏し、特にカバープレート526及びコンバイナプレート521、523が収容凹部557の開口558を塞ぐ防塵カバーとして機能する。尚、第五実施形態では、コンバイナプレート521,523が「投影部材」に相当し、カバープレート526が「蓋部材」に相当する。
(参考例)
図14及び図15に示すHUD装置600は、第五実施形態のコンバイナユニット520(図12参照)を、コンバイナユニット620に替えた構成である。コンバイナユニット620は、一つのコンバイナプレート621、ベースプレート626、及び保持軸部28等によって構成されている。
ベースプレート626は、遮光性の樹脂材料によって矩形の平板状に形成されている。ベースプレート626の外形形状は、収容凹部557の開口558と相似形であり、開口558よりも僅かに小さく設定されている。ベースプレート626は、保持軸部28と一体的に形成されており、ハウジング550に対して回転可能である。
コンバイナプレート621は、ベースプレート626の両平面のうちの一方に取り付けられている。コンバイナプレート621は、ベースプレート626に対して実質的に直交する姿勢で、ベースプレート626に保持されている。コンバイナプレート621は、ベースプレート626及び保持軸部28と一体的に回転し、収容凹部557に収容される。
コンバイナユニット620は、切替機構90に駆動されることにより、180°回転する。HUD装置600が表示による情報提示を行っている場合(図14参照)、コンバイナユニット620は、ベースプレート626によって開口558を塞ぎつつ、第一投影範囲PA1にコンバイナプレート621を位置させる。一方で、HUD装置600が表示による情報提示を行っていない場合(図15参照)、コンバイナユニット620は、ベースプレート626によって開口558を塞ぎつつ、コンバイナプレート621を収容凹部557に収容させる。以上のように、参考例では、ベースプレート626が収容凹部557の開口558を塞ぐ防塵カバーとして機能する。
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記実施形態の各HUD装置において、第一投影範囲には配置されるコンバイナプレートは、一つだけであった。しかし、複数のコンバイナプレートが、第一投影範囲に並べて配置されてもよい。加えて、HUD装置に設けられるコンバイナプレートの数は、上記実施形態のような三つに限定されない。HUD装置に設けられるコンバイナプレートの数は、二つ以上であれば適宜変更可能である。
例えば上記第二実施形態の変形例1によるHUD装置には、二つのコンバイナプレートが設けられている。一方のコンバイナプレートは、第一投影範囲に突き出した状態とされ、他方のコンバイナプレートは、ハウジング内に収容された状態とされる。このような変形例1では、ハウジングに収容されたコンバイナプレートを退避コンバイナプレートとし、当該コンバイナプレートの背面に第二画像の光を照射する実像表示器が設けられている。以上の構成によるHUD装置であれば、退避コンバイナプレートの投影面に第二画像を実像表示することが可能になる。
上記実施形態の各コンバイナプレートの曲率は、例えば各投影面の中心の曲率を基準とする。各投影面全体の曲率は、中心の曲率で一定であってもよく、或いは中心から離れるに従って徐々に変化していてもよい。各投影面の拡大率も、各中心の曲率に基づいて規定される。尚、各投影面の中心は、便宜的に投影面の重心位置とする。また、コンバイナプレートは、複数に分割された湾曲面が板厚方向にずらして配置されたフレネルレンズ形状の凹面により、投影面を形成していてもよい。
上記第三〜第五実施形態では、拡大率の大きい投影面ほど、光の透過率が低く設定されていた。しかし、拡大率の小さい投影面ほど、光の透過率が高く設定されていてもよい。また、各投影面の光の透過率及び反射率は、実質的に同一であってもよい。さらに、第二実施形態のように複数のコンバイナプレートがスライド支持される構成において、各投影面の各透過率が互いに異なるように設定されていてもよい。
上記実施形態では、画像の光を射出する各表示器として、液晶パネル及び投影光源を組み合わせたプロジェクタが用いられていた。しかし、表示器の構成は、適宜変更可能である。例えば、多数のマイクロミラーを有するデジタルマイクロデバイス(DMD)と、DMDへ向けて光を投射する投射光源とを有するDLP(Digital Light Processing,登録商標)方式のプロジェクタが、表示器として採用可能である。さらに、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーと、MEMSミラーへ向けて光を投射するレーザ光源とを有するレーザスキャナが、表示器として採用可能である。
上記実施形態では、虚像表示器から射出された画像の光は、各投影面に直接的に入射していた。しかし、表示面から各投影面までの光路距離を拡大させるために、ハウジング内にて画像の光を屈折させる一つ又は複数の凹面鏡又は平面鏡、或いはレンズ等を含む光学系が設けられていてもよい。
上記実施形態の各HUD装置は、インシツルメントパネルから上方へ突き出したコンバイナプレートに画像の光を投影する構成であった。しかし、HUD装置は、車両Aの天井から吊り下げられたコンバイナプレートに、画像の光を投影する構成であってもよい。
上記実施形態における表示制御装置88の機能は、HUD装置の制御回路80に組み込まれていてもよい。又は、車両Aに搭載された他の車載機器の制御回路が、表示制御装置88の機能を兼ねていてもよい。例えば、コンビネーションメータに設けられた制御回路が、当該メータの表示と共に、HUD装置の虚像表示を制御可能である。或いは、運転者への情報提示を統合的に制御するHCU(HMI(Human Machine Interface)Control Unit)が、表示制御装置88の機能を兼ねていてもよい。さらに、運転者によって車室内に持ち込まれた携帯端末の制御回路が、表示制御装置88の機能を兼ねていてもよい。
上記実施形態のような車両Aでは、運転者の眼の位置の分布を統計的に表したアイレンジに基づき、右眼及び左眼のそれぞれに対してアイリプスが設定可能である。HUD装置は、アイリプス内に左右の眼を位置させた運転者によって視認可能となるよう、各虚像を表示させることが望ましい。尚、本開示の特徴構成は、車両以外の船舶及び航空機等の各種移動体(輸送機器)に搭載されたHUD装置にも、適用可能である。
A 車両(移動体)、D 運転者(乗員)、PA1 第一投影範囲(投影範囲)、RA 回転軸、20r 退避コンバイナプレート(退避投影部材)、21〜23,221〜223,321〜323,421,423,521,523 コンバイナプレート(投影部材)、426,526 カバープレート(蓋部材)、28 保持軸部(保持部)、228 スライド支持部(支持部)、30,330 投影面、40 虚像表示器、45 実像表示器、50,250,450,550 ハウジング、57,457,557 収容凹部、58,458,558 開口、60 虚像、70 第一画像(画像)、75 第二画像、90,290 切替機構、100,200,300,400,500,600 HUD装置(ヘッドアップディスプレイ装置)

Claims (10)

  1. 移動体(A)に搭載され、前記移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(60)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
    前記虚像として結像される画像(70)の光を射出する虚像表示器(40)と、
    前記虚像表示器から射出された光が投影される凹面状の投影面(30,330)をそれぞれ有し、当該投影面に投影される前記画像を拡大した前記虚像を表示させ、各前記投影面の拡大率が互いに異なっている複数の投影部材(21〜23,221〜223,321〜323,421,423,521,523)と、
    前記虚像表示器から射出された光が投影される投影範囲(PA1)に配置する前記投影部材を、複数の前記投影部材のうちで切り替える切替機構(90,290)と、を備えるヘッドアップディスプレイ装置。
  2. 複数の前記投影部材(321〜323,421,423,521,523)の各透過率は、互いに異なっている請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  3. 複数の前記投影部材(321〜323,421,423,521,523)の各反射率は、互いに異なっている請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  4. 複数の前記投影部材を一体的に保持する保持部(28)をさらに備え、
    前記切替機構は、複数の前記投影部材を前記保持部と共に一体的に変位させる請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  5. 前記保持部を回転可能に支持するハウジング(50,450,550)をさらに備え、
    複数の前記投影部材は、前記保持部に規定される回転軸(RA)周りに、互いに間隔を開けて保持されており、
    前記切替機構は、複数の前記投影部材を前記回転軸周りに回転させることで、前記投影範囲に配置する前記投影部材を切り替える請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  6. 前記ハウジングは、複数の前記投影部材の少なくとも一部を収容する収容凹部(457,557)を形成し、
    複数の前記投影部材(421,423,521,523)のうちで前記投影範囲から外れている一つは、前記収容凹部の開口(458,558)の少なくとも一部を塞ぐ請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  7. 複数の前記投影部材に対し前記回転軸周りに間隔を開けた配置にて前記保持部に保持され、前記保持部の回転によって前記開口の少なくとも一部を前記投影部材と共に塞ぐ蓋部材(426,526)、をさらに備える請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  8. 複数の前記投影部材を収容するハウジング(250)と、
    複数の前記投影部材を前記ハウジングからせり出し可能に支持する支持部(228)と、をさらに備え、
    前記切替機構は、複数の前記投影部材のうちで前記投影範囲に配置する前記投影部材を前記ハウジングからせり出させると共に、他の前記投影部材を前記ハウジング内に収容する請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  9. 前記切替機構は、前記虚像表示器によって投影される前記画像に関連付けられた前記投影部材を前記投影範囲に配置する請求項1〜8のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  10. 複数の前記投影部材のうちで前記投影範囲から外れた位置に退避している退避投影部材(20r)へ向けて、前記画像としての第一画像とは異なる第二画像(75)の光を射出することで、前記退避投影部材に前記第二画像を実像表示させる実像表示器(45)、をさらに備える請求項1〜9のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
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