JP2017003801A - 表示装置および電子機器 - Google Patents

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健 小林
貝野 由利子
Yuriko Kaino
由利子 貝野
綾 首藤
Aya Shuto
綾 首藤
栗原 研一
Kenichi Kurihara
研一 栗原
美成子 渡辺
Minako Watanabe
美成子 渡辺
英之 汲田
Hideyuki Kumita
英之 汲田
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Abstract

【課題】高い応答性および高い表示メモリ性を両立することが可能な表示装置および電子機器を提供する。【解決手段】本技術の表示装置は、絶縁性液体中に、正または負に帯電した泳動粒子と、泳動粒子とは異なる光反射性を有する非泳動粒子を含むと共に、繊維状構造体により形成された多孔質層と、絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤とを含むものであり、塩基性添加剤および酸性添加剤は、泳動粒子と同じ帯電極性を有する添加剤の方が多く添加されている。【選択図】図1

Description

本技術は、電気泳動素子を含む表示装置およびこれを備えた電子機器に関する。
近年、携帯電話機または携帯情報端末等のモバイル機器の普及に伴い、低消費電力で高品位画質の表示装置(ディスプレイ)に関する需要が高まっている。特に最近では、電子書籍の配信事業が始まり、読書用途に適した表示品位のディスプレイが望まれている。
このようなディスプレイとして、コレステリック液晶ディスプレイ,電気泳動型ディスプレイ,電気酸化還元型ディスプレイおよびツイストボール型ディスプレイ等の様々なディスプレイが提案されているが、読書用途には、反射型のディスプレイが有利である。反射型のディスプレイでは、紙と同様に、外光の反射(散乱)を利用して明表示を行うため、より紙に近い表示品位が得られる。
反射型ディスプレイの中でも、電気泳動現象を利用した電気泳動型ディスプレイは、低消費電力であると共に応答速度が速く、有力候補として期待されている。その表示方法としては、主に以下の2つの方法が提案されている。
第1の方法は、絶縁性液体中に2種類の荷電粒子を分散させ、電界に応じて荷電粒子を移動させるものである。この2種類の荷電粒子は、互いに光学的反射特性が異なり、また、その極性も反対である。この方法では、電界に応じて荷電粒子の分布状態が変化して画像が表示される。
第2の方法は、絶縁性液体中に荷電粒子を分散させると共に、多孔質層を配置するものである(例えば、特許文献1)。この方法では、電界に応じて、荷電粒子が多孔質層の細孔を経て移動する。多孔質層は、例えば高分子材料からなる繊維状構造体と、この繊維状構造体に保持されると共に、荷電粒子とは光学的反射特性が異なる非泳動粒子とを含んでいる。このような電気泳動型ディスプレイでは、電界に応じて荷電粒子が細孔を経て移動することによって表示の切り替えがなされている。
特開2012−22296号公報
このような多孔質層と荷電粒子とを含む電気泳動型ディスプレイでは、電界の印加を停止した後も荷電粒子が拡散せずに表示画像を保持する表示メモリ性が求められるが、その特性は十分ではなかった。また、表示メモリ性を向上させた場合には、応答性が低下するという問題があった。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた応答性および高い表示メモリ性を両立することが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
本技術の表示装置は、絶縁性液体中に、正または負に帯電した泳動粒子と、泳動粒子とは異なる光反射性を有する非泳動粒子を含むと共に、繊維状構造体により形成された多孔質層と、絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤とを含むものであり、塩基性添加剤および酸性添加剤は、泳動粒子と同じ帯電極性を有する添加剤の方が多く添加されている。
本技術の電子機器は、上記本技術の表示装置を備えたものである。
本技術の表示装置および電子機器では、絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤を添加すると共に、その添加量は、泳動粒子の帯電極性と同じ帯電極性を有する添加剤が多くなるようにした。これにより、絶縁性液体の粘度の上昇を抑えつつ、印加電界停止後に電気泳動素子内に生じる内部電界が緩和される。
本技術の表示装置および電子機器によれば、絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤を添加すると共に、泳動粒子の帯電極性と同じ帯電極性を有する添加剤を多く添加するようにしたので、絶縁性液体の粘度の上昇を抑えつつ、印加電界停止後に電気泳動素子内に生じる内部電界が緩和される。よって、高い応答性を維持しつつ、表示メモリ性を向上させることが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
本技術の一実施の形態に係る電気泳動素子の構成を表す平面図である。 図1に示した電気泳動素子の構成を表す断面図である。 図1等の電気泳動素子を用いた表示装置の構成を表す断面図である。 図3に示した表示装置の動作を説明するための断面図である。 適用例1の外観を表す斜視図である。 図5Aに示した電子ブックの他の例を表す斜視図である。 適用例2の外観を表す斜視図である。 酸性添加剤共存下における3級アルキルアミンのNMRスペクトルのシフトを表したものである。 酸性添加剤の濃度に対する3級アルキルアミンのNMRスペクトルのシフトを表したものである。 酸性添加剤の濃度とNMRスペクトルのシフト量との関係を表す特性図である。 酸性添加剤の濃度と自己拡散係数との関係を表わす特性図である。 (酸性添加剤/塩基性添加剤)比と、白反射率および応答速度との関係を表す特性図である。 添加剤の分子量と、白反射率および応答速度との関係を表す特性図である。 アミンの種類と白反射率の保持率との関係を表す特性図である。
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(電気泳動素子)
1−1.基本構成
1−2.作用・効果
2.適用例(表示装置、電子機器)
3.実施例
<1.実施の形態>
(1−1.基本構成)
図1は本技術の一実施の形態に係る電気泳動素子(電気泳動素子1)の平面構成を、図2は電気泳動素子1の断面構成をそれぞれ表したものである。この電気泳動素子1は、電気泳動現象を利用してコントラストを生じさせるものであり、例えば表示装置等の多様な電子機器に適用される。電気泳動素子1は、絶縁性液体10中に、正または負に帯電した泳動粒子20と細孔33を有する多孔質層30とを含んでいる。本実施の形態では、絶縁性液体10中に、さらに酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bを含み、それぞれの添加量は、絶縁性液体10中において、泳動粒子20の帯電極性と同じ帯電極性を有する添加剤が多くなるように構成されている。なお、図1,2は電気泳動素子1の構成を模式的に表したものであり、実際の寸法および形状とは異なる場合がある。
絶縁性液体10は、例えば、パラフィンまたはイソパラフィン等の有機溶媒により構成されている。絶縁性液体10には、1種類の有機溶媒を用いてもよく、あるいは複数種類の有機溶媒を用いるようにしてもよい。絶縁性液体10の粘度および屈折率は、できるだけ低くすることが好ましい。絶縁性液体10の粘度を低くすると泳動粒子20の移動性(応答速度)が向上する。また、これに応じて泳動粒子20の移動に必要なエネルギー(消費電力)は低くなる。絶縁性液体10の屈折率を低くすると、絶縁性液体10と多孔質層30との屈折率の差が大きくなり、多孔質層30の反射率が高くなる。
絶縁性液体10には、例えば、着色剤,電荷調整剤,分散安定剤,粘度調整剤,界面活性剤または樹脂等を添加するようにしてもよい。
絶縁性液体10中に分散された泳動粒子20は、1または2以上の荷電粒子であり、このような帯電した泳動粒子20が電界に応じ細孔33を経て移動する。泳動粒子20は、任意の光学的反射特性(光反射率)を有しており、泳動粒子20の光反射率と多孔質層30の光反射率との違いによりコントラスト(CR)が生じるようになっている。例えば、泳動粒子20が明表示し、多孔質層30が暗表示するようにしてもよく、泳動粒子20が暗表示し、多孔質層30が明表示するようにしてもよい。
外部から電気泳動素子1を見ると、泳動粒子20が明表示する場合には泳動粒子20は、例えば、白色または白色に近い色に視認され、暗表示する場合には、例えば、黒色または黒色に近い色に視認される。このような泳動粒子20の色は、コントラストを生じさせることができれば特に限定されない。例えば、赤色や青色でもかまわない。
泳動粒子20は、例えば、有機顔料,無機顔料,染料,炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスまたは高分子材料(樹脂)等の粒子(粉末)により構成されている。泳動粒子20に、これらのうちの1種類を用いてもよく、または2種類以上を用いてもよい。泳動粒子20を、上記粒子を含む樹脂固形分の粉砕粒子またはカプセル粒子等により構成することも可能である。なお、上記炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスまたは高分子材料に該当する材料は、有機顔料,無機顔料または染料に該当する材料から除く。泳動粒子20の粒径は、例えば10nm以上500nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上200nm以下である。
上記の有機顔料は、例えば、アゾ系顔料、メタルコンプレックスアゾ系顔料、ポリ縮合アゾ系顔料、フラバンスロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラピリジン系顔料、ピランスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料またはインダンスレン系顔料等である。無機顔料は、例えば、亜鉛華、アンチモン白、鉄黒、硼化チタン、ベンガラ、マピコエロー、鉛丹、カドミウムエロー、硫化亜鉛、リトポン、硫化バリウム、セレン化カドミウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫酸鉛、炭酸バリウム、鉛白またはアルミナホワイト等である。染料は、例えば、ニグロシン系染料、アゾ系染料、フタロシアニン系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料またはメチン系染料等である。炭素材料は、例えば、カーボンブラック等である。金属材料は、例えば、金、銀または銅等である。金属酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、銅−クロム酸化物、銅−マンガン酸化物、銅−鉄−マンガン酸化物、銅−クロム−マンガン酸化物または銅−鉄−クロム酸化物等である。高分子材料は、例えば、可視光領域に光吸収域を有する官能基が導入された高分子化合物等である。可視光領域に光吸収域を有する高分子化合物であれば、その種類は特に限定されない。
泳動粒子20の具体的な材料は、例えば、泳動粒子20がコントラストを生じさせるために担う役割に応じて選択される。泳動粒子20が明表示する場合、泳動粒子20には例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムまたはチタン酸カリウム等の金属酸化物等が用いられる。泳動粒子20が暗表示する場合、泳動粒子20には例えば、カーボンブラック等の炭素材料または銅−クロム酸化物、銅−マンガン酸化物、銅−鉄−マンガン酸化物、銅−クロム−マンガン酸化物および銅−鉄−クロム酸化物等の金属酸化物等が用いられる。中でも、泳動粒子20には炭素材料を用いることが好ましい。炭素材料からなる泳動粒子20は、優れた化学的安定性、移動性および光吸収性を示す。
絶縁性液体10中における泳動粒子20の含有量(濃度)は、特に限定されないが、例えば、0.1重量%〜10重量%である。この濃度範囲では、泳動粒子20の遮蔽性および移動性が確保される。詳細には、泳動粒子20の含有量が0.1重量%よりも少ないと、泳動粒子20が多孔質層30を遮蔽(隠蔽)しにくくなり、十分にコントラストを生じさせることができない可能性がある。一方、泳動粒子20の含有量が10重量%よりも多いと、泳動粒子20の分散性が低下するため、その泳動粒子20が泳動しにくくなり、凝集する虞がある。
泳動粒子20は、絶縁性液体10中において正または負に帯電すると共に、分散性を向上させるため表面処理が施されている。この表面処理は、例えば、ロジン処理、界面活性剤処理、顔料誘導体処理、カップリング剤処理、グラフト重合処理またはマイクロカプセル化処理等である。特に、グラフト重合処理、マイクロカプセル化処理またはこれらを組み合わせて処理を行うことにより、泳動粒子20の長期間の分散安定性を維持することができる。
このような表面処理には、例えば、泳動粒子20の表面に吸着可能な官能基と重合性官能基とを有する材料(吸着性材料)等が用いられる。吸着可能な官能基は、泳動粒子20の形成材料に応じて決定する。例えば、泳動粒子20がカーボンブラック等の炭素材料により構成されている場合には、4−ビニルアニリン等のアニリン誘導体、泳動粒子20が金属酸化物により構成されている場合には、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル等のオルガノシラン誘導体をそれぞれ吸着することができる。重合性官能基は、例えば、ビニル基、アクリル基、メタクリル基等である。
泳動粒子20の表面に重合性官能基を導入し、これにグラフトさせて表面処理を行うようにしてもよい(グラフト性材料)。グラフト性材料は、例えば、重合性官能基と分散用官能基とを有している。分散用官能基は、絶縁性液体10中に泳動粒子20を分散させ、その立体障害により分散性を保持するものである。絶縁性液体10が、例えば、パラフィンである場合には、分散用官能基として分岐状のアルキル基等を用いることができる。重合性官能基は、例えば、ビニル基,アクリル基,メタクリル基等である。グラフト性材料を重合およびグラフトさせるためには、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の重合開始剤を用いればよい
泳動粒子20は、絶縁性液体10中で長期間に渡って分散および帯電しやすく、また、多孔質層30に吸着しにくいことが好ましい。このため、例えば絶縁性液体10中に分散剤が添加される。分散剤と電荷調整剤とを併用するようにしてもよい。
この分散剤または電荷調整剤は、例えば、正、負のどちらか一方、または両方の電荷を有しており、絶縁性液体10中の帯電量を増加させると共に、静電反発により泳動粒子20を分散させるためのものである。このような分散剤として、例えば、Lubrizol社製のSolsperceシリーズ、BYK−Chemic社製のBYKシリーズまたはAnti−Terraシリーズ、あるいはTCI America社製Spanシリーズ、Croda社製Hypermerシリーズ等が挙げられる。
上記泳動粒子20を絶縁性液体10中に分散させる方法の詳細については、「超微粒子の分散技術とその評価〜表面処理・微粉砕と気中/液中/高分子中の分散安定化〜(サイエンス&テクノロジー社)」等の書籍に掲載されている。
本実施の形態では、上記のように、絶縁性液体10中には酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bが、泳動粒子20の帯電極性と同じ帯電極性を有する添加剤が多くなるように添加されている。詳細は後述するが、絶縁性液体10中に酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bを加えることによって印加電界停止後における泳動粒子10の拡散が抑えられる。
酸性添加剤21Aは、極性基によって構成された親水部と疎水部とからなる、所謂界面活性剤構造を有する。極性基は、例えば、無水コハク酸構造を有する基やコハク酸構造を有する基が挙げられる。疎水部は、例えば炭素数8以上の直鎖あるいは分岐の炭化水素基からなる。具体的には、例えば、オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,ビニル基,アリル基等が挙げられる。具体的には、例えば下記式(1),(2)あるいは(5)で表わされるアルキレンコハク酸無水物、コハク酸およびコハク酸誘導体(例えば、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム;式(3))、あるいは式(4)で表わされるポリカルボン酸アルキル等が挙げられるが、この限りではない。なお、式(1)におけるnは5〜30程度であり、式(1),(2)におけるR1,R2は水素原子またはアルキル基である。また、式(4)は主鎖および側鎖のいずれかにエステル構造を有している。あるいは主鎖および側鎖のいずれかがポリカルボン酸でもよく、また、式(6)であらわされる化合物でもよい。
Figure 2017003801
Figure 2017003801
塩基性添加剤21Bは、例えば、有機溶媒に溶解可能な1級アミン,2級アミンあるいは3級アミンを用いることが好ましい。また、コハク酸イミド構造を有するものを用いてもよい。具体的には、下記式(7)〜(11)に示した化合物、ジメチルデシルアミン(DMDA,式(7))、トリオクチルアミン(TOA,式(8))、2−エチルヘキシルアミン(EHA,式(9))、nが20〜25程度のOLOA 1200(式(10))およびトリプロピルアミン(TPA,式(11))等が挙げられる。この他、N−メチルジオレイルアミン、N−メチルドデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチル(2−エチルヘキシル)アミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルペンチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、トリオクチルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、トリヘキシルアミン、トリアミルアミン、トリペンチルアミン、トリブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、2-エチルヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミンおよびトリヘキシルアミン等が挙げられるが、この限りではない。
Figure 2017003801
なお、塩基性添加剤21Bとしては、上記アミン類の中でも、3級アミンであることが好ましく、さらに、3級アミンの3つの置換基はできるだけ嵩高く、立体障害の大きな基であることが好ましい。これにより、表示メモリ性をより向上させることができる。
絶縁性液体10中には、上記酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bをそれぞれ少なくとも1種以上用いることが好ましい。酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bの添加量は、上記のように、泳動粒子20の帯電極性に応じてそれぞれ所定の範囲内で添加されている。具体的には、泳動粒子20が正に帯電している場合には、塩基性添加剤21Bを酸性添加剤21Aよりも多く添加することが好ましい。泳動粒子20が負に帯電している場合には、酸性添加剤21Aを塩基性添加剤21Bよりも多く添加することが好ましい。酸性添加剤21Aは、絶縁性液体10中において負に帯電し、塩基性添加剤21Bは、絶縁性液体10中において正に帯電する。即ち、本実施の形態では、酸性添加剤21Aおよび塩基性液体21Bは、絶縁性液体10中において泳動粒子20の帯電極性と同じ帯電極性を有する添加材を多く含むように添加されることが好ましい。
酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bの添加量比は、泳動粒子20の帯電極性に応じて、それぞれ以下のような比率であることが好ましい。泳動粒子20の帯電極性が正である場合には、酸性添加剤32Aに対する塩基性添加剤32Bの添加量比(酸性添加剤32A/塩基性添加剤32B)は、モル量換算において、例えば、3よりも大きく、20よりも小さいことが好ましい。泳動粒子20の帯電極性が負である場合には、塩基性添加剤32Bに対する酸性添加剤32Aの添加量比(塩基性添加剤32B/酸性添加剤32A)は、モル量換算において、例えば、3よりも大きく、20よりも小さいことが好ましい。このような比率とすることにより、塩基性添加剤21Bが絶縁性液体10中で帯電しやすくなると共に、絶縁性液体10の粘度上昇が抑えられる。
酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bの分子量は、電気泳動素子1の誘電率の上昇を抑えるために、できるだけ小さいことが好ましく、それぞれ、例えば、1000よりも小さいことが好ましい。但し、揮発性の面から、酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bの分子量は少なくとも100よりも大きいことが好ましい。
多孔質層30は泳動粒子20を遮蔽可能なものであり、繊維状構造体31および繊維状構造体31に保持された非泳動粒子32を有している。この多孔質層30は、繊維状構造体31により形成された3次元立体構造物(不織布のような不規則なネットワーク構造物)であり、複数の隙間(細孔33)が設けられている。繊維状構造体31により、多孔質層30の3次元立体構造を構成することで、光(外光)が乱反射(多重散乱)し、多孔質層30の反射率が高くなる。従って、多孔質層30の厚みが小さい場合であっても高反射率を得ることができ、電気泳動素子1のコントラストを向上させると共に泳動粒子20の移動に必要なエネルギーを小さくすることができる。また、細孔33の平均孔径が大きくなり、かつ、多くの細孔33が多孔質層30に設けられる。これにより、泳動粒子20が細孔33を経由して移動し易くなり、応答速度が向上すると共に、泳動粒子20を移動させるために必要なエネルギーがより小さくなる。このような多孔質層30の厚みは、例えば、5μm〜100μmである。
繊維状構造体31は、繊維径(直径)に対して十分な長さを有する繊維状物質である。例えば、複数の繊維状構造体31が集合し、ランダムに重なって多孔質層30を構成する。1つの繊維状構造体31がランダムに絡みあって多孔質層30を構成していてもよい。あるいは、1つの繊維状構造体31による多孔質層30と複数の繊維状構造体31による多孔質層30とが混在していてもよい。
繊維状構造体31は例えば直線状に延在している。繊維状構造体31の形状は、どのようなものであってもよく、例えば、縮れていたり、途中で折れ曲がったりしていてもよい。あるいは、繊維状構造体31は途中で分岐していてもよい。
繊維状構造体31の最小繊維径は、例えば500nm以下であることが好ましく、より好ましくは300nm以下である。平均繊維径は、例えば0.1μm以上10μm以下であることが好ましいが、上記範囲外であってもよい。平均繊維径を小さくすることにより、光が乱反射し易くなり、また、細孔33の孔径が大きくなる。繊維状構造体31が非泳動粒子32を保持できるよう、その繊維径を決定する。平均繊維径は、例えば、走査型電子顕微鏡等を用いた顕微鏡観察により測定することができる。繊維状構造体31の平均長さは任意である。繊維状構造体31は、例えば、相分離法,相反転法,静電(電界)紡糸法,溶融紡糸法,湿式紡糸法,乾式紡糸法,ゲル紡糸法,ゾルゲル法またはスプレー塗布法等により形成される。このような方法を用いることにより、繊維径に対して十分な長さを有する繊維状構造体31を容易に、かつ安定して形成することができる。
繊維状構造体31は、高分子材料および無機材料の少なくとも一方により形成されており、特に、ナノファイバーにより構成することが好ましい。ここでナノファイバーとは、繊維径が1nm〜1000nmであり、長さが繊維径の100倍以上である繊維状物質である。このようなナノファイバーを繊維状構造体31として用いることにより、光が乱反射し易くなり、多孔質層30の反射率をより向上させることができる。即ち、電気泳動素子1のコントラストを向上させることが可能となる。また、ナノファイバーからなる繊維状構造体31では、単位体積中に占める細孔33の割合が大きくなり、細孔33を経由して泳動粒子20が移動し易くなる。従って、泳動粒子20の移動に必要なエネルギーを小さくすることができる。ナノファイバーからなる繊維状構造体31は、静電紡糸法により形成することが好ましい。静電紡糸法を用いることにより繊維径が小さい繊維状構造体31を容易に、かつ安定して形成することができる。
繊維状構造体31には、その光反射率が泳動粒子20の光反射率と異なるものを用いることが好ましい。これにより、多孔質層30と泳動粒子20との光反射率の差によるコントラストが形成され易くなる。絶縁性液体10中で光透過性(無色透明)を示す繊維状構造体31を用いるようにしてもよい。
細孔33は、複数の繊維状構造体31が重なり合い、または1つの繊維状構造体31が絡まりあうことにより構成されている。この細孔33は、泳動粒子20が細孔33を経て移動し易いよう、できるだけ大きな平均孔径を有していることが好ましい。細孔33の平均孔径は、例えば、0.1μm以上10μm以下である。
非泳動粒子32は、繊維状構造体31に固定されており、電気泳動を行わない1または2以上の粒子である。非泳動粒子32は、保持されている繊維状構造体31の内部に埋設されていてもよく、あるいは、繊維状構造体31から部分的に露出していてもよい。
非泳動粒子32には、その光反射率が泳動粒子20の光反射率と異なるものを用いる。非泳動粒子32は、上記泳動粒子20と同様の材料により構成することが可能である。詳細には、非泳動粒子32(多孔質層30)が明表示する場合には上記泳動粒子20が明表示する場合の材料、非泳動粒子32が暗表示する場合には上記泳動粒子20が暗表示する場合の材料をそれぞれ用いることができる。多孔質層30により明表示を行うとき、非泳動粒子32を金属酸化物により構成することが好ましい。これにより、優れた化学的安定性、定着性および光反射性を得ることができる。非泳動粒子32、泳動粒子20それぞれの構成材料は同じであってもよく、異なっていてもよい。非泳動粒子32が明表示または暗表示を行うときに外部から視認される色は、上記泳動粒子20について説明したものと同様である。
このような多孔質層30は、例えば、以下の方法により形成することができる。まず、有機溶剤等に、例えば、高分子材料等の繊維状構造体31の構成材料を溶解させ、紡糸溶液を調製する。次いで、この紡糸溶液に非泳動粒子32を加えて十分に攪拌し、非泳動粒子32を分散させる。最後に、この紡糸溶液から例えば静電紡糸法により紡糸を行って非泳動粒子22を繊維状構造体31に固定し、多孔質層30を形成する。多孔質層30は、高分子フィルムに、レーザを使用して穴開け加工を施して細孔33を形成するようにしてもよく、多孔質層30に合成繊維等により編まれた布、または連泡多孔性高分子等を用いるようにしてもよい。
電気泳動素子は、上記のように、泳動粒子の光反射率と多孔質層の光反射率との差によりコントラストを生じさせるものである。具体的には、泳動粒子および多孔質層のうち、明表示する方の光反射率が暗表示する方の光反射率よりも高くなっている。このような表示を行うことにより、明表示がなされる際の光反射率が、多孔質層(3次元立体構造物)による光の乱反射を利用して著しく高くなる。従って、これに応じ、コントラストも著しく向上する。
電気泳動素子内では、具体的には泳動粒子が下記のような挙動を示すことによって表示がなされる。泳動粒子は、一対の電極間に電圧が印加されると、それによって生じた電界の範囲内で多孔質層の細孔を経て対応する電極側に移動する。泳動粒子の移動した領域、移動しない領域に応じて、明表示および暗表示のうちのどちらか一方がなされ、画像が表示される。なお、非泳動粒子の光反射率を、泳動粒子よりも高くして、多孔質層で明表示し、泳動粒子で暗表示することが好ましい。
(1−2.作用・効果)
電気泳動素子等を用いた反射型のティスプレイは、前述したように低消費電力であると共に応答速度が速く、また軽量且つ紙に近い表示品位から読書用途等に用いられるモバイル機器の表示装置の有力候補として期待されているが、更なる消費電力の低減が望まれている。消費電力を低減する方法としては、表示メモリ性の向上が挙げられる。電気泳動素子は、印加された電界(印加電界)が停止された後も移動した電極側に泳動粒子が留まることによって表示画像が保持され、表示メモリ性が発現する。しかしながら、一般的な電気泳動素子では、印加電圧を停止すると泳動粒子の拡散が始まり、十分な表示メモリ性が得られなかった。
このような電気泳動素子では、絶縁性液体中に塩基性の添加剤を過剰に加えると、応答速度は速くなるものの、表示メモリ性は低下する傾向があった。一方、絶縁性液体中に酸性の添加剤を加えると、表示メモリ性は示すものの、泳動素子が繊維状構造体に吸着しやすくなり、応答速度が著しく低下するという傾向があった。また、絶縁性液体中に塩基性の添加剤および酸性の添加剤の両方を同量ずつ加えると、表示メモリ性は向上するものの、応答速度が低下する傾向が観察された。
これに対して、本実施の形態の電気泳動素子1では、絶縁性液体10中に正に帯電する塩基性添加剤21Bおよび負に帯電する酸性添加剤21Aを添加すると共に、その添加量が、正または負に帯電する泳動粒子20の帯電極性と同じ帯電極性を有する添加剤の方が多くなるようにした。これにより、絶縁性液体10の粘度の上昇を抑えつつ、印加電界停止後に電気泳動素子1内に生じる内部電界が緩和される。具体的には、電界印加後に生じる内部電界(印加電界とは逆方向の電界)は、泳動粒子20よりも高い移動度を有する酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bの移動によって緩和され、泳動粒子20の拡散が抑制される。
以上のように本実施の形態の電気泳動素子1では、絶縁性液体10中に酸性添加剤21Aおよび塩基性添加剤21Bを、泳動粒子20の帯電極性と同じ帯電極性を有する添加剤が多くなるよう添加した。これにより、絶縁性液体10の粘度の上昇を抑えつつ、印加電界停止後に電気泳動素子内に生じる内部電界が緩和される。よって、高い応答性を維持しつつ、表示メモリ性を向上させることが可能となる。
また、上記構成とすることにより、印加電界停止後の泳動粒子20の拡散が抑制されるため、電気泳動素子1の白反射率が向上する。
<2.適用例>
(表示装置)
次に上記電気泳動素子1の適用例について説明する。電気泳動素子1は、例えば、表示装置に適用される。
図3は、電気泳動素子1を用いた表示装置(表示装置2)の断面構成の一例を表したものである。この表示装置2は、電気泳動現象を利用して画像(例えば文字情報等)を表示する電気泳動型ディスプレイ(いわゆる電子ペーパーディスプレイ)であり、駆動基板40と対向基板50との間に電気泳動素子1が設けられている。駆動基板40と対向基板50との間は、スペーサ60により所定の間隔に調整されている。
駆動基板40は、板状部材41の一方の面に例えば、TFT(Thin Film Transistor)32、保護層43平坦化絶縁層44および画素電極45をこの順に有している。TFT42および画素電極45は、例えば画素配置に応じてマトリクス状またはセグメント状に配置されている。
板状部材41は、例えば、無機材料,金属材料またはプラスチック材料等により構成されている。無機材料としては、例えば、ケイ素(Si),酸化ケイ素(SiOX),窒化
ケイ素(SiNX)または酸化アルミニウム(AlOx)等が挙げられる。酸化ケイ素には、ガラスまたはスピンオングラス(SOG)等が含まれる。金属材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)またはステンレス等が挙げられ、プラスチック材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリエチルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
表示装置2では、対向基板50側に画像が表示されるため、板状部材41は非光透過性であってもよい。板状部材41を、ウェハ等の剛性を有する基板により構成してもよく、あるいは可撓性を有する薄層ガラスまたはフィルム等により構成してもよい。板状部材41に可撓性材料を用いることにより、フレキシブル(折り曲げ可能)な表示装置2を実現できる。
TFT42は、画素を選択するためのスイッチング用素子である。TFT42は、チャネル層として無機半導体層を用いた無機TFTでもよいし、有機半導体層を用いた有機TFTでもよい。保護層43および平坦化絶縁層44は、例えば、ポリイミド等の絶縁性樹脂材料により構成されている。保護層43の表面が十分に平坦であれば、平坦化絶縁層44を省略することも可能である。画素電極45は、例えば、金(Au)、銀(Ag)または銅(Cu)等の金属材料により形成されている。画素電極45は、保護層43および平坦化絶縁層44に設けられたコンタクトホール(図示せず)を通じてTFT42に接続されている。
対向基板50は、例えば板状部材51および対向電極52を有しており、板状部材51の全面(駆動基板40との対向面)に対向電極52が設けられている。対向電極52を、画素電極32と同様に、マトリクス状またはセグメント状に配置するようにしてもよい。
板状部材51は、光透過性であることを除き、板状部材41と同様の材料により構成されている。対向電極52には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化アンチモン−酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の光透光性導電性材料(透明電極材料)を用いることができる。
対向基板50側に画像を表示する場合には、対向電極52を介して電気泳動素子1を見ることになるため、対向電極52の光透過性(透過率)は、できるだけ高いことが好ましく、例えば、80%以上である。また、対向電極52の電気抵抗は、できるだけ低いことが好ましく、例えば、100Ω/□以下である。
電気泳動素子1は、上記実施の形態および変形例の電気泳動素子1と同様の構成を有している。具体的には、電気泳動素子1は、絶縁性液体10中に、泳動粒子20と、複数の細孔33を有する多孔質層30とを含んでいる。絶縁性液体10は、駆動基板40と対向基板50との間の空間に充填されており、多孔質層30は、例えば、スペーサ60により支持されている。絶縁性液体10が充填されている空間は、例えば、多孔質層30を境界として、画素電極45に近い側の待避領域R1と、対向電極52に近い側の表示領域R2とに区分けされている。絶縁性液体10、泳動粒子20および多孔質層30の構成は、上記実施の形態等で説明したものと同様である。なお、図3および後述の図4では、図示内容を簡略化するために、細孔33の一部だけを示している。
多孔質層30は、画素電極45および対向電極52のうちのどちらか一方に隣接していてもよく、待避領域R1と表示領域R2とが明確に区切られていなくてもよい。泳動粒子20は、電界に応じて画素電極45または対向電極52に向かって移動する。
スペーサ60の厚みは、例えば10μm〜100μmであり、できるだけ、薄くすることが好ましい。これにより、消費電力を抑えることができる。スペーサ60は、例えば、高分子材料等の絶縁性材料により構成され、駆動基板40と対向基板50との間に例えば格子状に設けられている。スペーサ60の配置形状は、特に限定されないが、泳動粒子20の移動を妨げず、かつ、泳動粒子20を均一分布させるように設けることが好ましい。
初期状態の表示装置2では、泳動粒子20が待避領域R1に配置されている(図3)。この場合には、全ての画素で泳動粒子20が多孔質層30により遮蔽されているため、対向基板50側から電気泳動素子1を見ると、コントラストが生じていない(画像が表示されていない)状態にある。
一方、TFT42により画素が選択され、画素電極45と対向電極52との間に電界が印加されると、図4に示したように、画素毎に泳動粒子20が待避領域R1から多孔質層30(細孔33)を経由して表示領域R2に移動する。この場合には、泳動粒子20が多孔質層30により遮蔽されている画素と遮蔽されていない画素とが併存するため、対向基板50側から電気泳動素子1を見ると、コントラストが生じている状態になる。これにより、画像が表示される。
この表示装置2によれば、高い応答速度を有する電気泳動素子1により、例えばカラー化や動画表示にも適した高品位な画像を表示できる。
(電子機器)
次に、上記表示装置2の適用例について説明する。
本技術の表示装置2は、各種用途の電子機器に適用可能であり、その電子機器の種類は特に限定されない。この表示装置2は、例えば、以下の電子機器に搭載可能である。ただし、以下で説明する電子機器の構成はあくまで一例であるため、その構成は適宜変更可能である。
(適用例1)
図5A,5Bは、電子ブックの外観構成を表している。この電子ブックは、例えば、表示部110および非表示部120と、操作部130とを備えている。なお、操作部130は、図5Aに示したように非表示部120の前面に設けられていてもよいし、図5Bに示したように上面に設けられていてもよい。表示部110が表示装置2により構成される。なお、表示装置2は、図5A,5Bに示した電子ブックと同様の構成を有するPDA(Personal Digital Assistants)等に搭載されてもよい。
(適用例2)
図6は、タブレットパーソナルコンピュータの外観を表したものである。このタブレットパーソナルコンピュータは、例えば、タッチパネル部310および筐体320を有しており、タッチパネル部310が上記表示装置2により構成されている。
<3.実施例>
(実験1−1)
次に、酸性添加剤と塩基性添加剤との間の相互作用および分散媒における各添加剤の作用機序を検証する実験を行った。
電気泳動素子における応答性および表示メモリ性は、多孔質層を通過する泳動粒子の移動度と、印加電界消去時における電極表面からの泳動粒子の再分散のしやすさに影響される。優れた応答性と高い表示メモリ性とを両立させるためには、泳動粒子の表面修飾に加えて、分散媒および分散媒に加える電界補償剤、分散剤、電荷補償剤等の添加剤の開発が重要である。これらの材料開発においては、泳動粒子と添加剤との間の相互作用の検証が重要である。しかしながら、泳動粒子は、例えば、Cu−Fe−Mn複合酸化物を主成分とした磁性体であるため、これを含むサンプル溶液ではNMRスペクトルの詳細な解析は不可能である。そこで、本実験では、塩基性添加剤として3級アルキルアミンを用いたサンプル(サンプルA)と、3級アルキルアミンと共に、酸性添加剤としてコハク酸を加えたサンプル(サンプルB)を作製してそのNMRを測定し、酸性添加剤と塩基性添加剤との間の相互作用を観察した。図7は、サンプルAおよびサンプルBの1H−NMRのスペクトルの一部を拡大して表したものである。また、サンプルAおよびサンプルBにおける自己拡散係数の測定を行いその結果を表3にまとめた。
表1および表2は、サンプルAおよびサンプルBの組成(表1)および測定条件(表2)をまとめたものである。なお、NMR装置は日本電子製ECA−500型を用い、プローブはTH5ATプローブを用いた。溶媒をイソパラフィン系溶剤とした場合の測定は、磁場ロックを行わず、1H Selective gradient shimmingによりシム調整を行った。
Figure 2017003801
Figure 2017003801
ここで用いたPFG-LED+BPPSTE法は、基本のSpin-Echo法に渦電流の影響を抑えるBPP法(Bipolar-Pulse-Pair)やLED法(Longitudinal-Eddy-Current-Delay)、横緩和時間T2が短い系やJ変調の影響を受ける系に有効なSTE法(Stimulated-Echo)を組み合わせたものである(詳細は、C. S. Johnson Jr, Prog. NMR. Spectrosc. 1999, 34, 203.を参照)。サンプルチューブは対流効果除去用二重管(5mmφ)を用い、液高5mmに調整した。自己拡散係数はStejskalの式(数(1))に基づいて解析した(E. O. Stejskal, J. E. Tanner, J. Chem. Phys. 1965, 42, 288.)。以下に式と各パラメータの設定値を示す。
(数1)
I(g)=I(0)exp(−(γgδ)2D(Δ−Δ/3))・・・(1)

(I:ピーク強度,γ:測定核の磁気回転比(1H),g:FG強度,δ:FGパルス幅,Δ:拡散時間,D:自己拡散係数)
Figure 2017003801
図7に示した1H−NMRスペクトルのうち、サンプルAの2.32ppmのシグナルは、3級アルキルアミンのNに隣接するメチレン基のプロトンに由来するものである。図7および表3からわかるように、アルキルアミンのメチレン基のシグナルは、コハク酸共存下において大きな低磁場シフトと著しいブロードニングが観測され、加えて自己拡散係数の大幅な減少が観測された。従って、アルキルアミンとのコハク酸が共存すると相互作用が生じていると推察される。
(実験1−2)
更に、アルキルアミンの濃度を固定(1.5wt%)して、コハク酸の濃度を0〜6.5wt%まで変化させたサンプルB−1〜B−7を作製し、1H−NMRスペクトルおよびPFG−NMRによる自己拡散係数の測定を行った。表4は、各サンプル中に含まれるコハク酸の濃度と、アルキルアミンの1H−NMRスペクトルにおけるN隣接するメチレン基の低磁場シフト量、及び自己拡散係数の値をまとめたものである。図8は、サンプルAと共に、サンプルB−1〜B−7の1H−NMRスペクトルの一部を表したものである。また、サンプルB−3を70℃で一晩放置したのちNMR測定した結果(サンプルB−3’)も併せて示した。
Figure 2017003801
図8および表4から、コハク酸濃度が0〜7wt%までの間では、アルキルアミンのN−CH2−に由来するシグナル(2.28ppm)は徐々に低磁場側にシフトすると共に、アルキルアミンの急激な自己拡散係数の低下が見られた。その一方で、コハク酸濃度が7wt%よりも多くなると、N−CH2−に由来するシグナルは2.9ppmでほぼ一定となり、アルキルアミンの自己拡散係数の低下は緩やかになった。また、一晩放置した状態でも、低磁場シフトに変化は見られなかった。このことから、熱処理による履歴はないことがわかる。
図9は、1H−NMRスペクトルにおけるアルキルアミンのN−CH2−に由来するシグナルのシフト量とコハク酸濃度(mol濃度)との関係を表わしたものであり、図10は、アルキルアミンの自己拡散係数の低下とコハク酸濃度(モル濃度に変換)との関係を表したものである。図9および図10から、アルキルアミン濃度0.1mol/L(1.5wt%)に対して、コハク酸濃度0.2mol/L(7wt%)付近において傾向が大きく変わることがわかった。
ここで観測されたアルキルアミンのN−CH2−に由来するシグナルの低磁場シフトは、アルキルアミンの3級アミンが酸であるコハク酸の添加によりアンモニウムイオンとなったことが原因であると推察される。具体的には、アルキルアミンの3級アミンがアンモニウムイオンになることでN原子上の電子密度が低下し、隣接するメチレン基は脱遮へいされ、N−CH2−に由来するシグナルは低磁場にシフトしたと考えられる。これは、イソパラフィン系溶剤中におけるアルキルアミンとコハク酸は、単独では電気的に中性の状態であるが、両者が共存(相互作用)することで互いに電荷を帯びた状態になっているためと考えられる。これにより、コハク酸は、内部電界補償添加剤として活性な状態となる。低磁場シフトと同時に起こる自己拡散係数の低下は、両者がイオン会合体を形成し、アルキルアミンの見かけの分子半径が大きくなったためと説明できる。
以上のことから、1H−NMRスペクトルにおけるアルキルアミンのN−CH2−に由来するシグナルの化学的シフト量およびアルキルアミンの自己拡散係数の変化の傾向が大きく変わるコハク酸の濃度(アルキルアミンに対するコハク酸の重量比1:5、モル比では1:2)は、アルキルアミンが全てイオン化するために必要最低限のコハク酸の量であることがわかった。一方で、余剰のコハク酸の存在はアルキルアミンの自己拡散係数の更なる低下を招いていることもわかった。即ち、電気泳動素子の絶縁性液体に塩基性添加剤および酸性添加剤を添加した際の粘度上昇の原因となっていると推察される。このことは泳動粒子の泳動の特性(応答性)を低下させる原因と考えられる。なお、上記アルキルアミンとコハク酸の重量比は、電気泳動素子のデバイス性能が最適値を示す材料組成の比と概ね一致(アルキルアミン:コハク酸重量比=1:6)するものである。
(実験2−1)
次に、本技術の実施例について詳細に説明する。以下の手順により、黒色(暗表示)の泳動粒子および白色(明表示)の多孔質層(粒子含有繊維状構造体)を用いて、表示装置を作製した。
まず、テトラヒドロフラン400mlとメタノール400mlとの混合溶液を調製した後、この溶液に複合酸化物微粒子(銅−鉄−マンガンの酸化物:大日精化工業株式会社製ダイピロキサイドカラーTM9550)50gを加え、超音波浴槽にて超音波攪拌(25℃〜35℃で30分間)を行った。次いで、この複合酸化物微粒子の分散液に28%アンモニア水40mlを30分間かけて滴下したのち、テトラヒドロフラン80mlにプレンアクト KR−TTS(味の素ファインテクノ株式会社製)10gを溶解させた溶液を30分間かけて滴下した。続いて、超音波浴槽を60℃まで昇温させ3時間保持したのちこれを室温まで冷却して遠心分離(6000rpmで10分間)およびデカンテーションを行った。続いて、このデカンテーション後の沈殿物をテトラヒドロフランとメタノールとの混合溶媒(体積比1:1)に再分散させ、遠心分離(6000rpmで10分間)およびデカンテーションを行った。この洗浄作業を3回繰り返して得られた沈殿物を70℃の真空オーブンで一晩乾燥させた。これにより、絶縁性液体中において負に帯電する分散基で被覆された黒色の泳動粒子が得られた。
泳動粒子を調製した後、絶縁性液体94gに分散剤として長鎖アルキルコハク酸無水物を6g溶解させ溶液Aを調製した。この溶液A9gに上記泳動粒子1gを加え、超音波分散を行った。この分散液を遠心分離(6000rpmで90分間)およびデカンテーションを行ったのち、絶縁性液体に再分散させた。この作業を3回繰り返し、得られた分散液中の泳動粒子成分が10重量%となるように溶液Bを調製した。次いで、溶液B50gに絶縁性液体49.6gに塩基性添加剤アルキルアミンを0.25gおよび酸性添加剤0.12gを加えて攪拌し、泳動粒子と、酸性添加剤および塩基性添加剤とをそれぞれ、0.4mmol(酸性添加剤),1.75mmol(塩基性添加剤)含有する絶縁性液体を得た。
次に、繊維状構造体の構成材料としてポリメチルメタクリレートを準備した。このポリメチルメタクリレート14gをN,N’−ジメチルホルムアミド86gに溶解させた後、この溶液70gに、非泳動粒子として一次粒径が250nmの酸化チタン30gを加えてビーズミルで混合した。これにより繊維状構造体を形成するための紡糸溶液が得られた。駆動基板に、所定パターンのITOからなる画素電極を形成した後、この紡糸溶液を用いて紡糸を行った。具体的には、紡糸溶液をシリンジに入れ、駆動基板上で1.2mg/cm2分の紡糸を行った。以上の工程により、駆動基板上に多孔質層(非泳動粒子を保持した繊維状構造体)を形成した。紡糸は、電界紡糸装置(株式会社メック製NANON)を用いて行った。
駆動基板上に多孔質層を形成した後、駆動基板から不要な多孔質層を除去した。具体的には、画素電極が設けられていない部分の多孔質層を除去した。対向基板として、板状部材にITOからなる対向電極を形成し、この対向基板上にPETフィルム(30μm厚)のスペーサを配置した後、これを多孔質層が形成された駆動基板と重ねた。このとき、スペーサにより、多孔質層を保持するようにして、画素電極および対向電極から多孔質層を離間させた。次いで、駆動基板と対向基板との間に、上記泳動粒子が分散した絶縁性液体を注入した。最後に、紫外線光を光硬化性樹脂に照射して、表示デバイスを完成させた(サンプル3−1)。
この他、酸性添加剤および塩基性添加剤の含有量の異なるサンプル3−2〜3−9を作製し、白反射率(%)および応答速度を測定し、この結果を表5および図11に示した。
Figure 2017003801
図11および表5から、泳動粒子が絶縁性液体中において負に帯電する場合には、塩基性添加剤に対する酸性添加剤の添加量(mol)比(塩基性添加剤/酸性添加剤)は、例えば、1.9よりも大きく、33.4よりも小さいことが好ましく、より好ましくは、3よりも大きく、20よりも小さい。なお、電気泳動素子の誘電率の上昇を低減するために、添加剤の添加量は、少ない方が好ましい。
(実験2−2)
種々の分子量を有する塩基性添加剤を用いた以外は、上記同様の方法を用いて表示デバイスを作製し、塩基性添加剤の分子量に対する白反射率(%)および応答速度を測定し、この結果を表6および図12に示した。なお、各サンプルに用いた酸性添加剤の分子量は310である。
Figure 2017003801
図12および表6から、塩基性添加剤の分子量が大きくなるにつれて応答速度が低下していくことがわかった。なお、分子量が小さな(100未満)塩基性添加剤を用いたサンプル4−1では、デバイス化が困難であった。
(実験2−3)
塩基性添加剤として3級アミン(サンプル5−1)、2級アミン(サンプル5−2)および1級アミン(サンプル5−3)を用いた以外は、上記同様の方法を用いて表示デバイスを作製し、白反射率の保持時間を測定し、この結果を表7および図13に示した。なお、塩基性添加剤の分子量は、サンプル5−1〜5−3共に同じ(分子量143)である。
Figure 2017003801
図13および表7から、塩基性添加剤としては、3級アミンが最も好ましいことがわかった。
なお、上記実験2では、負に帯電した泳動粒子を用いて実験を行ったが、以下に示した表8から正に帯電した泳動粒子では、酸性添加物と塩基性添加物との添加量比は、負に帯電した泳動粒子を用いた場合とは逆にすることで表示特性の向上が得られることがわかる。
Figure 2017003801
以上、実施の形態および実施例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)絶縁性液体中に、正または負に帯電した泳動粒子と、前記泳動粒子とは異なる光反射性を有する非泳動粒子を含むと共に、繊維状構造体により形成された多孔質層と、前記絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤とを含み、前記塩基性添加剤および前記酸性添加剤は、前記泳動粒子と同じ帯電極性を有する添加剤の方が多く添加されている表示装置。
(2)前記泳動粒子が負に帯電している場合の前記塩基性添加剤に対する前記酸性添加剤のモル比は、3よりも大きく20よりも小さい、前記(1)に記載の表示装置。
(3)前記泳動粒子が正に帯電している場合の前記酸性添加剤に対する前記塩基性添加剤のモル比は、3よりも大きく20よりも小さい、前記(1)に記載の表示装置。
(4)前記塩基性添加剤および前記酸性添加剤の分子量は、100よりも大きく、1000よりも小さい、前記(1)乃至(3)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(5)前記酸性添加剤は無水コハク酸構造を有する、前記(1)乃至(4)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(6)前記酸性添加剤はコハク酸構造を有する、前記(1)乃至(4)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(7)前記塩基性添加剤はアミンである、前記(1)乃至(6)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(8)前記酸性添加剤および前記塩基性添加剤をそれぞれ複数種類含む、前記(1)乃至(7)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(9)前記繊維状構造体の平均繊維径は0.1μm以上10μm以下である、前記(1)乃至(8)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(10)前記繊維状構造体は静電防止法により形成された、前記(1)乃至(9)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(11)前記非泳動粒子の光反射率は前記泳動粒子の光反射率よりも高く、前記泳動粒子が暗表示、前記非泳動粒子および繊維状構造体が明表示を行う、前記(1)乃至(10)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(12)前記泳動粒子および前記非泳動粒子は、有機顔料,無機顔料,染料,炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスおよび高分子材料のうちの少なくともいずれか1つにより構成されている、前記(1)乃至(11)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(13)前記繊維状構造体は高分子材料および無機材料の少なくとも一方により形成されている、前記(1)乃至(12)のうちのいずれか1つに記載の表示装置。
(14)表示装置を備え、前記表示装置は、絶縁性液体中に、正または負に帯電した泳動粒子と、前記泳動粒子とは異なる光反射性を有する非泳動粒子を含むと共に、繊維状構造体により形成された多孔質層と、前記絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤とを含み、前記塩基性添加剤および前記酸性添加剤は、前記泳動粒子と同じ帯電極性を有する添加剤の方が多く添加されている電子機器。
1…電気泳動素子、2…表示装置、10…絶縁性液体、20…泳動粒子、21A…酸性添加剤、21B…塩基性添加剤、30…多孔質層、31…繊維状構造体、32…非泳動粒子、33…細孔、40…駆動基板、41,51…板状部材、42…TFT、43…保護層、44…平坦化絶縁層、45…画素電極、50…対向基板、52…対向電極、60…スペーサ。

Claims (14)

  1. 絶縁性液体中に、
    正または負に帯電した泳動粒子と、
    前記泳動粒子とは異なる光反射性を有する非泳動粒子を含むと共に、繊維状構造体により形成された多孔質層と、
    前記絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤とを含み、
    前記塩基性添加剤および前記酸性添加剤は、前記泳動粒子と同じ帯電極性を有する添加剤の方が多く添加されている
    表示装置。
  2. 前記泳動粒子が負に帯電している場合の前記塩基性添加剤に対する前記酸性添加剤のモル比は、3よりも大きく20よりも小さい、請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記泳動粒子が正に帯電している場合の前記酸性添加剤に対する前記塩基性添加剤のモル比は、3よりも大きく20よりも小さい、請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記塩基性添加剤および前記酸性添加剤の分子量は、100よりも大きく、1000よりも小さい、請求項1に記載の表示装置。
  5. 前記酸性添加剤は無水コハク酸構造を有する、請求項1に記載の表示装置。
  6. 前記酸性添加剤はコハク酸構造を有する、請求項1に記載の表示装置。
  7. 前記塩基性添加剤はアミンである、請求項1に記載の表示装置。
  8. 前記酸性添加剤および前記塩基性添加剤をそれぞれ複数種類含む、請求項1に記載の表示装置。
  9. 前記繊維状構造体の平均繊維径は0.1μm以上10μm以下である、請求項1に記載の表示装置。
  10. 前記繊維状構造体は静電防止法により形成された、請求項1に記載の表示装置。
  11. 前記非泳動粒子の光反射率は前記泳動粒子の光反射率よりも高く、前記泳動粒子が暗表示、前記非泳動粒子および繊維状構造体が明表示を行う、請求項1に記載の表示装置。
  12. 前記泳動粒子および前記非泳動粒子は、有機顔料,無機顔料,染料,炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスおよび高分子材料のうちの少なくともいずれか1つにより構成されている、請求項1に記載の表示装置。
  13. 前記繊維状構造体は高分子材料および無機材料の少なくとも一方により形成されている、請求項1に記載の表示装置。
  14. 表示装置を備え、
    前記表示装置は、
    絶縁性液体中に、
    正または負に帯電した泳動粒子と、
    前記泳動粒子とは異なる光反射性を有する非泳動粒子を含むと共に、繊維状構造体により形成された多孔質層と、
    前記絶縁性液体中において、正に帯電する塩基性添加剤および負に帯電する酸性添加剤とを含み、
    前記塩基性添加剤および前記酸性添加剤は、前記泳動粒子と同じ帯電極性を有する添加剤の方が多く添加されている
    電子機器。
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