JP2016164316A - 伸縮性合成皮革を有する縫製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
伸縮性合成皮革の製造方法として、基材の寸法安定性を確保するために綿布を基材に貼り付け、コーティング加工後に前記の綿布を剥離する旨が特許文献2に記載されているが、その後の加工工程や加工安定性については、何ら記載されていない。
本発明の合成皮革に用いる基布としては、使用目的等に応じて適当なものを用いることが可能であるが、ナイロン繊維やポリエステル繊維、ポリアミド繊維の如き合成繊維、アセテート繊維の如き半合成繊維、綿や麻や羊毛の如き天然繊維を単独、または2種以上を混合して、織物や編物、不織布等に限定することなく混合して用いることができる。好ましくは、ポリウレタン繊維を含有するものである。たとえばポリウレタン繊維を芯にして、その糸を延伸したところにナイロンの加工糸をS方向かZ方向にどちらか一方向に一重に巻きつけた糸であり、基布におけるポリウレタン繊維含有量は任意であるが、5〜40質量%、さらに10〜20質量%が好ましい。
樹脂層を形成する素材としては、塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられるが、柔軟性及び伸縮性に優れた合成皮革を実現するためには、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂の例を挙げると、ポリエステル共重合系、ポリエーテル共重合系、あるいはポリカーボネート共重合系のポリウレタン、ひまし油由来原料を共重合したポリウレタン、シリコーン、フッ素、アミノ酸等を共重合したポリウレタン樹脂がある。ポリウレタン樹脂の他には、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、これらを単独もしくは混合して用いることができる。
本発明における合成皮革は、主としてポリウレタン樹脂を水に可溶な溶剤に溶解させてなるポリウレタン溶液を基布にコーティングし、これを湿式凝固させてなる多孔質層を形成したものを採用するのが好ましい。
補強用布帛としては、合成繊維や天然繊維を使用した布帛が用いられる。補強用布帛は合成皮革の基布側に積層されるのが好ましい。タテ方向へ0.5N/cmの張力負荷時の伸び率が0〜5%、凝固処理工程での水中浸漬時の収縮率が0〜10%であることが好ましい。具体的には、ポリエステルタフタ、レーヨン織物等が例示される。
JIS−L1096、C法に準拠。幅50mm、長さ300mmの合成皮革の試験片を縦方向・横方向からそれぞれ3枚採取し、長さ200mm間隔に標線をつける。試験片の上部を装置の治具に標線の位置で固定する。荷重1.0kgfの治具を試験片下部の標線の位置に固定する。荷重を加えて1分間放置後の標線間隔(L)を測定する。定荷重伸度(%)は、次式で求められる。結果は平均値で表す。
定荷重伸度(%)=(L−200)/200×100
尚、人の手で伸縮性を評価した時に、伸縮性があると感じるのは、当測定方法では、30%以上であった。
JIS−L1096B−1法に準拠。幅50mm、長さ300mmの合成皮革の試験片を縦方向・横方向からそれぞれ3枚採取し、長さ200mm間隔に標線をつける。試験片の上部を装置の治具に標線の位置で固定する。荷重1.0kgfの治具を試験片下部の標線の位置に固定する。荷重を加えて1分間放置後、荷重を外し、3分間放置する。これを10回繰り返した後、荷重が加わっている状態での標線間隔(L10)と、荷重を外し、3分間放置した後の標線間隔(L’10)を測定する。
伸長回復率(%)は、次式で求める。結果は平均値で表した。
伸長回復率(%)=(L10−L’10)/(L10−200)×100 。
JIS−L1096A法に準拠し、測定した。試験機は、“テンシロン”(登録商標)万能材料試験機RTC−1250Aを用いた。結果は平均値で表す。
引張破断強度と同様にJIS−L1096A法に準拠し、測定した。試験機は、“テンシロン”(登録商標)万能材料試験機RTC−1250Aを用いた。結果は平均値で表す。
得られた積層体から補強用布帛を剥離した合成皮革から縦10cm×横10cmの試験片を採取し、平らな面に放置した時のカールの有無を観察した。
縫製した縫製品の歪みの有無を確認した。
基布として、ポリウレタン繊維を12質量%、ナイロン繊維を88質量%含む、片面起毛処理をした丸編物(密度:ウエル52本/in・コース92本/in、フロント;ナイロン70デニール/52フィラメント、バック;ポリウレタン30デニール)を準備した。この編物に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的で、補強用布帛としてレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/2.54cm)を起毛面とは逆の面に、アクリル/酢酸ビニル系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を基布(以下「基布A」という)として使用した。
また、この積層体を、目的とする縫製品である手袋の各部材の形状に裁断し、前記積層体から補強用布帛を剥離した後、それぞれの部材を縫製し、縫製品を製造した。縫製品の歪みの有無を表1に示す。
基布として、ポリウレタン繊維を10質量%、ナイロン繊維を90質量%含む、片面起毛処理をした丸編物(密度:ウエル40本/in・コース59本/in、フロント;ナイロン70デニール/52フィラメント、バック;ポリウレタン30デニール)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的で補強用布帛としてレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面に、アクリル/酢酸ビニル系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を基布(以下、「基布B」という)として使用した。
またこの積層体を、目的とする縫製品である手袋の各部材の形状に裁断し、前記積層体から補強用布帛を剥離した後、それぞれの部材を縫製し、縫製品を製造した。縫製品の歪みの有無を表1に示す。
基布として、ポリウレタン繊維を12質量%、ナイロン繊維を88質量%含む、片面起毛処理をした丸編物(密度:ウエル74本/in・コース92本/in、フロント;ナイロン70デニール/52フィラメント、バック;ポリウレタン30デニール)に加工時の通過性・寸法安定性を付与する目的で補強用布帛としてレーヨン素材の織物(打ち込み本数90本/in)を起毛面とは逆の面にアクリル/酢酸ビニル系のエマルジョン樹脂をバインダーとしてラミネートした複合素材を基布(以下「基布C」という)として使用した。
基布として、基布Aを使用した。
つぎに樹脂塗布した表面に、エンボス加工により毛穴シボ調の凹凸部を付与した。エンボス加工は凹凸模様の金型ローラを使用した。150℃まで加温した金型ロールで熱圧縮することにより、凹凸部を付与した合成皮革を得た。
基布として、基布Bを使用した。
基布として、基布Cを使用した。
つぎに樹脂塗布した表面に、エンボス加工により毛穴シボ調の凹凸部を付与した。エンボス加工は凹凸模様の金型ローラを使用した。150℃まで加温した金型ロールで熱圧縮することにより、凹凸部を付与した合成皮革を得た。
Claims (7)
- 基布および一層以上の樹脂層を有する伸縮性合成皮革と補強用布帛との積層体を、目的とする縫製品の部材の各種形状に裁断し、前記積層体から補強用布帛を剥離した後、各種形状の伸縮性合成皮革を縫製する、伸縮性合成皮革を有する縫製品の製造方法。
- 縫製品が手袋である請求項1に記載の縫製品の製造方法。
- 前記伸縮性合成皮革の基布が、ポリウレタン繊維を含有する基布である、請求項1または2に記載の縫製品の製造方法。
- 前記伸縮性合成皮革の定荷重伸度が、縦横それぞれ30〜150%である、請求項1〜3のいずれかに記載の縫製品の製造方法。
- 前記伸縮性合成皮革の伸長回復率が、縦横それぞれ80%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の縫製品の製造方法。
- 前記伸縮性合成皮革の基布と補強用布帛の接着強度が、0.1〜2.0N/cmである、請求項1〜5のいずれかに記載の縫製品の製造方法。
- 請求項1〜6の製造方法で得られた縫製品。
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2015
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