JP2014533536A - 医療用デバイスおよび医療用デバイスの使用を制限する方法 - Google Patents

医療用デバイスおよび医療用デバイスの使用を制限する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、医療用デバイスが最初に使用されたときに前記医療用デバイスのタイマを始動する工程と、医療用デバイスの使用限界を検出する工程と、医療用デバイスの使用限界を示す工程と(図1a)を含む、医療用デバイス(10)の使用限界を検出する方法に関する。安全性がさらに向上すると同時に使用限界が時期尚早に生じることがない、方法および医療用デバイスを提供することの技術的問題は、タイマが時限に達するかまたはそれを超えることである第1の判定基準、および前記医療用デバイスの駆動列の少なくとも1つの動作が限界に達するかまたはそれを超えることである第2の判定基準のうち、少なくとも1つが満たされたときに使用限界に達する、総括的な方法によって解決される。技術的問題は、本発明による方法を行うための医療用デバイスによってさらに解決される。

Description

本発明は、医療用デバイスが最初に使用されたときに前記医療用デバイスのタイマを始動する工程と、医療用デバイスの使用限界を検出する工程と、医療用デバイスの使用限界を示す工程とを含む、医療用デバイスの使用限界を検出する方法に関する。本発明はまた、本発明による方法を行うための医療用デバイスに関する。
特定のデバイスの場合、デバイスが依然として動作可能であっても、デバイスの寿命を制限することが必要である。これは特に、たとえばデバイスのユーザの身体的保全(physical integrity)のために、そのデバイスが適正に機能することが必須である場合に該当する。これは特に医療用デバイスの場合に該当するが、それは、デバイスによって提示または評価されるデータの正確さ、またはデバイスによって投与される特定の薬物の用量の正確さが、多くの場合、患者の健康にとって必須であるためである。したがって、重大な誤動作を防ぐために、恒久的にチェックまたは検査することができないデバイスを、一定の時間後に停止状態にすることができる。たとえば、最初の使用以降の経過時間が特定の限界に達した後でデバイスを無効にすることによって、医療用デバイスの最初の使用以降の経過時間を使用して医療用デバイスの寿命を制限することが、現況技術から知られている。
このようにして、多くの場合、まず、たとえば材料疲労の形である回避不能な磨耗によるあらゆる深刻なエラーが現れないようにすることが行われる。
本特許出願は、特に、少なくとも2つの薬作用物質を別個のリザーバから送達するための医療用デバイスに関する。かかる薬作用物質は、第1および第2の薬剤を含んでもよい。医療用デバイスは、薬作用物質を自動的に、またはユーザによって手動で送達するための、用量設定メカニズムを含む。
医療用デバイスは、注射器、たとえば手持ち型の注射器、特にペン型注射器、すなわち、医薬品を1つまたはそれ以上の複数回用量カートリッジから注射することによって投与する種類の注射器であり得る。特に、本発明は、ユーザが用量を設定することができる注射器に関する。
薬作用物質は、独立した薬作用物質(単一の薬物化合物)または予混合した薬作用物質(共製剤した(co-formulated)複数の薬物化合物)をそれぞれ収容した、2つ以上の複数回用量リザーバ、容器、またはパッケージに収容されてもよい。
特定の疾病状態は、1つまたはそれ以上の異なる薬剤を使用する治療を要する。薬物化合物によっては、最適な治療用量を送達するために、互いに特定の関係で送達する必要がある。本特許出願は、併用療法が望ましい場合であって、ただし、安定性、治療効果の低下、および毒性などであるがそれらに限定されない理由から、単一の製剤では不可能である場合に特に有効である。
たとえば、場合によっては、GLP−1またはGLP−1類似体(第2の薬物または二次薬剤とも呼ばれることがある)などのグルカゴン様ペプチド1と併せて、長時間作用型インスリン(第1のまたは一次薬剤とも呼ばれることがある)を用いて、糖尿病患者を治療するのに有益なことがある。
したがって、薬物送達デバイスの複雑な物理的操作を伴うことなくユーザが簡単に行える、単一の注射または送達工程で2つ以上の薬剤を送達するためのデバイスを提供することが求められている。提案される薬物送達デバイスは、2つ以上の活性薬作用物質に対して別個の貯蔵容器またはカートリッジ保持器を提供する。次に、これらの活性薬作用物質は、単一の送達手順の間に組み合わされ、かつ/または患者に送達される。これらの活性作用物質は組合せ用量で共に投与されてもよく、あるいは、これらの活性作用物質は、連続的な形で次々に組み合わされてもよい。
薬物送達デバイスはまた、薬剤の量を変動させる機会を可能にする。たとえば、ある流体の量を、注射デバイスの性質を変更する(たとえば、ユーザ可変の用量を設定する、またはデバイスの「固定」用量を変更する)ことによって変動させることができる。第2の薬剤の量は、各可変要素が異なる体積および/または濃度の第2の活性作用物質を収容する、様々な補助薬物収容パッケージを製造することによって変更することができる。
薬物送達デバイスは単一の投薬インターフェースを有してもよい。このインターフェースは、少なくとも1つの薬作用物質を収容する、薬剤の一次リザーバおよび二次リザーバと流体連通するように構成されてもよい。薬物投薬インターフェースは、2つ以上の薬剤がシステムを出て、患者に送達されることを可能にする、一種の出口であることができる。
別個のリザーバからの化合物の組合せは、両頭針アセンブリを介して身体に送達することができる。これは、ユーザの観点からすると、標準的な針アセンブリを使用する現在利用可能な注射デバイスに厳密に適合する形で薬物送達を実現する、組合せ薬物注射システムを提供する。1つの可能な送達手順は次の工程を伴ってもよい:
1.投薬インターフェースを電気機械的注射デバイスの遠位端に付着させる。投薬インターフェースは、第1および第2の近位針を備える。第1および第2の針はそれぞれ、一次化合物を収容した第1のリザーバおよび二次化合物を収容した第2のリザーバを穿孔する。
2.両頭針アセンブリなどの用量ディスペンサを投薬インターフェースの遠位端に付着させる。このようにして、針アセンブリの近位端は一次化合物および二次化合物の両方と流体連通している。
3.たとえば、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を介して、注射デバイスからの一次化合物の所望の用量をダイヤル・アップ/設定する。
4.ユーザが一次化合物の用量を設定した後、マイクロプロセッサ制御の制御部は、二次化合物の用量を決定または計算してもよく、好ましくは、以前に格納した治療用量プロファイルに基づいてこの第2の用量を決定または計算してもよい。この計算された薬剤の組合せは、次に、ユーザによって注射される。治療用量プロファイルはユーザ選択可能であってもよい。あるいは、ユーザは、二次化合物の所望の用量をダイヤルまたは設定することができる。
5.場合により、第2の用量が設定された後、デバイスは準備済みの状態(armed condition)におかれてもよい。任意の準備済みの状態は、制御パネル上の「OK」または「準備(Arm)」ボタンを押し、かつ/または保持することによって実現されてもよい。準備済みの状態は、組合せ用量を投薬するのにデバイスを使用することができる、所定の期間にわたって提供されてもよい。
6.次に、ユーザは、用量ディスペンサ(たとえば、両頭針アセンブリ)の遠位端を所望の注射部位に挿入または適用する。一次化合物および二次化合物(ならびに潜在的に第3の薬剤)の組合せの用量は、注射ユーザ・インターフェース(たとえば、注射ボタン)を起動することによって投与される。
両方の薬剤は、1つの注射針または用量ディスペンサを介して、および1つの注射工程で送達されてもよい。このことは、2つの別個の注射液を投与するのに比べてユーザ工程が低減されるという点で、便利な利益をユーザにもたらす。
かかるデバイスがその後で停止状態にされる寿命を判断するために、多くの場合、一般的な使用、たとえば一回当たり40単位を一日4回(単位は、薬剤の規定量、たとえばインスリンの基準として頻繁に使用される国際単位である)に関して仮定がなされる。しかし、これは、高用量のユーザにおける最悪の事例を網羅していない。
かかる医療用デバイスに関する安全性が重要であることにより、かかるデバイスの安全性をさらに改善することが求められている。たとえば、磨耗によるエラーの可能性をさらに低減するために、デバイスの許容される寿命を低減することが可能であろう。しかし、これによって「早すぎる」停止の回数も増加するので、これは不利である。これらのデバイスは、より長時間にわたって何らエラーを起こすことなく依然として動作可能であっても、停止状態にされている。
上記を考慮して、本発明は、安全性がさらに向上すると同時に使用限界が時期尚早に生じることがない、方法および医療用デバイスを提供することの技術的問題に直面している。
本発明の第1の態様によれば、技術的問題は、タイマが時限に達するかまたはそれを超えることである第1の判定基準、および前記医療用デバイスの駆動列の少なくとも1つの動作が限界に達するかまたはそれを超えることである第2の判定基準のうち、少なくとも1つが満たされたときに使用限界に達する、総括的な方法によって解決される。
タイマが時限に達するかまたはそれを超えると満たされる第1の判定基準だけでなく、第1の判定基準とは独立して、特に第1の判定基準が満たされる前に満たすことができる第2の判定基準も設けることによって、デバイスの安全性を改善することができる。駆動列の少なくとも1つの動作を制限することによって、医療用デバイスの使用の追加要素が、医療用デバイスの使用限界を検出する際に考慮に入れられる。デバイスの磨耗および使用のより精密な推定をこのようにして提供することができ、その結果、第1の判定基準の時限よりも早期に医療用デバイスの使用限界を示すことができると同時に、磨耗および使用によるデバイスのエラーのリスクを冒すことなく、第1の判定基準の時限をより寛大に設定することが可能になるが、それは、これらの態様が第2の判定基準によって付加的に考慮されるためである。
さらに、個々の使用限界がこのようにして提供されて、デバイスの安全性のリスクを冒すことなく、ユーザに対してデバイスの最大寿命が提供される。
安全性の度合いは、チェックする判定基準をより多くすることによって調節することができる。一般に、たとえば、できるだけ多数の判定基準をチェックすることは、適当なセンサのための資源およびスペースを要するので、得策ではないであろう。しかし、最小限の労力で最大限の安全性を提供するために、チェックする判定基準と、一連の構成要素における「最も脆弱なリンク」を表す、監視する要素とを選択することが可能である。
使用限界を判断するとき、2つ以上の判定基準のうち1つを満たすことが、デバイスがその使用限界に達していると見なすのに十分である。判定基準の両方またはすべての限界に達すると、医療用デバイスもその使用限界に達していると見なされる。
駆動列は、特に、ギヤリング配置、ステップ・モータなどの電気機械アセンブリ、ピストン・ロッド、駆動軸、および/または類似の要素のような要素を備えることができる。駆動列は、特に、たとえば栓に対する圧力を提供することによって、流体または薬剤をリザーバから排出するのに使用することができる。
駆動列の動作はデバイスの実際の使用に緊密に関係するので、医療用デバイスの駆動列の少なくとも1つの動作を考慮に入れることによって、実際の磨耗、およびしたがって不具合の実際のリスクの特に精密な推定を実現することができる。駆動列は磨耗しやすいことがある。たとえば、毎回の用量投薬の間、駆動列を動作させる必要がある。駆動列の動作から、医療用デバイスによって用量が投薬されたという一般的な事実以外も導き出すことができる。
さらに、たとえば、用量の実際のサイズの基準としての単位を計数することができる。用量数が計数される場合、各用量のサイズは計上されてもされなくてもよい。しかし、投薬された実際の単位が計数される場合、単に投薬が計上されるときに比べて医療用デバイスの磨耗の推定はより精密であり得るが、これは、たとえば、複数のより少ない用量が単回のより多い用量と同じ駆動列の移動を生じさせる可能性があるためである。特に、モータのステップ、稼働時間、および/またはその他など、駆動列の電気機械的アセンブリの動作を計数することが可能である。
駆動列の動作はデバイスに関するより詳細な情報を提供するので、用量送達が起こったことを単に検出するなど、他の動作と比べて、駆動列の動作を考慮することが特に有利である。
使用限界を示す工程は、たとえば、表示、可聴信号、または他の信号の形態で、使用限界をユーザに通知できることを意味するものと理解される。しかし、デバイスを停止状態にするかまたは遮断することによって、医療用デバイスのそれ以上の使用を防ぐことも可能であり、さらなる使用が不可能であるために、使用限界がユーザに対して暗示的に示される。使用の防止およびユーザに対する明示的な信号は両方とも、使用限界の指示として同様に提供されてもよい。最初にユーザに対して警告信号を提供し、ただしデバイスのさらなる使用を可能にし、第2の限界に達するか、または1つを超える判定基準が満たされたときにのみ、デバイスの使用を防ぐことも可能である。
使用の制限によって、使用を一時的または定常的に制限することが可能である。使用の制限は、一方では、通常は、デバイスがその寿命に達した後で定常的または不可逆的に起こるが、これはデバイスが適切に機能することを保証できなくなっているためである。使用を単に一時的または可逆的に制限することは、他方では、たとえば、使い過ぎを短期間防ぐことを可能にし、結果として医療用デバイスの過熱を防ぐことが可能である。特定の時間の後、たとえば15分後または1日後、制限を取り消すことができる。可逆的および不可逆的な限界の両方が提供されるのが特に好ましい。
医療用デバイスの限界を検出するときに考慮に入れられる、2つを超える判定基準が存在し得る。単一の判定基準のみが満たされたとき、複数の判定基準が満たされたとき、またはすべての判定基準が満たされたとき、医療用デバイスの使用限界を検出することが可能である。1つの判定基準は、駆動列の異なる動作に関する複数の限界も含んでもよい。また、駆動列の動作に関する複数の判定基準も存在してもよい。
タイマの一般的な時限は、1〜3年、特に2年である。限界は、好ましくは事前定義されるが、たとえば、デバイスの使用、または医療用デバイスに接続されるインターフェースの種類に応じて、この限界に影響を及ぼすことが可能である。
動作または作用が限界に達していると提示されると、それは、単一の動作または作用の計数限界に達していること、または個々の動作または作用の合計動作時間の時限に達していることを意味する。さらに、計数限界および時限の両方を考慮することが可能である。
さらに、個々の動作直後の動作計数または動作回数のどちらかを、合計カウンタまたはタイマに追加することが可能である。あるいは、動作計数および/または回数を、固定の期間後、たとえば1日後に追加することができる。
さらに、医療用デバイスの保存された用量送達履歴から、動作の個々の番号または動作回数を計算することが可能である。
本発明による方法の第1の実施形態によれば、駆動列の1つの動作は電気機械的アセンブリの工程数である。
電気機械的アセンブリは、この事例では、好ましくはステップ・モータである。少なくとも第2の判定基準として工程数を選択することによって、医療用デバイスの使用の非常に精密な推定を実現することができるが、それは、1つの用量が通常は複数の単位から成り、1つの単位が通常は複数の工程から成るためである。電気機械的アセンブリの工程数を制限することによって、医療用デバイスの使用が、医療用デバイスの使用限界の検出に関して考慮に入れられる。デバイスの磨耗および使用の特に精密な推定をこのようにして提供することができ、その結果、第1の判定基準の時限よりも早期に医療用デバイスの使用限界を示すことができると同時に、磨耗および使用によるデバイスのエラーのリスクを冒すことなく、第1の判定基準の時限をより寛大に設定することが可能になるが、それは、これらの態様が第2の判定基準によって付加的に考慮されるためである。
電気機械的アセンブリの工程は、それらが電気機械的アセンブリから命令または要求された際に計数されてもよい。これは特に簡単な実装を提供するが、それは、たとえば制御部が、たとえば制御信号を介して電気機械的アセンブリに送られる、工程数を計数できるためである。ハードウェアのさらなる適合は不要である。
電気機械的アセンブリの工程はまた、それらが検出された際に計数されてもよい。このようにして、電気機械的アセンブリの実際の移動のみが考慮されることを確認することができる。たとえば、一方では、命令された工程が、モータの失速またはデバイスの遮断によって実行されない事例であってもよい。他方では、工程が要求されなかったとしても、電気機械的アセンブリを移動させることが可能であることもある。したがって、デバイスの使用のより精密な基準を、このようにして提供することができる。実際の移動の検出は、たとえば動作検出器システムによって行うことができる。
さらに、投薬中または巻戻し中、すなわち電気機械的アセンブリの前進または後退移動中の、医療用デバイスの工程を計数することが可能である。両方の移動の間に計数することも可能である。
さらに、計数された数が、たとえば電気機械的アセンブリの速度とはほぼ独立していることが有利である。
本発明による方法の別の実施形態によれば、駆動列の1つの動作は巻戻しの回数である。
巻戻しは、たとえば、流体をリザーバまたはカートリッジから押し出すのに使用される、ピストン・ロッドの後退と見なされる。一般に、個々のカートリッジまたはリザーバが空であり、交換する必要がある場合にのみ、巻戻し動作が存在する。そうでなければ、従来、流体を分配するための、ほぼ順方向のピストン・ロッドの移動のみが存在する。たとえば、巻戻しサイクルの終了時におけるピストン・ロッドまたは栓の衝突を、完全な巻戻し動作のカウンタとして使用することができる。しかし、ユーザがたとえばデバイスを「触り」、カートリッジに対する医療用デバイスのドアを開けるか、またはカートリッジの排出ボタンを押すと、薬剤または流体が何も投薬されなかったとしても、これらの事例で起こる巻戻しも計上されるのが有利である。このようにして、別の方法では考慮されないであろう、追加の使用度合いが計上され、したがって医療用デバイスの安全性がさらに改善される。
しかし、いずれのカートリッジも取り替えることなく、ドア開放手順によって起こる巻戻し動作を無視することも可能であるが、それは、完全に消費され交換されるカートリッジが存在しないとき、デバイスの使用および磨耗が大幅に低いためである。
本発明による方法の次の実施形態によれば、駆動列の1つの動作は電気機械的アセンブリの実行時間である。
電気機械的アセンブリの実行時間は、たとえば制御部のタイマまたはカウンタによって、任意の追加のハードウェア構成を用いずに決定されてもよい。一般に、実行時間は電気機械的アセンブリを動作させる時間である。実行時間は、電気機械的アセンブリの前進および後退移動の両方を含んでもよく、また、投薬動作が行われない、たとえばユーザがデバイスの動作を試験するかまたは単にデバイスを触ることによる、デバイスの使用を含んでもよい。この付加的な使用時間の因子をこのようにして計上して、医療用デバイスの安全性をさらに改善することができる。
場合により、実行時間中のモータの速度が分かっているとき、その時間に基づいて、投薬された単位の推定を行うことができる。この追加情報に、たとえば合計実行時間における重み付け係数を計上することができる。
駆動列の動作はまた、投薬された用量または単位の数であることができる。用量数に関しては、合計数がより少ないときは必要な保存頻度がより少なく、単位数に関しては、使用のより精密な推定を実現することができる。
本発明による方法の別の実施形態によれば、駆動列の1つの動作は電気機械的アセンブリのパワー・サイクルである。パワー・サイクル数を、すなわち電気機械的アセンブリのオン切替えおよび/またはオフ切替えの数を計数することで、たとえば省電力のために、医療用デバイスとは独立してモータのオンオフが切り替えられてもよいので、使用の推定をさらに改善することができる。2つの薬物を送達するために2つのモータが提供される場合、投薬手順中にモータの1つがオフに切り替えられ、他方の薬物が投与されてもよい。電気機械的アセンブリのパワー・サイクルを考慮することによって、電気機械的アセンブリに関してデバイスの使用のより一層精密な推定がもたらされ、結果として医療用デバイスの安全性を改善することができる。
本発明による方法による別の実施形態によれば、さらなる判定基準は、カートリッジ取替え手順の動作が限界に達するかまたはそれを超えることである。
したがって、医療用デバイスの磨耗および使用は、第1および/または第2の判定基準によってだけではなく、さらなる判定基準によっても判断される。カートリッジ取替え手順の動作が限界に達するかまたはそれを超えるか否かにさらに基づいて、医療用デバイスの使用限界を検出することによって、デバイスの使用の精度のさらなる改善を実現し、結果として安全性を改善することができる。
特に、カートリッジ取替え手順の動作は、ドア開放動作である。毎回のカートリッジ取替えに関して、ドアの開放を必須にして、デバイス使用に関する情報を提供するためにドアの開放を監視し計数する可能性を提供することができる。さらに、ドア開放動作が、カートリッジの適切な交換を伴って、または伴わずに行われるかをチェックすることができる。医療用デバイスの使用は、たとえばドアが単に偶発的に開かれた場合に比べて、カートリッジが完全に消費されたときの方がはるかに大きいので、この影響を考慮に入れることができる。たとえば、偶発的なドア開放動作を完全に無視することができる。
さらに、一般に、カートリッジの内容は分かっているので、またカートリッジ交換前のドア開放動作の回数により、投薬された単位数を推定することができるので、消費された単位数を推定することが可能である。このことにより、医療用デバイスの磨耗および使用の推定の確度、ひいては安全性がさらに改善される。
あるいは、ドア閉止動作を同様に計数することができる。さらに、カートリッジ自体を、およびしたがってカートリッジ取替えを検出することが可能である。カートリッジ取替え手順の別の動作は、たとえば投薬インターフェースの取替えであるが、それは、通常それらがカートリッジと共に交換されるためである。これらの動作に関して、ドア開放動作と同じ利点が得られる。カートリッジ自体の取替えを同様に計数することができる。この目的のため、カートリッジの挿入または引抜き(unplugging)を、機械的および/または電子的に検出することができる。
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、さらなる判定基準は、医療用デバイスの充電プロセスの動作が限界に達するかまたはそれを超えることである。
一方では、たとえば、可搬型の医療用デバイスに提供される電池の充電時間を計数することが可能である。デバイスが主に電池電源と共に使用されるとき、充電の量はデバイスの使用および磨耗の量にほぼ比例する。電力消費量もまた、医療用デバイスの主要な電力消費材の、特に表示装置および電気機械的アセンブリの、パワーオン時間に対する基準であることができる。それに加えて、電池の耐久性に関する情報を充電回数から導き出すことができる。このように、デバイスの使用のさらに改善された推定を導き出して、より優れた安全性を提供することができる。
他方では、充電回数を計数することができる。充電時間が測定される場合に比べて追加のタイマが不要なので、これは有利である。また、たとえば、毎回の用量送達後にユーザが充電を行うことによって引き起こされる、電池の損傷をチェックすることが可能である。
本発明による方法の別の実施形態によれば、さらなる判定基準は、パワーオン時間が限界に達するかまたはそれを超えることである。医療用デバイスの要素のパワーオン時間を監視することによって、コストがほとんどかからず、かつデバイスの変更をほとんど伴わずに、医療用デバイスの使用の推定を導き出すことができる。
たとえば、デバイスの電源投入(powered-up)時間をパワーオン時間として提供することが可能である。これは、たとえば、電源ボタンを用いてタイマを起動させることによって簡単に具現化することができる。また、制御部の、たとえば主マイクロコントローラのパワーオン時間を、磨耗に対する基準として使用することを想起することができる。
しかし、電気機械的アセンブリの、たとえばモータまたはステップ・モータのパワーオン時間が、使用に対する基準として使用されるのがより精密であるが、それは、一般にデバイスは実際に使用することなく電源を入れることができ、結果として、デバイス全体または制御部のパワーオン時間が使用されると、過大に見積もられるためである。
また、表示装置のパワーオン時間をパワーオン時間として使用することが可能である。このパワーオン時間も実践するのが簡単であり、表示装置の使用の良好な推定が提供される。表示装置の誤動作から発生するリスクをより良好に推定することができる。同様に、LEDのパワーオン時間を使用に対する基準として提供することが可能である。たとえば、LEDのスイッチが入れられたときにタイマを起動させるか、またはその逆にすることができる。
さらに、ユーザの作用が限界に達するかまたはそれを超えるという、さらなる判定基準を提供することが可能である。かかるユーザの作用は、たとえばボタンを押すことであり得る。ボタン押しの計数は、簡単に実践することができ、ボタンの耐久性の良好な基準を直接提供するとともに、デバイス全体の耐久性の状態についての概算的な推定を提供する。
別の可能性は、デバイスのキャップの取外しまたは付着をユーザの作用として提供することである。この作用は、たとえばキャップ検出スイッチによって測定することができる。かかる判定基準も、デバイスの使用の良好な推定を提供し、一方でキャップ検出スイッチは簡単に実践することができ、フェールセーフであろう。
医療用デバイスのドア開放および閉止動作はまた、計数可能なユーザの作用の一種として見ることができる。
本発明の第2の態様によれば、技術的問題は、流体を収容するリザーバと、電気機械的アセンブリを備える駆動列と、流体チャネルと、制御部と、医療用デバイスの使用限界を示すように構成されたインジケータと、デバイスの最初の使用を検出するように構成された第1のセンサと、前記医療用デバイスの駆動列の少なくとも1つの動作を検出するように構成された少なくとも第2のセンサとを備える、本発明による方法を行うための医療用デバイスによって、さらに解決される。流体は、電気機械的アセンブリの移動によって、リザーバから流体チャネルを通して放出可能である。制御部およびセンサは、第1の判定基準および第2の判定基準のうち少なくとも1つが満たされると、使用限界に達するように構成される。
第1の判定基準だけではなく第2の判定基準にも基づいて使用限界に達したか否かを判断する、制御部およびセンサを提供することによって、デバイスの安全性を大幅に改善することができる。駆動列の少なくとも1つの動作を制限することによって、医療用デバイスの使用の追加要素が、医療用デバイスの使用限界の検出に関して考慮に入れられる。デバイスの磨耗および使用のはるかに精密な推定をこのようにして提供することができ、その結果、第1の判定基準の時限よりも早期に医療用デバイスの使用限界を示すことができると同時に、磨耗および使用によるデバイスのエラーのリスクを冒すことなく、第1の判定基準の時限をより寛大に設定することが可能になるが、それは、これらの態様が第2の判定基準によって付加的に考慮されるためである。
デバイスの最初の使用を検出するためのセンサは、デバイスが最初に電源を入れられると、スイッチが、たとえばトランジスタが起動されるように、ハードウェアによって具現化することができる。センサはまた、制御部が最初にスイッチを入れられるとタイマが起動されるように、制御部に、たとえば医療用デバイスの制御部に実装することができる。タイマも同様に、たとえば制御部に実装することができる。
医療用デバイスの駆動列の少なくとも1つの動作を検出するための第2のセンサは、主に監視される動作の種類に応じて、様々な形で設計することができる。たとえば、電気機械的アセンブリの移動を監視する必要があるとき、運動検出器を実装することができる。この運動検出器は、その結果、電気機械的アセンブリの巻戻し、またはステップ・モータのステップを検出することができる。電気機械的アセンブリの実行時間が判定基準である場合、センサは、制御部に、またはたとえば専用のモータ・ドライバに実装することもできる。したがって、少なくとも第2のセンサはまた、制御部自体によって具現化することができ、必ずしも別個のセンサでなくてもよい。駆動列の1つを超える動作を検出すべきである場合、より多数のセンサを設けることもできる。
本発明による方法の実施形態によれば、本発明による医療用デバイスのさらなる実施形態では、さらなるセンサを設けることができる。かかるセンサは、特に、特定の要素の電力消費を検出することができる電子回路であることができる。かかる要素は、たとえば、表示装置、電気機械的アセンブリ、制御部、および/またはマイクロコントローラであり得る。このセンサは、その結果、特定の作用の回数または時間のどちらを測定すべきであるか否かに応じて、カウンタまたはタイマを起動させることができる。
かかるセンサは、さらに、たとえばカートリッジの移動、ドアの開放もしくは閉止、キャップまたは投薬インターフェースの取外しもしくは付着などを検出する、任意の種類のアクチュエータまたはトリガであることができる。
使用限界を示すためのインジケータは、たとえば、知覚可能な信号をユーザに提供する、ユーザ・インターフェースであるものと理解される。かかる信号は、たとえば、任意の音声または視覚または触覚のものであってもよい。使用限界を示すために、たとえば、ロッキング機構によって医療用デバイスを電子的または機械的に停止状態にすることができる、インジケータを提供することも可能である。
制御部は、特に、作用または動作の計数された回数、または測定された時間を、個々の判定基準によって設定された限界と比較することができる。
さらに、それぞれ流体を収容する複数のリザーバ、それぞれ電気機械的アセンブリを備える複数の駆動列、特に各リザーバに対する駆動列、複数の流体チャネル、複数の制御部、医療用デバイスの異なるまたは同じ使用限界を示す複数のインジケータ、および/または複数のセンサが提供されることが可能である。
しかし、別個の駆動列をそれぞれ備えた2つのリザーバが提供されるのが特に好ましい。その場合、1つのみの駆動列および/またはリザーバに関して、使用限界を検出することが可能である。2つの流体または薬剤の使用の間にある関係が存在する場合、たとえば、第1の駆動列の使用および磨耗を、第2のものの使用から計算または推定することができ、またはその逆も可能である。当然ながら、両方の駆動列、および/または電気機械的アセンブリ、カートリッジ・ドアなどのさらなる要素に関して、使用限界を検出することも可能である。
さらに、薬物送達デバイス、特に可搬型の薬物送達デバイスが、本発明による医療用デバイスを備えるのが有利である。
本発明の第3の態様によれば、さらに、プログラムがプロセッサで実行されると、本発明およびそのすべての例示的な実施形態による方法を行うプログラム・コードを含む、プログラムが開示される。
たとえばプログラムは、たとえばインターネットなどのネットワークを介して分配されてもよい。プログラムは、たとえば、可読媒体上に、たとえばコンピュータ可読またはプロセッサ可読媒体上に、格納または符号化されてもよい。可読媒体は、たとえば、電気、磁気、電磁、光学、または他の記憶媒体として具体化されてもよく、取外し可能な媒体、または装置またはデバイスに固定的にインストールされる媒体のどちらかであってもよい。可読媒体は、たとえば、有形媒体、たとえば有形記憶媒体であってもよい。
本発明の様々な態様のこれらならびに他の利点は、添付図面を適切に参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、当業者には明白となるであろう。
本発明による方法の2つの例示的の実施形態を示す図である。 本発明による方法の2つの例示的の実施形態を示す図である。 本発明による有形記憶媒体9aの例示的な一実施形態を示す概略図である。 デバイスのエンド・キャップを取り外した送達デバイスを示す斜視図である。 カートリッジを示す送達デバイス遠位端の斜視図である。 1つのカートリッジ保持器が開位置にある、図2または3に示される送達デバイスの斜視図である。 図2に示される送達デバイスの遠位端に取外し可能に取り付けられてもよい、投薬インターフェースおよび用量ディスペンサを示す図である。 図2に示される送達デバイスの遠位端に取り付けられた、図5に示される投薬インターフェースおよび用量ディスペンサを示す図である。 送達デバイスの遠位端に取り付けられてもよい、針アセンブリの1つの配置を示す図である。 図2に示されるデバイスなどの薬物送達デバイスに取り付けられた、投薬インターフェースおよび針アセンブリの断面図である。 図2に示される薬物送達デバイスと共に使用される駆動メカニズムの概略図である。 図9に示される駆動メカニズムの別の概略図である。 図9に示される駆動メカニズムと共に使用されてもよい運動検出システムを示す2つの図である。 図2に示される薬物送達デバイスと共に使用される代替の駆動メカニズムを示す概略図である。
図1aは、本発明による方法の第1の例示的な実施形態を示す図を示している。医療用デバイスが、たとえば図2に示されるような薬物送達デバイス10が、工程1に示されるように最初に使用されると、続いて工程2に従ってタイマが始動する。最初に使用されるということは、デバイスが最初にスイッチを入れられること、最初に充電されること、カートリッジが最初に挿入されることなどを意味することができる。一般に、医療用デバイスが使用されるときに行われるすべての検出可能な工程を、タイマに対するトリガとして使用することができる。
タイマを始動させた後、ユーザは、工程3に示されるように、意図されるようなデバイスの使用を開始し継続する。医療用デバイスのこの「使用」の間、医療用デバイスの1つまたは複数の駆動列500(図9に示されるような)の動作が行われる。かかる動作は、たとえば、ステッパ・モータのステップ、またはモータの巻戻し動作であることができる。医療用デバイスの使用中に、第2の判定基準の一部である駆動列の関連動作が行われると、図1aの工程4で、カウンタが増加される。
この例では、駆動列の適宜の動作(according operation)が実行されるごとに、カウンタが増加される。あるいは、たとえば、特定の時間間隔後または特定のイベントの際にのみ、カウンタを増加させることが可能である。その場合、工程4は、毎日の終わりまたはカートリッジ取替え後にのみ実行されてもよい。前記カウンタは制御部によって管理することができる。
カウンタを増加させた後、第1および第2の判定基準のうち少なくとも1つが満たされたか否かがチェックされる。第1の判定基準が満たされたか否かをチェックするために、制御部は単に、タイマの現在の値(最初の使用以降の時間を表す)を、たとえば2年の時限と比較してもよい。第2の判定基準をチェックするために、制御部は、駆動列の特定の動作の繰返し回数が所定の限界に達するかまたはそれを超えるかを、観察または監視してもよい。
それらの判定基準の1つが満たされた場合、方法は、矢印6に沿って工程8に進み、医療用デバイスの使用限界が示される。この指示は、たとえば、図2に示されるような制御パネル領域60の表示装置80に警告を表示することによって具現化されてもよい。別の方法として、またはそれに加えて、PCBA 520、620、またはPCB上の電子構成要素を、医療用デバイス10のそれ以上の使用を阻害する状態にすることができる。判定基準のどちらも満たされない場合、方法は、矢印7に従って、医療用デバイスの使用に進む。
図1bは、図1aに示される実施形態に類似した、本発明による方法の第2の例示的な実施形態を示すさらなる図を示している。医療用デバイスの最初の使用が検出され、タイマが始動される工程1および2の後に、医療用デバイスはユーザによって通常通り使用される(工程3)。
上述の例とは対照的に、本発明による方法のこの例示的な実施形態によれば、医療用デバイスの駆動列の単一の動作が、カウンタ1を増加させることによって計数されるだけでなく、医療用デバイスの駆動列の第2の動作も、カウンタ2を増加させることによって計数される。たとえば、駆動列の巻戻しが行われると、カウンタ1が工程4aで増加されてもよく、電気機械的デバイスの実行時間に従って、カウンタ2が工程4bで増加されてもよい。上述したように、駆動列の適宜の動作が実行されるごとに、カウンタを増加させることができ、または、たとえば、特定の時間間隔後または特定のイベントの際にのみ、カウンタを増加させることが可能である。この実施形態では、カウンタ2は、電気機械的デバイスの実行時間を表し、かつ電気機械的デバイスの始動および停止に従って始動および停止されるタイマである。カウンタ1およびカウンタ2は両方とも、医療用デバイスの駆動列の動作を計数する。それらは両方とも、第1および第2の判定基準に関してチェックされる。第1または第2のカウンタの一方がその限界に達した場合、第1または第2の判定基準が満たされたものと見なされ、プロセスは、医療用デバイスの使用の限界または終了を示す工程8に進む。
それに加えて、工程4cによれば、医療用デバイスの一部のさらなる動作、たとえばドア開放、ドア閉止、カートリッジの挿入または取出しなど、カートリッジ取替えプロセスの動作に従って増加される、別のカウンタ3が存在する。さらなる(この場合は第3の)判定基準がこのように提供される。第1、第2、または第3のカウンタのうちの1つがその限界に達した場合、第1、第2、または第3の判定基準が満たされたものと見なされ、プロセスは、医療用デバイスの使用の限界または終了を示す工程8に進む。
本発明による方法のさらなる実施形態では、カウンタ1〜3は、必ずしも判定基準をチェックすることなく増加させることができる。判定基準は、カウンタが増加されるか否かとは独立して、図1bの工程5に従ってチェックすることができる。したがって、判定基準は、たとえば一日1回のみチェックされてもよい。判定基準1(タイマが限界に達する)、2(駆動列の2つの動作のうち少なくとも1つがその限界に達するかまたはそれを超える)、または3(カートリッジ取替え手順の動作がその限界に達するかまたはそれを超える)のうち1つが満たされた場合、方法は、矢印6に沿って工程8に進み、医療用デバイスの使用の限界または終了が示される。この指示は、たとえば、図2に示されるような制御パネル領域60の表示装置80に警告を表示することによって具現化されてもよい。別の方法として、またはそれに加えて、PCBA 520、620、またはPCB上の電子構成要素を、医療用デバイス10のそれ以上の使用を阻害する状態にすることができる。判定基準のいずれも満たされない場合、方法は、矢印7に従って、医療用デバイスの使用に進む。
図1cは、本発明による有形記憶媒体9aの例示的な一実施形態を概略的に示す。有形記憶媒体9aは、たとえば、医療用デバイスの使用限界を検出するためのプログラム・コード9cが、医療用デバイスが最初に使用されたときに医療用デバイスのタイマを始動する工程と、医療用デバイスの使用限界を検出する工程と、医療用デバイスの使用限界を示す工程とを含み、少なくとも第1の判定基準および第2の判定基準のうち少なくとも1つが満たされたときに使用限界に達し、第1の判定基準が、タイマが時限に達するかまたはそれを超えることであり、第2の判定基準が、医療用デバイスの駆動列の少なくとも1つの動作が限界に達するかまたはそれを超えることである、コンピュータ・プログラム9bを格納してもよい。有形記憶媒体9aは、可読媒体、たとえばコンピュータ可読またはプロセッサ可読媒体である。したがって、有形記憶媒体9aに格納されたコンピュータ・プログラム9bは、コンピュータまたはプロセッサによって実行可能であってもよい。有形記憶媒体9aは、たとえば、「読み出し専用メモリ」(ROM)またはフラッシュメモリなど、電気、磁気、電磁、光学、または他の有形記憶媒体として具体化されてもよく、取外し可能な媒体、またはたとえば図2の医療用デバイス10などの装置またはデバイスに固定的にインストールされる媒体のどちらかであってもよい。
図2に示される薬物送達デバイスは、近位端16から遠位端15まで延びる本体14を備える。遠位端15には、取外し可能なエンド・キャップまたはカバー18が設けられる。このエンド・キャップ18および本体14の遠位端15は、スナップ嵌めまたは形状嵌め接続をもたらすように共に働くので、一旦カバー18を本体14の遠位端15にかぶせると、キャップと本体の外表面20との間のこの摩擦嵌めによって、カバーが本体から不用意に落ちることが防止される。それに加えて、キャップ18の付着または取外しは、キャップの取外しおよび/または付着の回数を計数するために、本体14に実装されるアクチュエータによって検出することができるので、カートリッジ取替え手順の動作の限界を超えたかまたはそれに達したか否かの判定基準をチェックするために、この回数を使用することができる。
本体14は、マイクロプロセッサ制御部の形態の制御部と、2つの電気機械的駆動列と、少なくとも2つの薬剤リザーバとを収容する。エンド・キャップまたはカバー18が(図2に示されるように)デバイス10から取り外されると、投薬インターフェース200が本体14の遠位端15に取り付けられ、用量ディスペンサ(たとえば、針アセンブリ)がインターフェースに付着される。薬物送達デバイス10は、両頭針アセンブリなどの単一の針アセンブリを通して、第2の薬剤(二次薬物化合物)の計算された用量と、第1の薬剤(一次薬物化合物)の可変用量とを投与するのに使用することができる。投薬インターフェース200をカートリッジ取替えの間に決して交換してはならないにも係わらず、投薬インターフェース200の交換を、カートリッジ取替え手順の動作として使用することもできる。
駆動列は、第1および第2の薬剤の用量をそれぞれ排出するために、各カートリッジの栓に圧力を及ぼしてもよい。たとえば、ピストン・ロッドは、薬剤の単回用量に対して予め定められた量だけカートリッジの栓を前方に押してもよい。カートリッジが空のとき、ピストン・ロッドは本体14内部に完全に後退させられるので、空のカートリッジを取り外すことができ、新しいカートリッジを挿入することができる。たとえば、ピストン・ロッドの後退は、たとえば第2の判定基準に関する駆動列の動作として使用することができる。
制御パネル領域60は、本体14の近位端付近に設けられる。好ましくは、この制御パネル領域60は、組合せ用量を設定し注射するのにユーザが操作することができる複数のヒューマン・インターフェース要素と共に、デジタル表示装置80を備える。表示装置のパワーオン時間を、パワーオン時間に関する基準として使用することができる。この配置では、制御パネル領域は、第1の用量設定ボタン62、第2の用量設定ボタン64、および記号「OK」で指定される第3のボタン66を備える。それに加えて、本体の最近位端に沿って、注射ボタン74も設けられる(図2の斜視図では見えない)。ボタンは、ユーザの作用を測定するためのアクチュエータとして使用することができる。ボタンが押された回数が限界を超えた場合、使用限界に関する判定基準に達していることがあり、使用限界が示される。
カートリッジ・ホルダ40は、本体14に取外し可能に付着することができ、少なくとも2つのカートリッジ保持器50および52を収容してもよい。各保持器は、ガラス製カートリッジなど、1つの薬剤リザーバを収容するように構成される。好ましくは、各カートリッジは異なる薬剤を収容する。カートリッジ・ホルダ40、本体14、および/またはカートリッジ保持器50、52は、カートリッジを検出し、かつしたがってカートリッジ取替えも検出する、アクチュエータの形態のセンサを備えて、カートリッジ取替えプロセスの動作に対するさらなる可能性を提供してもよい。
それに加えて、カートリッジ・ホルダ40の遠位端では、図2に示される薬物送達デバイスは投薬インターフェース200を含む。図5に関して後述するように、1つの配置では、この投薬インターフェース200は、カートリッジ・ハウジング40の遠位端42に取外し可能に付着される外側本体212を含む。図2で分かるように、投薬インターフェース200の遠位端214は、好ましくは針ハブ216を備える。この針ハブ216は、従来のペン型注入針アセンブリなどの用量ディスペンサを、薬物送達デバイス10に取外し可能に取り付けることが可能になるように構成されてもよい。
一旦デバイスの電源が入れられると、図2に示されるデジタル表示装置80は明るくなり、特定のデバイス情報、好ましくはカートリッジ・ホルダ40内に収容された薬剤に関する情報をユーザに提供する。たとえば、一次薬剤(薬物A)および二次薬剤(薬物B)の両方に関する特定の情報がユーザに提供される。
図4に示されるように、第1および第2のカートリッジ保持器50、52はヒンジ式のカートリッジ保持器であってもよい。これらのヒンジ式保持器によって、ユーザがカートリッジにアクセスすることが可能になる。図4は、第1のヒンジ式カートリッジ保持器50が開位置にある、図2に示されるカートリッジ・ホルダ40の斜視図を示す。図4は、第1の保持器50を開き、それによって第1のカートリッジ90へのアクセスを有することによって、ユーザがどのようにして第1のカートリッジ90にアクセスしてもよいかを示している。
図2の考察において上述したように、投薬インターフェース200は、カートリッジ・ホルダ40の遠位端に連結される。図5は、カートリッジ・ホルダ40の遠位端に接続されていない投薬インターフェース200の平面図を示す。インターフェース200と共に使用されてもよい用量ディスペンサまたは針アセンブリも示されており、保護用の外側キャップ420内に設けられる。
図6では、図5に示される投薬インターフェース200はカートリッジ・ホルダ40に連結されて示されている。投薬インターフェース200とカートリッジ・ホルダ40との間の軸方向付着手段は、スナップ・ロック、スナップ嵌め、スナップ・リング、キー付きスロット、およびかかる接続の組合せを含む、当業者には知られている任意の軸方向付着手段であることができる。投薬インターフェースとカートリッジ・ホルダとの間の接続または付着は、コネクタ、止め具、スプライン、リブ、溝、ピップ(pips)、クリップ、および同様の設計機能など、特定のハブが合致する薬物送達デバイスにのみ付着可能であることを担保する、追加機能(図示なし)も含んでもよい。かかる追加機能は、合致しない注射デバイスに対する適切でない補助カートリッジの挿入を防止するであろう。特に、かかる追加機能は、カートリッジ取替えの回数を計数するセンサであり得る。
図6はまた、インターフェース200の針ハブに螺着されてもよい、投薬インターフェース200の遠位端に連結された針アセンブリ400および保護カバー420を示す。図7は、図6の投薬インターフェース200に取り付けられた両頭針アセンブリ400の断面図を示す。
図7に示される針アセンブリ400は、両頭針406およびハブ401を備える。両頭針またはカニューレ406は、針ハブ401に固定的に取り付けられる。この針ハブ401は、その周囲に沿って円周方向で垂下するスリーブ403を有する、円形ディスク形状の要素を備える。このハブ部材401の内壁に沿って、ねじ山404が設けられる。このねじ山404によって、1つの好ましい配置では遠位側のハブに沿った対応する雄ねじ山を備える投薬インターフェース200に、針ハブ401を螺着することが可能になる。ハブ要素401の中央部分には、突出部402が設けられる。この突出部402は、スリーブ部材とは反対方向でハブから突出する。両頭針406は、突出部402および針ハブ401を通して中心に取り付けられる。この両頭針406は、両頭針の第1のまたは遠位側の穿孔端部405が、注射部位(たとえば、ユーザの皮膚)を穿孔する注射部材を形成するようにして取り付けられる。
同様に、針アセンブリ400の第2のまたは近位側の穿孔端部406は、スリーブ403によって同心で取り囲まれるようにして、円形ディスクの反対側から突出する。1つの針アセンブリの配置では、第2のまたは近位側の穿孔端部406はスリーブ402よりも短くてもよいので、このスリーブは、バック・スリーブ(back sleeve)の尖った端部をある程度保護する。図5および6に示される針カバー・キャップ420は、ハブ401の外表面403の周りに形状嵌めをもたらす。
図8は、図2に示される薬物送達デバイス10のカートリッジ・ホルダ40の遠位端42に取り付けられた後の投薬インターフェース200を示す。両頭針400も、このインターフェースの遠位端に取り付けられる。カートリッジ・ホルダ40は、第1の薬剤を収容した第1のカートリッジと、第2の薬剤を収容した第2のカートリッジとを有するものとして示されている。
インターフェース200が最初にカートリッジ・ホルダ40の遠位端の上に取り付けられると、第1の穿孔針240の近位側穿孔端部244が第1のカートリッジ90のセプタムを穿孔し、それによって第1のカートリッジ90の一次薬剤92と流体連通した状態になる。第1の穿孔針240の遠位端も、弁シール260によって画成される第1の流体経路溝264と流体連通するようになる。
同様に、第2の穿孔針250の近位側穿孔端部254は、第2のカートリッジ100のセプタムを穿孔し、それによって第2のカートリッジ100の二次薬剤102と流体連通した状態になる。この第2の穿孔針250の遠位端も、弁シール260によって画成される第2の流体経路溝266と流体連通するようになる。
図8は、薬物送達デバイス10の本体14の遠位端15に連結されるような、投薬インターフェース200の好ましい配置を示す。好ましくは、かかる投薬インターフェース200は、薬物送達デバイス10のカートリッジ・ホルダ40に取外し可能に連結される。
図8に示されるように、投薬インターフェース200は、カートリッジ・ハウジング40の遠位端に連結される。このカートリッジ・ホルダ40は、一次薬剤92を収容した第1のカートリッジ90と、二次薬剤102を収容した第2のカートリッジ100とを収容するものとして示されている。一旦カートリッジ・ハウジング40に連結されると、投薬インターフェース200は、本質的に、第1および第2のカートリッジ90、100から共通の保持チャンバ280までの流体連通経路をもたらすメカニズムを提供する。この保持チャンバ280は、用量ディスペンサと流体連通しているものとして示されている。ここで、図示されるように、この用量ディスペンサは両頭針アセンブリ400を備える。図示されるように、両頭針アセンブリの近位端はチャンバ280と流体連通している。
1つの好ましい配置では、投薬インターフェースは、1つの向きでのみ本体に付着するように、すなわち一方向でのみ嵌合されるように構成される。そのため、図8に示されるように、一旦投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40に付着されると、主要な針240は、第1のカートリッジ90の一次薬剤92との流体連通にのみ使用することができ、インターフェース200は、主要な針240を今度は第2のカートリッジ100の二次薬剤102との流体連通に使用できるように、ホルダ40に付着し直すことができない。かかる一方向での接続メカニズムは、2つの薬剤92および102の間の潜在的な相互汚染を低減する助けとなってもよい。
図9は、駆動列500の1つの好ましい配置を含む、図2に示される薬物送達デバイス10の様々な内部構成要素を示す。これらの駆動列の動作は、運動検出器システムによって監視されるので、特に図10および11に示されるように、使用限界を検出することができる。図示されるように、図9は、電源または電池510に加えて、デジタル表示装置80と、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)520の形態の制御部とを示している。充電時間および/または充電計数など、電池電源の充電プロセスは、好ましくは、充電プロセスの制限された動作である判定基準と比較することができるデータを提供するために監視される。PCBA 520は、デジタル表示装置80と駆動列500との間に位置してもよく、電池または電源510はこれらの駆動列の下方に位置する。PCBAは、特に、使用限界に達したかまたはそれを超えたか否かの検出に応答可能であってもよい。PCBAは、特に、医療用デバイス10が最初に使用されたときに起動される、タイマを備えることができる。タイマは、たとえば、2年間にわたって秒数を継続的に計数する。たとえば、63,072,000秒に達すると、タイマがその限界に達したことに対する判定基準が満たされて、使用限界を示すことになる。デバイスは、もうそれ以上は動作不能であり得るか、または警告がユーザに対して出力されてもよい。電池または電源510は、デジタル表示装置80、PCBA 520、および駆動列500に電力を供給するように電子的に接続される。図示されるように、第1および第2のカートリッジ90、100は両方とも消費済みの状態で示されている。すなわち、第1および第2のカートリッジは、ストッパが最遠位位置にある空の状態で示されている。たとえば、第1のカートリッジ90(通常は第1の薬剤92を収容している)は、そのストッパ94が遠位位置にある状態で示されている。第2のカートリッジ100(通常は第2の薬剤102を収容している)のストッパ104は同様の位置で示されている。
図9を参照すると、1つまたはそれ以上の交換可能な電池などの電源510に適した位置を画成する、第1の領域が設けられていることが分かる。電源510は、充電可能な電源を含んでもよく、電源510がデバイス内に残っている状態で充電されてもよい。あるいは、電源510は、薬物送達デバイス10から取り外され、たとえば遠隔の電池充電器を用いて、外部で充電されてもよい。この電源は、リチウム・イオンまたはリチウム・ポリマー電源を含んでもよい。この好ましい配置では、電池510は、ほぼ平坦な長方形の電源を含む。
図10は、デジタル表示装置80およびPCBA 520の両方を省略した、図9に示される電気機械的システムの第1の配置を示す。図10に示されるように、駆動列500は、一次薬剤92を収容した第1のカートリッジ90および二次薬剤102を収容した第2のカートリッジ100から用量を排出するように動作する。第1の駆動列は、概して、第1のモータ530を備えた第1の機械的ドライバ502、第1のギヤリング配置540、および第1のピストン・ロッド514から成り、第2の駆動列は、概して、第2のモータ536を備えた第2の機械的ドライバ506、第2のギヤリング配置、および第2のピストン・ロッド516から成る。さらに、図10に示されるように、第1および第2のカートリッジ90、100は、ストッパが最遠位位置にある空の状態で示されている。
この好ましい電気機械的システム500では、システムは、各カートリッジ90、100用の独立した機械的ドライバを備える。すなわち、独立した機械的ドライバ502は第1のカートリッジ90から用量を排出するように動作し、かつ独立した機械的ドライバ506は第2のカートリッジ100から用量を排出するように動作する。3つの異なる薬剤に対して動作する代替の駆動列システムでは、3つの独立した機械的ドライバを設けることができる。独立した機械的ドライバは、PCBA 520などの制御部のモータ・ドライバの制御下で作用してもよい。
第1の独立した機械的ドライバ502は、第1のカートリッジ90から用量を排出するように動作する。この第1のドライバ502は、第1のギヤリング配置540に動作可能に連結された第1のモータ530を備える。このモータ530に通電するために、モータ・ドライバに電気的に接続する手段としてコネクタ532が設けられる。このコネクタを介して、動作信号をモータ530に送ることもできる。モータの移動を監視し、使用限界を検出するために、モータの要求された移動を駆動列の動作として使用することができる。この第1のギヤリング配置540は、第1の入れ子状ピストン・ロッド514の近位部分に機械的にリンクされる。第1の入れ子状ピストン・ロッド514は、遠位端521が第1のカートリッジ90のストッパ94に作用している完全に伸長された位置で示されている。
このギヤリング配置540が第1のモータ530の出力軸によって駆動されるにつれて、この配置540は第1の入れ子状ピストン・ロッド514の近位部分518を回転させる。ピストン・ロッド514のこの近位部分518が回転するにつれて、ピストン・ロッド514の第2のまたは遠位部分519が遠位方向で駆動される。
好ましくは、入れ子状ピストン・ロッド514の近位部分518は雄ねじ山517を備える。このねじ山517は、遠位部分519の近位端に短いねじ山付き区画を備える一体化されたナットを有する遠位部分519を係合する。この遠位部分519は、キー溝内で作用するキーによって回転が防止される。かかるキー溝は第1の入れ子514の中央を貫通してもよい。したがって、第1のギヤボックス配置540が近位区画518を回転させると、近位部分518の回転が遠位端521に作用し、それによって入れ子状ピストン・ロッドの遠位部分が駆動されて長手方向軸線に沿って延びる。
この遠位方向で移動して、ピストン・ロッド514の第2の部分519の遠位端521は、第1のカートリッジ90内に収容されたストッパ94に力を及ぼす。ピストン・ロッド514のこの遠位端521がストッパに力を及ぼすので、第1の薬剤92のユーザ選択用量がカートリッジ90から送り出され、付着された投薬インターフェース200に入り、結果として、上述したように、付着された針アセンブリ400から出る。
制御部または別の独立したコントローラなどのコントローラが最初に、第2の薬剤102の用量が要求されていると判断し、この用量を決定すると、第2の独立したドライバ506によって同様の注射動作が生じる。上述したように、特定の状況では、コントローラは、第2の薬剤102の用量が要求されていないと判断することがあり、したがってこの第2の用量は「0」用量に「設定」される。
好ましくは、モータ530、536は電子整流に適したモータを含む。最も好ましくは、かかるモータはステップ・モータまたはブラシレスDCモータのどちらかを含んでもよい。
第1および第2の薬剤92、102の用量を注射するために、ユーザは最初に、表示装置80上のヒューマン・インターフェース構成要素(たとえば、図1および4を参照)を用いて、一次薬剤の用量を選択する。第1の薬剤92からの薬物の用量が選択された後、マイクロコントローラは、第2の薬剤カートリッジからの第2の薬物102の用量サイズを決定するために、以前に格納されたアルゴリズムを利用する。この所定のアルゴリズムは、予め選択された治療プロファイルに基づいて、第2の薬剤102の用量を少なくとも部分的に決定する助けとなってもよい。1つの配置では、これらの治療プロファイルはユーザ選択可能である。あるいは、これらの治療プロファイルは、パスワードで保護され、医師または患者の介護者など、パスワードで認証された者のみが選択可能であってもよい。さらに別の配置では、治療プロファイルは、薬物送達デバイス10の製造または供給業者によってのみ設定されてもよい。そのため、薬物送達デバイス10は1つのプロファイルのみを含んでもよい。
第1および第2の薬剤の用量サイズが確立されると、ユーザは、注射ボタン74(たとえば、図2を参照)を押すことができる。このボタン74を押すことによって、モータ・ドライバ332、334は、第1および第2のモータ530、536の両方に通電して、上述した注射プロセスを開始する。
ピストン・ロッド514、516は、好ましくは、第1の完全に引き抜かれた位置(図示なし)と、第2の完全に伸長された部分(図10および11に示されるような)との間で移動可能である。ピストン・ロッド514、516が引き抜かれた位置にある状態で、ユーザは、個々のカートリッジ保持器を開き、空のカートリッジを取り外すことが可能になる。1つの好ましい配置では、ピストン・ロッド514、516のどちらかまたは両方が完全に引き抜かれた位置にあるときにそれを検出するように、エンド・ストップ・スイッチが薬物送達デバイス10の本体14内に設けられてもよい。エンド・ストップ・スイッチの作動によって、どちらかのカートリッジ90、100を交換するために本体へのアクセスが可能になるように、留め具または他の締結デバイスを解放してもよい。それに加えて、このスイッチは、カートリッジ交換の回数を計数するのに使用することができる。さらに、医療用デバイス10を用いて投薬された単位数を推定することが可能である。
1つの好ましい配置では、第1の薬剤92のユーザ選択用量および続いて第2の薬剤102の計算された用量を同時に投薬するように、第1および第2のモータ530、536は同時に動作する。すなわち、第1および第2の独立した機械的ドライバ502、506は両方とも、同時にまたは別の時点で個々のピストン・ロッド514、516を駆動することができる。このように、ここで上述した投薬インターフェース200を参照すると、第1の薬剤92は、第2の薬剤とほぼ同時に投薬インターフェース200の保持チャンバ280に入る。かかる注射工程の1つの利点は、実際の用量投与の前に、第1および第2の薬剤92、102の間である程度の混合が生じ得ることである。
注射後に、カートリッジ90、100の1つまたはそれ以上が使用済みであり、したがって交換が必要であると患者が判断した場合、患者は次のカートリッジ交換方法に従うことができる:
両頭針を投薬インターフェース200から取り外す;
投薬インターフェース200をデバイス10のカートリッジ・ホルダ40から取り外す;
デジタル表示装置80上のメニュー・オプションを有効にして、第1のカートリッジ90および/または第2のカートリッジ100を取り替える;
第1および/または第2のピストン・ロッド514、516を巻き戻す;
第1および/または第2のカートリッジ保持器ドアが急に開く;
ユーザは使用済みカートリッジを取り外し、この使用済みカートリッジを新しいカートリッジと交換する;
リザーバ・ドアは手動で閉じてもよい;
一旦ドアが閉じられると、第1および第2ピストン・ロッド514、516は前進するので、各ロッドの最遠位部分が個々のカートリッジのストッパに接し、マイクロプロセッサに連結された栓検出メカニズムが始動すると前進が止まる;
ユーザは、一方向のやり方でカートリッジ・ホルダ40上の投薬インターフェース200を交換する;
ユーザは、場合により、新しい両頭針を投薬インターフェース200に接続することができる;
ユーザは、場合により、デバイス10を用いてテスト・ショットまたは初回刺激工程を行うことができる;
また、ユーザは、次に、後に続く用量投与工程のために次の用量を設定することができる。
第1および/または第2のピストン・ロッドを巻き戻す工程など、工程の1つまたはそれ以上は自動的に行われ、たとえばマイクロコントローラ302によって制御されてもよい。上述の工程を限界と比較し、使用限界に達しているか否かを決定するために、上述の工程のいずれかを計数する適切なセンサを提供することが可能である。
代替配置では、コントローラは、第1および第2の独立した機械的ドライバ502、506が動作して、他の薬剤の前に第1の薬剤92または第2の薬剤102のどちらかを投薬してもよいようにプログラムされてもよい。その後、第2の薬剤または一次薬剤が次に投薬されてもよい。1つの好ましい配置では、第2の薬剤102は一次薬剤92の前に投薬される。
好ましくは、第1および第2のモータ530、536は電子整流を含む。かかる整流は、モータ暴走状態のリスクを最小限に抑える助けとなってもよい。かかるモータ暴走状態は、故障が起こっている標準的なブラシ・モータを備えるシステムで生じる可能性がある。モータ・ドライブ・システムの一実施形態では、ウオッチドッグ・システムが設けられてもよい。かかるシステムは、ソフトウェアの機能不全または電子ハードウェアの不具合がある場合に、モータのどちらかまたは両方に対する電力を除去する能力を有する。電力が除去されるのを防ぐために、電子ハードウェアおよび/またはマイクロコントローラ・ソフトウェアの多数の区画からの適当な入力を供給することが必要である。これらの入力パラメータの1つが不適当な場合には;電力をモータから除去してもよい。
それに加えて、好ましくは、モータ530、536は両方とも逆方向で動作させてもよい。この機能は、第1および第2の位置の間でピストン・ロッドに514、516を移動させることを可能にするために、求められることがある。
好ましくは、図10に示される第1の独立した駆動列502は、駆動列500の動作に対して使用限界を検出することができるように、第1の運動検出システム522を備える。
図11aは、図10に示される第1のモータ530の斜視図を示す。図11bは、デジタル・エンコーダ534と併せて、図11aに示される第1のモータ530を備える好ましい運動検出システム522を示す。
図11aおよび11bに示されるように、かかる運動検出システム522は、第1の独立したドライバ502から薬物送達デバイス10の制御部に対して動作および位置のフィードバックを提供するのに利用できるので有益なことがある。たとえば、制御部は、モータの全体的な移動を限界と比較することができ、デバイスの移動から、ステップ・モータによって行われる工程を計算することができ、または、検出された移動から、医療用デバイスによって投薬される単位を計算することができる。たとえば、第1の独立したドライバ502に関して、好ましい運動検出システム522は、第1のモータ・ピニオン524を使用することによって実現されてもよい。この第1のピニオン524は、第1のモータ530の出力軸531に動作可能に連結される。第1のピニオン524は、第1のギヤリング配置540の第1の歯車(たとえば、図10を参照)を駆動する回転ギヤリング部分526を備える。第1のモータ・ピニオン524はまた、複数のフラグ528a〜bを備える。この第1の運動検出システム配置522では、第1のピニオン524は第1のフラグ528aおよび第2のフラグ528bを備える。これらの2つのフラグ528a〜bは、モータを駆動したときに、モータ出力軸531およびしたがって接続された第1のピニオン524が回転するにつれて第1の光学エンコーダ534を通過するように、モータ・ピニオン524上に位置する。
好ましくは、第1および第2のフラグ528a〜bが第1の光学エンコーダ534を通過すると、エンコーダ534は特定の電気パルスをマイクロコントローラに送ることができる。好ましくは、光学エンコーダ534は、モータ出力軸の一回転当たり2つの電気パルスをマイクロコントローラに送る。そのため、マイクロコントローラはしたがって、モータ出力軸の回転を監視することができる。これは、さらに、駆動列の詰まり、投薬インターフェースまたは針アセンブリの不適当な取付け、または針の閉塞がある場合など、用量投与工程中に起こり得る位置エラーまたはイベントを検出するのに有利なことがある。
好ましくは、第1のピニオン524はプラスチック射出成形ピニオンを含む。かかるプラスチック射出成形部品は出力モータ軸531に付着されてもよい。光学エンコーダ534は、ギヤボックス・ハウジングに位置し、付着されてもよい。かかるハウジングは、第1のギヤリング配置540および光学エンコーダ534の両方を収容してもよい。エンコーダ534は、好ましくは、場合によってはPCBの軟質部分によって制御部との電気通信状態にある。好ましい配置では、図22および23に示される第2の独立した駆動列506は、第1の駆動列502の第1の運動検出システム522と同様の方式で動作する、第2の運動検出システム544を備える。
図12は、好ましい代替の駆動列配置600を含む、図2に示される薬物送達デバイス10の様々な内部構成要素を示す。図示されるように、図12は、電源または電池610に加えて、デジタル表示装置80と、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)620とを示している。PCBA 620は、デジタル表示装置80と駆動列600との間に位置し、この駆動列の下方に電池または電源610が位置してもよい。電池または電源610は、デジタル表示装置80、PCBA 620、および駆動列600に電力を供給するように電子的に接続される。この代替の駆動列配置600のデジタル表示装置80およびPCBA 620は、上述したのと同様のやり方で動作する。
図示されるように、第1および第2のカートリッジ90、100は両方とも消費済みの状態で示されている。すなわち、第1および第2のカートリッジは、ストッパが最遠位位置にある空の状態で示されている。たとえば、第1のカートリッジ90(通常、第1の薬剤92を収容している)は、そのストッパ94が端部または最遠位位置にあるものとして示されている。第2のカートリッジ100(通常、第2の薬剤を収容している)のストッパ104は、同様の端部位置で示されている。
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセジン−3もしくはエキセジン−4もしくはエキセジン−3もしくはエキセジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。

Claims (13)

  1. 医療用デバイスが最初に使用されたときに前記医療用デバイスのタイマを始動する工程と、
    前記医療用デバイスの使用限界を検出する工程と、
    前記医療用デバイスの前記使用限界を示す工程とを含む、医療用デバイスの使用限界を検出する方法であって、
    少なくとも第1の判定基準および第2の判定基準のうち少なくとも1つが満たされると、前記使用限界に達し、
    前記第1の判定基準が、前記タイマが時限に達するかまたは時限を超えることであり、
    前記第2の判定基準が、前記医療用デバイスの駆動列の少なくとも1つの動作が限界に達するかまたは限界を超えることであることを特徴とする、上記方法。
  2. 前記駆動列の1つの動作は電気機械的アセンブリの工程数である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記駆動列の1つの動作は巻戻しの回数である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記駆動列の1つの動作は前記電気機械的アセンブリの実行時間である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記駆動列の1つの動作は前記電気機械的アセンブリのパワー・サイクルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. さらなる判定基準は、カートリッジ取替え手順の動作、特にドア開放、ドア閉止、カートリッジ取替え、および/または投薬インターフェース取替えが、限界に達するかまたは限界を超えることである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. さらなる判定基準は、前記医療用デバイスの充電プロセスの動作が限界に達するかまたは限界を超えることである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. さらなる判定基準は、パワーオン時間が限界に達するかまたは限界を超えることである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. さらなる判定基準は、ユーザの作用が限界に達するかまたは限界を超えることである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 流体(92、102)を収容するリザーバ(90、100)と、
    電気機械的アセンブリ(530、536)を備える駆動列(500)と、
    流体チャネル(240、250、264、266、280、406)と、
    制御部(520、620)と、
    医療用デバイス(10)の使用限界を示すように構成されたインジケータと、
    前記医療用デバイス(10)の最初の使用を検出するように構成された第1のセンサ(520、620)と、
    前記医療用デバイス(10)の前記駆動列の少なくとも1つの動作を検出するように構成された少なくとも第2のセンサ(522、544)とを備え、
    ここで、前記流体(92、102)が、前記電気機械的アセンブリ(530、536)の移動によって、前記リザーバ(90、100)から前記流体チャネル(240、250、264、266、280、406)を通して放出可能であり、
    第1の判定基準および第2の判定基準のうち少なくとも1つが満たされると前記使用限界に達するように、前記制御部(520、620)および前記センサ(520、620、522、544)が構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を行う医療用デバイス。
  11. 請求項10に記載の医療用デバイスを備える、薬物送達デバイス、特に可搬型の薬物送達デバイス。
  12. 前記プログラム(9b)がプロセッサ(520、620)で実行されたとき、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を行うプログラム・コード(9c)を備える、コンピュータ・プログラム。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を行うプログラム・コード(9c)を備えるプログラムを有し、前記プログラム(9b)がプロセッサ(520、620)で実行される、コンピュータ可読媒体。
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