JP2014098184A - 多層dlc皮膜を有する摺動部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】密着性と耐摩耗性の双方の特性に優れた多層DLC皮膜を有する摺動部材を提供すること。
【解決手段】金属基材の表面に、Crからなる下地層と、Crと炭素を含む傾斜層と、Crとダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含むCr−DLC単層又はCr−DLC積層とからなる多層DLC皮膜を形成してなり、そして前記傾斜層は、前記金属基材の表面から遠ざかるに従い、Cr含有率が漸減するとともに、炭素含有率が漸増する傾斜組成を有してなる、摺動部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に耐摩耗性が求められる部材の表面保護に適する多層ダイヤモンドライクカーボン皮膜を摺動面に有する摺動部材に関する。
ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCという)は主に炭素と水素で構成される非晶質の硬質膜であり、硬度特性、耐摩耗性、固体潤滑性、熱伝導性及び化学的安定性に優れ、低摩擦係数を有するという特性を持つことから、こうした特性が求められる各種部材の表面改質に大きな効果を奏する。そのため、DLCは摺動部材、耐摩耗性機械部品、切削工具等、各種部材の表面層として利用されている。
但しDLCは基材となる金属との界面で剥離が発生しやすいという問題があり、基材との密着性を高める技術が種々提案されている。
たとえば特許文献1には、基材との密着性を改善する技術として、鉄系基材の上に、Crおよび/またはAlの金属からなる第1層とCrおよび/またはAlの金属と炭素を含む非晶質層からなる第2層からなる2層構造の中間層を設け、その上に最表面層としてDLC膜を形成する硬質多層膜形成体が提案されている。
特開2002−256415号公報
上述のように、DLCは高硬度且つ低摩擦係数という優れた特性を有するものの、既存のプロセスによる膜形成では基材との密着力が弱く、特許文献1に提案される技術においても、高い面圧下では必ずしも耐摩耗性を実現できているとはいえず、依然としてDLC皮膜を適用した摺動部材に関しては、高い密着性と耐摩耗性を兼ね備えたDLC皮膜形成技術が求められている。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、密着性と耐摩耗性の双方の特性に優れた多層DLC皮膜を有する摺動部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、金属基材の表面に、Cr金属層(下地層)、Crと炭素を含む傾斜層を設け、被摺動部材との接触面となる最上層部にCrとダイヤモンドライクカーボンからなる層としてCr−DLC単層又は前記Cr−DLC積層を設けることにより、密着性と耐摩耗性の双方に優れる多層DLC皮膜を有する摺動部材となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、金属基材の表面に、
Crからなる下地層と、Crと炭素を含む傾斜層と、Crとダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含み且つCr含有率が層の厚さに亘って実質的に変化しないCr−DLC単層とからなる多層DLC皮膜、或いは、
Crからなる下地層と、Crと炭素を含む傾斜層と、CrからなるCr層とDLCからなるDLC層とが交互に重なるCr−DLC積層とからなる多層DLC皮膜
を形成してなり、
そして前記傾斜層は、前記金属基材の表面から遠ざかるに従い、Cr含有率が漸減すると
ともに、炭素含有率が漸増する傾斜組成を有してなる、摺動部材に関する。
本発明の摺動部材は、前記傾斜層と、前記Cr−DLC単層又は前記Cr−DLC積層との間に、ナノインデンター測定法に従う測定にて20GPa未満の硬さを有する低硬度DLC層をさらに形成していても良い。
また本発明の摺動部材において、前記Cr−DLC単層又は前記Cr−DLC積層が、2〜12原子%のCr含有率を有することが好ましい。
さらに前記Cr−DLC積層が、Cr層−DLC層 1周期あたり、6nm以上8nm以下の厚さを有することが好ましい。
そして前記Cr−DLC単層又は前記Cr−DLC積層が、ナノインデンター測定法に従う測定にて20GPa以上の表面硬さを有することがより好ましい。
本発明によれば、金属基材との密着性に優れ、しかも硬度と摩耗性の双方の特性を同時に満足させた多層DLC皮膜が形成された摺動部材を提供することができる。
図1は、本発明にかかる多層DLC皮膜の構造を示す概念図であり、最上層部がCr−DLC単層であるもの(図1(a))、最上層部がCr−DLC積層であるもの(図1(b))を示す図である。 図2は、本発明にかかる低硬度DLC層を含む多層DLC皮膜の構造を示す概念図であり、最上層部がCr−DLC単層であるもの(図2(c))、最上層部がCr−DLC積層であるもの(図2(d))を示す図である。 図3は、本発明で使用可能なマグネトロン・スパッタ装置の概念図である。 図4は、比較例1(最上層部におけるDLC層−Cr層の積層周期を12nmに設定)におけるCr−DLC積層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である(倍率30万倍)。 図5は、実施例3(最上層部におけるDLC層−Cr層の積層周期を2nmに設定)におけるCr−DLC単層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である(倍率30万倍)。 図6は、実施例4(最上層部におけるDLC層−Cr層の積層周期を6nmに設定)におけるCr−DLC積層の最表面から内部(基材側)に向かうエッチング深さ別の炭素(□)及びCr(▲)の含有率を示す図である。 図7は、実施例2(最上層部におけるDLC層−Cr層の積層周期を0.6nmに設定)におけるCr−DLC単層の最表面から内部(基材側)に向かうエッチング深さ別の炭素(□)及びCr(▲)の含有率を示す図である。 図8は、実施例1乃至実施例4及び比較例1における、最上層部におけるDLC層−Cr層の積層周期(nm)に対する摺動部材の表面硬度を示すグラフである。 図9は、実施例1乃至実施例8並びに比較例1乃至比較例3及び比較例5における、最上層部のDLC層−Cr層の積層周期に対する面圧1.3GPaにおける比摩耗量を示すグラフである。 図10は、図10は、実施例1乃至実施例8並びに比較例1乃至比較例3及び比較例5における、最上層部のDLC層−Cr層の積層周期に対する面圧1.3GPaにおける比摩耗量を示すグラフ(図9の縦軸の縮尺を変えたもの)である。
本発明が対象とする摺動部材としてはたとえば、滑り軸受、転がり軸受、ローラー、プーリー、リニアガイドなどが挙げられ、滑りによる摺動面のみならず、転がりと滑りを伴う転がり摺動面を有する部材も含まれる。
こうした摺動部材は、例えば炭素鋼、軸受鋼、ステンレス鋼などの鉄系材料、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金など機械部品に通常使われる金属材料から構成されるが、これら金属材料からなる摺動部材の摺動面に高い硬度のDLC層を形成した場合、具体的にはナノインデンター測定法(ISO 14577)による硬度が20GPa以上の硬度を有するDLC層を形成した場合、金属材料とDLC層との密着性が劣るという問題が生ずる。一方、硬度が20GPa未満の低い硬度のDLC層を形成すると、密着性は改善されるものの、摩耗量が増加するという問題が生ずる。
本発明者らはこうした問題を考慮し、良好な摩耗特性と良好な密着性を両立させた多層DLC皮膜を有する摺動部材の構成を以下の通り考案した。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明は、金属基材の表面に多層DLC皮膜を設けた摺動部材であって、該多層DLC皮膜は、金属基材側からCrからなる下地層と、Crと炭素を含む傾斜層と、そして被摺動部材との接触面となる最上層部として、Crとダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含み且つCr含有率が層の厚さに亘って実質的に変化しないCr−DLC単層とから構成されるか、或いは、金属基材側からCrからなる下地層と、Crと炭素を含む傾斜層と、そして被摺動部材との接触面となる最上層部として、CrからなるCr層とDLCからなるDLC層とが交互に重なるCr−DLC積層とから構成されることを特徴とする。
そして前記傾斜層は、前記金属基材の表面から遠ざかるに従い、Cr含有率が漸減するとともに、炭素含有率が漸増する傾斜組成を有する。
図1及び図2は、本発明にかかる多層DLC皮膜の構造を示す概念図である。
図1(a)に示すように、上記多層DLC皮膜の構造は、金属基材の上に順にCr100%で構成される下地層、傾斜層、Cr−DLC単層が形成される。また図1(b)に示すように、下地層、傾斜層、そしてDLC層とCr層が交互に積層されてなるCr−DLC積層として形成されてもよい。
前記傾斜層とCr−DLC単層又はCr−DLC積層の間には、低硬度DLC層を形成することができる(図2(c)、(d))。
上記金属基材としては特に種類を問わず、例えば炭素鋼、軸受鋼、ステンレス鋼などの鉄系材料、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金など、機械部品に通常使われる材料を使用することができる。
上記傾斜層は、Crと炭素から構成され、下層の金属基材側(下地層側)から最上層部であるCr−DLC単層又はCr−DLC積層に向けて、Crの含有率が段階的又は連続的に減少する、すなわち、Crの原子%が100%から0%に減少し、一方、炭素の含有率が段階的又は連続的に減少する、すなわち炭素の原子%が0%から100%に増加する、傾斜組成を有して成る。
こうした傾斜組成の構成を採用することによって、多層DLC皮膜の機械的特性を金属基材側から最上層部(Cr−DLC単層又はCr−DLC積層)側に段階的または連続的に変化させることができ、これによってサーマルショック等による局所的な応力集中による剥離を防止することができる
傾斜層の厚さは特に限定されないが、例えば100nm乃至300nmから選択することができる。
被摺動部材との接触面となる最上層部は、CrとDLCから構成され、Cr含有率が層の厚さに亘って実質的に変化しないCr−DLC単層(図1(a)、図2(c))、或いは、CrからなるCr層とDLCからなるDLC層を交互に積層させてなるCr−DLC積層(図1(b)、図2(d))として形成される。なおCr−DLC積層の場合、図1(b)及び図2(d)に示すように、最上層はDLC層が形成される。
最上層部におけるCrの含有率は、Cr−DLC単層/Cr−DLC積層の形態を問わず、2乃至12原子%とすることが望ましく、より望ましくは10乃至12原子%である。
また最上層部の厚さは特に限定されないが、例えば500nm乃至800nmから選択することができる。
最上層部は、後述するスパッタ装置を用いてCr層とDLC層を交互に積層することによって形成され、ここで、Cr層とDLC層の1周期当たりの厚さの違いによって、Cr含有率が実質的に変化しないCr−DLC単層の形態となるか、或いはCr−DLC積層の形態となるかが決まる。
具体的には、Cr層−DLC層の1周期当たりの厚さが6nm未満に設定して層形成すると、Cr層とDLC層が交互に形成されてなるいわゆる積層構造は形成されずに、CrとDLCが混合して層を形成することとなり、Cr含有率が実質的に変化しないCr−DLC単層の形態となる。
一方、1周期当たりの厚さを6nm以上に設定して層形成すると、Cr層とDLC層が交互に形成される積層構造を形成する。
但し本発明においては、Cr層−DLC層の1周期当たりの厚さを8nmより厚くすると、耐摩耗性が低下するため望ましくない。
また最上層部(Cr−DLC単層又はCr−DLC積層)は、ISO 14577に基づくナノインデンター測定法に従う測定にて、20GPa以上の表面硬さを有することが好ましい。但し、38GPa以上の表面硬さとすると、耐摩耗性の低下につながるため望ましくない。
前記傾斜層と最上層部(Cr−DLC単層又はCr−DLC積層)の間に低硬度DLC層が形成される場合、低硬度DLC層の硬度は、ISO 14577に基づくナノインデンター測定法に従う測定にて、最上層部より低い硬さ、具体的には20GPa未満の硬さとなるように設定する。
低硬度DLC層は後述するスパッタ装置を用いた成膜プロセスにおいて、金属基材に付加するバイアス電圧をゼロ、すなわちバイアス無しでDLCを成膜することによって得ることができる。バイアス無しで成膜することにより、得られるDLCはナノインデンター測定法による硬さが20GPa未満となり、この層は、硬さが例えば20GPa以上である高硬度DLCとなる最上層部よりも、下地層に対する密着性に優れるので層の剥離がより効果的に防止される。
低硬度DLC層の厚さは例えば50nm乃至300nmから選択することができる。
なお、本発明においては、低硬度DLC層の厚さが上述のごとくおよそ50nm乃至300nmであるのに対し、最上層部がCr層とDLC層を交互に積層させてなるCr−DLC積層の場合のDLC層の膜厚は数nmとなるため、低硬度DLC層は積層部分のDLC層とは区別して考えることができる。
図1及び図2に示す本発明にかかる多層DLC皮膜の構造は、図3に示すマグネトロン・スパッタ装置を用いて形成される。
具体的な成膜プロセスは以下のとおりである。
まず洗浄によって表面を清浄にした金属基材をドラムにセットし、準備室である真空チャンバCH1内にドラムを移動させる。真空チャンバCH1内を、実質的な真空状態になるまで排気した後、Arガスを導入してArガス雰囲気とする。ここで金属基材は、成膜前に真空チャンバCH1内で高周波電源RFによってバイアス電圧が印加され、Arプラズマでイオンボンバード処理される。本処理により基材表面がエッチングされてクリーニングされる。こうした成膜前の高周波バイアスによるクリーニング処理を行うことで、基
材表面の不純物が除去されるとともに、基材表面が活性化し、基材表面への薄膜の密着力が向上する効果が得られる。
次に、成膜室である真空チャンバCH2内にドラムを移動し、Arガス雰囲気での成膜が実施される。真空チャンバCH2内には、Cr金属層(下地層、Cr−DLC積層におけるCr層)、傾斜層、Cr−DLC単層及びCr−DLC積層におけるDLC層などを形成するための炭素材及びCr材によるターゲット(Cターゲット、Crターゲット)を取り付ける。
Arガス圧力をスパッタに適した圧力に設定し、ドラムを回転させ、DCパルス電源によって金属基材に負のバイアス電圧を印加しながら、AC電源(図示せず)によってCターゲット或いはCrターゲット側にスパッタ電力を供給すると、グロー放電が発生して成膜が開始する。
ここで皮膜を構成する層の種類、膜厚や硬さの制御は、Arガス圧力、バイアス電圧、スパッタ電力、ドラムの回転速度、成膜時間などを調節して行われる。また最上層部におけるCr層とDLC層の厚さの比率や積層周期の制御も同様にして行われる。
成膜時の標準的な条件は、Arガス圧力1〜5Pa程度、バイアス電圧0〜−200V、スパッタ電力0.4〜10kW、ドラム回転速度1〜100rpmである。
各層を順に形成し、所定の膜厚に達したら、スパッタ電力供給を止めて成膜プロセスを終了し、真空チャンバCH2から真空チャンバCH1そして外部へとドラムを移動させ、基材を取り出し、多層DLC皮膜の構造を有してなる基材(摺動部材)を得る。
本発明にかかる摺動部材において、金属基材表面に形成する多層DLC皮膜の総膜厚は0.5〜3μm程度とすることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1乃至実施例8乃至比較例1及び比較例2]
図1及び図2に示す多層DLC皮膜の構造を有してなる摺動部材を下記手順にて作製した。なお実施例1乃至実施例3は図1(a)に、実施例4及び比較例1は図1(b)に、実施例6乃至実施例7は図2(c)に、実施例8及び比較例2は図2(d)に、それぞれ示す多層DLC皮膜の構造を有してなる摺動部材である。
金属基材としては、マルテンサイト系ステンレス鋼[鏡面(Ra<0.1μm程度)のφ20mm角、厚さ3mm]を用い、これをアルカリ槽と純水槽にて超音波洗浄した後乾燥した。洗浄処理を施した金属基材を、図3のマグネトロンスパッタ装置内に取り付けた後、2×10−5Torr(2.6×10−3Pa)まで真空引きし、ヒータにてベーキングした後、Arプラズマにてイオンボンバード処理し、基材表面をエッチングによりクリーニングした。
クリーニング後の基材に対し、前述の成膜プロセスに従い、下記1)〜4)の順に、膜厚等の条件を満足するようにArガス圧力、バイアス電圧、スパッタ電力、ドラム回転速度を適宜調整し、層形成した。
1)下地層:Cr含有率100%および膜厚約250nmにて形成。
2)傾斜層:Cr含有率を100%から0%(すなわち炭素含有率を0%から100%)まで段階的に変化させながら、膜厚70nm〜90nmにて形成。なお、所望のCr/炭素混合比率になるように、C及びCrターゲットの印加電力を決定し、順次各ターゲットの電力を変化させて混合比率を調整するとともに、積層構造とならないようにドラムの回転速度を適宜調整した。
3)低硬度DLC層:実施例5乃至実施例8並びに比較例2においては、傾斜層に連続して、膜厚70nm〜125nmにて形成。金属基材に印加するバイアス電圧をゼロとすることにより、ISO 01577に基づくナノインデンター測定法に従う測定にて硬度を15GPaに設定。
4)最上層部:実施例1乃至実施例3及び実施例5乃至実施例6においては、Cr層とDLC層の積層周期を0.06nm、0.6nm、2nm、実施例4及び実施例8は同6nm、比較例1及び比較例2は同12nmとし、膜厚約600nm〜700nmにて形成。なお、所定の積層周期(Cr層、DLC層の膜厚)となるように、C及びCrターゲットの印加電力を調整するとともに、ドラムの回転速度適宜調整した。
低硬度DLC層の膜厚、最上層部の積層周期(積層の有無)、膜厚、硬さ、Cr含有率及び成膜時の金属基材に印加したバイアス電圧について表1に示す。なお、表1のCr含有率はX線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)による測定値である。
[比較例3乃至比較例6]
最上層部(Cr−DLC単層又はCr−DLC積層)の代わりに、低硬度DLC層(硬度15GPa)又は高硬度DLC層(硬度38GPa)を単層にて層形成した以外は、前述の手順に従い、比較例3乃至比較例6の摺動部材を形成した。
なお、比較例3及び比較例4は傾斜層の上にDLC単層を形成し、比較例5及び比較例6は傾斜層の上に低硬度DLC層を形成した後、DLC単層を形成した。
低硬度DLC層の膜厚、DLC単層の硬さ、膜厚、DLC単層成膜時の金属基材に印加したバイアス電圧及びDLC単層成膜時のArガス圧力について表2に示す。
図3に示すマグネトロン・スパッタ装置において、ドラムの回転につれて基材がCrターゲット側を向くとCr層が成膜され、Cターゲット側を向くとDLC層が成膜される。また、バイアス電圧を一定にしたときはスパッタ電力の強弱によって膜形成速度を変化させることができる。CrターゲットとCターゲットの両方に同時にスパッタ電力を与えると、ドラムが一周するごとにCr層とDLC層が交互に積層される。また、CrターゲットとCターゲットに供給する電力によって、Crと炭素の含有率または各層の膜厚が変化する。したがって、ドラム回転速度とスパッタ電力の制御によって積層周期およびCrと炭素の比率の制御が可能である。
表1に示すように、実施例1乃至実施例8では最上層部を形成する際、スパッタ装置の積層周期を0.06nm乃至6nmに設定して成膜を行った。また、比較例1及び比較例2では積層周期を12nmに設定し、成膜を行った。
図4に、比較例1における最上層部(DLC−Cr積層)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、図5に、実施例3における最上層部(DLC−Cr単層)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ示す。
また図6に、実施例4における最上層部(DLC−Cr積層)の最表面から内部(基材側)に向かって皮膜を徐々にエッチングして除去し、異なるエッチング深さで炭素及びCrの含有率をXPSによって測定した結果を、図7には同じく実施例2(DLC−Cr単層)における結果を、それぞれ示す。
図4に示すように、DLC層−Cr層の積層周期を12nmに設定した比較例1では、DCL層とCr層が交互に重なる多層構造が得られた。なお、積層周期を6nmに設定した実施例4及び実施例8においても同様の多層構造が得られ、積層周期を6nm以上に設定することにより、Cr層とDLC層が交互に形成される積層構造となることを確認した。
一方、積層周期を6nm未満、例えば2nmに設定した実施例3では、図5に示すように多層構造は見られなかった。これは積層周期を6nm未満に設定すると周期が小さすぎるため、Cr層とDLC層を個別の層として形成するまでに至らず、CrとDLCが混合して層を形成し、Cr含有率が実質的に変化しないCr−DLC単層となったと考えられる。
また図7に示すように、設定した積層周期が0.6nmの実施例2においては、エッチング深さに関係なく、炭素とCrの含有率がそれぞれ約90原子%と約10原子%に一定に保たれるとする結果を得た。これはCrとDLCが混合して、Cr−DLC単層が形成されていることを示す結果であった。
一方、図6に示すように、設定した積層周期が6nmの実施例4においては、エッチン
グ深さによって炭素含有率が88〜98原子%の間で、Cr含有率が2〜12原子%の間で、いずれも周期的に変化するという結果を得た。また、炭素の含有率が極大値を取るとき、Crの含有率が極小値を取り、炭素の含有率が極小値を取るときにはCrの含有率が極大値を取るという結果を得た。すなわちこの結果においても、積層周期を6nm以上に設定することにより、最上層部がCr層とDLC層が交互に形成される積層構造を有していることが確認された。
図8は、実施例1乃至実施例4及び比較例1において、最上層部を形成するに当たり設定したDLC層−Cr層の積層周期と、摺動部材の表面硬度(多層DLC皮膜の硬度)の関係を示すグラフである。図8に示すように、積層周期6nm付近で最大硬度が得られ、硬度のみの観点を考慮すると、DLC層−Cr層の積層周期を0.6nm〜10nmの範囲に設定することが望ましいとする結果となった。特に積層周期を2〜8nmの範囲とすることにより、20〜23GPaの硬度を得られ、耐摩耗性に優れる摺動部材を得られることから、この数値範囲に最上層部のDLC層−Cr層の積層周期を設定することが望ましい。
実施例1乃至実施例8並びに比較例1乃至比較例6の摺動部材における多層DLC皮膜に対して、その耐摩耗特性をボールオンディスク装置により評価した。
試験条件は高負荷荷重を想定して面圧1.3GPaとし、ボールはφ6mmの窒化珪素ボール、無潤滑下、回転速度480rpmとした。なお摺動部材の金属基材としてマルテンサイト系ステンレス鋼を採用した。
得られた結果を表3に示す。また表3の結果をグラフ化した図を図9及び図10(図9の縦軸の縮尺を変えたもの)に示す。
比較例4及び比較例6は、表2に示すようにDLC単層の硬度が38GPaであり、実施例の摺動部材(19〜23GPa、表1参照)や他の比較例の摺動部材と比べて最も高硬度であったが、表3に示すように、比摩耗量が最も大きいとする結果となった。このようにDLC単層はそれ自体が高硬度であっても、高い面圧下では必ずしもよい耐摩耗性を示さないとする結果となった。
一方、実施例1乃至実施例8においては、いずれも比較例よりも一桁以上小さい比摩耗量を示し、例えば実施例4及び実施例8(積層周期:6nm)は、比較例1及び比較例2
(積層周期:12nm)に対して、約3,000倍の比摩耗量を示した。
この結果は、摩耗特性を考慮すると、最上層部のDLC層−Cr層の積層周期を0.06nm〜8nmの範囲に設定することが好ましく、特に積層周期を0.6〜6nmとすることが特に好適であるとする結果となった。
さらに、低硬度DLC層の有無で摩耗特性を比較すると、傾斜層に連続して低硬度DLC層が形成されている実施例6〜実施例8の方が、低硬度DLC層を有しない実施例1〜実施例4と比べていずれも少ない比摩耗量を示し、低硬度DLC層を傾斜層と最上層部の間に設けることの優位性が確認された。
本発明にかかる上記多層DLC皮膜を摺動面に形成すれば、金属基材との密着性に優れ、かつ摩耗の少ない、長寿命を達成できる摺動部材が得られる。また、本発明にかかる多層DLC皮膜は、スパッタリングによって形成されるため、被覆する金属基材の種類を問わず、例えば炭素鋼、軸受鋼、ステンレス鋼などの鋼、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金など、機械部品に通常使われる幅広い材料を用いて摺動部材を形成できる。

Claims (5)

  1. 金属基材の表面に、
    Crからなる下地層と、Crと炭素を含む傾斜層と、Crとダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含み且つCr含有率が層の厚さに亘って実質的に変化しないCr−DLC単層とからなる多層DLC皮膜、或いは、
    Crからなる下地層と、Crと炭素を含む傾斜層と、CrからなるCr層とDLCからなるDLC層とが交互に重なるCr−DLC積層とからなる多層DLC皮膜
    を形成してなり、
    そして前記傾斜層は、前記金属基材の表面から遠ざかるに従い、Cr含有率が漸減するとともに、炭素含有率が漸増する傾斜組成を有してなる、摺動部材。
  2. 前記傾斜層と、前記Cr−DLC単層又は前記Cr−DLC積層との間に、ナノインデンター測定法に従う測定にて20GPa未満の硬さを有する低硬度DLC層をさらに形成してなることを特徴とする、請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記Cr−DLC単層又は前記Cr−DLC積層が、2〜12原子%のCr含有率を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 前記Cr−DLC積層が、Cr層−DLC層 1周期あたり、6nm以上8nm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の摺動部材。
  5. 前記Cr−DLC単層又は前記Cr−DLC積層が、ナノインデンター測定法に従う測定にて20GPa以上の表面硬さを有することを特徴とする、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の摺動部材。
JP2012250148A 2012-11-14 2012-11-14 多層dlc皮膜を有する摺動部材 Pending JP2014098184A (ja)

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