JP2013120821A - 発光デバイス - Google Patents

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福田  匡広
Hiroyuki Tsukada
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Abstract

【課題】発光デバイスにおいて、その背面側に光線を漏れ出させることなく、基板と封止樹脂との界面剥離を防止すること。
【解決手段】本発明に係る発光デバイス100は、基板1と、基板1の前面10に実装された発光素子3と、発光素子3の発光面を覆う透光性樹脂6と、透光性樹脂6と接し、基板1の側面又は背面において前面側への抜け止め構造を有する遮光性樹脂7と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光デバイスに関する。
発光デバイスには種々のものがあるが、近年、発光ダイオード等の発光素子を基板上に実装し、封止樹脂で封止したいわゆる電子部品パッケージの形態の発光デバイスが広く利用されている。
特許文献1には、基材の上面に電気接続された光半導体チップと、該光半導体チップを覆う封止樹脂とを備え、該封止樹脂が、該基材上面と該基材側面の少なくとも一部に接着している光半導体素子が記載されている。
特許文献2には、一面に半導体チップを搭載した配線基板の一面を覆う第1の封止体と、他面を覆う第2の封止体とが接合された第3の封止体が形成された構成の半導体装置が記載されている。
特開2002−222998号公報 特開2010−103348号公報
近年、発光デバイスの小型化、高輝度化が進んでおり、発光時の発熱による発光デバイスの温度上昇の幅が大きくなっている。このとき、発光素子を実装した基板と、封止樹脂との線膨張係数の違いにより、両者の界面には熱応力が発生する。そして、発光デバイスのオン/オフが繰り返されると、かかる熱応力が繰り返し基板と封止樹脂との界面に作用することとなり、場合によっては、界面破壊が発生し、基板から封止樹脂が剥離してしまう恐れがある。
そこで、上述の特許文献1のように、封止樹脂を、基材の上面のみならず、側面にも接着させると、封止樹脂と基材との接着強度が高められ、両者の剥離は起こりにくくなると考えられる。
しかしながら、これだけでは、封止樹脂と基材の剥離を防止するには必ずしも十分ではない。また、かかる構造では、基板の側面に接着された封止樹脂内部を伝播した光が基板の背面側に漏れだすため、光線の利用効率が低下してしまうか、その用途が制限されてしまう。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、発光デバイスにおいて、その背面側に光線を漏れ出させることなく、基板と封止樹脂との界面剥離を防止することである。
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下のとおりである。
(1)基板と、前記基板の前面に実装された発光素子と、前記発光素子の発光面を覆う透光性樹脂と、前記透光性樹脂と接し、前記基板の側面又は背面において前面側への抜け止め構造を有する遮光性樹脂と、を有する発光デバイス。
(2)(1)において、前面視において、前記遮光性樹脂は、前記透光性樹脂を囲む発光デバイス。
(3)(1)又は(2)において、前記透光性樹脂と前記遮光性樹脂との界面における単位面積当たりの接着強さは、前記遮光性樹脂と前記基板との界面における単位面積当たりの接着強さより大きい発光デバイス。
(4)(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記抜け止め構造は、前面視において、前記基板の外形より内側に入り込む嵌入部である発光デバイス。
(5)(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記抜け止め構造は、前記基板の対向する辺の間に渡って延びるブリッジ部を有する発光デバイス。
(6)(1)乃至(5)のいずれかにおいて、前記抜け止め構造は、前記基板の背面において前記基板の外形より内側に入り込む第1の嵌入部と、前記第1の嵌入部より前面に向かって前記基板の内部に入り込む第2の嵌入部を有する発光デバイス。
(7)(1)乃至(6)のいずれかにおいて、前記抜け止め構造は、断面視において、前記基板の背面から前面に向かって前記透光性樹脂の断面積が減少するテーパ部である発光デバイス。
上記(1)乃至(7)の側面によれば、発光デバイスにおいて、その背面側に光線を漏れ出させることなく、基板と封止樹脂との界面剥離を防止することができる。
特に上記(2)の側面によれば、側面及び底面への光線の漏洩が防止される。
また、特に上記(3)の側面によれば、透光性樹脂と遮光性樹脂との界面剥離が起こりづらい。
また、特に上記(4)乃至(7)の側面によれば、遮光性樹脂と基板とが機械的に固定され、基板と封止樹脂との界面剥離が効果的に防止される。
本発明の第1の実施形態に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る発光デバイスの前面図である。 本発明の第2の実施形態に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る発光デバイスの背面図である。 本発明の第4の実施形態に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る発光デバイスの背面図である。 本発明の第5の実施形態に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明する概略断面図である。 図11の工程ST2における集合基板の前面図である。 本発明の第1の実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明する概略断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明する概略断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明する概略断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明する概略断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明する概略断面図である。
以下、本発明の第1の実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る発光デバイス100の概略断面図である。
発光デバイス100は、基板1の一方の面に素子電極2が形成され、かかる素子電極2上に発光素子3が実装されている構造を有している。また、基板1の他の面には基板1を貫通するスルーホール4を介して素子電極2と導通する端子電極5が形成されている。基板1の発光素子3が実装されている側の面は、いわゆる封止樹脂として機能する透光性樹脂6によっておおわれており、その外側には、基板1及び透光性樹脂6の側面を覆うように遮光性樹脂7が設けられている。発光素子3は、電圧が印加された際に発光し光線を出射する素子である。このとき、発光素子3から図中下側に向けて出射する光線があったとしても、かかる光線は基板1により遮られるため、光線は主として図中上側に取り出されることになる。以降、発光素子3の図中上側に示された面をその発光面と呼び、また、光線が出射される側に向く面を前面、その反対側の面を背面と呼ぶこととする。
基板1は、絶縁性を有する材料からなっており、各種一般的な回路基板材料を用いてよい。基板1は、不透明、特に、光線を反射する性質を有するとともに、熱伝導に優れていることが好ましい。前者は、発光デバイス100の背面側に向かい進む光線を前面側に反射することにより光線の利用効率を高める効果に、後者は、発光素子3からの発熱を効率的に放散する効果に寄与するからである。なお、光線を反射する性質とは、入射する光線の大部分を反射する性質のことを指しており、本明細書では、入射する光線の70%以上を反射する性質と定義する。かかる光線を反射する性質は、基板1の材質自体が備えていてもよいし、基板1の表面に光線を反射するコーティングを施すことにより得てもよい。基板1の具体的な材質としては、ガラスエポキシ樹脂、紙フェノール樹脂、セラミックス、金属を上げることができ、本実施形態では、セラミックスを用いている。なお、基板1を金属で形成する場合には、その表面に絶縁性を付与する表面処理が必要である。
素子電極2、スルーホール4及び端子電極5は、金属、例えば、アルミニウムや銅製であり、基板1上に各種回路パターンを作成する通常の手法により形成される。なお、本実施形態では、端子電極5は、基板1の背面に形成されたベタパターンであり、発光デバイス100は表面実装用の電子部品として示されているが、これに換え、端子電極5を基板1の背面側に突き出すリード線としてもよい。
発光素子3は、素子電極2を介して印加された電力に応じて発光する素子であり、本実施形態では発光ダイオードである。発光素子3は、図示のように、別途製造された素子を素子電極2上に実装することにより素子電極2と接続してもよいし、半導体製造プロセスを用い、基板1上に直接形成してもよい。
透光性樹脂6は、発光素子3の少なくとも発光面を覆い、発光素子3や素子電極2を封止する。発光素子3から出射した光線は、透光性樹脂6を通って発光デバイス100の前面側に取り出されるため、透光性樹脂6は光線を透過する性質を有している。なお、透光性樹脂6は必ずしも無色透明である必要はなく、必要に応じて、光線を散乱するための散乱構造や、発光素子3から出射した光線の色を変換するための色変換構造を含んでいてよい。光散乱構造としては、ガラスあるいはポリスチレン製のビーズを用いてよい。また、色変換構造としては、各種蛍光体粒子を含んでいてよい。透光性樹脂6自体の材質、すなわち、母材の材質は特に限定されないが、透明な合成樹脂であることが好ましく、本実施形態では、シリコン系樹脂を用いている。また、透光性樹脂6の一部は、基板1の前面10と接している。
遮光性樹脂7は、側面70において透光性樹脂6と直接接しており、透光性樹脂6を囲む。図2は、本実施形態に係る発光デバイス100の前面図であり、遮光性樹脂7が透光性樹脂6を囲んでいる様子が示されている。また、同図には、透光性樹脂6を通して素子電極2及び発光素子3が示されている。図2に示すように、遮光性樹脂7は、発光デバイス100の前面視において、透光性樹脂6の外側を隙間なく囲っていることが好ましい。これにより、発光素子3からの光線が発光デバイス100の側面に漏れ出ることが防止される。なお、以降本明細書では、外側とは、発光デバイス100の平面視において、発光素子3から遠ざかる方向の側を指し、内側とは、発光素子3に近づく方向の側を指すものとする。
図1に戻り、遮光性樹脂7はさらに基板1の側面を覆うとともに、発光デバイス100の背面に達している。そして、遮光性樹脂7は、基板1の背面において、基板1の外形より内側に入り込む嵌入部71を有しており、基板1の背面の外周に形成された段11と噛み合っている。この嵌入部71は、遮光性樹脂7が前面側に向かって剥離するのを防止する抜け止め構造として機能している。ここで言う抜け止め構造とは、二つの部材の幾何学的形状により、特定の方向へ向かってかかる二つの部材が分離することを妨げる構造を意味している。本実施形態に即して言えば、遮光性樹脂7が基板1から前面側に向かって分離することを妨げるためには、発光デバイス100の前面からみて、遮光性樹脂7が基板1の前面の外形より内側に入り込む部分を有していればよいことになる。ここで示した嵌入部71はそのような抜け止め構造の一例である。
また、遮光性樹脂7は、遮光性、すなわち、入射する光線を遮る性質を有している。この光線を遮る性質の程度は、物質自体の物性と、光線が透過しようとする経路におけるその物質の厚みに依存する。そのため、どの程度光線を遮る性質を有していれば遮光性を有すると称すべきかは、遮光性を要求する用途に依存し一概には言えないが、本明細書では、透光性樹脂6と、遮光性樹脂7の単位長さ(厚み)あたりの光線の透過率を比較し、透光性樹脂6の光線の透過率よりも遮光性樹脂7の光線の透過率の方が小さい場合に、遮光性樹脂7が遮光性を有すると称する。なぜなら、発光デバイス100の背面に達する遮光性樹脂7の透過率が透光性樹脂6の透過率より小さければ、本実施形態における遮光性樹脂7の部分まで透光性樹脂6で製作した場合に比べ、発光デバイス100の背面側に漏れ出る光線の量は減少するからである。なお、遮光性樹脂7の遮光性の程度については、図1に示す基板1の厚みに等しい厚みを有する部材に入射する光線の好ましくは90%以上が遮蔽され、より好ましくは95%以上が遮蔽される程度とする。このようにすると、発光デバイス100の背面側に漏れ出る光線は実用上無くなるか極僅かとなり、背面側に光線が漏れだすことによりその用途が制限されることがない。この遮光性は、入射する光線を吸収するものであっても、反射するものであってもよい。前者の場合は、遮光性樹脂7を黒色又は濃色に着色することにより達成され、後者の場合は遮光性樹脂7として白色の樹脂を用いることにより達成される。本実施形態では、発光素子3からの光線の利用効率を高める観点から、遮光性樹脂7は光線を反射する性質を有する白色の合成樹脂である。なお、遮光性樹脂7の材質は特に限定されず、公知のいかなる樹脂を用いてもよいが、本実施形態では、透光性樹脂6と同様にシリコン系樹脂を用いている。
そして、透光性樹脂6と遮光性樹脂7は、可能な限り界面の親和性が高く、両者が互いに強固に接着する材質であることが望ましい。このようにすることにより、遮光性樹脂7は前述の嵌入部71による抜け止め構造により基板1からの前面側への分離が防止され、さらに、透光性樹脂6は遮光性樹脂7と側面70において強固に接着することから、透光性樹脂6と基板1との前面側に向かう位置関係が固定され、透光性樹脂6と基板1との界面における剥離が防止される。従って、少なくとも、透光性樹脂6と遮光性樹脂7との界面における単位面積当たりの接着強さは、透光性樹脂6と基板1との界面における接着強さより大きい。なお、ここで言う接着強さの定義及び測定方法は特に限定されないが、例えば、JIS K 6849乃至6856に規定される各種接着強さを用いてよい。本実施形態では、JIS K 6849に規定される引張り接着強さを接着強さとして用いるものとする。
以下、本発明の第2の実施形態を図3を参照して説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る発光デバイス200の概略断面図である。発光デバイス200は、先の実施形態に係る発光デバイス100とは、遮光性樹脂7の抜け止め構造である嵌入部271の位置が異なる他はおおむね同様である。従って、先の実施形態に係る発光デバイス100と共通する部分については同符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
本実施形態に係る発光デバイス200は、遮光性樹脂7の抜け止め構造が、基板1の側面において外形より内側に入り込む嵌入部271を有している。かかる嵌入部271は、基板1の側面に形成された溝211と噛み合っている。そのため、本実施形態では、基板1の前面と背面における外形はおおむね等しくなっている。このようにしても、先の実施形態と同様、遮光性樹脂7の基板1からの前面側への分離が防止され、それにより、透光性樹脂6と基板1との界面における剥離が防止される。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態において、嵌入部71,271は基板1の全周を囲むように設けられていても、その外周の一部に対し設けられていてもよい。少なくとも、図1及び3に示したように、基板1の対向する側面において互いに向き合うように、嵌入部71,271を設けることが望ましい。
次に、本発明の第3の実施形態を図4及び5を参照して説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る発光デバイス300の概略断面図である。本実施形態の説明においても、第1の実施形態に係る発光デバイス100と共通する部分については同符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
本実施形態では、遮光性樹脂7の抜け止め構造として、基板1の背面においてブリッジ部372が設けられている。ブリッジ部372は、図示の通り、基板1の対向する辺の間に渡って延びており、基板1を挟むように位置する遮光性樹脂7同士を接続している。このようにしても、第1及び第2の実施形態における嵌入部71,271と同様、遮光性樹脂7の基板1からの前面側への分離が防止され、それにより、透光性樹脂6と基板1との界面における剥離が防止される。
なお、図4で示した断面図では、スルーホール4及び端子電極5が示されていないが、これは、端子電極5とブリッジ部372が干渉しないよう、スルーホール4及び端子電極5の平面視における位置が変更されているためである。
図5は、本実施形態に係る発光デバイス300の背面図である。同図には、スルーホール4の位置を破線で示した。ここで示した実施形態では、ブリッジ部372は、基板1の背面の中央を通る十字形状となっている。そして、端子電極5は、ブリッジ部372により区分された4つの領域にそれぞれ分割されて形成されている。スルーホール4は、それぞれの端子電極5を、素子電極2(図2参照。本実施形態に係る発光デバイス300の前面図は図2で示したものと同様である。)と接続できるような位置にそれぞれ設けられる。なお、ブリッジ部372の形状はここで示したものに限定されずともよく、直線形状のものを短数又は複数設けてもよいし、直交するさらに多数のブリッジ部372を設けてもよい。又その位置は、基板1の背面の中央を通ってもよいし、通らなくともよい。また、先に示した図4は、図5中に示したIV−IV線における断面図となっている。
さらに、本発明の第4の実施形態を図6を参照して説明する。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る発光デバイス400の概略断面図である。本実施形態の説明においても、第1の実施形態に係る発光デバイス100と共通する部分については同符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
発光デバイス400は、第3の実施形態と同様に基板1の対向する辺の間に渡って延びており、基板1を挟むように位置する遮光性樹脂7同士を接続するブリッジ部472を有している。そして、これにより、遮光性樹脂7の基板1からの前面側への分離を防止するとともに、透光性樹脂6と基板1との界面における剥離を防止している。ここで、ブリッジ部472は基板1の背面ではなく、基板1の内部を貫通する構造となっている。
図7は、本実施形態に係る発光デバイス400の背面図である。同図には、スルーホール4及びブリッジ部472の位置を破線で示した。このようにブリッジ部472を基板1の内部に埋め込むことになり、端子電極5の面積を大きくとることができ、またスルーホールの数も2つで済む。なお、ブリッジ部472の形状や配置は先の第3の実施形態と同様に、種々の変形が可能である。
次に、本発明の第5の実施形態を図8を参照して説明する。
図8は、本発明の第5の実施形態に係る発光デバイス500の概略断面図である。本実施形態の説明においても、第1の実施形態に係る発光デバイス100と共通する部分については同符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
本実施形態では、遮光性樹脂7は、基板1の背面において、基板1の外形より内側に入り込む第1の嵌入部573と、第1の嵌入部573の先端からさらに前面に向かって基板1の内部に入り込む第2の嵌入部574からなる嵌入部571を有している。このように、発光デバイス500の前面に向かうように伸びる構造である第2の嵌入部574を設けることにより、遮光性樹脂7が基板1の外側に向かい剥離することを防止でき、基板1と遮光性樹脂7とはより一層強固に固定される。
さらに、本発明の第6の実施形態を図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第6の実施形態に係る発光デバイス600の概略断面図である。本実施形態の説明においても、第1の実施形態に係る発光デバイス100と共通する部分については同符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
本実施形態では、遮光性樹脂7は、図9に示した断面視において、基板1の背面から前面に向かってその断面積(基板1の前面又は背面と平行な面による断面における断面積)が減少するテーパ形状を呈している。すなわち、遮光性樹脂7は、その内側において、内周面が斜面675となるテーパ部676を有している。このようにしても、遮光性樹脂7の基板1からの前面側への分離が防止され、それにより、透光性樹脂6と基板1との界面における剥離が防止される。
最後に、本発明の第7の実施形態を図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第7の実施形態に係る発光デバイス700の概略断面図である。本実施形態の説明においても、第1の実施形態に係る発光デバイス100と共通する部分については同符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
本実施形態においても、第1の実施形態に係る発光デバイス100と同様に、遮光性樹脂7は、基板1の背面において基板1の外形より内側に入り込む嵌入部71を有している。そして、遮光性樹脂7は、その側面ではなく、前面770において透光性樹脂6と直接接しており、前面770の領域において両者が互いに強固に接着する。このようにしても、遮光性樹脂7の基板1からの前面側への分離が防止され、それにより、透光性樹脂6と基板1との界面における剥離が防止される。この場合、発光デバイス700の前面視において、遮光性樹脂7は透光性樹脂6を囲まず、透光性樹脂6の側面が露出することになるが、この構造は、発光デバイス700からの光線の指向性が弱く、広い角度に渡って光線を射出する場合に有利である。
なお、遮光性樹脂7の前面770と、基板1の前面10とは、図10に示したように面一であってもよいし、段差を有していてもよい。
以上説明した第1乃至第7の実施形態にて説明した種々の抜け止め構造は、これら説明の通りそれぞれ単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて用いてもよい。例えば、第1の実施形態にて示した嵌入部71(図1参照)と、第6の実施形態にて示したテーパ部676(図9参照)を同時に採用してよいし、他の組み合わせも可能である。
続いて、以上説明した本発明の種々の実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明する。
本発明に係る発光デバイスを製造するに当たっては、次にあげる工程(ステップ)が必要である。
工程A:基板を用意する工程
工程B:基板に発光素子を実装又は形成する工程
工程C:基板に抜け止め構造の相補形状を形成する工程
工程D:透光性樹脂を形成する工程
工程E:基板又は基板及び透光性樹脂に遮光性樹脂の相補形状を形成する工程
工程F:遮光性樹脂を形成する工程
なお、発光デバイスがいわゆる多面取りの手法により、大判の基板から多数の発光デバイスを得る方法で製造される場合には、次の工程
工程G:互いに連結している各発光デバイスを分離し、個別化する工程
が必要である。
以上あげた工程A乃至Gは、順不同であり、必要に応じ合理的な手順で実施される。以下、上述の実施形態に即して本発明に係る発光デバイスの具体的な製造方法を例示的に記述する。なお、以降の説明では、発光デバイスは全て多面取りの手法により製造されるものとする。
図11及び13は、第1の実施形態に係る発光デバイス100の製造方法を説明する概略断面図である。
まず、図11に示した工程ST1にて、集合基板12を用意する。この工程は、上述の工程Aに相当する。ここでは1枚の集合基板12から縦2列横2列の合計4つの発光デバイス100が得られるものとして示しているが、これは説明を簡略化するためであり、実際には、1枚の集合基板12からはさらに多数の発光デバイスが得られるものとしてよい。集合基板12には、公知のプロセスにより、素子電極2、スルーホール4及び端子電極5が形成されている。
次に、工程ST2にて、集合基板12に長穴13を形成する。この長穴13は、例えばエンドミル等を用いた機械加工によって形成してもよいし、エッチング等の化学プロセスによって形成してもよい。図12は、図11の工程ST2における集合基板12の前面図である。同図に示すように、長穴13は集合基板12において、将来個別の発光デバイス100となるべき領域の境界部分に形成するものであるが、集合基板12を分割するものではなく、依然として集合基板12は一体性を保っている。将来個別の発光デバイス100となるべき領域は、互いに接続されている。すなわち、このように集合基板12の一体性を維持することにより、後の製造プロセスにおける集合基板12の取り扱いが容易となる。なお、図11の工程ST2で示した断面は、図12のXI−XI線における断面を示したものである。
再び図11に戻り、工程ST3にて、段11を形成する。この段11は、例えば、集合基板12の背面をダイシングソーを用いて段の深さに等しいだけ研削することにより得られる。そして、この段11は、第1の実施形態における抜け止め構造である嵌入部71の相補形状となっている。従って、この工程は、上述の工程Cに相当する。
次に、工程ST4にて、発光素子3を集合基板12の素子電極2上に実装する。なお、前述のとおり、発光素子3はここで示したようにチップを実装するようにしてもよいし、集合基板12上に直接形成するようにしてもよい。従って、この工程は、上述の工程Bに相当する。
次に、工程ST5にて、集合基板12を支持部材8上に固定する。支持部材8の表面は、粘着面となっており、集合基板12が貼り付けられ固定される。支持部材8は適度にやわらかい素材であり、集合基板12の背面の形状に合わせて変形できることが好ましく、図示したように端子電極5がその厚み分支持部材8中に埋没し、集合基板12の背面と支持部材8の表面とが隙間なく貼り合わされる。支持部材8としては、合成樹脂製シートの表面に粘着層を形成したものを用いてよく、一般にダイシングテープとして市販されている粘着テープを好適に用いてよい。
次に、図13を参照し、工程ST6にて集合基板12の前面に枠9を配置する。枠9は、個々の発光デバイス100に対応した位置に開口が設けられており、かかる開口の内周面90及び、集合基板12の前面により、透光性樹脂6の相補形状となる空間が形成される。
そして、工程ST7にて、枠9の開口に透光性樹脂6を注入し硬化する。これにより透光性樹脂6が形成される。従って、この工程は、上述の工程Dに相当する。
続いて、工程ST8にて、枠9を除去する。これにより、集合基板12の長穴13の内面、段11、透光性樹脂6の側面及び支持部材8の前面によって規定された空間である、遮光性樹脂の相補形状14が形成される。従って、この工程は、上述の工程Eに相当することになる。
次に、工程ST9にて、遮光性樹脂の相補形状14に遮光性樹脂7を注入し硬化する。これにより遮光性樹脂7が形成される。従って、この工程は、上述の工程Fに相当する。
最後に、工程ST10にて、遮光性樹脂7の適宜の位置をダイシングソーなどで研削し、互いに接続されていた発光デバイス100を分離し、個別の発光デバイス100を得る。従って、この工程は、上述の工程Gに相当する。
続いて、第2の実施形態に係る発光デバイス200の製造方法を図14及び15を参照して説明する。
まず、図14に示した工程ST1にて、集合基板12を用意する。この工程は、上述の工程Aに相当する。ここでも1枚の集合基板12から縦2列横2列の合計4つの発光デバイス200が得られるものとして示している。集合基板12には、公知のプロセスにより、素子電極2、スルーホール4及び端子電極5が形成されているほか、将来個別の発光デバイス200となるべき領域の境界部分の内部に空洞15が形成されている。空洞15は、集合基板12を例えば3層の基材を積層して製造する際に、中間の基材にあらかじめ開口を設けておく等することにより形成可能である。かかる空洞15は、後に述べるように、遮光性樹脂7の抜け止め構造である嵌入部271の相補形状である。従って、この空洞15を形成する工程は、上述の工程Cに相当する。
次に、工程ST2において、発光素子3を集合基板12の素子電極2上に実装する。もちろん、発光素子3は集合基板12上に直接形成するようにしてもよい。この工程は、上述の工程Bに相当する。
次に、工程ST3において、集合基板12上に透光性樹脂6を形成する。透光性樹脂6は、集合基板12の前面全域を覆うように塗布され、硬化される。この工程は、上述の工程Dに相当する。
さらに、工程ST4において、集合基板12を支持部材8の粘着面に貼り付け、固定する。
次に、図15を参照し、工程ST5において、将来別の発光デバイス200となるべき領域の境界部分の透光性樹脂6及び集合基板12をダイシングソー等で研削し、遮光性樹脂の相補形状14を形成する。このとき、空洞15に重なるように集合基板12を研削するため、空洞15は2つに分かれ、それぞれ集合基板12の側面に開口する溝211となる。従って、この工程ST5は、上述の工程Eに相当することになる。
さらに、工程ST6において、遮光性樹脂の相補形状14に遮光性樹脂7を注入し硬化する。これにより遮光性樹脂7が形成される。従って、この工程は、上述の工程Fに相当する。
最後に、工程ST7にて、遮光性樹脂7の適宜の位置をダイシングソーなどで研削し、互いに接続されていた発光デバイス200を分離し、個別の発光デバイス200を得る。従って、この工程は、上述の工程Gに相当する。
第3乃至第5及び第7の実施形態に係る発光デバイスも、上述した製造方法に類する方法にて製造可能である。例えば、第3の実施形態に係る発光デバイス300は、図11に示した工程ST3において、段11に換え、ブリッジ部372(図4参照)の相補形状となる溝を集合基板12の背面に形成すればよい。また、第4の実施形態に係る発光デバイス400は、図14に示した工程ST1において、空洞15の形状を、ブリッジ部472(図5参照)の相補形状とするべく、将来個別の発光デバイス400となるべき領域を貫通するような形状とすればよい。さらに、第5の実施形態に係る発光デバイス500は、図11に示した工程ST3において、段11を形成する際に断面が異形のダイシングソーを用いるか、複数回研削を行う等して、嵌入部571(図8参照)の相補形状となる溝を集合基板12の背面に形成すればよい。そして、第7の実施形態に係る発光デバイス700は、図13に示した工程の順番を変更し、透光性樹脂6を形成する前に工程ST9により遮光性樹脂7を形成し、その後図14の工程ST14に示したように、透光性樹脂6を集合基板12の前面全域に形成することにより得られる。
さらに、第6の実施形態に係る発光デバイス600の製造方法を図16及び17を参照して説明する。
まず、図16に示した工程ST1にて、集合基板12を用意する。この工程は、上述の工程Aに相当する。ここでも1枚の集合基板12から縦2列横2列の合計4つの発光デバイス600が得られるものとして示している。集合基板12には、公知のプロセスにより、素子電極2、スルーホール4及び端子電極5が形成されている。
次に、工程ST2において、発光素子3を集合基板12の素子電極2上に実装する。もちろん、発光素子3は集合基板12上に直接形成するようにしてもよい。この工程は、上述の工程Bに相当する。
次に、工程ST3において、集合基板12上に透光性樹脂6を形成する。透光性樹脂6は、集合基板12の前面全域を覆うように塗布され、硬化される。この工程は、上述の工程Dに相当する。
さらに、工程ST4において、集合基板12を支持部材8の粘着面に貼り付け、固定する。このとき、集合基板12は天地が逆とされ、その前面、すなわち、透光性樹脂6の前面が支持部材8に固定され、集合基板12の背面が露出される。
次に、図17を参照し、工程ST5において、将来個別の発光デバイス700となるべき領域の境界部分の透光性樹脂6及び集合基板12をダイシングソー等で研削し、遮光性樹脂の相補形状14を形成する。このとき、ダンシングソーとして、その断面形状がテーパ状の物を用いることにより、図示のように遮光性樹脂の相補形状14もまた、背面側の開口面積が大きく、前面側に向かうに従って開口面積が小さくなるテーパ形状となる。この工程ST5は、上述の工程Eに相当する。
さらに、工程ST6において、遮光性樹脂の相補形状14に遮光性樹脂7を注入し硬化する。これにより遮光性樹脂7が形成される。従って、この工程は、上述の工程Fに相当する。
最後に、工程ST7にて、遮光性樹脂7の適宜の位置をダイシングソーなどで研削し、互いに接続されていた発光デバイス700を分離し、個別の発光デバイス700を得る。従って、この工程は、上述の工程Gに相当する。
以上説明した本発明の種々の実施形態に係る発光デバイスの製造方法は例示であり、必要に応じて各工程の順番を入れ替えたりするなど種々の変形を行ってよい。また、各実施形態に係る発光デバイスを製造する方法は、それらに対応するものとして示した製造方法に必ずしも限定されなくともよい。例えば、第1の実施形態に係る発光デバイス100の製造方法として、第2の実施形態に係る発光デバイス200の製造方法として示した方法に類する方法を用いる等してもよい。
さらに、以上説明した実施形態に示した具体的な構成は例示として示したものであり、本明細書にて開示される発明をこれら具体例の構成そのものに限定するものではない。当業者はこれら開示された実施形態に種々の変形、例えば、各部材あるいはその部分の形状や数、配置等を適宜変更してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
1 基板、2 素子電極、3 発光素子、4 スルーホール、5 端子電極、6 透光性樹脂、7 遮光性樹脂、8 支持部材、9 枠、10 前面、11 段、12 集合基板、13 長穴、14 遮光性樹脂の相補形状、15 空洞、70 側面、71 嵌入部、90 内周面、100,200 発光デバイス、211 溝、271 嵌入部、372 ブリッジ部、472 ブリッジ部、571 嵌入部、573 第1の嵌入部、574 第2の嵌入部、675 斜面、676 テーパ部。

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板の前面に実装された発光素子と、
    前記発光素子の発光面を覆う透光性樹脂と、
    前記透光性樹脂と接し、前記基板の側面又は背面において前面側への抜け止め構造を有する遮光性樹脂と、
    を有する発光デバイス。
  2. 前面視において、前記遮光性樹脂は、前記透光性樹脂を囲む請求項1に記載の発光デバイス。
  3. 前記透光性樹脂と前記遮光性樹脂との界面における単位面積当たりの接着強さは、前記遮光性樹脂と前記基板との界面における単位面積当たりの接着強さより大きい請求項1又は2に記載の発光デバイス。
  4. 前記抜け止め構造は、前面視において、前記基板の外形より内側に入り込む嵌入部である請求項1乃至3のいずれかに記載の発光デバイス。
  5. 前記抜け止め構造は、前記基板の対向する辺の間に渡って延びるブリッジ部を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の発光デバイス。
  6. 前記抜け止め構造は、前記基板の背面において前記基板の外形より内側に入り込む第1の嵌入部と、前記第1の嵌入部より前面に向かって前記基板の内部に入り込む第2の嵌入部を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の発光デバイス。
  7. 前記抜け止め構造は、断面視において、前記基板の背面から前面に向かって前記透光性樹脂の断面積が減少するテーパ部である請求項1乃至6のいずれかに記載の発光デバイス。
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