JP2013010340A - 積層体の作成方法および、この積層体を利用したフィルムデバイスの作成方法 - Google Patents

積層体の作成方法および、この積層体を利用したフィルムデバイスの作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れた、フィルムデバイスを提供すること、および、このフィルムデバ
イス作成用に耐熱性樹脂層と無機物の層積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも、無機層と樹脂フィルムから構成されてなる積層体および、この
積層体を利用したフィルムデバイスの製造方法であって、
(1)無機層の少なくとも片面の表面をカップリング剤処理する工程
(2)前記カップリング剤処理された無機層の少なくとも片面を、あらかじめ決めたパタ
ーンに従ってUV照射処理を行うことによって、無機層と樹脂層の間の剥離強度が異なる
部分を設ける工程。
(3)該パターン化した無機層のカップリング剤処理面上に樹脂溶液あるいは、樹脂前駆
体溶液を塗布して得られた塗布溶液層を乾燥、熱処理し前記樹脂層を形成する工程、
上記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
および、この積層体を使ってデバイスを作成後に、前記無機基板からあらかじめ決めたパ
ターンに従ってUV露光する工程により、基板に対する接着剥離強度が弱い部分を剥離す
ることによりフィルムデバイスの作成を実現する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂層と無機層から構成されてなる積層体の製造方法であり、更に詳しくは、あらかじめ決めたパターン通りに、強く接着している部分と、容易に剥離できる部分を有する該積層体の製造方法である。半導体素子、MEMS素子など薄膜からなり、微細な加工が必要となるデバイスを、樹脂層表面に形成するにあたり、一時的ないし半永久的に、樹脂層を支持体となる無機層に貼り合わせた積層体を得るための積層方法および、この積層体を利用したフィルムデバイスの作成方法に関する。
さらに、本発明は耐熱性と絶縁性に優れた薄い樹脂層とそれとほぼ同程度の線膨張係数を有するガラス板、セラミック板、シリコンウェハ、金属から選ばれた一種の無機層とが積層された精緻な回路がマウント可能な、寸法安定性と耐熱性と絶縁性に優れた積層体およびこれを利用した、半導体付加積層体を利用した半導体付加のフィルムデバイスの作成方法に関する。
近年、微細回路基板、センサー素子などデバイスの軽量化、フレキシビリティ化を目的として、高分子フィルム上にこれらの素子を形成する技術開発が活発に行われている。
センサー素子、MEMS素子などのデバイスを樹脂フィルム表面に形成するに当たっては、樹脂フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、 いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされている。しかしながらセンサー産業、MEMS産業界では、ウエハベースないしガラス基板ベースのリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が構築されてきた。現実的な選択として、樹脂フィルムを、金属板、ウエハ、ガラス基板などの無機物からなるリジッドな支持基板に貼り合わせし、所望の素子を形成した後に支持基板から剥離することで、既存インフラを利用して樹脂フィルム上に形成した機能素子を得ることが可能となる。
樹脂フィルムと無機物からなる支持基板との貼り合わせにおいては、かかる機能素子の形成を行う上で支障ないレベルの表面平滑性、クリーン性、プロセス温度への耐性、微細加工に用いられる薬液への耐性が求められる。特に機能素子の形成温度が高い場合には、樹脂フィルムの耐熱性は勿論、積層体の接合面がその加工温度に耐えなければならない。
薄膜のなかでもSiについては、線膨張係数が3ppm/℃程度であり、この薄膜を基板上に堆積させる場合、基板と薄膜の間の線膨張係数の差が大きいと、薄膜中に応力が溜まり、性能の劣化や、薄膜の反り、剥がれをもたらす原因となる。特に薄膜作成プロセス中に高温が加わる場合、温度変化の間に、基板と薄膜の間の線膨張係数の差に起因する応力が大きくなることになる。
従来粘着剤、接着剤を用いて樹脂フィルムを無機基板に貼り合わせて加工することは広く行われてきた。(特許文献1)しかしながら、200〜500℃程度の温度域でのプロセスが必要となる場合においては、十分に実用に足るだけの耐性を有する貼り合せ方法は知られていない。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材の材料として、従来、セラミックが用いられていた。セラミックからなる基材は耐熱性を有し、近年における情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得る。しかし、セラミックはフレキシブルでなく、薄くできないので使用できる分野が限定される。
そのため、有機材料からなる樹脂フィルムを電子部品の基材として用いる検討がなされ、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリマーからなる樹脂フィルム、ポリイミドからなるフィルム、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルム、ガラス繊維強化エポキシが提案されている。ポリイミドからなるフィルムは耐熱性に優れ、また、強靭であるので樹脂フィルムを薄くできるという長所を備えている。
これらのポリイミド層は、一般的に線膨張係数が大きく温度変化による寸法変化が著しくて微細な配線をもつ回路の製造に適さない点等が問題となり、使用できる分野が限定される。このように、耐熱性、高機械的物性、フレキシブル性を具備した基材用として十分な物性のポリイミド層を使ったデバイスは未だ得られていない。
これらのポリイミドフィルム上に熱可塑性樹脂などの接着剤層を設け他の構造補強物を設ける試みもなされているが、構造上の改良においては満足し得ても、これら熱可塑性樹脂などの耐熱性の低さは折角のポリイミドフィルムの耐熱性を台無しにする傾向を有していた。
固定基板上に、剥離層となる非晶質シリコン膜を介して樹脂基板を形成する工程と、前記樹脂基板上に少なくともTFT素子を形成する工程と、前記非晶質シリコン膜にレーザー光を照射することにより、前記非晶質シリコン膜において前記固定基板から前記樹脂基板を剥離する工程とを行い、前記樹脂基板を用いた柔軟性を有する表示装置を作製することが(特許文献2)開示されているが、剥離に際して接着剤層へのレーザー照射やエッチング手段を用いており、煩雑行程かつ高コストを引き起こすことになる。UV照射処理によって樹脂フィルム同士を接着することは、(特許文献3)開示されており、このときにカップリング剤を使うことも有効であることが示されているが、あくまで樹脂フィルム同士の接着に関することであり、カップリング剤自体のUV光照射による、接着剥離力制御を行ったものではない。
特開2008−159935号公報 特開2009−260387号公報 特開2008−19348号公報
本発明では耐熱性の無機層に支持された状態の、回路配線作成およびデバイス形成時に、精密な位置決めをして、多層に薄膜作成、回路形成など行なうことができ、デバイス作成時に高温のプロセスでも剥がれる事無く、薄膜堆積などが行なえる、回路付加積層体および半導体素子が形成された半導体付加積層体に使用されるポリイミド積層体の提供を目的とする。またこの樹脂フィルム積層体は、デバイス付加後にパターンの易剥離部分のみを剥離する場合は容易に剥離できるため、作成した半導体を破壊することが無い。そして、この回路付加積層体および半導体素子が形成された半導体付加積層体に使用される樹脂層を剥がす事により、微細回路形成された樹脂フィルムおよびデバイス付き樹脂フィルムを提供することができる。
本発明者らは鋭意検討した結果、耐熱性、フレキシブル性をより高いレベルで具備した樹脂層と、ほぼ同程度の線膨張係数を有するガラス板、セラミック板、シリコンウェハ、金属から選ばれた一種の無機層とが積層された耐熱性と絶縁性に優れた積層体が、微細回路基板やデバイス作成などに使用される際に極めて有意であることを見出し、それに使用できる無機層と接着剤を使用しないでも接着しうる、接着性に優れ、支持体から剥がす際にも支障のない、線膨張係数が低めの特定範囲にあり、かつ精緻な回路形成が平滑面に形成しうる樹脂積層体を見出した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
1.少なくとも、無機層と樹脂層から構成されてなる積層体の製造方法であって、
下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
(1)無機層の少なくとも片面の表面をカップリング剤処理する工程
(2)前記カップリング剤処理された無機層の少なくとも片面を、あらかじめ決めたパターンに従ってパターン化処理を行うことによって、無機層と樹脂層の間の剥離強度が異なる部分を設ける工程。
(3)該パターン化した無機層のカップリング剤処理面上に樹脂溶液あるいは、樹脂前駆体溶液を塗布して得られた塗布溶液層を乾燥、熱処理し前記樹脂層を形成する工程、
2.前記パターン化処理が、所定部分を被覆又は遮蔽した上で行われる、少なくとも、ブラスト処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、活性放射線照射処理、活性ガス処理、薬液処理からなる群より選択される一種以上の処理であることを特徴とする1の積層体の製造方法。
3.前記パターン化処理が、UV照射処理であることを特徴とする、1〜2のいずれかに記載の積層体の製造方法。
4.該樹脂層が、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドからなる、1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
5.前記樹脂層の厚さが0.5μm〜50μmであり、前記樹脂層の面方向の線膨張係数が、−2ppm/℃〜+35ppm/℃である1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
6.無機層と樹脂層との積層体であって、該無機層と該樹脂層の間にカップリング剤層を有しており、 該無機層と該樹脂層の良好接着部分と易剥離部分が所定のパターンを形成していて、該無機層と該樹脂層の間の180度剥離強度が、良好接着部分で1N/cm以上あり、良好接着部分と易剥離部分の剥離強度の差が良好接着部分の剥離強度に対して50%以上であることを特徴とする、1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
7.該カップリング剤層の厚さが100nm以下であることを特徴とする、1〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
8.1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法で作成された積層体で、該無機層と樹脂層の接着剥離強度が異なる、良好接着部分と易剥離部分とにパターンに従って分かれていることを特徴とする積層体。
9.8に記載の積層体を用いて、該積層体の樹脂層の易剥離部分の樹脂層表面にデバイスを形成した後に、易剥離部分を切り抜いて剥離することによって、デバイスを積層した樹脂フィルムを得る方法。
本発明の製造方法で得られる積層体は、ガラス板、セラミック板、シリコンウェハ、金属から選ばれた一種の無機層の一面と、樹脂層とが、接着剤層の代わりに耐熱性の極めて薄い層、すなわちカップリング剤層を介して貼り合わされた積層体であって、あらかじめ決めたパターンによって、無機層と樹脂層の接着剥離強度が異なり良好接着部分と易剥離部分のポリイミド表面にパターンに従って分かれていて、好ましくは30℃〜300℃の線膨張係数が−2ppm/℃〜+35ppm/℃である樹脂層とが、カップリング剤層を介して貼り合わされた積層体であって、積層体の樹脂層と無機層との良好接着部分の180度剥離強度が1N/cm以上で、易剥離部分の180度剥離強度が良好接着部分の50%以下である。
本発明の製造方法で得られるデバイス付きの樹脂フィルムは、前記積層体を使うことによって得られる、易剥離部分の樹脂層を切り抜いた後に容易に剥離することによって得られるデバイス付きの樹脂フィルムであって、易剥離部分にデバイスを作成してから易剥離部分の樹脂層を切り抜いた後に容易に剥離することによってデバイス付きの樹脂フィルムを得る。
本発明の積層体により、絶縁性で可撓性、耐熱性を兼ね備えた薄い樹脂層に回路などを形成し、さらに電子部品を搭載して電子デバイスを作成する時にも、寸法安定性に優れた無機基板に積層され固定されていることで精密な位置決めができ、多層に薄膜作成、回路形成など行なうことができ、プロセス中には熱が加わっても剥がれず、デバイス作成後に必要に応じてこの無機基板を剥がす際にも、樹脂層と基板との剥離がスムースに実施できかつプロセス通過において剥離することのない剥離強度を有する積層体であるため、従来の電子デバイス作成プロセスをそのまま使うことが可能である。
UV照射工程例1(1)無機層(2)無機層上にシランカップリング剤塗布乾燥してシランカップリング剤層形成(3)UV光を遮断するマスク設置後にUV照射処理(4)UV照射処理後に、UV光を遮断するマスクの除去(5)樹脂層の作製(6)樹脂フィルムのシランカップリング剤層UV照射処理部周辺の切断とガラスからの剥離 UV照射工程例2(1)無機層(2)無機層上にシランカップリング剤塗布乾燥してシランカップリング剤層形成(3)UV光を遮断するマスク設置後にUV照射処理(4)UV照射処理後に、UV光を遮断するマスクの除去(5)樹脂層の作製と回路配線作成(6)樹脂フィルムのシランカップリング剤層UV照射処理部周辺の切断とガラスからの剥離 パターン例 表示装置の模式概念図1 表示装置の模式概念図2
本発明での樹脂層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリメチルペンテン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエンカビニリデン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合樹脂、アートン(JSR社商品名)、ぜオネックス(日本ゼオン社商品名)、ポリアリレート、液晶ポリマー、全芳香族ポリエステル、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチルサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリエーテルイミド、熱硬化型ポリイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアリレート等を用いることができる。
本発明で好ましく用いられる樹脂層としては、ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアリレートのような耐熱性に優れ、かつ強靭である樹脂材料を適用することができ、このうちポリイミドは特に有用である。耐熱性を持ち、寸法安定性が求められることから、芳香環を持ち、極性の大きな連結基として、−CONH-、 −COO-、 −CO-、 −SO- などを持つことが望ましい。更には、高分子主鎖中に2重鎖構造を導入して剛直な棒状構造を持つことも耐熱、寸法安定の観点から好ましい。 別の考え方として、3次元網目構造を作らせることも、耐熱性を向上させる手段と考えられる。
本発明で特に有用に用いられるポリイミド層は後述の組成のポリイミドからなり、ガラス転移温度が250℃以上、好ましくは300℃以上更に好ましくは350℃以上あるいは、500℃以下の領域において、ガラス転移点が観測されないことが好ましい。本発明におけるガラス転移点温度は示差熱分析(DSC)により求めるものである。
本発明のポリイミドは、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との反応によって得られるポリイミドで、面方向の線膨張係数が−2ppm/℃〜+35ppm/℃であり、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とが下記の組み合わせであるポリイミドが好ましい。
A.ピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類との組み合わせ。
B.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.ピロメリット酸二無水物の骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類と4,4'‐オキシジアニリン骨格を有する芳香族ジアミン類の組み合わせ。
D.ピロメリット酸二無水物の骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類とフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類と4,4'‐オキシジアニリン骨格を有する芳香族ジアミン類の組み合わせ。
E.A〜Dのいずれかの組み合わせにアルコシキ基含有シラン変性処理を行ったもの。
本発明に使用されるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられ、該ジアミンは、単独であっても二種以上を用いることも可能である。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、2,2’−ビス(ビフェニル)ベンジジンおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
<芳香族テトラカルボン酸無水物類>
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物の芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などで置換された芳香族テトラカルボン酸二無水物等も挙げられる。
本発明では、ピロメリット酸二無水物、及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物の骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類、4,4'‐ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類の組み合わせで得られるポリイミドを用いることが特に好ましい。なぜなら、上記の組み合わせのポリイミドを使用すると、ポリイミド積層体から反りの小さいポリイミドフィルムが得られるためである。このようなポリイミド積層体のポリイミド層の易剥離部分にデバイスを作製すると、剥離した際にポリイミドフィルム表面に作製したデバイスの破壊が見られない。
芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜120時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(20℃)で、取り扱いやすさの点から、好ましくは1〜1000Pa・sであり、より好ましくは3〜600Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、本発明の分子末端封鎖のためにジカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物、アニリン誘導体などの末端封止剤を用いることが出来る。本発明で好ましく用いられるのは、無水フタル酸、無水マレイン酸、4−エチニル無水フタル酸、4−フェニルエチニル無水フタル酸、エチニルアニリン、であり、無水マレイン酸の使用がより好ましい。末端封止剤の使用量は、モノマー成分1モル当たり0.001〜1.0モル比である。
本発明では更に、ポリイミド層の性能向上を目的として、ポリアミド酸溶液に添加物を加えても良い。これら添加物は、その目的によって様々であり、特に限定されるものではない。また、添加方法、添加時期においても特に限定されるものではない。添加物の例としては、架橋剤、搖変剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、難燃剤などがある。
本発明ではポリイミド層の性能向上を目的として、ポリアミド酸溶液にフィラーを加えても良い。本発明におけるフィラーとは、体積平均粒子径が0.001〜10μmの無機物からなる微粒子であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属酸塩、リン酸塩、炭酸塩、タルク、マイカ、クレイ、その他粘土鉱物、等からなる粒子を用いることができ、好ましくは酸化珪素、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸2水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、ガラスフィラーなどの金属酸化物、リン酸塩、炭酸塩を用いることができる。
本発明におけるポリイミド層の30から300℃の間の平均の線膨張係数は、好ましくは、−2ppm/℃〜+12ppm/℃であり、さらに好ましくは+1ppm/℃〜+10ppm/℃であり、最も好ましいのは+3ppm/℃〜+8ppm/℃である。この範囲から外れると、無機基板との線膨張係数の大きさの差が大きくなる為、熱を加えるプロセス中にポリイミド層と無機層が剥がれ易くなり、使用困難である。また、問題とする本発明におけるポリイミド層の線膨張係数は30から300℃の間の平均の値を用いているが、用途によって、注目する温度範囲は変わり、高温でのプロセスを考慮して、30℃から400℃の範囲を調べる場合、100℃から400℃の範囲の場合もあり、リフロープロセスを念頭において、50℃から280℃の範囲を調べる場合、使用温度範囲として、−50℃から150℃の範囲を重視する場合もありえる。本発明ではこの温度範囲で、CTEが変化する事があるが、測定下限を0℃、30℃、50℃といったものに置き換えてもよく、測定上限を200℃、300℃、400℃に置き換えることも可能である。
本発明における樹脂層の厚さは、特に限定されるものではないが、0.5μm〜50μmが好ましく、より好ましくは、1μm〜40μmであり、更に好ましくは5μm〜30μmであり、最も好ましくは7〜15μmである。これらの樹脂層の厚さ斑も20%以下であることが好ましい。0.5μm以下では、厚さの制御が困難であり、無機層と剥がす事が困難となる。50μm以上では、ポリイミド層形成が困難であり、かつ、剥がすときに、該樹脂層の折れ曲がりなどがおきやすい。
本発明においては樹脂層、好ましくhあポリイミド層として透明ポリイミド層を用いる事が好ましい。
ここに透明ポリイミド層とは、波長500nmでの光線透過率が50%以上である透明ポリイミドフィルムを形成出来るポリイミド樹脂からなる樹脂層である。本発明に於ける透明ポリイミド層としては
ジアミンがt−CHDA(トランス1,4−ジアミノシクロヘキサンなどトランスジアミノシクロヘキサンの異性体から選ばれる一種)、MBCA(4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などメチレンビス(シクロヘキシルアミン)の異性体から選ばれる一種)、DDS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどジアミノジフェニルスルホンの異性体から選ばれる一種)から選ばれる少なくとも一種を主成分とする透明ポリイミド層が好ましく、これらから選ばれる少なくとも一種のジアミンを全ジアミンの70モル%以上さらに好ましくは85モル%以上使用することが好ましい。
本発明に於いては、樹脂層としてとしてガラス転移温度が150℃以上、対数粘度が0.5dl/g以上、波長領域400から550nmにおける光線透過率が80%以上、色差b値が1未満であることを特徴とするポリアミドイミド樹脂を用いたポリアミドイミド層とすることが好ましい。
本発明で用いられるポリアミドイミド層を構成する主成分ポリマーの構造として好ましいものは、例えば、主たる酸成分がトリメリット酸系芳香族酸及び酸無水化合物とシクロヘキサンジカルボン酸系脂環族酸であるポリアミドイミドである。更に好ましくは、シクロヘキサンジカルボン酸の含有量が15モル%以上であるポリアミドイミドである。また、アミン残基が、4,4’−ジシクロヘキシルメタン及びまたはイソホロンであるポリアミドイミドが好ましい。
本発明で用いられるポリアミドイミドは、例えば、酸成分とイソシアナートとの反応で得られるイソシアナート法、酸成分とアミン成分との反応で得られるアミン法、あるいは酸クロリド法などの通常の方法でアミド系溶剤などの高沸点極性溶媒中で合成される。
本発明のポリアミドイミドの合成に用いられる酸成分としては、例えば、多価のカルボン酸、酸クロリド、あるいは酸無水物が挙げられる。酸無水物の例としては、例えば、トリメリット酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、1,4−ブタンジオールビスアンヒドリドトリメリテート、ヘキサメチレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、ポリプロピレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、などのアルキレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、ピロメリット酸無水物、ベンゾフエノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフエニルスルホンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフエニルテトラカルボン酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物などが挙げられる。
また、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフエニルジカルボン酸、4,4’−ビフエニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフエニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ベンゾフエノンジカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフエノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフエニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフエニルテトラカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、ダイマー酸、スチルベンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、酸クロリドとしては前記多価カルボン酸の酸クロリドが挙げられる。
また、イソシアナート成分としては、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフエニルメタン4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジクロロジフエニル4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルビフエニル4,4’−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、p−フエニレンジイソシアナート、m−フエニレンジイソシアナート、等が挙げられる。
また、ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、オルトクロロパラフエニレンジアミン、p−フエニレンジアミン、m−フエニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフエニルエーテル、3,4’−ジアミノジフエニルエーテル、4,4’−ジアミノジフエニルメタン、3,4’−ジアミノジフエニルメタン、4,4’−ジアミノジフエニルスルホン、3,4’−ジアミノジフエニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフエノン、3,4’−ジアミノベンゾフエノン、2,2’−ビス(アミノフエニル)プロパン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、p−キシレンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フエニレンジアミン、m−フエニレンジアミン等ガ挙げられる。
これらの酸成分とイソシアナート(アミン)成分は、各々一種または二種以上の混合物として用いる事が出きるが、酸成分としては、トリメリット酸とシクロヘキサンジカルボン酸の混合物が好ましく、シクロヘキサンジカルボン酸の含有量が15モル%以上が特に好ましい。シクロヘキサンジカルボン酸のモル%が15以下になると、着色が大きくなり、光学用途には使用できない場合があるなど、用途が限定されることになる。
また、イソシアナート成分としては、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナートとイソホロンジイソシアナートの単独または混合物が、光線透過率、耐熱性、生産性の関係から好ましい。また、アミン成分としては、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジアミンとイソホロンジアミンの単独または混合物が、光線透過率、耐熱性、生産性の関係から好ましい。
本発明のポリアミドイミドを合成する際に使用する溶剤は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチル尿素、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリルジノン、等の高沸点極性溶剤の単独または混合溶剤を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
本発明のポリアミドイミドは、上記溶剤中、50から250℃、好ましくは80から230℃で攪拌することにより合成されるが、反応を促進するためにトリエチルアミン、ルチジン、ピコリン、トリエチレンジアミン、等のアミン類、リチウムメチラート、ナトリウムメチラート、リチウムエチラート、ナトリウムエチラート、マグネシウムエチラート、カリウムブトキサイド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物、あるいはコバルト、チタニウム、スズ、亜鉛等の金属、半金属化合物等の触媒存在下に行ってもよい。
このようにして得られたポリアミドイミドは、対数粘度(N−メチルピロリドン中25℃、ポリマー濃度0.5g/100ml)が、0.5dl/g以上であるが、フィルム成形性の点ではに、0.6dl/g以上であることが好ましい。これらの対数粘度の樹脂を得る手段としては、反応成分の当量比、添加順序、反応時間や反応温度等を制御する方法を用いることができるが、これらに限定されない。
本発明におけるカップリング剤処理において、無機層に積層する際に、好ましく使用されるカップリング剤は、特に限定されるものではないが、アミノ基或はエポキシ基を持ったものが、好ましい。カップリング剤の具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3―トリエトキシシリルーN−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(3- トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプトプロピオン酸ブチル、3−(ジメトキシメチルシリル)−1−プロパンチオール、4−(6−メルカプトヘキサロイル)ベンジルアルコール、11−アミノ−1−ウンデセンチオール、11−メルカプトウンデシルホスホン酸、11−メルカプトウンデシルトリフルオロ酢酸、2,2‘―(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、11−メルカプトウンデシルトリ(エチレングリコール)、(1−メルカプトウンデイックー11−イル)テトラ(エチレングリコール)、1−(メチルカルボキシ)ウンデック−11−イル)ヘキサ(エチレングリコール)、ヒドロキシウンデシルジスルフィド、カルボキシウンデシルジスルフィド、ヒドロキシヘキサドデシルジスルフィド、カルボキシヘキサデシルジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
このうち好ましいものとしては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3―トリエトキシシリルーN−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで耐熱性を要求する場合、Siとアミノ基の間を芳香族でつないだものが望ましい。
本発明におけるカップリング剤処理で行われる処理方法としては、カップリング剤の溶液を無機層に塗布乾燥し熱処理する方法を例示出来る。また、処理中のpHが性能に大きく影響する事が知られており、適宜pHを調整すればよい。
本発明における樹脂層を無機層に積層する際の無機層としては、ガラス板、セラミック板、シリコンウェハ、金属を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウェハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有しているものなどが上げられる。
本発明における無機層の線膨張係数は、30〜300℃の間で測った平均値をCTEとして算出している。一般に金属やセラミックスの線膨張係数はこの温度範囲では大きく変化しない。
本発明における樹脂層を無機層に積層する際の該無機層としてのガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラスが含まれる。中でも線膨張係数が5ppm/℃以下のものが望ましく、液晶用ガラスのコーニング7059、1737、EAGLE、旭硝子AN100、日本電気硝子OA10、SCHOTT社 AF32、などが望ましい。
本発明における樹脂層を無機層に積層する際の無機層としてのセラミック板としては、Al2O3、Mullite、AlN、SiC、Si3N4、BN,結晶化ガラス、Cordierite、Spodumene、Pb-BSG+CaZrO3+Al2O3、 Crystallized glass+AL2O3、 Crystallized Ca-BSG, BSG+Quartz、 BSG+ Quartz, BSG+AL2O3、 Pb+BSG+AL2O3、 Glass−ceramic、ゼロデュア材などの 基板用セラミックス、TiO2、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム。アルミナ、MgO、ステアタイト、BaTi4O9、BaTiO3、BaTi4+CaZrO3、BaSrCaZrTio3、Ba(TiZr)O3、PMN-PT PFN-PFWなどのキャパシター材料、PbNb2O6、Pb0.5Be0.5Nb2O6, PbTiO3, BaTiO3, PZT, 0.855PZT-.95PT-0.5BT, 0.873PZT-0.97PT-0.3BT, PLZTなどの圧電材料が含まれる。
本発明における樹脂層を無機層に積層する際の無機層としてのシリコンウェハとしては、n型或はp型にドーピングされたシリコンウェハ、イントリンシックシリコンウェハ全てが含まれ、また、シリコンウェハの表面に酸化シリコン層や、各種薄膜が堆積されたシリコンウェハも含まれるシリコンウェハのほか、ゲルマニウム、シリコンーゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモンがよく用いられている。InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛) などの汎用の半導体ウエハが含まれる。
本発明における樹脂層を無機層に積層する際の無機層としての金属としては、W,Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金が含まれる。また、上記の金属に、他の金属層、セラミック層を付加している、多層金属板も含まれる。この場合付加層との全体のCTEが低ければ、主金属層にCu、Alなども用いられる。付加金属層として使用される金属としては、ポリイミド層との密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuが好適な例として挙げることができる。
本発明におけるパターン化処理とは、無機層とポリイミド層の間の剥離強度が強い部分と弱い部分を意図的に作り出す処理を云う。より具体的には、所定部分を何らかの手段にて被覆ないし遮蔽した状態で、カップリング剤の作用を強める処理、または弱める処理を行うことを云う。一般には、カップリング剤の作用を弱める手法の方が選択しやすく、
・物理的にカップリング剤層を除去する方法、
・物理的にカップリング剤層を微視的にマスキングする方法
・カップリング剤層を化学的に変性する方法
等を例示出来る。
カップリング剤の作用を強める処理、または弱める処理としては具体的には、ブラスト処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、活性放射線照射処理、活性ガス処理、薬液処理レーザー光照射処理から選択される一種以上の処理を使用することが出来る。
本発明に於けるブラスト処理とは、平均粒子径が0.1〜1000μmの粒子を、気体ないし液体と共に対象物に吹き付ける処理を云う。本発明では、可能な範囲で平均粒子径が小さい粒子を用いたブラスト処理を使用することが好ましい。
本発明に於ける真空プラズマ処理とは、減圧されたガス中での放電によって生じるプラズマ中に対象物を暴露するか、ないしは、同放電によって生じたイオンを対象物に衝突させる処理を云う。ガスとしては、ネオン、アルゴン、窒素、酸素、フッ化炭素、二酸化炭素、水素等の単独、ないし混合ガスを用いることができる。
本発明に於ける大気圧プラズマ処理とは、概ね大気圧雰囲気下におかれた気体中で生じる放電によって生じるプラズマ中に対象物を暴露するか、ないしは、同放電によって生じたイオンを対象物に衝突させる処理を云う。気体としてはネオン、アルゴン、窒素、酸素、二酸化炭素、水素等の単独ないし混合ガスを用いることができる。
本発明に於けるコロナ処理とは概ね大気圧雰囲気下におかれた気体中で生じるコロナ放電雰囲気に対象物を暴露するか、ないしは、同放電によって生じたイオンを対象物に衝突させる処理を云う。
本発明に於ける活性放射線照射処理とは、電子線、アルファ線、X線、ベータ線、赤外線、可視光線、紫外線などの放射線を照射する処理を云う。
本発明に於ける活性ガス処理とは、カップリング剤処理層に化学的、ないし物理的変化を生じせしめる活性を有する気体、例えばハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス、オゾン、高濃度の酸素ガス、アンモニア、有機アルカリ、有機酸などのガスに対象物を暴露する処理を云う。
本発明に於ける薬液処理とは、カップリング剤処理層に化学的、ないし物理的変化を生じせしめる活性を有する液体、例えばアルカリ溶液、酸溶液、還元剤溶液、酸化剤溶液、などの液体、ないし溶液に対象物を暴露する処理を云う。
これらの処理は、可能であれば直描方式で行うことが出来る。すなわち、接着力を強めたい部分、ないし弱めたい部分のみに、直接描画式に、これらの処理を集中してパターン化を行うことができる。
活性放射線照射処理の一種として、レーザー光照射処理を行う場合には、特に直描方式で処理を行うことが容易になる。なおこの場合、可視光レーザーであっても、一般の可視光線と比較して、遙かに大きなエネルギーを有するため、本発明では活性放射線の一種として扱うことが出来る。
また、これらの処理は、無機層の所定部分を被覆ないし遮蔽した上で、全面に行ない、処理後に被覆物ないし遮蔽物を取り去る、という方法を用いることもできる。被覆物ないし遮蔽物としては、一般的にレジスト、フォトマスク、メタルマスクなどとして使われている物を処理方法に応じて適宜選択して用いれば良い
本発明に於いてはこのような処理の内、活性放射線とマスクを組み合わせた方法を、ないし大気圧プラズマ処理とマスクを組み合わせた方法を生産性の観点から好ましく用いることが出来る。好ましく用いる事が出来る活性放射線処理としては経済性、安全性の観点から紫外線照射処理、すなわちUV照射処理である。
また本発明の特異な形態の一つとして、無機層がUV透過性を有する場合には、無機層のカップリング剤処理を行った面とは逆の面から、直接描画、ないしマスクを介してUV照射を行うこともできる。
本発明におけるUV照射処理とは、400nm以下の波長のUV光(紫外線)を発生する装置中に、無機層を入れてUV光を照射する処理であり、UV光波長は望ましくは260nm以下であり、更に望ましくは200nm以下の波長を含む。ただし170nm以下の波長では酸素によるUV光の吸収が著しいため、無機層にUV光が到達するための考慮が必要となる。しかし完全に酸素の無い雰囲気での照射では、活性酸素やオゾンによる、表面改質効果が現れないため、UV光が通過しつつ、活性酸素やオゾンも到達するように工夫を要する。光を照射する部分と、照射しない部分を意図的に作ることによってパターンを形成する。形成する方法としてはUV光を遮蔽する部分と遮蔽しない部分を作るか、UV光をスキャンさせることにより、パターンを形成するなどがありえる。パターンの端部を明確にするためには、UV光を遮断するとともに遮蔽物で無機層を覆うことが有効である。また、UVレーザーの平行光線によってスキャンすることも有効である。UV光の強度としては5mW/cm2以上が望ましい。200mW/cm2以下がガラスの変質防止のため望ましい。照射時間は、0.1分〜30分が好ましく、より好ましくは1〜10分であり、より好ましくは2分〜5分である。
UV照射処理に使える光源としては、エキシマランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、Xeランプ、Xeエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレーザー、XeFエキシマレーザー、Arレーザー、D2ランプなどが挙げられる。中でも、エキシマランプ、低圧水銀ランプ、Xeエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザーなどが好ましい。
本発明における良好接着部分とは、UV光照射の有無によって表面の性質を変えることにより、無機層と樹脂層の剥離強度が強い部分を指す。そして、本発明における易剥離部分とは、UV光照射の有無によって表面の性質を変えることにより、無機層と樹脂層の剥離強度が弱い部分を指す。
本発明での応用例としてのポリイミド積層体中のポリイミド層または積層体の膜厚方向に貫通する孔部分を設けて非ポリイミド部分を設けてもよい。該部分としては、特に限定はされるものではないが、好ましくは、Cu,Al,Ag,Auなどの金属を主たる成分としている金属で充填されているもの、機械式のドリルやレーザー穴あけによって形成された空孔、および、空孔の壁面に、金属膜がスパッタリング、無電解めっきシード層形成、などにより形成されているものが挙げられる。
本発明の樹脂積層体は、カップリング剤処理された無機層の基板表面に、樹脂が熱可塑性である場合には溶融押し出しにて、あるいは樹脂は溶剤可溶性である場合には樹脂溶液を塗布乾燥することにより、あるいは非熱可塑型のポリイミド樹脂のように不溶不融の樹脂の場合には、その樹脂の原料、あるいは前駆体等の中間体の状態で塗布し、無機層の基板表面にて化学反応にて樹脂層を形成する方法などを用いることができる。
本発明のポリイミド積層体は、カップリング剤処理された無機層の基板表面にポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥後に加熱ないし化学処理によりイミド化してポリイミド層とすることで得られる。または、溶剤可溶性ポリイミド樹脂の場合はカップリング剤処理された無機層の基板表面にポリイミド樹脂溶液を塗布し、乾燥してポリイミド層とすることでも得られる。また、部分的にはイミド化が完了していないポリアミド酸溶液と溶剤可溶性ポリイミド樹脂の混合状態から乾燥と一部のイミド化を進めるといった、中間的な原料を使ったポリイミド層の形成をありえる。
本発明において、無機層へのポリアミド酸溶液またはポリイミド樹脂溶液を基材上に塗布する方法は、例えば、スピンコート、ドクターブレード、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷法、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スリットコート、リバースコート、ディップコート等を含むが、これらに限られず従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
またこれらの手段はポリアミド酸以外の全ての樹脂材料にも適用出来る。
本発明では、ポリアミド酸を乾燥する際の加熱温度は、50℃〜120℃が好ましく、80℃〜100℃がさらに好ましい。処理時間は5分〜3時間が好ましく、15分〜2時間がさらに好ましい。乾燥後の残溶媒量は25%〜50%が好ましく、35%〜45%がさらに好ましい。
本発明では、ポリアミド酸を加熱してポリイミド層を作製する際の加熱温度は、150〜500℃が好ましく、300〜450℃がさらに好ましく。加熱時間は0.05〜10時間が好ましく。加熱処理は通常、段階的または連続的に昇温しながら行う。昇温速度は好ましく20℃/分以下であり、さらに好ましくは10℃/分以下であり、最も好ましくは5℃/分以下である。また、昇温速度は0.5℃/分以上が好ましく。
本発明での加熱によるイミド化における連続的な昇温条件については、100℃から昇温速度0.5℃〜20℃/分で最高到達温度150℃〜500℃まで昇温させ、最高到達温度で0.1分〜120分保持が好ましく、より好ましくは、昇温速度が1℃〜10℃/分、最高到達温度が300℃〜480℃、最高到達温度での保持時間が1〜60分であり、最も好ましくは、昇温速度が2℃〜5℃/分、最高到達温度が400℃〜450℃、最高到達温度での保持時間が5〜30分である。
本発明での加熱による乾燥、及びイミド化における昇温条件については、80℃で30分、ついで100℃で90分の乾燥の後、400℃まで5℃/分の昇温速度で上昇させ、400℃で5分間保持することが特に好ましい。
本発明では、無機層上でのポリイミド層の作製の際に、閉環触媒を用いても良い。本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、安息香酸などの芳香族カルボン酸、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用することが好ましい。閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/前駆体であるポリアミド酸中の含有量(モル)が0.01〜10.00となる範囲が好ましい。
本発明では、無機層上でのポリイミド層の作製の際に、脱水剤を用いても良い。例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、及び無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、効率よく脱水できるものであれば、特にこれらに限定されない。脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.01〜10.00となる範囲が好ましい。
本発明に於ける樹脂フィルムとは樹脂積層体の易剥離部分の樹脂層を切り抜いた後に容易に剥離することによって得られる樹脂フィルムである。積層体の易剥離部分にデバイスを作成し、易剥離部分の樹脂層を切り抜いた後に剥離することによって、デバイス付きの樹脂フィルムを得ることができる。
本発明におけるポリイミドフィルムとは、ポリイミド積層体の易剥離部分のポリイミド層を切り抜いた後に容易に剥離することによって得られるポリイミドフィルムである。積層体の易剥離部分にデバイスを作成し、易剥離部分のポリイミド層を切り抜いた後に剥離することによって、デバイス付きのポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明における、デバイス付きの樹脂フィルムを得る為の該積層体の易剥離部分にデバイスを作成してから易剥離部分の樹脂フィルムを切り抜く方法としては、刃物によってフィルムを切り抜く方法や、レーザーと該積層体を相対的にスキャンさせることによりフィルムを切り抜く方法、ウェータージェットと該積層体を相対的にスキャンさせることによりフィルムを切り抜く方法、半導体チップのダイシング装置により、若干ガラス層まで切り込みつつフィルムを切り抜く方法などがあるが、特に装置は限定されるものではない。
また、該デバイス付きの樹脂フィルムを最終製品とするまでに補強部材をつける場合、先にデバイスをつけた該積層体に補強部材を固定させた後に切り抜くこともありえる。補強部材としては、別途高分子フィルムを接着あるいは粘着する方法などが例示できる。この場合別途使われる高分子フィルムは、既に高温を必要とするプロセスを通過した後であるため、該樹脂フィルムより耐熱性の制約は少なく、さまざまな高分子フィルムが選択しうる。
また、切り抜く位置については、正確に良好接着部分と易剥離部分の樹脂表面にパターンに従う場合誤差も生じることから、該パターンより若干易剥離部分側に切り込むことが生産性を上げることになる。また、該パターンより若干難接着部分に切り込むことで、剥離させるまで、勝手に剥離してしまうことを防ぐ生産方式もありえる。更には、難接着部分の巾を狭く設定することで、剥離時に良好接着部分に残存する樹脂フィルムをなくしてしまうことは、フィルムの利用効率を上げ、該積層体面積に対するデバイス面積を向上させ生産性を上げる本発明の一形式となる。更には、デバイスの個数によらず、該積層体の外周部そのものを切り抜き位置として、実際には切り抜き工程は入れずに剥がす方式も、本発明の極端な一形式となりえる。
本発明における、デバイス付きの樹脂フィルムを得る為の該積層体の易剥離部分にデバイスを作成してから易剥離部分のフィルムを切り抜いた後に該無機物からなる基板から容易に剥離する方法としては、ピンセットなどで端から捲る事もありえるが、該デバイス付きのフィルムの切り抜き部分の1辺を粘着テープで固定した後にその部分から捲る方法、該デバイス付きのフィルムの切り抜き部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法もありえる。これらのときに該デバイス付きのフィルムの切り抜き部分が曲率が小さい曲がりが生じるとその部分のデバイスに応力が加わることになりデバイスを破壊する恐れがあるため、極力曲率の大きな状態で剥がすことが望ましい。このため、曲率の大きなロールに巻き取りながら捲るあるいは曲率の大きなロールが剥離部分に来るような構成の機械を使って捲ることが望ましい。
また、先にデバイスをつけた該積層体に補強部材を固定させた後に切り抜くおよび該デバイス付きのフィルムの切り抜き部分に別途補強部材を貼り付けた後に剥離する場合は、フィルムと該高分子フィルムの弾性率と膜厚を考慮することで、デバイス部分に極力応力が加わりにくい構成とすることもできるため望ましい。
補強部材としては、該デバイス付きの樹脂フィルムの切り抜き部分に別途補強部材を貼り付ける場合には高分子フィルム、極薄ガラス、SUS、などが例示できる。高分子フィルムを使うことで、デバイスの軽量性が保たれる利点があり、透明性と各種加工性、割れにくいことが利点としてある。極薄ガラスを使うことで、ガスバリア性、対薬品安定性、透明性が得られることが利点としてある。SUSを使うことで、電気的にシールドできる点、割れにくいことが利点としてある。
本発明の樹脂積層体において、無機層と樹脂層の間には接着剤層は介在せず、介在するのはカップリング剤に由来するSiを10重量%以上多く含むもののみである。カップリング剤層を用いることで中間層を薄くできるので加熱中の脱ガス成分が少なく、ウェットプロセスにおいても溶出しにくく、仮に溶出が起きても微量にとどまるという効果が出る。ただし、カップリング剤に由来する層は、耐熱性がある酸化ケイ素成分が多く、400度程度の温度での耐熱性があり、このカップリング剤由来する層は使用する範囲として100nm以下、好ましくは、50nm以下、更に好ましくは20nm以下である。極力カップリング剤が少ないことを望むプロセスでは、5nm以下でも使用可能である。1nm以下では、剥離強度が低下或は、部分的に付かない部分が出る恐れがあるため、1nm以上であることが好ましい。
上記無機層の該平面部分は平坦でなくてもよい。ある程度の粗さがあっても、樹脂の塗布、硬化することで、表面が平滑な樹脂層が得られるためである。樹脂層に関しては、表面にデバイスを形成させることを考えると、充分に平滑であることが望ましい。表面粗さのP−V値で50nm以下、更に望ましくは20nm以下、より望ましくは5nm以下である。樹脂としてポリイミドを用いる場合に於いても同様であり、上記無機層の該平面部分は平坦でなくてもよい。ある程度の粗さがあっても、ポリアミド酸溶液を塗布、硬化することで、表面が平滑なポリイミド層が得られるためである。ポリイミド層に関しては、表面にデバイスを形成させることを考えると、充分に平滑であることが望ましい。表面粗さのP−V値で50nm以下、更に望ましくは20nm以下、より望ましくは5nm以下である。
本発明のデバイスとしては、薄膜技術ないし厚膜技術、フォトリソプロセス、印刷プロセス等を組み合わせて作製される、能動デバイス、受動デバイス、MEMS、半導体デバイス、センサーデバイス、光電変換デバイスなどを例示でき、センサーデバイスとしては、ストレインゲージ(ひずみゲージ) , ロードセル, 半導体圧力センサー , 光センサー ,光電素子 , フォトダイオード , 磁気センサー , 接触式温度センサー , サーミスタ温度センサー , 抵抗測温体温度センサー , 熱電対温度センサー , 非接触式温度センサー, 放射温度計 , マイクロフォン , イオン濃度センサー ,ガス濃度センサー , 変位 センサー, ポテンショメータ , 差動トランス変位 センサー, 回転角センサー , リニアエンコーダ , タコジェネレータ , ロータリエンコーダ , 光位置センサー (PSD) , 超音波距離計 , 静電容量変位計 , レーザードップラー振動速度計 , レーザードップラー流速計, ジャイロセンサー , 加速度センサー, 地震センサー,一次元画像,リニアイメージセンサー, 二次元画像, CCDイメージセンサー, CMOSイメージセンサー,液, 漏液センサー(リークセンサー), 液検知センサー(レベルセンサー), 硬度センサー, 電場センサー, 電流センサー, 電圧センサー, 電力センサー, 赤外線センサー, 放射線センサー, 湿度センサー, においセンサー, 流量センサー, 傾斜センサー, 振動センサー, 時間センサーおよび、これらのセンサーを複合した複合センサーや、これらのセンサーで検出した値から何らかの計算式に基づき別の物理量や感性値などを出力するセンサーなどを含む。
本発明における、積層体の樹脂層と無機層との良好接着部分の180度剥離強度は1N/cm以上が好ましく、2N/cm以上がさらに好ましい。また、易剥離部分の180度剥離強度は良好接着部分の50%以下であること(即ち良好接着部分と易剥離部分の剥離強度の差が良好接着部分の剥離強度に対して50%以上)が好ましく、30%以下(即ち良好接着部分と易剥離部分の剥離強度の差が良好接着部分の剥離強度に対して70%以上)がさらに好ましい。また、易剥離部分の180度剥離強度の値としては1N/cm以下より好ましくは0.5N/cm、更に好ましくは0.05N/cm以下であるが、0.01N/cm以上はあることが好ましい。あまり接着力が弱いと、膜浮きの原因となりやすい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.樹脂フィルムなどの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.樹脂フィルム反り測定
測定対象のポリイミドフィルムを20mm×20mmに切り出し、アルミホイル上に置き静電気を除去した。その後、平坦なガラス板上にフィルムを乗せ、4端のガラス板からの距離を定規で測定しそれらの平均を取ることでフィルムの反りとした。
4.180度剥離強度
JIS C6471 の180度剥離法に従って、試料の剥離強度は下記条件で180度剥離試験を行うことで求めた。剥離強度測定用サンプルは、パターンをつける前の無機層に樹脂層を実施例1と同様にしてつけたもので測定した。具体的には樹脂層を付けた後にニッカン工業製接着剤シートSAFWと更にその上に、大き目の市販ポリイミドフィルム25μm厚のものを100℃にてロールラミネート後に、160℃1時間のプレスを行い、室温冷却の後にSAFWを挟んだ両側の市販ポリイミドフィルムと無機層樹脂層積層体とを市販ポリイミドフィルムが180度折れ曲がる側として、N=5の測定を行い平均値を測定値とした。
装置名 ; 島津製作所社製 オートグラフAG−IS
測定温度 ; 室温
剥離速度 ; 50mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 1cm
8N/cm付近で市販ポリイミド層とSAFWの界面剥離或は、SAFWの材料破壊との混合破壊が起きる為、無機層とポリイミド層の剥離強度はそれ以上とのみ推定できる。
5.線膨張係数(CTE)
測定対象の樹脂層を無機基板より剥離したものを、下記条件にて伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ;34.5g/mm2
8.カップリング剤層厚さの測定法
カップリング層厚さはシリコンウェハに作成した膜厚を測定した。
膜厚測定法は、エリプソメトリーにて行い、測定器はPhotal社製FE-5000を使用した。
この測定器のハード仕様は以下の通りである。
反射角度範囲 45から80°、波長範囲 250から800nm、波長分解能1.25nm、スポット径 1mm、tanΨ 測定精度±0.01、cosΔ 測定精度±0.01、方式回転検光子法。測定は偏向子角度 45°、入射 70°固定、検光子は11.25°刻みで0〜360°、250〜800nmの測定を行った。
非線形最小2乗法によるフィッティングで、膜厚を求めた。このとき、モデルとしては、Air/薄膜/Siのモデルで、
n=C3/λ4+C2/λ2+C1
k=C6/λ4+C5/λ2+C4
の式で波長依存C1〜C6を求めた。
[合成例1 ]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)を574質量部、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を9900質量部導入し、完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を501質量部、末端封止剤としてマレイン酸無水物(MA)を50質量部となるように導入し、25℃の反応温度で96時間攪拌すると、黄色で粘調なポリアミド酸溶液Aを得た。ポリアミド酸溶液の特性を表1に示す。
[合成例2 ]
合成例1と同様の手順に従って、4−4’オキシジアニリン (ODA)を493質量部、NMPを9000質量部、PMDAを483質量部、MAを48質量部導入し、120時間攪拌することで、黄色で粘調なポリアミド酸溶液Bを得た。
[合成例3 ]
合成例1と同様の手順に従って、パラフェニレンジアミン (PDA)を268質量部、NMPを8550質量部、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を659質量部、MAを48.6質量部導入し、120時間攪拌することで、黄色で粘調なポリアミド酸溶液Cを得た。ポリアミド酸溶液の特性を表1に示す。
[合成例4 ]
合成例1と同様の手順に従って、パラフェニレンジアミン (PDA)を133質量部、4−4’オキシジアニリン (ODA)を246質量部、NMPを8550質量部、PMDAを483質量部、MAを48質量部導入し、120時間攪拌することで、黄色で粘調なポリアミド酸溶液Dを得た。
[合成例5 ]
(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物の製造)
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール200質量部およびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、メチルシリケート51、Si平均個数4)1280質量部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.3質量部を加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを約90g留去した時点で冷却した。ついで、13kPaで約10分間、系内残存メタノール約10gを減圧除去し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物を得た。
(シラン変性ポリアミック酸樹脂組成物の製造)
合成例4のポリアミック酸900質量部を80℃まで昇温し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物26質量部と触媒として2−メチルイミダゾール0.15質量部を加え、80℃で4時間、反応した。室温まで冷却し、シラン変性ポリアミド酸溶液Eを得た。仕込み時の(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)のエポキシ基の当量)/(ポリアミック酸に使用したテトラカルボン酸類のカルボン酸基の当量)=0.07。
[合成例6]
乾燥窒素雰囲気中で、3,6−ジフェニル−ピロメリット酸無水物(DPPMDA)333質量部及び2,2’−ビス(ビフェニル)ベンジジン(BPBz)489質量部、末端封止剤としてマレイン酸無水物(MA)を10質量部をm−クレゾールに溶解し、4質量%の溶液とした。これを2時間室温で撹拌した後、イソキノリンを触媒として加え、窒素気流下、200℃で30分撹拌してポリイミド溶液とした。ポリイミド溶液を2−プロパノール中に再沈して黄色の粉状ポリマーを得た。 得られたポリマーを2−プロパノールで洗浄、乾燥後N−メチル−2−ピロリドンに加熱溶解し、10質量%のポリイミド溶液Fを得た。
[合成例7]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とγ―ブチルラクトンの50:50体積比率の混合溶液を8mL導入し、ビス)4−アミノフェニル)テレフタレート(BAPT)0.888g(2.55mmol)を完全に溶解させた後、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸2無水物(CBDA)0.500g(2.55mmol)を混合して攪拌したところ数分で激しく増粘したため、上記混合溶媒4mlで希釈して、更に1時間攪拌して、透明で黄色で粘調なポリアミド酸溶液Gを得た。この樹脂濃度は10wt%、溶液粘度は57Pa・s、 還元粘度1.8dL/gであった。
[合成例8]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン5mmol(1.6012g)をモレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミド15mLに溶解した後、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物粉末5mmol(1.1208g)徐々に加えた。室温で48時間撹拌し透明で薄黄色で粘調なポリアミド酸溶液Hを得た。この樹脂濃度は15wt%、溶液粘度は52Pa・s、 還元粘度1.73dL/gであった。
[合成例9]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)411質量部、N−メチル−2−ピロリドン750質量部、トリエチルアミン5.08質量部を加え、攪拌して溶液とした。
これに1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)202質量部、ピロメリット酸二無水物21.8質量部、NMP204質量部を加えた後、マントルヒーターで200℃まで30分かけて加熱し、留去物を除去しつつ、200℃で5時間保持した。
N,N−ジメチルアセトアミド1440質量部を添加後、130℃で30分攪拌して均一溶液としてから100℃まで空冷することにより、ポリイミド溶液Iを得た。この溶液の樹脂濃度は20wt%、溶液粘度は200Pa・s、還元粘度は1.11dL/gであった。
(ポリアミド酸溶液)
(ポリアミド酸溶液)
[無機層処理例1 ]
グローブボックス内を窒素置換した後、カップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン;3−APS)を、N2を流しているグローブボックス内でイソプロピルアルコールによって0.5wt%に希釈したカップリング剤希釈液を作成した後、別に無機層として8インチシリコンウェハ(直径20cm、0.725mm厚)を純水による超音波洗浄5min、エタノールによる超音波洗浄5min、純水による超音波洗浄5minを行った後、スピンコーターにセットして、イソプロピルアルコールをかけて1000rpmにて液の振り切りと乾燥を行い、引き続きこのカップリング剤希釈液を回転中央部に滴下させて15秒かけ3000rpmまで回転させ、その後15秒間3000rpmにて回転し、15秒かけて回転を止めることで、全面を濡らした後に乾燥状態とした。これをクリーンベンチ内に置いた100℃に加熱したホットプレート上に1分置き、無機層と反応させ処理済無機層1を得た。無機層の処理を表3に示す。また、カップリング剤層の膜厚は、上記の方法でエリプソメーターによって算出した。今回11nmであった。
[無機層処理例2 ]
カップリング剤を3−APS、無機層をガラス(コーニングEAGLE XG 100mm×100mm 0.7mm厚)とした以外は全く処理例1と同様にして処理済無機層2を得た。無機層の処理を表3に示す。
[無機層処理例3 ]
カップリング剤をn−プロピルトリメトキシシラン(n−PS)、無機層をガラス(コーニングEAGLE XG 100mm×100mm 0.7mm厚)とした以外は全く処理例1と同様にして処理済無機層3を得た。無機層の処理を表3に示す。
[無機層処理例4 ]
カップリング剤を用いず、無機層を8インチシリコンウェハ(直径200mm、0.725mm厚)とした以外は全く処理例1と同様にして処理済無機層4を得た。無機層の処理を表3に示す。
[無機層処理例5 ]
カップリング剤を用いず、無機層をガラス(コーニングEAGLE XG 100mm×100mm 0.7mm厚)とした以外は全く処理例1と同様にして処理済無機層5を得た。無機層の処理を表3に示す。
[無機層処理例6 ]
グローブボックス内を窒素置換した後、カップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン;3−APS)を、N2を流しているグローブボックス内でイソプロピルアルコールによって0.5wt%に希釈したカップリング剤希釈液を作成した後、別に無機層として8インチシリコンウェハ(直径20cm、0.725mm厚)を純水による超音波洗浄5min、エタノールによる超音波洗浄5min、純水による超音波洗浄5minを行った後、スピンコーターにセットして、イソプロピルアルコールをかけて1000rpmにて液の振り切りと乾燥を行った。
内側が1辺80mmの正方形、外側の1辺が120mmの正方形で囲まれた部分にシリコーンゴムがあるはんこ(図3(1)の形状)にこのカップリング剤希釈液を浸してから、ガラス基板の概略外周部分にシランカップリング剤希釈液がつくように、押し付けた後に、15秒かけ3000rpmまで回転させ、その後15秒間3000rpmにて回転し、15秒かけて回転を止めることで、全面を濡らした後に乾燥状態とした。これをクリーンベンチ内に置いた100℃に加熱したホットプレート上に1分置き、無機層と反応させ処理済無機層1を得た。無機層の処理を表3に示す。また、カップリング剤層の膜厚は、上記の方法でエリプソメーターによって算出した。今回13nmであった。
[無機層処理例 7]
無機層処理例6では口の字の形のはんこを使ったが、外周120mmを正方形は同じだが、この120mmの正方形の中心部分を10mm巾のシリコーンゴムがある、田の字の形をした、はんこ(図3(2)の形状)を使い、ガラスへのカップリング剤希釈液押し付けの前に別のガラス板に押し付けた後に押し付けること以外は同様にして処理済無機層5を得た。同様にして、シリコンウェハにもシランカップリング剤処理をおこなった後にエリプソメーターによって、何箇所か測定すると、はんこのあった部分には10〜13nmの膜厚があるのに対して、はんこの無い部分では膜厚1nm以下の値となり、はんこの部分に塗りわけされていた。
(無機層の処理)
(実施例 1)
処理済無機層1のシリコンウェハに接するように、一辺が70mmの正方形がくり抜かれたSUS板をマスクとして置き、シリコンウェハの中央部のみにUV光が当たるようにして、2分間UV照射処理した。この後、ポリアミド酸溶液Aを、アプリケータにて塗布した。ギャップはポリイミド層の膜厚が25μmとなるように調整した。 N2を流しているマッフル炉に入れ、80℃で30分、ついで2℃/分で100℃まで昇温し、100℃で90分保持することで乾燥を行い、5℃/分の昇温速度で100℃から400℃に昇温して、400℃で、5分温度を維持してポリアミド酸溶液をイミド化し積層体1を得た。また、積層体1のポリイミド層の中のUV照射を行った□70mm部分のうちの概略□60mmをカッターで切り抜き、ピンセットで剥がすことにより、容易にはがすことができ、ポリイミドフィルム1を得た。この後にポリイミドフィルムの膜厚を調べると実際には24μm厚であった。 得られた積層体の評価結果を表4に示す。また、UV照射処理後のカップリング剤層の膜厚は、2分間のUV照射処理後に上記の方法でエリプソメーターによって算出した。今回は測定不能であった。
(実施例 2)
無機層を処理済無機層2とし、ポリイミド層の膜厚が10μmとなるようにアプリケータのギャップを調整した以外は全く実施例1と同様にして積層体2、及びポリイミドフィルム2を得た。得られた積層体の評価結果を表4に示す。
(実施例 3)
無機層を処理済無機層3とし、ポリイミド層の膜厚が30μmとなるようにアプリケータのギャップを調整し、シリコンウェハの中心部分□70mmをマスクし、それ以外の部分を1分間UV照射処理した以外は全く実施例1と同様にして積層体3、及びポリイミドフィルム3を得た。得られた積層体の評価結果を表4に示す。
(実施例 4)
無機層を処理済無機層2とし、ポリイミド層の膜厚が25μmとなるようにアプリケータのギャップを調整し、ポリアミド酸溶液をポリアミド酸溶液Bとした以外は全く実施例1と同様にして積層体4、及びポリイミドフィルム4を得た。得られた積層体の評価結果を表4に示す。
(実施例 5)
無機層を処理済無機層2とし、ポリイミド層の膜厚が25μmとなるようにアプリケータのギャップを調整し、ポリアミド酸溶液をポリアミド酸溶液Cとした以外は全く実施例1と同様にして積層体5、及びポリイミドフィルム5を得た。得られた積層体の評価結果を表4に示す。
(実施例 6)
無機層を処理済無機層2とし、ポリイミド層の膜厚が25μmとなるようにアプリケータのギャップを調整し、ポリアミド酸溶液をポリアミド酸溶液Dとした以外は全く実施例1と同様にして積層体6、及びポリイミドフィルム6を得た。得られた積層体の評価結果を表5に示す。
(実施例 7)
無機層を処理済無機層2、ポリアミド酸溶液をポリアミド酸溶液Eとした以外は全く実施例1と同様にして積層体7、及びポリイミドフィルム7を得た。得られた積層体の評価結果を表5に示す。
(実施例 8)
無機層を処理済無機層2、ポリアミド酸溶液をポリイミド溶液Fとし、溶液を塗布した無機層をN2を流しているマッフル炉に入れ、80℃で30分、ついで2℃/分で120℃まで昇温し、120℃で15分保持し、5℃/分の昇温速度で120℃から350℃に昇温して、350℃で1時間温度を維持して乾燥させることにより積層体を得た以外は全く実施例1と同様にして積層体7、及びポリイミドフィルム7を得た。得られた積層体の評価結果を表5に示す。
(実施例 9)
無機層を処理済無機層2、ポリアミド酸溶液をポリイミド溶液Gとし、ポリイミド層の膜厚が25μmとなるようにアプリケータのギャップを調整し溶液を塗布した無機層をN2を流しているマッフル炉に入れ、80℃で50分、ついで、3℃/分の昇温速度で80℃から300℃に昇温して、300℃で1時間温度を維持して乾燥させることにより積層体を得た以外は全く実施例1と同様にして積層体8、及びポリイミドフィルム8を得た。得られた積層体の評価結果を表5に示す。
(実施例10)
無機層を処理済無機層2、ポリアミド酸溶液をポリイミド溶液Hとし、ポリイミド層の膜厚が15μmとなるようにアプリケータのギャップを調整し溶液を塗布した無機層をN2を流しているマッフル炉に入れ、60℃で120分、ついで、3℃/分の昇温速度で60℃から330℃に昇温して、300℃で2.5時間温度を維持して乾燥させることにより積層体を得た以外は全く実施例1と同様にして積層体9、及びポリイミドフィルム9を得た。得られた積層体の評価結果を表5に示す。
実施例 11
無機層を処理済無機層2、ポリアミド酸溶液をポリイミド溶液Iとし、溶液を塗布した無機層をN2を流しているマッフル炉に入れ、100℃で60分、ついで5℃/分の昇温速度で100℃から200℃に昇温して、200℃で300分温度を維持して乾燥させることにより積層体を得た以外は全く実施例1と同様にして積層体11、及びポリイミドフィルム11を得た。得られた積層体の評価結果を表6に示す。
[合成例10]
ホスゲンとビスフェノールAの縮合によって得られた分子量3.8万のポリカーボネートをメチレンクロライドに溶解し20%の溶液とした。
[合成例11]
ビスフェノールAとパーヒドロイソホロン骨格を有するビスフェノールとをホスゲン法を用いて共重合し、平均分子量35000の芳香族ポリカーボネート樹脂を得た。共重合比はビスフェノールA成分に対してパーヒドロイソホロン骨格を有するビスフェノールが15mol%であり、ガラス転移点温度は172℃であった。該ポリマーをメチレンクロライドに溶解し20重量%の溶液とした。
[合成例12]
ビスフェノールAとフルオレン骨格を有するビスフェノールとをホスゲン法を用いて共重合し、平均分子量36000の芳香族ポリカーボネート樹脂を得た。共重合比はビスフェノールA成分に対してフルオレン骨格を有するビスフェノールが16mol%でありガラス転移温度は175℃であった。該ポリマーを1,3−ジオキソランに溶解し、20重量%の溶液とした。
[合成例13]
(ポリアミド酸の重合)
反応容器中にトランス1,4−ジアミノシクロヘキサン1140質量部を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド34000質量部に溶解した後、撹拌しながら3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の粉末2646質量部とピロメリット酸二無水物218質量部を徐々に加えた。形成された塩溶液をオイルバスにて150℃で5分間激しく撹拌しながら加熱したところ、塩の一部が溶解し始めたので、反応容器をオイルバスからはずして室温で数時間撹拌することにより、透明で粘稠なポリアミド酸溶液を得た。
[合成例14]
(ポリアミド酸の重合)
反応容器に4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)2100質量部を入れ、N−メチル−2−ピロリドン28600質量部に溶解した後、窒素気流下、撹拌しながらピロメリット酸二無水物の粉末2180質量部を徐々に加え、35℃で8時間反応させることにより、透明で粘稠なポリアミド酸溶液を得た。
[合成例15]
(ポリアミド酸の重合)
反応容器に3,3’DDS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン)4966質量部を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)32551質量部に溶解した後、容器を水冷して、撹拌しながら3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の粉末5884質量部を徐々に加えた。水冷したまま、8時間攪拌を続けることにより、透明で粘稠なポリアミド酸溶液を得た。
[合成例16]
(ポリアミドイミド)
反応容器にトリメリット酸無水物;15モル、シクロヘキサンジカルボン酸;15モル、イソホロンジイソシアナート;29.85モル、フッ化カリウム;0.1モル、γ−ブチロラクトン;9.48kgを投入し、攪拌しながら120℃で1.5時間、更に190℃で5時間反応をさせた後、N−メチルピロリドンを加えてポリマー濃度を20重量%に希釈しながら室温まで冷却し、さらに反応液をイオン交換水中に攪拌しながら徐々に加えて、洗浄しながらポリマーを析出させた後、さらにイオン交換水中50℃で攪拌洗浄し、ろ過後、60℃で10時間減圧乾燥した。得られたポリアミドイミドの対数粘度は、0.70dl/gであった。得られたられたポリアミドイミド;9kgをトルエン;13.5kg、エタノール;13.5kg混合溶媒に25℃で10分間攪拌溶解させたのち、24時間静置して脱泡をおこない、25重量%ポリアミドイミド溶液を得た。
[合成例17]
(ポリアミドイミド)
反応容器にトリメリット酸無水物;6モル、シクロヘキサンジカルボン酸;24モル、イソホロンジイソシアナート;29.85モル、ナトリウムメトキサイド;0.1モル、γ−ブチロラクトン;9.48kgを投入し、参考例1と同様に、重合、希釈を行いポリアミドイミド溶液を得た。溶液の一部を再沈殿、乾燥した結果、ポリアミドイミドの対数粘度は0.73dl/gであった。
(実施例12)
n−プロピルトリメトキシシランの0.2重量%イソプロピルアルコール溶液を満たした容器に、無機層としてガラス板(コーニングEAGLE XG 650mm×830mm 0.7mm厚)を沈め、窒素置換した空間に毎秒10mmの速度で引き上げ、同時に乾燥窒素ガスをエアナイフで吹き付けて液切りを行った。ついで、ガラス板を乾燥窒素置換した120℃のドライオーブンに15分間入れ、ここまでをシランカップリング剤処理とした。なお、同じ塗布条件にてシリコンウエハを処理した場合のエリプソメトリー法により測定されたシランカップリング剤層の厚さは40nmであった。
得られたカップリング剤処理ガラス板に68mm×110mmの長方形の開口部が、5mm幅の遮蔽部を介してアレイ状に配列されたステンレススチール製のメタルマスクを重ね、メタルマスクとガラス板に隙間がないことを確認して、流量比で窒素95/酸素5の混合ガスを用いた大気圧プラズマ処理装置にてパターン化処理として大気圧プラズマ処理を行った。大気圧プラズマ処理装置は、スリット状の横に長いヘッドが自動式にワーク上を移動するタイプの機構を持ち、ガラス板がプラズマに暴露されている時間は概ね45秒程度である。
次いで、ダイコータを用いて合成例10で得られたポリカーボネート溶液を塗布し、乾燥窒素ガスを流したドライオーブンで80℃で30分、100℃90分乾燥し、次いで窒素置換したイナート熱処理炉に移し、5℃/分の昇温速度で100℃から200℃まで昇温し、1分間保持した後、20℃/分で室温まで冷却し、積層体を得た。積層体の樹脂層の厚さは40μmであった。
得られた積層体のマスク部での樹脂層の180度剥離強度は3.5N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は0.46N/cmであった。
得られた積層板上に、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセスとして、所定のテストパターンを用いて、平坦化層兼ガスバリア層として反応性スパッタリング法にて酸化珪素層、ソース、ドレイン電極層としてスパッタリング法にてタンタル層、バリアメタル層、半導体層としてCVD法にてアモルファスシリコン層を積層した後、ゲート絶縁層としてSiN層、ゲート電極層としてアルミニウムを重ねた。なお各々の層は所定のテストパターンに応じて、マスキングないしフォトリソ法にてパターニングされ、模擬的なデバイス:薄膜トランジスタアレイとなっている。デバイス部分はパターン化処理時のメタルマスクの開口部分に形成されている。以上のプロセス中、真空雰囲気、フォトリソグラフ法に用いられるレジスト液、現像液、エッチング液、剥離液に暴露されたわけであるが、樹脂層はガラス層から剥離することなく、プロセス適性は良好であった。
次いで、パターン化処理時に用いたメタルマスクのパターンに応じて、マスクの遮蔽部と開口部の境目にて樹脂層に切れ目を入れ、デバイスが形成されている部分を剥離した。剥離については端部を刃物で僅かに起こすことで容易に行うことが出来た。遮蔽されていた5mm幅の部分についても同様に剥離を試みたが、樹脂層を破壊しないように剥離することは困難であった。
(実施例13)
実施例12におけるシランカップリング剤処理をスピンコート法に変更し、溶液を合成例11で得られた溶液に変更し、さらに大気圧プラズマ処理を、ブラスト処理に代えた以外は同様に処理を行い、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセス実験を行った。
スピンコーターによるシランカップリング剤処理は以下の手順に従った。ジャパンクリエイト社製のスピンコーターにガラス板(コーニングEAGLE XG 300mm×300mm 0.7mm厚)を装着し、シランカップリング剤としてn−プロピルトリメトキシシランを用い、濃度0.1重量%イソプロピルアルコール溶液を用いてガラス板にコーティングを行い、次いで、ガラス板を乾燥窒素置換した100℃のドライオーブンに10分間入れて乾燥・熱処理を行った。なお、同じ塗布条件にてシリコンウエハを処理した場合のエリプソメトリー法により測定されたシランカップリング剤層の厚さは40nmであった。
ブラスト処理にはマコー社の小型のウエットブラスト処理機を用い、媒体には水を、研磨材には#2000のシリカ粒子を用いた。ブラストはマスクを介して行い、ブラスト終了後にガラス板を超純水にてリンスし、ドライエアで乾燥し、次工程であるダイコータによるポリアミド酸溶液の塗布工程へと進んだ。
結果、得られた積層体のマスク部での樹脂層の180度剥離強度は4.7N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は1.03N/cmであった。プロセス通過性には問題なく、弱接着部の剥離性も良好であった。
(実施例14)
実施例12におけるシランカップリング剤処理を実施例13のスピンコート法に変更し、溶液を合成例12で得られた溶液に変更し、さらに大気圧プラズマ処理を、実施例13のブラスト処理に代えた以外は同様に処理を行い、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセス実験を行った。
結果、得られた積層体のマスク部での樹脂層の180度剥離強度は4.1N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は0.34N/cmであった。プロセス通過性には問題なく、弱接着部の剥離性も良好であった。
(実施例15)
実施例12におけるシランカップリング剤処理を実施例13に示したスピンコート法に変更し、溶液を合成例13で得られたポリアミド酸溶液に変更し、大気圧プラズマ処理を真空プラズマ処理に変更し、それ以外は同様に処理を行い、パターン化処理工程まで進めた
真空プラズマ処理は枚葉ガラス用の装置を用い、ガラスのシランカップリング剤処理面にメタルマスクを重ねて装置にセットし、真空チャンバー内を1×10-3Pa以下になるまで真空排気し、真空チャンバー内にアルゴンガスを導入して、放電電力100W、周波数15kHzの条件で20秒間、ガラス板表面にアルゴンガスのプラズマ処理を行った。以後、次工程であるダイコータによるポリアミド酸溶液の塗布工程へと進み、合成例13で得られたポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥窒素ガスを流したドライオーブンで80℃で30分、100℃90分乾燥し、次いで窒素置換したイナート熱処理炉に移し、5℃/分の昇温速度で100℃から280℃まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分で室温まで冷却し、積層体を得た。積層体の樹脂層の厚さは35μmであった。以後、同様にアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセス実験を行った。所定のプロセスを通した。結果、得られた積層体のマスク部でのポリイミド層の180度剥離強度は5.4N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は0.35N/cmであった。プロセス通過性には問題なく、弱接着部の剥離性も良好であった。
(実施例16)
実施例15における真空プラズマ処理をコロナ処理に代え、溶液を合成例14で得られたポリアミド酸溶液に変更した以外は同様に処理を行い、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセス実験を行った。
春日電機製のコロナ処理装置を用い、放電量1000Wの電力を印加し10W/m/minで処理を行った。なお、本実験に於いてはメタルマスクの代わりに、メタルマスクと同じ形状に加工した厚さ0.5mmのアクリル板を用いた。以後、次工程であるダイコータによるポリアミド酸溶液の塗布工程へと進み、所定のプロセスを通した。結果、得られた積層体のマスク部でのポリイミド層の180度剥離強度は4.6N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は1.8N/cmであった。プロセス通過性には問題なく、弱接着部の剥離性も良好であった。
(実施例17)
実施例15におけるシランカップリング剤を3−アミノプロピルトリメトキシシランに変更し、ポリアミド酸溶液を合成例15で得られたポリアミド酸溶液に変更し、大気圧プラズマ処理を、活性ガス処理(塩素ガス)に代えた以外は同様に処理を行い、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセス実験を行った。
塩素ガスを用いた活性ガス処理は以下の手順で行った。まず、減圧可能なチャンバーにシランカップリング剤処理を行ったガラスにメタルマスクを重ねた状態でセットし、チャンバー内を減圧し、次いで窒素ガス95%、塩素ガス5%の混合ガスをチャンバー内に導入し、流量計算上チャンバー内が一気圧の混合ガスで満たされた状態に達してから30秒間保持した後、塩素ガスの供給を止め、窒素ガスを60秒流し続けた後に窒素ガスの供給を止め、再びチャンバー内を減圧し、乾燥空気で常圧に一度戻し、再度減圧して再び常圧に戻す処理をへてチャンバー内からガラス板を取り出した。
以後、次工程であるダイコータによるポリアミド酸溶液の塗布工程へと進み、所定のプロセスを通した。結果、得られた積層体のマスク部でのポリイミド層の180度剥離強度は4.2N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は0.75N/cmであった。プロセス通過性には問題なく、弱接着部の剥離性も良好であった。
(実施例18)
実施例15における溶液を合成例16で得られたポリアミドイミド溶液に変更し、真空プラズマ処理を、活性ガス処理(オゾンガス)に代えた以外は同様に処理を行い、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセス実験を行った。
オゾンによる活性ガス処理は以下の手順とした。まず、減圧可能なチャンバーにシランカップリング剤処理を行ったガラスにメタルマスクを重ねた状態でセットし、チャンバー内を減圧し、次いでオゾン発生器(PSAオゾナイザーSGA−01−PSA2、住友精密工業社製)からオゾンガスをチャンバー内に導入し、流量計算上チャンバー内が一気圧のオゾンで満たされた状態に達してから60秒間保持した後、オゾンガスの供給を止め、再びチャンバー内を減圧し、乾燥空気で常圧に一度戻し、再度減圧して再び常圧に戻す処理をへてチャンバー内からガラス板を取り出した。
以後、次工程であるダイコータによるポリアミド酸溶液の塗布工程へと進み、所定のプロセスを通した。結果、得られた積層体のマスク部でのポリアミドイミド層の180度剥離強度は5.2N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は0.7N/cmであった。プロセス通過性には問題なく、弱接着部の剥離性も良好であった。
(実施例19)
実施例15における真空プラズマ処理を、レーザー光による直接描画に変更し、溶液を合成例17で得られたポリアミドイミド溶液に変更した以外は同様に処理を行い、アモルファスポリシリコンを用いた薄膜トランジスタアレイ製作の模擬プロセス実験を行った。
レーザー光による直接描画装置としてはYAGレーザーマーキング装置を用い、メタルマスクの開口部に相当する部分をYAGレーザー光で走査することによりパターン化処理とした。なお、YAGレーザー光の出力は、ガラスへのマーキングが可能なパワーの1/10とした。
以後、次工程であるダイコータによるポリアミド酸溶液の塗布工程へと進み、所定のプロセスを通した。結果、得られた積層体のマスク部でのポリアミドイミド層の180度剥離強度は3.8N/cmであった。一方、非マスク部での180度剥離強度は0.52N/cmであった。プロセス通過性には問題なく、弱接着部の剥離性も良好であった。
(比較例 1)
無機層を処理済無機層4とした以外は全く実施例1と同様にして積層体11、及びポリイミドフィルム11を得た。得られた積層体の評価結果を表7に示す。
(比較例 2)
無機層を処理済無機層5とした以外は全く実施例1と同様にして積層体12、及びポリイミドフィルム12を得た。得られた積層体の評価結果を表7に示す。
(比較例 3)
無機層へのUV照射処理を行わなかった以外は全く実施例1と同様にして積層体13を得た。得られた積層体の評価結果を表7に示す。
(比較例 4)
無機層を処理済無機層2とし、無機層へのUV照射処理を行わなかった以外は全く実施例1と同様にして積層体14を得た。得られた積層体の評価結果を表7に示す。
(比較例 5)
無機層へのUV照射処理を行わなかった以外は全く実施例5と同様にして積層体15を得た。得られた積層体の評価結果を表8に示す。
(比較例 6)
無機層へのUV照射処理を行わなかった以外は全く実施例6と同様にして積層体16を得た。得られた積層体の評価結果を表8に示す。
(測定例1から5)
基板としてシリコンウェハを□50mmに切断したもの5枚を使い、これを純水による超音波洗浄5min、エタノールによる超音波洗浄5min、純水による超音波洗浄5minを行った後、スピンコーターにセットして、イソプロピルアルコールをかけて1000rpmにて液の振り切りと乾燥を行い、引き続き無機層処理例1と同様のカップリング剤の塗布及び無機層との反応を行った。その後に、カップリング剤塗布済みシリコンウェハをそれぞれUV照射時間を、0sec、10sec、30sec、120sec、1800sec照射したサンプルを作成した。このときの表面組成比率を表9にまとめた.
シリコンウェハに、官能基を持つ3−アミノプロピルトリメトキシシランを塗布した場合、UV照射処理を行っていない部分が良好接着部となり、UV照射処理部分が易剥離部分となる(実施例1)。UV照射処理を行うと、オゾンおよび活性酸素が発生することが知られており、測定例1〜5より、UV照射処理を行うと、窒素(N)元素のAtomic percentは下がり、続いて炭素(C)も減ることからアミノプロピル基の分解が示唆されている。官能基を有するカップリング剤処理を行うことで接着強度が高くなり良好接着部となるが、UV照射処理を行うことでオゾンや活性酸素原子による反応が進み、アミノプロピル基が分解し、無機層とポリイミド層との接着強度が低くなり、易剥離性が見られたものと考えられる。
一方で、n−プロピルトリメトキシシランのように官能基の無いものを無機層に塗布した場合、UV照射処理を行っていない部分が易剥離部分となり、UV照射処理を行っている部分が良好接着部となる(実施例3)。測定例1〜5より、UV照射処理することで、酸素(O)が増加しており、プロピル基部分の酸化が示唆される。プロピル基のようなアルキル基へのポリイミド層の接着強度は低く易剥離部分となるが、UV照射処理によりアルキル基からアルデヒド基、カルボキシル基、もしくはカルボン酸基などの官能基が生成したため、UV照射部分が良好接着部分となったと考えられる。
[応用例1]
実施例5及び比較例2で得られた積層体を、開口部を有するステンレス製の枠を被せてスパッタリング装置内の基板ホルダーに固定した。基板ホルダーと、無機層は密着するように固定する。このため、基板ホルダー内に冷媒を流すことによってフィルムの温度を設定できる。基板温度を2℃に設定した。次いでポリイミド層表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はアルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力200W、ガス圧1×10−3Torrの条件であり、処理時の温度は2℃、処理時間は2分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧3×10−3Torrの条件、ニッケル−クロム(クロム10質量%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ7nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成し、次いで、基板の温度を2℃に設定するよう、基板のスパッタ面の裏面を2℃に温度コントロールした冷媒を中に流した、基板ホルダーのSUSプレートと接する状態でスパッタリングを行った。10nm/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.25μmの銅薄膜を形成させた。各フィルムからの下地金属薄膜形成積層体を得た。銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。
その後、各積層体からの下地金属薄膜形成積層体をCu製の枠に固定し、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚付銅層を形成した。電解めっき条件は電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬、電気を1.5Adm2流した。これにより厚さ4μmの厚付け銅メッキ層(厚付け層)を形成し引き続き120℃で10分間熱処理乾燥し、金属化積層体を得た。
得られた金属化積層体を使用し、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、ライン/スペース=20μm/20μmのライン列をテストパターンとして形成後、0.5μm厚に無電解スズメッキを行った。その後、125℃、1時間のアニール処理を行った。光学顕微鏡で、だれ、パターン残り、パターン剥がれなどを観察して樹脂層からのパターンを評価した。
実施例5の樹脂フィルム積層体からはだれ、パターン残り、パターン剥がれの無い良好なパターンが得られた。また、このフィルムを窒素置換したマッフル炉内で昇温速度10℃/minで400℃に昇温後に400℃で1時間保持しその後自然降温させても、膨れ、剥がれなど発生することは無かった。
またその後に、無機層から剥離を行っても、パターン剥離などは起きなかった。これにより配線パターンつきの樹脂フィルムが得られた。
比較例2の樹脂フィルム積層体からは、フィルム剥がれ、だれ、パターン残り、パターン剥がれが見られ、良好なパターンが得られなかった。
[応用例2]
表示用パネル作成例として、図4のような構造が用いられる。
絶縁基板上にはAlを200nmスパッタにて形成して、パターン化してゲート配線バスライン、ゲート電極及びゲート配線を形成する。この時点では、各ゲート配線はゲート配線バスラインに接続しておく。このゲート配線バスラインは、陽極化成時に電源供給ラインとして使用する。この後、フォトレジストを3μm塗布しフォトエッチングプロセスにより、領域A,Bのレジスト除去する。領域AはTFTの部分。Bha配線交差部である。この状態で、基板を化成液に浸して、ゲート配線のバスラインに+72Vの電圧を30分加えることで、領域A,BでのAlのうち70nmがAl2O3になり、100nm程度のAl2O3膜が得られる。化成液としては、3%酒石酸溶液をエチレングリコールで希釈し、アンモニア水を添加して、PH7.0に調整した。レジストを除去した後大気中で200℃1時間加熱を行う。このことで、Al2O3膜のリーク電流の低減をもくろむ。
この上に、プラズマCVD法によって窒化シリコンを300nm製膜し、水素化非晶質シリコン(a−Si)100nm、第2の窒化シリコンを200nm製膜する。このときの基板温度は380℃とした。この後に、第2の窒化シリコンをパターン化して、TFTのチャネル上を配線交差部のみとした。
リン2%程度のドープした、非晶質シリコンn層を50nm堆積し、パターン化して、TFTのソース・ドレイン部のみに残す。このときa−Siも同時に除去する。Crを100nm、Al500nmをスパッタリングにて堆積し、パターン化して、信号線、TFTのドレイン、ソース電線などを形成する。このAl化工事に先に形成したゲート配線バスラインを除去して、各々のゲート配線を分離する。
次に透明電極のITOを100nmスパッタリングにて形成して、画素電極、端子等を形成する。最後に、プラズマCVDにて、窒化シリコンを1μm程度堆積させ、
フォトエッチングプロセスによって端子部常の窒化シリコンを除去して、TFT基板が完成する。
画素電極上に発光層を形成する。ここでは発光物質としてドープ処理していないポリ(パラ−フェニレンビニレン)を含む有機層をスクリーン印刷法を用いて形成した。膜の乾燥温度は最高180℃である。最後に第二電極としてITOを発光層上にスパッタリングし、フッ素樹脂コーティングを行って保護膜として形成し、有機EL素子使用表示装置を作成した。この際基板温度を350℃まで加熱している。(図5)
得られた実施例1の積層体を使用した有機EL素子使用表示装置にピークトゥピーク60Vの1000Hzの交番電圧を印可したところ、鮮やかな緑色に発光した。以下同様に、他のフィルムを用いて自発光型表示装置を製作し、実施例の表示装置においては良好な発光を得られているが、比較例の表示装置においては十分な発光を得ていない。これは、プロセス中の温度の上下により使用したフィルムの高温での平面維持性に劣るための導電層、特に透明導電層にダメージがあったためと推察される。
本発明の製造方法で得られる積層体は、ガラス板、セラミック板、シリコンウェハ、金属から選ばれた一種の無機層の一面と、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類との反応によって得られる、ポリイミド層とが、接着剤層を介することなく貼り合わされた積層体であり、
本発明の製造方法で得られるデバイス付きのポリイミドフィルムは、前記積層体を使うことによって得られる、易剥離部分のポリイミド層を切り抜いた後に容易に剥離することによってデバイス付きのポリイミドフィルムが作れる。
本発明の積層体は、極小薄のポリイミドフィルム上の微細回路基板や、デバイス構造体などを製造する過程に有効に使用でき、金属化などの温度の上がる行程に耐え得る耐熱性のある積層体であり、その後のパターン作成においても寸法変化が小さい為、誤差の小さな回路パターンを得ることが出来る。さらに必要に応じてこの無機基板を剥がすこともスムースにでき、極薄の絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れたポリイミドフィルム上に、精度よく回路やデバイス形成ができ、それ故に、微細回路板、センサーなどのデバイス製造に有効である。
(図1)
1:ガラス基板
2:シランカップリング剤層
3:UV光遮断マスク
4:シランカップリング剤層UV照射未処理部
5:シランカップリング剤層UV照射処理部
6:樹脂層
7:シランカップリング剤層UV照射処理部上の樹脂フィルム
(図2)
1:ガラス基板
2:シランカップリング剤層
3:UV光遮断マスク
4:シランカップリング剤層UV光未照射部
5:シランカップリング剤層UV光照射部
6:樹脂層
7:シランカップリング剤層UV光照射部上の樹脂フィルム
8:回路
(図3)
1:シランカップリング剤層UV照射未処理部
2:シランカップリング剤層UV照射処理部
(図4)

1.基板(支持体)
2.Al
3.陽極化成膜(Al2O3)
4.窒化シリコン(1)
5.水素化非晶質シリコン
6.窒化シリコン(2)
7.非晶質シリコンn層
8.Cr
9.ゲート配線
10.信号線
11.ゲート配線バスライン
12.透明電極
A TFT部
B 配線交差部
(図5)
1.基板(支持体)
2.第一電極
3.発光層
4.第二電極
5.隔壁
6.保護膜

Claims (9)

  1. 少なくとも、無機層と樹脂層から構成されてなる積層体の製造方法であって、
    下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
    (1)無機層の少なくとも片面の表面をカップリング剤処理する工程
    (2)前記カップリング剤処理された無機層の少なくとも片面を、あらかじめ決めたパターンに従ってパターン化処理を行うことによって、無機層と樹脂層の間の剥離強度が異なる部分を設ける工程。
    (3)該パターン化した無機層のカップリング剤処理面上に樹脂溶液あるいは、樹脂前駆体溶液を塗布して得られた塗布溶液層を乾燥、熱処理し前記樹脂層を形成する工程、
  2. 前記パターン化処理が、所定部分を被覆又は遮蔽した上で行われる、少なくとも、ブラスト処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、活性放射線照射処理、活性ガス処理、薬液処理からなる群より選択される一種以上の処理であることを特徴とする請求項1の積層体の製造方法。
  3. 前記パターン化処理が、UV照射処理であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  4. 該樹脂層が、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 前記樹脂層の厚さが0.5μm〜50μmであり、前記樹脂層の面方向の線膨張係数が、−2ppm/℃〜+35ppm/℃である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 無機層と樹脂層との積層体であって、該無機層と該樹脂層の間にカップリング剤層を有しており、 該無機層と該樹脂層の良好接着部分と易剥離部分が所定のパターンを形成していて、該無機層と該樹脂層の間の180度剥離強度が、良好接着部分で1N/cm以上あり、良好接着部分と易剥離部分の剥離強度の差が良好接着部分の剥離強度に対して50%以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. 該カップリング剤層の厚さが100nm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法で作成された積層体で、該無機層と樹脂層の接着剥離強度が異なる、良好接着部分と易剥離部分とにパターンに従って分かれていることを特徴とする積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体を用いて、該積層体の樹脂層の易剥離部分の樹脂層表面にデバイスを形成した後に、易剥離部分を切り抜いて剥離することによって、デバイスを積層した樹脂フィルムを得る方法。
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