JP2012250483A - 記録ヘッド、記録装置、その制御方法 - Google Patents

記録ヘッド、記録装置、その制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回路規模の増大を招かずに、各吐出口からのインクの吐出量のばらつきを抑制する。
【解決手段】記録ヘッドは、電気熱変換素子を複数のグループに分割し、各グループの電気熱変換素子をダブルパルスの駆動信号により時分割駆動することにより各吐出口からインクを吐出する。ここで、記録ヘッドは、各グループに対応して設けられ、プレパルス及びメインパルスの少なくともいずれかのパルス幅が互いに異なる複数種類の駆動信号のうちいずれかを選択するための選択情報を保持する保持回路と、各グループに対応して設けられ、保持回路により保持された選択情報に応じて複数種類の駆動信号から1つを選択するセレクタと、各電気熱変換素子に対応して設けられ、セレクタにより選択された駆動信号に従って対応する電気熱変換素子に電圧を印加する駆動回路とを具備し、保持回路には、時分割駆動における駆動タイミング毎に新たな選択情報が保持される。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録ヘッド、記録装置、その制御方法に関する。
従来、画像信号に応じて記録素子から液滴を吐出し、記録媒体上にドットを付着させることによって記録を行なうインクジェット記録方式を採用した記録装置が知られている。記録素子から液滴を吐出するための構成としては、従来いくつかの方式が提案及び実施されているが、その中でも、記録素子に電気熱変換素子(ヒータ)を備える構成が知られている。
このようなヒータを備えた記録素子には、複数の記録要素が配備されている。個々の記録要素としては、例えば、液体を吐出口に導くための流路と、流路中の液体に保護膜を介して接触するヒータとが挙げられる。画像信号に応じて個々のヒータに所定の電圧パルスが印加され、ヒータが発熱して液体を加熱する。そして、液体は、急激な加熱によって、急激な体積増加を伴う状態変化(発泡)を起こす。これにより、その発泡に基づく力によって吐出口から所定量の液体が押し出される。吐出された液滴が飛翔し、記録媒体上に付着することによってドットが形成される。
近年、このような記録素子が配される基板(記録素子基板)上には、ヒータの他、種々の要素が配置される。例えば、ヒータ各々に所定の電圧パルスを印加する駆動回路、直列に入力される画像信号を駆動回路各々に入力するため並列に変換するシフトレジスタ、シフトレジスタから出力されるデータ(信号)を一時的に記憶するラッチ回路などが配される。
また、記録素子の吐出口は、記録速度を向上させるため、その数が増えており、1つの基板上に1列当たり1000を越える吐出口を複数列持つものも実用化されている。しかし、数千のヒータに同時に電圧を印加すると、大きな電流が流れ配線の抵抗による電圧降下や、ノイズの発生などの問題が生じてしまう。そのため、時分割で電圧をヒータに印加するブロック駆動という駆動(時分割駆動)方法が用いられている。
図6は、従来の基板の構成の一例を示す図である。図6に示す基板においては、1000個の吐出口が隣接する複数の吐出口毎に50のグループに分けられており、グループ毎に1個の吐出口からインクの吐出が行なわれる。すなわち、全てのグループで考えると、計50個の吐出口から同時にインクの吐出が行なわれる。この吐出動作を20回繰り返す時分割駆動によりインクが吐出され記録が行なわれる。
ここで、基板上には、吐出口111、ヒータ110、駆動回路108の他、デコーダ106、シフトレジスタ101、ラッチ回路104等が設けられる。このような図6に示す基板においては、図7に示す入力信号に基づいて記録動作が行なわれる。
簡単に説明すると、まず、各グループの1番左側の吐出口番号000、020、040〜980の吐出口からインクの吐出が行なわれる。このインクの吐出では、まず、各吐出口に対応した画像信号が、シフトレジスタ101を介してラッチ回路104に保持される。そして、ブロック選択入力107により0が入力され、デコーダ106により各グループの一番左の駆動回路108を選択するブロック選択信号BLE00がデコードされ、当該信号が各グループに入力される。この状態において、ヒートイネーブル信号109が入力されると、各グループの左端の駆動回路108が画像信号に対応した電圧をヒータ110に印加する。これにより、吐出口111からインクが吐出される。
その後、各グループの左から2番目の吐出口番号001、021、041〜981の吐出口、左から3番目、4番目・・・の吐出口からも上記同様にしてインクの吐出が行なわれる。このような動作は、複数回繰り返される(この場合、20回)。これにより、記録媒体上に画像が形成される。
このように熱エネルギーを利用したインクジェット方式では、ヒータを発熱させて、インクの発泡を起こすことでインクを吐出するため、記録素子の温度により吐出量が変動し易い。
ここで、特許文献1には、図7のP1及びP3に示すように、2つのパルス部からなるダブルパルスを、記録素子の温度に応じて変更してヒータに印加する技術について言及されている。これにより、吐出量の変動を補正している。より具体的には、記録素子の温度に応じて吐出量が一定になるように、P1を変更し、それ合わせて発泡に最適な発熱エネルギーになるようにP3を変更する。
また、各ヒータの抵抗値が一定でないことを起因として吐出口毎にインクの吐出量がばらつく場合がある。また更に、ヒータの発熱に伴った昇温により複数のヒータ内で温度分布が生じ、ヒータ毎の温度差を起因として吐出量のばらつきが生じる場合がある。これ以外にも、このような吐出口毎の吐出量のばらつきは、例えば、吐出口の口径のばらつき、ヒータ上の保護膜厚のばらつきなど様々な原因が挙げられる。
これに対し、特許文献2には、複数のヒートイネーブル信号を入力し、いずれを選択するかの選択情報を記憶し、吐出口毎に最適なヒートイネーブル信号を選択してヒータに電圧パルスを印加する技術が開示されている。
特許平05−031905号公報 特開平07−241992号公報
特許文献2のように、吐出口毎に選択情報を記憶し、当該吐出口毎に最適なヒートイネーブル信号を選択する方式では、1つの基板上に数千のヒータ及び吐出口を持つ構成においては、記憶回路、選択回路等の数が多くなり、回路規模が大きくなり過ぎてしまう。すなわち、実質的に実現が不可能であるといえる。
また、特許文献2において回路規模削減方法として言及されている画像信号転送用のシフトレジスタを選択信号の転送に共用する方法を用いた場合、記録中の吐出による昇温で刻々と変化する温度に対応した吐出量の変化を補正することができない。
ここで、隣接する数個の吐出口で同じヒートイネーブル信号による電圧パルスをヒータに印加することで、記憶回路、選択回路の数を数分の1にする方法が考えられる。しかし、その場合、例えば、ヒータ上の保護膜が発泡のための発熱で削れていき、ヒータから液体までの熱抵抗が変わり、発泡に最適な発熱エネルギーが変化するといった現象が生じた場合には対応できない。すなわち、吐出口毎に吐出される液滴の数が異なってくるため、隣接した吐出口であっても発泡に最適な発熱エネルギーがそれぞれ異なってくるので、補正を適切に行なうことができない。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回路規模の増大を招かずに、各吐出口からのインクの吐出量のばらつきを抑制させられるようにした技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、複数の吐出口それぞれに対応して設けられる電気熱変換素子を隣接する複数の電気熱変換素子を1つのグループとして複数のグループに分割し、各グループの電気熱変換素子をダブルパルスの駆動信号により時分割駆動することにより各吐出口からインクを吐出する記録ヘッドであって、各グループに対応して設けられ、プレパルス及びメインパルスの少なくともいずれかのパルス幅が互いに異なる複数種類の駆動信号のうちいずれかを選択するための選択情報を保持する保持回路と、各グループに対応して設けられ、前記保持回路により保持された選択情報に応じて前記複数種類の駆動信号から1つを選択するセレクタと、各電気熱変換素子に対応して設けられ、前記セレクタにより選択された駆動信号に従って対応する電気熱変換素子に電圧を印加する駆動回路とを具備し、前記保持回路には、前記時分割駆動における駆動タイミング毎に新たな選択情報が保持される。
本発明によれば、回路規模の増大を招かずに、各吐出口からのインクの吐出量のばらつきを抑制させられる。
本発明の一実施の形態に係る記録装置10の機能的な構成の一例を示す図。 図1に示す記録素子基板31の構成の一例を示す図。 ヒートイネーブル信号の一例を示す図。 記録素子基板31の記録動作を制御する信号の一例を示す図。 実施形態2に係る記録素子基板31を制御する信号の一例を示す図。 従来技術を説明するための図。 従来技術を説明するための図。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明においては、インクジェット記録方式を用いた記録装置を例に挙げて説明する。記録装置は、例えば、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであっても良いし、また、例えば、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであっても良い。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であっても良い。
なお、以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。
また更に、「記録素子」(「ノズル」という場合もある)とは、特にことわらない限りインク吐出口乃至これに連通する液路及びインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括していうものとする。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る記録装置10の機能的な構成の一例を示す図である。
記録装置10は、ホスト装置40と接続されている。ホスト装置40は、画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取用のリーダやデジタルカメラなど)で実現される。ホスト装置40と記録装置10との間では、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)11を介して画像データ、コマンド等の授受が行なわれる。
コントローラ部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、画像処理部24と、記録ヘッド制御部25とを具備して構成される。
CPU(Central Processing Unit)21は、コントローラ部20における処理を統括制御する。ROM(Read Only Memory)22は、プログラムや各種データを記憶する。RAM(Random Access Memory)23は、CPU21によるプログラムの実行時にワークエリアとして使用され、各種演算結果等を一時的に記憶する。
画像処理部24は、ホスト装置40からI/F11を介して受信した画像データに対して各種画像処理を行なう。
記録ヘッド制御部25は、記録ヘッド30を制御する。記録ヘッド制御部25においては、例えば、各種信号を生成し、当該生成した信号を記録ヘッド30へ向けて転送する。記録ヘッド30へ転送される信号としては、例えば、シリアルクロック(CLK、CLKS)、画像信号(SI)、ラッチ信号(BG、BGS)、選択信号(SIS)、ヒートイネーブル信号(HE)等が挙げられる。記録ヘッド30は、記録ヘッド制御部25から転送されてきた信号に基づいて記録ヘッド30内の各吐出口からインクを吐出させる。
記録ヘッド30には、詳細については後述するが、記録素子が配される記録素子基板(以下、単に基板と呼ぶ場合もある)31が設けられる。基板31には、電気熱変換素子(ヒータ)の他、種々の要素が配置される。例えば、ヒータ各々に所定の電圧パルスを印加する駆動回路、直列に入力される画像信号を駆動回路各々に入力するため並列に変換するシフトレジスタ、シフトレジスタから出力されるデータを一時的に記憶するラッチ回路などが設けられる。
次に、図2を用いて、図1に示す基板31の構成の一例について説明する。なお、本実施形態に係る基板31では、1000個の吐出口が隣接する複数の吐出口毎に50のグループに分けられており、グループ毎に1個の吐出口からインクの吐出が行なわれる。すなわち、全てのグループで考えると、計50個の吐出口から同時にインクの吐出が行なわれる。この吐出動作を20回繰り返す時分割駆動によりインクが吐出され記録が行なわれる。ここで、本実施形態においては、この記録に際して、吐出口毎に複数種類(本実施形態においては、4種類)のヒートイネーブル信号(駆動信号)から最適なヒートイネーブル信号を選択し、ヒータに電圧パルスを印加する。
シフトレジスタ101は、直列に入力される画像信号を並列に変換する。より具体的には、画像信号のシリアルデータ(SI)102と、これに同期したシリアルクロック(CLK)103とを入力して、1ブロック分(すなわち、50個)の画像信号に並列に変換する。
ラッチ回路104は、ラッチ信号(BG)105に同期して、シフトレジスタ101で並列化された画像信号を保持する。デコーダ106は、20個のブロックからブロック選択入力(BE0〜4)107に応じたブロック選択信号(BLE00〜19)を生成する。
駆動回路108は、ラッチ回路104からの出力(並列化された画像信号)と、ブロック選択信号(BLE00〜19)と、ヒートイネーブル信号(HE)との積を取り、ヒータ110に電圧パルスを印加する。ヒータ110は、電気熱変換素子であり、液体を加熱し発泡させる。吐出口111は、発泡に基づく力により液滴(インク)を吐出する。
シフトレジスタ121は、直列に入力される選択信号(選択情報のシリアルデータ)を並列に変換する。より具体的には、選択信号(SIS)122と、これに同期したシリアルクロック(CLKS)123とを入力して選択信号を並列に変換し、それを選択情報として保持する。
ラッチ回路124は、ラッチ信号(BGS)125に同期してシフトレジスタ121の並列化された選択情報を保持する。すなわち、シフトレジスタ121及びラッチ回路124等は、選択情報を保持する保持回路として機能する。ヒートイネーブル信号(HE0〜3)126は、ヒータ110を加熱する電圧パルスの時間を決める信号である。本実施形態においては、図3に示すような4種類のヒートイネーブル信号(HE0〜3)が入力される。
セレクタ127は、ラッチ回路124に保持された選択情報に基づいて、4種類のヒートイネーブル信号126のうちの1つを選択し、各グループの駆動回路108に入力する。
このように本実施形態においては、各グループに20個の吐出口111が設けられている。また、各グループには、ヒータ110及び駆動回路108の他、セレクタ127、ラッチ回路124及びシフトレジスタ121が各1個ずつ配される。
この構成において、4種類のヒートイネーブル信号から1つを選択するため、例えば、2ビットの選択情報を各グループで保持する必要がある。そのため、ラッチ回路124及びシフトレジスタ121は2ビットのデータを保持できるように構成される。また、セレクタ127は、4入力から1つを選択して出力するように構成される。
ここで、図3に示す4種類のヒートイネーブル信号は、それぞれダブルパルスで構成されている。なお、本実施形態においては、パルスオン時にヒータに電圧が印加される(すなわち、ヒータに電流が通電される)。各ヒートイネーブル信号は、プレパルスP1と、休止時間P2と、メインパルスP3とから構成される。このようなヒートイネーブル信号を用いてヒータを駆動する場合、同じ吐出口、ヒータ及びヒータの周辺温度は、P1のパルス幅が一番長いヒートイネーブル信号HE0の吐出量が最も多くなる。P1が短くなるほど、吐出量は少なくなり、ヒートイネーブル信号HE3の吐出量が最も少なくなる。
本実施形態においては、吐出口の口径が大きい、また、ヒータ温度が周囲より高いなどの理由で吐出量が多い吐出口には、P1のパルス幅の短いヒートイネーブル信号を選択し、ヒータを駆動させる。これにより、吐出量を減少させ、吐出量のばらつきを補正することができる。なお、いずれのヒートイネーブル信号を選択するかを決める選択信号(選択情報)は、例えば、各吐出口の吐出量のばらつきに基づいて予め決められている。
次に、図4を用いて、図2に示す基板31の記録動作を制御する信号について説明する。
ここで、本実施形態においては、各吐出口111の寸法ばらつきや各ヒータ110の周辺温度変化等による吐出量の変化をヒートイネーブル信号126のP1のパルス幅で補正する。そして、それに合わせて最適な発泡エネルギーになるようにP3を変更させたヒートイネーブル信号126を入力する。これにより、複数の吐出口からの吐出量を一定にする。
[A]吐出口番号000、020、040〜980の吐出口からのインクの吐出
まず、記録装置10は、図2に示す1000個の吐出口111のうち、各グループの1番左側の吐出口番号000、020、040〜980の50個の吐出口からインクを吐出させる。そのため、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて画像信号102及びシリアルクロック103が転送される。記録ヘッド30は、シフトレジスタ101において、各吐出口に対応する50個の画像信号を保持する。
その後、シフトレジスタ101に保持された50個の画像信号は、ラッチ信号105に同期してラッチ回路104に保持され、更に、(50個の)各グループ化された駆動回路108に入力される。
また、吐出口番号000、020、040〜980の50個の吐出口からのインクの吐出に際して、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて、選択信号122及びシリアルクロック123が転送される。選択信号は、上述した通り、対応するヒータ110に対して、4種類のヒートイネーブル信号126のうちのいずれの信号を印加するかを指示する信号である。各グループのシフトレジスタ121においては、この選択信号を選択情報として保持する。なお、この記録ヘッド制御部25からの選択信号等の転送は、上述した画像信号102等の転送と同時に行なわれる。
ここで、各シフトレジスタ121においては、選択情報を2ビットで保持する。より具体的には、各グループ毎に2ビットの選択情報を保持し、全てのグループで合計100ビットとなる。この選択情報は、ラッチ信号125に同期して各グループのラッチ回路124に保持された後、各グループのセレクタ127に入力される。各グループのセレクタ127は、当該選択情報に従って4種類のヒートイネーブル信号126から1つを選択し、各グループの駆動回路108に入力する。
また、ブロック選択入力107により0が入力され、デコーダ106により各グループの一番左の駆動回路108を選択するブロック選択信号BLE00がデコードされ、当該信号が各グループに入力される。この状態において、ヒートイネーブル信号126にパルス信号(パルスオン)が入力されると、各グループの左端の駆動回路108が、画像信号と選択されたヒートイネーブル信号126とに対応した電圧パルスをヒータ110に印加する。これにより、対応する吐出口111からインクが吐出される。
[B]吐出口番号001、021、041〜981の吐出口からのインクの吐出
次に、記録装置10は、1000個の吐出口111のうち、各グループの左から2番目の吐出口番号001、021、041〜981の50個の吐出口からインクを吐出させる。記録ヘッド30に対して入力される各種信号は上記同様となる。
また、吐出口番号001、021、041〜981の吐出口からのインクの吐出に際して、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて、選択信号122及びシリアルクロック123が転送される。各シフトレジスタ121においては、この選択信号122を選択情報として保持する。すなわち、時分割駆動の駆動タイミング毎に新たな選択信号が入力され、それが選択情報として保持されることになる。
この場合にも、各グループのセレクタ127は、当該選択情報に従って4種類のヒートイネーブル信号126から1つを選択し、各グループの駆動回路108に入力する。そして、ブロック選択入力107により1が入力され、デコーダ106により各グループの左から2番目の駆動回路を選択するブロック選択信号BLE01がデコードされ、各グループに入力される。この状態において、ヒートイネーブル信号126にパルス信号(パルスオン)が入力されると、各グループの左から2番目の駆動回路108が、画像信号と選択されたヒートイネーブル信号126とに対応した電圧パルスをヒータ110に印加する。これにより、対応する吐出口111からインクが吐出される。
このような動作が20回繰り返され、1000個の吐出口毎に4種類のヒートイネーブル信号126から最適なヒートイネーブル信号が選ばれる。当該選択されたヒートイネーブル信号に対応した電圧パルスがヒータ110に印加され、画像信号に応じたインクが各吐出口から吐出される。また、この20回の繰り返し動作は、記録ヘッド30と記録媒体との相対位置が1画素分移動する間に行なわれ、これを繰り返すことによって記録媒体上に画像が形成される。
なお、選択信号(言い換えると、選択情報)は、各吐出口111の寸法や、対応するヒータ110の抵抗値のばらつきなどによる吐出量の差を予め測定しておき、その測定結果に基づいて決めれば良い。また、選択信号は、記録動作中の各ヒータ110の周辺温度により予想される吐出量変化を加味して決めても良い。このようにして複数の吐出口からの吐出量が一定になるように選択信号が決定される。
以上説明したように実施形態1に係る記録ヘッド30によれば、時分割駆動の駆動タイミング毎に入力される選択信号に基づいて、P1及びP3のパルス幅の異なる複数のヒートイネーブル信号の中からいずれかを選択してヒータに電圧パルスを印加する。
すなわち、最適な発泡エネルギーになるように、吐出口毎に最適なヒートイネーブル信号を選択し、各吐出口からのインクの吐出量を制御する。これにより、吐出口毎に選択情報の記憶回路、選択回路を持つ従来の方式に比べ、回路規模を大幅に削減できるため、記録素子基板の小型化やコストダウンが図れる。
また、吐出口毎に吐出量を制御できるため、各吐出口の寸法ばらつきや各ヒータの周辺温度変化等を起因とした吐出量のばらつきを抑制できる。また、最適な発泡エネルギーでヒータに電圧パルスを印加するため、ヒータの寿命も延ばすことができる。これにより、無高画質且つ長寿妙の記録ヘッドを提供することができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態1においては、ヒートイネーブル信号126のP1のパルス幅を補正して、それに合わせて最適な発泡エネルギーになるようにヒートイネーブル信号126のP3を変更する場合について説明した。
これに対して実施形態2においては、実施形態1で説明したP1及びP3の制御とは独立してP3のパルス幅を変更する場合について説明する。これにより、ヒータ上の保護膜の厚さの製造ばらつきや、吐出による保護膜の削れに起因して発泡に最適な発熱エネルギーが変化したことによる吐出量のばらつきを補正する。
より具体的には、吐出量を一定に制御するためP1のパルス幅を決め、P1による印加エネルギーとヒータの発熱量と保護膜の熱伝導のばらつきによる印加エネルギーとを考慮して、発泡に最適な発熱エネルギーになるようにP3のパルス幅を選択する。
このような構成を実現するためには、P1とP3との組み合わせが多くなり、ヒートイネーブル信号の種類が増えてしまう。ヒートイネーブル信号126の組み合わせの種類を増やしそれに対応するようにシフトレジスタ121、ラッチ回路124、セレクタ127の構成ビットを増やしても良いが、この場合、回路の規模が大きくなってしまう。
そこで、実施形態2においては、記録素子基板の回路規模を増大させずに、P1及びP3を独立して制御する方法について説明する。
なお、実施形態2に係る記録装置や記録素子基板の構成は、実施形態1を説明した図1及び図2と同様となるため、ここでは、その説明については省略する。ここで、図5を用いて、実施形態2に係る記録素子基板31を制御する信号について説明する。
[A]吐出口番号000、020、040〜980の吐出口のヒータへのP1の印加
まず、記録装置10は、1000個の吐出口111のうち、各グループの1番左側の吐出口番号000、020、040〜980の50個の吐出口からインクを吐出を制御する。この処理では、まず、図5に示すように、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて画像信号102及びシリアルクロック103が転送される。記録ヘッド30は、シフトレジスタ101において、各吐出口に対応する50個の画像信号を保持する。
その後、シフトレジスタ101に保持された50個の画像信号は、ラッチ信号105に同期してラッチ回路104に保持され、更に、(50個の)各グループ化された駆動回路108に入力される。
また、吐出口番号000、020、040〜980の50個の吐出口からのインクの吐出に際して、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて、選択信号122及びシリアルクロック123が転送される。この場合、選択信号は、対応するヒータ110に対して、P1に対する4種類のヒートイネーブル信号P1_0〜P1_3のうちのいずれの信号を印加するかを指示する信号である。各グループのシフトレジスタ121においては、この選択信号を選択情報(第1の選択情報)として保持する。なお、この記録ヘッド制御部25からの選択信号等の転送は、上述した画像信号102等の転送と同時に行なわれる。
ここで、各シフトレジスタ121においては、選択情報を2ビットで保持する。より具体的には、各グループ毎に2ビットの選択情報を保持し、全てのグループで合計100ビットとなる。この選択情報は、ラッチ信号125に同期して各グループのラッチ回路124に保持された後、各グループのセレクタ127に入力される。各グループのセレクタ127は、当該選択情報(第1の選択情報)に従って4種類のプレパルス(ヒートイネーブル信号)126から1つを選択し、各グループの駆動回路108に入力する。
また、ブロック選択入力107により0が入力され、デコーダ106により各グループの一番左の駆動回路108を選択するブロック選択信号BLE00がデコードされ、当該信号が各グループに入力される。ここで、この状態において、ヒートイネーブル信号HE0〜3としてP1_0〜P1_3のパルス信号(パルスオン)が入力される。すると、各グループの左端の駆動回路108が、画像信号と選択されたヒートイネーブル信号P1_0〜P1_3とに対応した電圧パルスをヒータ110に印加する。
[B]吐出口番号000、020、040〜980の吐出口のヒータへのP3の印加
各グループの駆動回路108によりP1_0〜P1_3のいずれかが選択され、対応するヒータが印加されている間に、P3のパルス幅を選択するための選択信号が記録ヘッド30に転送される。この場合、選択信号は、対応するヒータ110に対して、P3に対する4種類のヒートイネーブル信号P3_0〜P3_3のうちのいずれの信号を印加するかを示す。各グループのシフトレジスタ121においては、この選択信号を選択情報(第2の選択情報)として保持する。
ヒータ110へのP1_0〜P1_3に相当する電圧パルスの印加が終了すると、シフトレジスタ101に保持された選択情報は、ラッチ信号125に同期して各グループのラッチ回路124に保持された後、各グループのセレクタ127に入力される。
各グループのセレクタ127は、当該選択情報に従って4種類のメインパルス(ヒートイネーブル信号)P3_0〜P3_3から1つを選択し、各グループの駆動回路108に入力する。ここで、この状態において、ヒートイネーブル信号HE0〜3としてP3_0〜P3_3のパルス信号(パルスオン)が入力される。すると、各グループの左端の駆動回路108が、画像信号と選択されたヒートイネーブル信号P3_0〜P3_3とに対応した電圧パルスをヒータ110に印加する。これにより、対応する吐出口111からインクが吐出される。
[C]吐出口番号001、021、041〜981の吐出口のヒータへのP1の印加、及び
[D]吐出口番号001、021、041〜981の吐出口のヒータへのP3の印加
次に、記録装置10は、1000個の吐出口111のうち、各グループの左から2番目の吐出口番号001、021、041〜981の50個の吐出口からインクを吐出させる。そのため、図5に示すように、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて、各種信号が転送される。すなわち、上記同様にして選択信号が入力され、各ヒータ(各電気熱変換素子)の電圧パルスが変更されることになる。このように実施形態2においては、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて、プレパルスP1用の選択信号と、メインパルスP3用の選択信号とが転送される。言い換えれば、記録ヘッド制御部25から記録ヘッド30に向けて、記録ヘッド時分割駆動の1つの駆動単位の時間内において選択信号が複数回転送される。
以上説明したように実施形態2に係る記録ヘッド30によれば、時分割駆動の1つの駆動単位の時間内において、P1及びP3それぞれに対する選択信号を入力してP1及びP3のパルス幅を独立して制御する。そのため、上記実施形態1に加えて更に、ヒータ上の保護膜の厚さの製造ばらつきや、吐出による保護膜の削れによる発熱エネルギーの変化に起因した吐出量のばらつきを抑制させられる。
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
例えば、上述した実施形態1及び2においては、パルス幅の異なる複数のヒートイネーブル信号126を記録ヘッド30の外部(すなわち、コントローラ部20)から入力する場合について説明したが、これに限られない。例えば、記録ヘッド30側の入力端子の数を削減するため、記録素子基板31において、基準となるヒートイネーブル信号及びシリアルクロックのみを入力端子から入力する。そして、記録素子基板31の内部において、当該信号に基づいてパルス幅の違う複数のヒートイネーブル信号を生成するように構成しても良い。
また、上述した実施形態1及び2においては、ヒートイネーブル信号126を4種類入力しその中から1つを選択する場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、3種類以下であっても良いし、また、5種類以上のヒートイネーブル信号を用いても良い。例えば、吐出量の補正量を細かくするために8種類の中から選択したい場合は、記録ヘッド30側に8種類のヒートイネーブル信号126を入力する。また、シフトレジスタ121及びラッチ回路124を3ビットのデータ構成にし、セレクタ127を8入力にして、それに対応する選択情報を入力することで実現できる。その他、16種類の場合やそれ以上にしたい場合も同様に各回路を対応するビット数に増やすことで実現できる。
また、上述した実施形態1及び2においては、ヒートイネーブル信号126のダブルパルスの波形の一例として図3を例に挙げて説明したが、この波形はあくまで一例であり、各吐出口の吐出量を調整させるべく、適宜変更すれば良い。すなわち、プレパルス及びメインパルスの少なくともいずれかのパルス幅が互いに異なる複数のヒートイネーブル信号を設けるようにすれば良い。なお、プレパルスは、複数のパルス信号(パルスオン)から構成されていても良い。

Claims (5)

  1. 複数の吐出口それぞれに対応して設けられる電気熱変換素子を隣接する複数の電気熱変換素子を1つのグループとして複数のグループに分割し、各グループの電気熱変換素子をダブルパルスの駆動信号により時分割駆動することにより各吐出口からインクを吐出する記録ヘッドであって、
    各グループに対応して設けられ、プレパルス及びメインパルスの少なくともいずれかのパルス幅が互いに異なる複数種類の駆動信号のうちいずれかを選択するための選択情報を保持する保持回路と、
    各グループに対応して設けられ、前記保持回路により保持された選択情報に応じて前記複数種類の駆動信号から1つを選択するセレクタと、
    各電気熱変換素子に対応して設けられ、前記セレクタにより選択された駆動信号に従って対応する電気熱変換素子に電圧を印加する駆動回路と
    を具備し、
    前記保持回路には、
    前記時分割駆動における駆動タイミング毎に新たな選択情報が保持される
    ことを特徴とする記録ヘッド。
  2. 前記選択情報として、前記駆動信号におけるプレパルスを複数種類のうちからいずれかを選択するための第1の選択情報と、前記駆動信号におけるメインパルスを複数種類のうちからいずれかを選択するための第2の選択情報とがあり、
    前記保持回路には、
    前記時分割駆動における駆動タイミング毎に新たな前記第1の選択情報及び前記第2の選択情報がそれぞれ保持される
    ことを特徴とする請求項1記載の記録ヘッド。
  3. 前記選択情報は、
    各吐出口からのインクの吐出量のばらつきに基づいて予め決められている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の記録ヘッド。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の記録ヘッドを有する記録装置であって、
    前記複数種類の駆動信号のうちいずれかを指示する各グループ毎の選択信号を含む信号を前記記録ヘッドに向けて転送する記録ヘッド制御手段
    を具備し、
    前記保持回路は、
    前記選択信号に基づいて前記選択情報を保持する
    ことを特徴とする記録装置。
  5. 複数の吐出口それぞれに対応して設けられる電気熱変換素子を隣接する複数の電気熱変換素子を1つのグループとして複数のグループに分割し、各グループの電気熱変換素子をダブルパルスの駆動信号により時分割駆動することにより各吐出口からインクを吐出する記録ヘッドを有する記録装置の制御方法であって、
    各グループに対応して設けられた前記記録ヘッドの保持回路が、プレパルス及びメインパルスの少なくともいずれかのパルス幅が互いに異なる複数種類の駆動信号のうちいずれかを選択するための選択情報を前記時分割駆動における駆動タイミング毎に新たに保持する工程と、
    各グループに対応して設けられた前記記録ヘッドのセレクタが、前記保持回路により保持された選択情報に応じて前記複数種類の駆動信号から1つを選択する工程と、
    各電気熱変換素子に対応して設けられた前記記録ヘッドの駆動回路が、前記セレクタにより選択された駆動信号に従って対応する電気熱変換素子に電圧を印加する工程と
    を含むことを特徴とする制御方法。
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