JP2012197245A - 新規な口腔内崩壊錠 - Google Patents

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Abstract

【課題】口腔内で速やかに崩壊し、かつ吸湿による経時的な硬度の低下が抑制された口腔内崩壊錠の提供。
【解決手段】クロスポビドン及び可溶性デンプン0.01〜4質量%を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠。
【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内の唾液又は少量の水の存在下において速やかに崩壊し、かつ高湿度条件下において硬度低下が少ない口腔内崩壊錠に関する。
近年、水なしでも服用することができ、嚥下困難な患者でも比較的容易に服用できる口腔内崩壊錠が注目されている。口腔内崩壊錠は、服用したときに速やかに崩壊することが必要であるが、同時に服用までの運搬、保存時には破損しない十分な錠剤硬度が必要とされる。特に医療現場での使用実態を考慮して、無包装状態、高湿度条件下においても硬度が低下しない安定な製剤が望まれる。
これまでに、速やかな崩壊性と高い硬度を有する口腔内崩壊錠を得るべく種々検討がなされ、例えば、デンプン粉末と糊化したデンプン、マンニトールを含む水溶性賦形剤、フマル酸ステアリルナトリウム及び薬効成分を含有する口腔内崩壊錠剤(特許文献1)、ブドウ糖、マンニトール等の主賦形成分と水不溶性の低吸湿性高分子医薬品添加物との混合粉末を、水不溶性親水性医薬品添加物の水性分散液を用いて造粒する口腔内崩壊錠(特許文献2)等が報告されている。
特許第4435424号公報 特許第4446177号公報
しかしながら、特許文献1は、吸湿による錠剤物性の変化について検討されたものではない。また、デンプン粉末と糊化したデンプンを用いると製造装置への貼り付き等が生じ易く、製造上の取り扱いが困難である。
一方、特許文献2は、高湿度条件下での硬度低下を抑制した技術ではあるが、硬度低下が50%程度にまで達し、実用上有効な錠剤硬度を維持するのは難しい。
本発明は、斯かる実情に鑑み、口腔内で速やかに崩壊し、かつ吸湿による経時的な硬度の低下が抑制された口腔内崩壊錠を提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、クロスポビドンと一定量の可溶性デンプンを含有させることにより、口腔内において速やかな崩壊性を示しながら、高湿度条件下で一定期間保存した後でも高い硬度を有する口腔内崩壊錠が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、クロスポビドン及び可溶性デンプン0.01〜4質量%を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠を提供するものである。
本発明の口腔内崩壊錠は、口腔内において速やかな崩壊性を示しながら、吸湿による経時的な硬度低下が少なく、高湿度条件下で保存した後でも実用に耐え得る高い硬度を維持できる。
本明細書における口腔内崩壊錠とは、口腔内の唾液又は少量の水の存在下において速やかに崩壊する固形製剤であり、その口腔内崩壊時間は、通常60秒以内、好ましくは30秒以内である。
本発明で用いるクロスポビドンは、1‐ビニル‐2‐ピロリドン(ポビドン)の架橋重合物である。クロスポビドンはいずれのタイプのものでも使用することができる。
クロスポビドンの市販品の例としては、クロスポビドン(五協産業(株)製)、コリドンCL、CL−F、CL−SF、CL−M(BASFジャパン(株)製)、ポリプラスドンXL、XL−10、INF−10(以上、アイエスビー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
本発明においてクロスポビドンの含有量は、特に制限されるものではないが、製剤全量に対し、1.5〜10質量%、特に3〜8質量%の範囲であることが、崩壊性の点から好ましい。
本発明で用いる可溶性デンプンとは、水を加えて加熱すると溶解するデンプンである。通常、デンプンを酸で処理したものを中和し、水洗後乾燥して得られる。原料となるデンプンの種類に特に制限はなく、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン等の未変性デンプン、これらに化工を施した化工デンプンが挙げられる。
可溶性デンプンの市販品の例としては、デンプン(溶性)(キシダ化学)、デンプン(溶性)(和光純薬工業)等が挙げられる。
本発明において可溶性デンプンの含有量は、製剤全量に対して0.01〜4質量%であるが、0.05〜3.5質量%、特に0.1〜3質量%の範囲であることが、崩壊性及び硬度維持の点から好ましい。
本発明の製剤におけるクロスポビドンと可溶性デンプンの配合比(含有質量比)は、崩壊性及び硬度維持の点から、可溶性デンプン1質量部に対し、クロスポビドンを0.5〜150質量部が好ましく、特に可溶性デンプン1質量部に対し、クロスポビドンを1〜30質量部が好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠には、上記成分の他に、薬効成分及び本発明の効果を損なわない範囲において当該技術分野において通常用いられている添加剤を1種又は2種以上適宜配合することができる。
薬効成分としては、経口による投与が可能であれば特に制限されるものではないが、例えば、解熱鎮痛薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、胃粘膜修復剤、鎮痛鎮痙剤、向精神薬、鎮吐薬、抗うつ剤、H1受容体拮抗剤、化学療法剤、抗生物質、降圧剤、不整脈治療剤、抗不安薬、ACE阻害剤、ビタミン剤等が挙げられる。具体的には、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、グリチルリチン酸二カリウム、塩酸ジフェンヒドラミン、チペピジンヒベンズ酸塩、塩酸プロカテロール、塩酸メクロフェノキサート、ロラゼパム、フェノバルビタール、チミペロン、パラアミノサリチル酸カルシウム、アンピシリン、カルモフール、カプトプリル、ニフェジピン、塩酸プロカインアミド、ペリンドプリルエルブミン、酒石酸アリメマジン、塩酸ロフェプラミン、イソニアジド、バクロフェン、塩酸セチリジン、塩酸イソクスプリン、N−メチルスコポラミンメチル硫酸塩、塩酸トリヘキシフェニジル、チミペロン、オキシペルチン、塩酸チアミン、ニコチン酸アミド等が挙げられる。
本発明において薬効成分の含有量は、種類によって相違するものの、通常製剤全量に対して0.1〜40質量%、特に5〜30質量%の範囲であることが好ましい。
また、必要に応じて添加される添加剤としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、無水硫酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、含水無晶形酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機系賦形剤;アメ粉、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン等)、果糖、カラメル、カンテン、キシリトール、パラフィン、結晶セルロース、ショ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、白糖、ブドウ糖、プルラン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マルチトール、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、トレハロース、還元パラチノース、マルトース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、クエン酸カルシウム等の有機系賦形剤等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、タール色素等が挙げられる。
矯味剤としては、ステビア、アスパルテーム等が挙げられる。
香料としては、メントール、オレンジ、カラメル、ハッカ油、バニラフレーバー、ヨーグルトフレーバー、ミントフレーバー等が挙げられる。
また、本発明の口腔内崩壊錠には、クロスポビドン以外の崩壊剤を配合することもできる。このような崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
本発明の口腔内崩壊錠は、常法により製造することができる。すなわち、クロスポビドンと可溶性デンプン、薬効成分及び必要に応じて添加される添加剤の混合物を調製後、圧縮成型することによって製造することができる。本発明においては、可溶性デンプンを熱水に溶解して結合液を調製した後、該結合液を、滑沢剤を除く他の原料の混合物に噴霧して造粒・乾燥し、次いで得られた造粒物に滑沢剤を混合した後、圧縮成型することによって製造するのが好ましい。
造粒には公知の技術、例えば、流動層造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、噴霧造粒法等が利用できる。また、造粒には、乾式造粒法と湿式造粒法があるが、湿式造粒法を利用するのが好ましい。
また、打錠は、ロータリー式打錠機や単発式打錠機等通常使用される打錠成型機を用いることができる。また、滑沢剤を使用する場合は外部滑沢式打錠機を使用してもよい。口腔内崩壊錠の形状としては、円形錠もしくは楕円形、長円形、四角形等の面形を有する各種異形錠であってもよい。また、錠剤は割線を入れた分割錠とすることもできる。
打錠時の圧縮成型圧は、成型物の硬度、崩壊性等の点から、100〜1500kgf、好ましくは300〜1000kgf程度である。
かくして得られる本発明の口腔内崩壊錠は、医療現場や流通過程において高湿度条件下に曝露された場合でも硬度低下が少なく、口腔内における速やかな崩壊性と十分な錠剤硬度を有する。
本発明の口腔内崩壊錠の硬度維持率は、例えば、加湿条件が25℃相対湿度75%の条件下で1〜3週間保存した場合、少なくとも85%以上、好ましくは88%以上、より好ましくは90%以上である。なお、本発明において硬度維持率は次式により算出される。
硬度維持率(%)=加湿保存後の硬度(N)/加湿保存前の硬度(N)×100
本発明の口腔内崩壊錠の錠剤硬度は、全自動錠剤分包機や押出式薬剤包装機(PTP)から押出す際の負荷等に耐え得る硬度であればよく、少なくとも25N以上、好ましくは30N以上である。錠剤の硬度は、錠剤硬度計を用いて測定できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
試験例1
熱水(精製水)160gに可溶性デンプン(デンプン(溶性)、和光純薬工業(株))1.5gを溶解し、結合液とした。ハイフレックスグラル(深江パウテック(株)製、HF−GS−2J)に、マンニトール(PEARLITOL200SD、Roquette社)280.5g、クロスポビドン(コリドンCL−SF、BASF社)15gを仕込み、混合後、結合液を加えて造粒、乾燥した。得られた造粒物をスピードミル(岡田精巧(株)製、ND−02)にて整粒した後、整粒物にステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム(植物性)、太平化学産業(株))3gを混合し、得られた打錠末を打錠機(PICCOLA、RIVA社製)で、φ10糖衣R杵を用いて打錠圧を600kgfにて打錠して1錠あたり300mgの口腔内崩壊錠を製造した。
試験例2〜5
熱水(精製水)120g又は80gに可溶性デンプン(デンプン(溶性)、和光純薬工業(株))6g、12g又は36gを溶解し、結合液とした。この結合液を用い、かつ表1に示す量の原料を用い、φ8糖衣R杵を用いて打錠圧を500〜800kgfとした以外は、試験例1と同様にして1錠あたり120mgの口腔内崩壊錠を製造した。
試験例6
精製水80gを結合液とした。この結合液を用い、かつ表1に示す量の原料を用い、φ8糖衣R杵を用いた以外は、試験例1と同様にして1錠あたり120mgの口腔内崩壊錠を製造した。
試験例7〜11
熱水(精製水)80gに可溶性デンプン(デンプン(溶性)、和光純薬工業(株))6g又は36gを溶解し、結合液とした。この結合液を用い、かつ表1に示す量の原料を用い、φ8糖衣R杵を用いて打錠圧を600〜800kgfとした以外は、試験例1と同様にして1錠あたり120mgの口腔内崩壊錠を製造した。
なお、トレハロースはトレハロースP((株)林原)、カルボキシメチルセルロースはNS-300(五徳薬品(株))、クロスカルメロースナトリウムはキッコレートND-2HS(ニチリン化学工業(株))、アルファ化デンプンはPD−1(旭化成ケミカルズ(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースはL-HPC(信越化学工業(株))を用いた。
試験例12
熱水(精製水)80gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、日本曹達(株))6gを溶解し、結合液とした。この結合液を用い、かつ表1に示す量の原料を用い、φ8糖衣R杵を用いた以外は、試験例1と同様にして1錠あたり120mgの口腔内崩壊錠を製造した。
〔評価方法〕
試験例1〜12で得られた各口腔内崩壊錠について、下記の試験法によって錠剤の硬度及び口腔内崩壊時間を測定した。結果を表1に示す。
(1)硬度
製造直後の口腔内崩壊錠について、木屋式錠剤硬度計((株)藤原製作所製)を用いて直径方向の硬度を測定した。
また、ガラス瓶に口腔内崩壊錠を入れ、開放状態で25℃75%RH(相対湿度)の条件下で1週間放置した後、同様に硬度を測定した。いずれも試験は3錠で行い、その平均値を錠剤硬度とした。
(2)口腔内崩壊試験
健常な成人男子の口腔内に水無しで、製造直後の口腔内崩壊錠を含ませ、嚥液のみで完全に崩壊するまでの時間を測定し、3回測定した平均値を口腔内崩壊時間とした。
Figure 2012197245
表1の結果から明らかなように、試験例1及び2の錠剤は、口腔内崩壊時間が30秒以内と良好な崩壊性を示し、また、硬度維持率90%以上と加湿保存後も高い錠剤硬度を維持することができた。
他方、可溶性デンプンを配合しない場合、可溶性デンプンの含有量が製剤全量に対して4質量%を超える場合、クロスポビドン以外の崩壊剤を用いた場合は、いずれも口腔内崩壊時間30秒以内、かつ硬度維持率85%以上を満たすことはできなかった。
試験例13
熱水(精製水)160gに可溶性デンプン(デンプン(溶性)、和光純薬工業(株))6gを溶解し、結合液とした。ハイフレックスグラル(深江パウテック(株)製、HF−GS−2J)に、チペピジンヒベンズ酸塩(アストラザンH、サンケミカル(株))60g、マンニトール(PEARLITOL200SD、Roquette社)134.2g、クロスポビドン(コリドンCL−SF、BASF社)12g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE、(株)トクヤマ)24gを仕込み、混合後、結合液を加えて造粒、乾燥した。得られた造粒物をスピードミル(岡田精巧(株)製、ND−02)にて整粒した後、整粒物にグリチルリチン酸二カリウム(グリチルリチン酸K2、昭和電工(株))1.2g、メントール末(メントール末、高砂香料工業(株))0.1g、香料(ヨーグルトフレーバー、高砂香料工業(株))0.1g、ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム(植物性)、太平化学産業(株))2.4gを混合し、得られた打錠末を打錠機(PICCOLA、RIVA社製)で、φ8糖衣R杵を用いて打錠圧を700kgfにて打錠して1錠あたり120mgの口腔内崩壊錠を製造した。
試験例14
熱水(精製水)160gに可溶性デンプン(デンプン(溶性)、和光純薬工業(株))6gを溶解し、結合液とした。この結合液を用い、かつ表2に示す量の原料を用い、打錠圧を900kgfにて打錠した以外は、試験例13と同様にして1錠あたり120mgの口腔内崩壊錠を製造した。
なお、アセトアミノフェンはアセトアミノフェンSS(山本化学工業(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースはL−HPC(信越化学工業(株))を用いた。
〔評価方法〕
得られた各口腔内崩壊錠について、上記の試験法に従って錠剤の硬度及び口腔内崩壊時間を測定した。なお錠剤の硬度は、ガラス瓶に口腔内崩壊錠を入れ、開放状態で25℃75%RH(相対湿度)の条件下で3週間放置した後に測定した。結果を表2に示す。
Figure 2012197245
表2の結果から明らかなように、試験例13及び14の錠剤は口腔内で速やかに崩壊し、また、硬度維持率90%以上と加湿保存後も高い錠剤硬度を維持することができた。

Claims (2)

  1. クロスポビドン及び可溶性デンプン0.01〜4質量%を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠。
  2. 可溶性デンプン1質量部に対し、クロスポビドンを0.5〜150質量部の割合で含有する請求項1記載の口腔内崩壊錠。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015008825A1 (ja) * 2013-07-19 2015-01-22 株式会社三和化学研究所 口腔内崩壊錠
JP2015187095A (ja) * 2014-03-13 2015-10-29 大正製薬株式会社 固形製剤

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