JP2012149217A - インク組成物、インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(Y)で表される第1の色材と、特定の第2の色材とを、水性媒体中に含有するインクであって、25℃における色材1の溶解度が10(g/100g溶剤)以下である水混和性有機溶剤を少なくとも1種含有するインク組成物。第1の色材の含有量に対する第2の色材の含有量は質量比率で0.001以上1.0以下である。下記一般式(Y)中、Mは各々独立に水素原子又はカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合は、Li+イオン、Na+イオン、K+イオン又はNH4 +イオンを表し、少なくとも1つのMがK+イオンである。
一般式(Y)
【選択図】なし
Description
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
これまでの研究により、インクジェット記録用インクの性能の改善が行われてきている。特許文献1には、特定のピラゾリルアゾ色素により、インクジェット記録用インクに要求される良好な色相と堅牢性の高さを両立できることが開示されている。
特許文献2には、色再現性、色濃度、耐光性、耐オゾン性に優れるインク組成物として、λmaxが異なる2種以上のイエロー染料を含むインク組成物が記載されている。
一方、特許文献4には、特定の有機溶剤を用いることで、堅牢性に加え耐固着性や吐出安定性を改善したインクが記載されている。
また、特許文献5には、長期間放置しても色材の析出や固化が起こりにくく、低温低湿の環境下だけでなく、高温低湿の環境下での間欠吐出安定性にも優れたインクジェット用インクが記載されている。
しかしながら、インクジェット記録用のコーティング等を施されていない普通紙に対する印刷濃度を更に濃くすることが求められていた。また、にじみや色移りの防止についても更に改善が求められていた。
少なくとも、第1の色材、第2の色材及び水混和性有機溶剤を含有するインク組成物であって、
前記第1の色材が下記一般式(Y)で表される化合物であり、
前記第2の色材が下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で0.001以上1.0以下であり、
前記水混和性有機溶剤として、25℃における前記第1の色材の溶解度が10(g/100g溶剤)以下となる水混和性有機溶剤を少なくとも1種含有するインク組成物。
一般式(Y)
一般式(Y)中、Mはそれぞれ独立に水素原子又はカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合は、Li+イオン、Na+イオン、K+イオン又はNH4 +イオンを表す。
〔2〕
前記群Aより選択される化合物が、1、2、3及び8から選ばれる少なくとも1種である上記〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕
前記一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がK+イオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がK+イオンである上記〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕
前記一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てK+イオンである上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔5〕
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上0.2以下である上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔6〕
前記第2の色材のインク組成物中における含有量が、インク組成物全質量に対して、0.01〜1.1質量%である上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔7〕
前記一般式(Y)で表される第1の色材の含有量が、インク組成物全質量に対して、0.1〜20質量%である上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔8〕
前記インクジェット記録用インク組成物中の水混和性有機溶剤の含有量が、インク組成物全質量に対して5〜50質量%である上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔9〕
前記水混和性有機溶剤が多価アルコール類を含む上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔10〕
前記水混和性有機溶剤が更にグリコール誘導体を含む混合溶剤である上記〔9〕に記載のインク組成物。
〔11〕
前記多価アルコールとしてグリセリンを含む上記〔9〕又は〔10〕に記載のインク組成物。
〔12〕
上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
〔13〕
上記〔12〕に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
〔14〕
支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が上記〔12〕に記載のインクジェット記録用インクからなるインクジェット記録方法。
以下の記載において、第1の色材である、一般式(Y)で表される化合物、及び式(Y−1)で表される化合物は、それぞれ「一般式(Y)の化合物」、及び「式(Y−1)の化合物」と省略して記載することがある。また、第2の色材である、群Aから選択される少なくとも1種の化合物は、「群Aの化合物」と省略して記載することがある。
前記第1の色材が下記一般式(Y)で表される化合物(以下、一般式(Y)で表される化合物を「アゾ染料」と表記する場合がある)であり、
前記第2の色材が下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で0.001以上1.0以下であり、
前記水混和性有機溶剤として、25℃における前記第1の色材の溶解度が10(g/100g溶剤)以下となる水混和性有機溶剤を少なくとも1種含有する。
一般式(Y)
これは、一般式(Y)で表される化合物(染料)が溶解しづらい水混和性有機溶剤を用いることにより、インクが紙へ浸透した場合に紙繊維が比較的親水性であるため繊維への染料の吸着がより促進され、かつ染料が繊維上で不溶化しやすくなるため、紙表面での染料の固定ができるため十分の濃度が得られるもの推定している。また、染料周辺に存在する溶剤が染料の移動をし難くさせ、にじみにくく色移りも抑制されるものと推定している。一方、染料が溶剤に溶解しづらい場合、染料が析出し貯蔵安定性が低下する場合があるが、第2の色材を加えることによって染料析出を抑制し、貯蔵安定性を向上することが見出された。
更に、上記の構成により、色調や耐光性を含めた画像堅牢性が予想外に向上することが見出された。
本発明のインク組成物において使用する第1の色材は、一般式(Y)で表される化合物で、該化合物は、アゾ染料(イエロー染料)で、典型的には水溶性染料である。以下に、一般式(Y)で表されるアゾ染料について説明する。
一般式(Y)
一般式(Y)で表される化合物のイオン性親水性基のカウンターカチオンMの主成分がK+イオンであれば、インク溶液中の溶解性が高くなり、塩の形成・析出を抑制しインク溶液の貯蔵安定性を大幅に向上することができるためである。
K+イオンとNa+イオンとの混合塩は、紙への浸透性とインク液の安定性のバランスを取る上で好ましい。
上記一般式(Y)の化合物の中でも特に、下記式(Y−1)の化合物を使用することが好ましい。
式(Y−1)
〔群A〕
本発明のインク組成物は、第1の色材として使用する上記で説明した前記一般式(Y)の化合物又は前記式(Y−1)の化合物に加えて、印画物のにじみや色移りを抑制し、かつ、インク組成物の貯蔵安定性(インクの保存安定性など)、インクの印刷濃度、印画物の画像堅牢性を向上させる観点から、第2の色材を含有してなることが必要である。本発明では、第2の色材として、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物を用いる。下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物の中でも、特に群Aにおける化合物1,2,3,5,6又は8が好ましく、特に1,2,3,6又は8がより好ましく、1、2,3又は8が更に好ましい。
群Aから選択される化合物は、一般的な合成法で合成することが可能であり、例えば特開2004−083903公報中に記載のジアゾ成分及びカップリング成分を変更、種々組み合わせることで一般式(Y)又は式(Y−1)と同様に合成することができる。
一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物のイオン性親水性基のカウンターカチオンMの主成分がK+イオンであれば、インク組成物中の溶解性が高くなり、塩の形成・析出を抑制しインク組成物の貯蔵安定性を大幅に向上することができるためである。
また、一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てK+イオンであることがより好ましい。これによりインク組成物の貯蔵安定性を大幅に向上することができるためである。
本発明のインク組成物は、インク原料として、着色剤(第1の色材、第2の色材、及び必要に応じて他の色材(染料、顔料等))を高い濃度で含む濃厚水溶液とすることができる。濃厚水溶液の着色剤濃度は20質量%以下、15質量%以下、好ましくは12質量%以下であることが染料の経時安定性、取り扱いの容易さ(粘度)の点で好ましく、染料の経時安定性の向上や輸送コストの抑制の観点から、8質量%以上の濃度であることが好ましい。
また、本発明のインク組成物は、インクジェット用インクとすることもできる。インクジェット用インクの着色剤濃度はインク粘度や、印画物の濃度の点で、1〜12質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜6質量%が特に好ましい。
また、インク組成物中の第2の色材[群Aから選択される少なくとも1種の化合物]の含有量は、以下のようにすることが好ましい。すなわち、第2の色材の含有量(質量%)は、インク組成物全量に対して、0.001〜2.0質量%であることが好ましく、0.005〜1.5質量%であることがより好ましく、0.01〜1.1質量%であることが更に好ましく、0.05質量〜0.8質量%であることが特に好ましい。
群A中の化合物2は、インク組成物全質量を基準として、0.003〜3.0質量%含まれることが好ましく、0.1〜3.0質量%含まれることがより好ましい。
群A中の化合物3は、インク組成物全質量を基準として、0.001〜1.0質量%含まれることが好ましく、0.01〜1.0質量%含まれることがより好ましい。
群A中の化合物4は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物5は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物6は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物7は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物8は、インク組成物全質量を基準として、0.002〜2.0質量%含まれることが好ましく、0.05〜2.0質量%含まれることがより好ましい。
第2の色材の含有量の質量比率を上記範囲となるように構成することで、第1の色材が有する溶解性・耐光性と第2の色材が有する溶解性・耐光性との組み合わせから予測される性能をはるかに上回る高いレベルの耐光性を有する画像を形成することができる。また、より好ましい色調の画像を得ることができる。第2の色材の含有量(質量%)は、第1の色材の含有量(質量%)に対して、質量比率で、(第2の色材/第1の色材)=0.001以上0.2以下であることがより好ましく、0.01以上0.2以下であることが更に好ましく、0.02以上0.12以下であることがより更に好ましい。色材の含有量の質量比率をこの範囲とすることで、上記の含有量の質量比率においても特に高いレベルの耐光性を有する画像を形成することができる。更には特に好ましい色調の画像を得ることができ、加えて、インクとしての信頼性も十分に満足することが可能となる。
本発明のインク組成物(本発明のインクともいう)は、前記一般式(Y)で表される染料(第1の色材)と、前記第2の色材とを、例えば、水混和性有機溶剤を含む水性媒体中に含有させてなる。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして用いられることが好ましい。すなわち、本発明は本発明のインク組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録用インクの原液(前述の濃厚水溶液)を水等により希釈して調整することができる。本発明のインク組成物が含有していてもよい後述の成分を同様に含ませることができる。
併用することが出来る染料や色素の例としては以下を挙げることができる。
また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I.ベーシックブラック8、
等が挙げられる。
本技術に用いられる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性又は塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC.I.Pigment Yellow 34,37,42,53など、赤系顔料のC.I.Pigment Red 101,108など、青系顔料のC.I.Pigment Blue 27,29,17:1など、黒系顔料のC.I.Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC.I. Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。
この他、オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange 13,16など)や緑顔料(C.I.Pigment Green 7など)を使用してもよい。
(1) 金属石鹸の性質と応用(幸書房)
(2) 印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
(3) 最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
(4) 米国特許5,554,739号、同5,571,311号
(5)特開平9−151342号、同10−140065号、同10−292143号、同11−166145号
特に、上記(4)の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記(5)の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
本技術に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
本発明で使用される界面活性剤としては脂肪酸塩類、高級アルコールのエステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、高級アルコールのリン酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン塩類、4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物等のノニオン界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤、フッ素系、シリコン系化合物等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を用いることができる。
本発明で用いるインク組成物は、吐出安定性の向上、混色時の滲みの防止、ひげ防止などのような印字品質を向上しつつ、吐出時にハード表面へのインクの付着等による印字不良も防ぐ観点から、界面活性剤を0.005〜5質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.005〜3質量%含有する。インク組成物中の界面活性剤の含有量が0.005〜5質量%の範囲にあると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などの印字品質の低下が起こらず、吐出時、ノズル周辺部へのインクの付着等による印字不良を抑えることができる。
このときの溶解方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。中でも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
本発明に用いる水混和性有機溶剤は、前記一般式(Y)で表される染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以下のものが選択される。ここで溶解度とは溶剤100g中にある一定の温度で溶解可能な溶質の質量を表し、単位は「g/100g溶剤」である。
本発明の一般式(Y)で表される染料はその構造によって溶解性に多少変動があるが、本発明のインクは、染料種によってその溶解度が10(g/100g溶剤)以下となるような水混和性有機溶剤を適宜選択する必要がある。
本発明の染料の25℃における溶解度は、より好ましくは8(g/100g溶剤)以下であり、更に好ましくは5(g/100g溶剤)以下である。
本発明のインク組成物における水混和性有機溶剤の含有量は、インクの安定性及び吐出安定性と、乾燥性とを両立させる観点から、インク組成物全質量に対して、1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。
・アルコール類(モノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、及びアセチレンアルコール類)、
・多価アルコール類(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのエチレンジオール類; 2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メトキシ−1,2−プロパンジオールなどのプロパンジオール類; 2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジールなどのブタンジオール類; 2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールなどのペンタンジオール類; 1,2−ヘキサンジオールなどのヘキサンジオール類; 1,2,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオール、2,4,6−トリエチル−1,7−ヘプタンジオールなどのヘプタンジオール類; 3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのオクタンジオール類; その他、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコールなどのアルキレンジオール類; グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリメチロールプロパンなどのポリオール類)、
・グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、
・その他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、3−メチルスルホラン、3−スルホレン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン−5−カルボン酸、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン、ジアセトンアルコール、4−ピコリン)。
なお、水混和性有機溶剤は、2種類以上を併用してもよい。2種類以上の水混和性有機溶剤を用いる場合、少なくとも1種は前記一般式(Y)で表される染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以下のものであればよく、該溶解度が10(g/100g溶剤)を超えるものを含んでいてもよいが、用いる水混和性有機溶剤の全てが溶解度が10(g/100g溶剤)以下であることが好ましい。
また、水混和性有機溶剤は、少なくとも1種がアルコール及び/又はその誘導体(多価アルコール類等)を含む2種以上からなる混合物であることが好ましく、グリコール誘導体を含む混合溶媒であることがより好ましい。
水混和性有機溶剤が混合溶媒である場合、多価アルコール類の含有量は水混和性有機溶剤の全質量に対して40質量%〜100質量%であることが好ましく、60質量%〜100質量%であることがより好ましく、80質量%〜100質量%であることが更に好ましい。
これらの溶剤は市販されているものを使用することができ、また通常の方法で合成することもできる。
具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸,硫酸、リン酸などが挙げられる。
本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐オゾン性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものが挙げられる。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
本発明のインクはインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
好ましい被記録材と記録方式の組み合わせは、支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法である。
以下の実施例において、λmaxは吸収極大波長であり、εmaxは吸収極大波長におけるモル吸光係数を意味する。
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)450mLと1,2−ジクロロエタン24.75g中に、室温で化合物(a)(2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(和光純薬工業(株)製/カタログ番号019−11125))76.5gを加え、炭酸カリウム79.5gを添加後に70℃まで昇温して同温度で30分間撹拌した。引き続き、80℃の温水375mLを上記反応液中に10分間かけて滴下し、内温25℃まで冷却した。析出した結晶をろ別し、イオン交換水250mL、引き続きメタノール150mLで洗浄後70℃にて一晩乾燥して化合物(b)65.1gを得た。
アミノイソフタル酸(A)((和光純薬工業(株)製/カタログ番号322−26175))181.2gをイオン交換水 1000mlに懸濁後、濃塩酸 257mLを添加し、氷浴で5℃に保った。そこへ亜硝酸ナトリウム 69.7gの水溶液 116mlを滴下した(反応液A)。亜硫酸ナトリウム 378.1gの水溶液1300mlを内温25℃で攪拌し、そこへ上記反応液Aを注入した。この状態で30分攪拌した後、内温を30℃まで加熱して、60分攪拌した。この反応液に塩酸500mLを添加し、すぐに内温50℃まで昇温した(反応液B)。この状態で90分攪拌した後に、ピバロイルアセトニトリル(東京化成(株)製/カタログ番号P1112)125.2gとイソプロパノール 100mLを上記反応液Bに添加後、内温を93℃まで昇温し、240分間攪拌した。室温まで冷却後、析出した結晶(C)を吸引濾過し、結晶をイオン交換水 1500mL、続いてイソプロパノール1000mLで洗浄後乾燥した。単離収率 223.5g。収率 73.7%。
メタンスルホン酸100mL、酢酸120mL、プロピオン酸180mL中に、室温で化合物(b)29.2gを添加し、内温を45℃まで昇温して均一溶液にした後に内温0℃まで冷却した。引き続き、NaNO214.7gとイオン交換水27mLの溶液を上記均一溶液中に内温0〜10℃を保ちながら滴下し、内温5℃で15分間撹拌して、ジアゾニウム塩を調整した。合成例2で作成したカプラー成分(C)60.6g、メタノール600mL、エチレングリコール600mLから予め作成した溶液に、内温0〜10℃を保つ速度で上記ジアゾニウム塩溶液を滴下した。引き続き、内温25℃で30分間撹拌した。析出した結晶をろ過し、メタノール250mLで洗浄後、粗結晶を650mLの水に分散し、その後内温80℃で30分間撹拌後室温まで冷却し、ろ過、水300mLで洗浄後、60℃で一晩乾燥して、64.47gの色素(D)を得た。
予め調整したKOH(錠剤)16.5gとイオン交換水414.9mLの溶液中に、内温20〜30℃で上記合成例3で作成した色素(D)46.1gを添加して溶解した。
引き続き、酢酸カリウム40.0gとメタノール200mLの溶液を上記色素水溶液中に内温25℃で滴下し、引き続き同温で10分間撹拌した。その後、イソプロパノール2488mLを滴下して造塩し、同温度で30分間撹拌後にろ過、イソプロパノール500mLで洗浄、70℃で一晩乾燥して、44gの式(Y−1)で表される水溶性染料の粗結晶を得た。
イオン交換水78.3mLに式(Y−1)で表される水溶性染料の粗結晶8.7gを室温で溶解後、0.1N塩酸を用いて水溶液のpH値を8.5に調整し、0.2μmのメンブランフィルターでろ過後、ろ液中にIPA(イソプロパノール)391.5mLを内温25℃で滴下した。析出した結晶をろ過、イソプロパノール100mLで洗浄後、80℃で一晩乾燥して、7.8gの式(Y−1)で表される水溶性染料の精結晶を得た。{λmax:428nm(H2O)、εmax:4.20×104}
合成例4のKOHをNaOHに、酢酸カリウムを酢酸ナトリウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.7gの水溶性染料(Y−2:一般式(Y)中のM=Na+)の精結晶を得た。
合成例4のKOHをLiOHに、酢酸カリウムを酢酸リチウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.4gの水溶性染料(Y−3:一般式(Y)中のM=Li+)の精結晶を得た。
合成例4のKOHをNH4OHに、酢酸カリウムを酢酸アンモニウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.3gの水溶性染料(Y−4:一般式(Y)中のM=NH4 +)の精結晶を得た。
〔インク液の調整〕
上記合成例5で得られた水溶性染料Y−1(色材1)及び群Aの染料(色材2)を用いて、下記のようにして本発明のインク液1〜7及び比較用のインク液101〜103をそれぞれ調製した。
まず、下記表1に示した各成分を超純水を加えて合計1000gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間攪拌溶解した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧ろ過しインク液を調製した。
TEGmME:トリエチレングリコールモノメチルエーテル
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DPG:ジプロピレングリコール
PGmME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
PG:プロピレングリコール
TEG:トリエチレングリコール
PROXEL XL2(商品名):1,2−ベンズイソチアゾリン-3-オン、AVECIA社製
以上の本発明(インク液1〜5)及び比較例(インク液101〜103)のインク液について、下記評価を行った。その結果を表3に示した。
上記で得られた各インクをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン社製)に搭載した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。そして、写真用紙(キヤノン社製 フォト光沢フィルム HG201)及び普通紙(富士ゼロックス社製)上に記録デューティを60%とした画像を形成して、画像を温度23℃、相対湿度55%で24時間自然乾燥した。このようにして得られた記録物の画像の部分について、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて色相角を測定し、色相角を指標として画像濃度の評価を行った。評価基準は以下の通りである。本発明においては、下記の評価基準でAA、A及びBを印刷濃度が十分で許容できるレベル、Cを印刷濃度が低く許容できないレベルとした。なお、上記写真用紙は、支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像層を有する記録媒体である。
AA:色相角が88°以上90°以下。
A:色相角が85°以上88°未満、又は90°より大きく92°以下。
B:色相角が83°以上85°未満、又は92°より大きく94°以下。
C:色相角が83°未満、又は94°より大きい。
上記で得られた各インクをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン社製)に搭載した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。そして、写真用紙(キヤノン社製 フォト光沢フィルム HG201)上に記録デューティを60%とした細線パターンを形成して、温度40℃、相対湿度85%で3日間保存後、目視にて細線のにじみを以下の基準で評価した。下記の評価基準でAA及びAを許容できるレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
AA:にじみがないもの
A:にじみが少ないもの
B:にじみが中程度のもの
C:にじみが多いもの
上記で得られた各インクをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン社製)に搭載した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。そして、写真用紙(キヤノン社製 フォト光沢フィルム HG201)上に記録デューティを60%とした画像を形成した。連続6枚の画像を記録して記録装置の集積部に集積させ、全記録が終了後、記録紙の記録面に重なっていた記録紙裏面の色移りを観察した。色移りが無いものを○、1枚でも色移りがあるものを×で評価した。
上記で得られた各インクをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)に搭載した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。
記録媒体(商品名:キヤノン写真用紙 光沢 プロ[プラチナグレード]PT−101;キヤノン製)に記録デューティを50%とした画像を形成して、画像を温度23℃、相対湿度55%で24時間自然乾燥した。このようにして得られた記録物の画像の部分について、光学濃度を測定した(「試験前の光学濃度」とする)。更に、この記録物を、スーパーキセノン試験機(商品名:SX−75;スガ試験機製)を用いて、照射強度100キロルクス、槽内温度24℃、相対湿度60%で72時間曝露した。その後、記録物の画像の部分について、光学濃度を測定した(「試験後の光学濃度」とする)。なお、光学濃度は、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。得られた試験前の光学濃度及び試験後の光学濃度の各値から、下記式に基づいて光学濃度の残存率を算出して、耐光性の評価を行った。耐光性の基準は以下の通りである。本発明においては、下記の評価基準でAA、Aを許容できるレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
A:光学濃度の残存率が80%以上90%未満。
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満。
C:光学濃度の残存率が70%未満。
上記各インクをそれぞれ、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)用のインクカートリッジに充填し、インクカートリッジ内のインクが蒸発しないようにインク供給口を閉じた。このインクカートリッジを密閉容器に入れて、温度60℃の恒温槽の中で3ヶ月間保存した。その後、インクカートリッジを恒温槽から取り出し、上記インクジェット記録装置のヘッドカートリッジに装着した。そして、ヘッドカートリッジの吐出口を露出した状態で、温度35℃、湿度10%で2週間保存した。その後、ヘッドカートリッジを上記と同様のインクジェット記録装置に装着して、吸引を所定の回数行い、回復性を確認することで、インクの保存安定性の評価を行った。なお、吸引とは、前記インクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)に具備された機能の一つである、「プリントヘッドのクリーニング」のことである。保存安定性の評価基準は以下の通りである。本発明においては、下記の評価基準でAA及びAを許容できるレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
AA:4回以下の吸引で全ての吐出口が問題なく吐出できる状態に回復した。
A:5回の吸引で全ての吐出口が問題なく吐出できる状態に回復した。
B:6回の吸引で全ての吐出口が問題なく吐出できる状態に回復した。
C:7回以上の吸引を行っても吐出できない吐出口があった。
また、実施例1、6及び7のインク液1、6及び7と比較例2及び3のインク液102及び103の結果より、色材2/色材1の比率が0.001〜1.0の範囲において画像濃度、耐光性及び保存安定性に優れた結果が得られることが分かる。
なお、使用する受像紙をEPSON社製PM写真用紙、キャノン社製 PR−201に変更した場合でも上記結果と同様の効果が見られた。
下記表5に示すように、上記インク液1の色材1を水溶性染料Y−1から合成例6〜8で得られた水溶性染料Y−2〜Y−4に変更し、色材1の含有量並びに色材2の種類及び含有量を変更した以外は、インク液1と同様にしてインク液8〜14を調整した。インク液8〜14で用いた溶剤(グリセリン及びDEGmBE)に対するY−2〜Y−4の溶解度(25℃)を下記表4に示す。また、上記インク液1の色材2を下記表6に示す種類に変更した以外は、インク液1と同様にしてインク液15〜17を調整した。
インク液8〜17を実施例1と同様に評価した。その結果を下記表7に示す。
なお、使用する受像紙をEPSON社製PM写真用紙、キャノン社製 PR−201に変更した場合でも上記結果と同様の効果が見られた。
Claims (14)
- 少なくとも、第1の色材、第2の色材及び水混和性有機溶剤を含有するインク組成物であって、
前記第1の色材が下記一般式(Y)で表される化合物であり、
前記第2の色材が下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で0.001以上1.0以下であり、
前記水混和性有機溶剤として、25℃における前記第1の色材の溶解度が10(g/100g溶剤)以下となる水混和性有機溶剤を少なくとも1種含有するインク組成物。
一般式(Y)
- 前記群Aより選択される化合物が、1、2、3及び8から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク組成物。
- 前記一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がK+イオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がK+イオンである請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てK+イオンである請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上0.2以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記第2の色材のインク組成物中における含有量が、インク組成物全質量に対して、0.01〜1.1質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(Y)で表される第1の色材の含有量が、インク組成物全質量に対して、0.1〜20質量%である請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物中の水混和性有機溶剤の含有量が、インク組成物全質量に対して、5〜50質量%である請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記水混和性有機溶剤が多価アルコール類を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記水混和性有機溶剤が更にグリコール誘導体を含む混合溶剤である請求項9に記載のインク組成物。
- 前記多価アルコールとしてグリセリンを含む請求項9又は10に記載のインク組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項12に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
- 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が請求項12に記載のインクジェット記録用インクからなるインクジェット記録方法。
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