JP2012033621A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 内部電極層との接続が強固で、かつ高い耐熱衝撃性を有する外部電極を具備する積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】外部電極3が、金属とガラスとの焼結体からなる下地電極3aと、該下地電極3aの表面を覆うめっき膜とを有し、前記積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、前記下地電極3aと前記めっき膜3b、3cとの合計厚みが20μm以下であるとともに、前記下地電極3aは、前記コンデンサ本体1の前記側面側Bの厚みt0が前記端面側Aの厚みt1よりも厚く、かつ前記下地電極3aの前記側面側Bに存在する空隙10の面積割合が前記端面側Aに存在する空隙10の面積割合よりも大きい。
【選択図】 図1
【解決手段】外部電極3が、金属とガラスとの焼結体からなる下地電極3aと、該下地電極3aの表面を覆うめっき膜とを有し、前記積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、前記下地電極3aと前記めっき膜3b、3cとの合計厚みが20μm以下であるとともに、前記下地電極3aは、前記コンデンサ本体1の前記側面側Bの厚みt0が前記端面側Aの厚みt1よりも厚く、かつ前記下地電極3aの前記側面側Bに存在する空隙10の面積割合が前記端面側Aに存在する空隙10の面積割合よりも大きい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高信頼性の積層セラミックコンデンサに関する。
積層セラミックコンデンサは、表面実装用の電子部品として広く用いられている。その構造は、セラミックスを主成分とする複数の誘電体層と内部電極層とを交互に積層して構成されたコンデンサ本体の端面に、内部電極層の取り出し部分を設け、その表面を覆うように外部の回路と接続するための外部電極が形成されたものとなっている。
このような積層セラミックコンデンサを構成する外部電極は、一般に、金属粉末(銀、パラジウム、ニッケル、銅など)とガラス粉末と有機ビヒクル(バインダを有機溶媒に溶解させた溶液)とからなる導体ペーストをコンデンサ本体の端面に塗布し、空気中または窒素中にて焼成して下地電極を形成し、次いで、この下地電極の表面にNiめっき膜およびSn含有めっき膜などのめっき膜を形成したものとなっている(例えば、特許文献1を参照)。
積層セラミックコンデンサは、近年、携帯電話などモバイルコンピューティング機器の発達に伴い、ますます小型化および高容量化の要求が高まっているが、積層セラミックコンデンサの規格となっているサイズにおいて、より高い静電容量を得る目的のために、静電容量の発現に寄与するコンデンサ本体の体積をなるべく大きくするために、外部電極をより薄く形成することが試みられている(例えば、特許文献2を参照)。
ところが、金属粉末およびガラス粉末を含有する導体ペーストを用いて形成される下地電極は、コンデンサ本体との接合強度を高めようとして緻密化させると、下地電極が被覆されたコンデンサ本体の端部付近は応力が高くなり、このため熱衝撃試験などにおいて、コンデンサ本体の端部付近にクラックが発生するという問題がある。
一方、コンデンサ本体に対して過度の応力を与えないように焼結を制御して形成された下地電極の場合は下地電極内に空隙を有する状態となっているため、コンデンサ本体に対して下地電極の接合強度が低下するという問題がある。
また、下地電極の厚みを薄くすると、下地電極の形成工程の後のめっき工程において、めっき液が下地電極の内部にまで浸透しやすくなり、下地電極との界面であるコンデンサ本体の端面付近に達しためっき液が内部電極層と誘電体層との界面に浸透することに起因して、高温高湿負荷試験において不良が発生しやすくなるという問題がある。
従って、本発明は、外部電極の厚みが薄い場合でも、コンデンサ本体との接合強度が高く、耐熱衝撃性に優れるとともに高温高湿負荷試験における不良の少ない外部電極を具備する積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層と複数の内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の前記内部電極層が露出した端面および該端面に隣接する側面に設けられた外部電極とを具備する積層セラミックコンデンサにおいて、前記外部電極が、金属とガラスとの焼結体からなる下地電極と、該下地電極の表面を覆うめっき膜とを有し、前記積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、前記下地電極と前記めっき膜との合計厚みが20μm以下であるとともに、前記下地電極は、前記コンデンサ本体の前記側面側の厚みが前記端面側の厚みよりも厚く、かつ前記下地電極の前記側面側に存在する空隙の面積割合が前記端面側に存在する空隙の面積割合よりも大きいことを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサでは、前記下地電極が、前記コンデンサ本体の前記端面側の厚みを1としたときに、前記側面側の厚みが1.3〜2.0であるとともに、前記下地電極の前記端面側に存在する前記空隙の面積割合を1としたときに、前記側面側に存在する前記空隙の面積割合が1.7〜2.7であることが望ましい。
本発明によれば、外部電極の厚みが薄い場合でも、コンデンサ本体との接合強度が高く、耐熱衝撃性に優れるとともに高温高湿負荷試験における不良の少ない外部電極を具備する積層セラミックコンデンサを得ることができる。
図1は、本発明の積層セラミックコンデンサの一例を示す概略縦断面図である。本実施形態の積層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。
コンデンサ本体1は略直方体状をしたもので、誘電体磁器からなる誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層されて構成されている。コンデンサ本体1の積層方向と垂直な方向の端面1aには、露出する内部電極層7が外部電極3と接合されている。図1では誘電体層5と内部電極層7との積層状態を単純化して示しているが、本発明の積層セラミックコンデンサは誘電体層5と内部電極層7とが数百層にも及ぶ積層体となっている。なお、積層数は積層セラミックコンデンサを高容量化できるという点で、100層以上、特に、200層以上であることが好ましい。
誘電体層5は、チタン酸バリウムに酸化マグネシウム、希土類元素(RE)の酸化物および酸化マンガンなどが固溶した結晶粒子と、酸化珪素を主成分とする粒界相とから構成されている誘電体磁器からなる。なお、誘電体磁器の種類としては上述したものだけに限らず、他の誘電体磁器を用いることもできる。その平均厚みは2μm以下、特に、1μm以下が望ましい。これにより積層セラミックコンデンサを小型、高容量化することが可能となる。なお、誘電体層5の平均厚みが0.4μm以上であると、静電容量のばらつきを小さくでき、また容量温度特性を安定化させることが可能になる。
内部電極層7を形成する材料としては、高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望ましく、本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層5との同時焼成を行えるという点で、特に、ニッケル(Ni)がより望ましい。また、内部電極層7の厚みは、外部電極3と強固に接合できるという理由から、その厚みは0.5μm以上であることが望ましく、一方、積層セラミックコンデンサの小型化に際し、積層数を増やせるという理由から2μmであることが望ましい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する外部電極3は、下地電極3aと、この下地電極3aを覆うめっき膜とから構成されており、例えば、下地電極3aの表面をニッケル(Ni)めっき膜3bと錫(Sn)含有めっき膜3cとがこの順に覆うように形成されている。
下地電極3aは、金属とガラスとの焼結体からなるものであり、例えば、銅(Cu)粉末またはCuと他の金属成分(例えば、Ni等の遷移金属)との合金粉末と、ガラス粉末とが焼結したものである。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する外部電極3は、積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、下地電極3aとめっき膜3b、3cとの合計厚みが20μm以下である。このため、めっき膜の平均厚みはNiめっき膜3bとSn含有めっき膜3cとを合わせて10μm以下、特に、6μm以下とするのがよいが、積層セラミックコンデンサを実装するときの半田くわれを防止するという点で、Niめっき膜3bの厚みは1μm以上であること、また、半田との濡れ性を高められるという点で、Sn含有めっき膜3cの厚みは1μm以上であることが望ましい。
なお、Sn含有めっき膜3cは、Snの他に合金化して合金の融点を低下させることのできる金属成分として、鉛(Pb)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)およびビスマス(Bi)のうち少なくとも1種の金属成分を含んでもよいが、Snの含有量が100質量%(不可避不純物を除き)であるものも含むという意である。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサでは、積層セラミックコンデンサを縦断面視したときの外部電極3の厚みを20μm以下とすることにより、積層セラミックコンデンサの規格となっているサイズにおいて、静電容量の発現に寄与するコンデンサ本体の体積を大きくできることから、積層セラミックコンデンサの単位体積当たりの静電容量を高めることができる。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する外部電極3は、下地電極3aのコンデンサ本体の側面側(図1のB領域、以下、Bと記す。)の厚みt0が端面側(図1のA領域、以下、Aと記す。)の厚みt1よりも厚くなっている。また、この外部電極3は、積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、下地電極3aの側面側Bに存在する空隙10の面積割合SB0が端面側Aに存在する空隙10の面積割合SA0よりも大きくなっている。
本実施形態の積層セラミックコンデンサによれば、外部電極3の端面側Aの厚みt1が20μm以下と薄くても、コンデンサ本体1の側面側Bの厚みt0が端面側Aの厚みt1よりも厚くなっているために、下地電極3aとコンデンサ本体1との接合強度をコンデンサ本体1の側面側Bを覆う下地電極3aにより維持することができ、これにより外部電極3のコンデンサ本体1との接合強度を高めることができる。
また、この外部電極3は、積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、下地電極3aの側面側Bに存在する空隙10の面積割合SB0が端面側Aに存在する空隙10の面積割合SA0よりも大きくなっていることから、外部電極3とコンデンサ本体1との間の熱膨張係数差が大きくなっても熱膨張係数差に起因する応力が空隙10により緩和される。これにより外部電極3を通して伝えられる熱によるコンデンサ本体1の熱衝撃に起因するクラック等の破損を防止できる。
さらに、本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する外部電極3は、上述のように、外部電極3の厚みtが20μm以下と薄くても、下地電極3aの端面側Aに存在する空隙10の面積割合SA0が小さいために、内部電極層7に接続する面側の下地電極3aが緻密である。そのため下地電極3aの形成工程の後のめっき工程においても、めっき液が下地電極3aの内部にまで浸透しにくいことから、めっき液がコンデンサ本体1の端面付近の内部電極層7と誘電体層5との界面に浸透することを抑えられる。このことから、めっき液の侵入に起因して発生する高温高湿負荷試験での不良を低減することができる。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサでは、下地電極3aは、コンデンサ本体1の端面側Aの厚みt1を1としたときに、側面側Bの厚みt0が1.3〜2.0であるとともに、下地電極3aの端面側Aに存在する空隙10の面積割合SA0を1としたときに、側面側Bに存在する前隙10の面積割合SB0が1.7〜2.7であることが望ましい。
これにより、下地電極の剥がれ、耐熱衝撃試験でのクラックの発生および高温高湿負荷試験での絶縁抵抗の低下等の不良をさらに低減することができる。
なお、本発明の積層セラミックコンデンサに関し、外部電極3の厚みtとは、外部電極3の端面側Aの厚みのことであり、また、外部電極3の厚みtは平均厚みを意味するものであり、また、下地電極3aの端面側の厚みt1、下地電極3aの側面側の厚みt0、めっき膜(Niめっき膜3bおよびSn含有めっき膜)の厚みについても平均厚みを意味するものである。
ここで、外部電極3の厚みt、下地電極3aの端面側Aの厚みt1、下地電極3aの側面側Bの厚みt0およびめっき膜(Niめっき膜3bおよびSn含有めっき膜)の厚みは、以下のようにして求める。このとき各厚みの測定は、コンデンサ本体1の両端面に形成された外部電極3のうち一方について評価する。
まず、積層セラミックコンデンサを、例えば、図1のように外部電極3が対向する方向に垂直な方向から研磨し、下地電極3aにめっき膜3b、3cが形成された外部電極3の断面を露出させる。次に、走査型電子顕微鏡観察により、その外部電極3の全体が見える倍率で写真を撮り、写真に映し出された下地電極3aの端面側Aおよび側面側Bならびにめっき膜3b、3cの断面について、図1に示すように端面側Aの領域および側面側Bの領域を矢印の方向に3〜5等分したときの境(4〜6箇所)の厚みを測定して平均値を求める。このとき下地電極3aの側面側Bの厚みt0は、図1に示すように、コンデンサ本体1の両側面に形成されている2箇所の下地電極3aの側面側Bを測定して平均値を求める。また、外部電極3の厚みtは、コンデンサ本体1の端面側Aの方向の下地電極3aの厚みとめっき膜3b、3cの厚みを加算して求める。また、下地電極3におけるコンデンサ本体1の端面側Aの厚みt1に対する側面側Bの厚みt0の比は、側面側Bの厚みt0を端面側Aの厚みt1で除した値(t0/t1)として求める。
また、外部電極3を構成する下地電極3aの端面側Aおよび側面側Bにおける空隙10の面積割合も、外部電極3等の厚みを測定するのに用いた積層セラミックコンデンサを研
磨した試料を用いて求める。このとき空隙10の面積割合の測定についても、コンデンサ本体1の両端面に形成された外部電極3のうち一方について評価する。
磨した試料を用いて求める。このとき空隙10の面積割合の測定についても、コンデンサ本体1の両端面に形成された外部電極3のうち一方について評価する。
この場合、空隙10の面積割合を求める領域は、図1に示す外部電極3の端面側Aのうち下地電極3aの領域および外部電極3の側面側Bのうち下地電極3aの領域である。
具体的には、外部電極3の端面側Aおよび側面側Bのそれぞれの領域の写真を撮り、写真の画像を解析して下地電極3aの端面側Aの領域の面積SAと、この端面側Aの領域に存在する空隙10の面積S1を求めた後、S1/SA比から端面側Aの領域に存在する空隙10の面積割合SA0を求める。
次に、下地電極3aの側面側Bにおける空隙10については、図1に示すように、コンデンサ本体1の一方の端部に形成された下地電極3aの側面側B(コンデンサ本体1の2つの対向する側面に形成された2箇所)の領域の面積SBと、この側面側Bの領域に存在する空隙10の面積S0を求めた後、S0/SB比から側面側Bに存在する空隙10の面積割合SB0を求める。次に、端面側Aの領域に存在する空隙10の面積割合SA0と側面側Bに存在する空隙10の面積割合SB0とから下地電極3の端面側Aに存在する空隙10の面積割合SA0に対する側面側Bに存在する空隙10の面積割合SB0をSB0/SA0比として求める。
次に、本発明の積層セラミックコンデンサを製造する方法について説明する。
まず、誘電体層5を形成する誘電体磁器の原料を準備する。例えば、チタン酸バリウム粉末に対して、所定量のMgO粉末、希土類元素の酸化物粉末およびMnCO3粉末を配合し、さらに、必要に応じて所望の誘電特性を維持できる範囲で焼結助剤としてガラス粉末を添加して原料粉末を得る。
MgO粉末、希土類元素の酸化物粉末およびMnCO3粉末の割合は、チタン酸バリウム粉末100モルに対して、それぞれ0.2〜0.8モル、0.3〜0.8モルおよび0.1〜0.5モルとすることが望ましく、また、ガラス粉末の添加量はチタン酸バリウム粉末を100質量部としたときに0.5〜2質量部が好ましい。
次に、上記の素原料粉末に専用の有機ビヒクルを加えてセラミックスラリを調製し、次いで、ドクターブレード法またはダイコータ法などのシート成形法を用いてセラミックグリーンシートを形成する。この場合、セラミックグリーンシートの厚みは誘電体層5の高容量化のための薄層化と高絶縁性を確保するという理由から0.5〜3μmが好ましい。
次に、得られたセラミックグリーンシートの主面上に矩形状の内部電極パターンを1〜3μmの厚みで印刷して形成する。内部電極パターンとなる導体ペーストはNiを主成分とするものが好適である。
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを所望枚数重ねて、その上下に内部電極パターンを形成していないセラミックグリーンシートを複数枚、上下層が同じ枚数になるように重ねてシート積層体を形成する。この場合、シート積層体中における内部電極パターンは、長手方向に半パターンずつ交互にずらしてある。
次に、シート積層体を格子状に切断して、内部電極パターンの端部が露出したコンデンサ本体成形体を形成する。コンデンサ本体成形体を脱脂した後、水素−窒素の混合ガス中(酸素分圧:1×10−7Pa〜1×10−9Pa)にて、1100℃〜1200℃の温度で1〜4時間の焼成を行い、誘電体層5と内部電極層7とが一体的に焼結されたコンデ
ンサ本体1を作製する。
ンサ本体1を作製する。
次に、焼成して得られたコンデンサ本体1を、焼成の温度よりも低い温度(900〜1050℃)であり、かつその焼成の還元雰囲気よりも高い酸素分圧(酸素分圧:10−4Pa〜10−6Pa)で再酸化処理を行う。再酸化処理により、焼成後に還元状態にある誘電体層5を酸化でき、これにより誘電体層5の比誘電率などの誘電特性を高められる。
こうして作製されたコンデンサ本体1はその端面1aから内部電極層7がわずかに確認できる程度であり、この状態では外部電極3との電気的な接続を十分に行うのは困難である。
そこで、焼成直後のコンデンサ本体1に所定の条件でバレル研磨を行い、誘電体層5の端面5aを削って内部電極層7をコンデンサ本体1の端面1aに突出させて外部電極3との電気的な接続が十分に行えるようにする。
この場合、再酸化処理して得られたコンデンサ本体1を、セラミック粒子をメディアボールとするボールミル中に入れてバレル研磨を行う。メディアボールとともに混合するセラミック粒子は、バレル研磨においてメディアボールのバレル研磨する試料に対する衝撃を和らげる役割を担うものである。その材料としては、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムおよびこれらの混合粒子が好ましく、特に、コンデンサ本体1を構成するセラミックスである誘電体層5を選択的に研磨でき、内部電極層7をコンデンサ本体1の端面1aより突出させることができるという点で、硬度の高いアルミナがより好ましい。
この場合、バレル研磨は、コンデンサ本体1の量、バレル研磨に用いる容器の内容積、メディアボールおよびセラミック粒子のそれぞれの材質およびサイズとその量、ならびにバレル研磨の回転速度等の条件を適宜選択して行う。
こうしてコンデンサ本体1の端面1aに外部電極3を形成したときに、内部電極層7と外部電極3とが内部電極層7の露出した延長上で結合部7aを形成しやすくなる。その結果、内部電極層7と外部電極3との電気的な接続が強固となり、設計値に近い静電容量が得られる。
本発明では、コンデンサ本体1のサイズは問わないが、0402型(内部電極層7に平行な面の面積が0.4mm×0.2mm)〜21型(同面積が2mm×1mm)の小型サイズの積層セラミックコンデンサに対して好適である。
コンデンサ本体1を構成する誘電体層5はバレル研磨されやすいという理由からチタン酸バリウムを質量比で90%〜99質量%含有する誘電体磁器により構成されているものが良い。
内部電極層7を形成する材料は、バレル研磨後にコンデンサ本体1の端面に突出し、高い延性を有するという理由から、そのNiの純度は共材として含まれる誘電体粉末を除き98%以上の純度を有するのがより好ましい。
図2は、(a)は、本実施形態の積層セラミックコンデンサの製造方法を示すもので、コンデンサ本体の端面に導体ペーストを塗布して形成された未焼結の外部電極を平坦な基板面に押しつける工程を示す模式図であり、(b)は、導体ペーストを塗布したコンデンサ本体の端面を基板面に押さえつけた後の未焼結の外部電極を示す模式図である。
まず、バレル研磨されたコンデンサ本体1を用意する。このコンデンサ本体1は上述し
たバレル研磨の工程により、コンデンサ本体1の端面1aに内部電極層7の端部がわずかに突出した状態となっている。
たバレル研磨の工程により、コンデンサ本体1の端面1aに内部電極層7の端部がわずかに突出した状態となっている。
次に、コンデンサ本体1の端面1aに下地電極3a用の導体ペーストを塗布する。次に、図2(a)に示すように、コンデンサ本体1の端面1aに導体ペーストを塗布して形成された未焼結の下地電極3agを平坦な基板面20に押しつける。これによりコンデンサ本体1の端面1aに形成された未焼結の下地電極3agの端面1a側の厚みを薄くすることができる(図2(b))。なお、下地電極3agの端面1a側の厚みは、下地電極3agを基板面20に押さえつけるときのコンデンサ本体1の端面1aと基板面20との間の間隔hを調整することにより制御する。
下地電極3a用の金属材料としては、CuもしくはCuとNiの合金を用いるのが良い。これはコンデンサ本体1を再度高い温度で加熱しなくてもよく、コンデンサ本体1を構成する内部電極層7に用いた材料よりも低温で焼結できるからである。このような導体ペーストは金属粉末100質量部に対してガラス粉末を10〜15質量部含み、これに有機ビヒクル11を含有するものが好ましい。また、下地電極3aに用いる金属材料の平均粒径は、外部電極3の厚みを20μm以下にするための下地電極3aの厚みを15μm以下にできるとともに、下地電極3aに空隙10を形成できるという理由から1〜5μmであるのが良い。
ガラス粉末は、酸化珪素に他の添加成分を含ませて低融点化したガラスが好適であるが、この場合、ガラス成分の軟化点が800℃よりも低く、外部電極3用の金属材料との間で下地電極3中に適当な空隙10を形成しつつも、下地電極3aとコンデンサ本体1との間の接合強度を高く維持できるという点で、亜鉛、珪素、バリウムおよびアルミニウムを、それぞれZnOとして10〜20質量%、SiO2として30〜50質量%、BaOとして5〜20質量%、Al2O3として10〜20質量%の割合で含有するものが好ましい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサは、上記の金属材料およびガラス粉末を含有する導体ペーストを用いるために、下地電極3aに空隙10を有するものにできる。
この場合、外部電極3を形成する条件としては最高温度が700〜850℃、酸素分圧を0.1〜50Paとすることが好ましい。
こうして本発明では、コンデンサ本体1の端部に導体ペーストを塗布した後、加熱する前に、未焼結状態の下地電極3agを平坦な基板面20に押しつけて、下地電極3aの端面側Aの厚みt1を下地電極3aの側面側Bの厚みt0よりも薄くする工程を採用することにより、コンデンサ本体1の側面側Bの厚みt0が端面側Aの厚みt1よりも厚く、かつ積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、下地電極3aの側面側Bに存在する空隙10の面積割合SB0が端面側Aに存在する空隙10の面積割合SA0よりも大きい積層セラミックコンデンサを容易に得ることができる。
次に、この下地電極3aの表面に、電解バレルめっき法によりNiメッキ膜3bとSn含有めっき膜3cとをこの順に形成する。
まず、原料粉末として、チタン酸バリウム粉末,MgO粉末,Y2O3粉末およびMnCO3粉末を準備した。これらの各種粉末をチタン酸バリウム粉末量100モルとしたときに、MgO粉末を0.5モル,Y2O3粉末を1モル、MnCO3粉末を0.5モル添加し、さらに、ガラス粉末(SiO2=55,BaO=20,CaO=15,Li2O=
10(モル%))をチタン酸バリウム粉末100質量部に対して1質量部添加して誘電体粉末を調製した。
10(モル%))をチタン酸バリウム粉末100質量部に対して1質量部添加して誘電体粉末を調製した。
この誘電体粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとからなる混合溶媒を添加し湿式混合した。
次に、湿式混合した粉末を、ポリビニルブチラール樹脂を溶解させたトルエンおよびアルコールの混合溶媒中に投入し、直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合してセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚みが1.5μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートの上面にNiを主成分とする矩形状の内部電極パターンを複数形成した。内部電極パターンを形成するための導体ペーストは、平均粒径が0.3μmのNi粉末100質量部に対してチタン酸バリウム(BT)の粉末を15質量部添加したものを用いた。
次に、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを200枚積層し、その上下面に内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて温度60℃、圧力107Pa、時間10分の条件で密着させて、積層体を作製し、しかる後、この積層体を、所定の寸法に切断してコンデンサ本体成形体を形成した。
次に、コンデンサ本体成形体を大気中で脱バインダ処理した後、水素−窒素の混合ガス雰囲気にて酸素分圧が10−8Paの条件にて1140℃で2時間の焼成を行いコンデンサ本体を作製した。作製したコンデンサ本体のサイズは1005型に相当するものであり、そのサイズはおおよそ、0.95mm×0.48mm×0.48mmであった。また、誘電体層の平均厚みは1μm、内部電極層の1層の平均厚みは1μmであった。なお、このコンデンサ本体で得られる静電容量の設計値は2.2μFである。
次に、作製したコンデンサ本体に窒素雰囲気中(酸素分圧:10−6Pa)1000℃で5時間の酸化処理を行った。
次に、作製したコンデンサ本体をバレル研磨した。バレル研磨は内容積が500mLのポリポットを用い、メディアボールとして平均粒径が5mmのアルミナボールを用い、溶媒として純水を用いて行った。バレル研磨を行ったコンデンサ本体の試料はいずれも内部電極層がコンデンサ本体の端面よりもわずかに突出していた。
次に、バレル研磨したコンデンサ本体の端部にCuを主成分とする導体ペースト(Cu粉末(純度99%)100質量部に対して、軟化点が700℃のガラス粉末(ZnO:10質量%、SiO2:50質量%、Al2O3:20質量%、BaO:20質量%)を13質量部含み、エチルセルロースをテルピネオールとフタル酸ジブチルとの混合溶媒に溶解させた有機ビヒクルを含む)を塗布して未焼結状態の下地電極を形成した。
次に、コンデンサ本体の端面に形成された未焼結の下地電極を平坦なステンレス製板の表面に押しつけて、コンデンサ本体の端面に形成された未焼結の下地電極の端面側の厚みを薄くする加工(加圧処理)を行った。なお、表1に示す下地電極の端面側の厚みは、未焼結の下地電極をステンレス製板の表面に押さえつけるときのコンデンサ本体の端面とステンレス製板の表面との間の間隔を調整することにより変化させた。
次に、未焼結の下地電極を有するコンデンサ本体を温度を800℃、酸素分圧を1Pa
、最高温度の保持時間を0.2時間とする条件で加熱して下地電極の焼き付けを行った。
、最高温度の保持時間を0.2時間とする条件で加熱して下地電極の焼き付けを行った。
次に、電解バレルメッキ法により、下地電極の表面に、順に、電解めっき法によりNiメッキおよびSnメッキを行い、Niメッキ膜およびSn含有メッキ膜(Sn99.9%)を形成して積層セラミックコンデンサを作製した。このとき形成したNiメッキ膜およびSn含有メッキ膜は平均厚みがいずれも1μmであった。
次に、作製した積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。なお、各評価は、Niメッキ膜およびSn含有メッキ膜を形成した積層セラミックコンデンサを用いて行った。このとき各厚みの測定および空隙の面積割合の測定は、コンデンサ本体の両端面に形成された外部電極のうち一方について評価した。
外部電極の厚みt、下地電極の端面側の厚みt1、下地電極の側面側の厚みt0およびめっき膜(Niめっき膜3bおよびSn含有めっき膜)の厚みは、以下のようにして求めた。まず、積層セラミックコンデンサを、図1に示すように外部電極が対向する方向に垂直な方向から研磨し、下地電極の表面にめっき膜が形成された外部電極の断面を露出させた。次に、走査型電子顕微鏡観察により、その外部電極の全体が見える倍率で写真を撮り、写真に映し出された下地電極の端面側および側面側ならびにNiめっき膜およびSn含有めっき膜の断面の厚さをそれぞれ測定し、それぞれの平均値を求めた。このとき外部電極の端面側における下地電極、Niめっき膜およびSn含有めっき膜の平均厚みは、図1に示したように端面側の領域に相当する部分を矢印の方向に5等分し、境(6箇所)の厚みを測定し平均値を求めた。一方、外部電極の側面側における下地電極の平均厚みは、図1に示した側面側の領域に相当する部分を図1における矢印の方向に3等分し、境(4箇所)の厚みを測定し平均値を求めた。なお、側面側の下地電極の平均厚みについては、コンデンサ本体の両側面に形成された2箇所の下地電極について測定した値の平均値から求めた。また、側面側の領域については、下地電極の端(コンデンサ本体の表面を覆っている端の部分)から10μmほど入った位置までの領域を除いた領域とした。また、外部電極の厚みtは、コンデンサ本体の端面側の方向の下地電極の厚み、Niめっき膜およびSn含有めっき膜の厚みを加算して求めた。また、下地電極におけるコンデンサ本体の端面側の厚みt1に対する側面側の厚みt0の比は、側面側の厚みt0を端面側の厚みt1で除した値(t0/t1)として求めた。
また、外部電極3を構成する下地電極3aの端面側および側面側における空隙の面積割合は、外部電極を厚みを測定するのに用いた積層セラミックコンデンサを研磨した試料を用いて以下の方法により求めた。このとき空隙の面積割合の測定についても、コンデンサ本体の両端面に形成された外部電極のうち一方について評価した。まず、外部電極の端面側および側面側のそれぞれの領域の写真を撮り、写真の画像を解析して外部電極の端面側のうち下地電極の領域の面積SAと、この端面側の領域に存在する空隙の面積S1を求めた後、S1/SA比から端面側の領域に存在する空隙の面積割合SA0を求めた。
次に、下地電極の側面側における空隙について、図1に示すように、コンデンサ本体の一方の端部に形成された下地電極の側面側(コンデンサ本体の2つの対向する側面に形成された2箇所)の領域の面積SBと、この側面側Bの領域に存在する空隙の面積S0を求めた後、S0/SB比から側面側に存在する空隙の面積割合SB0を求めた。
次に、端面側の領域に存在する空隙の面積割合SA0と側面側に存在する空隙の面積割合SB0とから下地電極の端面側に存在する空隙の面積割合SA0に対する側面側に存在する空隙の面積割合SB0をSB0/SA0比として求めた。
外部電極のコンデンサ本体との接合強度は、試料の外部電極に0.8mmのはんだ引き
綱線を230℃のホットプレート上で共晶クリームはんだにより接着し、この綱線を10mm/分で引っ張ることにより接合強度を測定した。平均の接合強度が1.5kgf以上を示した試料を合格とし、平均の接合強度が1.5kgfよりも低い試料を不合格とした。
綱線を230℃のホットプレート上で共晶クリームはんだにより接着し、この綱線を10mm/分で引っ張ることにより接合強度を測定した。平均の接合強度が1.5kgf以上を示した試料を合格とし、平均の接合強度が1.5kgfよりも低い試料を不合格とした。
熱衝撃試験は、室温との温度差が300℃となるように設定したはんだ槽を用いて、積層セラミックコンデンサを約1秒間はんだ槽に漬けて行い、浸漬後の試料について、実体顕微鏡を用いて50〜100倍の倍率で観察し、クラックの有無を確認し、不良個数を求めた。
高温高湿負荷試験は、温度65℃、湿度93%RH、直流電圧6.3Vの条件で48時間放置した後に積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗が5×107Ω以下を示した試料を不良と判定した。試料数は30個とした。
静電容量は温度25℃、周波数1.0kHz、測定電圧を1Vrmsとして測定し、その平均値を求めた。接合強度、熱衝撃試験および高温高湿負荷試験の試料数は30個とした。
なお、作製した試料について、接合強度、熱衝撃試験および高温高湿負荷試験の前に、LCRメータ(ヒューレットパッカード社製)を用いて温度25℃、周波数1.0kHz、AC電圧を1.0Vrmsの条件にて、室温(25℃)における静電容量を測定したが、いずれの試料も設計値どおりの静電容量を示すものであった(試料数各20個)。
表1の結果から明らかなように、本発明の試料(No.2〜6)では、外部電極の厚みが18.5μm以下でも、接合強度試験での不良率が30個中2個以下であり、熱衝撃試験での不良率が30個中1個以下であり、高温高湿負荷試験での不良率が30個中2個であり、外部電極の接合強度、耐熱衝撃性および高温高湿負荷特性に優れた積層セラミックコンデンサが得られた。
特に、下地電極が、コンデンサ本体の端面側の厚みを1としたときに、側面側の厚みが1.3〜2.0であり、また、下地電極の端面側に存在する空隙の面積割合を1としたときに、側面側に存在する空隙の面積割合が1.7〜2.7である試料(試料No.2〜5)では、外部電極の厚みが15.0〜17.0μmにおいて、接合強度試験、熱衝撃試験および高温高湿負荷試験での不良が無く、外部電極の接合強度、耐熱衝撃性および高温高湿負荷特性がさらに向上した。
これに対して、本発明の範囲外の試料(試料No.1)では、耐熱衝撃試験での不良が見られなかったものの、接合強度試験での不良率が30個中10個であり、また、高温高
湿負荷試験での不良率が30個中15個であり、接合強度および高温高湿負荷特性に劣るものであった。
湿負荷試験での不良率が30個中15個であり、接合強度および高温高湿負荷特性に劣るものであった。
1 コンデンサ本体
1a コンデンサ本体の端面
3 外部電極
3a 下地電極
3b Niめっき膜
3c Sn含有めっき膜
5 誘電体層
7 内部電極層
10 空隙
A コンデンサ本体の端面側
B コンデンサ本体の側面側
t0 下地電極のコンデンサ本体の側面側の厚み
t1 下地電極のコンデンサ本体の端面側の厚み
SB0 下地電極の側面側に存在する空隙の面積割合
SA0 下地電極の端面側に存在する空隙の面積割合
1a コンデンサ本体の端面
3 外部電極
3a 下地電極
3b Niめっき膜
3c Sn含有めっき膜
5 誘電体層
7 内部電極層
10 空隙
A コンデンサ本体の端面側
B コンデンサ本体の側面側
t0 下地電極のコンデンサ本体の側面側の厚み
t1 下地電極のコンデンサ本体の端面側の厚み
SB0 下地電極の側面側に存在する空隙の面積割合
SA0 下地電極の端面側に存在する空隙の面積割合
Claims (2)
- 複数の誘電体層と複数の内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ本体と、
該コンデンサ本体の前記内部電極層が露出した端面および該端面に隣接する側面に設けられた外部電極とを具備する積層セラミックコンデンサにおいて、
前記外部電極が、金属とガラスとの焼結体からなる下地電極と、該下地電極の表面を覆うめっき膜とを有し、前記積層セラミックコンデンサを縦断面視したときに、前記下地電極と前記めっき膜との合計厚みが20μm以下であるとともに、前記下地電極は、前記コンデンサ本体の前記側面側の厚みが前記端面側の厚みよりも厚く、かつ前記下地電極の前記側面側に存在する空隙の面積割合が前記端面側に存在する空隙の面積割合よりも大きいことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。 - 前記下地電極は、前記コンデンサ本体の前記端面側の厚みを1としたときに、前記側面側の厚みが1.3〜2.0であるとともに、前記下地電極の前記端面側に存在する空隙の面積割合を1としたときに、前記側面側に存在する空隙の面積割合が1.7〜2.7であることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
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- 2010-07-29 JP JP2010170743A patent/JP2012033621A/ja active Pending
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