JP2011195488A - 新規ジアリールスルホン化合物、及びその製造方法 - Google Patents

新規ジアリールスルホン化合物、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率で透明性に優れた合成樹脂を与える単量体として、従来の化合物と比較して安価で、且つ少なくとも同等の性能を有する化合物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1):
Figure 2011195488

(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子等を示し、Rは、アルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物、4,4’−ジハロアリールスルホン化合物とアルケニル基を有するチオール塩化合物とを反応させることによる一般式(1)で表されるジアリールスルホン化合物の製造方法、次いでハロゲン化剤を反応させ、さらに、脱ハロゲン化水素反応を行うことによる一般式(1)で表されるジアリールスルホン化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機光学材料用樹脂を形成するための単量体として有用な新規ジアリールスルホン化合物、及びその製造方法に関する。
合成樹脂よりなる光学材料は、ガラス等の無機材料と比較して軽量であり、成形加工性等にも優れており、取扱いが簡単であることから、近年、各種用途に広く用いられている。このような有機光学材料用樹脂として、従来から、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジエチレングリコールジアリルカーボナート樹脂等が用いられている。
しかしながら、従来の有機光学材料用樹脂は、低い屈折率、大きな複屈折、高い分散性等の欠点を有し、耐熱性や耐衝撃性にも劣るため、必ずしも満足できるものではなかった。特にレンズ用材料として用いられているジエチレングリコールジアリルカーボナート樹脂(CR−39)等は、屈折率が1.50と低いため、レンズとして使用した場合にはコバ厚や中心厚が厚くなるため、レンズの外観が悪くなり、また重量の増大を招くという欠点がある。
このため、有機光学材料用樹脂用の材料について、屈折率を向上させる試みがなされている。例えば、下記特許文献1及び2には、高屈折率で透明性に優れた樹脂を与える単量体として、一般式(a);
Figure 2011195488
(式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルフィド化合物が記載されている。
このジアリールスルフィド化合物は、高屈折率で透明性に優れた樹脂を与える単量体とされているが、その製造には、高価な化合物である下記化学式:
Figure 2011195488
(式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される4,4’−ジハロジアリールスルフィド化合物が必要であり、該化合物を原料として得られる上記化学式(a)のジアリールスルフィド化合物は高コストで経済性に劣るものとなる。このため、高屈折率で透明性に優れた樹脂を与えることができる単量体として、より安価な材料が望まれている。
ソ連特許499261号明細書 日本特許2785876号
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされてものであり、その主な目的は、高屈折率で透明性に優れた合成樹脂を与える単量体として、従来の化合物と比較して安価であって、且つ少なくとも同等の性能を有する化合物を提供することであり、更に、その製造方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、特定の置換基を有する新規なジアリールスルホン化合物が、高屈折率及び高硬度を有し、且つ良好な透明性を有する樹脂を形成し得る単量体として優れた性能を有することを見出した。そして、該アリールスルホン化合物は、安価な物質であるジハロアリールスルホン化合物を原料として、経済的に有利な条件で容易に製造できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の新規ジアリールスルホン化合物及びその製造方法を提供するものである。
項1. 一般式(1):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Rは、炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物。
項2. Rが、ビニル基又はアリル基である上記項1に記載のジアリールスルホン化合物。
項3. R〜R及びR1’〜R4’がいずれも水素原子であり、Rがビニル基又はアリル基である上記項1に記載のジアリールスルホン化合物。
項4. 一般式(2):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(3):MSR5’(式中、Mはアルカリ金属を示し、R5’は炭素数3〜6のアルケニル基を示す。)で表されるチオール塩化合物とを反応させることを特徴とする、一般式(1−1):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、R5’は、炭素数3〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物の製造方法。
項5. 一般式(3)で表されるチオール塩化合物が、ナトリウム−2−プロペンチオラート又はカリウム−3−ブテンチオラートである上記項4に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
項6. 一般式(2):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(4):MSROH(式中、Mはアルカリ金属を示し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を示す)で表されるチオール塩化合物とを反応させて、一般式(5):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは、上記に同じ)で表される化合物とした後、ハロゲン化剤と反応させて、一般式(6):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは上記に同じであり、Yはハロゲン原子である)で表される化合物とし、次いで、塩基を作用させて、脱ハロゲン化水素反応を行うことを特徴とする、一般式(1):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は上記に同じであり、Rは、炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物の製造方法。
項7. 一般式(4):MSROHで表されるチオール塩化合物が、カリウム−2−ヒドロキシエタンチオラート又はカリウム−4−ヒドロキシ−n−ブチルチオラートである上記項6に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
項8. ハロゲン化剤が、塩素、塩化チオニール、次亜塩素酸、次亜臭素酸及び臭素からなる群から選ばれた少なくとも一種である上記項6又は7に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
項9. 一般式(6)で表される化合物の脱ハロゲン化水素反応に用いる塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム及び炭酸リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である上記項6〜8のいずれか一項に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
以下、本発明の新規ジアリールスルホン化合物及びその製造方法について具体的に説明する。
新規ジアリールスルホン化合物
本発明のジアリールスルホン化合物は、下記一般式(1):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Rは、炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表される文献未載の新規化合物である。該ジアリールスルホン化合物は、例えば、高い屈折率と良好な透明性を有する光学材料用合成樹脂を与える単量体等として有用な化合物である。
上記一般式(1)において、R〜R及びR1’〜R4’で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を例示でき、特にメチル基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を例示でき、特に、塩素原子が好ましい。
で表される炭素数2〜5のアルケニル基は、好ましくは、1個又は2個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状又は分枝状の炭素数2〜5のアルケニル基であり、具体例として、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基等を挙げることができる。特に、ビニル基、アリル基などが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物の内で、好適な化合物の具体例としては、R〜R及びR1’〜R4’が全て水素原子であって、Rがビニル基である化合物;R〜R及びR1’〜R4’が全て水素原子であって、Rがアリル基である化合物等を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、4,4’−ジ(ビニルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(アリルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(イソプロペニルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(3−ブテニルチオ)ジフェニルスルホン等が挙げられる。
ジアリールスルホン化合物の製造方法
以下、上記一般式(1)で表されるジアリールスルホン化合物の製造方法について説明する。
(1)第一方法
一般式(1)において、Rが、炭素数3〜5のアルケニル基であるジアリールスルホン化合物、即ち、一般式(1−1):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、R5’は、炭素数3〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物は、下記一般式(2):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(3):MSR5’(式中、Mはアルカリ金属を示し、R5’は炭素数3〜6のアルケニル基を示す。)で表されるチオール塩化合物とを反応させることにより得ることができる。
上記一般式(2)の4,4’−ジハロアリールスルホン化合物において、Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を例示でき、特に、塩素原子が好ましい。
上記一般式(3)のチオール塩化合物において、Mで表されるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどを例示できる。R5’で表される炭素数3〜6のアルケニル基としては、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基等を例示できる。
一般式(3)のチオール塩化合物の具体例としては、ナトリウム−2−プロペンチオラート、カリウム−3−ブテンチオラート、リチウム−2−ブテンチオラート等が挙げられる。経済的な観点からナトリウム−2−プロペンチオラートが好ましい。
一般式(3)のチオール塩化合物は、アルカリ金属塩として反応溶媒に直接添加する他、一般式:HSR5’で表されるチオールとアルカリ金属水素化物(MH)を溶媒中に添加して、溶媒中で塩を形成してもよい。
一般式(3)のチオール塩化合物の使用量は、一般式(2)の4,4’−ジハロアリールスルホン化合物1モルに対して、2〜6モル程度とすることが好ましく、2〜3モル程度とすることがより好ましい。
一般式(2)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(3)で表されるチオール塩化合物との反応は、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒中で行うか、或いは、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類等の有機溶媒と水との二相系溶媒中で行うことが好ましい。特に、経済的な観点から、トルエンと水との二相系溶媒中で行うことが好ましい。
反応溶媒の使用量は、極性溶媒を用いる場合には、一般式(2)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物100重量部に対して10〜5000重量部程度とすることが好ましく、100〜1000重量部程度とすることがより好ましい。
二相系溶媒を用いる場合には、一般式(2)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物100重量部に対して、有機溶媒、水ともに10〜5000重量部程度とすることが好ましく、100〜1000重量部程度とすることがより好ましい。
また、二相系溶媒中で反応を行う場合は、相間移動触媒を用いることが好ましい。
相間移動触媒としては、例えば、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミドおよびトリオクチルメチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩;ヘキサドデシルトリエチルホスホニウムブロミド、ヘキサドデシルトリブチルホスホニウムクロリドおよびテトラ−n−ブチルホスホニウムクロリド等の4級ホスホニウム塩等を用いることができる。特に、収率向上および経済性の観点から、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドが好ましい。
相間移動触媒の使用量は、一般式(2)の4,4’−ジハロアリールスルホン化合物100重量部に対して、0.1〜100重量部程度とすることが好ましく、0.1〜10重量部程度とすることがより好ましい。
反応温度は、30〜120℃程度とすることが好ましく、50〜110℃程度とすることがより好ましい。反応時間は、通常、1〜30時間程度である。
かくして得られるジアリールスルホン化合物は、必要に応じて水洗、分液して取得できる。また、溶媒留去後、再結晶することにより純度を高めて単離することができる。
上記した方法で得られるジアリールスルホン化合物の具体例としては、例えば4,4’−ジ(アリルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(3−ブテニルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(イソプロペニルチオ)ジフェニルスルホン等を挙げることができる。
(2) 第二方法
上記一般式(1)で表されるジアリールスルホン化合物を製造するためのその他の方法として、上記一般式(2):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びXは、上記に同じ)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(4):MSROH(式中、Mはアルカリ金属を示し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を示す)で表されるチオール塩化合物とを反応させて、一般式(5):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは、上記に同じ)で表される化合物とした後、ハロゲン化剤と反応させて、一般式(6):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは上記に同じであり、Yはハロゲン原子である)で表される化合物とし、次いで、塩基を作用させて、脱ハロゲン化水素反応(脱HY反応)を行うことによって、目的とする一般式(1):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Rは、炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物を得る方法を挙げることができる。
一般式(4):MSROHで表されるチオール塩化合物において、Mで表されるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどを例示できる。Rで表される炭素数2〜6のアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラエチレン、ペンタエチレン、ヘキサエチレン等の直鎖のアルキレン基、エチルエチレン、1,2−プロピレン等の分岐鎖を有するアルキレン基等を例示できる。
一般式(2)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(4)で表されるチオール塩化合物との反応は、上記した第一方法における一般式(2)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と一般式(3)で表されるチオール塩化合物との反応と同様の条件で行うことができる。一般式(4)で表されるチオール塩化合物の使用量についても、一般式(3)のチオール塩化合物と同様に、一般式(2)の4,4’−ジハロアリールスルホン化合物1モルに対して、2〜6モル程度とすることが好ましく、2〜3モル程度とすることがより好ましい。
一般式(4)のチオール塩化合物は、アルカリ金属塩として反応溶媒に直接添加する他、一般式:HSROHで表されるチオールとアルカリ金属水素化物(MH)を溶媒中に添加して、溶媒中で塩を形成してもよい。
上記した方法によって、一般式(5):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは、上記に同じ)で表されるジアリールスルホン化合物を得ることができる。
一般式(5)のジアリールスルホン化合物の具体例としては、4,4’−ジ(3−ヒドロキシプロピルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(2−ヒドロキシプロピオチオ)ジフェニルスルホン等を挙げることができる。
かくして得られるジアリールスルホン化合物は、必要に応じて水洗、分液して取得できる。また、溶媒留去後、再結晶することにより純度を高めて単離することができる。
次いで、一般式(5)で表されるジアリールスルホン化合物をハロゲン化剤と反応させる。
ハロゲン化剤としては、塩素、塩化チオニル、次亜塩素酸、次亜臭素酸、臭素等を用いることができ、経済的および操作性の観点から塩化チオニルが好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、一般式(5)で表されるジアリールスルホン化合物1モルに対して、2〜6モル程度とすることが好ましく、2〜3モル程度とすることがより好ましい。
一般式(5)のジアリールスルホン化合物とハロゲン化剤との反応は、通常、有機溶媒中で行うことができる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の極性溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類等を用いることができる。経済的な観点から、DMFまたはトルエンが好ましい。
溶媒の使用量は、一般式(5)で表されるジアリールスルホン化合物100重量部に対して10〜5000重量部程度とすることが好ましく、100〜1000重量部程度とすることがより好ましい。
反応温度は、30〜120℃程度とすることが好ましく、50〜90℃程度とすることがより好ましい。反応時間は、通常、1〜30時間程度である。
上記した方法によって、一般式(6):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは上記に同じであり、Yはハロゲン原子である)で表されるジアリールスルホン化合物を得ることができる。
一般式(6)で表されるジアリールスルホン化合物の具体例としては、4,4’−ジ(3−クロロプロピルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(2−クロロエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(3−ブロモプロピルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(2−ブロモエチルチオ)ジフェニルスルホン等が挙げられる。
かくして得られる一般式(6)のジアリールスルホン化合物は、必要に応じて水洗、分液して取得できる。また、溶媒留去後、再結晶することにより純度を高めて単離することができる。
次いで、一般式(6)で表されるジアリールスルホン化合物に塩基を作用させて脱ハロゲン化水素反応(脱HY反応)を行う。
この反応で用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム等を例示できる。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
塩基の使用量は、一般式(6)で表されるジアリールスルホン化合物1モルに対して、1〜10モル程度とすることが好ましく、1〜4モル程度とすることがより好ましい。
上記した反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒;該極性溶媒と水との二相系溶媒等を用いることができる。特に、経済的な観点から、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましい。
溶媒の使用量は、一般式(6)で表されるジアリールスルホン化合物100重量部に対して、10〜5000重量部程度とすることが好ましく、100〜1000重量部程度とすることがより好ましい。
反応温度は、30〜120℃程度とすることが好ましく、60〜100℃程度とすることがより好ましい。反応時間は、通常、1〜30時間程度である。
上記した方法によって、一般式(6)で表されるジアリールスルホン化合物の脱ハロゲン化水素反応(脱HY反応)が生じて、目的とする一般式(1):
Figure 2011195488
(式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Rは、炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物を得ることができる。
かくして得られるジアリールスルホン化合物は、必要に応じて水洗、分液して取得できる。また、溶媒留去後、再結晶することにより純度を高めて単離することができる。
上記した方法で得られるジアリールスルホン化合物の具体例としては、例えば4,4’−ジ(ビニルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(アリルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(イソプロペニルチオ)ジフェニルスルホン等を挙げることができる。
本発明の方法によれば、安価な物質である一般式(2)で表される4,4’−ジハロジアリールスルホン化合物を原料として、簡単な製造工程によって、収率良く目的とする一般式(1)で表されるジアリールスルホン化合物を得ることができる。
この方法で得られるジアリールスルホン化合物は、高い屈折率と良好な透明性を有する光学材料用合成樹脂を与える単量体等として有用な化合物であり、例えば、眼鏡用プラスチックレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光ディスク基盤、プラスチック光ファイバー等の光学材料の原料として有効に利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 4,4’−ジ(アリルチオ)ジフェニルスルホンの製造(第一方法)
攪拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた内容積500mlのフラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン14.4g(50mmol)、2−プロペンチオール7.8g(105mmol)およびN−メチルピロリドン100.0gを加え、液温を10℃に保ちながら、水素化ナトリウム4.2g(105mmol)を分割添加し、攪拌しながら液温を50℃に昇温し、1時間反応させた。
反応終了後、10℃に冷却し、水275gを滴下し、その後、反応液を濾過することにより、4,4’−ジ(アリルチオ)ジフェニルスルホン10.9gを得た。4,4’−ジクロロジフェニルスルホンに対する収率は60%であった。
H NMR; d 3.62(dd, J=1.2Hz、6.4Hz,4H)、5.17(dd, J=1.2Hz、6.4Hz,2H)、5.27(dd, J=1.2Hz、16.8Hz,2H)、5.80−5.90(m, 2H)、7.32(d,J=8.8Hz,4H)、7.78(d,J=8.4Hz,4H);
元素分析(C1818として);
計算値 C:59.63%、H:5.00%、O:8.83%、S:26.53%
実測値 C:59.65%、H:5.00%、O:8.80%、S:26.54%
屈折率 :1.656
実施例2 4,4’−ジ(ビニルチオ)ジフェニルスルホンの製造(第二方法)
(i)4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホンの製造工程
攪拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた内容積500mlのフラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン14.4g(50mmol)、2−ヒドロキシエタンチオール8.2g(105mmol)およびN−メチルピロリドン100.0gを加え、液温を10℃に保ちながら、水素化ナトリウム4.2g(105mmol)を分割添加し、攪拌しながら液温を50℃に昇温し、2時間反応させた。反応終了後、10℃に冷却し、水200.0gを滴下、その後、ジクロロメタン100.0gで抽出した。抽出した油層を水100.0gで洗浄し、ジクロロメタンを留去し、4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン16.7gを得た。4,4’−ジクロロジフェニルスルホンに対する収率は90%であった。
(ii)4,4’−ジ(2−クロロエチルチオ)ジフェニルスルホンの製造工程
攪拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた内容積300mlのフラスコに、4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン7.4g(20mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド15.0gを加え、昇温し、液温を70℃に保ちながら、塩化チオニル4.9g(41mmol)を滴下し、攪拌しながら2時間反応させた。
反応終了後、液温を25℃に冷却し、水30.0gを滴下し、次いで、30重量%水酸化ナトリウム水溶液9.8g(74mmol)を滴下した。その後、水100.0gおよびジクロロメタン50.0gを添加し、油層を分離した。その後、ジクロロメタンを留去し、アセトニトリル50.0gを滴下し、次いで、水150.0gを滴下し、濾過することにより、4,4’−ジ(2−クロロエチルチオ)ジフェニルスルホン7.3gを得た。4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホンに対する収率は90%であった。
(iii) 4,4‘−ジ(ビニルチオ)ジフェニルスルホンの製造工程
攪拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた内容積50mlのフラスコに、4,4’−ジ(2−クロロエチルチオ)ジフェニルスルホン2.0g(5mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド6.0gを加え、昇温し、液温を80℃に保ちながら、30重量%水酸化ナトリウム水溶液2.3g(17mmol)を滴下し、攪拌しながら3時間反応させた。反応終了後、液温を25℃に冷却し、水30.0gを滴下し、濾過することにより、4,4’−ジ(ビニルチオ)ジフェニルスルホン1.2gを得た。4,4’−ジ(2−クロロエチルチオ)ジフェニルスルホンに対する収率は70%であった。
H NMR: d 5.62(dd, J=9.2Hz、16.4Hz,4H)、6.52(dd, J=9.2Hz、16.4Hz,2H)、7.38(d,J=8.8Hz,4H)、7.83(d,J=8.4Hz,4H);
元素分析(C1614として) ;
計算値 C:57.45%、H:4.22%、O:9.57%、S:28.76%
実測値 C:57.40%、H:4.18%、O:9.63%、S:28.79%
屈折率 :1.651

Claims (9)

  1. 一般式(1):
    Figure 2011195488
    (式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Rは、炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物。
  2. が、ビニル基又はアリル基である請求項1に記載のジアリールスルホン化合物。
  3. 〜R及びR1’〜R4’がいずれも水素原子であり、Rがビニル基又はアリル基である請求項1に記載のジアリールスルホン化合物。
  4. 一般式(2):
    Figure 2011195488
    (式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(3):MSR5’(式中、Mはアルカリ金属を示し、R5’は炭素数3〜6のアルケニル基を示す。)で表されるチオール塩化合物とを反応させることを特徴とする、一般式(1−1):
    Figure 2011195488
    (式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、R5‘は、炭素数3〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物の製造方法。
  5. 一般式(3)で表されるチオール塩化合物が、ナトリウム−2−プロペンチオラート又はカリウム−3−ブテンチオラートである請求項4に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
  6. 一般式(2):
    Figure 2011195488
    (式中、R〜R及びR1’〜R4’は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される4,4’−ジハロアリールスルホン化合物と、一般式(4):MSROH(式中、Mはアルカリ金属を示し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を示す)で表されるチオール塩化合物とを反応させて、一般式(5):
    Figure 2011195488
    (式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは、上記に同じ)で表される化合物とした後、ハロゲン化剤と反応させて、一般式(6):
    Figure 2011195488
    (式中、R〜R及びR1’〜R4’、及びRは上記に同じであり、Yはハロゲン原子である)で表される化合物とし、次いで、塩基を作用させて、脱ハロゲン化水素反応を行うことを特徴とする、一般式(1):
    Figure 2011195488
    (式中、R〜R及びR1’〜R4’は上記に同じであり、Rは、炭素数2〜6のアルケニル基を示す。)で表されるジアリールスルホン化合物の製造方法。
  7. 一般式(4):MSROHで表されるチオール塩化合物が、カリウム−2−ヒドロキシエタンチオラート又はカリウム−4−ヒドロキシ−n−ブチルチオラートである請求項6に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
  8. ハロゲン化剤が、塩素、塩化チオニール、次亜塩素酸、次亜臭素酸及び臭素からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項6又は7に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
  9. 一般式(6)で表される化合物の脱ハロゲン化水素反応に用いる塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム及び炭酸リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項6〜8のいずれか一項に記載のジアリールスルホン化合物の製造方法。
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