この発明の一実施例として苗移植機の一例である野菜移植機を図面に基づき詳細に説明する。この野菜移植機1は、走行車輪2・3を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4・苗植付装置5等からなる植付部1bで苗トレイ内の野菜のポット苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。作業者は、苗移植作業時には座席212に着座して、植付部1bの苗移植作業状況を確認しながら苗が少なくなると予備苗載台36から新しい苗を植付部1bに供給する。また、畦端での機体旋回時には機体から降りて、機体後方に設けた操縦ハンドル6で機体を旋回操作する。以下、各部の構成について説明する。
走行部1aは、走行部ミッションケース7の前部にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジンの動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上部をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6の前端部が回動調節自在に取り付けられており、操縦ハンドル6の左右グリップ6aは高さ調節できるようになっている。
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右回動筒部15に左右走行伝動ケース16が一体に取り付けられ、その左右走行伝動ケース16の先端部に駆動走行車輪である左右後輪2が軸支されている。また、エンジン9の下側に前後方向のピボット軸17aを中心に揺動自在に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に左右前輪支持ロッド18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッドの下端部に各々従動走行車輪である左右前輪3が軸支されている。
走行部1aには機体に対し左右後輪2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、走行部ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニット20から後方に向けて昇降シリンダ21が設けられ、該シリンダのピストンロッドの先端部に天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が油圧バルブユニット20とメイフレーム14に取り付けた取付部材23とに支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。天秤杆22の左右両端部と、左右回動筒部15に固着した左右スイングアーム25とが、左右連結ロッド26を介して連結されている。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダを伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27は、前記油圧ポンプ10から供給される作動油を油圧バルブユニット20内の制御バルブ20a,20bで各々制御して作動させられる。昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右の後輪2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右の後輪2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
植付部1bは、前記連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着され、該植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース31の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース31の先端部に第二植付伝動ケース32の基部が固着されている。そして、第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32に後述する苗植付装置5の各作動機構が連結されており、この第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32にて苗植付装置5への植付駆動伝動系D1が構成されている。苗植付装置5の後記苗植付具42は、走行部1aの後部側に配置している。また、メイフレーム14の上部に基部を固着したフレーム34に、育苗トレイが載せられる予備苗載台36が取り付けられている。
図3に示すように、植付部ミッションケース30の入力軸30aは該ケースの下端部から前方に突出しており、これを走行部ミッションケース7のPTO取出部7aに挿入することにより、該PTO取出部内の走行部側の軸に伝動連結するようになっている。また、植付部ミッションケース30は、前記連結フレーム13にボルト35…によって着脱自在に取り付けられている。このため、ボルト35…を外し、PTO取出部7aから入力軸31aを抜くことにより、走行部1aから植付部1bごと取り外せることができ、植付部1bのメンテナンスが容易に行える。
側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられている。この構成とすることにより、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースが確保されている。
走行部ミッションケース7に基部がボルトにて固着され前方に延設された前部フレーム210に座席支持フレーム211の下端を固定し、該座席支持フレーム211の上部に作業座席212を取付けて、機体前部の左右中央位置に作業座席212を配置している。また、左右ステップ213・213の前端部を前記座席支持フレーム211に固定し、その中途部を左右ステップ支持フレーム214・214にて走行部ミッションケース7にて支持し、作業座席212に着座した作業者の足を載せれる左右ステップ213・213をボンネット12の左右両側に配置している。
また、作業座席212の前方には、トレイTを複数枚収納できる空トレイ収納部215が配置され、該空トレイ収納部215はその下部が前記座席支持フレーム211の上部に固定支持されている。空トレイ収納部215は、杆体にて枠組み構成されたカゴ状の構成で、上部にトレイTを挿入できる開口部215aが形成されている。
苗供給装置4は、植付部ミッションケース30の上方から機体前方に向けて配置されており、複数個のソイルブロック苗Sを縦方向と横方向とに多数収容した苗トレイTを前側が高くなるように傾斜して載置支持すると共に、縦及び横方向に間欠移動する苗トレイ移動装置40と、この苗トレイ移動装置40の後方側に配置されていて苗取出爪41によって前記苗トレイTから苗を一つずつ取出して苗植付具42へと搬送する苗取装置43とから構成されている。
尚、苗トレイTは、薄肉に形成されて可撓性を有するプラスチック製で、縦方向及び横方向に所定のピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部Pを有し、ポット部Pの開口縁部が互に平面状に連結されて成型されている。そして、ポット部Pに充填した床土に播種し育苗することで、ソイルブロック苗Sが育成されている。
苗取装置43は、前記苗取出爪41を具備すると共に、この苗取出爪41を駆動させる爪駆動機構44を有する。苗取出爪41は左右一対の先端が尖った丸棒材で構成されており、先端側ほど相互に近接するように設けられている。爪駆動機構44は、苗取出爪41を苗トレイTと苗植付具42との間で苗取出爪41を姿勢変更しながら往復駆動させるもので、一対の苗取出爪41が取付けられる爪支持体45と、一対の苗取出爪41の進退を案内する爪案内体46と、前記爪支持体45及び爪案内体46をそれぞれ長手方向往復動自在に支持する支持具47とを具備している。
この爪駆動機構44は、メインフレーム14に基部が固定された連結フレーム48に溶接固定された板材からなる支持体49に取付けられた伝動ケース50に取付支持されている。この伝動ケース50は、左右両側に突出する入力軸51に後述の苗トレイ移動装置40の横移動軸105から伝動チェン53にて駆動力が伝動されることにより、駆動される。
前記入力軸51の伝動ケース50の右側に突出した先端にはクランク57が設けられ、このクランク57にクランクピン58が側方に突設され、また、入力軸51には、クランク57と同軸心で駆動カム59が設けられている。伝動ケース50の左側下部には、揺動アーム60の下部が揺動軸61を介して左右軸廻りに回動自在に枢結されており、この揺動アーム60の中途部には上下方向(アーム長手方向)に延びる溝カム62が形成され、この溝カム62には、クランク57のクランクピン58に外嵌されたローラ63が挿通係合されている。
揺動アーム60の上部には支持具47がピン64を介して枢結され、この支持具47は、パイプ製の爪支持体45を軸方向移動自在に挿通案内する筒部47aを備えており、前記爪支持体45が苗トレイTに向かって出退可能とされている。また、この爪支持体45の先端部に、ポット部P内の苗Sのブロック土に斜め方向から突き刺される前記一対の苗取出爪41が取付けられている。
また、伝動ケース50の上面には板状の支持部材65がボルトにより取付固定され、支持具47にはブラケット66を介して遊転自在にローラ67が取付けられ、このローラ67は、支持部材65にピン68を介して揺動自在に取付けられた案内板69に形成されたカム溝70に係合されている。前記案内板69は下方への突出腕の先端に転動ローラ71を有し、この転動ローラ71は駆動カム59上に当接されていて、駆動カム59の図5で反時計方向の回転により案内板69をピン68を中心として揺動可能にしている。また、案内板69は、支持部材65との間に介装されたスプリング72によって、ローラ71が駆動カム59に押し付けられる方向に付勢されている。
爪支持体45の基端部に設けた基体73と、爪支持体45を内嵌保持する支持具47の筒部47aとの間には、爪支持体45を後退させる方向に付勢するコイルスプリング74が介装されており、爪支持体45の前端部には爪取付具75が嵌合固定されている。この爪取付具75に一対の苗取出爪41の基部がそれぞれ軸76を介して枢支されており、一対の苗取出爪41は爪取付具75に対して先端が遠近移動するように揺動可能になっている。
支持具47の下端部には、押出リンク77がピン78を介して回動自在に枢結されている。この押出リンク77の先端部には長溝79が形成され、爪取付具75の突出腕に設けたピン80と係合されている。押出リンク77には、クランク57のクランクピン58と当接可能な略円弧状のカム板81が設けられている。前記爪支持体45・基体73及び爪取付具75には、前記爪案内体46が長手方向摺動自在に挿入され、該爪案内体46は丸棒等で形成されていて、その前端に苗取出爪41を挿通案内する案内孔を備えた案内部82が設けられ、後端に側面視L字状の作動部材83が装着され、中途部に止め具84が固着され、この止め具84と基体73との間にコイルスプリング85が圧縮状に嵌装されている。
前記支持具47には作動片86が枢支され、スプリングによって図5で時計方向に付勢されており、この作動片86は1本の足と両腕とを有する略T字形状であり、一方の腕にはロック部86aが、他方の腕には解除部86bが、足には押動部86cが形成されている。前記爪案内体46に固着の作動部材83は爪案内体46と平行な部分を有し、この平行部分は支持具47によって回り止め状態で摺動が案内されており、その摺動面に突出した前記作動片86のロック部86aと係合して、爪案内体46の突出方向の移動が規制されている。
前記爪支持体45の後端の基体73にはロックアーム87が枢支されており、このロックアーム87はスプリングによって図5で時計方向に付勢されており、先端部に支持具47の係合部88と係合可能な鉤部89が形成されている。前記構成において、図5に示す状態から、入力軸51が反時計方向に回転すると、クランク57が同行回転してクランクピン58に嵌合されたローラ63がカム板81を押動して押出リンク77が苗トレイT側へと揺動され、これによって、図5に示すように、支持具47に対して爪取付具75及び爪支持体45が苗トレイT側へ向けて押動され、コイルスプリング74,85を圧縮する。これにより、苗取出爪41は突出して苗Sのブロック土を突き刺し、かつ爪支持体45が後退するための復元力が保有されることになる。
尚、苗取出爪41が突出して苗Sのブロック土を突き刺す際にあっては、苗取出爪41が案内部82の案内孔に規制されて、左右の苗取出爪41の先端間距離が狭められながら該苗取出爪41がブロック土に突き刺されるように構成されている。また、爪支持体45は突出した状態でロックアーム87の鉤部89が支持具47の係合部88と係合することによりその状態が保持され、揺動アーム60及び案内板69は揺動しない。
この状態から、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、ローラ63が揺動アーム60の溝カム62内を摺動することで揺動アーム60が揺動軸61廻りに苗トレイTから離反する方向に揺動して、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTに対して後退し、苗Sのブロック土がポット部Pから取り出される。
その後、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTから離反する方向に移動すると共に、ローラ67がカム溝70の前上がり状部分を摺動して、苗取出爪41等が略下向き姿勢に変更し、苗Sを下向き姿勢にすると共に、苗Sを苗植付具42の前部上方に位置させる。
そして、苗取出爪41が略下向き姿勢にされた状態に移動してきたときに作動片86の押動部86cが支持部材65に位置調節自在に設けたロック解除部材と当接する。作動片86が回動されると、まず作動片86のロック部86aによる作動部材83に対するロックが解除され、スプリング85の付勢力により爪案内体46が突出して、苗取出爪41に保持されている苗Sを苗取出爪41から押し出し離脱させ、苗植付具42に上方から落下投入する。その後にさらに作動片86が回動すると、解除部86bによりロックアーム87を押し上げて鉤部89と係合部88との係合が解除され、コイルスプリング74の付勢力により爪案内体46を伴って爪支持体45が後退する。
その後は、入力軸51の、図5の反時計方向の回転によって、図5に示す状態に移動し、前記作動を繰り返す。
苗トレイ移動装置40は、苗トレイTを載置する苗載台90を備えており、この苗載台90は、左右方向に配置された上下一対の案内レール91a・91bに左右方向移動自在に支持されている。この上下一対の案内レール91a・91bは、植付部ミッションケース30に固定支持されている。そして、上下一対の案内レール91a・91bは、その左右端を左右縱フレーム95にて連結しており、平面視で矩形状の強度の強いフレーム構成になっている。
また、苗載台90は苗トレイTの底部を横一列のポット部Pに亘って支持する載置板96を有し(従って、この載置板96の上面が苗トレイTを載置支持する載置面96aとされている)、この載置板96は左右方向に対向配置された一対の側板97間に配置されていて、載置板96の左右端部が左右側板97の対向面(左右方向内面)に固定されている。
左右側板97間下部には、縦移動駆動軸98が左右方向に配置されて設けられており、左右側板97間上部には、縦移動従動軸99が左右方向に配置されて設けられており、駆動軸98には左右一対の駆動スプロケット100が固定され、従動軸99には左右一対の従動スプロケット101が固定されている。また、駆動スプロケット100と従動スプロケット101との間には、これらに亘ってエンドレスチェーン102が掛装され、このチェーン102には、苗トレイTの縦方向(上下方向)のポット部P間の間隙に係合する搬送ピン103が左右方向内方突出状に取付けられている。したがって、駆動軸98が、図9に矢示Aで示す方向に回動駆動することによって苗トレイTが搬送ピン103によって押動されて縦移動可能とされている。尚、左右の側板97は前記縦移動駆動軸98や従動軸99以外に他の連結部材によって連結されている。
この苗トレイ移動装置40には、苗トレイTの縦横の寸法が同じで且つポット部Pの開口の大きさは異なるがポット部Pの開口間の間隔が略同じ(即ち、縦横の配列方向のポット部Pの中心間のピッチ及びポット部Pの数の異なる)2種類の苗トレイTが装着されるようになっており、従って、前記搬送ピン103は、ポット部P間の各々に係合するように設けられるのではなく、2種類の苗トレイTの縦方向のポット部P間の間隙が縦方向に関して一致する位置に設けられる。
ここで前記苗トレイTの横移動機構について説明すると、苗載台90の左右両側方に配置されて左右縱フレーム95に取付支持された左右軸受部材104間に、左右側板97を貫通すると共に同ピッチで切られた左右ネジの谷部を結合した特殊ネジ(ナピヤネジ)が形成された横移動軸105が左右軸廻り回転自在に支持され、この横移動軸105には、その軸上の特殊ネジに係合するスライダ106が外嵌されている。このスライダ106は、苗載台90の載置板96の背面に設けられた左右一対の係合片107に係合されている。
前記横移動軸105には、植付部ミッションケース30から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aを経て動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転駆動され、横移動軸105を間欠的に回転駆動すると、スライダ106が間欠的に左右方向に移動すると共に横移動軸105に形成されたネジの端部で折り返して、苗載台90が左右方向に往復移動されるようになっている。この伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aにて苗載台駆動系が構成されている。
そして、横移動軸105は、苗取出爪41によって苗Sをポット部Pから取出す際にあっては停止されており、苗Sをポット部Pから取出した後に回転して、ポット部Pの横配列方向(左右方向)に1ピッチだけ苗載台90を移動させるように間欠回転するように構成されている。尚、選択的に使用される2種類の苗トレイTのポット部Pの横方向のピッチに対応した横移動量を選択できるように、伝動ケース50内で横移動量が切換え可能とされている。
次に、苗トレイTの縦移動機構について説明すると、横移動軸105の左右両側には縦移動カム109が固定され、苗載台90には左右側板97間に縦移動作動軸110が回転自在に支持され、この縦移動作動軸110には、苗載台90が最左端又は最右端にまで移動したときに縦移動カム109に係合するホロワ111が左右一対備えられている。また、縦移動作動軸110はリンク112等を介して縦移動駆動軸98の左端側に設けられた縦移動手段113に連動連結されている。
そして、苗載台90が左右の端部まで移動したときに、ホロワ111が縦移動カム109によって押されて縦移動作動軸110が回動し、リンク112を介して縦移動手段113が作動されて縦移動駆動軸98が、苗トレイTをポット部Pの縦配列方向(左右方向に直交する配列方向)にポット部Pの1ピッチだけ移送するように回動される。
これによって、横一列のポット部Pからのソイルブロック苗Sの取出しを終えた時点で、苗トレイTがポット部Pの縦方向の間隔に相当する分縦移動されるようになっている。苗トレイTの苗Sが取り出された後の部分は、駆動スプロケット100に沿って載置板96の下面側へと折り返されるようになっており、図7及び図9に示すように、苗載台90の下部には、板材を縦移動駆動軸98の軸心を中心とする円弧状に形成されていて、苗トレイTを駆動スプロケット100に沿うように案内する案内部材114が、左右両端側及び中央部に取付固定されている。
左右両側の案内部材114には、それぞれ苗トレイTのポット部Pの底部が載置板96から離反する方向に移動する(浮き上がる)のを防止すべく苗トレイT上面の左右側縁側を押さえる押さえ部材115が設けられている。この押さえ部材115は弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成されており、基部側115aが案内部材114に取付固定され、中途部が苗トレイTの上面に接当してこれを弾圧し(単に接当するだけでもよい)、先端側は苗トレイTから離反するように構成されている。
左右各押さえ部材115の、苗トレイT縦移動方向前方側には、苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制手段116が配置されている。この規制手段116は、弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成され、中途部が苗トレイTの上面左右側縁側に接当する押さえ部116aとされ、一端側が押さえ部116aを苗トレイT側に弾圧させるように側板97に取り付けられる取付部116bとされ、他端側がアーチ状に形成されたつまみ部116cとされている。
前記取付部116bは、ボルト93によって側板97に回動自在に取り付けられており、押さえ部116aが苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制姿勢(図9乃至図12に実線で示す)から、つまみ部116cを把持して押さえ部116aを引き上げると共に取付部116b廻りに規制手段116を左右方向外方に回動させることで、苗トレイTが載置板96上に垂直方向から載置可能とされる退避姿勢(図12に仮想線で示す)へと、規制手段116が姿勢変更自在とされている。
前記苗載台90の載置板96には、右側(左側でもよい)の規制手段116の近傍に位置して苗トレイTの通過を検出する検出手段117が設けられている。この検出手段117は、苗トレイTの右端側のポット部Pの底部に接当する接当部材118と、この接当部材118をポット部P側へと付勢する付勢部材119と、マイクロスイッチ等の接触センサ120とから構成されている。
接当部材118は、苗トレイ縦移動方向前方側が載置板96の下面側に固定された支持部材121に支軸122を介して左右軸廻りに回動自在に支持されていて、載置板96に形成した開口部123を介して載置板96の載置面96a側に出退自在に突出可能とされている。また、接当部材118には載置板96の下面に接当して、接当部材118の突出方向(開口部123から苗トレイT側に突出する方向)の回動を規制するストッパ124が固定されて設けられている。
付勢部材119は、バネ板等から形成されており、苗トレイ縦移動方向前方側が支持部材121に固定され、苗トレイ縦移動方向前方側が接当部材118の下面に接当しており、その弾性力によって接当部材118を突出方向に付勢している。接触センサ120は支持部材121に取付固定されており、その接触子120aが付勢部材119の中途部に接触している。
従って、接当部材118は、図9に仮想線で示すように苗トレイTが検出手段117上を通過している間は、ポット部Pによって押圧されて載置板96の下面側へと退避して、付勢手段119を介して接触センサ120の接触子120aを押圧し、苗トレイTの存在を検出する。そして、図9に実線で示すように、苗トレイTが検出手段117上を通過すると、最後部のポット部Pが接当部材118から離反し、付勢部材119によって接当部材118が載置面96a側に突出すると共に、接触センサ120の接触子120aの押圧が解除されて、苗トレイTが検出手段117から離反したこと、すなわち苗トレイTの通過を検出する。
尚、検出手段117が苗トレイTの通過を検出すると、その検出信号によって、ブザー、ランプ等からなる報知手段が作動され、苗トレイTを補給しなければならないことを作業者に報せる。また、図例では(図9)、ポット部Pの縦配列方向の後から2つ目のポット部Pが、苗取出爪41による苗取出し位置にきたときに、検出手段117が苗トレイTの通過を検出し、苗トレイTを補給するようになっているが、これよりもポット部Pの縦配列方向前方側で苗トレイTの通過を検出するようにしてもよい。
作業者は苗トレイTが検出手段117を通過したことが報知手段の作動にて分かると、左右の規制手段116を退避姿勢に姿勢変更させて、苗トレイTを載置板96上に載置補給した後、左右の規制手段116を規制姿勢にもどす。前記のように、検出手段117は規制手段116の近傍に設けられているので、苗トレイTの浮き上がりによる検出手段117の誤作動が防止できる。従って、検出手段117を設ける場所は、規制手段117によって苗トレイTの浮き上がりを規制できる範囲内であれば、どこでもよい。
尚、規制手段116は、苗トレイTの上面左右側縁側を押圧しなくても、接当させるだけで苗トレイTの浮き上がりを規制するようにしてもよく、また、接当部材118を苗トレイTの上壁(ポット部Pの開口縁を連結する部分)下面に接当させるようにしてもよい。また、検出手段117としては、マイクロスイッチ又はリミットスイッチ等の接触センサの接触子を直接苗トレイT又は接当部材118に接当させるようにしてもよい。
苗植付装置5は、下端が尖ったカップ状の苗植付具42を備えている。この苗植付具42は、前側部材42aと後側部材42bとからなっており、苗植付具42の後方に位置する前側部材回動軸161Aに回動自在に支持された左右前側部材取付アーム162Aに前側部材42aが一体に取り付けられ、苗植付具42の前方に位置する後側部材回動軸161Bに回動自在に支持された左右後側部材取付アーム162Bに後側部材42bが一体に取り付けられている。よって、回動軸161A・161Bを支点にして両部材42a・42bが回動すると、苗植付具42の下部が開閉する。前側部材取付アーム162Aと後側部材取付アーム162Bに形成された長穴に遊嵌する連動ピン163によって、前側部材42aと後側部材42bは互いに連動して回動する。前側部材取付アーム162Aの脚部162aAと後側部材取付アーム162Bの脚部162aBとの間に、前側部材42a及び後側部材42bを閉じる側に付勢するスプリング164が張設されている。この苗植付具42は、下記の作動機構によって所定の動作を行う。
第二植付伝動ケース32から上方に突出する支持部33aに後リンク支持アーム167Aが回動自在に取り付けられ、その支持アーム167Aに基部が枢着された後リンク168Aの後端に前側部材回動軸161Aが連結されている。後リンク168Aの中間部には、第二植付伝動ケース32の後端部に設けた後リンク駆動アーム169Aが連結されている。また、植付部ミッションケース30に前リンク支持アーム167Bが回動自在に取り付けられ、その支持アームに基部が枢着された前リンク168Bの後端に後側部材回動軸161Bが連結されている。前リンク168Bの中間部には、第一植付伝動ケース31の後端部に設けた前リンク駆動アーム169Bが連結されている。両駆動アーム169A・169Bが駆動回転すると、後リンク168A及び前リンク168Bが基部の位置を前後に変動させつつ上下に揺動し、苗植付具42が一定姿勢のまま上下動する。
後リンク168Aの基部には開閉アーム171が回動自在に取り付けられ、その開閉アーム171の先端部と前側部材取付アーム162Aとが開閉ロッド172で連結されている。また、後リンク168Aの中間部には後リンク駆動アーム169Aと一体に回転する開閉カム173が取り付けられている。この開閉カムのカムフォロアとしてのローラ174が開閉アーム171に設けられている。苗植付具42が下死点付近にある位置から上昇する行程で、開閉カム173がローラ174に係合するようになっている。開閉カム173がローラ174に係合すると、開閉ロッド172が引かれ、前側部材42aと後側部材42bが互いに連動して回動し、苗植付具42が開く。開閉カム173がローラ174に係合しない時は、スプリング164の張力によって苗植付具42が閉じている。
苗植付具42が上死点にある時に、苗供給装置4により苗が落下供給される。供給された苗は、前側部材回動軸161Aと後側部材回動軸161Bに取り付けられている筒状の苗案内176を通って苗植付具内に導かれる。苗を保持した苗植付具42が下降し、下死点では苗植付具42の下部が畝の表土部に突き刺さり、苗移植用穴を形成する。これとほぼ同期して苗植付具42が開き、保持していた苗を上記苗移植用穴の中に開放する。そのまま苗植付具42が上昇し、上死点付近まで上昇すると苗植付具42が閉じる。
尚、植付部ミッションケース30から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aを経て動力が伝達されて、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43が駆動される構成となっているが、植付部ミッションケース30から巻掛け伝動機構108aに動力を伝達する部位にクラッチを設けて、操作パネル202に配置した自動移植停止レバー250にて該クラッチを切って、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43のみを停止させることができる構成としている。
220は複数(実施例では8個)の苗供給カップ221…を円周上に等間隔で配置したターンテーブルであって、このターンテーブル220は機体の左右中心で、苗供給カップ221内に入れられた苗を開放する位置が苗植付具42のすぐ上になるように配置されている。ターンテーブル220は、前記メインフレーム14に基部が固定された支持板222に、中心軸223を支点にして回転自在に設けられている。中心軸223は、電動モータ224の駆動軸となっている。そして、電動モータ224を駆動制御して、ターンテーブル220が苗植付具42の作動と同期して苗供給カップ221…の取付間隔分づつ間欠的に回転する。
苗供給カップ221…は上下に連通しており、その底部に開閉自在なシャッタ225…が取り付けられている。苗供給カップ221…の直下部には、平面視で前側中央の位置が切れたC字形のシャッタ閉じ棒226が設けられている。このため、C字の切れた部分に相当する苗供給位置P(苗植付具42のすぐ上)にある苗供給カップ221のシャッタ225は開く側に付勢するスプリングで開くが、それ以外の位置にある苗供給カップ221…のシャッタ225…はシャッタ閉じ棒226に規制されて閉じた状態になる。
従って、上記苗取出爪41にてトレイTから取出された苗は、ターンテーブル220のシャッタ225が開いた苗供給カップ221内に放出され、苗は該苗供給カップ221を通過して苗植付具42内に落下供給される。そして、苗植付具42が畝に苗を植付け、その後に、下記の左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪180が配置されている。該左右鎮圧輪180は、メインフレーム14の前後中間部に固着した支持枠186に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム187の中途部に回転自在に装着されている。そして、該揺動フレーム187の後端部の左右中央位置より上方に向けてロッド188が延設されており、該ロッド188の上端部は、メインフレーム14の後端部に基部が固設された支持アーム189の貫通孔189aを貫通して支持されている。そして、ロッド188には錘190が貫通して設けられており、この錘190の個数を調節することにより、左右鎮圧輪180の鎮圧荷重が調節できるようになっている。尚、191はヘアピンであって、ロッド188が支持アーム189の貫通孔189aから抜けるのを防止するものである。
この左右鎮圧輪180は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。192は畝上面を検出するセンサであって、該センサ192が上下回動すると、その回動をリンク機構193にて上下制御バルブ20aに伝え、センサ192の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
また、上記センサ192はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、センサ192は畝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように畝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、畝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
尚、油圧バルブユニット20内の左右傾斜制御バルブ20bは左右傾斜検出用の振り子200の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。操縦ハンドル6は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部に左右グリップ6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者が左右グリップ6aを握って操縦する。
左右グリップ6aの下側には各々左右サイドクラッチレバー201が設けられている。また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル202が設けられ、該操作パネルに、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー203、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー204等が設けられている。図中の符号205は苗の植付間隔を調節する株間調節レバーである。
ここで、予備苗載台36の構成について説明すると、前記のとおりメイフレーム14の上部に基部を固着したフレーム34にトレイTが載せられる予備苗載台36が取り付けられているが、該予備苗載台36は側面視で前方ほど低くなるように傾斜しており、且つ、平面視で前記ターンテーブル220の前方と右側方に配置された構成(即ち、ターンテーブル220の上方には、予備苗載台36がない構成)となっている。従って、予備苗載台36は側面視で前方ほど低くなるように傾斜して配置されているので、作業座席212に着座した作業者は、予備苗載台36から容易に苗が入った苗トレイTを取出して苗トレイ移動装置40の苗載台90に供給することができ、作業効率が良い。また、苗トレイ移動装置40の下方から機体前方に向けて排出される空トレイTは、作業座席212に着座した作業者が取出して、作業座席212の前方に配置した空トレイ収納部215内に即座に収納することができ、作業効率が良い。
尚、苗載台90の上部を覆う位置と苗取装置43の上部を覆う位置には、各々透明の樹脂製の苗載台カバー300と苗取装置カバー301が設けられており、雨が降っている時にでも苗移植作業が行えるように構成している。即ち、該苗載台カバー300と苗取装置カバー301により、苗載台90に載置した苗トレイTの苗が濡れてしまって、苗取装置43にて苗の取出し不良をきたすような事態を回避し、また、苗取装置43が取出した苗が濡れてしまって苗取装置43から苗が脱落してしまうような事態を回避できる。よって、雨天時にでも、苗移植作業が適正に行える。
上記の野菜移植機1にて野菜の苗を圃場に移植する作業について、説明する。先ず、苗載台90に野菜苗が育苗された苗トレイTを装填し、予備苗載台36に4枚の苗トレイTを載置する。そして、作業者は作業座席212に着座し、メインクラッチレバー204を入操作して左右前輪3と左右後輪2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を開始する。この時、左右往復移動する苗載台90の苗トレイTから苗取出爪41が苗を一つずつ取出してターンテーブル220のシャッタ225が開いた苗供給カップ221内に放出する。苗は該苗供給カップ221を通過して苗植付具42内に落下供給される。そして、苗植付具42が畝に苗を植付けた後に、左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。作業者は、この移植作業中は機体に搭乗して作業座席212に着座して、機体後方の苗載台90の方向を向いている。
そして、植付部1bの苗移植作業状態を確認しながら、苗載台90に載置されたトレイTを見て、新たな苗トレイTの供給が必要と判断した時に、苗載台90の上にある予備苗載台36から苗トレイTを取出して苗トレイ移動装置40の苗載台90に供給する。この時、作業者は、植付部1bの方向を向いているので、苗移植作業状態が確認し易く、苗移植作業が適切に行われないような事態が発生した場合には、即座に対応することができて、苗移植作業が適切に且つ効率よく行える。また、予備苗載台36は側面視で前方ほど低くなるように傾斜して配置されているので、作業座席212に着座した作業者は、予備苗載台36から容易に苗が入った苗トレイTを取出して苗トレイ移動装置40の苗載台90に供給することができ、作業効率が良い。また、苗トレイ移動装置40の下方から機体前方に向けて排出される空トレイTは、作業座席212に着座した作業者が取出して、作業座席212の前方に配置した空トレイ収納部215内に即座に収納することができ、作業効率が良い。
次に、大苗や成育が悪い苗等で、上記自動移植作業が行えない場合の移植作業について説明する。
先ず、操作パネル202に配置した自動移植停止レバー250を操作して、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43の駆動を停止する。この時、苗載台90が機体の左右中央部で停止するようにすると、機体の左右バランスが良くて良好な走行性能を発揮し、適切な苗移植作業が行える。そして、作業者は機体後部の左後輪2の後方の畝溝を歩きながら、メインクラッチレバー204を入操作して左右前輪3と左右後輪2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を行なう。この時、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43は停止しているが、ターンテーブル220及び苗植付具42は作動しており、作業者が予備苗載台36に載置された苗トレイTから苗を取出して各苗供給カップ221…に供給する。ターンテーブル220の回転により苗の入った苗供給カップ221が苗供給位置Pまで移動すると、シャッタ52が開き苗が苗植付具42内に落下する。そして、苗植付具42が畝に苗を植付け、その後に、下記の左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
従って、大苗や成育が悪い苗等で、上記自動移植作業が行えない場合でも、作業者がターンテーブル220に苗を供給することによって、大苗や成育が悪い苗でも植付けることができる。
尚、上記実施例では、苗トレイ移動装置40を完全に停止する例を示したが、苗トレイ移動装置40の苗トレイTを縦送りする駆動のみを作動させて、苗載台90を機体の左端位置で停止させ、苗載台90に苗トレイTを供給して、作業者は縦送りされる苗載台90上の苗を順次取出して、ターンテーブル220に供給するようにしても良い。
図17は、苗植付具42の他の例を示す。前記の実施例では、苗植付具42は前後方向に開閉する例を示したが、この例では、苗植付具42は機体進行方向左右方向に開く例で、左側部材42aと右側部材42bとからなっており、各左側部材42a・右側部材42bの下部左右側壁面には縦のスリット状貫通穴42c…が設けられている。このように苗植付具42を機体進行方向左右方向に開くように構成すると、苗植付具42の開き時の土の抵抗が少なくなり、然も、機体が前進する際に植付けた苗を苗植付具42が土中から抜き出る時に引っ掛けるようなことが防止でき、更に適切な苗の移植作業が行える。ところが、苗植付具42が左右方向に開く時に土を左右に飛ばしてしまって、植付けた苗の覆土量が少なくなるという課題もある。そこで、上記のように、各左側部材42a・右側部材42bの下部側壁面に縦のスリット状貫通穴42c…を設けると、左右に開く時に該スリット状貫通穴42c…から土が苗植付具42内に入り込み、上記のような覆土量が少なくなるような事態を回避できる。また、縦のスリット状貫通穴42c…にしたので、苗植付具42内に上方から苗が落下して供給される時に、落下してくる苗が貫通穴42c…に接触しても、貫通穴42cは縦のスリット状であるから苗の姿勢を乱すようなことが防止され、苗の植付け姿勢も良い。
図18は、苗植付具42の更に他の例を示す。上記の実施例では、苗植付具42の左側部材42a・右側部材42bの下部左右側壁面に縦のスリット状貫通穴42c…が設けられた例を示したが、この例では、横のスリット状貫通穴42d…が設けられている。そして、該横のスリット状貫通穴42c…は上方程横に長い貫通穴に形成している。このような構成の横のスリット状貫通穴42d…にすると、苗の植付け深さを変更して苗植付具42が土中に入る深さが変更される場合に、深さに応じて苗植付具42内に入り込む土の量が自動的に適量となり(深いほど、横に長い貫通穴42dが土中に入るようになる)、適切な覆土が行えて、苗の植付け姿勢が良好となる。
図19は、苗植付具42の更に他の例を示す。上記の実施例では、苗植付具42の左側部材42a・右側部材42bの下部左右側壁面に縦若しくは横のスリット状貫通穴42c…,42d…が設けられた例を示したが、この例では、左側部材42a・右側部材42bの下部前側壁面に上下方向に長い貫通穴(切欠き部)42e・42eが設けられている。このように機体進行方向前側に上下方向に長い貫通穴(切欠き部)42e・42eを設けると、機体が前進する際に植付けた苗を苗植付具42が土中から抜き出る時に引っ掛けるようなことが更に適切に防止できると共に、上下方向に長い貫通穴(切欠き部)42e・42eから苗植付具42内に土が入り込み、適切な覆土が行えて、苗の植付け姿勢が良好となる。尚、上下方向に長い貫通穴(切欠き部)42e・42eは、左側部材42a・右側部材42bの下部前側壁面と後側壁面の両方に設けても良い。両方に設けた場合は、苗植付具42内に入り込む土の量が多くなり、更に適切な覆土が行えて、苗の植付け姿勢が良好となる。
図20は、左右後輪2の他の例を示す。前記の実施例では、左右走行伝動ケース16の先端部に駆動走行車輪である左右後輪2を各々1個づつ軸支した例を示したが、この例では、走行伝動ケース16の左右両側に後輪2・2を軸支し、各々走行伝動ケース16内に設けた各別の駆動チェン16a・16bで駆動する構成とし、左右走行伝動ケース16の先端部に各々2個の後輪2・2を軸支した4輪構成となっている。また、該走行伝動ケース16の左右両側に設けた後輪2・2は下部間隔が狭くなるように背面視でハの字状に傾斜させて配置しており、畝を挟んで走行する場合に車輪2…の横ずれが適切に防止できて畝追従性が向上し、畝に適切に苗を植付けることができる。
尚、上記実施例においては、畝に移植する作業例を示したが、平らな圃場に苗を移植する場合も同様である。また、野菜苗としては、キャベツや白菜等の葉菜類の苗・大根やさつま芋等の根菜類の苗・南瓜や西瓜等の果菜類の苗が挙げられるが、他に、い草や花等の如何なる苗でも良い。