JP2009062519A - インクジェットインク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインク記録物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも着色剤、水、水不溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、及びポリエーテル変性シリコーンオイルを含有してなり、ポリエーテル変性シリコーンオイルの下記数式1で表される疎水値が0.40以上1.5以下であるインクジェットインクである。
〔数式1〕:疎水値=A/B(ただし、前記数式1中、Aは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの0ppm〜0.3ppmにおける積分値を表す。Bは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの3.5ppm〜4.0ppmにおける積分値を表す。)
【選択図】なし
Description
近年、OA用プリンタの高速化、高画質化技術の向上に伴って画像品質、色相、彩度、光沢、耐久性(耐擦過性、耐マーカー性等)などへの要求が更に厳しくなってきている。
また、普通紙での高画質化のためにはインクの表面張力を下げ、普通紙への濡れ性を上げて発色性を向上させることが有効である。また画像の耐久性を向上させるためには水不溶性樹脂の添加が有効である。
また、特許文献2では、水溶性溶媒、色材、水、及び少なくとも同一分子内中にアルキレンオキサイド部、芳香環部、及びカルボキシル部を含む重合体を含有したインクについて提案されており、その明細書中には、「吐出口周辺部の撥液処理」、「シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の含有」についても開示されている。しかし、この提案には、シリコーン系界面活性剤の種類については何ら記載されておらず、この提案の構成では、フッ素系界面活性剤を含有した低表面張力インクでは撥インク性の確保が困難である。
また、特許文献3には、自己分散型顔料、ポリマー粒子、及びポリシロキサン骨格を有する化合物を含有するインクジェット記録用水分散体及び該水分散体を含有する水系インクが提案されている。しかし、この提案のインクの表面張力は25mN/m〜50mN/mであり、低表面張力インクを意図したものではない。
また、特許文献5では、水、水溶性有機溶剤、水分散性樹脂、顔料、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤を1種類以上含有するインクが提案されているが、撥インク層への固着は言及されていない。実際提案された処方では撥インク層への固着は解決されない。
<1> 少なくとも着色剤、水、水不溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、及びポリエーテル変性シリコーンオイルを含有してなり、
前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの下記数式1で表される疎水値が0.40以上1.5以下であることを特徴とするインクジェットインクである。
〔数式1〕
疎水値=A/B
ただし、前記数式1中、Aは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの0ppm〜0.3ppmにおける積分値を表す。Bは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの3.5ppm〜4.0ppmにおける積分値を表す。
<2> 着色剤が、顔料をノニオン系界面活性剤及びアニオン系界面活性剤のいずれかで分散した顔料分散体である前記<1>に記載のインクジェットインクである。
<3> ノニオン系界面活性剤が、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種である前記<2>に記載のインクジェットインクである。
<4> 着色剤が、自己分散性顔料である前記<1>に記載のインクジェットインクである。
<5> 着色剤が、染料である前記<1>に記載のインクジェットインクである。
<6> フッ素系界面活性剤が、下記一般式(2)で表される化合物を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェットインクである。
<7> フッ素系界面活性剤が、下記一般式(3)で表される化合物を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェットインクである。
<8> フッ素系界面活性剤が、下記一般式(4)で表される化合物を含有する請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットインク。
<9> 水不溶性樹脂が、樹脂エマルジョンである前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクジェットインクである。
<10> 樹脂エマルジョンが、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、及びフッ素樹脂エマルジョンから選択される少なくとも1種を含む前記<9>に記載のインクジェットインクである。
<11> ポリウレタン系樹脂エマルジョンが、アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンである前記<10>に記載のインクジェットインクである。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて記録を行うインクジェット記録方法であって、記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面に撥インク層が形成されていることを特徴とするインクジェット記録方法である。
<13> 撥インク層が、フッ素系材料、及びシリコーン系材料のいずれかで構成される前記<12>に記載のインクジェット記録方法である。
<14> 撥インク層の表面粗さRaが、0.2μm以下である前記<12>から<13>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<15> 撥インク層の開口部近傍における当該開口部の中心線に垂直な平面での断面積が、該基材表面から離れるにつれて順次大きくなっていくように形成された前記<12>から<14>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<16> 撥インク層の臨界表面張力が、5mN/m〜40mN/mである前記<12>から<15>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<17> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクジェットインクに刺激を印加し、該インクジェットインクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有し、該刺激が、温度、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録装置である。
<18> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクジェットインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<19> 記録媒体上に、前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
前記ポリエーテル変性シリコーンオイルが、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルにおいて、上記数式1で表される疎水値が0.40以上1.5以下である。
本発明のインクジェットインクにおいては、フッ素系界面活性剤のパーフルオロアルキル基は撥油性を有するため、フッ素系界面活性剤を含有するインクは、表面に親油基が配向している撥インク層に対する離型性は良好である。そのため、インク中の着色剤及び水不溶性樹脂が乾燥することによってシリコーン樹脂を含有する撥インク層に固着してしまうと考えられる。
そこで、インクに添加するポリエーテル変性シリコーンオイルの親水親油バランスに着目し、特に疎水値が撥インク層へのインク固着と相関があることを見出し、その疎水値を0.40以上1.5以下とすることにより、撥インク層へのインク固着を防止できることを見出した。一般に親水親油バランスはHLB値で議論されることが多いが、撥インク層へのインク固着については単純にHLB値だけでは相関がなく説明できない(表4参照)。疎水値が0.40以上1.5以下の範囲では、シリコーンオイル中の疎水部位の割合が増加し、該シリコーンオイルが水不溶性樹脂に吸着しやすくなり、水不溶性樹脂の表面を親水化することで疎水表面である撥インク層への固着を防止でき、吐出安定性を向上させることができる。前記疎水値が0.40未満では、該シリコーンオイルの水不溶性樹脂への吸着が十分でなく、固着を引き起こしてしまう。また、前記疎水値が1.5を超えると親水部の割合が相対的に小さくなるため水不溶性樹脂表面の親水化効果が小さく、やはり固着防止作用を発現しない。
本発明のインクジェットインクは、少なくとも着色剤、水、水不溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、及びポリエーテル変性シリコーンオイルを含有してなり、水溶性有機溶剤、浸透剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記インクジェットインクは、後述するように、撥インク層を有するインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置に用いられ、該撥インク層を設けたノズルプレートへの固着を防止でき、吐出安定性に優れた特性を有するものである。
前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは、下記数式1で表される疎水値が0.40以上1.5以下である。
〔数式1〕
疎水値=A/B
ただし、前記数式1中、Aは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの0ppm〜0.3ppmにおける積分値を表す。Bは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの3.5ppm〜4.0ppmにおける積分値を表す。
なお、積分値には基準物質であるテトラメチルシラン(TMS)、あるいはTMSのスピニングサイドバンドのピークの積分値は含まないこととする。
前記数式1で表される疎水値は、0.40以上1.5以下であり、0.40以上1.2以下がより好ましい。前記疎水値が0.40未満では、該シリコーンオイルの水不溶性樹脂への吸着が十分でなく、固着を引き起こしてしまう。一方、前記疎水値が1.5を超えると、親水部の割合が相対的に小さくなるため水不溶性樹脂表面の親水化効果が小さく、やはり固着防止作用を発現しない。
ここで、1H−NMRの測定は日本電子株式会社製の「JEOL JNM−A400FT NMR SYSTEM」を用い、試料濃度1質量%、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)、積算回数128回、室温で測定したデータとするが、試料の溶解性が不十分な場合には、DMSO、DMF−d7、THF−d8、アセトン−d6、メタノール−d4、重水、ヘキサン−d14の順で溶解性を確保できる溶媒を使用することとする。
前記疎水値は小数点第3位を四捨五入した値である。
前記着色剤としては、(1)顔料をノニオン系界面活性剤で分散した顔料分散体、(2)自己分散性顔料、及び(3)染料のいずれかを好適に使用できる。
これら(1)〜(3)の着色剤と水不溶性樹脂を含むインクは、通常撥インク層に固着してしまうが、上述したように特定のポリエーテル変性シリコーンオイルをインクに含有することにより固着を防止できる。
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料等が挙げられる。
前記無機顔料としては、例えばカーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉などが挙げられる。
前記黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、若しくは酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を挙げることができる。
マゼンタ用では、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、9、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:1(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、97、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、175、176、178、179、180、184、185、190、192、193、202、209、215、216、217、219、220、223、226、227、228、238、240、254、255、272、などが挙げられる。
シアン用では、例えばC.I.ピグメントブルー1、2、3、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、22、56、60、63、64、バットブルー4、バットブルー60、などが挙げられる。
中間色では、レッド、グリーン、ブルー用としてはC.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントバイオレット3、19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントグリーン7、36、などが挙げられる。
カラー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー13、17、55、74、93、97、98、110、128、139、147、150、151、154、155、180、185;C.I.ピグメントレッド122、202、209;C.I.ピグメントブルー15:3、15:4が特に好ましい。
前記顔料の平均粒径は、例えば日機装株式会社製のマイクロトラックUPA−150を用い、測定サンプル中の顔料濃度(質量濃度)が0.01質量%になるように純水で希釈したサンプルを用い、粒子屈折率1.51、粒子密度1.4g/cm3、溶媒パラメーターは純水のパラメーターを用い、23℃で測定した平均粒径(D50)を意味する。
前記ノニオン系分散剤としては、特に制限はなく、顔料種別に応じて適宜選択できるが、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンαナフチルエーテル、ポリオキシエチレンβナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、などが挙げられる。また、前記分散剤のポリオキシエチレンの一部をポリオキシプロピレンに置き換えた界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の芳香環を有する化合物をホルマリン等で縮合させた分散剤も使用できる。
前記ノニオン系分散剤のHLBは12以上19.5以下のものが好ましく、13以上19以下のものがより好ましい。HLBが12未満だと界面活性剤の分散媒へのなじみが悪いため分散安定性が悪化する傾向があり、HLBが19.5を超えると分散剤が顔料に吸着しにくくなるためやはり分散安定性が悪化する傾向がある。
炭素数1〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジルなどが挙げられる。
前記一般式(1)中、nは、20〜200の整数が好ましく、20〜100がより好ましく、30〜50が更に好ましい。前記nが20未満であると、分散安定性が低下する傾向があり、平均粒径が大きく、また粒度分布における標準偏差の大きい顔料を含むインクとなるため満足な彩度が得られない。一方、nが200を超えると、インクの粘度が高くなり、インクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
前記自己分散性顔料とは、顔料表面に少なくとも一種の親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合しており、分散剤を使用することなく安定に分散させることができる顔料を意味する。
前記親水性基としては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
また、前記親水基中における「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記着色剤として染料を用いると、色調に優れたインクを得ることができる。前記染料としては、例えば、水溶性染料、油溶性染料、分散染料等が挙げられる。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料であり、好ましくは耐水、耐光性が優れたものが用いられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142;C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249;C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94;C.I.フードイエロー 3,4;C.I.フードレッド 7,9,14;C.I.フードブラック 1,2などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102;C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシックブラック 2,8などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤をインクに含有させることによって、顔料微粒子、あるいは染料の安定性を阻害することなく、インクの紙への濡れ性を向上させることにより、発色性が高く、にじみの少ない画像が得られる。
該市販品としては、例えばS−144、S−145(旭硝子株式会社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(株式会社ネオス製);PF−151N,PF−136A、PF−156A(OMNOVA社製)などが挙げられる。これらの中でも、Dupont社製のFSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300が良好な印字品質、保存性を提供でき好ましい。これらノニオン系のフッ素系界面活性剤である前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系界面活性剤のインク中への添加量としては、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、浸透性の向上に顕著な効果がなく、前記添加量が10質量%を超えると、高温下で保存した時に粘度上昇、凝集等が起こり、信頼性が悪化することがある。
前記水不溶性樹脂としてはインクの吐出安定性及び印刷物の画質、耐久性の観点より樹脂エマルジョンが好ましい。樹脂エマルジョンは、インクが紙のような記録媒体に着弾した際、増粘乃至凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、更に紙への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては紙上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。更に、樹脂エマルジョンを添加することで顔料の分散安定性が向上する。ただし、撥インク層へインクが固着しやすくなり、撥インク層の耐久性が低下する。
前記エマルジョン樹脂は、顔料インク作製原料として使用する際、又はインク作製後において、O/W型のエマルジョンとして存在するものである。ポリウレタン系樹脂のエマルジョンには、比較的親水性の通常のポリウレタン系樹脂を外部に乳化剤を使用してエマルジョン化したものと、樹脂自体に乳化剤の働きをする官能基を共重合等の手段で導入した自己乳化型のエマルジョンがある。いずれも実施可能であるが、顔料インク組成物の組み合わせによって、顔料及びエマルジョン粒子の分散安定性に若干の差異があるので注意を要する。顔料や分散剤との各種組み合わせにおいて、常に分散安定性に優れているのはアニオン型自己乳化型ポリウレタンのエマルジョン樹脂である。その際、顔料の固着性及び分散安定性の面でポリウレタン系樹脂はポリエステル型、ポリカーボネート型よりもエーテル型である方が好ましい。その理由は定かではないが、非エーテル型は耐溶剤性に弱いものが多く、インクの高温保存時に粘度が凝集しやすい。
前記樹脂エマルジョンは2種以上を併用してもよく、樹脂エマルジョンの組み合わせを適切なものとすることで、インクの保存性を確保しつつ画質、画像耐久性も上げることができる。
前記樹脂エマルジョンの含有量は、前記インクジェットインク中、樹脂固形分として0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.2質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、記録媒体へ着弾した後、樹脂が顔料を覆う量が不十分で、耐擦過効果が小さく、20質量%より多いと、インクの粘度が高すぎてインクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
前記インクジェットインクには、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、また、本発明のインクの各成分の溶解安定性を向上するため、等の目的で下記の水溶性有機溶剤を使用することができる。
前記水溶性有機溶剤の前記インクジェットインクにおける含有量は、10質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜40質量%がより好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、乾燥後の粘度が高くなりすぎ、50質量%を超えると、インクの粘度が高くなるばかりでなく、印字した際に文字品質が低下する傾向がある。
前記浸透剤は、インクの表面張力を調整し、インクジェットヘッド部材や記録器具への濡れ性も改善され、充填性が向上し気泡による記録不良が発生しにくくなる。
前記浸透剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類;2−エチル−1,3ヘキサンジオール、2,2、4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類などが挙げられる。これらの中でも、多価アルコールアルキルエーテルとしてジエチレングリコールモノブチルエーテル、炭素数6以上のジオールとして2−エチル−1,3ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオールである。なお、ジオール類は水不溶性色材の凝集が発生しにくいということで好適である。
前記浸透剤の前記インクジェットインクにおける含有量は、その種類や所望の物性にもよるが0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、浸透性が不充分であり、20質量%を超えると、粒子化特性に悪影響を及ぼすことがある。
前記表面張力としては、25℃で、20mN/m〜40mN/mが好ましい。前記表面張力が、20mN/m未満であると、記録媒体上での滲みが顕著になり、安定した噴射が得られないことがあり、40mN/mを超えると、記録媒体へのインク浸透が十分に起らず、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記pHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェットインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、本発明の前記インクジェットインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記インクジェットインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インクジェットヘッド、などが挙げられる。
前記シリコーン系撥水材料としては、室温硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーがあり、基材表面に塗布され、室温で大気中に放置することにより重合硬化して撥インク性の皮膜が形成されることが好ましい。
上記したシリコーン系撥水材料は加熱硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、加熱処理することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
前記シリコーン系撥水材料は紫外線硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、紫外線を照射することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
前記シリコーン系撥水材料の粘度が1,000cp(センチポイズ)以下であることが好ましい。
フッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、パーフルオロポリオキセタン及び変性パーフルオロポリオキセタンの混合物(ダイキン工業社製、商品名:オプツールDSX)を1Å〜30Å(0.1nm〜3nm)の厚さに蒸着することで必要な撥水性を得ている。実験結果では、オプツールDSXの厚さは、10Å(1nm)でも20Å(2nm)、30Å(3nm)でも撥水性、ワイピング耐久性能に差は見られなかった。よって、コストなどを考慮するとより好適には、1Å〜20Å(0.1nm〜2nm)が好ましい。また、フッ素系撥水層の表面には樹脂製のフィルムに粘着材を塗布した粘着テープが貼り付けられていて、エキシマレーザ加工時の補助機能をはたしている。
前記シリコーン樹脂を含む撥インク層の厚みは、0.1μm〜5.0μmが好ましく、0.1μm〜1.0μmがより好ましい。前記厚みが、0.1μm未満であると、ワイピングに対する耐久性が悪化し、長期間使用時に撥インク性が低下してしまうことがあり、5.0μmを超えると、必要以上の厚みの撥インク層であるため製造コストが高くなることがある。
前記撥インク層の表面粗さ(Ra)は、0.2μm以下が好ましい。前記表面粗さRaを0.2μm以下にすることで、ワイピング時の拭き残しを低減することができる。
本実施形態では、インクジェットヘッドの基材であるノズル板32がNiの電鋳により作製され、その表面にシリコーン樹脂皮膜である撥インク層31が形成されており、その表面粗さはRa=0.2μm以下にすることが好ましい。
インク3の充填時には、図9Cに示すように、シリコーン樹脂皮膜による撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される。
この厚みdは、撥インク層31の開口部分であるラウンド部分以外の部分における厚みであり、好ましくは撥インク層の最大厚みであってよい。
このように、ノズル板32の開口部と連接される撥インク層31の開口部分が、略尖鋭端のない形状(尖形部分のないなめらかな曲線)で、引っ掛かり部分のない曲線になっていることにより、ゴムなどの材料で形成されたワイパーでワイピングした場合であっても、尖形部分がワイパーに引っ掛かって撥インク層31がノズル板32から剥離するといった不具合のないようすることができる。
ラウンド形状のものでは、いずれもインク溜まりは発生しなかったが、比較として、図10Aに例示するようなr<dのものでは一部エッジの剥離が発生し、図10Bに例示するようなθ>90度のものでは液滴の噴射が不安定な結果であった。
また、図10Cに示すように、r<dのものや、θ>90度のものでは、インクの充填時に、撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される場合と、撥インク層31’における開口部分中心に向けての凸部(開口部分における中心線に垂直な断面積が最も小さくなる部分)にメニスカスQが形成される場合がある。このため、ノズル板32を含むインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置で画像記録を行う際のインクの噴射安定性にばらつきが発生してしまうことがある。
図11は、本実施形態に係るディスペンサ34を用いた塗布により、シリコーン樹脂を塗布して撥インク層31を形成する構成を示す図である。
Ni電鋳によるノズル32のインク吐出面側にシリコーン溶液を塗布するためのディスペンサ34が配置され、ノズル板32とニードル35先端とが予め定められた一定の距離間隔を保ったままとなるように、ニードル35先端からシリコーンを吐出しながらディスペンサ34を走査することにより、上述した図8、及び図9A〜図9Cに示したようにノズル板32のインク吐出面に選択的にシリコーン樹脂皮膜を形成することができた。
本実施形態で使用したシリコーン樹脂は、常温硬化型シリコーンレジンSR2411(東レ・ダウコーニング株式会社製、粘度=10mPa・s)を用いた。ただし、ノズル孔及びノズル板裏面に若干のシリコーンの周り込みが見られた。このようにして選択的に形成したシリコーン樹脂皮膜の厚みは1.2μmであり、表面粗さ(Ra)は0.18μmであった。
SiO2薄膜層122の膜厚は、密着力が確保できる範囲で必要最小限の厚さとするのが工程時間,材料費から見て有利である。この膜厚があまり厚くなると、エキシマレーザでのノズル孔加工に支障がでてくる場合があるからである。即ち、樹脂部材121はきれいにノズル孔形状に加工されていても、SiO2薄膜層122の一部が十分に加工されず、加工残りになることがある。したがって、具体的には密着力が確保でき、エキシマレーザ加工時にSiO2薄膜層122が残らない範囲として、膜厚1Å〜300Å(0.1nm〜30nm)の範囲が適しているといえる。より好適には、10Å〜100Å(1nm〜10nm)の範囲が適している。実験結果では、SiO2膜厚が30Å(3nm)でも密着性は十分であり、エキシマレーザによる加工性についてはまったく問題がなかった。また、300Å(30nm)では僅かな加工残りが観察されたが使用可能範囲であり、300Å(30nm)を超えるとかなり大きな加工残りが発生し、使用不可能なほどのノズル異形が見られた。
ここで、前記臨界表面張力はZisman法により求めることができる。つまり、表面張力が既知の液体を撥インク層の上にたらし、接触角θを測定し、液体の表面張力をx軸にcosθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる(Zisman Plot)。この直線がY=1(θ=0)となるときの表面張力を臨界表面張力γcとして算出することができる。その他の方法としては、Fowkes法、Owens and Wendt法、Van Oss法を用いて臨界表面張力を求めることもできる。
<シアンインク>
銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。そして装置本体101の上カバー111の上面は略平坦な面であり、装置本体101の前カバーの前面112が上面に対して斜め後方に傾斜し、この傾斜した前面112の下方側に、前方(手前側)に突き出した排紙トレイ103及び給紙トレイ102を備えている。更に、前面112の端部側には、前面112から前方側に突き出し、上カバー111よりも低くなった箇所にインクカートリッジ装填部104を有し、このインクカートリッジ装填部104の上面に操作キーや表示器などの操作部105を配置している。このインクカートリッジ装填部104にはインクカートリッジの脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
図6は本発明を適用したインクジェットヘッドの要素拡大図、図7はインクジェットヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
2つの外部電極53のうち一方(図の表面方向又は奥方向(紙の裏面方向)で内部電極層52の一端に連なる)の外側端はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極54となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており、共通電極55となる。
駆動部の個別電極54にはFPC 80が半田接合されている。また、共通電極55は積層圧電素子50の端部に電極層を設けて回し込んでFPC 80のGnd電極に接合している。FPC 80には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部56への駆動電圧印加を制御している。
この振動板60の島状凸部61と積層圧電素子50の可動部56、振動板60とフレーム10の結合は、ギャップ材を含んだ接着層70をパターニングして接着している。
本発明ではフッ素系界面活性剤を含有したインクに対しても十分な撥インク性を保持するために、この撥インク層はシリコーン樹脂及び/又はフッ素樹脂を含む構造体で構成されている。シリコーン樹脂及び/又はフッ素樹脂を含む構造体とは、シリコーン樹脂単独、フッ素樹脂単独、又は他の樹脂、金属等の構成成分との混合により構成されたものであり、例えば、シリコーン樹脂微粒子がフッ素樹脂中に分散されたもの、シリコーン樹脂とポリプロピレンの混錬物、シリコーン樹脂とNiの共析めっき等が挙げられる。シリコーン樹脂の溶出を抑えるには、シリコーン樹脂と他の構成成分との混合体がより効果的である。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室22内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室22内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室12に流入し、共通液室12からインク流入口63を経て流体抵抗部21を通り、加圧液室22内に充填される。
流体抵抗部21は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果がある反面、表面張力による再充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録された記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録媒体上に本発明の前記インクジェットインクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
下記表1に示す顔料及び分散剤を、水をプレミックス後、ダイノーミルで直径0.3μmのジルコニアビーズ(シンマル・エンタープライゼス社製)を用いて2時間分散後、ビーズと液体を分離し、顔料分散体A〜C(顔料濃度15質量%、分散剤濃度3.75質量%)を作製した。
α:下記一般式(2)で表されるフッ素系界面活性剤(DuPont社製、FS−300)
β:下記一般式(3)で表されるフッ素系界面活性剤(OMNOVA社製、PF−151N)
γ:下記一般式(2)で表されるフッ素系界面活性剤(DuPont社製、FSN−100)
δ:下記一般式(4)で表されるフッ素系界面活性剤(OMNOVA社製、PF−156A)
下記の表4に示すシリコーンオイルを用いた。これらのシリコーンオイルの疎水値は、下記数式1から求めた。
〔数式1〕
疎水値=A/B
ただし、前記数式1中、Aは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの0ppm〜0.3ppmにおける積分値を表す。Bは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの3.5ppm〜4.0ppmにおける積分値を表す。
1H−NMRの測定は、日本電子株式会社製の「JEOL JNM−A400FT NMR SYSTEM」を用い、試料濃度1質量%、溶媒重クロロホルム(CDCl3)、積算回数128回、室温で測定したデータとするが、試料の溶解性が不十分な場合には、DMSO、DMF−d7、THF−d8、アセトン−d6、メタノール−d4、重水、ヘキサン−d14の順で溶解性を確保できる溶媒を使用した。
下記表5に示すインク処方(合計100質量部)を調合した後、孔径0.8μmのフィルターで濾過して各インクジェットインクを作製した。真空脱気後、株式会社リコー製IPSiO GX 3000用インクパックに充填してインクカートリッジを作製した。
<表面張力の測定>
表面張力は、表面張力計(協和界面科学社製、CBVP−Z)を用いて25℃で測定した。
−ノズルプレート1の作製−
Ni電鋳ノズル表面上に、シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン株式会社製、SR2411)をディスペンサで塗布しシリコーン層を形成した。この際、ノズル孔及びノズル板裏面を水溶性樹脂でマスキングし、シリコーン層を形成した後、剥離除去して形成した。これをそのまま常温で2日間放置し、硬化させて厚み1.2μmの撥インク層を形成した。得られた撥インク層の表面粗さ(Ra)は0.18μm、臨界表面張力は21.6mN/mであった。
ここで、撥インク層の厚みは、光学式膜厚計(ラムダエースVM−8000J、大日本スクリーン製造株式会社製)により測定した。
また、撥インク層の表面粗さは、触針式表面粗さ計(Dektak3−ST、Veec
o社製)により測定した。
また、撥インク層の臨界表面張力は、Zisman法により測定した。
−ノズルプレート2の作製−
製造例1において、シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン株式会社製、SR2411)を、シリコーンレジン(信越化学工業株式会社製、KBM7803)に変えた以外は、製造例1と同様にして、厚み1.0μmの撥インク層を形成した。そして、製造例1と同様にして測定した撥インク層の表面粗さ(Ra)は0.17μm、臨界表面張力は16.9mN/mであった。
−ノズルプレート3の作製−
ポリイミドフィルム(DuPont社製カプトン 粒子添加なし)上に、スパッタリング法にて10Å(1nm)のSiO2層を形成後、真空蒸着法にて30Å(3nm)の変性パーフルオロポリオキセタンの混合物(ダイキン工業社製、オプツールDSX)の撥インク層を形成し、撥インク層側からエキシマレーザーでノズル孔加工を行って用いた。
撥インク層の厚みは、原子間力顕微鏡(NaNO−I、株式会社東陽テクニカ製)により測定した。そして、製造例1と同様にして測定した撥インク層の表面粗さ(Ra)は0.01μm、臨界表面張力は11.8mN/mであった。
−ノズルプレート4の作製−
製造例1において、Ni電鋳ノズル表面上にシリコーンレジンからなる撥インク層を形成しなかった以外は、製造例1と同様にして、ノズルプレートを作製した。
前記ノズルプレート1を用いてインクヘッドを作製し、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX3000)に装着した。そして、インク1を充填したインクカートリッジをインクジェットプリンターに装着し、以下のようにして、吐出安定性を評価した。結果を表7に示す。
プリンタを恒温恒湿槽に入れ、槽内の環境を温度32℃、湿度30%RHに設定、以下の印刷パターンチャートを20枚連続で印字後、20分間印字を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返し、累計で1,000枚印写後、ノズルプレートを顕微鏡で観察し、固着の有無を判断した。
−印刷パターンチャート−
印刷パターンは、画像領域中、印字面積が、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度は300dpi、ワンパス印字とした。
〔評価基準〕
A:ノズル近傍に固着なし
B:ノズル近傍に固着あり
実施例1において、表7に示すようにインク及びノズルプレートの組み合わせに代えたインクジェットプリンターを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例1〜10の画像記録を行った。そして、実施例1と同様にして、吐出安定性を評価した。結果を表7に示す。
本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェットプリンター、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
12 共通液室
20 流路板
21 流体抵抗部
22 加圧液室
23 連通口
24 隔壁
30 ノズル板
31 撥インク膜
31’ 撥インク膜
31a 撥インク膜
32 ノズル板
33 インク
34 ディスペンサ
35 ニードル
36 気体
40 ベース
41 ノズル
43 ノズル板
44 ノズル孔
50 積層圧電素子
51 圧電層
52 内部電極層
53 外部電極
54 個別電極
55 共通電極
56 駆動部(可動部)
57 支持部
60 振動板
61 島状凸部
62 ダイヤフラム部
63 インク流入口
70 接着層
71 撥インク層
80 FPC
81 レーザ発振器
82 エキシマレーザビーム
83 ミラー
84 ビームエキスパンダ
85 ミラー
86 マスク
87 フィールドレンズ
88 ミラー
89 結像光学系
90 加工テーブル
91 加工物(ノズルプレート)
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
121 樹脂部材
122 SiO2薄膜層
123 フッ素系撥水層
123a フッ素系撥水剤
124 粘着テープ
125 高剛性部材
126 熱可塑性接着剤
127 ノズル連通口
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インクカートリッジ
201 ドラム
202 Siスパッタ
203 O2イオンガン
204 Nbスパッタ
205 オプツール蒸着
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装
Claims (19)
- 少なくとも着色剤、水、水不溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、及びポリエーテル変性シリコーンオイルを含有してなり、
前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの下記数式1で表される疎水値が0.40以上1.5以下であることを特徴とするインクジェットインク。
〔数式1〕
疎水値=A/B
ただし、前記数式1中、Aは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの0ppm〜0.3ppmにおける積分値を表す。Bは、テトラメチルシラン(TMS)を基準物質とした1H−NMRスペクトルでのポリエーテル変性シリコーンオイルの3.5ppm〜4.0ppmにおける積分値を表す。 - 着色剤が、顔料をノニオン系界面活性剤及びアニオン系界面活性剤のいずれかで分散した顔料分散体である請求項1に記載のインクジェットインク。
- ノニオン系界面活性剤が、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種である請求項2に記載のインクジェットインク。
- 着色剤が、自己分散性顔料である請求項1に記載のインクジェットインク。
- 着色剤が、染料である請求項1に記載のインクジェットインク。
- フッ素系界面活性剤が、下記一般式(2)で表される化合物を含有する請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットインク。
- フッ素系界面活性剤が、下記一般式(3)で表される化合物を含有する請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットインク。
- フッ素系界面活性剤が、下記一般式(4)で表される化合物を含有する請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットインク。
- 水不溶性樹脂が、樹脂エマルジョンである請求項1から8のいずれかに記載のインクジェットインク。
- 樹脂エマルジョンが、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、及びフッ素樹脂エマルジョンから選択される少なくとも1種を含む請求項9に記載のインクジェットインク。
- ポリウレタン系樹脂エマルジョンが、アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンである請求項10に記載のインクジェットインク。
- 請求項1から11のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて記録を行うインクジェット記録方法であって、
記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面に撥インク層が形成されていることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 撥インク層が、フッ素系材料、及びシリコーン系材料のいずれかで構成される請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- 撥インク層の表面粗さRaが、0.2μm以下である請求項12から13のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 撥インク層の開口部近傍における当該開口部の中心線に垂直な平面での断面積が、該基材表面から離れるにつれて順次大きくなっていくように形成された請求項12から14のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 撥インク層の臨界表面張力が、5mN/m〜40mN/mである請求項12から15のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1から11のいずれかに記載のインクジェットインクに刺激を印加し、該インクジェットインクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有し、該刺激が、温度、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1から11のいずれかに記載のインクジェットインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 記録媒体上に、請求項1から11のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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