JP2009012226A - インクカートリッジ及び画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクカートリッジの使用状態に関わらず、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを低コストで判別できるインクカートリッジ及び画像記録装置を提供する。
【解決手段】この発明のインクカートリッジ20は、インクフィルム50と軸体30とを備えている。インクフィルム50は、軸体30に巻かれている。軸体30は、少なくとも一端が開放された中空体を呈する。軸体30は、インクフィルム50の種別に応じた電気的特性を有する識別部を備えている。識別部は、軸体30の内周面に露出した導電体端子31,32と、導電体端子31,32の間に接続された導電部51と、を含んでいる。
この構成では、軸体30に識別部を備えることにより、インクカートリッジ20の使用状態に関わらず識別部の情報が外部に提供される。軸体30に識別部を備えることにより、識別部の面積を小さく抑えることができる。
【選択図】図2
【解決手段】この発明のインクカートリッジ20は、インクフィルム50と軸体30とを備えている。インクフィルム50は、軸体30に巻かれている。軸体30は、少なくとも一端が開放された中空体を呈する。軸体30は、インクフィルム50の種別に応じた電気的特性を有する識別部を備えている。識別部は、軸体30の内周面に露出した導電体端子31,32と、導電体端子31,32の間に接続された導電部51と、を含んでいる。
この構成では、軸体30に識別部を備えることにより、インクカートリッジ20の使用状態に関わらず識別部の情報が外部に提供される。軸体30に識別部を備えることにより、識別部の面積を小さく抑えることができる。
【選択図】図2
Description
この発明は、熱転写用のインクフィルムを有するインクカートリッジ、及び、インクカートリッジを着脱自在に備え、記録媒体とともに搬送されるインクフィルムから記録媒体へインクを転写する画像記録装置に関する。
熱転写式の画像記録装置は、交換可能なように本体に対して着脱自在にされたインクカートリッジを一般的に備えている。インクカートリッジは、熱転写用のインクフィルム、転写処理される前のインクフィルムが巻き付けられている供給軸、及び、供給軸から繰り出されて転写処理された後のインクフィルムを巻き取る巻き取り軸を一般的に有している。インクフィルムの一方の端部は供給軸に固着され、他方の端部は巻き取り軸に固着されている。
使用開始前のインクカートリッジでは、ほとんど全てのインクフィルムが供給軸に巻き付けられ、巻き取り軸にはインクフィルムは巻き取られていない。画像記録動作を行うことで、インクフィルムは、供給軸から繰り出されて巻き取り軸に巻き取られる。供給軸に巻き付けられていたインクフィルムが無くなると、このインクカートリッジは使用不可能となり、インクカートリッジの交換が必要になる。
交換用のインクカートリッジとして、画像記録装置に対する適合性がよい適正品を使用すべきであるが、適正品を模造した模造品も流通している。模造品を交換用のインクカートリッジとして使用した場合、画像記録装置としての本来の画像記録品質を確保できない上、画像記録装置の本体の寿命を短縮するという不具合を発生することがある。このような不具合を防止すべく、適正品と模造品とを判別する技術が開発されている。
例えば、インクフィルムの搬送方向の先端部に適正品であることを同定するパターン状マークを設け、このマークを直接的にセンサで検出することで、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを判別する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、インクカートリッジの所定箇所に高誘電物質を塗布し、高誘電物質に接触するセンサで高誘電物質の誘電率に応じた周波数を検出することで、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを判別する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、インクフィルムの印刷面とは反対側の面に、電気的検出対象としての被膜が形成され、印刷位置の近傍に設けられたセンサにより被膜を電気的に検出することで、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを判別する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2000−141929公報
特開平11−42822号公報
特開2003−211766公報
しかし、特許文献1の技術では、判別用のマークはインクフィルムの搬送方向の前端部に設けられるので、マークを検出できるのは使用開始前に限定される。途中まで使用されたインクカートリッジが装着された場合はマークを検出できないので、適正品であっても適正品であると判別されない。また、この技術において判別用のマークが搬送方向の中間部又は後端部に設けられた場合を考えると、この場合は使用開始前に適正品であるか否かを判別することができなくなる。
特許文献2の技術では、インクカートリッジの製造と本来は直接的に関係の無い高誘電物質をインクカートリッジに塗布せねばならず、インクカートリッジの製造コストが高騰する。
特許文献3の技術では、インクフィルムの搬送方向の前端から後端までの全ての領域に被膜が形成された場合は、途中まで使用されたインクカートリッジを装着した場合でも適正品であるか否かを判別できるが、被膜を形成すべき面積が非常に大きくなり、製造コストが高騰する。
この発明の目的は、インクカートリッジの使用状態に関わらず、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを低コストで判別できるインクカートリッジ及び画像記録装置を提供することにある。
この発明のインクカートリッジは、インクフィルムと軸体とを備えている。インクフィルムは、軸体に巻かれている。軸体は、少なくとも一端が開放された中空体を呈する。軸体は、インクフィルムの種別に応じた電気的特性を有する識別部を備えている。識別部は、軸体の内周面に露出した導電体端子を含んでいる。
この構成では、軸体に識別部を備えることにより、インクカートリッジの使用状態に関わらず識別部の情報が外部に提供される。軸体に識別部を備えることにより、識別部の面積を小さく抑えることができる。
この構成において、識別部は、導電体端子が複数ある場合、それぞれの間に接続された導電部を含んでもよい。
また、軸体は、転写処理がされる前のインクフィルムが巻き付けられた供給軸であっても、転写処理がされた後のインクフィルムを巻き取る巻き取り軸であってもよい。
さらに、導電体端子は、軸体の内周面における周方向の複数の位置に配置されたものでも、軸体の内周面における周方向に沿ったリング状を呈し、軸体の軸方向における1以上の位置に配置されたものでもよい。
この発明の画像記録装置は、軸受部材、2個の本体側端子、計測部及び判別部を備えている。軸受部材は、軸体の開放端に外嵌される突起物である。2個の本体側端子は、軸受部材に備えられ、軸体が軸受部材に外嵌した状態で、インクフィルムの種別に応じた電気的特性を有する識別部の情報を取得する。計測部は、2個の本体側端子の間の抵抗値または電圧値を計測する。判別部は、抵抗値または電圧値に基づいてインクカートリッジの適合性を判別する。
この構成では、2個の本体側端子は、軸受部材に備えられているので、軸体が軸受部材に外嵌した状態にある際に画像記録装置は識別部の情報を取得できる。
この構成において、2個の本体側端子は、軸受部材の外周面側における軸方向または周方向に離間して配置され、識別部の情報を常時取得してもよいし、軸受部材の外周面側における周方向に離間して配置され、識別部の情報を軸体の回転時に取得してもよい。
また、抵抗値または電圧値は、アナログ信号またはデジタルデータに変換されてもよい。判別部は、アナログ信号またはデジタルデータに基づいてインクカートリッジの適合性を判別する。
さらに、2個の本体側端子は、それぞれ半径方向の外側に向けて付勢されていてもよい。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
軸体に識別部を備えることにより、インクカートリッジの使用状態に関わらず識別部の情報が外部に提供され、画像記録装置は、インクカートリッジの使用状態に関わらず識別部の情報を取得できる。
軸体に識別部を備えることにより、識別部の面積を小さく抑えることができ、インクカートリッジの製造コストを低く抑えることができる。
以下に、この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る画像記録装置10の概略の構成を示す断面図である。
画像記録装置10は、サーマルヘッド11、プラテンローラ12、第1軸受部材13、第2軸受部材14、インクフィルムセンサ15、及び、インクフィルム搬送ローラ16,17を有する本体、並びに、インクカートリッジ20を備えている。この実施形態では、第1軸受部材13はこの発明の軸受部材に相当する。
インクカートリッジ20は、供給軸30、巻き取り軸40、及び、インクフィルム50を備えている。この実施形態では、供給軸30はこの発明の軸体に相当する。インクカートリッジ20は、本体に対して着脱自在にされている。供給軸30及び巻き取り軸40のそれぞれは、円筒状に形成されている。供給軸30は、第1軸受部材13に着脱自在に外嵌する。供給軸30は、第1軸受部材13によって回転自在に支持される。巻き取り軸40は、第2軸受部材14に着脱自在に外嵌する。巻き取り軸40は、第2軸受部材14によって回転自在に支持される。インクフィルム50は、フィルム状の基材、及び、基材上に塗布された画像記録用のインクから構成されている。
インクフィルム50は、インクカートリッジ20が本体に装着された状態で、インクフィルム搬送ローラ16,17に掛け渡されるとともに、サーマルヘッド11とプラテンローラ12との間に配置される。記録媒体の一例である用紙Pは、インクフィルム50とプラテンローラ12との間に配置される。
インクフィルムセンサ15は、インクフィルム50が所定の搬送経路にあるか否かを検出する。
プラテンローラ12は、用紙P及びインクフィルム50をサーマルヘッド11に押圧しながら回転する。サーマルヘッド11は、インクフィルム50に塗布されているインクを画像データに基づいて用紙Pに転写処理する。
巻き取り軸40には、インクフィルム50の搬送方向に直交する方向において、第2軸受部材14の反対側に、図示しない駆動軸が挿し込まれる。駆動軸は、モータ等の駆動源によって回転する。駆動軸の回転にともなって巻き取り軸40が回転し、これによって、インクフィルム50は、供給軸30から繰り出されてサーマルヘッド11とプラテンローラ12との間を経由し、巻き取り軸40に巻き取られる。インクフィルム50は、サーマルヘッド11とプラテンローラ12との間を所定の搬送方向へ搬送されるとき、用紙Pとともに搬送される。
インクフィルム50の搬送方向において、インクフィルム50の一方の端部は供給軸30に固着され、他方の端部は巻き取り軸40に固着されている。転写処理されていない未使用部分のインクフィルム50は、供給軸30に巻き付けられている。供給軸30から繰り出されて転写処理された後の部分のインクフィルム50は、巻き取り軸40に巻き取られる。使用開始前のインクカートリッジ20では、ほとんど全てのインクフィルム50が供給軸30に巻き付けられ、巻き取り軸40にはインクフィルム50は巻き取られていない。なお、使用開始前のインクカートリッジ20において、巻き取り軸40へのインクフィルム50の巻き取りを円滑にするために、一部のインクフィルム50が巻き取り軸40に巻き取られていてもよい。
サーマルヘッド11は、インクフィルム50の搬送方向に直交する方向である主走査方向における全画像記録領域に亘って配置されている。画像記録装置10は、画像記録動作時に、インクフィルム50から、インクフィルム50とともに搬送される用紙Pへ、インクを熱転写する転写処理を行うことで、画像を記録する。
画像記録動作を繰り返すことで、インクフィルム50は、供給軸30から繰り出されて巻き取り軸40に巻き取られる。供給軸30に巻き付けられていたインクフィルム50が無くなると、このインクカートリッジ20は使用不可能となり、インクカートリッジ20の交換が必要になる。
図2は、供給軸30、インクフィルム50、及び、第1軸受部材13の一部の構成を示す斜視図である。図3(A)は、インクフィルム50が巻き付けられた供給軸30の構成を示す断面図であり、図3(B)は、図3(A)のX1−X2線における端面図である。
供給軸30は、2個の導電体端子31,32、及び、導電体端子31,32以外の部分である非導電部を有している。導電体端子31,32は導電性を有し、非導電部は導電性を有していない。導電体端子31,32は、例えば供給軸30の軸方向の一方の端部近傍に配置されている。導電体端子31と導電体端子32とは、周方向に互いの間に非導電部を挟んで配置されており、他の部材で電気的に連結されない限り導電体端子31と導電体端子32とは電気的に導通しない。導電体端子31,32のそれぞれは、供給軸30の内周面に露出している。
供給軸30は、供給軸30の内周面上であって、導電体端子31,32の間に、導電性を有する導電部51を備える。導電部51は、例えば、基材に導電性を有するインクが塗布されることで形成される。導電体端子31,32と導電部51はこの発明の識別部に相当する。導電部51は、2個の導電体端子31,32を接続する位置に配置されており、2個の導電体端子31,32を電気的に接続する。
第1軸受部材13は、開口部131,132、導電性を有する本体側端子133,134、及び、バネ135,136を有する。本体側端子133,134は、この発明の2個の本体側端子に相当する。
開口部131,132は、供給軸30が第1軸受部材13に外嵌した状態で、2個の導電体端子31,32のそれぞれに同時に対向し得る位置に設けられている。本体側端子133,134のそれぞれは、第1軸受部材13の内部から開口部131,132を介して導電体端子31,32のそれぞれを臨むように配置され、一部が第1軸受部材13の外周面に露出している。本体側端子133,134のそれぞれは、バネ135,136のそれぞれで半径方向の外側へ向けて付勢されている。
これによって、供給軸30が第1軸受部材13に外嵌した状態で、本体側端子133,134は、導電体端子31,32のそれぞれに、供給軸30が1回転する間の一部の時期において、同時に当接して電気的に接続される。このため、本体側端子133,134と導電体端子31,32とが当接した状態では、供給軸30の内周面の導電部51を介して本体側端子133,134が導通するため、本体側端子133,134の間の電気的な抵抗値が小さくなる。
ここで、適正品であるインクカートリッジ20に代えて、模造品のインクカートリッジを画像記録装置10に装着した場合を考える。模造品のインクカートリッジでは、インクフィルムの供給軸に当接する部分のうちの所定の領域が、識別部に相当する。模造品のインクカートリッジでは、供給軸に導電部51が無く、さらに、導電体端子31,32が無いので、供給軸が1回転しても2個の本体側端子133,134が導通することがない。このため、2個の本体側端子133,134の間の電気的な抵抗値が非常に大きくなる。したがって、供給軸を1回転させながら本体側端子133,134の間の電気的な抵抗値を計測することで、画像記録装置10に装着されたインクカートリッジが適正品であるか模造品であるかが判別される。この実施形態では、インクカートリッジの判別に抵抗値を用いている。なお、抵抗値の代わりに電圧値を用いてもよい。
図4は、画像記録装置10の構成を示すブロック図である。
画像記録装置10は、制御部60を備え、制御部60には、記憶部61、表示部62、操作部63、画像記録部64、本体カバー検出部65、インクフィルムセンサ15、駆動源66及び計測部67のそれぞれが電気的に接続されている。制御部60は、これらの機器を統括的に制御している。制御部60は、この発明の判別部に相当する。
記憶部61には、画像記録装置10を動作させるプログラム、及び、画像データ等の情報が記憶されている。表示部62は、画像記録装置10の状態などを表示する。操作部63は、ユーザからの各種の入力を受け付ける。制御部60は、プログラムに従って駆動源66を駆動させることで、画像記録部64で画像データに基づく画像を用紙Pに記録する。
インクフィルムセンサ15は、インクフィルム50が所定の搬送経路にあるか否かを検出して、検出結果を制御部60に出力する。制御部60は、インクフィルムセンサ15の検出結果に基づいて、インクカートリッジ20が本体に装着されているか否かを検出する。
本体カバー検出部65は、図示していない本体カバーの開閉状態を検出して制御部60に検出結果を出力する。インクカートリッジ20の交換時には、本体カバーの開閉が必ず行われるので、本体カバーが一旦開放された後に閉鎖された場合、制御部60は、インクカートリッジ20が交換されたものとして、インクカートリッジ20の適合性の判別処理を開始する。
計測部67には、インターフェイス回路68が電気的に接続され、インターフェイス回路68に本体側端子133,134のそれぞれが電気的に接続されている。
制御部60は、インクカートリッジ20の適合性の判別処理時に、本体側端子133,134の間の電気的な抵抗値を測定する。インターフェイス回路68は、本体側端子133,134の間の抵抗値をアナログ信号に変換して計測部67へ出力する。計測部67は、インターフェイス回路68から入力されたアナログ信号に基づいて、本体側端子133,134の間の電気的な抵抗値を測定する。なお、本実施形態では、インターフェイス回路68は、アナログ信号への変換の代わりに、デジタルデータへの変換をしてもよい。
制御部60は、計測部67で計測されたアナログ信号を一旦記憶部61に記憶する。記憶部61には、インクカートリッジ20が適正品である場合のアナログ信号の範囲が予め記憶されている。制御部60は、計測部67で計測されたアナログ信号T1と、予め記憶部61に記憶している適正品である場合のアナログ信号T2の範囲とを比較し、アナログ信号T1がアナログ信号T2の範囲内であれば、装着されているインクカートリッジ20を適正品であると判別し、範囲外であれば、適正品ではなく模造品であると判別する。
図5は、制御部60の処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部60は、本体カバーが開放状態から閉鎖状態にされたことを検出すると(S1)、本体カバーが開かれたときに発生しやすいインクフィルム50の弛み及び皺を取るために、インクフィルム50を所定量、送る(S2)。これによって、インクフィルム50は弛みなく張られ、インクフィルムセンサ15の検出精度が向上する。
制御部60は、インクフィルムセンサ15の検出結果に基づいて、インクカートリッジ20が本体に装着されているか否かを判別し(S3)、装着されていなければ、表示部62に例えば“インクカートリッジなし”と表示する(S4)。
インクカートリッジ20が装着されている場合は、本体側端子133,134の間の抵抗値を計測する(S5)。
制御部60は、計測されたアナログ信号T1が、予め記憶部61に記憶している適正品である場合のアナログ信号T2の範囲内であるか否かを判別し(S6)、範囲内である場合は、装着されているインクカートリッジ20は適正品であると判断して、表示部62に例えば“画像記録可能”と表示する(S7)。
図6(A)及び図6(B)に示すように、本体側端子133,134と導電体端子31,32との位置関係には、図6(A)に示すように互いに当接する場合と、図6(B)に示すように互いに離間する場合とがある。
計測されたアナログ信号T1が、予め記憶部61に記憶している適正品である場合のアナログ信号T2の範囲外であった場合、その原因として、インクカートリッジ20が模造品であることの他に、本体側端子133,134と導電体端子31,32とが図6(B)に示すように離間していることが考えられる。
制御部60は、S6において、計測されたアナログ信号T1が予め記憶部61に記憶している適正品である場合のアナログ信号T2の範囲外であった場合、供給軸30を1回転させることで、図6(A)に示すように本体側端子133,134と導電体端子31,32とが少なくとも一時期において当接する状態を作り出す。制御部60は、供給軸30を回転させながら本体側端子133,134の間の抵抗値を計測する(S8)。
制御部60は、計測されたアナログ信号T1が、予め記憶部61に記憶している適正品である場合のアナログ信号T2の範囲内であるか否かを判別し(S9)、範囲内である場合は、装着されているインクカートリッジ20は適正品であると判断して、表示部62に例えば“画像記録可能”と表示する(S7)。
制御部60は、S9において、計測されたアナログ信号T1が予め記憶部61に記憶している適正品である場合のアナログ信号T2の範囲外であった場合、表示部62に、例えば“適切なインクカートリッジを使用して下さい。”と表示して、ユーザに適正品を使用するように警告する(S10)。
画像記録装置10によれば、供給軸30の内周面に導電部51を設けることで、インクカートリッジ20の使用開始時から使用終了時までの全ての時期において、本体側端子133,134が導電部51によって電気的に接続される。導電部51は、導電体端子31,32と接触する内周長分だけ設けられればよいので、導電部51が少量で済む。したがって、インクカートリッジ20が使用開始前であっても、途中まで使用された状態であっても、インクカートリッジ20の使用状態に関わらず、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを低コストで判別することができる。
図7は、インクフィルム50が供給軸30から巻き取り軸40へ巻き取られている間に計測部67で検出された電圧値と時間との関係を示す図である。電圧値が大きいほど、本体側端子133,134の間の抵抗値が大きいことを示している。
本体側端子133,134と導電体端子31,32とが接触しない状態では電圧値はV1となり、接触する状態ではV1より小さいV2となる。
電圧値の矩形波の周期は、インクカートリッジ20の使用開始直後では、図7中に周期P1で示されるように長く、インクフィルム50のほとんどが巻き取り軸40に巻き取られる近傍の時期では、図7中に周期P2で示されるように短くなる。これは、供給軸30に巻き付けられたインクフィルム50の外径が小さくなっていくために、供給軸30の回転速度が高くなっていくからである。
電圧値の矩形波の周期を予め記憶部61に記憶しておき、検出された電圧値の矩形波の周期と、記憶部61に記憶されている矩形波の周期とを比較することで、インクフィルム50の使用量を推測し、表示部62に表示させることができる。これによれば、インクフィルム50の使用量をユーザが容易に認識することができ、インクフィルム50の残量が少なくなれば、前もって交換用のインクカートリッジを準備することができるので、画像記録装置10のインク切れを抑制することができる。
なお、導電部51を、巻き取り軸40に設けるとともに、導電体端子31,32を巻き取り軸40に設け、さらに、本体側端子133,134を第2軸受部材14に設けることもできる。この場合、巻き取り軸40がこの発明の軸体に相当し、第2軸受部材14がこの発明の軸受部材に相当する。
巻き取り軸40に導電部51を設けることで、インクカートリッジ20の使用開始直後から使用終了時までの全ての時期において、導電体端子31,32が導電部51によって電気的に接続される。導電部51は、導電体端子31,32と接触する内周長分だけ設けられればよいので、導電部51が少量で済む。したがって、インクカートリッジ20が使用前であっても、途中まで使用された状態であっても、インクカートリッジ20の使用状態に関わらず、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを低コストで判別することができる。
導電体端子31,32は、本体側端子133,134が、互いに導通する状態と導通しない状態とになり得る限りにおいて、3個以上備えられていてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図8は、この発明の第2の実施形態に係る画像記録装置100の概略の構成を示す断面図である。各部の動作は、第1の実施形態と同じである。
図9は、供給軸300、インクフィルム500、及び、第1軸受部材130の一部の構成を示す斜視図である。図10(A)は、インクフィルム500が巻き付けられた供給軸300の構成を示す断面図であり、図10(B)は、図10(A)のY1−Y2線における端面図である。この実施形態では、供給軸300はこの発明の軸体に相当し、第1軸受部材130はこの発明の軸受部材に相当する。
供給軸300は、導電体端子310,320、及び、導電体端子310,320以外の部分である非導電部を有している。導電体端子310,320は導電性を有し、非導電部は導電性を有していない。導電体端子310,320は、例えば供給軸300の軸方向の一方の端部近傍に配置されている。導電体端子310と導電体端子320とは、軸方向に互いの間に非導電部を挟んで配置されており、他の部材で電気的に連結されない限り導電体端子310と導電体端子320とは電気的に導通していない。導電体端子310,320のそれぞれは、供給軸300の内周面に露出している。
供給軸300は、供給軸300の内周面上であって、導電体端子310,320の間に、導電性を有する導電部510を備える。導電部510は、例えば、基材に導電性を有するインクが塗布されることで形成される。導電体端子310,320と導電部510はこの発明の識別部に相当する。導電部510は、導電体端子310,320を接続する位置に配置されており、導電体端子310,320を電気的に接続する。
第1軸受部材130は、開口部1310,1320、導電性を有する本体側端子1330,1340、及び、バネ1350、図示しないバネを有する。本体側端子1330,1340は、この発明の2個の本体側端子に相当する。
開口部1310,1320は、供給軸300が第1軸受部材130に外嵌した状態で、導電体端子310,320のそれぞれに同時に対向し得る位置に設けられている。本体側端子1330,1340のそれぞれは、第1軸受部材130の内部から開口部1310,1320を介して導電体端子310,320のそれぞれを臨むように配置され、一部が第1軸受部材130の外周面に露出している。本体側端子1330,1340のそれぞれは、バネ1350、図示しないバネのそれぞれで半径方向の外側へ向けて付勢されている。
これによって、供給軸300が第1軸受部材130に外嵌した状態で、本体側端子1330,1340は、導電体端子310,320のそれぞれに、供給軸300が1回転する間の全ての時期において、同時に当接して電気的に接続される。このため、本体側端子1330,1340と導電体端子310,320とが当接した状態では、供給軸300の内周面の導電部510を介して本体側端子1330,1340が導通するため、本体側端子1330,1340の間の電気的な抵抗値が小さくなる。
ここで、適正品であるインクカートリッジ200に代えて、模造品のインクカートリッジを画像記録装置100に装着した場合を考える。模造品のインクカートリッジでは、インクフィルムの供給軸に当接する部分のうちの所定の領域が、識別部に相当する。模造品のインクカートリッジでは、供給軸に導電部510が無く、さらに、導電体端子310,320が無いので、本体側端子1330,1340が導通することがない。このため、本体側端子1330,1340の間の電気的な抵抗値が非常に大きくなる。したがって、インクカートリッジの装着時に本体側端子1330,1340の間の電気的な抵抗値を計測することで、画像記録装置100に装着されたインクカートリッジが適正品であるか模造品であるかが判別される。この実施形態では、インクカートリッジの判別に抵抗値を用いている。なお、抵抗値の代わりに電圧値を用いてもよい。
制御部60は、インクカートリッジ200の適合性の判別処理時に、本体側端子1330,1340の間の電気的な抵抗値を測定する。インターフェイス回路68は、本体側端子1330,1340の間の抵抗値をアナログ信号に変換して計測部67へ出力する。計測部67は、インターフェイス回路68から入力されたアナログ信号に基づいて、本体側端子1330,1340の間の電気的な抵抗値を測定する。
制御部60は、計測部67で計測されたアナログ信号を一旦記憶部61に記憶する。記憶部61には、インクカートリッジ200が適正品である場合のアナログ信号の範囲が予め記憶されている。制御部60は、計測部67で計測されたアナログ信号T1と、予め記憶部61に記憶している適正品である場合のアナログ信号T2の範囲とを比較し、アナログ信号T1がアナログ信号T2の範囲内であれば、装着されているインクカートリッジ200を適正品であると判別し、範囲外であれば、適正品ではなく模造品であると判別する。
図11は、供給軸300を軸方向に垂直な方向から見た断面図である。本体側端子1330,1340と導電体端子310,320との位置関係は、図11に示すように常に互いに当接している。導電体端子310,320の間には導電部510が設けられているため、本体側端子1330,1340が導通し、常に本体側端子1330,1340の間の電気的な抵抗値が小さくなる。そのため、第1の実施形態では、供給軸を回転させないとインクカートリッジの判別ができなかったが、本実施形態では、画像記録装置にインクカートリッジを装着した時点でインクカートリッジの判別が可能である。
図12は、インクフィルム500が供給軸300から巻き取り軸400へ巻き取られている間に計測部67で検出された電圧値と時間との関係を示す図である。本実施形態では、常に2個の本体側端子が導通するため、電圧値は一定となる。ここで、電圧値は変化してもよい。導電体端子310,320の素材構成によっては変動することもありえるからである。
なお、導電部510を、巻き取り軸400に設けるとともに、導電体端子310,320を巻き取り軸400に設け、さらに、本体側端子1330,1340を第2軸受部材140に設けることもできる。この場合、巻き取り軸400がこの発明の軸体に相当し、第2軸受部材140がこの発明の軸受部材に相当する。
巻き取り軸400に導電部510を設けることで、インクカートリッジ200の使用開始直後から使用終了時までの全ての時期において、導電体端子310,320が導電部510によって電気的に接続される。導電部510は、導電体端子310,320と接触する軸方向への長さ分だけ設けられればよいので、導電部510が少量で済む。したがって、インクカートリッジ200が使用前であっても、途中まで使用された状態であっても、インクカートリッジ200の使用状態に関わらず、装着されたインクカートリッジが適正品であるか否かを低コストで判別することができる。
本実施形態において、リング状の導電体端子が2つの場合を例示しているが、単数であってもよい。この場合は、導電体端子の電圧値または抵抗値を読み取ることとする。
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10−画像記録装置
20−インクカートリッジ
30−軸体
31,32−導電体端子(識別部)
50−インクフィルム
51−導電部(識別部)
20−インクカートリッジ
30−軸体
31,32−導電体端子(識別部)
50−インクフィルム
51−導電部(識別部)
Claims (12)
- 周面に熱転写用のインクフィルムが巻かれる軸体であって少なくとも一端が開放された中空体の軸体を備え、画像記録装置に着脱自在にされたインクカートリッジであって、
前記軸体は、前記インクフィルムの種別に応じた電気的特性を有する識別部を備え、
前記識別部は、前記軸体の内周面に露出した導電体端子を含むインクカートリッジ。 - 前記識別部は、前記導電体端子が複数ある場合、それぞれの間に接続された導電部を含む請求項1に記載のインクカートリッジ。
- 前記軸体は、前記インクフィルムから記録媒体へインクを転写する転写処理がされる前のインクフィルムが巻き付けられた供給軸である請求項1または2に記載のインクカートリッジ。
- 前記軸体は、前記インクフィルムから記録媒体へインクを転写する転写処理がされた後のインクフィルムを巻き取る巻き取り軸である請求項1または2に記載のインクカートリッジ。
- 前記導電体端子は、前記軸体の内周面における周方向の複数の位置に配置された請求項2〜4のいずれかに記載のインクカートリッジ。
- 前記導電体端子は、前記軸体の内周面における周方向に沿ったリング状を呈し、前記軸体の軸方向における1以上の位置に配置された請求項1〜4のいずれかに記載のインクカートリッジ。
- 周面に熱転写用のインクフィルムが巻かれる軸体であって少なくとも一端が開放された中空体の軸体を有するインクカートリッジが、前記軸体が軸受部材に外嵌して着脱自在にされており、記録媒体とともに搬送される前記インクフィルムから前記記録媒体へインクを転写処理する画像記録装置であって、
前記軸体の開放端に外嵌される突起物である前記軸受部材と、
前記軸受部材に備えられ、前記軸体が前記軸受部材に外嵌した状態で、前記インクフィルムの種別に応じた電気的特性を有する識別部の情報を取得する2個の本体側端子と、
前記2個の本体側端子の間の抵抗値または電圧値を計測する計測部と、
前記抵抗値または前記電圧値に基づいて前記インクカートリッジの適合性を判別する判別部と、を備える画像記録装置。 - 前記2個の本体側端子が前記軸受部材の外周面側における軸方向または周方向に離間して配置され、前記識別部の情報を常時取得できる請求項7に記載の画像記録装置。
- 前記2個の本体側端子が前記軸受部材の外周面側における周方向に離間して配置され、前記識別部の情報を前記軸体の回転時に取得できる請求項7に記載の画像記録装置。
- 前記抵抗値または前記電圧値はアナログ信号に変換され、
前記判別部は、前記アナログ信号に基づいて前記インクカートリッジの適合性を判別する請求項7〜9のいずれかに記載の画像記録装置。 - 前記抵抗値または前記電圧値はデジタルデータに変換され、
前記判別部は、前記デジタルデータに基づいて前記インクカートリッジの適合性を判別する請求項7〜9のいずれかに記載の画像記録装置。 - 前記2個の本体側端子は、それぞれ半径方向の外側へ向けて付勢されている請求項7〜11のいずれかに記載の画像記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007174367A JP2009012226A (ja) | 2007-07-02 | 2007-07-02 | インクカートリッジ及び画像記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007174367A JP2009012226A (ja) | 2007-07-02 | 2007-07-02 | インクカートリッジ及び画像記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009012226A true JP2009012226A (ja) | 2009-01-22 |
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ID=40353732
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007174367A Pending JP2009012226A (ja) | 2007-07-02 | 2007-07-02 | インクカートリッジ及び画像記録装置 |
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JP (1) | JP2009012226A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103946713A (zh) * | 2011-09-30 | 2014-07-23 | 惠普发展公司,有限责任合伙企业 | 认证系统及方法 |
-
2007
- 2007-07-02 JP JP2007174367A patent/JP2009012226A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103946713A (zh) * | 2011-09-30 | 2014-07-23 | 惠普发展公司,有限责任合伙企业 | 认证系统及方法 |
JP2015501231A (ja) * | 2011-09-30 | 2015-01-15 | ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.Hewlett‐Packard Development Company, L.P. | 認証システム及び方法 |
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