JP2008275524A - 電池パックおよび残容量算出方法 - Google Patents

電池パックおよび残容量算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】待機状態における消費電流を検出し、より正確に電池残容量を算出する。
【解決手段】電子機器が通常状態の場合、デバイス動作検出部19は、スイッチ18をONとし、通常電流検出部14は、通常電流検出抵抗15の電圧を測定する。制御部11は、通常電流検出抵抗15の電圧をA/D変換し、ディジタル電圧を得、この電圧から通常電流を算出し、所定時間毎に算出した通常電流を積算する。また、電子機器が待機状態の場合、デバイス動作検出部19は、スイッチ18をOFFとし、微小電流検出部16は、微小電流検出抵抗17の電圧を測定する。制御部11は、微小電流検出抵抗17の電圧をA/D変換し、ディジタル電圧を得、この電圧から微小電流を算出し、所定時間毎に算出した微小電流を積算する。制御部11は、積算された通常電流と微小電流とを加算し、電池パックの使用可能な電流量との割合に基づき電池残容量を算出する。
【選択図】図1

Description

この発明は、二次電池の電池パックおよび電池パックの残容量算出方法に関する。
近年、ノート型PC(Personal Computer)やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型電子機器では、その電源として二次電池の電池パックが広く使用されている。このような電子機器では、機能の多様化が進み、最近では、例えば、PCとテレビジョン放送が受信可能な受信装置とが一体化されたテレビ機能付きPCなど、一つの電子機器に複数の異なるデバイスの機能を備え、目的に応じてデバイスを切り替えて使用することができる。
複数の異なるデバイスの機能を有する電子機器において、それぞれのデバイスの機能を用いた場合には、消費電流がそれぞれ異なることがある。また、同一のデバイスを使用するときにおいて、デバイスが起動している通常状態と低消費電力モードなどの待機状態とでは、消費電流に大きな差が生じる。
具体的には、例えば、上述のテレビ機能付きPCにおいて、PCを使用している場合やテレビジョン放送を視聴している通常状態の場合と、PCおよびテレビの電源がOFFであっても、ユーザがリモートコントロールコマンダー(以下、リモコンと適宜称する)などを操作することによりテレビの電源がONとされるのを待機している待機状態とでは、消費電流の大きさが異なる。例えば、PCが起動しているような通常状態における消費電流は、1[A]程度である。また、ユーザによるリモコンの操作をテレビが待機しているような待機状態における消費電流は、5[mA]程度である。
通常、電子機器の電源がOFFとなっている場合には、電力がほとんど消費されることはないが、待機状態である場合には、微小電流が流れることにより、僅かながら電力が消費される。そのため、実際に電子機器を使用する際には、電池パックの電池残容量が減少してしまっていることが考えられる。
そこで、例えば下記の特許文献1に記載されているように、電池パックを使用する電子機器が待機状態であるか否かを検出し、検出結果に基づき待機中である場合には、消費電流を抑える技術が提案されている。
特開2001−118607号公報
ところで、ノート型PCなどの携帯型電子機器では、電池残容量が不足して、電源が突然シャットダウンしてしまうと、使用中のデータが破損するおそれがあるなどの影響があるため、使用中の電池パックの電池残容量がどの程度残っているかを認識できることが非常に重要である。そのため、従来の電池パックでは、電池パック内で電池残容量の算出を行い、算出した電池残容量を電子機器の表示部等に表示できるようにされている。
従来の電池パック100は、図5に示すように、電池セル110、制御部111、スイッチ回路112、電圧検出部113、電流検出部114、電流検出抵抗115、通信端子102aおよび102bで構成され、正極端子103および負極端子104がそれぞれ電子機器または充電器の正極端子および負極端子に接続され、充放電が行われる。
電圧検出部113は、例えば、1または複数の二次電池を直列に接続した電池セル110の電圧を検出し、制御部111に検出結果を供給する。電流検出部114は、電流検出抵抗115を使用して電流の大きさおよび向きを検出し、制御部111に検出結果を供給する。
スイッチ回路112は、充電制御FET(Field Effect Transistor)121と、放電制御FET122とから構成されている。電池電圧が過充電検出電圧となった場合には、制御部111からの制御信号により充電制御FET121をOFFとし、寄生ダイオード121aを介することによって放電のみが可能となる。また、電池電圧が過放電検出電圧となった場合には、制御部111からの制御信号により放電制御FET122をOFFとし、寄生ダイオード122aを介することによって充電のみが可能となる。
制御部111は、電圧検出部113からの検出結果に基づき、電池セル110の電圧が過充電検出電圧になった場合や、過放電検出電圧以下になった場合に、スイッチ回路112を制御して過充電、過放電を防止する。
また、制御部111は、電圧検出部113および電流検出部114から供給された検出結果に基づき、電圧値の測定や電流値の積算を行い、電池残容量の算出を行う。そして、通信端子102aおよび102bを介して、電池残容量に関する情報を機器に送信し、この情報を受け取った電子機器側に設けられた液晶等の表示部に残容量率、残り使用可能時間等が表示される。
電池パックの電池残容量を算出する方法の一例としては、電流積算法が挙げられる。電流積算法では、電流検出抵抗115に流れる電流を所定時間毎に測定して積算し、電池パックの放電電流量と積算された電流量との割合から電池パックの電池残容量を算出する。
しかしながら、従来の電流検出抵抗115を用いて電池残容量を算出した場合、電流検出抵抗115による電流の測定精度が低く、待機状態の際に流れる微小電流を正確に検出することができないため、積算された電流量に誤差が生じてしまう。したがって、電池残容量を正確に算出することができない。そのため、従来は、例えば、電子機器を起動した直後には、電池残容量が100%と表示されているにもかかわらず、実際の電池残容量は、50%程度であるといった、電池残容量の算出結果と実際の電池残容量とのずれが発生していた。
このように、従来の電池パックでは、待機状態における電池パックの消費電流を正確に検出することができず、正確な電池残容量の算出が困難であるという問題点があった。
したがって、この発明の目的は、待機状態における消費電流を検出し、より正確に電池残容量を算出することができる電池パック、および電池パックの残容量算出方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、第1の発明は、二次電池の電池パックであって、電流経路に設けられた第1の電流検出抵抗と、第1の電流検出抵抗に対して直列に接続され、第1の電流検出抵抗よりも抵抗値の大きい第2の電流検出抵抗と、第2の電流検出抵抗に対して並列に接続されたスイッチと、外部の機器から受け取った動作状態を示す情報に基づいて、外部の機器が通常状態である場合には、スイッチをONとして第2の電流検出抵抗をバイパスさせ、外部の機器が待機状態である場合には、スイッチをOFFとするように、スイッチを制御する動作検出部と、スイッチがONである場合に、第1の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第1の検出部と、スイッチがOFFである場合に、第2の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第2の検出部と、第1の検出部および第2の検出部によって検出された電流に基づき残容量を算出する演算部とを有することを特徴とする電池パックである。
また、第2の発明は、外部の機器から受け取った動作状態を示す情報に基づいて、外部の機器が通常状態である場合には、電流経路に設けられた第1の電流検出抵抗に対して直列に接続され、第1の電流検出抵抗よりも抵抗値の大きい第2の電流検出抵抗第2の電流検出抵抗に対して並列に接続されたスイッチをONとして第2の電流検出抵抗をバイパスさせ、外部の機器が待機状態である場合には、スイッチをOFFとするように、スイッチを制御する動作検出ステップと、スイッチがONである場合に、第1の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第1の検出ステップと、スイッチがOFFである場合に、第2の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第2の検出ステップと、第1の検出ステップおよび第2の検出ステップによって検出された電流に基づき残容量を算出する演算ステップとを有することを特徴とする残容量算出方法である。
上述したように、第1および第2の発明では、外部の機器から受け取った動作状態を示す情報に基づいて、外部の機器が通常状態である場合には、電流経路に設けられた第1の電流検出抵抗に対して直列に接続され、第1の電流検出抵抗よりも抵抗値の大きい第2の電流検出抵抗第2の電流検出抵抗に対して並列に接続されたスイッチをONとして第2の電流検出抵抗をバイパスさせ、外部の機器が待機状態である場合には、スイッチをOFFとするように、スイッチを制御しているため、通常状態である場合には、第1の電流検出抵抗に流れる電流を検出し、待機状態である場合に、第2の電流検出抵抗に流れる電流を検出することができる。
この発明は、待機状態である場合に、通常状態で用いられている第1の電流検出抵抗よりも抵抗値の大きい第2の電流検出抵抗に流れる電流を検出するようにしているため、より正確に電池残容量を算出することができるという効果がある。
また、この発明は、第1の電流検出抵抗と第2の電流検出抵抗とを直列に接続し、第2の電流検出抵抗に対してスイッチを並列に接続するようにしているため、電流検出抵抗を切り替えた際に電流経路が遮断してしまうことがないという効果がある。
以下、この発明の実施の一形態について、図面を参照して説明する。この発明の実施の一形態による電池パックでは、接続された電子機器の動作状態を検出し、動作状態に応じて電流が流れる電流検出抵抗を切り替えることにより、待機している場合に流れる微小な消費電流を正確に測定するようにしている。なお、以下では、電子機器が起動し、様々な処理が行われている状態を通常状態と称し、処理は行われていないが外部から電源をONとする命令などを待機している状態を待機状態と称して説明する。
電池パック1は、図1に示すように、電子機器使用時には正極端子3および負極端子4がそれぞれ電子機器の正極端子および負極端子に接続され、放電が行われる。また、充電時には充電器に装着され、電気機器使用時と同様に、正極端子3および負極端子4がそれぞれ充電器の正極端子および負極端子に接続され、充電が行われる。
電池パック1は主に、電池セル10、演算部としての制御部11、スイッチ回路12、電圧検出部13、第1の検出部としての通常電流検出部14、第1の電流検出抵抗としての通常電流検出抵抗15、第2の検出部としての微小電流検出部16、第2の電流検出抵抗としての微小電流検出抵抗17、スイッチ18、デバイス動作検出部19、検出端子5、通信端子2aおよび2bで構成されている。電池セル10は、例えば、リチウムイオン電池の二次電池であり、1または複数の二次電池を直列に接続したものである。
電圧検出部13は、電池セル10の電圧を検出し、制御部11に検出結果を供給する。通常電流検出部14は、通常電流検出抵抗15を使用して電流の大きさおよび向きを検出し、制御部11に検出結果を供給する。通常電流検出抵抗15としては、電圧降下による電力損失を小さく抑えるようにするため、例えば、5[mΩ]程度の抵抗が用いられる。
微小電流検出部16は、微小電流検出抵抗17を使用して電流の大きさおよび向きを検出し、制御部11に検出結果を送る。微小電流検出抵抗17は、通常電流検出抵抗15に対して直列に接続されており、通常電流検出抵抗15よりも小さい抵抗値のものが用いられる。具体的には、例えば、20[mΩ]程度かそれ以上の抵抗が用いられる。
スイッチ18は、微小電流検出抵抗17に対して並列に設けられ、後述するデバイス動作検出部19の制御に基づき、スイッチのON/OFFを行う。スイッチ18がONとなった場合には、微小電流検出抵抗17がバイパスされ、電流がスイッチ18を介して流れ、微小電流検出抵抗17に電流が流れないようにされている。デバイス動作検出部19は、検出端子5を介して電子機器から動作状態を示す情報を受け取り、受け取った動作状態を示す情報に基づきスイッチ18を制御し、電流経路の切り替えを行う。例えば、電子機器が起動している状態などの通常状態である場合には、スイッチ18をONとし、消費電流が小さい待機状態である場合には、スイッチ18をOFFとするように制御する。
スイッチ回路12は、充電制御FET(Field Effect Transistor)21と、放電制御FET22とから構成されている。電池電圧が過充電検出電圧となった場合には、制御部11からの制御信号により充電制御FET21をOFFとし、充電電流が流れないように制御される。なお、充電制御FET21のOFF後は、寄生ダイオード21aを介することによって放電のみが可能となる。また、電池電圧が過放電検出電圧となった場合には、制御部11からの制御信号により放電制御FET22をOFFとし、放電電流が流れないように制御される。なお、放電制御FET22のOFF後は、寄生ダイオード22aを介することによって充電のみが可能となる。
制御部11は、電圧検出部13からの検出結果に基づき、電池セル10の電圧が過充電検出電圧になった場合や、電池セル10の電圧が過放電検出電圧以下になった場合に、スイッチ回路12に制御信号を送ることにより、過充電、過放電を防止する。また、制御部11は、例えば、その内部にA/D(Analog / Digital)変換器を備え、電圧検出部13、通常電流検出部14および微小電流検出部16から供給された検出結果をディジタル信号に変換する。そして、ディジタル信号に変換された検出結果に基づき、電圧値の測定や電流値の積算を行い、電池残容量の算出を行う。なお、電池残容量の算出方法については後述する。
電圧検出部13、通常電流検出部14および微小電流検出部16で検出された検出結果等は、例えば、図示されないEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリに保存される。不揮発性メモリは、例えば制御部11に内蔵されていてもよいし、外部に設けられるようにしてもよい。
通信端子2aおよび2bは、電子機器に装着された際に、所定の通信プロトコルを用いて電池残容量に関する情報を機器に送信する。この情報を受け取った電子機器側では、液晶等の表示部に残容量率、残り使用可能時間等を表示する。電子機器との通信としては、例えば、SMバス(System Management Bus)を用いることができる。
次に、電池残容量の算出方法について説明する。電池パックの電池残容量の算出方法としては、例えば、電池セル10の電圧に基づく電圧法と、電池セル10の電圧および電流の積算値に基づく積算法とが挙げられる。電圧法は、電池セル10の電圧を測定し、二次電池の電圧と電池容量(残容量率)との相関性に基づき電池残容量を算出する。こうすることにより、例えば、リチウムイオン電池の場合は電池電圧が4.2V/セルで満充電、2.4V/セルになると過放電状態であると判別することができ、測定が容易である。
積算法は、さらに電流積算法と電力積算法とに分類できる。電流積算法は、電流を測定し、一定時間毎に積算することにより放電電流量を算出し、電池の持つ使用可能な電流量との割合から電池パックの電池残容量を算出する。電力積算法は、電圧と電流を測定し、これらを掛け合わせることで電力量を算出し、さらに一定時間毎に電力量を積算することにより放電電力量を算出し、電池の持つ使用可能な電力量との割合から電池パックの電池残容量を算出する。こうすることにより、電池パックの電圧の変動に左右されることなく、安定した残容量検出が可能となる。
ノート型PCなどの携帯型電子機器に用いられる電池パックでは、正確な電池残容量の表示が求められるため、通常は、電流積算法を用いた電池残容量の算出方法が用いられる。この発明の実施の一形態では、電流積算法を用いた場合を例にとって、電池残容量の算出方法について説明する。
電流積算法を用いて電池残容量を算出する場合には、通常状態における通常電流検出抵抗15の電圧に基づく電流を算出するとともに、待機状態における微小電流検出抵抗17の電圧に基づく電流を算出する。そして、算出したそれぞれの電流を積算し、電池パックの持つ使用可能な電流量との割合に基づき電池残容量を算出する。なお、以下では、通常状態において通常電流検出抵抗15に流れる電流を通常電流と称し、待機状態において微小電流検出抵抗17に流れる電流を微小電流と称して説明する。
電子機器が通常状態である場合、デバイス動作検出部19はスイッチ18をONとし、微小電流検出抵抗17をバイパスして通常電流が流れないようにする。こうすることにより、通常電流が微小電流検出抵抗17に流れることによって生じる電力損失によって発熱し、破損や発火してしまうのを防ぐことができる。通常電流検出部14は、通常電流検出抵抗15の電圧を測定する。制御部11は、内蔵されたA/D変換器を用いて、通常電流検出抵抗15の電圧に対してA/D変換を行い、アナログ電圧をディジタル電圧に変換する。そして、ディジタル電圧と通常電流検出抵抗15とに基づき通常電流を算出し、所定時間毎に算出した通常電流を積算する。
また、電子機器が待機状態である場合、デバイス動作検出部19は、スイッチ18をOFFとし、微小電流検出抵抗17に微小電流が流れるようにする。微小電流検出部16は、微小電流検出抵抗17の電圧を測定する。制御部11は、A/D変換器を用いて、微小電流検出抵抗17の電圧に対してA/D変換を行い、アナログ電圧をディジタル電圧に変換する。そして、ディジタル電圧と微小電流検出抵抗17とに基づき微小電流を算出し、所定時間毎に算出した微小電流を積算する。
制御部11は、このようにして積算された通常電流および微小電流をそれぞれ加算し、加算した電流と電池パックの持つ使用可能な電流量との割合に基づき、電池残容量を算出する。
なお、待機状態においては、微小電流検出抵抗17だけでなく通常電流検出抵抗15にも電流が流れるため、通常電流検出抵抗15による電圧降下も生じてしまうが、通常電流検出抵抗15の電圧は測定しないものとすると好ましい。このように、制御部11は、電子機器の動作状態に応じて通常電流検出部14および微小電流検出部16における電流検出の動作を制御する必要があるが、そのためには、例えば、電子機器から動作状態を示す情報を直接受け取るようにしてもよいし、デバイス動作検出部19を介して受け取るようにしてもよい。
ところで、上述のようにしてA/D変換器を用いてアナログ電圧をディジタル電圧に変換し、変換されたディジタル電圧から電流を算出する場合、抵抗値に応じて1ビットあたりの電流範囲が異なり、電流の測定精度に影響を与えてしまう。
ここで、一例として、ビット数が15[bit]、リファレンス電圧が0.309[V]であるA/D変換器を用いて、アナログ電圧から電流を算出する場合について考える。この場合、1ビットの重みである1ビットあたりの電圧範囲は、ビット数による分割数が215であることから、数式(1)に基づき算出される。
1ビットあたりの電圧範囲=リファレンス電圧/分割数
=0.309[V]/215=9.43[μV] ・・・(1)
これにより、1ビットあたりの電流範囲は、電流検出抵抗をR[Ω]とすると、オームの法則により、数式(2)に基づき算出される。
1ビットあたりの電流範囲=1ビットあたりの電圧範囲/電流検出抵抗
=9.43[μV]/R[Ω] ・・・(2)
したがって、電流検出抵抗が5[mΩ]である場合の1ビットあたりの電流範囲は、上述の数式(2)に基づき、図2に示すように、9.43[μV]/5[mΩ]=1.886[mA]となる。一方、電流検出抵抗が20[mΩ]の場合の1ビットあたりの電流範囲は、図2に示すように、9.43[μV]/20[mΩ]=0.472[mA]となる。
このように、1ビットあたりの電圧範囲は、A/D変換器のリファレンス電圧およびビット数によって決定されるため、1ビットあたりの電流範囲は、電流検出抵抗によって変化する。そして、この1ビットあたりの電流範囲の大きさが電流の測定誤差となる。すなわち、電流検出抵抗の値を大きくすることにより、電流全体の測定範囲が狭くなり、最大測定電流が小さくなるが、1ビットあたりの電流範囲が小さくなることによって測定誤差を少なくすることができる。したがって、待機状態における微小電流を検出する場合には、通常状態において用いられる電流検出抵抗よりも大きい値の電流検出抵抗を用いることで、高い精度で電流を測定することができる。
次に、動作状態を示す情報について説明する。デバイス動作検出部19は、電子機器から動作状態を示す情報を受け取り、この情報に基づきスイッチ18のON/OFFを制御して電流経路の切り替えを行うが、電子機器から供給される動作状態を示す情報としては、例えば、電子機器の消費電流を示す情報が挙げられる。具体的には、例えば、電子機器は、消費電流を示す情報を出力し、デバイス動作検出部19は、この消費電流を示す情報を検出端子5を介して受け取る。そして、待機状態における消費電流が5[mA]程度であるとすると、実際の消費電流が例えば5[mA]以下である場合に、デバイス動作検出部19は、消費電流を示す情報に基づき電子機器が待機状態であると判断し、消費電流が5[mA]を超える場合には、電子機器が通常状態であると判断する。
また、動作状態を示す別の情報としては、例えば、PCやテレビなどの電子機器の電源をON/OFF状態を示す情報が挙げられる。例えば、電子機器の電源をONとした場合に立ち上がる信号を検出し、この信号が“H(ハイ)”である場合には、デバイス動作検出部19は、通常状態であると判断する。一方、電子機器の電源をOFFとした場合に、信号が“L(ロー)”である場合には、待機状態であると判断する。
次に、デバイス動作検出部19による電流経路の切り替え方法について説明する。先ず、電子機器の動作状態が通常状態から待機状態に切り替わった場合の、電流経路の切り替え処理の流れについて、図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、特別な記載がない限り、以下の処理は、デバイス動作検出部19の制御の下で行われるものとする。
ステップS11において、電子機器の動作状態が待機状態となり、消費電流が低消費電流になった場合には、処理がステップS12に移行する。一方、電子機器の動作状態が待機状態でない場合には、動作状態が待機状態となるまで処理がステップS11に戻る。
ステップS12では、デバイス動作検出部19が検出端子5を介して電子機器から動作状態を示す情報を受け取り、受け取った情報に基づき電子機器の動作状態が判断される。電子機器の動作状態が待機状態であると判断された場合には、処理がステップS13に移行する。一方、電子機器の動作状態が通常状態であると判断された場合には、処理がステップS12に戻り、電子機器の動作状態の判断が再度行われる。
ステップS13では、スイッチ18のON/OFF状態に基づき、電流経路が通常電流用であるか否かが判断される。スイッチ18がONである場合には、通常電流用の電流経路であると判断し、処理がステップS14に移行し、スイッチ18をOFFにして微小電流用の電流経路に切り替え、微小電流検出抵抗17に電流が流れるようにして、一連の処理が終了する。
一方、ステップS13において、スイッチ18がOFFである場合には、微小電流用の電流経路であると判断し、一連の処理が終了する。
このように、電流経路に微小電流が流れる待機状態の場合には、スイッチ18をOFFとすることにより電流経路を切り替え、微小電流検出抵抗17に電流を流すようにする。こうすることにより、微小電流検出抵抗17によって微小電流が測定され、正確に電池容量を検出することができる。
次に、電子機器の動作状態が待機状態から通常状態に切り替わった場合の、電流経路の切り替え処理の流れについて、図4に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS21において、電子機器の動作が通常状態となり、消費電流が多くなった場合には、処理がステップS22に移行する。一方、電子機器の動作状態が待機状態である場合には、動作状態が通常状態となるまで処理がステップS21に戻る。
ステップS22では、動作状態を示す情報に基づき電子機器の動作状態が判断される。電子機器の動作状態が通常状態であると判断された場合には、処理がステップS23に移行する。一方、電子機器の動作状態が待機状態であると判断された場合には、処理がステップS22に戻り、電子機器の動作状態の判断が再度行われる。
ステップS23では、スイッチ18のON/OFF状態に基づき、電流経路が微小電流用であるか否かが判断される。スイッチ18がOFFである場合には、微小電流用の電流経路であると判断し、処理がステップS24に移行し、スイッチ18をONにして通常電流用の電流経路に切り替え、微小電流検出抵抗17をバイパスさせて電流が流れないようにし、一連の処理が終了する。
一方、ステップS23において、スイッチ18がONである場合には、通常電流用の電流経路であると判断し、一連の処理が終了する。
このように、電流経路に通常電流が流れる通常状態の場合には、スイッチ18をONとすることにより電流経路を切り替え、微小電流検出抵抗17をバイパスさせて電流が流れないようにする。そして、通常電流検出抵抗15によって通常電流が測定され、正確に電池容量を検出することができる。
この発明の実施の一形態では、電子機器の動作状態に応じて電流検出抵抗を切り替えるようにし、待機状態である場合には、通常電流検出抵抗よりも抵抗値の大きい微小電流検出抵抗に流れる電流を検出することができるようにしているため、より正確に電池残容量を算出することができる。また、通常状態の場合には、微小電流検出抵抗をバイパスさせて電流が流れないようにしているため、微小電流検出抵抗の発熱による破損や発火を防ぐことができる。
さらに、微小電流検出抵抗が通常電流検出抵抗に対して直列に接続されていることにより、電子機器の動作状態に応じて電流経路を切り替えた際に、電流経路が遮断されてしまうのを防ぐことができる。
以上、この発明の実施の一形態について説明したが、この発明は、上述したこの発明の実施の一形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、電池パック1では、電子機器に接続され、電子機器に対して電流が流れている場合の電極端子間の電圧(閉路電圧;Closed Circuit Voltage)と、電子機器に接続されていない、または、電子機器に接続されているが電子機器の電源がOFFとされているなどの電流が流れていない場合の電極端子間の電圧(開路電圧;Open Circuit Voltage)とが異なることが知られている。そこで、例えば、デバイス動作検出部19は、電極端子間の電圧に基づき、閉路電圧および開路電圧と比較を行うことにより電子機器の動作状態を判断してスイッチ18のON/OFFを制御するようにしてもよい。
この発明の実施の一形態による電池パックの一例の構成を示すブロック図である。 A/D変換による精度について説明するための略線図である。 電子機器の動作状態が通常状態から待機状態に切り替わった場合における、電流経路の切り替え処理の流れを示すフローチャートである。 電子機器の動作状態が待機状態から通常状態に切り替わった場合における、電流経路の切り替え処理の流れを示すフローチャートである。 従来の電池パックの一例の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 電池パック
2a、2b 通信端子
3 正極端子
4 負極端子
5 検出端子
10 電池セル
11 制御部
12 スイッチ回路
13 電圧検出部
14 通常電流検出部
15 通常電流検出抵抗
16 微小電流検出部
17 微小電流検出抵抗
18 スイッチ
19 デバイス動作検出部

Claims (6)

  1. 二次電池の電池パックであって、
    電流経路に設けられた第1の電流検出抵抗と、
    上記第1の電流検出抵抗に対して直列に接続され、上記第1の電流検出抵抗よりも抵抗値の大きい第2の電流検出抵抗と、
    上記第2の電流検出抵抗に対して並列に接続されたスイッチと、
    外部の機器から受け取った動作状態を示す情報に基づいて、上記外部の機器が通常状態である場合には、上記スイッチをONとして上記第2の電流検出抵抗をバイパスさせ、上記外部の機器が待機状態である場合には、上記スイッチをOFFとするように、上記スイッチを制御する動作検出部と、
    上記スイッチがONである場合に、上記第1の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第1の検出部と、
    上記スイッチがOFFである場合に、上記第2の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第2の検出部と、
    上記第1の検出部および上記第2の検出部によって検出された電流に基づき残容量を算出する演算部と
    を有することを特徴とする電池パック。
  2. 請求項1に記載の電池パックにおいて、
    上記第2の電流検出抵抗は、抵抗値が20mΩ以上である
    ことを特徴とする電池パック。
  3. 請求項1に記載の電池パックにおいて、
    上記動作状態を示す情報は、上記外部の機器の消費電流を示す情報である
    ことを特徴とする電池パック。
  4. 請求項3に記載の電池パックにおいて、
    上記動作状態を示す情報は、消費電流が5mA以下である場合に、待機状態であることを示す
    ことを特徴とする電池パック。
  5. 請求項1に記載の電池パックにおいて、
    上記動作状態を示す情報は、上記外部の機器の電源のON/OFFを示す情報である
    ことを特徴とする電池パック。
  6. 外部の機器から受け取った動作状態を示す情報に基づいて、上記外部の機器が通常状態である場合には、電流経路に設けられた第1の電流検出抵抗に対して直列に接続され、上記第1の電流検出抵抗よりも抵抗値の大きい第2の電流検出抵抗第2の電流検出抵抗に対して並列に接続されたスイッチをONとして上記第2の電流検出抵抗をバイパスさせ、上記外部の機器が待機状態である場合には、上記スイッチをOFFとするように、上記スイッチを制御する動作検出ステップと、
    上記スイッチがONである場合に、上記第1の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第1の検出ステップと、
    上記スイッチがOFFである場合に、上記第2の電流検出抵抗に流れる電流を検出する第2の検出ステップと、
    上記第1の検出ステップおよび上記第2の検出ステップによって検出された電流に基づき残容量を算出する演算ステップと
    を有することを特徴とする残容量算出方法。
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