JP2008245592A - 自己リン酸化受容体のアゴニスト、アンタゴニストのスクリーニング方法、遺伝子組換え酵母 - Google Patents
自己リン酸化受容体のアゴニスト、アンタゴニストのスクリーニング方法、遺伝子組換え酵母 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008245592A JP2008245592A JP2007092492A JP2007092492A JP2008245592A JP 2008245592 A JP2008245592 A JP 2008245592A JP 2007092492 A JP2007092492 A JP 2007092492A JP 2007092492 A JP2007092492 A JP 2007092492A JP 2008245592 A JP2008245592 A JP 2008245592A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- receptor
- yeast
- agonist
- tyrosine kinase
- phosphorylation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】アゴニストのスクリーニング方法を提供し、該方法は、受容体を発現し、そしてランダム化したアゴニスト候補物質を細胞表層に提示する酵母を得る工程;および 発現した該アゴニスト候補物質が該受容体に結合している酵母を検出する工程、を含む。
【選択図】図1
Description
1. アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法であって、哺乳類の自己リン酸化型受容体と、リン酸化された該受容体を認識可能なアダプタータンパク質を共発現する酵母に前記受容体のアゴニスト/アンタゴニスト候補物質を作用させ、該アゴニスト/アンタゴニスト候補物質が該受容体に結合している酵母を検出する工程を含み、前記自己リン酸化型受容体がリガンドの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用もしくは受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身および/または受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼがリン酸化される、方法。
2. 前記自己リン酸化型受容体が、リガンドの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用により受容体自身がリン酸化される、項1に記載の方法。
3. 前記自己リン酸化型受容体がリガンドの結合により多量体化して、受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身と受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの両方がリン酸化される、項1に記載の方法。
4. アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法であって、哺乳類の自己リン酸化型受容体を発現する酵母に前記受容体のアゴニスト/アンタゴニスト候補物質を作用させ、該アゴニスト/アンタゴニスト候補物質が該受容体に結合している酵母を検出する工程を含み、
前記自己リン酸化型受容体がアゴニストの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用もしくは受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身もしくは受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼがリン酸化され、
前記リン酸化の検出は、前記酵母の細胞壁を溶解し、細胞壁溶解酵母に前記リン酸化を検出可能な抗体を作用させることにより行なう、
方法。
5. 前記自己リン酸化型受容体がアゴニストの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用により受容体自身がリン酸化される、項4に記載の方法。
6. 前記自己リン酸化型受容体がアゴニストの結合により多量体化して、受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身と受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの両方がリン酸化される、項4に記載の方法。
7. 哺乳類の自己リン酸化型受容体は、
(i)受容体自身が自己リン酸化作用を有するか、或いは、
(ii)gp130またはβcを共有し、かつ、チロシンキナーゼがgp130またはβcに構成的に結合し、該チロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼ自身とgp130またはβcの両方をリン酸化する
受容体である、項1または4に記載の方法。
8. 受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼがJAK1,JAK2またはJAK3である項1または4に記載の方法。
9. チロシンキナーゼが構成的に結合し、かつ、アゴニスト依存的に該チロシンキナーゼがリン酸化される受容体が、インターロイキン受容体のα鎖とβ鎖(βc)を含む、項1または4に記載の方法。
10. チロシンキナーゼが構成的に結合し、かつ、アゴニスト依存的に該チロシンキナーゼがリン酸化される受容体が、gp130を含む、項1または4に記載の方法。
11. アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、該リン酸化を酵母中で認識可能なアダプタータンパク質を共発現してなる、遺伝子組換え酵母。
12. チロシンキナーゼ作用を有し、かつ、アゴニストの結合により多量体化して自己リン酸化する哺乳類の受容体と、該受容体のリン酸化を認識可能なアダプタータンパク質を共発現する項11に記載の遺伝子組換え酵母。
13. アゴニストの結合により多量体化するβcまたはgp130を共有する受容体と、該受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ(該チロシンキナーゼはアゴニストの結合によりβcまたはgp130とチロシンキナーゼ自身をリン酸化する)と、βc、gp130またはチロシンキナーゼのリン酸化を認識可能なアダプタータンパク質を共発現する項11に記載の遺伝子組換え酵母。
14. アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、前記リン酸化を検出可能な抗体を含む、前記受容体に対するアゴニスト/アンタゴニストをスクリーニングするためのキット。
15. 酵母の細胞壁を溶解する酵素をさらに含む項14に記載のキット。
16. アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、前記リン酸化を検出可能な抗体のコンビネーション。
17. アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、酵母の細胞壁を溶解する酵素と、前記リン酸化を検出可能な抗体のコンビネーション。
(a) βcもしくはgp130を共有し、アゴニストの結合により受容体とβcもしくはgp130を含む多量体を形成し、且つ、βcもしくはgp130に構成的に結合したチロシンキナーゼを活性化してβcもしくはgp130とチロシンキナーゼをリン酸化する受容体。
第1は、酵母に存在しない哺乳類由来の受容体と酵母に存在しない(哺乳類由来が好ましい)アダプタータンパク質を酵母内で同時に発現させ、これにより、非酵母受容体システムにおいても該受容体に対するアゴニストの結合によるシグナルが酵母内で正しく伝達されることを確認したことである。
第1の方法:リン酸化された受容体に特異的に結合するアダプタータンパク質を哺乳類(特にヒト)由来の受容体とともに酵母で同時に発現させ、アダプタータンパク質と受容体の結合をレポーター遺伝子の発現や細胞増殖により検出する方法。本明細書において、アダプタータンパク質とは、受容体に共有されるβcもしくはgp130のリン酸化、βcもしくはgp130に構成的に結合されるチロシンキナーゼのリン酸化、或いはチロシンキナーゼ作用を有する受容体自身のリン酸化を認識するタンパク質を意味する。
(i) gp130を共有する受容体
IL-6R、IL-11R、LIFR、CNTFR、OSMR、CT-1Rなど。
(ii) βcを共有する受容体
IL-3R、IL-5R、GM-CSFRなど。
(iii) 自己リン酸化作用を有する受容体のリガンド
Alkを含むAlkRファミリー、Axlを含むAxlRファミリー、DDR1を含むDDRファミリー、EGFRを含むEphRファミリー、Eph A1を含むEphARファミリー、Eph B1を含むEphBRファミリー、FGFR1を含むFGFRファミリー、IFG-1Rを含むIRファミリー、Metを含むMetRファミリー、MuSKを含むMuSKRファミリー、TrkAを含むニューロトロフィンRファミリー、PDGFR-αを含むPDGFRファミリー、RETを含むRETRファミリー、Ror1を含むRorRファミリー、Rykを含むRykRファミリー、Sevを含むSevRファミリー、Tie1を含むTieRファミリー、VEGFR-1を含むVEGFRファミリーなど。
「アゴニスト/アンタゴニスト候補物質が受容体に結合している酵母を検出する工程」には、酵母にアゴニストの候補物質を作用させ、受容体への候補物質の結合の有無を検出する場合と、適当な濃度のアゴニストの存在下にアンタゴニストの候補物質を作用させ、アゴニストの結合がどの程度低下したかを検出する場合の両方が含まれる。
1.抗体を用いたアゴニスト・受容体反応の検出方法
受容体の自己リン酸化を抗リン酸化チロシンキナーゼ(例えばJAK2)特異的抗体により検出することにより、アゴニストのスクリーニングが可能となる。(図1)
抗リン酸化抗体が認識するリン酸化部位は、例えばJAK1、JAK2、EGF受容体では、以下の位置が例示される。但し、アミノ酸番号は、ヒト由来タンパク質におけるN末端のアミノ酸残基を1番とした番号である。
1.JAK2のリン酸化部位:Tyr221, Tyr813, Tyr1007/1008
2.JAK1のリン酸化部位:Tyr1022/1023,
3.EGF受容体のリン酸化部位:Tyr974, Tyr992, Tyr1045, Tyr1068, Tyr1086, Tyr1148, Tyr1173
上記のリン酸化部位を認識する抗体は知られており、公知の抗体を使用することにより、自己リン酸化された受容体を検出することができる。検出は、例えばリン酸化部位を特異的に認識する抗体と、該抗体を認識する標識二次抗体を酵母に作用させ、酵母の膜近傍における二次抗体標識の存在の検出に基づき行なうことができる。JAK1、JAK2以外のチロシンキナーゼ、EGF受容体以外のチロシンキナーゼ活性を有する受容体についても同様に抗体により自己リン酸化された受容体を検出することができる。
JAK2のリン酸化を検出するには、EGF受容体のスクリーニング方法と類似したヒト由来アダプタータンパク質と酵母内在性Ras1またはRas2へのシグナル伝達を利用する方法も使用できる(図7)。具体的には、アゴニスト依存的にリン酸化された受容体に特異的に結合するアダプタータンパク質Shcと融合したヒト由来Sosタンパク質がアゴニスト依存的に細胞質から細胞膜近傍に濃縮され、GDP結合型の酵母内在性Ras1または、Ras2をGTP結合型に変換することにより、酵母の細胞分裂が導かれることを利用したスクリーニング方法である。
I.低分子化合物ないしタンパク質を外部から培養液中に添加する場合
・96穴プレートに液体培地もしくは寒天培地をいれ、酵母を蒔く。そこに化合物ないしタンパク質を添加し、酵母の増殖や蛍光、発色を指標としてレポーター遺伝子の発現を観察する。この時、酵母において増殖やレポータ遺伝子の発現が検出されれば、その化合物はアゴニストである。
・96穴プレートに液体培地もしくは寒天培地をいれ、酵母を蒔く。そこに化合物ないしタンパク質を添加し、EGFRなどの受容体型チロシンキナーゼにおいては自己リン酸化を、そしてIL-5RやIL-6RなどのサイトカインレセプターなどにおいてはJAK1やJAK2の自己リン酸化を、それぞれのタンパク質特異的なリン酸化抗体を用いた免疫染色により検出する。この時、受容体型チロシンキナーゼの自己リン酸化や、JAK1やJAK2の自己リン酸化が見られれば、その化合物はアゴニストである。免疫染色には、酵母の細胞壁を除く処理を必要とする。
・96穴プレートにアゴニストを含ませた液体培地もしくは寒天培地をいれ、酵母を蒔く。そこに化合物ないしタンパク質を添加し、酵母の増殖や蛍光、発色を指標としてレポーター遺伝子の発現を観察する。この時、酵母がレポーター遺伝子が発現しなければ、その化合物はアンタゴニストである。
・96穴プレートにアゴニストを含ませた液体培地もしくは寒天培地をいれ、酵母を蒔く。そこに化合物ないしタンパク質を添加し、EGFRなどの受容体型チロシンキナーゼにおいては自己リン酸化を、そしてIL-5RやIL-6RなどのサイトカインレセプターにおいてはJAK1やJAK2の自己リン酸化を、それぞれのタンパク質特異的なリン酸化抗体を用いた免疫染色により検出する。この時、受容体型チロシンキナーゼの自己リン酸化や、JAK1やJAK2の自己リン酸化が見られなければ、その化合物はアンタゴニストである。免疫染色には、酵母の細胞壁を除く処理を必要とする。
・ランダムなペプチドを発現する酵母を寒天培地に蒔き、酵母の増殖や蛍光、発色を指標としてレポーター遺伝子の発現を観察する。この時、酵母がレポーター遺伝子を発現すれば、その酵母はアゴニストとなるペプチドを発現する酵母である。後に、ペプチドを発現させる為に導入したプラスミドを酵母から抽出し、シークエンス解析を行えばペプチド配列を特定できる。
・ランダムなペプチドを発現する酵母を寒天培地に蒔き、EGFRなどの受容体型チロシンキナーゼにおいては自己リン酸化を、そしてIL-5RやIL-6RなどのサイトカインレセプターなどにおいてはJAK1やJAK2の自己リン酸化を、それぞれのタンパク質特異的なリン酸化抗体を用いた免疫染色により検出する。この時、受容体型チロシンキナーゼの自己リン酸化や、JAK1やJAK2の自己リン酸化が見られれば、その酵母はアゴニストとなるペプチドを発現する酵母である。免疫染色には、酵母の細胞壁を除く処理を必要とする。後に、ペプチドを発現させる為に導入したプラスミドを酵母から抽出し、シークエンス解析を行えばペプチド配列を特定できる。
・ランダムなペプチドを発現する酵母をアゴニストを含ませた寒天培地に蒔き、酵母の増殖や蛍光、発色を指標としてレポーター遺伝子の発現を観察する。この時、酵母がレポーター遺伝子を発現しなければ、その酵母はアンタゴニストとなるペプチドを発現する酵母である。後に、ペプチドを発現させる為に導入したプラスミドを酵母から抽出し、シークエンス解析を行えばペプチド配列を特定できる。
・ランダムなペプチドを発現する酵母をアゴニストを含ませた寒天培地に蒔き、EGFRなどの受容体型チロシンキナーゼにおいては自己リン酸化を、そしてIL-5RやIL-6RなどのサイトカインレセプターなどにおいてはJAK1やJAK2の自己リン酸化を、それぞれのタンパク質特異的なリン酸化抗体を用いた免疫染色により検出する。この時、受容体型チロシンキナーゼの自己リン酸化や、JAK1やJAK2の自己リン酸化が見られなければ、その酵母はアンタゴニストとなるペプチドを発現する酵母である。免疫染色には、酵母の細胞壁を除く処理を必要とする。後に、ペプチドを発現させる為に導入したプラスミドを酵母から抽出し、シークエンス解析を行えばペプチド配列を特定できる。
・免疫染色には、抗体を用いることが必要となることはいうまでもないが、酵母細胞壁は抗体が非特異的に吸着することが、実施する際に判明した。このことから、酵母細胞壁を除く処理が必要とされた。
・酵母細胞壁を除く処理を実施するとき、スクリーニング対象である化合物、タンパク質、あるいはペプチド依存的に、EGFRの自己リン酸化あるいはJAK1やJAK2など自己リン酸化が酵母細胞膜上で正確におこっているか観察すれば、擬陽性の排除が可能となり、より高精度なスクリーニングが可能となる。その為、酵母の形を壊さないことが好ましい。
・低分子化合物ないしタンパク質を外部から培養液中に添加する場合、自己リン酸化の有無が酵母細胞表層で正確におこっているかどうか観察することにより、使用した化合物依存的な自己リン酸化が、正確に酵母細胞膜上でおこっているかどうかが判明する。
・酵母自体にランダムなペプチドを組み込んだ場合、一細胞ハンドリング機器、具体的には、セルソーターを内蔵したFACSや、同等のシステムを内蔵する目的細胞分取装置を用いれば、自動的に目的細胞をハイスループットで単離することが可能である。この時、ペプチドを発現させる為に導入したプラスミドを酵母から抽出し、シークエンス解析によりペプチド配列を特定する必要があり、酵母の形を壊さないことが絶対条件となる。
・以上のことより、低分子化合物ないしタンパク質を外部から培養液中に添加する場合、また酵母自体にランダムなペプチドを組み込んだ場合のいずれにおいても、酵母細胞膜内近傍の蛍光を検出するのが好ましく、酵母の形を壊さないことが有利である。
実施例1:酵母における上皮成長因子(EGF)シグナル伝達再構成用プラスミドの構築
1−1:EGF受容体発現プラスミドの構築
一回膜貫通型受容体であるヒト由来EGF受容体(EGFR)をコードする遺伝子を用いて、以下のようにpGMH20−MFα−FLAG−EGFRを構築した。
酵母の分泌タンパク質MFα1のPrepro配列(J. Bacteriol., 903-906頁, 1983年)をコードする遺伝子を鋳型としたPCRにより、 Prepro配列をコードする遺伝子の3’側にFLAGタグ配列をコードする遺伝子および両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片(a)を得た。増幅断片(a)を制限酵素にて消化し、pGMH20ベクターに挿入して、pGMH20−MFα−FLAGを得た。
EGFR遺伝子をコードするプラスミドを鋳型としたPCRにより、成熟型EGFRタンパク質をコードする遺伝子の両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片を得た。この増幅断片を制限酵素にて消化し、pGMH20−MFα−FLAGに挿入して、pGMH20−MFα−FLAG−EGFRを得た。
ヒト由来のEGFをコードする遺伝子を用いて、以下のようにpYES2−MFα−HA−EGF−FLO42を構築した。
1−1−1で示したようにMFα1のPrepro配列をコードする遺伝子を鋳型としたPCRにより、Prepro配列をコードする遺伝子の3’側にHAタグ配列をコードする遺伝子および両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片(a)を得た。酵母の凝集タンパク質FLO1遺伝子をコードするプラスミドを鋳型としたPCRにより、FLO1のC末端側42アミノ酸残基をコードする遺伝子の両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片を得た。これらの増幅断片(a)および(b)を制限酵素にて消化し、pYES2ベクターに挿入して、タンパク質のN末端側にMFαとHA、およびC末端側にFLO42が融合して発現させるプラスミドpYES2−MFα−HA−FLO42を得た。
EGF遺伝子をコードするプラスミドを鋳型としたPCRにより、成熟型EGFタンパク質をコードする遺伝子の両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片を得た。この増幅断片を制限酵素にて消化し、pYES2−MFα−HA−FLO42に挿入して、pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42を得た。
EGFの刺激を受けることにより自己リン酸化したEGFRのリン酸化部位と結合するアダプタータンパク質であるGrb2をコードする遺伝子を用いて、以下のようにpSos−Grb2を構築した。
タンパク質のN末端側に哺乳動物由来のグアニン−ヌクレオチド交換タンパク質Sosを融合して発現させるプラスミドpSosベクターをStratagene社より購入した。Grb2遺伝子をコードするプラスミドを鋳型としたPCRにより、Grb2タンパク質をコードする遺伝子の両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片を得た。この増幅断片を制限酵素にて消化し、pSosに挿入して、pSos−Grb2を得た。
2−1:酵母形質転換体の作成
酵母Saccharomyces cerevisiae D1BR205a株(MATa, ura3, his3, ade2, lys2, trp1, leu2, cdc25−2, Gal+)およびD1BR205α(MATa, ura3, His3, ade2, lys2, trp1, leu2, cdc25−2, Gal+)をStratagene社より入手した。1のようにして得た各プラスミドpYES2、pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42、pGMH20、pGMH20−MFα−FLAG−EGFR、およびpSos−Grb2を、酢酸リチウム法によりD1BR205株に導入し、酵母形質転換体D1BR205/pYES2/pGMH20/pSos、D1BR205/pYES2/pGMH20/pSos−Grb2、D1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20/pSos−Grb2、D1BR205/pYES2/pGMH20−MFα1−FLAG−EGFR/pSos−Grb2、およびD1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20−MFα−FLAG−EGFR/pSos−Grb2、のそれぞれを、SDΔUra/His/Leu寒天培地上に得た。
上記の寒天培地上で、直径2〜3mmに生育した酵母形質転換体のコロニーを3mLのSDΔUra/His/Leu液体培地中で25℃、300rpmでOD600=1.0〜1.5まで培養した。菌体を回収・洗浄して、500μLの滅菌水に懸濁し、10mLのSRGΔUra/His/Leu液体培地に初期OD600=0.20になるよう植菌した後、25℃にて300rpmでOD600=1.00まで培養した。
2−2のように培養したD1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20−MFα−FLAG−EGFR/pSos−Grb2および陰性コントロールのD1BR205/pYES2/pGMH20/pSosを回収して、200μLの溶解液(50mM Tris−HCl (pH7.3),150mM NaCl,1% Triton X−100,1mM EGTA,2mM DTT,1個/10mL−溶解液)に懸濁し、グラスビーズで破砕して、酵母粗抽出液を得た。10分間遠心して上清画分および沈殿画分に分離し、上清画分にはSDSと2−メルカプトエタノールをそれぞれ最終濃度0.5%および1%となるよう添加した。沈殿画分には上清画分と等量のSDSと2−メルカプトエタノールをそれぞれ最終濃度0.5%および1%で含む溶解液に再懸濁して、100℃で15分間煮た後、10分間遠心して上清画分を分取した。200μLのサンプルに対して1μLのN−Glycosidaseおよび1μLのO−Glycosidaseを添加後、37℃にて0および30分間反応させ、それぞれの時間についてサンプリングして、SDS−PAGEおよび抗FLAGマウスモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロットに供した。結果を図2に示す。酵母形質転換体において、脱糖鎖修飾処理前に見られなかったヒト由来EGFRのバンドが、処理後に計算分子量付近に確認された。このことから酵母において、EGFRタンパク質の発現および糖鎖修飾を受けることが確認された。
2−3と同様の操作を行ってサンプルを得た後、SDS−PAGEおよび抗HAマウスモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロットに供した。結果を図2に示す。酵母形質転換体において、EGF−FLO42のバンドが、不溶性画分において確認された。不溶性画分には細胞壁が含まれることが報告されており、酵母におけるEGF−FLO42タンパク質の表層提示に成功したことが示された。
2−3と同様の操作を行ってサンプルを得た後、SDS−PAGEおよび抗Sosマウスモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロットに供した。結果を図2に示す。酵母形質転換体において、Sos−Grb2のバンドが可溶性画分において確認された。2−3および2−4と合わせて、EGF、EGFR、およびSos−Grb2の発現が酵母において確認された。
2−2のように培養したD1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20−MFα−FLAG−EGFR/pSos−Grb2を回収して、4%パラホルムホルムアルデヒドで固定化した後、ソルビトールバッファー(40mM リン酸カリウム(pH6.5),0.5mM MgCl2,1.2M ソルビトール)で2回洗浄した。固定化した酵母を500μLのソルビトールバッファーに再懸濁し、0.3mgのZymolyase 20Tを添加後、37℃にて10分間反応させ、ソルビトールバッファーで2回洗浄した。1次抗体として抗FLAGマウスモノクローナル抗体(クローン M2)を添加し、1時間反応後に洗浄した。さらに2次抗体としてCy3標識抗マウスIgGヤギポリクローナル抗体を添加し、1時間反応後に洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行った。結果を図3に示す。図3から酵母細胞膜にEGFRが局在することが確認された。
図1に示したように酵母形質転換体に発現させたそれぞれのタンパク質が機能すれば、熱感受性酵母であるD1BR205株が37℃において増殖可能になると期待される。そこで2−2のように培養したD1BR205/pYES2/pGMH20/pSos−Grb2、D1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20/pSos−Grb2、D1BR205/pYES2/pGMH20−MFα1−FLAG−EGFR/pSos−Grb2、およびD1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20−MFα−FLAG−EGFR/pSos−Grb2を、培養液原液、10、100、および1000倍希釈してSRGΔUra/His/Leu寒天培地上に10μlずつ滴下し、37℃で14日間培養した。結果を図4に示す。
2−2のように培養したD1BR205/pYES2/pGMH20/pSos−Grb2、D1BR205/pYES2/pGMH20−MFα1−FLAG−EGFR/pSos−Grb2、およびD1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20−MFα−FLAG−EGFR/pSos−Grb2を回収し、2−6のように細胞壁を除去した。1次抗体として抗リン酸化EGFRウサギポリクローナル抗体を添加し、1時間反応後に洗浄した。さらに2次抗体としてAlexa488標識抗ウサギIgGヤギポリクローナル抗体を添加し、1時間反応後に洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行った。結果を図5に示す。図5のように、D1BR205/pYES2/pGMH20−MFα1−FLAG−EGFR/pSos−Grb2では自己リン酸化は見られなかったが、D1BR205/pYES2−MFα−HA−EGF−FLO42/pGMH20−MFα−FLAG−EGFR/pSos−Grb2では自己リン酸化が確認された。この結果から、酵母においてEGFRの自己リン酸化がEGF依存的に生じていることが判明した。酵母においてEGF依存的なEGFRの自己リン酸化を検出したのは本実施例が初めてである。このことは、アゴニストによりひきおこされる受容体の自己リン酸化を抗体により検出することにより、アゴニストを化合物ライブラリーからスクリーニングすることが可能であることを示す。またpYES2−MFα−HA−EGF−FLO42に含まれるEGF遺伝子をコードする部位をペプチドにすれば、EGFRと親和性のあるペプチドのハイスループットスクリーニングが可能である。
3−1:IL−5受容体発現プラスミドの構築
一回膜貫通型サイトカイン受容体であるヒト由来IL−5受容体α鎖(IL−5Rα)遺伝子をコードするプラスミドpME18 Hyg−huIL−5R(J. Immunol., 6924-6932頁, 1993年)およびヒト由来IL−5受容体β鎖(βc)遺伝子をコードするプラスミドpME18−KH97(J. Biol. Chem., 28287-28293頁, 1996年)を用いて、以下のようにpGMH20−MFα−FLAG−IL5RαおよびpGMT20−MFα−HA−βcを構築した。
酵母の分泌タンパク質MFα1のPrepro配列(J. Bacteriol., 903−906頁, 1983年)をコードする遺伝子を鋳型としたPCRにより、Prepro配列をコードする遺伝子の3’側にFLAGタグ配列をコードする遺伝子および両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片(a)を得た。同遺伝子を鋳型としたPCRにより、Prepro配列をコードする遺伝子の3’側にHAタグ配列をコードする遺伝子および両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片(b)を得た。増幅断片(a)を制限酵素にて消化し、制限酵素にて消化したpGMH20ベクターに挿入して、pGMH20−MFα−FLAGを得た。増幅断片(b)を制限酵素にて消化し、制限酵素にて消化したpGMT20ベクターに挿入して、pGMT20−MFα−HAを得た。
プラスミドpME18 Hyg−huIL−5Rを鋳型としたPCRにより、成熟型IL−5Rαタンパク質をコードする遺伝子の両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片を得た。この増幅断片を制限酵素にて消化し、制限酵素にて消化したpGMH20−MFα−FLAGに挿入して、pGMH20−MFα−FLAG−IL5Rαを得た。
プラスミドpME18−KH97を鋳型としたPCRにより、成熟型βcタンパク質をコードする遺伝子の両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片を得た。この増幅断片を制限酵素にて消化し、制限酵素にて消化したpGMT20−MFα−HAに挿入して、pGMH20−MFα−HA−βcを得た。
IL−5の刺激をうけて自己リン酸化するプロテインチロシンキナーゼであるマウス由来JAK2遺伝子をコードするプラスミドpSRα−JAK2(Genes to Cells, 431−441頁, 1998年)を用いて、以下のようにpAUR123−V5−JAK2およびpAURGAL1p−V5−JAK2を構築した。
ガラクトース誘導型プロモーターであるGAL1p遺伝子をコードするpYES2ベクターを鋳型としたPCRにより、GAL1p遺伝子をコードする増幅断片(a)を得た。非誘導型プロモーターであるADH1p遺伝子をコードするpAUR123ベクターを鋳型としたPCRにより、ADH1pを欠失した増幅断片(b)を得た。増幅断片(a)をKpnIにて消化し、KpnIにて消化した増幅断片(b)に挿入して、pAURGAL1pベクターを得た。KpnIおよびSalIにて消化したpAUR123ベクターおよびpAURGAL1pベクターに、V5タグ配列をコードする遺伝子を挿入して、それぞれpAUR123−V5およびpAURGAL1p−V5を得た。
プラスミドpSRα−JAK2を鋳型としたPCRにより、JAK2遺伝子をコードする増幅断片を得た。この増幅断片の3’側にTArget Clone(TOYOBO)を用いてアデニンを付加し、これをpGEM T−Easyベクターに挿入して、pGEM−JAK2を得た。
プラスミドpGEM−JAK2を鋳型としたPCRにより、JAK2タンパク質をコードする遺伝子の両末端に制限酵素部位を付加した増幅断片を得た。この増幅断片をSalIおよびSacIにて消化し、SalIおよびSacIにて消化したpAUR123−V5ベクターおよびpAURGAL1p−V5ベクターに挿入して、pAUR123−V5−JAK2およびpAURGAL1p−V5−JAK2を得た。
4−1:酵母形質転換体の作成
酵母Saccharomyces cerevisiae D1BR205a株(MATa ura3 His3 ade2 lys2 trp1 leu2 cdc25 Gal+)およびD1BR205α(MATa ura3 His3 ade2 lys2 trp1 leu2 cdc25 Gal+)をStratagene社より入手した。
上記の寒天培地上で、直径2〜3mmに生育した酵母形質転換体のコロニーを0.5μg/mlのオーレオバシジンAを含む3mLのSDΔHis/Trp液体培地中で、25℃にて300rpmでOD600=1.0〜1.5まで培養した。菌体を回収・洗浄して、500μLの滅菌水に懸濁し、0.5μg/mlのオーレオバシジンAを含む10mLのSRGΔHis/Trp液体培地に初期OD600=0.20になるよう植菌した後、25℃にて300rpmでOD600=0.30〜2.00まで培養した。
4−2のように培養したD1BR205/pGMH20−MFα1−FLAG−IL5Rα/pGMT20−MFα−HA−βc/pAUR123−V5−JAK2および陰性コントロールのD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123を回収して、200μLの溶解液(50mM Tris−HCl (pH7.3),150mM NaCl,0.1% Triton X−100,1mM EGTA,2mM DTT,1個/10mL−溶解液)に懸濁し、グラスビーズで破砕して、酵母粗抽出液を得た。10分間遠心して上清画分および沈殿画分に分離し、上清画分にはSDSと2−MEをそれぞれ0.5%(V/V)および1%(V/V)となるよう添加した。沈殿画分には上清画分と等量のSDSと2−MEをそれぞれ0.5%(V/V)および1%(V/V)で含む溶解液に再懸濁して、100℃で15分間煮た後、10分間遠心して上清画分を分取した。50μLのサンプルに対して50μLのO−グリコシダーゼおよび50μLのN−グリコシダーゼを添加後、37℃にて0、10、30、および60分間反応させ、それぞれの時間についてサンプリングして、SDS−PAGEおよび抗FLAGマウスモノクローナル抗体(クローン M2)を用いたウェスタンブロットに供した(図8)。これまでに酵母における一回膜貫通型サイトカイン受容体の発現に成功した例はない。本実施例において初めて、酵母でのヒト由来サイトカイン受容体IL−5Rαタンパク質の発現が確認された。また、脱糖鎖修飾処理により、IL−5Rαタンパク質の計算分子量より大きい位置に見られたバンドが、計算分子量付近の位置にシフトした。このことから酵母において、IL−5Rαタンパク質は酵母内において糖鎖修飾を受けることがわかった。
4−3と同様の操作を行ってサンプルを得た後、SDS−PAGEおよび抗HAマウスモノクローナル抗体(クローン 12CA5)を用いたウェスタンブロットに供した(図9)。酵母形質転換体において、脱糖鎖修飾処理前に見られなかったヒト由来βcのバンドが、処理後に計算分子量付近に確認された。このことから酵母において、βcタンパク質の発現および糖鎖修飾を受けることが確認された。2−3において、IL−5Rαの発現が確認されたこととあわせて、IL−5受容体の発現が酵母において確認された。
4−2のように培養したD1BR205/pGMH20−MFα−FLAG−IL5Rα/pGMT20−MFα−HA−βc/pAUR123−V5−JAK2および陰性コントロールのD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123を回収して、4%パラホルムホルムアルデヒドで固定化した後、ソルビトールバッファー(40mM リン酸カリウム(pH6.5),0.5mM MgCl2,1.2M ソルビトール)で2回洗浄した。固定化した酵母を500μLのソルビトールバッファーに再懸濁し、0.3mgの細胞壁除去酵素Zymolyase 20Tを添加後、37℃にて30分間反応させ、ソルビトールバッファーで2回洗浄した。細胞壁を除去した酵母をソルビトールバッファーに懸濁し、1次抗体として抗FLAGマウスモノクローナル抗体(クローン M2)および抗HAラビットポリクローナル抗体を添加し、1時間反応後に洗浄した。さらに2次抗体としてCy3標識抗マウスIgGヤギポリクローナル抗体およびAlexa Fluor 430標識抗ラビットIgGヤギポリクローナル抗体を添加し、1時間反応後に洗浄し、蛍光顕微鏡による観察を行った。結果を図10に示す。
4−2のように培養したD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123−V5−JAK2、D1BR205/pGMH20/pGMT20/pAURGAL1p−V5−JAK2、陰性コントロールのD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123、およびD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAURGAL1pを回収して、200μLの溶解液(50mM Tris−HCl (pH7.3),150mM NaCl,0.1% Triton X−100,1mM EGTA,2mM DTT,Complete protease inhibitor cocktail 1個/10mL−溶解液)に懸濁し、グラスビーズで破砕して、酵母粗抽出液を得た後、SDS−PAGEおよび抗V5マウスモノクローナル抗体(クローン V5−10)および抗リン酸化JAK2ラビットポクローナル抗体を用いたウェスタンブロットに供した(図11)。JAK2の発現は、D1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123−V5−JAK2ではOD600=2.0で確認され、D1BR205/pGMH20/pGMT20/pAURGAL1p−V5−JAK2ではOD600=0.6で確認され、OD600=2.0で高発現することがわかった。
4−6で示したJAK2の自己リン酸化が、ヒト由来のリガンドであるIL−5依存的に酵母内で起こるかどうか以下のように実施した。4−2のように培養したD1BR205/pGMH20−MFα−FLAG−IL5Rα/pGMT20−MFα−HA−βc/pAUR123−V5−JAK2、D1BR205/pGMH20−MFα−FLAG−IL5Rα/pGMT20−MFα−HA−βc/pAURGAL1p−V5−JAK2、陰性コントロールのD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123、およびD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAURGAL1pを回収・洗浄して、最終濃度20mMのHEPES(pH7.0)および最終濃度0.5μg/mlのオーレオバシジンAを含む1mLのSRGΔHis/Trp液体培地に置換し、IL−5を最終濃度4nMとなるよう添加して0h、1h反応させた。反応後、上記4%パラホルムアルデヒドで固定化後、細胞壁を除去したD1BR205/pGMH20−MFα−FLAG−IL5Rα/pGMT20−MFα−HA−βc/pAUR123−V5−JAK2、D1BR205/pGMH20−MFα−FLAG−IL5Rα/pGMT20−MFα−HA−βc/pAURGAL1p−V5−JAK2、陰性コントロールのD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123、およびD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAURGAL1pをソルビトールバッファーに懸濁し、1次抗体として抗リン酸化JAK2ラビットポリクローナル抗体を添加し、1時間反応後に洗浄した。さらに2次抗体Alexa Fluor 488標識抗ラビットIgGヤギポリクローナル抗体を添加し、1時間反応後に洗浄し、蛍光顕微鏡による観察およびフローサイトメーター(FCM)による解析を行った。図12のように、OD600=2.0のD1BR205/pGMH20−MFα−FLAG−IL5Rα/pGMT20−MFα−HA−βc/pAUR123−V5−JAK2および陰性コントロールのD1BR205/pGMH20/pGMT20/pAUR123にIL−5を添加して1時間反応培養後にIL−5依存的な蛍光強度の亢進が確認された。以上の結果より、アゴニスト依存的なJAK2のリン酸化が酵母でおこることを示すことが出来た。
Claims (17)
- アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法であって、哺乳類の自己リン酸化型受容体と、リン酸化された該受容体を認識可能なアダプタータンパク質を共発現する酵母に前記受容体のアゴニスト/アンタゴニスト候補物質を作用させ、該アゴニスト/アンタゴニスト候補物質が該受容体に結合している酵母を検出する工程を含み、前記自己リン酸化型受容体がリガンドの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用もしくは受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身および/または受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼがリン酸化される、方法。
- 前記自己リン酸化型受容体が、リガンドの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用により受容体自身がリン酸化される、請求項1に記載の方法。
- 前記自己リン酸化型受容体がリガンドの結合により多量体化して、受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身と受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの両方がリン酸化される、請求項1に記載の方法。
- アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法であって、哺乳類の自己リン酸化型受容体を発現する酵母に前記受容体のアゴニスト/アンタゴニスト候補物質を作用させ、該アゴニスト/アンタゴニスト候補物質が該受容体に結合している酵母を検出する工程を含み、
前記自己リン酸化型受容体がアゴニストの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用もしくは受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身もしくは受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼがリン酸化され、
前記リン酸化の検出は、前記酵母の細胞壁を溶解し、細胞壁溶解酵母に前記リン酸化を検出可能な抗体を作用させることにより行なう、
方法。 - 前記自己リン酸化型受容体がアゴニストの結合により多量体化して、受容体自身のキナーゼ作用により受容体自身がリン酸化される、請求項4に記載の方法。
- 前記自己リン酸化型受容体がアゴニストの結合により多量体化して、受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの作用により受容体自身と受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼの両方がリン酸化される、請求項4に記載の方法。
- 哺乳類の自己リン酸化型受容体は、
(i)受容体自身が自己リン酸化作用を有するか、或いは、
(ii)gp130またはβcを共有し、かつ、チロシンキナーゼがgp130またはβcに構成的に結合し、該チロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼ自身とgp130またはβcの両方をリン酸化する
受容体である、請求項1または4に記載の方法。 - 受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼがJAK1,JAK2またはJAK3である請求項1または4に記載の方法。
- チロシンキナーゼが構成的に結合し、かつ、アゴニスト依存的に該チロシンキナーゼがリン酸化される受容体が、インターロイキン受容体のα鎖とβ鎖(βc)を含む、請求項1または4に記載の方法。
- チロシンキナーゼが構成的に結合し、かつ、アゴニスト依存的に該チロシンキナーゼがリン酸化される受容体が、gp130を含む、請求項1または4に記載の方法。
- アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、該リン酸化を酵母中で認識可能なアダプタータンパク質を共発現してなる、遺伝子組換え酵母。
- チロシンキナーゼ作用を有し、かつ、アゴニストの結合により多量体化して自己リン酸化する哺乳類の受容体と、該受容体のリン酸化を認識可能なアダプタータンパク質を共発現する請求項11に記載の遺伝子組換え酵母。
- アゴニストの結合により多量体化するβcまたはgp130を共有する受容体と、該受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ(該チロシンキナーゼはアゴニストの結合によりβcまたはgp130とチロシンキナーゼ自身をリン酸化する)と、βc、gp130またはチロシンキナーゼのリン酸化を認識可能なアダプタータンパク質を共発現する請求項11に記載の遺伝子組換え酵母。
- アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、前記リン酸化を検出可能な抗体を含む、前記受容体に対するアゴニスト/アンタゴニストをスクリーニングするためのキット。
- 酵母の細胞壁を溶解する酵素をさらに含む請求項14に記載のキット。
- アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、前記リン酸化を検出可能な抗体のコンビネーション。
- アゴニストの結合により多量体化し、該アゴニストの受容体に構成的に結合するチロシンキナーゼ若しくは受容体自身が有するチロシンキナーゼの作用によりチロシンキナーゼおよび/または受容体自身がリン酸化を受ける哺乳類の自己リン酸化型受容体と、酵母の細胞壁を溶解する酵素と、前記リン酸化を検出可能な抗体のコンビネーション。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007092492A JP5392992B2 (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 自己リン酸化受容体のアゴニスト、アンタゴニストのスクリーニング方法、遺伝子組換え酵母 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007092492A JP5392992B2 (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 自己リン酸化受容体のアゴニスト、アンタゴニストのスクリーニング方法、遺伝子組換え酵母 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008245592A true JP2008245592A (ja) | 2008-10-16 |
JP5392992B2 JP5392992B2 (ja) | 2014-01-22 |
Family
ID=39971300
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007092492A Active JP5392992B2 (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 自己リン酸化受容体のアゴニスト、アンタゴニストのスクリーニング方法、遺伝子組換え酵母 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5392992B2 (ja) |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10506005A (ja) * | 1994-07-22 | 1998-06-16 | プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ | レセプター−リガンドアッセイ |
JP2001501097A (ja) * | 1996-09-24 | 2001-01-30 | ケイダス ファーマスーティカル コーポレイション | レセプターエフェクターを同定する方法及び組成物 |
WO2005040413A1 (en) * | 2003-10-24 | 2005-05-06 | Esbatech Ag | Method for the identification and/or validation of receptor tyrosine kinase inhibitors |
JP2005176605A (ja) * | 2003-12-16 | 2005-07-07 | Bio Energy Kk | レセプター結合性物質のスクリーニング方法 |
WO2006104254A1 (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-05 | Bio-Energy Corporation | レセプター結合性物質のスクリーニング方法 |
WO2006111035A1 (en) * | 2005-04-21 | 2006-10-26 | Oncalis Ag | Method for the identification of possibly harmful receptor tyrosine kinase (rtk) mutations and of inhibitors or medication directed against rtk mutantstitle |
JP2007500248A (ja) * | 2003-06-09 | 2007-01-11 | ワクサル,サムエル | 細胞外アンタゴニストおよび細胞内アンタゴニストによる受容体チロシンキナーゼの抑制方法 |
WO2007009613A1 (en) * | 2005-07-16 | 2007-01-25 | Merck Patent Gmbh | Method for measuring tyrosine kinase phosphorylation |
-
2007
- 2007-03-30 JP JP2007092492A patent/JP5392992B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10506005A (ja) * | 1994-07-22 | 1998-06-16 | プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ | レセプター−リガンドアッセイ |
JP2001501097A (ja) * | 1996-09-24 | 2001-01-30 | ケイダス ファーマスーティカル コーポレイション | レセプターエフェクターを同定する方法及び組成物 |
JP2007500248A (ja) * | 2003-06-09 | 2007-01-11 | ワクサル,サムエル | 細胞外アンタゴニストおよび細胞内アンタゴニストによる受容体チロシンキナーゼの抑制方法 |
WO2005040413A1 (en) * | 2003-10-24 | 2005-05-06 | Esbatech Ag | Method for the identification and/or validation of receptor tyrosine kinase inhibitors |
JP2005176605A (ja) * | 2003-12-16 | 2005-07-07 | Bio Energy Kk | レセプター結合性物質のスクリーニング方法 |
WO2006104254A1 (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-05 | Bio-Energy Corporation | レセプター結合性物質のスクリーニング方法 |
WO2006111035A1 (en) * | 2005-04-21 | 2006-10-26 | Oncalis Ag | Method for the identification of possibly harmful receptor tyrosine kinase (rtk) mutations and of inhibitors or medication directed against rtk mutantstitle |
WO2007009613A1 (en) * | 2005-07-16 | 2007-01-25 | Merck Patent Gmbh | Method for measuring tyrosine kinase phosphorylation |
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
JPN6012033748; Biotechniques vol.39, no.4, 2005, pp.541-549 * |
JPN6012033749; 日本生物工学会大会講演要旨集 vol.58, 2006, p.136[1H17-2] * |
JPN6012033752; Cell vol.83, no.4, 1995, pp.621-630 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5392992B2 (ja) | 2014-01-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3537141B2 (ja) | 新種蛋白質分離のための相互作用を用いる補捉システム | |
Fu et al. | Identification and characterization of genes required for cell-to-cell fusion in Neurospora crassa | |
Davis et al. | Sec24 phosphorylation regulates autophagosome abundance during nutrient deprivation | |
Inouye et al. | Mutational analysis of STE5 in the yeast Saccharomyces cerevisiae: application of a differential interaction trap assay for examining protein-protein interactions | |
Kellogg et al. | Members of the NAP/SET family of proteins interact specifically with B-type cyclins. | |
Chikashige et al. | Membrane proteins Bqt3 and-4 anchor telomeres to the nuclear envelope to ensure chromosomal bouquet formation | |
US20130045483A1 (en) | Yeast cells expressing amyloid beta and uses therefor | |
Scherthan et al. | Rap1-independent telomere attachment and bouquet formation in mammalian meiosis | |
Guacci et al. | A novel mechanism for the establishment of sister chromatid cohesion by the ECO1 acetyltransferase | |
Mishra et al. | Cdc7-mediated phosphorylation of Cse4 regulates high-fidelity chromosome segregation in budding yeast | |
Fukutani et al. | An improved bioluminescence‐based signaling assay for odor sensing with a yeast expressing a chimeric olfactory receptor | |
Umeyama et al. | Repression of CDC28 reduces the expression of the morphology‐related transcription factors, Efg1p, Nrg1p, Rbf1p, Rim101p, Fkh2p and Tec1p and induces cell elongation in Candida albicans | |
Maekawa et al. | Polo-like kinase Cdc5 regulates Spc72 recruitment to spindle pole body in the methylotrophic yeast Ogataea polymorpha | |
JP5392992B2 (ja) | 自己リン酸化受容体のアゴニスト、アンタゴニストのスクリーニング方法、遺伝子組換え酵母 | |
Tang et al. | LAMMER kinase Kic1 is involved in pre-mRNA processing | |
JP2016526664A (ja) | 単一アミノ酸分割での変異可能なリガンド−gpcr結合を決定するための方法、および変異リガンドとgpcrとの対 | |
Yoshimoto et al. | High-throughput de novo screening of receptor agonists with an automated single-cell analysis and isolation system | |
Tanabe et al. | Mal3 is a multi-copy suppressor of the sensitivity to microtubule-depolymerizing drugs and chromosome mis-segregation in a fission yeast pka1 mutant | |
Fukuda et al. | Positive detection of GPCR antagonists using a system for inverted expression of a fluorescent reporter gene | |
Chang et al. | Analysis of the TORC1 interactome reveals a spatially distinct function of TORC1 in mRNP complexes | |
Bandala-Sanchez et al. | A phototaxis signalling complex in Dictyostelium discoideum | |
Mehta et al. | The Med8 mediator subunit interacts with the Rpb4 subunit of RNA polymerase II and Ace2 transcriptional activator in Schizosaccharomyces pombe | |
Zhang et al. | Spatial and translational regulation of exocyst subunits by cell cycle in budding yeast | |
Chatfield-Reed et al. | Genetic-interaction screens uncover novel biological roles and regulators of transcription factors in fission yeast | |
Busti et al. | Functional coupling of the mammalian EGF receptor to the Ras/cAMP pathway in the yeast Saccharomyces cerevisiae |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100324 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120703 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120830 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130108 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130311 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20130311 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130611 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130820 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20130828 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130924 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131015 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5392992 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |