JP2008197243A - 表示媒体及び表示装置 - Google Patents

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大輔 中山
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Kiyoshi Shigehiro
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Abstract

【課題】本発明は、画像保持性の低下を抑制可能な表示媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも可視光領域の光を透過する表示基板と、表示基板に間隙をもって対向して配置された背面基板と、表示基板の背面基板との対向面側に該表示基板に積層され、少なくとも可視光領域の光を透過すると共に内部に外部と連通する連通孔を有する空隙構造を備えた中空構造体と、表示基板と背面基板との基板間に封入され、該基板間に形成された電界に応じて該基板間を移動し、中空構造体の内部または外部に選択的に配置される粒子と、を備えた表示媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示媒体及び表示装置に関する。
従来から、繰り返し書き換えが可能なシート状の表示素子として、基板間に帯電した粒子を封入し、この粒子の基板間の移動を利用して表示を行う表示媒体が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4)。
特許文献1の技術によれば、一対の基板間に電気泳動粒子が移動可能な孔を有する多孔質層を設け、この基板間に電気泳動粒子を分散した分散媒を封入する。そして、この多孔質層を、電気泳動粒子とは異なる2色以上の色に着色した構造とし、電気泳動粒子の移動によって多孔質層を遮蔽された状態または解放された状態とすることにより、所定の着色部を視認させて多色表示を行っている。
また、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4の技術によれば、基板間に球状体を充填させて、この球状体の間を介して電気泳動粒子を移動させることで表示を行っている。この球状体は、電気泳動粒子の視認を妨げる遮蔽材として機能し、この球状体を電気泳動粒子とは異なる明度及び色彩を有した構成とすることで、背面基板側に移動した粒子が表示面側から視認されることを妨げてコントラストの低下を抑制すると共に、多色表示を可能としている。
このような表示媒体においては、基板間に電界が形成されると粒子が移動し、無電界時には粒子が移動しない事から、無電界時において画像が保持されるという画像保持性が特徴の一つとなっている。しかしながら、電界形成時に移動した粒子が無電界時においても移動する場合があり、画像保持性が懸念されていた。
特開2005−156808号公報 特開2003―186062号公報 特開2001―242492号公報 特公昭50―152120号公報
本発明は、画像保持性の低下を抑制可能な表示媒体及び表示装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、少なくとも可視光領域の光を透過する表示基板と、前記表示基板に間隙をもって対向して配置された背面基板と、少なくとも前記表示基板の前記背面基板との対向面側に積層され、少なくとも可視光領域の光を透過すると共に内部に外部と通じる孔を有する空隙構造を備えた中空構造体と、前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入され、該基板間に形成された電界に応じて該基板間を移動し、前記中空構造体の内部または外部に配置される粒子と、前記粒子を分散する分散媒と、を備えた表示媒体である。
請求項2に係る発明は、前記中空構造体は、前記粒子を拘束する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項3に係る発明は、前記背面基板の前記表示基板との対向面側に積層され、前記粒子を拘束する機能を有する拘束層をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示媒体である。
請求項4に係る発明は、前記拘束層が、内部に外部と通じる孔を有する空隙構造を備えた中空構造体であることを特徴とする請求項3に記載の表示媒体である。
請求項5に係る発明は、前記中空構造体の前記外部と通じる孔の孔径は、前記粒子の体積平均一次粒径に対して1.1倍以上20倍以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項6に係る発明は、前記中空構造体の内部には、前記粒子を拘束するための表面処理がなされていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項7に係る発明は、前記表示基板と前記背面基板との間において前記中空構造体より前記背面基板側に配置され、前記粒子が移動する空隙を有すると共に前記粒子とは異なる色を有する隠蔽層を更に備えた事を特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項8に係る発明は、前記隠蔽層は、白色であることを特徴とする請求項7に記載の表示媒体である。
請求項9に係る発明は、少なくとも可視光領域の光を透過する表示基板と、前記表示基板に間隙をもって対向して配置された背面基板と、少なくとも前記表示基板の前記背面基板との対向面側に積層され、少なくとも可視光領域の光を透過すると共に内部に外部と通じる孔を有する空隙構造を備えた中空構造体と、前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入され、該基板間に形成された電界に応じて該基板間を移動し、前記中空構造体の内部または外部に配置される粒子と、前記粒子群を分散する分散媒と、前記粒子を前記中空構造体の前記空隙構造の内部または外部に配置するための配置手段と、を備えた事を特徴とする表示装置である。
請求項1の発明によれば、画像保持性の低下を抑制可能であるという効果を奏する。
請求項2の発明によれば、さらに画像保持性の低下を抑制可能であるという効果を奏する。
請求項3の発明によれば、さらにより画像保持性の低下を抑制可能であるという効果を奏する。
請求項4の発明によれば、拘束層を中空構造体と同じ構成とすることができるので、表示媒体を容易に製造することができるという効果を奏する。
請求項5の発明によれば、中空構造体の粒子を拘束する機能を制御することができるという効果を奏する。
請求項6の発明によれば、さらに粒子を拘束する機能を向上させることができるという効果を奏する。
請求項7の発明によれば、多彩な色が得られると言う効果を奏する。
請求項8の発明によれば、コントラストを向上させることができるという効果を奏する。
請求項9の発明によれば、画像保持性の低下を抑制可能である表示装置を提供できるという効果を奏する。
以下、本実施の形態を詳細に説明する。なお、実質的に同じ機能を有する部材には、全図面同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
図1に示すように、本実施の形態に係る表示媒体10は、スペーサー兼シール部24によって所定の間隙をもって対向配置された表示基板12と背面基板14とを備えている。この表示基板12と背面基板14との基板間には、中空構造体26が設けられると共に、分散媒31、電気泳動粒子28が封入されている。
表示基板12は、支持基板16上に電極18が積層されて構成されている。背面基板14は、支持基板20上に電極22が積層されて構成されている。
表示基板12は、少なくとも可視領域の光を透過する。
なお、本実施の形態において「可視領域の光を透過」とは、可視領域の光の透過率が
60%以上であることを示している。
また、本実施の形態における、表示媒体10、表示媒体11、及び表示媒体13が、本発明の表示媒体及び表示装置に相当する。また、電極18及び電極22が、本発明の表示装置の配置手段に相当する。
まず、中空構造体26について説明する。
中空構造体26は、表示基板12の背面基板14との対向面側に積層されている。すなわち、中空構造体26は、表示基板12の背面基板14との対向面側の表面に接触して配置されている。この中空構造体26は、その内部に電気泳動粒子28が入り込めるように、その内部に外部と連通する連通孔を有する空隙構造を備えている。また、中空構造体26は、少なくとも可視光領域の光を透過する。電気泳動粒子28は、中空構造体26の連通孔を介して中空構造体26の空隙構造の内部または外部に選択的に配置される。
本実施の形態における中空構造体26には、例えば、コロイド結晶構造体等のポジ型構造体を鋳型として用いたネガ型構造体が用いられる。
このネガ型構造体は、単位構造体(例えば粒子等)間の間隙により空隙構造を持たせたポジ型構造体の単位構造体(例えば粒子等)間の間隙に、被鋳型物質を充填した後に、この単位構造体を除去することで、空隙構造(多孔質構造)を持たせた構造体である。
このため、本実施の形態の中空構造体26は、図2に示すように、略球形の多数の空孔26Aをもち、この空孔26A間は、連通孔26B(本発明の表示媒体の「外部と通じる孔」に相当する)によって連結されている。さらにこの連通孔26Bは、中空構造体26の外部に連続している。中空構造体26は、このような空隙構造を備えている。
この空孔26Aの孔径(図2中、長さD1)は、連通孔26Bの孔径に比べて大きく、好ましくは、1.2倍以上であり、さらに好ましくは、1.5倍以上である。
なお、この空孔26Aの孔径とは、空孔26Aの長径を示している。
連通孔26Bの孔径(図2中、長さD2)は、中空構造体26の内部または外部に電気泳動粒子28を選択的に配置するために、電気泳動粒子28が連通孔26Bを介して容易に出入り可能な大きさである必要がある。このため、中空構造体26の空隙構造を構成する連通孔26Bの長径は、分散媒31中の電気泳動粒子28の体積平均一次粒径(図2中、長さD3)に対して1.1倍以上20倍以下である事が好ましく、1.2倍以上15倍以下であることがさらに好ましく、1.5倍以上10倍以下であることが特に好ましい。
なお、この連通孔26Bの孔径とは、連通孔26Bの長径を示している。
空隙構造を構成する連通孔の長径が、電気泳動粒子28の体積平均一次粒径の1.1倍未満であると、電気泳動粒子28が空隙構造を構成する連通孔26Bを介して中空構造体26の空隙構造の内部に入り込むことが困難となる場合がある。また、空隙構造を構成する連通孔26Bの長径が電気泳動粒子28の体積平均一次粒径の20倍以上であると、中空構造体26が電気泳動粒子28を内部に拘束する機能(詳細後述)が低下し、内部に電気泳動粒子28を拘束することが困難となる場合がある。
ここで、空隙構造を構成する連通孔26B、空隙構造を構成する空孔26Aの大きさは、走査電子顕微鏡(SEM、VE−9800、キーエンス)で測定した。
また、電気泳動粒子28の体積平均一次粒径は、電気泳動粒子28の粒子群にレーザ光を照射し、そこから発せられる回折、散乱光の強度分布パターンから体積平均一次粒径を測定する、レーザ回折散乱法を採用する。なお、測定は動的光散乱式粒径分布測定装置(LB−550、(株)堀場製作所)を用い、25℃で測定を行った。
このように、電気泳動粒子28の体積平均一次粒径より大きな長径を有する連通孔26Bを介して、中空構造体26の内部へ入り込んだ電気泳動粒子28は、この連通孔26Bを介して空孔26A間を移動する。ここで、この連通孔26Bの長径は、空孔26Aに比べて小さいことから、複数の電気泳動粒子28が中空構造体26の内部に入り込むと、電気泳動粒子28は空孔26A内に貯留された状態となり、結果的に中空構造体26の内部に拘束された状態となる。
このため、中空構造体26は、電気泳動粒子28を内部に拘束する機能を有している。
なお、この中空構造体26が電気泳動粒子28を内部に拘束する機能は、連通孔26Bの長径が電気泳動粒子28の体積平均一次粒径に近い値であるほど大きくなる。
この中空構造体26が電気泳動粒子28を内部に保持する機能を調整するために、中空構造体26の空隙構造の表面(すなわち、中空構造体26内部の、連通孔26B及び空孔26Aに接する領域)は、粒子を拘束する機能を向上させることができるため、表示媒体の画像保持性の低下を抑制する観点から電気泳動粒子28を拘束するための表面処理がなされていることが好ましい(詳細後述)。
本実施の形態のネガ型構造体である中空構造体26の作製方法としては、後述するコロイド結晶構造体の間隙に、例えば、めっき、シリカ材料の充填、高分子材料の充填、重合性モノマの含浸と重合、電解重合などにより被鋳型物質を充填し、その後、当該構造体を除去することで作製することができる。
なお、被鋳型物質の前駆体を被覆・充填した後、焼成などの処理を施し、被鋳型物質としてもよい。
この被鋳型物質としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの無機材料、ゾルゲルガラス、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリスチレン及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂などが挙げられる。
コロイド結晶構造体は、コロイド粒子同士の斥力を利用して充填した非最密充填型構造体、コロイド粒子を密に充填した最密充填型構造体である。コロイド粒子としては、例えば体積平均一次粒径10nm以上1000nm以下の粒子で、シリカ粒子、ポリマー粒子(ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、その他、酸化チタンなどの無機物粒子)がある。
このようなコロイド粒子は、例えば、乳化重合、懸濁重合、二段階鋳型重合、化学的気相反応法、電気炉加熱法、熱プラズマ法、レーザ加熱法、ガス中蒸発法、共沈法、均一沈殿法、化合物沈殿法、金属アルコキシド法、水熱合成法、ゾルゲル法、噴霧法、冷凍凍結法、硝酸塩分解法で作製することができる。また、コロイド結晶構造体は、コロイド粒子分散液を用いて基板上にコロイド粒子を重力沈降法や塗布乾燥法によって自己組織的に堆積させる方法、あるいは電場や磁場の作用によって基板上に堆積させる方法、さらにはコロイド粒子の分散液に基板を浸漬、引き上げて、基板上に形成させる方法によって作製することができる。
コロイド結晶構造体は厚さが1μm以上5mm以下、好ましくは1μm以上1mm以下であることがよい。
中空構造体26の作製方法としては、具体的には、例えば、図3に示すように、例えばシリカ粒子からなるコロイド結晶構造体30を作製し(図3(A))、その後、コロイド結晶構造体30の表面及び間隙(粒子間隙)に、フルフリルアルコール樹脂などの導電性物質前駆体を被覆・充填し、焼成することで、結果、導電性物質33として難黒鉛化炭素を充填する(図3(B))。そして、コロイド結晶構造体30を、フッ酸などによりエッチングして除去すると、コロイド結晶構造体30と同じ形状の空隙35が形成される(図3(C))。このようにして、導電性物質33からなるネガ型の中空構造体26を作製することができる。
中空構造体26の表面に電気泳動粒子28を拘束するための表面処理を行う方法としては、例えば、中空構造体26の表面を電気泳動粒子28とは異なる帯電極性で帯電する帯電処理を行うあるいは同じ極性で帯電させる、さらには中空構造体26の表面に表面自由エネルギーや粘着性を制御する処理を施すなど、泳動粒子と中空構造体表面との作用力に応じて適宜選択される。中空構造体26の表面に電気泳動粒子28を拘束するための表面処理を行い、中空構造体に粒子を拘束する機能をもたせることは、さらに画像保持性の低下を抑制することが可能である点で、望ましい。
特に、帯電処理は、電気泳動粒子28が正極に帯電している場合には、負極に帯電させる負帯電処理を行い、電気泳動粒子28が負極に帯電している場合には、正極に帯電させる正帯電処理を行うという電気的な作用を使うことが拘束力を高める上で好ましい。
具体的には、この帯電処理は、化学的な処理により行われることがよく、例えば、酸性基あるいは塩基性基で修飾されてなることがよい。具体的には、例えば、正帯電処理を施す場合、塩基性化合化合物を用いて処理を施すことがよく、負帯電処理を施す場合には、酸性化合物を用いて処理を施すことがよい。例えば、塩基性化合物により処理が行われると塩基性基(例えばNH )が表面に配置されて正に帯電される。一方、酸性化合物により処理が行われると、酸性基(例えばSO 、COO)が表面に配置されて負に帯電される。
正帯電処理を施すための塩基性化合物としては、例えば、以下のものを使用することができるが、これに限られるわけではない。
・polyallylamine hydrochloride
・poly(p−phenylene vinylene)
・poly(p−metylpyridinium vinylene)
・protonated poly(p−pyridyl vinylene)
・poly(2−N−methylpyridinium acetylene)
・γ−Aminopropyltriethoxysilane
・N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン
負帯電処理を施すための酸性化合物としては、例えば、以下のものを使用することができるが、これに限られるわけではない。
・sulfonated polyaniline
・poly(thiophene−3−acetic−acid)
・sulfonated polystyrene
・polyvinylsulfate potassium salt
・Poly−4−vinylbenzyl−(N,N−diethyl−N−methyl−)ammonium iodide
・カルボキシエチルシラントリオール
これらの化合物を用いて基板を処理するには、例えば次のようにして行うことが可能である。これらの化合物をメタノール、エタノール、IPAなどのアルコール、水、又はアルコールと水の混合液に0.01wt%以上10wt%以下となるように溶解し、その中に、基板を1分以上60分以下浸漬する。その後、アルコール、水、又はアルコールと水の混合液により基板に付着した過剰の液を洗い落とす。その後、100℃以上150℃以下で5分以上60分以下乾燥させることにより、基板の処理を行うことができる。化合物をアルコール、水、又はアルコールと水の混合液に溶解する際、塩酸、酢酸、アンモニア水等を0.01wt%以上10wt%以下添加することも有効である。
また、被処理面によっては、酸性化合物により処理を施したのち、塩基性化合物を処理することもできる。無論、その逆を行うことができる。さらには、上記のようなシランカップリング剤のほかにも、前記したような酸性基や塩基性基を持ったポリマーを使用し、表面にコートすることも望ましい。
その他にも中空構造体26の表面処理としては、フッ素系化合物(例えばフッ素系置換基をもったシランカップリング剤など)、長鎖アルキル系化合物(例えば長鎖アルキル置換基をもったシランカップリング剤など)、フッ素系ポリマーなどの種々ポリマーなどを反応させる、あるいはコートすることも望ましい。
なお、中空構造体26と分散媒31との相互間の屈折率差は、例えば、0.01以上1以下程度とすることがよい。屈折率差が小さいと、中空構造体26の透明性が高まるため、光学特性の上から望ましい。
次に、移動性粒子としての電気泳動粒子28について説明する。電気泳動粒子28は、電界(電圧)の作用により移動可能な着色粒子である。
電気泳動粒子28は、中空構造体26の空隙構造へ上記連通孔26Bを介して入り込める大きさであることが好ましく、具体的には、その体積平均一次粒径が10nm以上2μm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm以上1μm以下であり、さらに好ましくは20nm以上500nm以下である。
電気泳動粒子28としては、電界中に置かれた場合に電界勾配方向に沿って分散媒31中を移動できるように、正負いずれかの極性に帯電する特性を有する粒子であることが望ましい。例示すれば、様々な色の顔料粒子や酸化チタン等の着色粒子、顔料粒子の表面に帯電のための官能基やポリマーを固定したもの、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂粒子の表面に着色剤を固定したもの、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂中に着色剤を含有する粒子等を用いることができる。粒子表面は様々な処理によって帯電されていることが望ましく、上記したように帯電官能基をもった化学物で処理、固定する方法、帯電性ポリマーで被覆する方法、分散媒中に界面活性剤などの分散剤を添加し、これが同時に帯電性をコントロールする方法等によって実現できる。
電気泳動粒子の製造に使用される熱可塑性樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
また、電気泳動粒子の製造に使用される熱硬化性樹脂としては、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体や架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等を使用することができ、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤を挙げることができる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等を代表的なものとして例示することができる。
また、空気を内包した多孔質のスポンジ状粒子や中空粒子は白色粒子として使用できる。
電気泳動粒子28の樹脂には、必要に応じて、帯電制御剤を混合してもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子を挙げることができる。
電気泳動粒子28の内部や表面には、必要に応じて、磁性材料を混合してもよい。磁性材料は必要に応じてカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料を使用する。また、透明な磁性材料、特に、透明有機磁性材料は着色顔料の発色を阻害せず、比重も無機磁性材料に比べて小さく、より望ましい。
着色した磁性粉として、例えば、特開2003−131420公報記載の小径着色磁性粉を用いることができる。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等、選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが好ましい。この光干渉薄膜とは、SiO2やTiO2等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光を波長選択的に反射するものである。
電気泳動粒子28の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。外添剤の色は、粒子の色に影響を与えないように、透明であることが好ましい。
外添剤としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物等の無機粒子が用いられる。この無機粒子の帯電性、流動性、及び環境依存性等を調整するために、これらをカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理することができる。
カップリング剤には、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタン系カップリング剤、ニトリル系カップリング剤等の正帯電性のものと、窒素原子を含まない(窒素以外の原子で構成される)シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等の負帯電性のものがある。また、シリコーンオイルには、アミノ変性シリコーンオイル等の正帯電性のものと、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の負帯電性のものが挙げられる。これらは外添剤の所望の抵抗に応じて選択される。
上記外添剤の中では、よく知られている疎水性シリカや疎水性酸化チタンが好ましく、特に特開平10−3177記載のTiO(OH)2と、シランカップリング剤等のシラン化合物との反応で得られるチタン化合物が好適である。シラン化合物としてはクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。このチタン化合物は、湿式工程の中で作製されるTiO(OH)2にシラン化合物あるいはシリコーンオイルを反応、乾燥させて作製される。数百度という焼成工程を通らないため、Ti同士の強い結合が形成されず、凝集が全くなく、粒子は一次粒子の状態である。さらに、TiO(OH)2にシラン化合物あるいはシリコーンオイルを直接反応させるため、シラン化合物やシリコーンオイルの処理量を多くすることができて、シラン化合物の処理量等を調整することにより帯電特性を制御でき、且つ付与できる帯電能も従来の酸化チタンのそれより顕著に改善することができる。
外添剤の体積平均一次粒子径は、一般的には5nm以上100nm以下であり、望ましくは10nm以上50nm以下であるが、これに限定されない。
外添剤と電気泳動粒子28の配合比は、電気泳動粒子28の体積平均一次粒径と外添剤の体積平均一次粒径の兼ね合いから調整される。外添剤の添加量が多すぎると粒子表面から該外添剤の一部が遊離し、これが他方の粒子の表面に付着して、所望の帯電特性が得られなくなる。一般的には、外添剤の量は、粒子100重量部に対して、0.01重量部以上3重量部以下、より望ましくは0.05重量部以上1重量部以下である。
電気泳動粒子28の表面に外添剤を添加する場合は、電気泳動粒子表面に外添剤を衝撃力で打込んだり、電気泳動粒子表面を加熱して外添剤を粒子表面に強固に固着させたりすることが望ましい。これにより、外添剤が電気泳動粒子から遊離し、異極性の外添剤が強固に凝集して、電界で解離させることが困難な外添剤の凝集体を形成することが防止され、ひいては画質劣化が防止される。
上記電気泳動粒子28を作製する方法としては、従来公知のどの方法を用いてもよい。例えば、特開平7−325434公報記載のように、樹脂、顔料および帯電制御剤を所定の混合比になるように計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機を用いて粒子を調製し、得られた粒子をその後分散媒に分散する方法が使用できる。また、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法で帯電制御剤を粒子中に含有させた粒子を調製し、その後分散媒に分散して粒子分散液を作製してもよい。さらにまた、樹脂が可塑化可能で、分散媒が沸騰せず、かつ、樹脂、帯電制御剤および/または着色剤の分解点より低い温度で、前記の樹脂、着色剤、帯電制御剤および分散媒の原材料を分散および混錬することができる適当な装置を用いる方法がある。具体的には、流星型ミキサー、ニーダー等で顔料と樹脂、帯電制御剤を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を撹拌しながら冷却し、凝固/析出させて電気泳動粒子を作製することができる。
さらにまた、分散および混練のための粒状媒体を装備した適当な容器、例えばアトライター、加熱したボールミルの等の加熱された振動ミル中に上記の原材料を投入し、この容器を好ましい温度範囲、例えば80℃以上160℃以下の範囲内で分散および混練する方法が使用できる。粒状媒体としては、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が好ましく用いられる。この方法によって電気泳動粒子を作製するには、あらかじめ流動状態にした原材料をさらに粒状媒体によって容器内に分散させた後、分散媒を冷却して分散媒から着色剤を含む樹脂を沈殿させる。粒状媒体は冷却中および冷却後にも引き続き運動状態を保ちながら、剪断および/または、衝撃を発生させ粒子径を小さくする。
なお、本実施の形態における表示媒体10において用いる電気泳動粒子28としては、分散媒31に分散した状態で発色する特性を有する電気泳動粒子28を使用してもよい。
ここで、「分散媒に分散した状態で発色する」とは、電気泳動粒子28が分散媒中に分散している状態で、電気泳動粒子28が分散している分散液を目視したときに観測できる色相を呈することをいう。なお、この場合の色相の観測は、目視方向に対する分散液の厚みが10μm以上1cm以下程度の範囲内で観測されることを意味する。色相は、電気泳動粒子28の形状や粒径等、また電気泳動粒子28を構成する材料等を変化させることにより多彩とすることができる。
分散した状態で発色する電気泳動粒子28としては、有機顔料、無機顔料、着色ガラス、染料等の着色剤や、これら着色剤を含んでなる樹脂粒子、また、金属粒子などが利用でき、必要に応じて、これら粒子の表面にシランカップリング剤等により表面処理を施したものも利用できる。一例を挙げれば、懸濁重合法により作製される黒色のカーボンを分散させたPMMA(ポリメチルメタアクリレート)樹脂から構成される粒子を用いることができる。
なお、着色剤として用いられる有機顔料、無機顔料、染料としては公知のものが利用できるが、有機顔料としては、例えばアゾ系顔料、ポリ縮合アゾ系顔料、メタルコンプレックスアゾ系顔料、フラバンスロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラピリジン系顔料、ピランスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、チオインジゴ系顔料、インダンスレン系顔料等が挙げられ、無機顔料としては、例えば亜鉛華、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アンチモン白、カーボンブラック、鉄黒、硼化チタン、ベンガラ、マピコエロー、鉛丹、カドミウムエロー、硫化亜鉛、リトポン、硫化バリウム、セレン化カドミウム、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫酸鉛、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、鉛白、アルミナホワイト等が挙げられ、染料としては、たとえば、ニグロシン系染料、フタロシアニン系染料、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、メチン系染料等が挙げられる。
なお、着色剤を含んでなる樹脂粒子は、例えば、着色剤を分散させた樹脂固形物を混練粉砕する等の公知の乾式製法や、着色剤や樹脂等の原料を分散させた分散液中で造粒して樹脂粒子を得る公知の湿式製法により作製したものが利用できる。
分散状態で発色する電気泳動粒子としては、金属粒子も利用でき、必要に応じて、この粒子の表面にシランカップリング剤等により表面処理を施したものも利用できる。なお、金属粒子としては貴金属を含む金属粒子が特に好ましい。
電気泳動粒子として利用される金属粒子は、プラズモン発色機能を有し、粒子そのものが発色する特性を有する。
金属粒子のプラズモン発色は、電子のプラズマ振動に起因し、プラズモン吸収と呼ばれる発色機構によるものである。このプラズモン吸収による発色は、金属中の自由電子が光電場により揺さぶられ、粒子表面に電荷が現れ、非線形分極が生じるためであるとされている。この金属粒子による発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性等に優れている。この金属粒子による発色は、体積平均一次粒径が数nm以上数十nm以下程度の、いわゆるナノ粒子において見られるものである。なお、色相の鮮やかさの観点からは、粒径分布がより狭い金属粒子であるほど有利である。それゆえ、金属粒子の平均粒径(体積平均一次粒径)としては1nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましく、5以上50nm以下の範囲内であることが好ましい。
金属粒子は、この粒子に含まれる金属の種類や、粒子の形状、体積平均一次粒径により、様々な色に発色させることができる。そのため、これらを制御した金属粒子を用いることにより、RGB発色を含む様々な色相を得ることができる。それゆえ、分散媒中にプラズモン発色機能を有する金属粒子を分散させた分散液を用いて表示媒体作製すればカラー表示が可能である上に、R、G、Bに対応した各色の金属粒子分散液を用いればRGB方式の表示媒体を作製することもできる。
RGB方式のR、G、Bそれぞれの色を呈するための金属粒子の体積平均一次粒径としては、用いる金属や、粒子の調製条件、形状等に依存するため、特に限定することができないが、例えば、金コロイド粒子の場合、体積平均一次粒径が大きくなるに従って、R発色、G発色、B発色を呈する傾向にある。
金属粒子に含まれる金属としては、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の公知の貴金属類が好ましく、特に金および/または銀が好ましい。また、貴金属類以外の金属(例えば、銅)なども利用できる。また、金属粒子には2種類以上の金属が含まれていてもよい。
また、電気泳動粒子28の帯電性を制御するために、必要に応じて電気泳動粒子表面を表面処理(親水性処理又は疎水性処理)することもできる。
表面処理方法としては、シランカップリング剤などの表面処理剤による化学的処理法や電気泳動粒子表面に何らかの物理的刺激を付与して表面改質する物理的処理法が挙げられるが、本発明においては、化学的処理法を利用することが好ましい。
使用可能な表面処理剤は、電気泳動粒子の粒子本体を構成する材料との親和性も考慮して選択することができるが、例えば、疎水性処理には、シラン系化合物やシリコーン化合物、脂肪酸類等が利用できる。
ここで疎水性処理に用いられるシラン系化合物としては、電気泳動粒子本体と反応する反応性部分と疎水性部分とを含む分子構造を持つ公知のシランカップリング剤が利用できる。
具体的には、Octadecyltrimethoxysilane、Phenethyltrimethoxysilane、Aminopropyltriethoxysilane、3−Aminopropyltrimethoxysilane、Metacryloxytrimethoxysilane、Methoxytrimethylsilane、3−Aminopropyldiethoxymethylsilane、N−(2−Aminoethyl)−3−aminopropyltrimethoxysilane、N−(2−Aminoethyl)−3−aminopropylmethyldimethoxysilane等を挙げることができる。
疎水性処理に用いられるシリコーン化合物としては、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等を挙げることができる。
疎水性処理に用いられる脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ヒドロキシ脂肪酸、カプロン酸、カプリル酸、パルミチン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、エルカ酸、これらの、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩またはエステル等を挙げることができる。
電気泳動粒子28の分散液中の濃度(重量比)は、中空構造体26の空隙構造の体積によって変わるが、分散媒31に対して0.01重量%以上70重量%以下が好ましく、より好ましくは0.05重量%以上50重量%以下であり、より好ましくは、0.1重量%以上20重量%以下である。電気泳動粒子28(移動性粒子も含む)の濃度が小さすぎると、発色濃度が小さくなると言う問題が生じる場合があり、多すぎると中空構造体26の空隙構造に入り込めなくなる粒子が出てくる。
なお、本実施形態では、基板間に封入される粒子として電気泳動粒子28を用いた形態を説明しているが、この粒子としてはその他、磁気移動性粒子が挙げられる。磁気移動性粒子は、磁気の作用(磁気泳動法)により移動する粒子であり、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;:Fe、Co、Niのような金属あるいはこれらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金;及びこれらの混合物等が挙げられる。具体的には、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミニウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。本発明では磁性材料として、少なくとも磁性鉄を含有し、他に必要に応じて上述した磁性材料を一種又は二種以上任意に選択して使用することが可能である。
磁気移動性粒子は好ましい特性を得るために表面に官能基を修飾してもかまわない。また、界面活性剤を添加し表面への界面活性剤の吸着によるものでもかまわない。このとき表面に修飾させる官能基としてはアミノ基、アンモニウム基、ハロゲン基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、チオール基などが挙げられる。また、他の素材でコア−シェル構造を形成させてもかまわない。
また、磁気移動性粒子を適用する場合、粒子を中空構造体26の内部または外部に選択的に配置させるための装置としては、磁気発生装置(例えば電磁石、フェライト磁石、ネオジウム磁石、サマコバ磁石、アルニコ磁石、ラバー磁石、キャップ磁石等)が適用される。
次に、分散媒31について説明する。分散媒31は、電気泳動粒子28を分散させるための媒体である。分散媒31としては、水、有機溶媒(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類;エーテル類;エステル類;等の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ピロリドン誘導体、)、油類(例えば、脂肪族、は芳香族系有機溶媒、種々シリコーンオイル、各種アイソパー)、イオン液体が挙げられる。特に、分散媒31の溶媒としては高沸点で揮発性の低いものが好ましく、各種アイソパー、各種シリコーンオイルやイオン液体を適用することがよい。本発明で使用する電気泳動材料は、前記した種々の泳動粒子を上記の分散媒に分散したものである。分散に際しては、各種分散機を用いたり、界面活性剤などの添加剤を添加することは従来技術と同様に実施される。泳動粒子の分散は、極力、均一であることが重要であり、長時間の分散安定性を持つように最適化されていることが望ましい。
次に電極について説明する。表示基板12に設けられている電極18、及び背面基板14に設けられている電極22は、表示基板12と背面基板14との基板間に電界を形成することで電気泳動粒子28を中空構造体26の内部または外部に選択的に配置させるための配置手段として機能する。
この電極18及び電極22の構成材料としては、炭素材料、金属(銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、プラチナなど等)、金属酸化物(酸化スズ、酸化スズ−酸化インジウム(ITO)等)、導電性高分子(ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類、ポリアセチレン類等)、導電性高分子と前述の金属や金属酸化物の粒子との複合材料からなる電極などが好ましく用いられる。
なお、配置手段(電界付与手段)としては、電極に限られず、導電性材料で構成されていればよく、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、銀、カドニウム、インジウムなどの金属、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリメチルチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレンなどの導電性高分子、高分子マトリックスに金属粒子あるいは炭素粒子などを混練して導電性を持たせた樹脂、炭素材料などが挙げられる。
表示基板12及び背面基板14各々の、支持基板16及び支持基板20各々の構成材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属、金属フイルム、セラミックス等が使用可能である。特に、表示基板12及び背面基板14として屈曲性のあるフイルム基板を用いた場合はフレキシブル性(可とう性、屈曲性)を有する素子となる。
また、背面基板14を構成する支持基板20は、有色であってもよし、有色体を有していてもよい(例えば、着色フィルムを基板面に貼り付ける)。背面基板14を有色とすることで、さらなる多色表示が可能となる。
スペーサー兼シール部24としては、例えば、樹脂、金属酸化物、ガラスなどで構成することができる。また、スペーサー兼シール部24は、特に制限はないが、基板間の間隙が、中空構造体26及び分散媒31の配置領域を確保するために充分な間隙が確保されるように、配置されている。
スペーサー兼シール部24の形状は安定して間隙を維持できるものであれば特に限定されないが、例えば、球、立方体、柱状のものなどの独立した形状のものが好ましく用いられる。
このような構成の本実施形態に係る表示媒体10では、表示基板12に設けられた電極18と背面基板14に設けられた電極22とに電圧を印加することで、表示基板12と背面基板14との間に電界を形成する。この電極18と電極22とに電圧が印加されることによって、電気泳動粒子28が背面基板14側から表示基板12側へと向かう方向に電気勾配が形成されると、電気泳動粒子28は、図4(A)に示すように、表示基板12側へと移動して、中空構造体26の連通孔26Bを介して空隙構造内の空孔26A内に入り込む(図4(B))参照。
この中空構造体26の空隙構造内の空孔26A内に入り込んだ電気泳動粒子28は、中空構造体26の空隙構造の内部に拘束された状態となるため、この状態で電極22と電極18とへの電圧印加を停止した場合であっても、電気泳動粒子28は中空構造体26の内部に拘束されたままとなる。
従って、画像保存性の低下を抑制可能な表示媒体10を提供することができる。
なお、中空構造体26の表面を上述のように表面処理すれば、さらに中空構造体26の内部に拘束された電気泳動粒子28の拘束性能等を、表面処理されていない場合に比べて向上させることができる。
なお、上記実施の形態では、表示媒体10は、図1に示すように、表示基板12と背面基板14との基板間に中空構造体26と分散媒31と電気泳動粒子28とを備えた構成である場合を説明したが、図5に示すように、表示媒体11は、さらに電気泳動粒子28を拘束するための拘束層32を設けた構成であってもよい。
図5に示す表示媒体11は、表示基板12と、背面基板14と、表示基板12と背面基板14との間隙を保持するためのスペーサー兼シール部24と、表示基板12に連続して配置された中空構造体26と、分散媒31と、電気泳動粒子28と、を含んで構成されると共に、更に、背面基板14の表示基板12との対向方向側の表面には、拘束層32が設けられている。
この拘束層32は、電気泳動粒子28を拘束するための層であって、基板間に形成された電界に応じて、電気泳動粒子28を拘束可能な構成であればよい。
なお、上記表示媒体10の構成とすることにより、画像保持性の低下を抑制することができるので、必ずしも拘束層32を背面基板14側に更に設けなくてもよいが、このように背面基板14に拘束層32を設けた構成の表示媒体11とすることによって、背面基板14に拘束層32が設けられていない表示媒体10に比べて、さらに画像保持性の低下を抑制することができる。
拘束層32としては、上記特性を有する層であればそのような構成であってもよいが、例えば、拘束層32としては、上述のように中空構造体26と同一構成であってもよく、また、上記説明した表面処理(中空構造体26の空隙構造の連通孔26B及び空孔26Aと接する領域)を、背面基板14の表面(背面基板14の表示基板12との対向面)に施しても良い。特に画像保持性の観点から、拘束層32は上述のように中空構造体26と同一構成の方がより望ましい。
このような拘束層32を設けることによって、基板間に電界が形成されることで表示基板12側から背面基板14側へと移動した電気泳動粒子28を背面基板14側に拘束することができ、さらに表示媒体11の画像保存性の低下を抑制することができる。
また、この拘束層32は、着色されていてもよく、着色された構成とする場合には、この拘束層32の色が表示基板12側から視認されることによって、さらなる多色表示を実現することができる。
なお、表示媒体10は、図6に示すように、表示基板12と背面基板14との基板間に、表示基板12側から入射した光または背面基板14側から入射した光を隠蔽する隠蔽層34が設けられた構成であってもよい。
図6に示す表示媒体13は、表示基板12と、背面基板14と、表示基板12と背面基板14との間隙を保持するためのスペーサー兼シール部24と、表示基板12に連続して配置された中空構造体26と、分散媒31と、電気泳動粒子28と、拘束層32と、を含んで構成されると共に、更に、表示基板12と背面基板14との基板間に、表示基板の面方向に沿って隠蔽層34が設けられている。
この隠蔽層34は、帯電されておらず、少なくとも電気泳動粒子28とは異なる光学的反射特性を有しており、電気泳動粒子28とは異なる色を示し表示基板12側から入射した光または背面基板14側から入射した光を隠蔽する機能を有している。そして、背面基板14と表示基板12との基板間の電気泳動粒子28の移動を阻害することなく移動させるための空隙を有している。電気泳動粒子28とは異なる色を示す隠蔽層34を用いることで、多彩な色を得られる。
ここで、本実施の形態における「隠蔽」とは、可視光に対して50%以下の透過率を示す場合を意味している。
この隠蔽層34の色は、明るい白い背景で表示を行なうことができるとの理由から、白色であることが好ましく、白色度が30%以上であることが好ましく、40%以上であることが特に好ましい。
なお、この白色度は、白さの尺度をいい、具体的にはJIS−P8123に記載の方法に従い、ハンター白色度計やX−rite測色計を用いて測定した値である。
隠蔽層34としては、上記特性を有するものであればどのような構成であってもよいが、例えば、電気泳動粒子28より大きな粒径を有する大径粒子の集合体で構成してもよい。さらには、泳動粒子の通過できる孔が設けられた着色フイルム、着色した繊維の集合体や不織布などが使用できる。
例えば、隠蔽層34を大径粒子の集合体で構成する場合には、この大径粒子としては、例えば、酸化チタンや酸化ケイ素、酸化亜鉛などの白色顔料を、ポリスチレンやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PMMA、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物などに分散した粒子が使用できる。また、着色部材を構成する粒子として、白色以外の粒子を適用する場合、例えば、所望の色の顔料、あるいは染料を内包した前記した樹脂粒子を使用することができる。顔料や染料は、例えばRGBやYMC色であれば、印刷インキやカラートナーに使用されている一般的な顔料あるいは染料を使用できる。
大径粒子の集合体からなる隠蔽層34を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、大径粒子の集合体からなる隠蔽層34を固定化する場合、例えば、大径粒子の集合体からなる隠蔽層34を封入した後、加熱(及び必要があれば加圧)して、大径粒子の粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行うことができる。
このような隠蔽層34を基板間にさらに設けた構成とすれば、明るい背景色(下地)をベースに泳動粒子の色とのコントラスト比を高くできるという効果が得られる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、本実施例は、図1、図5、図6各々に示す表示媒体と同様な構成のものを作製し、評価した。
(実施例1)
まず、図6に示す表示媒体を作製し、評価した。
なお、本実施例1では、表示媒体13に設けられている中空構造体26と拘束層32とは同一構造とし、これら中空構造体26及び拘束層32は、内部に外部と通じる孔を有する空隙構造を備えた中空構造体とした。
まず、表示基板12側に設けられた中空構造体26、及び背面基板14側に設けられ電気泳動粒子を拘束するための拘束層32を、上述のように同一構造として、以下の手法で作製した。
表示基板12及び背面基板14として、ITOガラス基板(5cm×10cm、厚み2mm)を1枚ずつ用意し、このITO面に体積平均一次粒径3.0μmの単分散ポリスチレン粒子(商品名:5300A、Duke Scientific社製)のエタノール懸濁液をワイヤバーで塗布・乾燥して基板上に約20μmのポリスチレン粒子からなる構造体層を形成した。
このポリスチレン粒子層を鋳型として、SiO粒子懸濁水溶液(SiO粒子の体積平均一次粒径6nm、濃度10重量%、商品名:カタロイド。触媒化成工業(株))をディップコート法により、当該構造体の粒子間隙に充填し、さらに500℃で1時間加熱することでポリスチレン粒子を分解させると共に、厚さ約20μmのシリカ多孔質体を得た。
得られたシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)を走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、ポリスチレン粒子とほぼ同形状の空隙構造が形成された多孔質体で、全ての孔が繋がっている事が観察された。この空隙構造を構成する孔、すなわち空孔26Aの長径は、3μm、空隙構造を構成する孔間あるいは外部との間の連通孔26Bの長径は500nmであった。
また、この連通孔26Bは、このシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)の表面から内部まで連続した空間を形成していた。このシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)の膜厚から、この空孔26Aは約8層(周期)で構成されていると考えられる。
分散媒31に電気泳動粒子28を分散させた分散液としては、マゼンタ色の顔料を含んだポリマー粒子(体積平均一次粒径200nm)を電気泳動粒子28として、この電気泳動粒子28を分散媒31としてのシリコーンオイルに分散させた分散液を使用した。なお、この分散液中のポリマー粒子の濃度は2重量%であった。この電気泳動粒子28はプラスに帯電しているため、シリコーンオイル中に分散されている場合には、負極方向に泳動する特性を示す。
以上のことから、本実施例1では、中空構造体26の連通孔26Bの長径および中空構造体26の空孔26Aは、電気泳動粒子28の体積平均一次粒径(200nm)に対してそれぞれ2.5倍、15倍であった。
次に、隠蔽層34として、酸化チタン粒子(体積平均一次粒径0.2μm)を60重量%で内部に分散した体積平均一次粒径10μmのポリメタクリル酸メチル粒子を利用し、先に上記拘束層32を形成した背面基板14の、拘束層32上に、このポリメタクリル酸メチル粒子をエタノールに5重量%で分散した分散液を塗布して、白色粒子からなる層を隠蔽層34として形成した。この隠蔽層34の厚みは、50μmであった。
次に、背面基板14に100μmの樹脂スペーサーを設けた後に、この樹脂スペーサーを介して、上記中空構造体26の形成された表示基板12を、中空構造体26と背面基板14上に設けられた拘束層32とが向かい合うように重ねて、一部の開口部を残してサイドシールを行った。さらに開口部から減圧法によって、上記分散媒31に電気泳動粒子28を分散させた分散液を充填した後に、開口部をシールして評価用の表示媒体13を作製した。
この作製した表示媒体13に電極18及び電極22から30Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、マゼンタ色および白色を交互に表すことができた。
また、白色表示時の反射率を、X−rite社製X−rite404により測定したところ、最大約60%であった。さらに、マゼンタ色表示の反射率をマゼンタ領域で測定すると10%であった。
また、直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を測定したところ、変化はみられなかった。
このため、画像保持性の低下を抑制可能な表示媒体13が得られたことが確認できた。
(実施例2)
実施例1で作製したシリカからなるシリカ多孔質体(中空構造体26)を、カルボキシル塩含有シランカップリング剤によって負極性に帯電処理することで、より高いメモリー効果を得ることを以下の実験によって確認した。
実施例1と同じ方法によって作製したシリカ多孔質体を形成した表示基板12のシリカ多孔質体を、カルボキシル塩を含有した
シランカップリング剤(チッソ株式会社製、商品名カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩)の2重量%エタノール溶液でリンスし、100℃で加熱乾燥させた。次に、フーリェ変換赤外吸収スペクトル測定(以下「FT−IR測定」と称することがある)を行ったところ、シリカ多孔質体が前記化合物で処理され、カルボキシル塩基が形成されていることがわかった。
実施例2では、シリカ多孔質体(中空構造体26)として、実施例2で示す上記表面処理を行ったものを使用する以外は実施例1と全く同様な方法で表示媒体13を作製し、実施例1と同様にして評価を行ない、表示媒体13に電極18及び電極22から極性の異なる直流電圧を付与すると、マゼンタ色および白色を交互に表すことができた。
但し、実施例1では極性の異なる30Vの直流電圧を付与することでマゼンタ色及び白色を交互に表示することができたが、本実施例2においては、実施例1と同様に、白色表示時の反射率60%を得るためには、60Vの電圧印加が必要であった。
この結果は、シリカ多孔質体(中空構造体26)に実施例2における処理を行うことによって、電気泳動粒子28が実施例1に比べてより強い力でシリカ多孔質体に拘束されていることを示しているといえる。
また、実施例1と同様にして、直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を、表示面の反射率としてX−rite社製X−rite404により測定したところ、変化はみられなかった。さらに、一週間経過後の表示濃度についても、変化は見られなかった。このため、実施例1に比べて更に画像保持性の低下を抑制可能な表示媒体13が得られたことが確認できた。
以上の実施例2の結果から、表示媒体13の中空構造体26に実施例2における表面処理を行うことによって、画像保持性の低下をさらに抑制可能であることが分かった。
(実施例3)
実施例1で作製したシリカからなるシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)を、カルボキシル塩含有シランカップリング剤によって負極性に帯電処理することで、より画像保持性の低下の抑制可能であることを以下の実験によって確認した。
実施例1と同じ方法によって作製したシリカ多孔質体を形成した背面基板14及び表示基板12各々のシリカ多孔質体を、実施例2と同様な方法でカルボキシル塩を含有した
シランカップリング剤(チッソ株式会社製、商品名カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩)を用いて処理した。
実施例3では、シリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)として、実施例3で示す上記表面処理を行ったものを使用する以外は実施例1と全く同様な方法で表示媒体13を作製し、実施例1、2と同様にして評価を行ない、表示媒体13に電極18及び電極22から極性の異なる直流電圧を付与すると、マゼンタ色および白色を交互に表すことができた。
但し、実施例1では極性の異なる30Vの直流電圧を付与することでマゼンタ色及び白色を交互に表示することができたが、本実施例3においては、実施例1と同様に、白色表示時の反射率60%を得るためには、60Vの電圧印加が必要であった。
この結果は、シリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)に実施例3における処理を行うことによって、電気泳動粒子28が実施例1に比べてより強い力でシリカ多孔質体に拘束されていることを示しているといえる。
また、実施例1と同様にして、直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を、表示面の反射率としてX−rite社製X−rite404により測定したところ、変化はみられなかった。さらに、一週間経過後の表示濃度についても、変化は見られなかった。このため、実施例1に比べて更に画像保持性の低下を抑制可能な表示媒体13が得られたことが確認できた。
以上の実施例3の結果から、表示媒体13の中空構造体26に実施例3における表面処理を行うことによって、画像保持性の低下をさらに抑制可能である)ことが分かった。
(実施例4)
実施例1で作製したシリカからなるシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)を、実施例3とは逆極性である正極性に帯電処理した表示媒体13を作製し、評価を行った。
実施例1と同じ方法によって作製したシリカ多孔質体を形成した背面基板14及び表示基板12各々のシリカ多孔質体を、アミノ基を含有したシランカップリング剤(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)(信越化学社製、)の2重量%エタノール溶液でリンスし、100℃で加熱乾燥させた。次に、FT−IR測定を行ったところ、シリカ多孔質体が前記化合物で処理され、アミノ基が形成されていることがわかった。
実施例4では、シリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)として、実施例4で示す上記表面処理を行ったものを使用する以外は実施例1と全く同様な方法で表示媒体13を作製し、実施例1と同様にして評価を行ない、表示媒体13に電極18及び電極22から極性の異なる直流電圧を付与すると、マゼンタ色および白色を交互に表すことができた。
但し、実施例1では極性の異なる30Vの直流電圧を付与することでマゼンタ色及び白色を交互に表示することができたが、本実施例4においては、実施例1と同様に、白色表示時の反射率60%を得るためには、20Vの電圧印加が必要であった。
この結果は、シリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)に実施例4における表面処理を行うことによって、正帯電の電気泳動粒子28が正帯電のシリカ多孔質体と静電作用によって弱い力で拘束されていることを示しているといえる。
また、実施例1と同様にして、直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を、表示面の反射率としてX−rite社製X−rite404により測定したところ、変化はみられなかった。さらに、一週間経過後の表示濃度についても、変化は見られなかった。
以上の実施例4の結果から、実施例4における表面処理を行った中空構造体26が設けられた表示基板12を備えた表示媒体13の構成とすることで、画像保持性の低下を抑制可能であることが分かった。
以上の実施例4の結果から、表示媒体13の中空構造体26に実施例4における表面処理を行うことによって、画像保持性の低下をさらに抑制可能であることが分かった。
(実施例5)
図1に対応する構成(表示基板12側に中空構造体26が形成され、隠蔽層34、拘束層32が設けられていない構成)の表示媒体10を作製して評価を行なった。
実施例1と同じ方法によって、表示基板12側に中空構造体26を形成した。また、背面基板14として、ITOガラス基板(5cm×10cm、厚み2mm)を、その表面には中空構造体(拘束層)を形成せずに使用した。
電気泳動粒子分散液として実施例1と同様なマゼンタ色の顔料を含んだポリマー粒子(体積平均一次粒径200nm)を電気泳動粒子28として、この電気泳動粒子28を分散媒31としてのシリコーンオイルに分散させた分散液を使用した。また、この分散液に酸化チタン(粒径100nm:酸化チタンは電気泳動しない)を2重量%分散し、白色に着色させた。
実施例1と同様に基板を重ね合わせ、同様な手法で上記分散液を充填した後に、開口部をシールして評価用の表示媒体10を作製した。
この作製した表示媒体10に電極18及び電極22から30Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、白色の分散液の中をマゼンタ色の泳動粒子が移動するため、マゼンタ色および白色を交互に表すことができた。
また、白色表示時の反射率をX−rite社製X−rite404で測定したところ最大50%であった。
また、直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を、表示面の反射率としてX−rite社製X−rite404により測定したところ、マゼンタ表示状態は変化しなかったが白色表示状態はややマゼンタ色に色変化し、反射率が40%に低下することがわかった。これは、背面基板上には中空構造体が形成されていないため、粒子の保持性が低いことがその理由と考えられる。ただし、マゼンタ色表示状態では画像保持性の低下を抑制可能である表示媒体10が得られたことが確認できた。
(実施例6)
図5に対応する構成(表示基板12側に中空構造体26が形成され、背面基板14側に拘束層32が形成された構成)の表示媒体11を作製し評価を行なった。実施例5と同じプロセスによって、また、背面基板14側に実施例1と同じ拘束層32が形成された基板を用いる以外は同じ構成の表示媒体11を作製した。
実施例5と同様に直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を測定したところ、マゼンタ色表示状態も白色表示状態も変化は無く双方とも、画像保持性の低下を抑制可能であることが確認された。
(実施例7)
実施例1と全く同じ方法で、中空構造体を形成する時に使う単分散ポリスチレン粒子として体積平均一次粒径2.0μmの単分散ポリスチレン粒子(Duke Scientific社製)のエタノール懸濁液を使うこと以外は同様なプロセスによって基板上にシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)を作製した。走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、ポリスチレン粒子とほぼ同形状の空隙構造が形成された多孔質体で、全ての孔が繋がっている事が観察された。この空隙構造を構成する孔、すなわち空孔26Aの長径は、2μm、空隙構造を構成する孔間あるいは外部との間の連通孔26Bの長径は350nmであった。
また、この連通孔26Bは、このシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)の表面から内部まで連続した空間を形成していた。このシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)の膜厚から、この空孔26Aは約12層(周期)で構成されていると考えられる。
分散媒31に電気泳動粒子28を分散させた分散液としては、マゼンタ色の顔料を含んだポリマー粒子(体積平均一次粒径200nm)を電気泳動粒子28として、この電気泳動粒子28を分散媒31としてのシリコーンオイルに分散させた分散液を使用した。なお、この分散液中のポリマー粒子の濃度は2重量%であった。この電気泳動粒子28はプラスに帯電しているため、シリコーンオイル中に分散されている場合には、負極方向に泳動する特性を示す。
以上のことから、本実施例7では、中空構造体26の連通孔26Bの長径および中空構造体26の空孔26Aは、電気泳動粒子28の体積平均一次粒径(200nm)に対してそれぞれ1.75倍および10倍であった。
実施例1と同様な材料、構成の表示媒体13を作製した。
この作製した表示媒体13に電極18及び電極22から30Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、マゼンタ色および白色(最大反射率は60%)を交互に表すことができた。
一方で直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を、表示面の反射率としてX−rite社製X−rite404により測定したところ、変化はみられなかった。
このため、画像保持性の低下を抑制可能である表示媒体13が得られたことが確認できた。
(実施例8)
実施例1と同じプロセスで、中空構造体を形成する時に使う単分散ポリスチレン粒子として体積平均一次粒径1.0μmの単分散ポリスチレン粒子(Duke Scientific社製)のエタノール懸濁液を使うこと以外は同様にして基板上にシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)を作製した。走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、ポリスチレン粒子とほぼ同形状の空隙構造が形成された多孔質体で、全ての孔が繋がっている事が観察された。この空隙構造を構成する孔、すなわち空孔26Aの長径は、1μm、空隙構造を構成する孔間あるいは外部との間の連通孔26Bの長径は150nmであった。
また、この連通孔26Bは、このシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)の表面から内部まで連続した空間を形成していた。このシリカ多孔質体(中空構造体26及び拘束層32)の膜厚から、この空孔26Aは約24層(周期)で構成されていると考えられる。
以上のことから、本実施例8では、中空構造体26の連通孔26Bの長径および中空構造体26の空孔26Aは、電気泳動粒子28の体積平均一次粒径(200nm)に対してそれぞれ0.75倍および5倍であった。
実施例1と同様な材料、構成の表示媒体13を作製した。
この作製した表示媒体13に電極18及び電極22から30Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、マゼンタ色および白色(最大反射率は60%)を交互に表すことができた。一方で直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後の表示濃度と、該電圧付与の停止から1時間経過後の各々の表示濃度を、表示面の反射率としてX−rite社製X−rite404により測定したところ、特にマゼンタ色表示の反射率(マゼンタ色領域)が10%から40%へ大きく変化することがわかった。この結果は、中空構造体26の連通孔26Bの径が泳動粒子よりも小さいため、粒子が多孔質層の内部に移動できず、実施例7ほどは粒子の保持性が得られないためと考えられる。ただし白色表示状態では画像保持性の低下を抑制可能である表示媒体13が得られたことが確認できた。
(比較例1)
比較例1として、中空構造体26及び拘束層32の設けられていない表示媒体を作製して評価を行った。
比較例1の表示媒体としては、中空構造体26及び拘束層32としてのシリカ多孔質体を設けない事以外は実施例1と同様にして表示媒体を作製した。
この比較例1で作製した表示媒体について、実施例1と同様にして評価を行ない、表示媒体13に電極18及び電極22から極性の異なる20Vの直流電圧を交互に付与すると、マゼンタ色および白色を交互に表すことができた。なお、白色表示時の反射率は60%であった。
また、実施例1と同様にして、直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)すると、数分後には色濃度が大きく変化し、表示面の反射率としてX−rite社製X−rite404により測定したところ、電圧付与停止直後の反射率(マゼンタ色領域)が、電圧付与停止から5分後には10%から20%に変化した。
このため、比較例1で作製した表示媒体は、安定な画質保持性を持っていないことが明らかとなった。また、この比較例1から、上記実施例1〜実施例7における表示媒体における中空構造体26の存在が、電気泳動粒子28の拘束、つまり画像保持性の低下を抑制する観点において高い効果を有することが判明した。
(比較例2)
実施例5の構成において中空構造体26を省いた表示媒体を作製し、中空構造体26の有無の効果について比較評価した。
この作製した表示媒体に電極18及び電極22から30Vの極性の異なる直流電圧を付与すると、白色の分散液の中をマゼンタ色の泳動粒子が移動するため、マゼンタ色および白色を交互に表すことができた。
白色表示時の反射率を、X−rite社製X−rite404により測定したところ、最大約50%であった。また、マゼンタ色時の反射率(マゼンタ領域)は10%であった。
直流電圧を付与することによって白色表示状態とマゼンタ色表示状態の各々の状態を形成した状態で電圧付与を停止(電場をOFF)直後からの反射率の変化を測定したところ、マゼンタ表示状態では5分後には白色が強い色に変化し反射率が10%から30%に大きく変化することがわかった。これは、表面基板上には中空構造体が形成されていないため、粒子の保持性が低く、マゼンタ色粒子が基板上から移動してしまい白色粒子と混合したものと考える。この比較評価から、表面基板側に存在する中空構造体によって画像保持性の低下を抑制可能であることが確認された。
実施形態に係る表示装置を示す概略構成図である。 実施形態に係る表示装置における中空構造体を説明する模式図である。 本実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する模式図である。 実施形態に係る表示装置における中空構造体の空隙構造に移動性粒子を偏在させた例を示す模式図であり、(B)が空隙構造に移動性粒子が入り込んだ例であり、(A)が空隙構造から移動性粒子が出て行った例を示す。 本実施の形態の表示装置の図1とは異なる構成を示す概略構成図である。 本実施の形態の表示装置の図1とは異なる構成を示す概略構成図である。
符号の説明
10、11、13 表示装置
12 表示基板
14 背面基板
26 中空構造体
28 電気泳動粒子
32 拘束層

Claims (9)

  1. 少なくとも可視光領域の光を透過する表示基板と、
    前記表示基板に間隙をもって対向して配置された背面基板と、
    少なくとも前記表示基板の前記背面基板との対向面側に積層され、少なくとも可視光領域の光を透過すると共に内部に外部と通じる孔を有する空隙構造を備えた中空構造体と、
    前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入され、該基板間に形成された電界に応じて該基板間を移動し、前記中空構造体の内部または外部に配置される粒子と、
    前記粒子を分散する分散媒と、
    を備えた表示媒体。
  2. 前記中空構造体は、前記粒子を拘束する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  3. 前記背面基板の前記表示基板との対向面側に積層され、前記粒子を拘束する機能を有する拘束層をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示媒体。
  4. 前記拘束層が、内部に外部と通じる孔を有する空隙構造を備えた中空構造体であることを特徴とする請求項3に記載の表示媒体。
  5. 前記中空構造体の前記外部と通じる孔の孔径は、前記粒子の体積平均一次粒径に対して1.1倍以上20倍以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の表示媒体。
  6. 前記中空構造体の内部には、前記粒子を拘束するための表面処理がなされていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の表示媒体。
  7. 前記表示基板と前記背面基板との間において前記中空構造体より前記背面基板側に配置され、前記粒子が移動する空隙を有すると共に前記粒子とは異なる色を有する隠蔽層を更に備えた事を特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の表示媒体。
  8. 前記隠蔽層は、白色であることを特徴とする請求項7に記載の表示媒体。
  9. 少なくとも可視光領域の光を透過する表示基板と、前記表示基板に間隙をもって対向して配置された背面基板と、少なくとも前記表示基板の前記背面基板との対向面側に積層され、少なくとも可視光領域の光を透過すると共に内部に外部と通じる孔を有する空隙構造を備えた中空構造体と、前記表示基板と前記背面基板との基板間に封入され、該基板間に形成された電界に応じて該基板間を移動し、前記中空構造体の内部または外部に配置される粒子と、前記粒子群を分散する分散媒と、
    前記粒子を前記中空構造体の前記空隙構造の内部または外部に配置するための配置手段と、
    を備えた事を特徴とする表示装置。
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