JP2008094449A - 湯切り機能を備えた蓋体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形容器に用いる湯切り機能を備えた蓋体であって、湯切り口の開口が容易で、内容物に刻みネギ等の小さな具が含まれていてもこれらを流出させず、迅速に湯切りを行える蓋体を低コストで提供する。
【解決手段】前記蓋体を、表面に他の加工の位置合わせの基準となる印刷が施された紙の裏面にポリオレフィン系熱接着性樹脂を用いて押出しラミネート法でアルミ箔を貼合わせ、該アルミ箔面にイージーピール性シーラント層を積層した積層シートで形成し、該蓋体の一端に湯切り口開口用摘み片を設け、その近傍に、裏側から前記紙層に入る深さに横長V字状の半切れ線と枠状の半切れ線とを順に設け、該積層シートの前記紙の裏面には、予め横長V字状の半切れ線から枠状の半切れ線迄を含み、枠状の半切れ線の内側は除く形状に易剥離性ニス層を設け、該蓋体の裏面には該枠状の半切れ線部を覆うようにプラスチック製のメッシュを熱接着して構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、湯切り機能を備えた蓋体に関し、更に詳しくは、即席焼きそばに代表される湯戻しが必要な乾燥即席食品の密封包装に使用する容器の蓋体であって、乾燥した即席食品を柔らかく湯戻しするために、容器内に熱湯を注入した後に、不要となった熱湯を迅速に排出するための湯切り機能を備えた蓋体に関する。
従来、上記のような湯切り機能を備えた蓋体としては、例えば、蓋体を、一方の面に剥離可能接着面を設けた表面基材と一方の面に熱接着性樹脂層を設けた湯切り基材とを、その剥離可能接着面と湯切り基材面とで剥離可能に接着した積層体で形成し、その蓋体の外周縁に少なくとも湯切り口開口用摘み部を設け、その湯切り口開口用摘み部側に前記熱接着性樹脂層側から前記湯切り基材を貫通するように規則性のある複数の湯切り口開口用ハーフカットを設けて構成し、使用時に前記湯切り口開口用摘み部を摘んで、前記表面基材をその剥離可能接着面で所望の面積だけ剥がす方法で、前記湯切り口開口用ハーフカットが設けられた湯切り基材を露出させて、そこから注入された熱湯を排出できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、カップ状容器の蓋材に用いる湯切り機能付き蓋材として、例えば、蓋材を、外側より少なくとも基材層/アルミニウム箔/シーラント層が順次積層された複合シートで構成し、その外形をカップ本体の開口部とほぼ同じ外形として、その一端に注湯口形成用つまみを設け、その反対側の端部に両端縁から内方に向けて先端部分が互いに重なるV字状の切れ目線を設けた排湯口形成用つまみを設けると共に、そのV字状の切れ目線を、斜歯状で、かつ、内方に行くにしたがい中央寄りに深くなり、V字部分の頂点では、左方の切れ目と右方の切れ目とが重なるように形成し、更に、そのV字状の切れ目線を、外側より基材層を経てアルミニウム箔にまでは達しない深さに設けて構成した湯切り機能付き蓋材がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−160757号公報(第2頁、第6頁〜第7頁、図2〜図5) 特開2003−312750号公報(第2頁〜第4頁、図1〜図5)
前記特許文献1に記載された発明の湯切り機能付き蓋体によれば、容器本体の上周縁に熱接着された蓋体を、その外周縁に設けられた湯切り口開口用摘み部を摘んで剥がすことにより、剥離可能に接着された表面基材が剥がされて、その下側の湯切り口開口用ハーフカットが設けられた湯切り基材が露出するようになるので、その湯切り基材の規則性のある複数の湯切り口開口用ハーフカットを通して、注入された熱湯を排出し、湯切りすることができる。
しかし、湯切り基材の規則性のある複数の湯切り口開口用ハーフカットは、規則性のある複数の切り目線で形成されているので、湯切りの際の内圧で切り目線が広がって、湯切りが可能になると記載されてはいるが、湯切りの際の内圧は、その取り扱い方法により必ずしも一定ではなく、内圧が低い場合は、切り目線の広がりが小さく湯切りに時間がかかる問題があり、内圧が高い場合は、切り目線の広がりが大きくなって湯切りを迅速に行えるが、その一方で、切り目線の両端が更に引き裂かれて湯切り口の開口が必要以上に大きくなり、熱湯と共に内容物が流出する問題があり、湯切り口の開口の安定性の面では問題があった。
更に、前記のような規則性のある多数のハーフカットの切り目線を設けるには、緻密で精巧な抜き型が必要であり、このような抜き型は製作に手間と時間を要し、費用も高くなるため、経済性の面でも不利となる問題があった。
また、前記特許文献2に記載された発明の湯切り機能付き蓋材では、湯切り機能を有すると同時に、ガスバリヤー性に優れた蓋材の提供を目的としているので、排湯口形成用のV字状の切れ目線を、斜歯状で、かつ、内方に行くにしたがい中央寄りに深くなり、V字部分の頂点では、左方の切れ目と右方の切れ目とが重なるように形成すると共に、このV字状の切れ目線を前記複合シートの外側から基材層を経てアルミニウム箔にまでは達しない深さに設けた構成としている。
従って、ガスバリヤー性の点では、確かに優れた蓋材にできるが、湯切り機能に関しては、例えば、実施例1に記載されているように、図1に示すような形状のV字状の切れ目線(a)を左右の切れ目線の間隔が約10mmで深さが約8mmとし、一本の切れ目線の長さが3mm程度で、切れ目と切れ目の間隔を約1mm程度とし、片側ずつ9本程度で形成し、このようなV字状の切れ目線(a)を図では3個並べて設けた構成としており、湯切りを迅速に行うためには、上記のように個々のV字状の切れ目線(a)は比較的大きな形状にする必要がある。しかし、排湯口をこのような大きさで設けると、内容物が比較的太い麺の場合は問題ないが、焼きそばなど麺が細く、且つ、麺と共に乾燥刻みネギなどの小さな具が添付されている場合は、湯切りの際に、麺がV字状の穴から突き出したり、特に刻みネギなどの小さな具は熱湯と共に排出されてしまう問題があった。
また、この発明の場合も、前記V字状の切れ目線(a)は、細かい切れ目線を緻密に配列して形成しているので、その抜き型の製作には手間と時間を要し、費用も高くなるため、経済性の面でも不利となる問題があった。
本発明は、前述のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、即席焼きそばに代表される湯戻しが必要な乾燥即席食品の密封包装に使用する容器の蓋体であって、簡単な操作で蓋体に設けられた湯切り口を開口することができ、且つ、開口された湯切り口は、個々の湯切り穴を十分に小さく且つ安定した形状と寸法にすることができ、内容物として麺と共に乾燥刻みネギなどの小さな具が添付されている場合でも、湯切りの際に、これらの小さな具が熱湯と共に排出されることがなく、更に、蓋体の積層構成もできるだけ簡略化すると共に、蓋体に湯切り口を設ける加工も容易で製造コストも低減できるという性能及び経済性に優れた湯切り機能を備えた蓋体を提供することである。
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、上部の開口部周縁にフランジ部が設けられた容器のフランジ部に熱接着して該容器を密封する蓋体において、
該蓋体が、アルミニウム箔の一方の面にポリオレフィン系熱接着性樹脂を使用して押し出しラミネート法で紙を貼り合わせ、もう一方の面に最内層としてイージーピール性シーラント層を積層した積層シートで形成され、
該蓋体の外周縁の一端に、容器内に注入された熱湯を排出する湯切り口を開口するための湯切り口開口用摘み片が設けられると共に、
該蓋体の該湯切り口開口用摘み片が設けられた端部寄りの領域には、湯切り口を開口させる開口構造として、該蓋体の裏側に、最内層のイージーピール性シーラント層から紙層に入る深さの湯切り口切り取り用の枠状のハーフカット線と、該枠状のハーフカット線と前記摘み片との間に前記深さに両側が広角に広がる横長V字状のハーフカット線とが設けられ、
また、該蓋体の紙層の前記ポリオレフィン系熱接着性樹脂層と接する側の面には、少なくとも前記横長V字状のハーフカット線部から前記枠状のハーフカット線部までを含む該蓋体全幅の領域で、且つ、前記枠状のハーフカット線の内側には僅かに入り込んだ部分を残してその内側を取り除いた形状に、予めパターンコートされた易剥離性ニス層が設けられ、
更に、該蓋体の最内層のイージーピール性シーラント層面には、前記枠状のハーフカット線で囲まれる部分を覆うようにプラスチック製のメッシュが、前記枠状のハーフカット線の外側周縁部に熱接着されて取り付けられていることを特徴とする湯切り機能を備えた蓋体からなる。
本発明において、前記プラスチック製のメッシュは、蓋体の最内層のイージーピール性シーラント層に熱接着して用いるものであり、特に強接着は必要ではないが、イージーピール程度の接着性は必要である。そのためには、ポリエチレン、エチレン系共重合体、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂で作製されたメッシュであることが好ましい。
請求項2に記載した発明は、前記プラスチック製のメッシュが、一辺の長さが1〜4mmの範囲の正方形または菱形を含む四辺形の網目であることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能を備えた蓋体からなる。
請求項3に記載した発明は、前記蓋体の湯切り口開口用摘み片が設けらた端部と反対側の端部に、容器内に熱湯を注入する熱湯注入口を開口させるための熱湯注入口開口用摘み片が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の湯切り機能を備えた蓋体からなる。
請求項1に記載した発明によれば、湯切り機能を備えた蓋体を前記のように構成しているので、以下に列挙するような作用効果が得られる。
(1)内容物が収納された容器に熱湯を注入して内容物の湯戻しをした後、余分な熱湯を湯切りする際には、蓋体の外周縁の一端に設けられた湯切り口開口用摘み片を摘んで蓋体を引き剥がすことにより、前記横長V字状のハーフカット線と紙面にパターン状に設けられた易剥離性ニス層と枠状のハーフカット線とにより容易に前記枠状の湯切り口を開口させることができる。
(2)開口された湯切り口には、湯切り用のプラスチック製のメッシュが熱接着により取り付けられているので、内容物として麺と共に乾燥刻みネギなどの小さな具が添加されている場合でも、メッシュ寸法を適するサイズに選定しておくことにより、不要な熱湯と共にこれらの小さな具を流出させることを防止でき、安全に且つ迅速に湯切りを行うことができる。
(3)そして、前記プラスチック製のメッシュの湯切り口への取り付けは、熱接着により行っているので、多数の規則的な切れ目などを精密に設ける必要がなく、容易に且つ低コストで製造することができる。
(4)また、湯戻しが必要な焼きそばなどの乾燥即席食品の包装形態として、最近では、フランジ付きの成形容器に内容物を充填し、蓋体を熱接着して密封した後、更にその全体を絵柄等を印刷したシュリンクフィルムなどで包装する形態が増えている。このような包装形態を採る場合には、蓋体に求められる防湿性などのレベルはシュリンクフィルムによる包装を行わない場合よりも緩和されており、むしろ湯切り機能の向上とコストの低減が強く求められている。この点、本発明の湯切り機能を備えた蓋体は、蓋体を形成する積層シートの構成を前記のように、紙、ポリオレフィン系熱接着性樹脂層、アルミニウム箔、イージーピール性シーラント層を順に積層した構成としており、紙の外面に二軸延伸ポリエステルフィルムなどを貼り合わせて、蓋体の裏面側に設けるハーフカット線による防湿性の低下を防ぐような対策を採っておらず、積層材料の削減によりコスト低減を図ると共に、湯切り口を前記のように構成して湯切り機能の向上と蓋体全体としてのコスト低減を実現したものである。
従って、本発明の湯切り機能を備えた蓋体は、前記のように、成形容器に内容物を充填し、蓋体を熱接着して密封した後、更にその全体を絵柄等を印刷したシュリンクフィルムなどで包装するような包装形態を採る場合の蓋体として、特に好適に使用できるものである。
請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載した発明の湯切り機能を備えた蓋体の構成において、前記プラスチック製のメッシュを、一辺の長さが1〜4mmの範囲の正方形または菱形を含む四辺形の網目とした構成としているので、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、湯切りを行う際に、内容物中に前記刻みネギなどのような小さい具が含まれている場合でも、その流出を一層確実に防止して、迅速に湯切りすることができる。
請求項3に記載した発明によれば、請求項1または2に記載した発明の湯切り機能を備えた蓋体の構成において、前記蓋体の湯切り口開口用摘み片が設けらた端部と反対側の端部に、容器内に熱湯を注入する熱湯注入口を開口させるための熱湯注入口開口用摘み片が設けられた構成としているので、請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、容器に収納された内容物の湯戻しを行うための熱湯注入口を開口させる際に、一層容易に熱湯注入口開口用摘み片を摘んで、蓋体を引き剥がして熱湯注入口を開口させることができる。
尚、前記熱湯注入口開口用摘み片は、内容物の湯戻しと、湯切りを行った後、蓋体全体を引き剥がして取り除く際にも利用できることはいうまでもないことである。
本発明の湯切り機能を備えた蓋体は、前述したように、即席焼きそばに代表される湯戻しが必要な乾燥即席食品の密封包装に使用する容器の蓋体であって、乾燥した即席食品を柔らかく湯戻しするために、容器内に熱湯を容易に注入できると共に、湯戻しの後、不要となった熱湯のみを容易に且つ迅速に排出できるようにした蓋体であり、容器本体には、即席焼きそばの場合、発泡ポリスチレンシートの内面にポリスチレンフィルムを貼り合わせて成形された成形容器、またはポリプロピレンシートを成形してなる二重容器が多用されているが、いずれの容器にも使用できるものである。
以下、図面を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明の湯切り機能を備えた蓋体は、例えば、図1〜図3に示すように構成することができる。
即ち、図1は、本発明の湯切り機能を備えた蓋体の一実施例の構成を示す裏面図である。
図2は、図1に示した本発明の湯切り機能を備えた蓋体の裏面図において、横長V字状のハーフカット線および枠状のハーフカット線と、蓋体の紙層に設けられるパターン状の易剥離性ニス層の形状および位置関係を示す図である。従って、プラスチック製のメッシュ10およびメッシュ熱接着部11、蓋体の熱接着予定部12は省略して示した。
そして、図3は、図1のA−A線模式断面図であり、本発明の湯切り機能を備えた蓋体の積層構成の一例を示す模式断面図である。但し、蓋体は、表面が上で裏面が下になるように上下を逆転して示した。
また、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの図面に限定されるものではない。
図1において、湯切り機能を備えた蓋体100は、外形が略矩形状に形成されており、その外周縁の一端(図において左下側の角部)に、湯切り口開口用摘み片6が設けられ、その反対側の端部(図において右上側の角部)には、容器内に熱湯を注入する熱湯注入口を開口させるための熱湯注入口開口用摘み片7が設けられている。
そして、蓋体100の湯切り口開口用摘み片6が設けられた端部寄りの領域の裏面には、蓋体100の外側から内部方向に、両側が広角に広がる横長V字状のハーフカット線8と湯切り口切り取り用の枠状のハーフカット線9とが、それぞれ適宜の間隔をおいて順に設けられ、更にその上に、該枠状のハーフカット線9で囲まれる部分を覆うようにプラスチック製のメッシュ10が、該枠状のハーフカット線9の外側周縁部にメッシュ熱接着部11で熱接着されて取り付けられている。
尚、蓋体100の周縁部に破線で示した熱接着予定部12は、蓋体100を容器のフランジ部に熱接着する際の好ましい領域を示したものであり、特に、湯切り口開口用摘み片6の近辺では、図示したように、横長V字状のハーフカット線8の先端の折れ曲がり部が熱接着予定部12領域内に含まれるように熱接着することが好ましく、それにより、蓋体100による密封が安全に保たれると共に、湯切り口開口用摘み片6を摘んで蓋体100を引き剥がした時に、確実に枠状のハーフカット線9により湯切り口を開口できるようになる。
また、湯切り機能を備えた蓋体100は、図3(図1のA−A線模式断面図で上下を逆転して示した図)に示すように、外側(図において上側)から、紙1、ポリオレフィン系熱接着性樹脂層2、アルミニウム箔3、イージーピール性シーラント層4を順に積層した積層シートで形成され、蓋体100の一方の側部(図において左側の側部)に湯切り口開口用摘み片6が設けられ、もう一方の側部(図において右側の側部)には熱湯注入口開口用摘み片7が設けられると共に、蓋体100の湯切り口開口用摘み片6が設けられた側の側部寄りの領域には、湯切り口を開口させる開口構造として、蓋体100の側部から中央部方向に、最内層のイージーピール性シーラント層4から紙1の層内に僅かに入る深さに、横長V字状のハーフカット線8と枠状のハーフカット線9とが、それぞれ適宜の間隔をおいて順に設けられ、また、蓋体100の紙1層のポリオレフィン系熱接着性樹脂層2と接する側の面には、少なくとも横長V字状のハーフカット線8部から枠状のハーフカット線9部までを含む蓋体全幅の領域で、且つ、枠状のハーフカット線9の内側には僅かに入り込んだ部分を残してその内側を取り除いた形状に、予めパターンコートされた易剥離性ニス層5(図2も参照)が設けられ、更に、最内層のイージーピール性シーラント層4面には、前記枠状のハーフカット線9で囲まれる部分を覆うようにプラスチック製のメッシュ10が、該枠状のハーフカット線9の外側周縁部にメッシュ熱接着部11で熱接着されて取り付けられて構成されている。
また、本発明の湯切り機能を備えた蓋体に絵柄等の印刷を施す場合、図3の断面図には示していないが、蓋体100の外面、即ち、紙1の外面に絵柄等の印刷層を設けることができる。
只、本発明の湯切り機能を備えた蓋体は、これを使用する包装形態として特に限定はされないが、先にも説明したように、フランジ付きの成形容器に内容物を充填し、蓋体を熱接着して密封した後、更にその全体をシュリンクフィルムで包装する場合に特に好適に使用できるものである。従って、シュリンクフィルムに絵柄等の印刷が施されているか否かで、蓋体に絵柄等の印刷をする必要のある場合と必要のない場合とがあり、必要に応じて蓋体に絵柄等の印刷をすればよい。
また、絵柄等の印刷に関しては上記の通りであるが、本発明の湯切り機能を備えた蓋体では、紙1の内側の面に易剥離性ニス層5をパターン状に設け、これに位置合わせして前記横長V字状のハーフカット線8および枠状のハーフカット線9を設け、更にはプラスチック製のメッシュ10を熱接着しているので、これらを総合的に位置合わせするための基準が必要である。このような基準として、紙1の外面に絵柄等の印刷を施す場合はそれを利用することができるが、絵柄等の印刷を施さない場合は、マーク等を紙1の外面に印刷等で設けてもよい。
更に、上記紙1の外面には、汚れ防止や耐水性、防湿性向上の目的でオーバープリントニスなどの透明樹脂層を設けてもよい。
また、図2は、図1に示した湯切り機能を備えた蓋体の裏面図において、横長V字状のハーフカット線8および枠状のハーフカット線9と、蓋体の紙1のポリオレフィン系熱接着性樹脂層2と接する側の面にパターンコートされる易剥離性ニス層5の形状および位置関係を示す図であり、易剥離性ニス層5は、少なくとも前記横長V字状のハーフカット線8部から枠状のハーフカット線9部までを含む蓋体全幅の領域で、横長V字状のハーフカット線8側は、それよりも僅かに湯切り口開口用摘み片6側に入った位置で、枠状のハーフカット線9側は、枠状のハーフカット線9の蓋体中央部側の端部よりも3mmから10mm程度蓋体中央部側に延長した位置までとし、枠状のハーフカット線9の内側は、僅かに内側に入り込んだ部分を残してその内側を取り除いた形状に設けることが好ましい。
このような構成の湯切り機能を備えた蓋体100の製造方法は、例えば、紙1の表面に必要な印刷を施した後、その裏面に表面の印刷と位置合わせして所定の形状の易剥離性ニス層5を印刷手段で設け、次いで、その紙1の易剥離性ニス層5の印刷面にポリオレフィン系熱接着性樹脂を使用して押し出しラミネート法でアルミニウム箔3を貼り合わせ、更に、そのアルミニウム箔3面にイージーピール性シーラント層4を押し出しコート法で積層して蓋体100用の積層シートを作製する。
次いで、上記蓋体用の積層シートの裏面側に、表面側の印刷と位置合わせして、前記横長V字状のハーフカット線8と枠状のハーフカット線9とを、イージーピール性シーラント層4から紙1層に僅かに入る深さに、所定の形状に設けると共に、蓋体を個々の形状に打ち抜いて枚葉の蓋体100を作製する。
続いて、上記枚葉の蓋体100の裏面側に、前記枠状のハーフカット線9で囲まれる部分を覆うように、プラスチック製のメッシュ10を枠状のハーフカット線9の外周縁部に熱接着することにより容易に製造することができる。
上記湯切り機能を備えた蓋体100の製造において、プラスチック製のメッシュ10の蓋体100への熱接着は、巻き取り状のプラスチック製のメッシュ10を個々の形状に打ち抜きながら熱接着することが可能であるため、予め個々の形状に打ち抜かれた蓋体100とプラスチック製のメッシュ10とを用いて両者を熱接着してもよいが、例えば、個々の形状に打ち抜かれた蓋体100に巻き取り状のプラスチック製のメッシュ10を引き出しながら打ち抜きと熱接着を行ってもよく、更に、両者を巻き取り状としてそれぞれを引き出しながら熱接着とそれぞれの打ち抜きを行う方法を採ることもできる。
本発明の湯切り機能を備えた蓋体において、その積層シートに使用する紙1としては、上質紙、アート紙、コート紙、純白ロール紙、特殊両更クラフト紙、晒クラフト紙などのほか、耐水性を高めたラベル用紙、コップ原紙などを使用することができる。
紙の厚みは、米坪量として50〜200g/m2 の範囲が好ましい。米坪量が50g/m2 未満では厚みが薄すぎて蓋体の剛性が不足する上、ハーフカット線の加工も難しくなるため好ましくない。また、米坪量が200g/m2 を超える場合は、蓋体の剛性が高くなりすぎると共に、コスト面でも高くなるため好ましくない。
積層シートのイージーピール性シーラント層4に使用するイージーピール性樹脂としては、蓋体を熱接着する容器の材質により多少異なるが、容器がポリスチレン製成形容器の場合は、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とをブレンドした樹脂、例えば、ポリプロピレンにスチレンをグラフト重合した樹脂と、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体とをブレンドした樹脂などを使用することができる。また、容器がポリプロピレン製成形容器の場合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体にハードレジン等の粘着付与剤をブレンドした樹脂などを使用することができる。
前記積層シートの製造の際の押し出しラミネートに使用するポリオレフィン系熱接着性樹脂としては、低密度ポリエチレンのほか、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどを使用することができる。
また、積層シートの紙1面にパターンコートして設ける易剥離性ニス層5に使用する易剥離性ニスとしては、押し出しラミネートに使用される前記ポリオレフィン系熱接着性樹脂に対して易剥離性を有することが必要であり、例えば、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコールなどの単独もしくは混合樹脂、またはこれらの樹脂にシリコーン樹脂を添加した樹脂を使用することができる。これらの樹脂を揮発性溶剤に溶解して塗布液を作製し、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段でパターン状に塗布、乾燥して易剥離性ニス層5を形成することができる。また、易剥離性ニスには、その塗布形状を見やすくするため着色剤を添加することができる。
次に、蓋体100の最内層のイージーピール性シーラント層4面に熱接着するプラスチック製のメッシュ10としては、前述したように、ポリエチレン、エチレン系共重合体、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂で作製されたメッシュが好ましく、その網目は一辺の長さが1〜4mmの範囲の正方形または菱形を含む四辺形であればよく、形状自体は特に限定されない。また、網目線の太さは0.2〜1.0mmであればよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
図1〜図3に示した構成の湯切り機能を備えた蓋体100を、以下の材料と寸法で作製して実施例1の湯切り機能を備えた蓋体とした。
〔1〕蓋体100の積層シートの作製(図3参照)
(a)紙1には米坪量104.7g/m2 のコート紙を使用し、その表面にグラビア印刷により絵柄、文字、バーコードなどの印刷層を設けると共に、その裏面には表面の印刷層と位置合わせして易剥離性ニス層5を、図2の易剥離性ニス層5に示した形状に印刷して形成した。
上記表面の印刷層は、個々の蓋体の外形寸法(但し、熱湯注入口開口用摘み片7の突出部を含む縦・横寸法)を、図1において、縦が169.5mm、横が189.5mmとして、その中に納まる寸法で設けたものである。
また、易剥離性ニス層5の易剥離性ニスには、ニトロセルロース樹脂にシリコーン樹脂を添加し、更にピンク色の着色剤を添加して作製したニスを使用した。
(b)アルミニウム箔3には、厚みが7μmのアルミニウム箔を使用し、それを前記紙1の易剥離性ニス層5を形成した面にポリオレフィン系熱接着性樹脂層2として低密度ポリエチレンを厚み15μmに用いて押し出しラミネート法で貼り合わせた。
(c)次いで、上記積層シートのアルミニウム箔3面に、イージーピール性シーラント層4として、線状低密度ポリエチレン30質量部、ハイインパクトポリスチレン30質量部、スチレン−ブタジエンブロック共重合体30質量部、スチレン−ブタジエンエラストマー10質量部をブレンドしてなるブレンド樹脂を厚み25μmに押し出しコートして積層し、蓋体100用の積層シートを作製した。
〔2〕上記のように作製した蓋体100用の積層シートの裏側に、最内層のイージーピール性シーラント層4から紙1層に僅かに入る深さに、図1〜図3に示すように、表面側の印刷層と位置合わせして横長V字状のハーフカット線8と湯切り口切り取り用の枠状のハーフカット線9とを設けた。
〔3〕次に、上記積層シートを、表面側の印刷層と位置合わせして個々の蓋体の形状に打ち抜いた後、プラスチック製のメッシュ10として、網目が、一辺の長さが各2mmの四辺形で、網目線の太さが0.4mmのポリエチレン製のメッシュを使用して、それをイージーピール性シーラント層4面に、前記枠状のハーフカット線9で囲まれる部分を覆うように、枠状のハーフカット線9の外側周縁部にメッシュ熱接着部11で示されるように熱接着して実施例1の湯切り機能を備えた蓋体とした。
尚、上記湯切り機能を備えた蓋体の各部の寸法は、以下の通りである。
蓋体100の外形で、熱湯注入口開口用摘み片7の突出部を除いた部分の縦・横寸法は、縦が165mm、横が185mmである。
また、枠状のハーフカット線9で囲まれる湯切り口の形状は図示した通りで、その寸法は、湯切り口開口用摘み片6側から蓋体100の中心部側に向かって、その最大部の長さが33mmで、それと直交する幅方向の長さは35mmとした。
〔評価〕
以上のように作製した実施例1の湯切り機能を備えた蓋体を、発泡ポリスチレンシートの内面にポリスチレンフィルムを貼り合わせて成形したフランジ部付き容器本体の内部に、内容物として、市販の即席焼きそばの乾燥麺と乾燥刻みネギとを流用して充填し、そのフランジ部に、図1の熱接着予定部12に示したように熱接着して密封した後、蓋体の熱湯注入口開口用摘み片7を摘んで蓋体を1/3程度引き剥がしたところ、スムーズにイージーピールして熱湯注入口を開口させることができた。
次いで、開口した熱湯注入口から熱湯を注入した後、剥がした蓋体を元に戻して3分間保持し、内容物の湯戻しを行った後、湯切り口開口用摘み片6を摘んで蓋体を徐々に引き剥がしたところ、最初はイージーピール性シーラント層4で開封が始まり、横長V字状のハーフカット線8に達すると、そこからは易剥離性ニス層5とポリオレフィン系熱接着性樹脂層2との界面で容易に剥離が進み、更に、枠状のハーフカット線9の先端部にさしかかった部分からは、枠状のハーフカット線9で囲まれた部分では易剥離性ニス層5が除かれているので、この部分では蓋体の全層が持ち上がり、その周囲では前記易剥離性ニス層5とポリオレフィン系熱接着性樹脂層2との界面で容易に剥離が進むので、枠状のハーフカット線9で囲まれた部分を湯切り口として容易に開口させることができた。
そして、開口させた湯切り口には、前記ポリエチレン製のメッシュ10が、蓋体の内面の前記メッシュ熱接着部11で熱接着されているので、湯切り口が下になるように容器を傾けることにより、湯切り口から不要な熱湯を迅速に排出することができた。また、この時、ポリエチレン製のメッシュの網目が十分に小さいので麺と共に湯戻しされた刻みネギが熱湯と共に流出することもなく良好に湯切りすることができた。
また、湯切りを終了した後は、蓋体の熱湯注入口開口用摘み片7を再度摘んで蓋体全体を容易に引き剥がして容器を開封することができた。
本発明の湯切り機能を備えた蓋体は、前述したように、即席焼きそばに代表される湯戻しが必要な乾燥即席食品の密封包装に使用する容器の蓋体として好適に使用できるものであるが、特に、湯切り口の大きさおよびそこに取り付けるプラスチック製のメッシュの網目寸法などは任意に設定できるので、同様な機能を利用できる用途であれば、内容物や用途などに関して特に制限はない。
本発明の湯切り機能を備えた蓋体の一実施例の構成を示す裏面図である。 図1に示した本発明の湯切り機能を備えた蓋体の裏面図において、横長V字状のハーフカット線および枠状のハーフカット線と、蓋体の紙層に設けられるパターン状の易剥離性ニス層の形状および位置関係を示す図である。 図1のA−A線模式断面図である。
符号の説明
1 紙
2 ポリオレフィン系熱接着性樹脂層
3 アルミニウム箔
4 イージーピール性シーラント層
5 易剥離性ニス層
6 湯切り口開口用摘み片
7 熱湯注入口開口用摘み片
8 横長V字状のハーフカット線
9 枠状のハーフカット線
10 プラスチック製のメッシュ
11 メッシュ熱接着部
12 熱接着予定部
100 湯切り機能を備えた蓋体

Claims (3)

  1. 上部の開口部周縁にフランジ部が設けられた容器のフランジ部に熱接着して該容器を密封する蓋体において、
    該蓋体が、アルミニウム箔の一方の面にポリオレフィン系熱接着性樹脂を使用して押し出しラミネート法で紙を貼り合わせ、もう一方の面に最内層としてイージーピール性シーラント層を積層した積層シートで形成され、
    該蓋体の外周縁の一端に、容器内に注入された熱湯を排出する湯切り口を開口するための湯切り口開口用摘み片が設けられると共に、
    該蓋体の該湯切り口開口用摘み片が設けられた端部寄りの領域には、湯切り口を開口させる開口構造として、該蓋体の裏側に、最内層のイージーピール性シーラント層から紙層に入る深さの湯切り口切り取り用の枠状のハーフカット線と、該枠状のハーフカット線と前記摘み片との間に前記深さに両側が広角に広がる横長V字状のハーフカット線とが設けられ、
    また、該蓋体の紙層の前記ポリオレフィン系熱接着性樹脂層と接する側の面には、少なくとも前記横長V字状のハーフカット線部から前記枠状のハーフカット線部までを含む該蓋体全幅の領域で、且つ、前記枠状のハーフカット線の内側には僅かに入り込んだ部分を残してその内側を取り除いた形状に、予めパターンコートされた易剥離性ニス層が設けられ、
    更に、該蓋体の最内層のイージーピール性シーラント層面には、前記枠状のハーフカット線で囲まれる部分を覆うようにプラスチック製のメッシュが、前記枠状のハーフカット線の外側周縁部に熱接着されて取り付けられていることを特徴とする湯切り機能を備えた蓋体。
  2. 前記プラスチック製のメッシュが、一辺の長さが1〜4mmの範囲の正方形または菱形を含む四辺形の網目であることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能を備えた蓋体。
  3. 前記蓋体の湯切り口開口用摘み片が設けらた端部と反対側の端部に、容器内に熱湯を注入する熱湯注入口を開口させるための熱湯注入口開口用摘み片が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の湯切り機能を備えた蓋体。
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