JP2008088257A - 蛍光体、蛍光体シート及び蛍光体の製造方法、並びに当該蛍光体を用いた発光装置 - Google Patents

蛍光体、蛍光体シート及び蛍光体の製造方法、並びに当該蛍光体を用いた発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】青色の範囲(ピーク波長が400nm〜500nm)にブロードな発光スペクトルを持ち、また、近紫外・紫外の範囲に広く平坦な励起帯を持つ、発光効率及び発光強度・輝度に優れた蛍光体を提供する。
【解決手段】一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記され、
粒子表面から深さ2000nmまでの範囲において、総原子数に対するB元素原子の割合の変化率が10%より少なく、または/及び総原子数に対する酸素原子の割合の変化率が40%より少ないことを特徴とする蛍光体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ブラウン管(CRT)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイ(PDP)などのディスプレイや、蛍光灯、蛍光表示管などの照明装置や、液晶バックライト等の発光器具に使用される、窒素を含有する蛍光体、蛍光体シート及び蛍光体の製造方法、並びに半導体発光素子(LED)と当該蛍光体とを組み合わせた白色LED照明装置(以下、単に「白色LED照明」と称する)を始めとする発光装置に関する。
現在、照明装置として用いられている放電式蛍光灯や白熱電球などは、水銀などの有害な物質が含まれている、寿命が短いといった諸問題を抱えている。ところが、近年になって近紫外・紫外 〜 青色に発光する高輝度LEDが次々と開発され、そのLEDから発生する近紫外・紫外 〜 青色の光と、その波長域に励起帯を持つ蛍光体から発生する光とを混ぜ合わせて白色光を作りだし、その白色光を次世代の照明として利用できないかといった研究、開発が盛んに行われている。この白色LED照明が実用化されれば、電気エネルギーを光へ変換する効率が高く熱の発生が少ないこと、LEDと蛍光体から構成されているため、従来の白熱電球のように切れることがなく長寿命であること、水銀などの有害な物質を含んでいないこと、また照明装置を小型化できるといった利点があり、理想的な照明装置が得られる。
この高輝度LEDと蛍光体とを組み合わせて白色光を作り出す白色LED照明の方式はワンチップ型方式と呼ばれ、高輝度の赤色LED、緑色LED、青色LEDの3原色LEDを使用し白色を作り出すマルチチップ型方式に比べ、演色性に優れ、低コストで製造できるといった優位点を有することから、次世代照明として注目されている。
ワンチップ型方式の白色LED照明としては、高輝度青色LEDと、当該LEDから発生する青色の光により励起されて黄色発光する蛍光体とを組み合わせたものがあり、例えば、InGaN系材料を使った高輝度青色LEDとガーネット系黄色蛍光体 (Y, Gd)(Al, Ga)12:Ce (YAG:Ce)、TbAl12:Ce、CaScSi12:Ceなどと組み合わせたものがある。この白色LED照明は、光の青色と黄色が補色関係にあることを利用している。当初、この白色LED照明は高輝度ではあるものの、可視光領域の長波長側の発光、つまり赤色成分の発光が不足していたため、照明として重要となる演色性が悪いといった問題があった。ところが、最近になって発光ピーク波長が黄色から赤色の範囲にあり、発光スペクトルがブロードなピークを持つ蛍光体で、更に、近紫外・紫外 〜 青色の範囲に良好な励起帯を持つ、窒素を含有した蛍光体が次々と開発され、この蛍光体を加えることで演色性が改善されている。この窒素を含有した蛍光体は、例えば、CaSi:Eu、SrSi:Eu、BaSi:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、Ca(Al,Si)12(O,N)16:Eu(0<x≦1.5)、CaSi:Eu、SrSi:Eu、BaSi:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、CaAlSi:Eu、CaSiN:Eu、CaAlSiN:Euなどが代表的である。
しかし、高輝度青色LEDとガーネット系黄色蛍光体を組み合わせた白色LED照明は、ガーネット系黄色蛍光体が励起波長460 nm付近に平坦な励起帯を持っていないこと、高輝度青色LEDの発光強度、ピーク波長にバラツキがあること、また、LEDの上に蛍光体を塗布した場合には、膜厚によって透過する青色光の発光強度が変化してしまうため、青色と黄色の発光強度のバランスが崩れてしまい白色光の色調が変化するという問題が発生する。
この問題を解決するために現在、研究が盛んに行われているのが、近紫外・紫外発光するLEDと、当該LEDから発生する近紫外・紫外の光により励起され赤色(R)発光する蛍光体、緑色(G)発光する蛍光体、青色(B)発光する蛍光体とから得られる光の混色を利用して白色を得る白色LED照明方式である。この方式は、R・G・Bの組み合わせや混合比などにより、白色光以外にも任意の発光色を得ることが可能であることや、光の補色関係ではなく混色関係により白色発光を得ていること、そして、発光スペクトルがブロードなR・G・Bその他蛍光体を使用することにより、高輝度青色LEDとガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせたものに比べ、太陽光に近い発光スペクトルが得られるため、より演色性に優れている。更に、高輝度青色LEDの様に発光強度、ピーク波長にバラツキがあった場合でも、近紫外・紫外線は光の混色に利用しているわけではないため白色光の色調が変化する現象が生ぜず、演色性に優れた、色調のバラツキのない白色LED照明を作製することが可能となる。
そして、当該用途に使用される蛍光体としては、赤色蛍光体であれば、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、(La, Mn, Sm)S・Ga:Euなどがあり、緑色蛍光体であれば、例えば、ZnS:Cu,Al、CaGa:Eu、SrGa:Eu、BaGa:Eu、SrAl:Eu、BAM:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu、などがあり、青色蛍光体であれば、例えば、BAM:Eu、Sr(POCl:Eu、ZnS:Ag、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Euなどがある。
上述したYS:Eu、LaS:Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、(La, Mn, Sm)S・Ga:Eu、ZnS:Cu,Al、CaGa:Eu、SrGa:Eu、BaGa:Eu、SrAl:Eu、BAM:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu、BAM:Eu、Sr(POCl:Eu、ZnS:Ag、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Euは近紫外・紫外においても高効率な励起帯を持ち、発光スペクトルがブロードなピークを持つため、近紫外・紫外LEDとR・G・Bその他蛍光体とを組み合わせた白色LED照明においても、輝度、演色性が改善されている。しかし、高輝度青色LEDとガーネット系黄色蛍光体との組み合わせで使用されるYAG:Ce蛍光体のような、高効率で高輝度なR・G・Bその他蛍光体が無いため、満足のいく白色LED照明を得ることができていない。
そのため、各色蛍光体について、より発光特性に優れた新規蛍光体の開発が行われ、青色蛍光体についても、現状のBAM:Eu、Sr(POCl:Eu、ZnS:Ag、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Euを越える、新規青色蛍光体の開発が盛んに行われており、窒素を含有した蛍光体として、最近ではLa1−xSi: Ce(例えば、特許文献1参照)が報告されている。
また、本発明者らにおいても、青色の範囲(ピーク波長が400nm〜500nm)にブロードな発光スペクトルを持ち、また、近紫外・紫外の範囲に広く平坦な励起帯を持つ、発光効率及び発光強度・輝度に優れた蛍光体を報告している。(特許文献2参照)
特開2003−96446号公報 特願2005−380323号公報
しかしながら、上記特許文献1の窒素を含有した蛍光体は、発光スペクトルがブロードなピークを持つ青色蛍光体ではあるものの、近紫外・紫外の励起光により励起された場合の発光効率が満足すべき水準になく、十分な発光強度及び輝度が得られていないため、発光装置に用いるには不十分であると考えられる。
また、本発明者らが提案した特許文献2の蛍光体は、従来の蛍光体と比較して、発光効率及び発光強度・輝度に優れた蛍光体であるものの、近紫外・紫外LEDと組み合わせて白色LED照明を作製した場合において、照明として最も重要な要素である輝度が満足すべき水準に到達しておらず、蛍光体のさらなる発光効率及び発光強度・輝度の改善が必要であった。
本発明の目的は、上述の課題を考慮してなされたものであり、青色の範囲(ピーク波長が400nm〜500nm)にブロードな発光スペクトルを持ち、また、近紫外・紫外の範囲に広く平坦な励起帯を持つ、発光効率及び発光強度・輝度に優れた新規な蛍光体、蛍光体シート及び蛍光体の製造方法、並びに当該蛍光体を用いた白色LED照明を始めとする発光装置を提供することにある。
上述の課題を解決するため、本発明者らは、種々の研究を行った。そして、一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素は少なくともSiを含むIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記される蛍光体の粒子において、各元素の原子の分布状態に偏りがあることを見出した。ここで、本発明者らは、従来の常識に反して、当該蛍光体粒子内における原子の分布状態に注目し、前記偏りを抑制することが蛍光体の発光強度を改善に寄与するのではないかと考えた。
従来の常識においては、蛍光体においては、粒子表面が発光に寄与するものと考えられ、粒子内部に関しては等閑視されていたのである。
本発明者らは、前記偏りを抑制した蛍光体粒子試料を製造し、当該蛍光体粒子試料の発光強度を測定したところ、発光強度が大きく上昇することを見出した。次に、本発明者らは、前記偏りを抑制した蛍光体粒子を高い生産性をもって製造できる製造方法の研究を進め、高い生産性を保ちながら工業的に容易な製造方法をも見出し、本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決する第1の構成は、
一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素は少なくともSiを含むIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記され、
粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)50at%、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(B)の値が、
−10<(M(B)−M(B)50)/M(B)50×100<10
を満たすことを特徴とする蛍光体である。
第2の構成は、
一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記され、
粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対する酸素原子の割合をM(O)50at%、粒子表面からdnmの深さにおける総原子数に対する酸素原子の割合をM(O)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するO元素酸素原子の割合をM(O)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(O)の値が、
−40<(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100<40
を満たすことを特徴とする蛍光体である。
第3の構成は、
一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記され、
粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合、総原子数に対する酸素原子の割合をそれぞれ、M(B)50at%、M(O)50at%、粒子表面からdnmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合、総原子数に対する酸素原子の割合をそれぞれM(B)at%、M(O)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)at%、O元素酸素原子の割合をM(O)at%、と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(B)及びM(O)の値が、
−10<(M(B)−M(B)50)/M(B)50×100<10、
かつ、−40<(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100<40
を満たすことを特徴とする蛍光体である。
第4の構成は、
第1から第3の構成に記載の蛍光体であって、
5.0<(a+b)/m<9.0、0≦a/m≦2.0、0≦o<n、n=2/3m+a+4/3b−2/3oであり、
波長250nmから430nmの範囲の光で励起したとき、発光スペクトルのピーク波長が400nm〜500nmの範囲にあることを特徴とする蛍光体である。
第5の構成は、
第1から第4の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
0≦a/m≦2.0、4.0≦b/m≦8.0、6.0≦(a+b)/m≦8.0、0<o/m≦3.0であることを特徴とする蛍光体である。
第6の構成は、
第1から第5の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
0<x≦2とした時、a=x×m、b=(6−x)×m、o=(1+x)×m、n=(8−x)×m、であることを特徴とする蛍光体である。
第7の構成は、
第1から第6の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素はMg、Ca、Sr、Ba、Zn、II価の価数をとる希土類元素から選択される1種類以上の元素であり、
A元素はB、Al、Ga、In、Tl、Y、Sc、P、As、Sb、Biから選択される1種類以上の元素であり、
B元素はSi、Ge、Sn、Ti、Hf、Mo、W、Cr、Pb、Zrから選択される1種類以上の元素であり、
Z元素は希土類元素、遷移金属元素から選択される1種類以上の元素であることを特徴とする蛍光体である。
第8の構成は、
第1から第7の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素はMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される1種類以上の元素であり、
A元素はAl、Ga、Inから選択される1種類以上の元素であり、
B元素はSi及び/又はGeであり、
Z元素はEu、Ce、Pr、Tb、Yb、Mnから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする蛍光体である。
第9の構成は、
第1から第8の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
M元素はSr、A元素はAl、B元素はSi、Z元素はEuであることを特徴とする蛍光体である。
第10の構成は、
第1から第9の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
一般式MmAaBbOoNn:Zzと表記したとき、M元素とZ元素とのモル比であるz/ (m+z)の値が、0.0001以上、0.5以下であることを特徴とする蛍光体である。
第11の構成は、
第1から第10の構成のいずれかに記載の蛍光体であって、
粒径50μm以下の1次粒子と、当該1次粒子が凝集した凝集体を含み、当該1次粒子及び凝集体を含んだ蛍光体粉末の平均粒子径(D50)が、1.0μm以上、50μm以下であることを特徴とする蛍光体である。
第12の構成は、
第1から第11の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
当該蛍光体の原料粉体を秤量し、混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程と
前記焼成物を解砕して蛍光体を得る工程とを有し、
前記混合物を焼成して焼成物を得る工程において、当該焼成時の雰囲気ガスとして、窒素、希ガス等の不活性ガス、アンモニア、アンモニアと窒素の混合ガス、または、窒素と水素の混合ガスのいずれかを用いることを特徴とする蛍光体の製造方法である。
第13の構成は、
第12の構成に記載の蛍光体の製造方法であって、
前記該焼炉内の雰囲気ガスとして、窒素ガスを80%以上含むガスを用いることを特徴とする蛍光体の製造方法である。
第14の構成は、
第12または第13の構成に記載の蛍光体の製造方法であって、
前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程において、
前記混合物の焼成を2回以上行い、当該焼成と焼成との間で、焼成された混合物の粉砕混合を行うことを特徴とする蛍光体の製造方法である。
第15の構成は、
第12から第14の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程において、前記焼成炉内の雰囲気ガスを0.1ml/min以上流通させながら焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法である。
第16の構成は、
第12から第15の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程において、前記焼成炉内の雰囲気ガスを0.001MPa以上、1.0MPa以下の加圧状態とすることを特徴とする蛍光体の製造方法である。
第17の構成は、
第12から第16の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
焼成用るつぼとして窒化物からなるるつぼを使用することを特徴とする蛍光体の製造方法である。
第18の構成は、
第17の構成に記載の蛍光体の製造方法であって、
窒化物からなるるつぼに蓋をして焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法である。
第19の構成は、
第1から第11の構成のいずれかに記載の蛍光体が、樹脂またはガラス中に分散されているものであることを特徴とする蛍光体シートである。
第20の構成は、
第1から第11の構成のいずれかに記載の蛍光体または第20の構成に記載の蛍光体シートと、第1の波長の光を発する発光部とを有し、前記第1の波長の光の一部または全てを励起光とし、前記蛍光体から前記第1の波長と異なる波長の光を発光させることを特徴とする発光装置である。
第21の構成は、
第20の構成に記載の発光装置であって、
第1の波長とは、250nm〜430nmの波長であることを特徴とする発光装置である。
第22の構成は、
第20の構成または第21の構成に記載の発光装置であって、
第1の波長を発する発光部がLEDであることを特徴とする発光装置である。
第1から第3の構成のいずれかに記載の蛍光体によれば、
蛍光体粒子表面から内部にかけての組成ずれが少ないため、格子欠陥・格子歪み、不純物相が少なく、高い発光効率を備えた蛍光体である。
第4から第11の構成のいずれかに記載の蛍光体によれば、近紫外・紫外の範囲に高効率な励起帯を持ち、近紫外・紫外の範囲の光で励起した場合、青色の範囲(ピーク波長が400nm〜500nm)に発光スペクトルを持ち、発光効率及び発光強度・輝度に優れた蛍光体である。
第11の構成に記載の蛍光体によれば、得られた蛍光体は粉末状であるため、解砕が容易であることや、ペーストとして様々な場所に塗布することができる。また、当該蛍光体の平均粒子径(D50)は1.0μm以上、50.0μm以下であるため塗布密度を上げることができ、発光強度及び輝度の高い塗布膜を得ることが可能となる。
第12から第18の構成のいずれかに記載の蛍光体の製造方法によれば、第1から第14の構成のいずれかに記載の蛍光体を、安価な製造コストで容易に製造することができる。
第19の構成に記載の蛍光体シートによれば、当該蛍光体シートと種々の発光部とを組み合わせることで、多様な発光装置を容易に製造することが出来る。
第20から第22の構成のいずれかに記載の発光装置によれば、所望の発光色を有し、発光強度及び輝度が高い、高効率な発光装置を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態の蛍光体は、一般式MmAaBbOoNn:Zで表記される母体構造を有する蛍光体である。ここでM元素は、前記蛍光体中においてII価の価数をとる元素から選択される1種類以上の元素である。A元素は、前記蛍光体中においてIII価の価数をとる元素から選択される1種類以上の元素である。B元素は、前記蛍光体中においてIV価の価数をとる元素から選択される1種類以上の元素である。O元素は酸素である。N元素は窒素である。Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であって、希土類元素または遷移金属元素から選択される1種類以上の元素であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。
さらに、蛍光体粒子表面から深さ2000nmまでの範囲において、総原子数に対するB元素原子の割合の変化率が10%より少なく、総原子数に対する酸素原子の割合の変化率が40%より少ないことを特徴としている。つまり、粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)50at%、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(B)の値が、
−10<(M(B)−M(B)50)/M(B)50×100<10
を満たし、また、粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対する酸素原子の割合をM(O)50at%、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するO元素酸素原子の割合をM(O)at%、O元素原子の割合をM(O)at%、と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(B)及びM(O)の値が、
−40<(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100<40
を満たす。これらの粒子表面から深さ2000nmまでの範囲におけるB元素原子の割合の変化率10%未満と、酸素原子の割合の変化率40%未満は、両者が満たされることが好ましいが、いずれか一方が満たされている場合でも良い。
ここで、M(B)及びM(O)の値を、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲で測定している理由を簡単に説明する。
一般的に物質の表面には、少なからず酸素やカーボンなどが吸着しているため、ESCA測定の際に、粒子表面付近においては、酸素やカーボンが多く検出されたり、相対的に他の原子の含有量が低く検出されたりしてしまうことが起こる。さらには、酸素やカーボンを含まない金属においても、表面付近では酸素やカーボンが検出されることがあり、表面に凹凸があるセラミック粉体などにおいては、表面への酸素・カーボンの吸着量が増加するため、その影響はさらに大きなものとなる。
そこで、上述の測定においては、測定の信頼性が確保できると考えられる、粒子表面より深さ50nmの範囲から始め、ほぼ2000nmに到達する1950nmまでの範囲で、評価・比較を行うこととした。
粒子表面から深さ2000nmまでの範囲において、総原子数に対するB元素原子の割合の変化率が10%より少なく、総原子数に対する酸素原子の割合の変化率が40%より少ない蛍光体は、粒子表面から粒子内部にかけて原子の分布にムラが少ないため、組成ずれが少なくなり、格子欠陥・格子歪み、不純物相が少なく、高い発光効率を備えた蛍光体となる。当該蛍光体は、発光強度を相対強度で表したとき、粒子表面から粒子内部にかけて原子の分布にムラがある蛍光体と比べて、発光強度を30%程度向上させることができる。
さらに、当該蛍光体において、(a+b)/mが5.0<(a+b)/m<9.0の範囲にあり、a/mが0≦a/m≦2.0の範囲にあり、酸素と窒素の関係が0≦o<nであり、窒素がn=2/3m+a+4/3b−2/3oであることを特徴としている。
上述の特徴を有する本実施形態の蛍光体は、近紫外・紫外の範囲において高効率な励起帯を持ち、波長250nm〜430nmの範囲の光の一部または全てで励起したとき、ブロードなピークを持つ発光スペクトルを示し、最大ピーク波長は400nmから500nmの範囲にあり、高効率な発光が得られるので、当該蛍光体と適宜な他色の蛍光体とを混合し、近紫外・紫外LED等の発光部と組み合わせることで、所望の発光色を有し、発光強度及び輝度が高く高効率な発光装置を得ることができる。
この本実施形態の蛍光体は、これまでに報告されている窒素を含有した蛍光体La1−xSi:Ce(例えば、特許文献1参照)に比べ、発光強度及び輝度が優れていることはもちろんのこと、現在、白色LED照明用青色蛍光体として用いられているBAM:Eu、Sr(POCl:Eu、ZnS:Ag、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Euと比較した場合にも、優れた発光特性を示し、より高輝度の白色LED照明を作製することが可能となる。
現在、使用されている酸化物蛍光体BAM:Euやハロりん酸塩蛍光体(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Euの励起帯は、近紫外・紫外領域である波長380nm以上の長波長側では励起帯が急激に落ち込んでしまう。これに対し、本実施形態の蛍光体は、窒素を含有しているため、酸化物蛍光体と比較して共有結合の割合が多く、現在使用されている酸化物蛍光体やハロりん酸塩蛍光体に比べ、長波長側まで、平坦で良好な励起帯を持つ。そのため、近紫外・紫外LEDと組み合わせて白色LED照明を作製した際、白色光の色調のバラツキを抑えることが可能となる。
本実施形態の蛍光体は、近紫外・紫外の範囲において高効率な励起帯を持ち、波長250nm〜430nmの範囲の光で励起したとき、ブロードなピークを持つ発光スペクトルを示し、最大ピーク波長は400nmから500nmの範囲にあり、高効率な発光が得られる。この詳細な理由は不明であるが、概ね次のように考えられる。
まず、本実施形態の蛍光体が一般式MmAaBbOoNn:Zにおいて、m、a、b、o、nの値が、5.0<(a+b)/m<9.0、0≦a/m≦2.0、0≦o<n、n=2/3m+a+4/3b−2/3oの範囲にあることで、当該蛍光体がとる結晶構造において、発光中心となる付活剤が濃度消光を生じない距離で規則的に存在でき、また、励起光により与えられた、発光に使用される励起エネルギーの伝達が効率よく行われるため、発光効率が向上したと考えられる。
更に、当該蛍光体が上述の構成をとると、化学的に安定な組成となるため、当該蛍光体中に、発光に寄与しない不純物相が生じ難くなり、発光強度の低下が抑制されるのではないかと考えられる。つまり、不純物相が多く生じた場合には、単位面積当たりの蛍光体が減少し、更に、生じた不純物相が励起光や蛍光体から発生した光を吸収することで発光効率が低下し、高い発光強度が得られなくなってしまう。
即ち、(a+b)/mが5.0<(a+b)/m<9.0の範囲、a/mが0≦a/m≦2.0の範囲にあると、不純物相として黄色や橙色に発光する相の生成が回避され、青色の発光強度が弱くなるのを回避することができ好ましい。また、酸素と窒素の関係が0≦o<nの関係にあると、窒素のモル比に比べ酸素のモル比が大きくなった場合に起きるガラス化を回避することができるので、結晶性の低下による発光強度の低下を回避することができ好ましい。
その上、上述の一般式MmAaBbOoNn:Zの組成を有する蛍光体において、M元素が+II価、A元素が+III価、B元素が+IV価の元素であり、酸素が−II価、窒素が−III価の元素であることから、m、a、b、o、nが、n=2/3m+a+4/3b−2/3oの関係をとると、各元素の価数を足し合わせた場合にゼロとなり、当該蛍光体は安定な化合物となり好ましい。
当該蛍光体は、本実施形態の蛍光体の一般式MmAaBbOoNn:Zにおいて、m、a、b、o、nの値が、5.0<(a+b)/m<9.0、0≦a/m≦2.0、0≦o<n、n=2/3m+a+4/3b−2/3oの範囲であれば良いわけだが、更には、4.0≦b/m≦8.0、6.0≦(a+b)/m≦8.0、0<o/m≦3.0であることが好ましい。これは、m、bの値によって、上記範囲内で最適なa、oを設定することにより、不純物相の生成を著しく抑制させることができ、また、ガラス化による結晶性の低下を回避できるからである。更に、a/mが2.0以下の場合には、A元素、B元素、酸素、窒素により構造的に規則的で安定なネットワークを組むことができ、例えば、A元素がAl、B元素がSiである場合、原料であるAlNが未反応原料として残らずに、[SiN]もしくは[(Al,Si)(O,N)]からなる四面体のネットワーク中にほぼ全固溶できると考えられるためである。さらに、a、b、o、nの値が、a=x×m、b=(6−x)×m、o=(1+x)×m、n=(8−x)×mをとることにより、M元素が[SiN]または[(Al,Si)(O,N)]の四面体に囲まれた、より理想的な構造をとることになり、蛍光体としての発光効率が高まり好ましい。ここでxは0<x≦2の範囲をとり、さらに好ましくは0<x<1.5である。
一方、前記M元素は、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、II価の価数をとる希土類元素、の中から選ばれる1種類以上の元素であることが好ましく、さらには、Mg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される1種類以上の元素であることがより好ましく、最も好ましくはSrまたはBaである。そして、いずれの場合であっても、M元素の中にSrが含まれていることが好ましい。
前記A元素は、B、Al、Ga、In、Tl、Y、Sc、P、As、Sb、Biの中から選ばれる1種類以上の元素であることが好ましく、さらには、Al、Ga、Inから選択される1種類以上の元素であることがより好ましく、最も好ましくはAlである。Alは、窒化物であるAlNが一般的な熱伝材料や構造材料として用いられており、入手容易で且つ安価であり加えて環境負荷も小さく好ましい。
前記B元素は、Si、Ge、Sn、Ti、Hf、Mo、W、Cr、Pb、Zrの中から選ばれる1種類以上の元素であることが好ましく、さらには、Si及び/またはGeであることが好ましく、最も好ましくはSiである。Siは、窒化物であるSiが一般的な熱伝材料や構造材料として用いられており、入手容易で且つ安価であり加えて環境負荷も小さく好ましい。
前記Z元素は、蛍光体の母体構造におけるM元素の一部を置換した形で配合され、希土類元素または遷移金属元素から選択される1種類以上の元素である。本実施形態の蛍光体を用いた白色LED照明を始めとする各種の光源に十分な演色性を発揮させる観点からは、当該蛍光体の発光スペクトルにおけるピークの半値幅は広いことが好ましい。そして、当該観点からZ元素は、Eu、Ce、Pr、Tb、Yb、Mnから選択される1種類以上の元素であることが好ましい。中でもZ元素としてEuを用いると、当該蛍光体は、青色で発光強度の高いブロードな発光スペクトルを示すため、白色LED照明を始めとする各種光源の付活剤として好ましい。
Z元素の添加量は、本実施形態の蛍光体を一般式MmAaBbOoNn:Zz(但し、5.0 <(a+b)/m<9.0、0≦a/m≦2.0、0≦o<n、n=2/3m+a+4/3b−2/3o)と表記した際、M元素と付活剤Z元素とのモル比z/(m+z)において、0.0001以上、0.50以下の範囲にあることが好ましい。M元素とZ元素とのモル比z/(m+z)が当該範囲にあれば、付活剤(Z元素)の含有量が過剰であることに起因して濃度消光が生じ、これにより発光効率が低下することを回避でき、他方、付活剤(Z元素)の含有量が過少であることに起因して発光寄与原子が不足し、これにより発光効率が低下することも回避できる。さらに、当該z/(m+z)の値が、0.001以上、0.30以下の範囲内であればより好ましい。但し、当該z/(m+z)の値の範囲の最適値は、付活剤(Z元素)の種類及びM元素の種類により若干変動する。さらに、付活剤(Z元素)の添加量制御によっても、当該蛍光体の発光のピーク波長をシフトして設定することができ、得られた光源において輝度や色度の調整の際に有益である。
また、Z元素を選択することにより、本実施形態の蛍光体における発光のピーク波長を可変することができ、また、種類の異なるZ元素を複数付活することによって、ピーク波長の可変、更には増感作用により、発光強度及び輝度を向上させることが可能である。
本実施形態の蛍光体の組成分析結果を行った結果、組成分析結果より算出した各元素のm、a、b、o、nの値と、使用される原料の配合比より算出したm、a、b、o、nの値に若干のずれが生じた。これは、焼成中にごくわずかの原料が分解したり、蒸発したりしてしまうこと、さらには分析誤差によるものと考えられる。特に、oを算出する場合には、当初から原料に含有していた酸素や表面に付着していた酸素、原料の秤量時、混合時及び焼成時において原料の表面が酸化したことで混入する酸素、さらに焼成後に蛍光体表面に吸着される水分や酸素等を考慮していないためであると考えられる。また、窒素ガス及び/またはアンモニアガスを含んだ雰囲気で焼成した場合には、焼成時に原料中の酸素が抜け窒素に置換されてしまいo、nに若干のずれが生ずると考えられる。
本実施形態の蛍光体を粉体の形で用いる場合は、粒径50μm以下の1次粒子と、当該1次粒子が凝集した凝集体を含み、当該1次粒子及び凝集体を含んだ蛍光体粉体の平均粒径が50μm以下であることが好ましい。これは、蛍光体粉体において発光は主に粒子表面で起こると考えられるため、平均粒径(尚、本実施形態において平均粒径とは、中位径(D50)のことである。)が50μm以下であれば、粉体単位重量あたりの表面積を確保でき、輝度の低下を回避できるからである。さらに、当該粉体をペースト状とし、発光体素子等に塗布した場合にも当該粉体の密度を高めることができ、この観点からも輝度の低下を回避することができる。また、本発明者らの検討によると、詳細な理由は不明であるが、蛍光体粉末の発光効率の観点から、平均粒径が0.1μmより大きいことが好ましいことも判明した。以上のことより、本実施形態の蛍光体粉体の平均粒径は、0.1μm以上50μm以下、さらに好ましくは5.0μm以上、30μm以下の粒子径であることが好ましい。ここでいう平均粒子径(D50)は、ベックマン・コールター社製LS230(レーザー回折散乱法)により測定された値である。また、上記観点から、本実施形態の蛍光体粉末の比表面積(BET)の値は0.05m/g以上、5.00m/g以下であることが好ましい。
本実施形態の蛍光体は、発光スペクトルのピークを400nm〜500nmの範囲に持ち、ピーク形状はブロードであり、発光強度及び輝度に優れているため白色LED照明用蛍光体としてふさわしい。さらに、近紫外・紫外の範囲に良好な励起帯を有するため、例えば、ワンチップ型白色LED照明として提案されている近紫外・紫外発光(波長380〜410nm付近)するLEDと、当該LEDから発生する近紫外・紫外光により励起されて赤色(R)発光する蛍光体、緑色(G)発光する蛍光体、青色(B)発光する蛍光体とを組み合わせ、当該R・G・B他の蛍光体から得られる光の混色を利用して白色を得る方式の白色LED照明に使用した場合には、最高の発光強度に近い状態で使用することが可能である。即ち、近紫外・紫外の光を発する発光部と当該蛍光体を組み合わせることにより、高出力、演色性の良い白色光源及び白色LED照明、さらにはこれらを使用した照明ユニットを得ることができる。
粉末状となった本実施形態の青色蛍光体と、公知の緑色蛍光体、赤色蛍光体とを組み合わせ、本実施形態の蛍光体を含む蛍光体混合物を作製し、波長域250nmから450nm、好ましくは波長域350nm〜430nmのいずれかの光を発光する発光部と組み合わせることで、各種の照明装置や、主にディスプレイ装置用バックライト等を製造することができる。ここで、上記青色蛍光体は、波長域250nmから450nmのいずれかの光を第1の波長の光とし、この光の一部または全てを励起光とし、上記第1の波長の光と異なる波長の光を発光する。
組み合わせる緑色蛍光体としては、例えばSrAlSi:Ce、SrAlSi10ON14:Ce 、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu、SrAl:Eu、BAM:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu、が挙げられるが、この限りではない。また、組み合わせる赤色蛍光体としては、CaAlSiN:Eu、SrSi:Eu、(Ca,Sr)Si:Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、SrS:Eu、CaS:Eu、YS:Eu、LaS:Eu、(La,Mn,Sm)S・Ga:Euが挙げられるが、この限りではない。
発光部として、例えば、紫外から近紫外のいずれかの範囲で発光するLED発光素子、紫外光を発生する放電灯を用いることができる。例えば、本実施形態の蛍光体を含んだ蛍光体混合物を、紫外光を発生する放電灯と組み合わせることで蛍光灯や照明ユニットやディスプレイ装置、また、紫外から近紫外を発光するLED発光素子と組み合わせることでも、照明ユニットやディスプレイ装置を製造することができる。さらに、本実施形態の蛍光体を、電子線を発生する装置と組み合わすことによってもディスプレイ装置を製造することができる。
本実施形態の蛍光体の混合物と発光部との組み合わせの方法は、公知の方法で行っても良いが、発光部にLEDを用いた発光装置の場合は、下記のようにして発光装置を作製することが出来る。以下、図面を参照しながら、発光部にLEDを用いた発光装置について説明する。
図1(A)〜(C)は、砲弾型LED発光装置の模式的な断面図であり、図2(A)〜(E)は、反射型LED発光装置の模式的な断面図である。尚、各図面において、相当する部分については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
まず、図1(A)を用いて、発光部にLEDを用い、前記蛍光体混合物と組み合わせた発光装置の1例について説明する。砲弾型LED発光装置においては、リードフレーム3の先端に設けられたカップ状の容器5内に、LED発光素子2が設置され、これらが透光性の樹脂4にてモールドされている。当該実施の形態では、前記蛍光体混合物または前記蛍光体混合物をシリコン系樹脂やエポキシ樹脂等の透光性のある樹脂に分散させた混合物(以下、混合物1と記載する。)を、カップ状の容器5内の全てに埋め込むものである。樹脂中にSiOやAlなどの光の分散材を含有させる構成も好ましい。
次に、図1(B)を用いて、異なる発光装置の1例について説明する。当該実施の形態では、混合物1をカップ状の容器5上及びLED発光素子2上面に塗布したものである。
次に、図1(C)を用いて、さらに異なる発光装置の一例について説明する。当該実施の形態では、蛍光体混合物1をLED発光素子2の上部に設置したものである。
以上、図1(A)〜(C)を用いて説明した砲弾型LED発光装置は、LED発光素子2からの光の放出方向は上方向であるが、光の放出方向が下方向でも同様の方法で発光装置の作製は可能である。例えば、当該LED発光素子2の光の放出方向に反射面、反射板を設け、同発光素子2から放出される光を反射面に反射させて外部に発光させるのが反射型LED発光装置である。そこで、図2(A)〜(E)を用い、反射型LED発光装置と本実施形態の蛍光体混合物とを、組み合わせた発光装置の例について説明する。
まず、図2(A)を用いて、発光部に反射型LED発光装置を用い、本実施形態の蛍光体混合物と組み合わせた発光装置の一例について説明する。反射型LED発光装置においては、片方のリードフレーム3の先端にLED発光素子2が設置され、このLED発光素子2からの発光は、下方に向かい反射面8により反射されて上方より放出される。当該実施の形態では、混合物1を反射面8上に塗布するものである。尚、反射面8が形成する凹部内には、LED発光素子2を保護するため透明モールド材9が充填される場合もある。
次に、図2(B)を用いて、異なる発光装置の一例について説明する。当該実施の形態では、混合物1をLED発光素子2の下部に設置したものである。
次に、図2(C)を用いて、異なる発光装置の一例について説明する。当該実施の形態では、混合物1を、反射面8が形成する凹部内に充填したものである。
次に、図2(D)を用いて、異なる発光装置の一例について説明する。当該実施の形態では、混合物1を、LED発光素子2を保護するための前記透明モールド材9の上部に塗布したものである。
次に、図2(E)を用いて、異なる発光装置の一例について説明する。当該実施の形態では、混合物1を、LED発光素子2の表面に塗布したものである。
砲弾型LED発光装置と反射型LED発光装置とは、用途に応じて使い分ければよいが、反射型LED発光装置には、薄くできる、光の発光面積を大きくできる、光の利用効率を高められる等のメリットがある。
以上説明した発光装置を高演色性照明用光源として使用する場合には、演色性に優れる発光スペクトルを有していることが必要であるので、JISZ8726の評価方法を用いて、本実施形態の蛍光体を含む蛍光体混合物を組み込んだ発光装置の演色性を評価した。JISZ8726の評価において、当該光源の平均演色評価数Raが80以上であれば、優れた発光装置といえる。そして、好ましくは、日本人女性の肌色の成分を示す指標である特殊演色評価数R15が80以上であれば、非常に優れた発光装置といえる。ただし、演色性を求めない用途や異なる目的によっては上記指標を満たさなくても良い。
そこで、波長250nm〜430nmの範囲のいずれかの発光をおこなう発光部からの光が本実施形態の蛍光体を含む蛍光体混合物へ照射され、当該蛍光体混合物が発光をおこなう発光装置を作製した。尚、発光部としては405nmに発光する紫外LEDを用いた。その結果、本実施形態の蛍光体を混合することで、当該発光装置の相関色温度を10000Kから2500Kの範囲としたとき、当該発光装置の平均演色評価数Raが80以上、さらに好ましいことにR15が80以上、R9が60以上を有する演色性に優れた発光装置となった。即ち、当該発光装置は、高輝度で非常に演色性に優れた光源であることが判明した。
一方、本実施形態の蛍光体混合物を樹脂中等に分散させ、蛍光体シートとする構成も好ましい。
当該蛍光体シートを製造する際に用いられる媒体となる材料としては、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂を始めとする各種の樹脂、またはガラス等が考えられる。当該蛍光体シートの使用例としては、当該蛍光体シートと適宜な発光を行う光源(発光部)とを組み合わせ、所定の発光を行うことが可能である。なお、当該蛍光体シートを励起する励起光は、波長250nmから430nmの光であれば良く、LED等の発光素子を始めとして、Hg放電による紫外線光源、レーザーによる光源等でもよい。
次に、本実施形態における蛍光体の製造方法について、SrAlSi6−x1+x8−x:Eu(但し、x=0.8、Eu/(Sr+Eu)=0.030である。)の製造を例として説明する。
尚、蛍光体原料の焼成時における蒸発のため、原料の仕込み組成と、焼成後の生成した組成とが異なる。特に、1700℃以上の焼成及び長時間の焼成においては、Siが当該焼成によって次第に分解していくため、狙いのモル比より多めに仕込んでおいた方が好ましい。ただし、分解量は焼成時の条件により変化するため、仕込み量は、各々の焼成条件によって調整することが好ましい。そこで以下の説明においては、便宜上、蛍光体原料の配合比率より算定した組成式を示している。従って、本実施形態では蛍光体を、原料の仕込み時の組成式SrAl0.9Si6.01.258.73: Euを以て標記し、製造方法について説明する。ここで、z/(m+z)とEu/(Sr+Eu)とは同じ意味である。尚、仕込み時において付活剤元素の原料中に含まれる酸素量は少量のため無視している。
ある。
一般的に蛍光体は固相反応により製造されるものが多く、本実施形態の蛍光体の製造方法も固相反応によって得ることができる。しかし、製造方法はこれらに限定されるものではない。M元素、A元素、B元素の各原料は窒化物、酸化物、炭酸塩、水酸化物、塩基性炭酸塩などの市販されている原料でよいが、純度は高い方が好ましいことから、好ましくは2N以上、さらに好ましくは3N以上のものを準備する。各原料粒子の粒径は、一般的には、反応を促進させる観点から微粒子の方が好ましいが、原料の粒径、形状により、得られる蛍光体の粒径、形状も変化する。このため、最終的に得られる蛍光体に求められる粒径や形状に合わせて、近似の粒径を有する窒化物等の原料を準備すればよいが、好ましくは50μm以下の粒子径、さらに好ましくは0.1μm以上10.0μm以下の粒子径の原料を用いると良い。Z元素も原料は市販の窒化物、酸化物、炭酸塩、水酸化物、塩基性炭酸塩、もしくは単体金属が好ましい。勿論、各原料の純度は高い方が好ましく、2N以上、さらに好ましくは3N以上のものを準備する。特に、M元素の原料として炭酸塩を使用した場合には、本実施形態の蛍光体の構成元素に含まれない元素からなる化合物を、フラックス(反応促進剤)として添加することなく、フラックス効果を得ることができるため好ましい構成である。
組成式SrAl0.8Si5.21.87.2:Euの製造であれば、焼成後の各元素のモル比がSr:Al:Si:O:Eu=0.970:0.8:5.2:1.8:0.030となるように、焼成時の原料組成の減少分を調整し仕込み組成を決めればよい。ここでは、仕込み組成式SrAl0.9Si6.01.258.73:Eu(但し、Eu/(Sr+Eu)=0.030)として製造した。各元素の原料として例えば、M元素、A元素、B元素の原料として、それぞれSrCO(3N)、Al(3N)、AlN(3N)、Si(3N)を準備し、Z元素としては、Eu(3N)を準備するとよい。これらの原料をそれぞれ、SrCOを0.970 mol、Alを0.25/3 mol、AlNを(0.9−0.25/3×2)mol、Siを6.0/3mol、Euを0.030/2 mol秤量し混合する。Sr原料として炭酸塩を使用したのは、酸化物原料は融点が高くフラックス効果が期待できないのに対し、炭酸塩など低融点の原料を使用した際には、原料自体がフラックスとして働き、反応が促進され、発光特性が向上するためである。
また、原料として酸化物を使用した場合、フラックス効果を得るために、フラックスとして別の物質を添加してもよいが、その場合には当該フラックスが不純物となり、蛍光体の特性を悪化させる可能性があることに注意する必要がある。当該秤量・混合については、大気中で行っても良いが、各原料元素の窒化物が水分の影響を受けやすいため、水分を十分取り除いた不活性雰囲気下のグローブボックス内での操作が便宜である。混合方式は湿式、乾式どちらでも構わないが、湿式混合の溶媒として水を用いると原料が分解するため、適当な有機溶媒または液体窒素を選定する必要がある。装置としてはボールミルや乳鉢等を用いる通常のものでよい。
混合が完了した原料をるつぼに入れ、焼成炉内に雰囲気ガスを流通させながら1600℃以上、より好ましくは1700℃以上2000℃以下で30分間以上保持して焼成する。焼成温度が1600℃以上であれば、固相反応が良好に進行して発光特性に優れた蛍光体を得ることが可能となる。また2000℃以下で焼成すれば、過剰な焼結や、融解が起こることを防止できる。尚、焼成温度が高いほど固相反応が迅速に進むため、保持時間を短縮出来る。一方、焼成温度が低い場合でも、当該温度を長時間保持することにより目的の発光特性を得ることが出来る。しかし、焼成時間が長いほど粒子成長が進み、粒子形状が大きくなるため、目的とする粒子サイズに応じて焼成時間を設定すればよい。
焼成炉内に流通させる雰囲気ガスとしては、窒素に限らず、希ガス等の不活性ガス、アンモニア、アンモニアと窒素との混合ガス、または窒素と水素との混合ガスのいずれかを用いると良い。但し、当該雰囲気ガス中に酸素が含有されていると蛍光体粒子の酸化反応が起こるため、不純物として含まれる酸素はできるだけ少なく、例えば100ppm以下であることが好ましい。さらに雰囲気ガス中に水分が含有されていると、酸素と同様、焼成時に蛍光体粒子の酸化反応が起こるため、不純物として含まれる水分もできるだけ少なく、例えば100ppm以下であることが好ましい。ここで、雰囲気ガスとして単一ガスを用いる場合は窒素ガスが好ましい。アンモニアガスの単独使用による焼成も可能であるが、窒素ガスに比べアンモニアガスはコスト的に高いことや、腐食性ガスであるため、装置及び低温時の排気方法に特別な処置が必要となるので、アンモニアを用いる場合には、窒素との混合ガスとするなど、アンモニアを低濃度にして用いる方が好ましい。例えば、窒素ガスとアンモニアの混合ガスを用いる場合、窒素は80%以上、アンモニアは20%以下とすることが好ましい。また、窒素と他のガスとの混合ガスを用いる場合も、窒素以外のガス濃度が高まると、雰囲気ガス中の窒素の分圧が低くなるので、蛍光体の窒化反応を促進する観点からは、80%以上の窒素を含む不活性または還元性ガスを用いると良い。
本実施の形態では、上述した条件での焼成工程を少なくとも二回以上繰り返し、更に各焼成工程間で一旦試料を焼成炉から取り出し、粉砕・混合操作を加えることが好ましい。焼成を繰り返すことにより焼成物の均一性が向上し、蛍光体の発光効率が向上する。粉砕・混合操作においては、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等の公知の方法でよい。
さらに、当該焼成中に上述した雰囲気ガスを、例えば、0.1ml/min以上流量させる状態を設けることが好ましい。これは、蛍光体原料の焼成中には当該原料からガスが発生するが、上述の窒素、希ガス等の不活性ガス、アンモニア、アンモニアと窒素との混合ガス、または窒素と水素との混合ガスから選択される1種類以上のガスを含んだ雰囲気を流動(フロー)させることにより、原料から発生したガスが炉内に充満して反応に影響を与えることを防止でき、この結果、蛍光体の発光特性の低下を防止できるからである。特に、蛍光体原料として炭酸塩、水酸化物、塩基性炭酸塩など、高温で酸化物に分解する原料を使用した際には、ガスの発生量が多いため、焼成炉内にガスを流通させ、発生したガスを排気させる構成を採ることが好ましい。
一方、蛍光体製造における蛍光体原料焼成の段階において、焼成炉内の圧力は、炉内に大気中の酸素が混入しないよう加圧状態であることが好ましい。ただし、該加圧が1.0MPa(本実施形態において、炉内圧力とは大気圧からの加圧分の意味である。)を超えると炉設備の設計上、特殊な耐圧設計が必要となることから、生産性を考慮すると該加圧は1.0MPa以下であることが好ましい。また、該加圧が高くなると、蛍光体粒子間の焼結が進み過ぎ、焼成後の粉砕が困難となることがあるため、この観点からも当該焼成中の炉内圧力は1.0 MPa以下が好ましく、更に好ましくは0.001MPa以上、0.1MPa以下であることが好ましい。
尚、るつぼとしてはAlるつぼ、Siるつぼ、AlNるつぼ、サイアロンるつぼ、C(カーボン)るつぼ、BN(窒化ホウ素)るつぼなどの、上述したガス雰囲気中で使用可能なものを用いれば良いが、特に、窒化物からなるるつぼ、例えば上記BNるつぼを用いると、るつぼからの不純物混入を回避することができ好ましい。
また、焼成時にるつぼに蓋をして焼成すると、蛍光体粒子表面から内部にかけて原子分布のムラを防止することができ、発光強度の低下を抑制することができるため好ましい。これは、るつぼに蓋をすることで、Si原子や酸素原子が粒子表面から分離することが抑制されるようになり、Si原子や酸素原子が粒子内部から粒子表面へ拡散することが防止されたためと思われる。こうして焼成した蛍光体は、粒子内部における原子の分布の偏りが抑制されていた。そして、粒子内部における原子の分布の偏りが抑制された結果、粒子内の組成ずれも抑制され、格子欠陥・格子歪み、不純物相が少なく、高い発光効率を備えた蛍光体となった。
るつぼに蓋をする方法としては、るつぼ上部の開放部を板状の蓋で覆っても良いし、るつぼを一回り大きくした形状の容器を逆さまにし、るつぼに被せることで蓋としても良い。るつぼの蓋としては、Al、Si、AlN、サイアロン、C(カーボン)、BN(窒化ホウ素)などの、上述したガス雰囲気中で使用可能な材質の蓋を用いれば良いが、特にBN製の蓋を用いると、蓋からの不純物混入を回避することができ好ましい。尚、一回り大きな形状とは、具体的には、当該るつぼの外寸法より、ほぼ同寸法〜2倍程度の内寸法を有する容器のことをいう。後述するトレイの場合も同様である。
るつぼを覆う蓋としての容器の一例を図5に示す。この容器10は、図5(A)に示すように、有底筒形状のるつぼ11よりも一回り大きな寸法の有底筒形状に形成され、るつぼ11に対し上下を逆さにし、このるつぼ11を内部に収容して覆うものである。るつぼ11を焼成炉14に設置する際には、図5(B)に示すように、まずカーボン台12に、蛍光体原料の混合物16を収納したるつぼ11を1個または複数個配置し、これらの各るつぼ11に容器10を覆うように被せる。次に、図5(C)及び(D)に示すように、これらのるつぼ11及び容器10をカーボン台12と共にカーボン容器13内に収めて、焼成炉14内に設置する。上記カーボン容器13は、焼成炉14内で周方向に複数配置されたカーボンヒータ15からの熱を均一化すると共に、るつぼ11に対して容器10と同様に蓋としても機能する。
蓋の他の例を図6に示す。この図6では、蛍光体原料の混合物16は、上方が開放された箱形状のトレイ20内に収納されている。このトレイ20は、上記るつぼ11と同様な材質、例えばBN(窒化ホウ素)にて構成されている。このトレイ20の蓋は、トレイ20の上方開口部分を覆う板状のものでもよいが、図6に示すように、下方が開放された一回り大きな形状を有する箱形状の容器21を用い、この容器21内にトレイ20が収容されるように、当該容器21によりトレイ20を覆うようにしてもよい。
焼成が完了した後、焼成物をるつぼから取り出し、乳鉢、ボールミル等の粉砕手段を用いて、所定の平均粒径となるように粉砕し、組成式SrAl0.8Si5.21.87.2:Euで示される蛍光体を製造することができる。得られた蛍光体はこの後、必要に応じて、洗浄、分級、表面処理、熱処理を行う。洗浄方法としてはフッ酸、塩酸、硫酸、硝酸などを用いた酸性溶液中での洗浄が、粒子表面に付着したFe等の金属原子や、未反応で残留した原料粒子を溶解するため好ましい。ここで、得られた蛍光体に含まれるFe、Ni、Coの量は100ppm以下であることが好ましい。
M元素、A元素、B元素、Z元素として、他の元素を用いた場合、及び付活剤であるZ元素の付活量を変更した場合も、各原料の仕込み時の配合量を所定の組成比に合わせることで、上述したものと同様の製造方法により蛍光体を製造することができる。ただし、焼成条件によっては、焼成時に原料の蒸発、昇華等が起こるため、その分の原料の仕込み組成を考慮した原料の混合・焼成を行う。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
以下の手順により実施例1に係る試料を製造した。
SrCO(3N)、Al(3N)、AlN(3N)、Si(3N)、Eu(3N)を準備し、各元素のモル比がSr:Al:Si:Eu=0.950:0.9:6.0:0.050となるように各原料を、SrCOを0.950 mol、Alを0.25/3 mol、AlNを(0.9−0.25/3×2)mol、Siを2mol、Euを0.050/2 mol秤量し、大気中にて乳鉢を用いて混合した。混合した原料をBNるつぼに入れ、BNるつぼよりも一回り大きなBN製容器をるつぼの上に蓋として被せた状態で炉内に配置し、炉内を真空に引いて窒素で置換した後、流通する窒素雰囲気中(フロー状態、20.0L/min)、炉内圧 0.05MPaで1600℃まで15℃/minで昇温し、1600℃で3時間保持・焼成した。その後、1600℃から50℃まで1時間30分間で冷却し、一度焼成試料を取り出し、乳鉢で粉砕・混合を行った。その後、再度BNるつぼに入れ、BNるつぼよりも一回り大きなBN製容器を、るつぼの上に蓋として被せた状態で炉内に配置し、炉内を真空に引いて窒素で置換した後、流通する窒素雰囲気中(フロー状態、20.0L/min)、炉内圧 0.05MPaで1800℃まで15℃/minで昇温し、1800℃で3時間保持・焼成した。その後、1800℃から50℃まで1時間30分間で冷却して、焼成を完了させた。その後、焼成試料を大気中にて適当な粒径になるまで乳鉢を用いて解砕し、実施例1の蛍光体試料を得た。
得られた蛍光体試料を組成分析した結果を表1に示す。組成分析の結果、組成式SrAlSi6−x1+x8−x:Euにおいて、x=0.8とした場合である、SrAl0.8Si5.21.87.2:Euで表される蛍光体に近い組成であることが判明した。ただし、組成式における各元素のモル比よりもわずかに酸素が少なく、窒素が多い結果であった。これは、窒素雰囲気において高温で焼成しているため、試料中から酸素が分離しやすくなっていることと、組成分析結果に若干誤差が含まれていることが影響していることが考えられる。よって、正確には組成式SrAlSi6−x1+x8−x:Euにおいてx=0.8とした、SrAl0.8Si5.21.87.2:Euで表される蛍光体ではないものの、ほぼ、その組成に近い蛍光体が得られた。
得られた蛍光体試料に405nmの単色光を照射して、発光強度を測定した。但し、発光強度は相対強度をもって示し、後述する比較例1における蛍光体の発光強度を100%として規格化した値である。当該測定結果を表2に示す。
Figure 2008088257
Figure 2008088257
得られた蛍光体試料について、粒子内部の原子の分布状態を調査するため、ESCAによりSi原子及び酸素原子の粒子表面から深さ方向への総原子数に対する割合の変化を調査した。ここで、ESCAの測定方法について説明する。
測定試料を試料ホルダーにセットし、アルバック・ファイ株式会社製「5800」により測定を行った。測定条件を以下に示す。
使用測定装置:アルバック・ファイ株式会社製「5800」
X線源 :Al陽極線源、150W
分析エリア :800μmφ
中和銃 :使用
試料調整 :試料ホルダー上にセット
取り出し角 :45°
Arスパッターエッチング速度:10nm/min(SiO換算値)
測定は粒子表面から深さ50nmの位置から深さ1950nmの位置まで、100nmの深さ間隔で実施し、各深さ位置において、各原子の総原子数に対する割合(at%)を測定した。
各深さ位置におけるSi原子の総原子数に対する割合を表3に示す。また、深さ50nmの位置におけるSi原子の割合をM(Si)50と表記し、粒子表面から深さdnmの位置におけるSi原子の割合をM(Si)と表記して、Si原子の割合の変化率(M(Si)−M(Si)50)/M(Si)50×100)を算出した結果についても表3に示した。さらに図3に、各深さ位置におけるSi原子の割合の変化率(M(Si)−M(Si)50)/M(Si)50×100)を、◆印を用いてプロットした。
また、各深さ位置における酸素原子の総原子数に対する割合を表4に示す。また、深さ50nmの位置における酸素原子の割合をM(O)50と表記し、深さdnmの位置における酸素原子の割合をM(O)と表記して、酸素原子の割合の変化率(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100)を算出した結果についても表4に示した。さらに図4に、各深さ位置における酸素原子の割合の変化率(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100)を、▲印を用いてプロットした。
Figure 2008088257
Figure 2008088257
(比較例1)
SrCO(3N)、Al(3N)、AlN(3N)、Si(3N)、Eu(3N)を、各元素のモル比がSr:Al:Si:Eu=0.950:0.9:6.5:0.050と、実施例1よりもSiが多い条件で各原料を混合した。混合した原料をBNるつぼに入れ、BNるつぼに蓋をしない状態で炉内に配置し、炉内を真空に引いて窒素で置換した後、流通する窒素雰囲気中(フロー状態、20.0L/min)、炉内圧 0.05MPaで1600℃まで15℃/minで昇温し、1600℃で3時間保持・焼成した。その後、1600℃から50℃まで1時間30分間で冷却し、一度焼成試料を取り出し、乳鉢で粉砕・混合を行った。その後、再度BNるつぼに入れ、BNるつぼに蓋をしない状態で炉内に配置し、炉内を真空に引いて窒素で置換した後、流通する窒素雰囲気中(フロー状態、20.0L/min)、炉内圧 0.05MPaで1800℃まで15℃/minで昇温し、1800℃で3時間保持・焼成した。その後、1800℃から50℃まで1時間30分間で冷却して、焼成を完了させた。その後、焼成試料を大気中にて適当な粒径になるまで乳鉢を用いて解砕し、比較例1の蛍光体試料を得た。
得られた蛍光体試料を組成分析した結果を表1に示す。組成分析の結果、組成式SrAlSi6−x1+x8−x:Euにおいて、x=0.8とした場合である、SrAl0.8Si5.21.87.2:Euで表される蛍光体に近い組成であることが判明した。ただし、実施例1で作製した蛍光体と比較して酸素含有量の低下が顕著であり、窒素含有量が多い結果であった。これは、実施例1で実施したようにBNるつぼに蓋をした状態で焼成していないため、余計に酸素が分離しやすくなったためと思われる。よって、比較例1で作製した蛍光体は、組成式SrAlSi6−x1+x8−x:Euにおいてx=0.8とした、SrAl0.8Si5.21.87.2:Euで表される蛍光体よりも、酸素含有量が少ない蛍光体であった。
実施例1と同様に、得られた蛍光体試料に405nmの単色光を照射して、発光強度を測定した。当該測定結果を表2に示す。
得られた蛍光体試料について、粒子内部の原子の分布状態を調査するため、ESCAによりSi原子及び酸素原子の粒子表面から深さ方向への総原子数に対する割合の変化を調査した。測定は実施例1の場合と同様の方法により、粒子表面から深さ50nmの位置から深さ1950nmの位置まで、100nmの深さ間隔で実施し、各深さ位置において、各原子の総原子数に対する割合(at%)を測定した。
各深さ位置におけるSi原子の総原子数に対する割合を表3に示す。また、深さ50nmの位置におけるSi原子の割合をM(Si)50と表記し、深さdnmの位置におけるSi原子の割合をM(Si)と表記して、Si原子の割合の変化率(M(Si)−M(Si)50)/M(Si)50×100)を算出した結果についても表3に示した。さらに図3に、各深さ位置におけるSi原子の割合の変化率(M(Si)−M(Si)50)/M(Si)50×100)を、◇印を用いてプロットした。
また、各深さ位置における酸素原子の総原子数に対する割合を表4に示す。また、深さ50nmの位置における酸素原子の割合をM(O)50と表記し、深さdnmの位置における酸素原子の割合をM(O)と表記して、酸素原子の割合の変化率(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100)を算出した結果についても表4に示した。さらに図4に、各深さ位置における酸素原子の割合の変化率(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100)を、△印を用いてプロットした。
(実施例と比較例の違いについての考察)
表2から分かるように、実施例1の蛍光体は、比較例の蛍光体よりも発光強度が32%も高い結果であった。この理由について、以下のように考察した。
表3及び図3から分かるように、実施例1の蛍光体は、粒子表面から2000nmまでのどの深さ位置においてもSi原子の割合がそれほど変化せず、粒子表面から深さ50nmの位置におけるSi原子の割合に対し、その変化率が6%以内に収まっている。
一方、比較例1の蛍光体は、粒子表面からの位置が深くなるにつれてSi原子の割合が増加し、深さ150nmの位置においては、深さ50nmの位置におけるSi原子の割合から5%も増加しており、さらに、深さ350nm以降においては約10〜15%も増加する結果となっている。この結果から、比較例1の蛍光体は、粒子内部においてSi原子の分布が大幅に変化し、特に粒子表面近傍において変化が大きいことが分かる。この粒子表面近傍におけるSi原子の含有量の変化は、粒子内部の組成ずれを引き起こし、それに伴って格子欠陥・格子歪み、不純物相が発生し、発光強度の低下を引き起こしたものと考えられる。蛍光体は、粒子表面が特に発光に寄与するものと考えられているため、このように発光強度への影響が大きかったことが予想される。
また、表4及び図4から分かるように、実施例1の蛍光体は、粒子表面から2000nmまでの深さ位置において、酸素原子の割合が変動しているものの、その変化率は20%程度である。一方、比較例1の蛍光体は、粒子表面から深さ150nmの位置における酸素原子の割合が、深さ50nmの位置における酸素原子の割合に対し50%も低下しており、さらに深い部分での位置においては、40〜60%も低下する結果となっている。この結果から、比較例1の蛍光体は、粒子内部における酸素原子の分布が大幅に変化しており、特に粒子表面近傍において変化が大きいことが分かる。この粒子表面近傍における酸素原子の含有量の変化は、粒子内部の組成ずれを引き起こし、それに伴って格子欠陥・格子歪み、不純物相が発生し、発光強度の低下を引き起こしたものと考えられる。蛍光体は、粒子表面が特に発光に寄与するものと考えられているが、上述のようなメカニズムにより発光強度への影響が大きかったものと考えられる。
砲弾型LED発光装置を示す模式的な断面図である。 反射型LED発光装置を示す模式的な断面図である。 実施例1及び比較例1の蛍光体におけるSi原子の総原子数に対する割合の変化率を示すグラフである。 実施例1及び比較例1の蛍光体における酸素原子の総原子数に対する割合の変化率を示すグラフである。 蓋として機能する容器内にるつぼを収容し、このるつぼ及び容器を焼成炉に設置する手順を示す斜視図である。 蛍光体原料の混合物を収納したトレイを、蓋として機能する容器とともに示し、(A)が斜視図、(B)が断面図である。
符号の説明
1 混合物
2 発光素子
3 リードフレーム
4 樹脂
5 容器
8 反射面
9 透明モールド材
10 容器(蓋)
11 るつぼ
14 焼成炉

Claims (22)

  1. 一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素は少なくともSiを含むIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記され、
    粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)50at%、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(B)の値が、
    −10<(M(B)−M(B)50)/M(B)50×100<10
    を満たすことを特徴とする蛍光体。
  2. 一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記され、
    粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対する酸素原子の割合をM(O)50at%、粒子表面からdnmの深さにおける総原子数に対する酸素原子の割合をM(O)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するO元素酸素原子の割合をM(O)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(O)の値が、
    −40<(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100<40
    を満たすことを特徴とする蛍光体。
  3. 一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記され、
    粒子表面から50nmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合、総原子数に対する酸素原子の割合をそれぞれ、M(B)50at%、M(O)50at%、粒子表面からdnmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合、総原子数に対する酸素原子の割合をそれぞれM(B)at%、M(O)at%と表記した時、粒子表面より深さ50nmから1950nmまでの範囲を100nmの間隔で測定しdnmの深さにおける総原子数に対するB元素原子の割合をM(B)at%、O元素酸素原子の割合をM(O)at%、と表記した時、粒子表面より深さ50nmから深さ1950nmまでの範囲を所定間隔で測定したM(B)及びM(O)の値が、
    −10<(M(B)−M(B)50)/M(B)50×100<10、
    かつ、−40<(M(O)−M(O)50)/M(O)50×100<40
    を満たすことを特徴とする蛍光体。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の蛍光体であって、
    5.0<(a+b)/m<9.0、0≦a/m≦2.0、0≦o<n、n=2/3m+a+4/3b−2/3oであり、
    波長250nmから430nmの範囲の光で励起したとき、発光スペクトルのピーク波長が400nm〜500nmの範囲にあることを特徴とする蛍光体。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の蛍光体であって、
    0≦a/m≦2.0、4.0≦b/m≦8.0、6.0≦(a+b)/m≦8.0、0<o/m≦3.0であることを特徴とする蛍光体。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の蛍光体であって、
    0<x≦2とした時、a=x×m、b=(6−x)×m、o=(1+x)×m、n=(8−x)×m、であることを特徴とする蛍光体。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の蛍光体であって、
    M元素はMg、Ca、Sr、Ba、Zn、II価の価数をとる希土類元素から選択される1種類以上の元素であり、
    A元素はB、Al、Ga、In、Tl、Y、Sc、P、As、Sb、Biから選択される1種類以上の元素であり、
    B元素はSi、Ge、Sn、Ti、Hf、Mo、W、Cr、Pb、Zrから選択される1種類以上の元素であり、
    Z元素は希土類元素、遷移金属元素から選択される1種類以上の元素であることを特徴とする蛍光体。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の蛍光体であって、
    M元素はMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される1種類以上の元素であり、
    A元素はAl、Ga、Inから選択される1種類以上の元素であり、
    B元素はSi及び/又はGeであり、
    Z元素はEu、Ce、Pr、Tb、Yb、Mnから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする蛍光体。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の蛍光体であって、
    M元素はSr、A元素はAl、B元素はSi、Z元素はEuであることを特徴とする蛍光体。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の蛍光体であって、
    一般式MmAaBbOoNn:Zzと表記したとき、M元素とZ元素とのモル比であるz/ (m+z)の値が、0.0001以上、0.5以下であることを特徴とする蛍光体。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の蛍光体であって
    粒径50μm以下の1次粒子と、当該1次粒子が凝集した凝集体を含み、当該1次粒子及び凝集体を含んだ蛍光体粉末の平均粒子径(D50)が、1.0μm以上、50μm以下であることを特徴とする蛍光体。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
    当該蛍光体の原料粉体を秤量し、混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程と
    前記焼成物を解砕して蛍光体を得る工程とを有し、
    前記混合物を焼成して焼成物を得る工程において、当該焼成時の雰囲気ガスとして、窒素、希ガス等の不活性ガス、アンモニア、アンモニアと窒素の混合ガス、または、窒素と水素の混合ガスのいずれかを用いることを特徴とする蛍光体の製造方法。
  13. 請求項12に記載の蛍光体の製造方法であって、
    前記該焼炉内の雰囲気ガスとして、窒素ガスを80%以上含むガスを用いることを特徴とする蛍光体の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の蛍光体の製造方法であって、
    前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程において、
    前記混合物の焼成を2回以上行い、当該焼成と焼成との間で、焼成された混合物の粉砕混合を行うことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  15. 請求項12から14のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
    前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程において、前記焼成炉内の雰囲気ガスを0.1ml/min以上流通させながら焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  16. 請求項12から15のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
    前記混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程において、前記焼成炉内の雰囲気ガスを0.001MPa以上、1.0MPa以下の加圧状態とすることを特徴とする蛍光体の製造方法。
  17. 請求項12から16のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、
    焼成用るつぼとして窒化物からなるるつぼを使用することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  18. 請求項17に記載の蛍光体の製造方法であって、
    窒化物からなるるつぼに蓋をして焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  19. 請求項1から11のいずれかに記載の蛍光体が、樹脂またはガラス中に分散されているものであることを特徴とする蛍光体シート。
  20. 請求項1から11のいずれかに記載の蛍光体または請求項19に記載の蛍光体シートと、第1の波長の光を発する発光部とを有し、前記第1の波長の光の一部または全てを励起光とし、前記蛍光体から前記第1の波長と異なる波長の光を発光させることを特徴とする発光装置。
  21. 請求項20に記載の発光装置であって、
    第1の波長とは、250nm〜430nmの波長であることを特徴とする発光装置。
  22. 請求項20または21に記載の発光装置であって、
    第1の波長を発する発光部がLEDであることを特徴とする発光装置。
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