JP2008020176A - センサ内蔵グロープラグ - Google Patents

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裕一 山田
Shunsuke Maeda
俊介 前田
Tatsuki Hirabayashi
達樹 平林
Akihito Ishihara
彰人 石原
Tatsunori Yamada
達範 山田
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Abstract

【課題】センサ接続線及びヒータ通電用のリード線を、いずれもグロープラグの基端側から取り出す形態とし、しかも、グロメットを用いて液密に封止したセンサ内蔵グロープラグにおいて、ヒータ通電用のリード線の芯線の断面積を大きくしつつ、グロープラグの外形の細径化を図り得るセンサ内蔵グロープラグを提供する。
【解決手段】グロープラグ100は、ヒータ部材120と、軸線AX方向基端側に延びる3本のヒータ電力リード線170と、内燃機関の燃焼圧を検知するセンサ部140と、センサ部140に接続して軸線AX方向基端側に延びるセンサ接続線175と、ハウジング120、センサ部包囲筒160と、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175がそれぞれ挿通された挿通孔190Hを有し、センサ部包囲筒160の基端部160kを液密に閉塞すると共に、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175を液密に保持してなるグロメット190と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、各種のセンサを内蔵するセンサ内蔵グロープラグに関する。
内燃機関の始動補助に用いるグロープラグに、内燃機関の燃焼圧検知を行う燃焼圧センサ(特許文献1参照)や、グロープラグのヒータの温度を検知するセンサ、イオン電流を検知するセンサ(特許文献2参照)、燃焼光を検知するセンサなどの各種センサを内蔵させたセンサ内蔵グロープラグが知られている。
特開2005−90954号公報 特開平10−122114号公報
ところで、各種のセンサを内蔵したセンサ内蔵グロープラグでは、グロープラグのヒータ通電用のリード線のほか、センサからの出力信号やセンサ駆動用のセンサ用のセンサ接続線を1本または複数本設ける必要がある。このようなセンサ内蔵グロープラグとしては、このセンサ接続線及びヒータ通電用のリード線を、いずれもグロープラグの基端側(先端に位置するヒータとは、軸線方向逆側)から取り出す形態としたグロープラグが考えられる。
さらに、センサ内蔵グロープラグには、内蔵するセンサに用いるセンサ素子や電子部品等を、外部から浸入する湿気や油滴から保護するために、グロープラグの基端側を、ゴム状弾性体からなり、ヒータ通電用のリード線及びセンサ接続線をそれぞれ挿通孔に挿通したグロメットを用いて、液密に封止する形態としたい場合がある。
ところで、芯線の断面積が比較的大きな、従って、被覆層を含めた外径が大きな(太い)ヒータ用のリード線を用いて、外部の電源機器と接続できるようにすることが求められる場合がある。例えば、内燃機関を早期に始動可能とするため、グロープラグのヒータ配線に大きな電流を流して、例えば、2,3秒以内程度の時間で1000℃程度にまで急速昇温させるタイプのグロープラグを構成する場合が挙げられる。このようなグロープラグでは、外部からヒータ配線に大電流を流せるように、芯線の断面積が比較的大きく、被覆層を含めた外径の大きなヒータ用のリード線を用いる。なお、センサ接続線は、センサの出力やセンサ駆動用の小電力を伝えられれば足りるので、外径が比較的細い配線で足りる場合が多い。
しかるに、センサ接続線及びヒータ用のリード線を、いずれもグロープラグの基端側(先端に位置するヒータとは、軸線方向逆側)から取り出す形態とし、しかも、グロメットを用いて液密に封止したセンサ内蔵グロープラグにおいて、芯線の断面積が大きく、被覆層を含めた外径の太いヒータ通電用のリード線を用いる場合には、液密性を維持するため、グロメットの外径、従って、グロープラグの外径を大きくせざるを得なくなる。
一方、内燃機関の小型化、軽量化などの要求から、グロープラグの外形寸法の細径化が求められており、グロープラグ及びグロメットの外径を大きくすることは困難である。
つまり、センサ接続線及びヒータ通電用のリード線を、いずれもグロープラグの基端側から取り出す形態とし、しかも、グロメットを用いて液密に封止したセンサ内蔵グロープラグにおいて、ヒータ用のリード線の芯線の断面積を大きくしつつ、グロープラグの外形の維持あるいは細径化を図ることは困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、センサ接続線及びヒータ通電用のリード線を、いずれもグロープラグの基端側から取り出す形態とし、しかも、グロメットを用いて液密に封止したセンサ内蔵グロープラグにおいて、ヒータ通電用のリード線の芯線の断面積を大きくしつつ、グロープラグの外形の細径化を図り得るセンサ内蔵グロープラグを提供することを目的とする。
その解決手段は、内燃機関に装着されるセンサ内蔵グロープラグであって、通電により発熱するヒータ配線を有し、上記センサ内蔵グロープラグの軸線に沿う軸線方向先端側に配置されてなるヒータ部材と、芯線及びこの芯線を被覆する絶縁性樹脂の被覆層を有し、軸線方向基端側に延び、上記芯線が上記ヒータ配線の一端に電気的に導通し、上記ヒータ配線に電力を供給する複数のヒータ電力リード線と、上記内燃機関または上記グロープラグの所定情報を出力するセンサ部と、絶縁性の樹脂で被覆されてなり、上記センサ部に直接または間接に接続し、上記センサ部から軸線方向基端側に延びる少なくとも1つのセンサ接続線と、上記ヒータ部材のうち基端側の一部、上記ヒータ電力リード線のうち先端側の一部、上記センサ部の少なくとも一部、及び、上記センサ接続線のうち先端側の一部を、上記軸線の径方向外側から覆う包囲部材と、絶縁性のゴム状弾性体からなり、軸線方向に延び、上記ヒータ電力リード線及びセンサ接続線のいずれかがそれぞれ挿通された複数の挿通孔を有し、上記包囲部材のうち基端側の端部を液密に閉塞すると共に、上記ヒータ電力リード線及びセンサ接続線を液密に保持してなるグロメットと、を備えるセンサ内蔵グロープラグである。
本発明のセンサ内蔵グロープラグは、内燃機関の始動補助のために発熱させるヒータ配線を有するヒータ部材のほか、センサ部を有している。また、このグロープラグは、センサ部に直接または間接に接続するセンサ接続線のほか、ヒータ配線に電力を供給するヒータ電力リード線を複数有しており、これらはグロメットの挿通孔を挿通して軸線方向基端側に延びている。
このセンサ内蔵グロープラグでは、このような構成とすることにより、センサ部に接続するセンサ接続線によって、センサ部からセンサ出力を得たり必要な駆動電力をセンサ部供給することができる。さらに、ヒータ電力リード線を通じてヒータ部材(ヒータ配線)に電力を供給できる。しかも、このヒータ電力リード線を複数としているので、各ヒータ電力リード線を流れる電流(電力)の大きさを分散して小さくすることができるから、各ヒータ電力リード線については、その芯線の断面積、さらには被覆層を含めた各ヒータ電力リード線の外径を小さくできる。
また、本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、相対的に太いヒータ電力リード線を一本とする場合に比して、ヒータ電力リード線の数が複数本となるものの、グロメットに形成するヒータ電力リード線を挿通させる挿通孔の径それぞれを小さくできる。このため、挿通する各線とグロメットとの液密性を保ち、かつ、グロメットの外径を維持あるいは細径化をすることができる。かくして、本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、包囲部材とグロメットとの間から、あるいはグロメットとヒータ電力リード線及びセンサ接続線との間から、水や油などの液体がグロープラグの内部に浸入することが防止される。しかも、ヒータ電力リード線及びセンサ接続線は、被覆線であるので、グロープラグの基端部分に水などが掛かっても、包囲部材、ヒータ電力リード線、及びセンサ接続線の間での導通をも防止される。
なお、本発明のセンサ内蔵グロープラグとしては、特に、ヒータ電力リード線に大きな電流を流して、例えば、2,3秒以内程度でヒータ部材の最高温度を1000℃程度にまで急速昇温させるような、短時間にヒータ部材を昇温させるタイプ、いわゆる急速昇温タイプのグロープラグについて適用するのが好ましい。
また、グロメットで、ヒータ電力リード線及びセンサ接続線を適切に液密に保持するため、グロメットに形成する各挿通孔を、グロメットの中心軸(グロープラグの軸線)の周りに均等に配置してなるのが好ましい。なお、ここには、中心軸を軸線とする挿通孔を1つ設けると共に、軸線周囲に複数の挿通孔を均等に配置することも含む。また、軸線の周りに均等に配置する挿通孔の径を、ヒータ電力リード線用、及び、センサ接続線用のいずれも、均一の径とするのが好ましい。即ち、ヒータ電力リード線及びセンサ接続線の外径を均一とするのが好ましい。
ヒータ部材としては、通電により発熱するヒータ配線を有するものであればよいが、例えば、絶縁性セラミック中に導電性セラミックや金属からなるヒータ配線を埋設したヒータ部材が挙げられる。また、金属体からなるヒータ配線自身がヒータ部材をなすものが挙げられる。
また、ヒータ電力リード線は、その芯線がヒータ配線の一端に電気的に導通していればよく、芯線がヒータ配線の一端に機械的に直接接続して、電気的に導通する場合のほか、中軸その他の部材を介して機械的には間接に接続しつつ、電気的に導通していても良い。
さらに、センサ部としては、内燃機関またはグロープラグの所定情報を出力することができるものであれば良く、例えば、圧電素子、歪みゲージ、ピエゾ抵抗素子等を用いて、内燃機関の燃焼圧変化を検知可能とした燃焼圧センサ部が挙げられる。また、熱電対などの温度センサを用いてヒータ温度を測定するヒータ温度センサ部、燃焼室内にイオン電流を流して燃焼状態を検知するイオン電流式燃焼状態センサ部、燃焼光を観察する燃焼光センサ部などが挙げられる。
また、センサ接続線は、センサ部に直接または間接に接続する配線である。このセンサ接続線としては、例えば、センサ部から出力されるセンサ出力としての電気信号を外部へ伝えるための電線、センサ部を駆動する電力を供給するための電線、センサ部を制御するための制御信号を外部からセンサ部に伝えるための電線など、電気的な信号や電力を伝達する電線が挙げられる。またこのほか、燃焼光センサで受光した燃焼光を外部に伝えるため、あるいは、光通信制御信号や光出力信号を伝えるための、ガラスや樹脂からなる光ファイバをも挙げられる。
さらに、グロメットで包囲部材の基端側の端部を閉塞する手法としては、包囲部材のうちグロメットの径方向外側に位置する部分を縮径させるように加締めて、このグロメットを包囲部材の基端側の端部に固定して閉塞させる手法が挙げられる。
また、上述のセンサ内蔵グロープラグであって、前記包囲部材は、外周が六角柱形状とされてなる工具係合部と、上記工具係合部よりも基端側に位置し、前記端部を含む基端側部と、を有し、上記基端側部は、上記工具係合部を前記軸線方向基端側に投影した係合部投影領域内に含まれる形状とされてなるセンサ内蔵グロープラグとすると良い。
本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、包囲部材は、工具係合部と、これよりも基端側に位置し係合投影領域に含まれる形状の基端側部とを有している。これにより、軸線方向基端側から、基端側部及び工具係合部に被せるようにして、工具係合部に工具を係合させ、この工具を回転させて、このグロープラグを内燃機関に着脱することができる。
さらに、このグロープラグでは、ヒータ電力リード線及びセンサ接続線の配置及びグロメットの外形が、包囲部材の基端側部の外形で制限される。さらにこの基端側部は、その形状が、係合部投影領域内に含まれる形状に制限されているから、グロメットの外径を小さくし、ヒータ電力リード線及びセンサ接続線をコンパクトに配置する必要がある。
これに対し、本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、前述のように、ヒータ電力リード線を複数としているので、グロメットの外径を小さくしながらも、ヒータ電力リード線及びセンサ接続線を適切に基端側に取り出すことができる。
なお、基端側部が、係合部投影領域内に含まれる形状とされてなるとは、たとえば、基端側部の外形が円柱形状であった場合、その直径が、六角柱の工具係合部の対辺寸法と同じか、小さい場合をいう。
さらに、上述のセンサ内蔵グロープラグであって、前記複数のヒータ電力リード線は、各ヒータ電力リード線の前記芯線の合計断面積が、1.0mm2以上であり、各ヒータ電力リード線の外径が、保持状態における前記グロメットのうち前記包囲部材に液密に密着している部位の最小外径の20%以下であるセンサ内蔵グロープラグとすると良い。
例えば急速昇温タイプのグロープラグのように、大きな電流を流す必要のあるグロープラグでは、ヒータ電力リード線を低抵抗としてこのリード線での温度上昇を避けるため、その芯線の断面積を大きくする必要がある。芯線の断面積を1.0mm2以上の大きな値としたい場合、この芯線の断面積を、1本のヒータ電力リード線で得ようとすると、このヒータ電力リード線の芯線の外径がφ1.125mmを越える大きさとなり、被覆層を含めたリード線全体の外径が、例えば、φ2.1mmを越える大きな値にならざるを得ない。
すると、グロメットの外径を変化させない場合には、この一本の太いヒータ電力リード線をグロメットに挿通させ、さらに、センサ接続線をもグロメットに挿通させるとすると、ヒータ電力リード線とセンサ接続線との間隔、あるいは、ヒータ電力リード線やセンサ接続線とグロメットの外周面との距離が狭くなる。これにより、包囲部材とグロメットとの間、あるいはグロメットとヒータ電力リード線及びセンサ接続線との間での液密性が低下する虞が生じる。あるいはグロメットの外径を大きくせざるを得なくなる。
これに対し、本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、ヒータ電力リード線の芯線について、その合計断面積を、1.0mm2以上の大きな断面積(合計断面積)としつつ、各ヒータ電力リード線の外径を、グロメットの保持状態における外径の20%以下に抑えている。このため、複数のヒータ電力リード線を通じて、ヒータ配線に大きな電流を流すことができる一方、グロメットにおいて、適切な液密性を保ちつつ、その外径を小さく保つことができる。
さらに、上述のセンサ内蔵グロープラグであって、前記センサ部は、圧電素子またはピエゾ抵抗素子を用いて前記内燃機関の燃焼圧を測定する燃焼圧検知センサ部であるセンサ内蔵グロープラグとすると良い。
本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、センサ部として、燃焼圧検知センサ部を有している。このグロープラグでは、圧電素子またはピエゾ抵抗素子を有しているため、燃焼圧検知センサ部に水や油等が浸入した場合には、これらの素子の絶縁性等の特性を低下させる虞がある。
しかし、本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、前述のように、グロメットで包囲部材の基端側の端部を液密に閉塞しているので、このような不具合を確実に防止し、燃焼圧の検知を適切に行うことができる。
さらに上述のセンサ内蔵グロープラグであって、前記包囲部材内で、前記グロメットよりも先端側に配置され、前記軸線に沿って延び、自身の先端側で前記ヒータ部材に機械的に剛に接続してなる中軸を備え、前記燃焼圧検知センサ部は、上記ヒータ部材の移動により、上記燃焼圧の変化を検知する形態に構成されてなるセンサ内蔵グロープラグとすると良い。
ヒータ部材に機械的に剛に接続してなる中軸を有し、しかも、ヒータ部材の移動により、燃焼圧の変化を検知する燃焼圧検知センサ部を有すると共に、中軸を自身の基端側に突出させているグロープラグでは、中軸に接続したリード線が振動すること、あるいは中軸に他の物体が触れて振動することにより、この中軸を通じて、直接あるいはヒータ部材等を介して間接に燃焼圧検知センサ部に振動が伝わり、その出力にノイズが載る虞があった。
これに対し、本発明のセンサ内蔵グロープラグでは、ヒータ部材に機械的に剛に接続してなる中軸を備え、さらに、燃焼圧検知センサ部は、ヒータ部材の移動により、燃焼圧の変化を検知する形態に構成されてなるものの、この中軸は、グロメットより先端側に配置されている。すなわち、このグロープラグにおいて、この中軸は、グロメットを越えて、基端側に突出しない形態とされている。
このため、基端側に延びる中軸を通じて、燃焼圧検知センサ部に振動が伝わることがなく、燃焼圧検知センサ部からの出力にノイズが重畳されることが防止して、適切に燃焼圧を検知できる。なお、ヒータ電力リード線等が振動した場合でも、グロメットにより振動が、グロープラグ内の部材(例えば、これが接続する中軸等の部材)に伝わることが抑制されているので、ノイズが重畳されることがない。
さらに、上述のセンサ内蔵グロープラグであって、前記センサ接続線も、芯線及びこの芯線を被覆する絶縁性樹脂の被覆層を有し、前記ヒータ電力リード線及び上記センサ接続線の先端側には、いずれも、芯線をそれぞれ加締めて保持する接続端子を有してなるセンサ内蔵グロープラグとすると良い。
ヒータ電力リード線の芯線の先端側端を、ヒータ配線の一端や中軸などヒータ配線との間に介在する部材に接続するに当たり、溶接やハンダ付け等によって直接接続する手法が考えられる。また、センサ接続線についても、その芯線の先端側を、センサ部をなす部材に接続するに当たり、溶接やハンダ付け等によって直接接続する手法が考えられる。
しかし、このような手法では、センサ内蔵グロープラグに振動が掛かるなどにより、接続部分(溶接部分やハンダ付け部分)にクラックが生じて断線するなど、接続信頼性が低下する虞がある。
これに対し、このセンサ内蔵グロープラグでは、加締めによって芯線を保持した接続端子を介して、各部材に接続するので、クラックや断線を防止して、接続信頼性をより高くできる。
さらに、内燃機関に装着されるセンサ内蔵グロープラグであって、通電により発熱するヒータ配線を有し、上記センサ内蔵グロープラグの軸線に沿う軸線方向先端側に配置されてなるヒータ部材と、上記軸線に沿って延び、自身の先端側で上記ヒータ部材に機械的に剛に接続してなる中軸と、芯線及びこの芯線を被覆する絶縁性樹脂の被覆層を有し、軸線方向基端側に延び、上記芯線が、上記ヒータ配線の一端に電気的に導通し、上記ヒータ配線に電力を供給する複数のヒータ電力リード線と、上記ヒータ部材の移動により、上記燃焼圧の変化を検知する形態に構成されてなる燃焼圧検知センサ部と、上記ヒータ部材のうち基端側の一部、上記中軸、上記ヒータ電力リード線のうち先端側の一部、及び、上記燃焼圧検知センサ部の少なくとも一部を、上記軸線の径方向外側から覆う包囲部材と、絶縁性のゴム状弾性体からなり、軸線方向に延び、上記ヒータ電力リード線を挿通し、上記包囲部材のうち基端側の端部を液密に閉塞すると共に、上記ヒータ電力リード線を液密に保持してなるグロメットと、を備え、上記中軸は、上記グロメットよりも先端側に配置されてなるセンサ内蔵グロープラグとするのが好ましい。
前述したように、中軸をヒータ部材に機械的に剛に接続してなり、ヒータ部材の移動により、燃焼圧の変化を検知する燃焼圧検知センサ部を有すると共に、中軸を自身の基端側に突出させているグロープラグでは、中軸に接続したリード線の振動、あるいは中軸に他の物体が触れて振動することにより、この中軸を通じて、直接あるいはヒータ部材等を介して間接に燃焼圧検知センサ部に振動が伝わり、その出力にノイズが載る不具合があった。
これに対し、このセンサ内蔵グロープラグでは、ヒータ部材に機械的に剛に接続してなる中軸のほか、ヒータ部材の移動により、燃焼圧の変化を検知する形態に構成されてなる燃焼圧検知センサ部を備えているものの、この中軸をグロメットの基端よりも先端側に配置している。つまり、中軸は、このグロープラグの基端側に突出しない配置とされている。そして、ヒータ配線への通電は、ヒータ電力リード線を通じて行っているが、グロメットによって、ヒータリード線を通じて伝わる振動が抑制されている。
このため、外部から中軸に伝わる不要な振動によって、直接あるいはヒータ部材等を介して間接に燃焼圧検知センサ部に振動が伝わって、その出力にノイズが重畳することが無く、より適切に燃焼圧の検知ができる。
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図5を参照して説明する。図1に、本実施形態1にかかる燃焼圧センサ内蔵グロープラグ(以下、単にグロープラグともいう)100の外形を示す。このグロープラグ100は、内燃機関の始動補助のため通電によってヒータ部材120を発熱させることができるほか、内燃機関の燃焼圧の変化を検知可能に構成されたセンサ部140を備えたグロープラグである。
このグロープラグ100は、軸線AXに沿う方向に延びる軸状の形態を有しており、この軸線AXに沿って、基端側(図1中、右上側)から先端側(図中、左下側)に向かって、プラグ基端部101,センサ内蔵部102,六角部103,プラグ中胴部104,プラグ先端部105をなしている。
このうち、プラグ基端部101は、グロープラグ100のうち最も基端側に位置し、後述するグロメット190を内包する部位である。なお、このプラグ基端部101(グロメット190)からは、基端側に向けて、後述するヒータ電力リード線170、及び、センサ接続線175が延出している。また、センサ内蔵部102は、後述するように、このグロープラグ100を取り付けた内燃機関(図示しない)の燃焼圧を検知する際、その中心的役割を果たす圧力センサ素子(圧電素子)などからなるセンサ部140を内蔵する部位である。また、六角部103は、このグロープラグ100を内燃機関(図示しない)に設けたネジ孔に取り付けるに当たり、工具を係合させる工具係合部112が形成されている部位であり、六角柱形状とされている。さらに、プラグ先端部105は、主として、後述するヒータ部材120からなる部位である。プラグ中胴部104は、六角部103とプラグ先端部105との間に位置する、概略、円筒状をなす部位であり、その略中央部分には、雄ネジが形成された雄ネジ部111が形成されている。
なお、本実施形態1及び次述する実施形態2では、軸線AXに沿う方向のうち、グロメット190側を基端側、ヒータ部材側を先端側として説明を行う。従って、図1においては、図中、右上方が基端側、図中、左下方が先端側となる。また、図2等においては、上方が基端側となり、下方が先端側となる。
図2に示すように、このグロープラグ100は、軸線AXに沿う方向(軸線方向)に延びる筒状のハウジング110を有する。さらに、このハウジング110内に保持された導電性で棒状の中軸130と、この中軸130の先端側(図中、下方)に配置され、この中軸130に、接続リング135により、機械的に剛に、及び電気的に接続された棒状のヒータ部材120とを有する。このヒータ部材120は、ハウジング110の先端部110sに溶接されたヒータ保持部材116に保持されている。
このヒータ保持部材116は、ハウジング110とほぼ同径で円筒状の基端側径大部117と、これより先端側に位置し径小円筒状の先端側径小部118を有し、これらの間には、グロープラグ100を内燃機関に取り付けたときのシール面となるテーパシール面119を有している。
また図3に示すように、このグロープラグ100は、その基端側のセンサ内蔵部102に、内燃機関(図示しない)に取り付けて、この内燃機関の燃焼圧の変化を検知可能に構成されたセンサ部140を有する。また、センサ部140の出力を外部に取り出すためのセンサ接続線175、中軸130にそれぞれ電気的に接続する3本のヒータ電力リード線170、及び、センサ部140等を包囲する筒状のセンサ部包囲筒160等を有している。
このグロープラグ100うち、先端部105に位置するヒータ部材120は、図2に示すように、先端が略半球状とされた円柱状形態をなしている。また、このヒータ部材120は、窒化珪素質セラミックからなる絶縁セラミック体127と、これに内蔵された非金属発熱体からなるヒータ配線121とから構成されている。このヒータ部材120は、グロープラグ100において、その先端部120sがヒータ保持部材116の先端側径小部118から先端側に向けて突出するように配置されている。ヒータ配線121は、U字状に形成され、抵抗が高くされて通電により発熱するヒータ発熱部122と、これから基端側に延びるヒータリード部123,124とを有している。ヒータ発熱部122は、ヒータ先端部120sの内部に配置されている。
さらに、ヒータ部材120の基端側外周面には、ヒータリード部123,124の端部が引き出されて、中軸側配線端部125及び接地側配線端部126とされている。このうち、中軸側配線端部125は、ヒータ部材120の基端部120kに形成されており、この基端部120kは筒状の接続リング135に圧入されているので、中軸側配線端部125と接続リング135とは電気的に接続している。この接続リング135は、中軸130のうち細径とされた先端部130sに溶接されている。また、接地側配線端部126を含むヒータ部材120のうち先端部120sより基端側の部分は、ヒータ保持部材116内に圧入されており、これによって、接地側配線端部126とヒータ保持部材116とが導通している。ヒータ保持部材116は、グロープラグ100を内燃機関(図示しない)取り付けたとき、ハウジング110を通じて、接地電位とされる内燃機関に導通するから、結局、接地側配線端部126は接地されることとなる。かくして、中軸130から、ヒータ部材120のヒータ配線121を経由して、接地電位とされる内燃機関に電流を流すことができ、ヒータ発熱部122、従って、ヒータ部材120の先端部120sを発熱させることができる。また、中軸130とヒータ部材120の基端部120kは、接続リング135を介して、機械的に剛に接続されており、内燃機関の駆動により、燃焼圧が上昇することによって、ヒータ部材120が僅かではあるが軸線方向に基端側に移動すると、中軸130もそれに従って同じく僅かではあるが基端側に移動する。
なお、このヒータ部材120は、そのヒータ配線121のヒータ発熱部122の抵抗値が低くされている。このため、このグロープラグ100に14V程度のバッテリ電圧を印加すると、最大で40A程度の電流が流れ、電圧印加から2,3秒程度で、ヒータ部材120先端部120sが、室温から約1000℃にまで上昇する。つまり、本実施形態のグロープラグ100は、いわゆる急速昇温タイプのグロープラグである。
ついで、このグロープラグ100の基端側の部位について説明する。図1及び図3に示すように、ハウジング110は、六角柱形状とされた工具係合部112、及び、これ基端側(図3において上方)に位置し、工具係合部112よりも径小とされたハウジング基端部113を有している。このハウジング基端部113の外周には、工具係合部112から基端側(図3において上方)に延びる円筒状のセンサ部包囲筒160が配置され、溶接部161で互いにレーザ溶接されている。
このセンサ部包囲筒160は、その径が、ハウジング110の工具係合部112の対辺寸法よりも径小とされている。つまり、センサ部包囲筒160は、図3において破線で示す、工具係合部112を軸線AXに沿う基端側に投影した係合部投影領域PA内に、自身が位置する形態とされている。
このため、このグロープラグ100を内燃機関(図示しない)に着脱するに当たり、グロープラグ100の基端側から、基端部101及びセンサ内蔵部102及び六角部103(工具係合部112)を包囲するようにして、レンチ等の工具(図示しない)を装着して、グロープラグ100を回転させることができる。
中軸130は、鉄からなり、ハウジング110及びセンサ部包囲筒160の内側で、後述するグロメット190よりも先端側に配置されている。図3に示すように、この中軸130のうち、その基端部130kよりも先端側(図3において下方)のセンサ挿通部131には、筒状の中軸スリーブ136が挿通、配置されている。この中軸スリーブ136は、円筒状で基端側に位置する基端側筒状部137、及び、先端側に位置する先端側筒状部139、及びこれらの間に位置し、径方向外側(図3中、左右方向)に向けて突出するフランジ状の外方突出部138を有する。
この中軸スリーブ136は、基端側筒状部137の基端の溶接部137Wで、中軸130にアーク溶接(アルゴン溶接)により接合されている。この中軸スリーブ136の先端側筒状部139は、その先端部分がハウジング110のハウジング基端部113に内挿されている。また、中軸スリーブ136のうち、基端側筒状部137及び先端側筒状部139は、それぞれ絶縁チューブ195,196により包囲されている。
また、図3に示すように、中軸130とハウジング110との間に形成された空間のうち、基端側の所定位置には、Oリング197が配置されて、先端側から進入した高圧のガスがセンサ部140内まで侵入して、腐食や燃焼圧検知の妨げとなることを防止している。このOリング197は、耐熱性を有するフッ素ゴムからなっている。
次に、図3を参照しつつ、センサ部140について説明する。このセンサ部140は、ハウジング110のハウジング基端部113よりも基端側で、センサ部包囲筒160の内側に構成されている。このセンサ部140は、積層構造とされており、基端側(図中上方)から、押圧スペーサ141,第1圧電素子142,第1電極板143,第1絶縁スペーサ144,中軸スリーブ136の外方突出部138,第2絶縁スペーサ145,第2電極板146,及び、第2圧電素子147から構成されている。そしてこれらが、先端側に位置するハウジング基端部113と、基端側に位置するセンサキャップ148の内方突出部148Nとの間に、圧縮された状態で挟持されている。
このセンサキャップ148は、鉄−ニッケル合金からなり、概略有底筒形状を有しており、筒状の胴部148Mとこの胴部148Mの基端部分から径方向内側に延びる内方突出部148Nとからなる。但し、このセンサキャップ140の胴部148M及び内方突出部148Nは、その内側に保持するセンサ部140の第1,第2圧電素子142,147の出力を、第1電極板143の電極リード部143Lを通じてセンサ接続線175に伝えるために、この電極リード部143Lとの干渉を避けるべく、一部(図3中、左側)が切り欠かれている。このセンサキャップ148の胴部148Mのうち先端部分は、薄肉環状の薄肉部148MSとされている。この薄肉部148MSとハウジング基端部113とは、溶接部149において、レーザ溶接により溶接、固着されている。
センサ部140のうち、押圧スペーサ141は、鉄−ニッケル合金からなり、自身の内側に中軸スリーブ136の基端側筒状部137が内挿された平板リング形状を有している。
また、第1圧電素子142は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電セラミックからなり、自身の内側に中軸スリーブ136の基端側筒状部137が内挿された平板リング形状を有している。この第1圧電素子142は、厚さ方向に分極されており、厚さ方向に圧縮応力あるいは引張応力を受けると、両端面に電荷が発生する。
また、第1電極板143は、鉄−ニッケル合金の薄板からなる。この第1電極板143は、図5に示すように、第1圧電素子142の平面形状に適合するリング状部143Rと、前述したように、このリング部143Rの外周縁からこれに直交する方向(基端側)に延出する所定幅テープ状の電極リード部143Lとを有している。また、この電極リード部143Lは、その途中部分で、径方向内側に向けて折れ曲がり、さらに折り返した後に、折れ曲がって基端側に延びる屈曲部143LBを有している。この電極リード部143Lの基端側の端部143LTは、後述するように、接続端子180に溶接により導通しかつ固着されている。
さらに、この第1電極板143の先端側には、第1絶縁スペーサ144が配置されている。この第1絶縁スペーサ144は、アルミナセラミックからなり、自身の内側に中軸スリーブ136の基端側筒状部137が内挿された平板リング形状をなしている。
この第1絶縁スペーサ144の先端側には、中軸スリーブ136の外方突出部138が配置されているので、内燃機関(図示しない)の燃焼圧が上昇して、その圧力変化により、中軸130が、僅かではあるがハウジング110のハウジング基端部113に対して相対的に基端側に移動すると、第1圧電素子142に掛かっている圧縮応力が増加する方向に変化する。これにより、第1圧電素子142の両面に電荷が発生する。このうち、基端側面に発生した電荷は、この面に当接している押圧スペーサ141及びセンサキャップ148を経由して、ハウジング110に流れる。一方、先端側面に発生した電荷は、第1電極板143から、その電極リード部143Lを通じて、さらに接続端子180を通じて、センサ接続線175の芯線176により外部に導出される。
さらに、中軸スリーブ136の外方突出部138の先端側には、アルミナセラミックからなり、自身の内側に中軸スリーブ136の先端側筒状部139が内挿された平板リング形状の第2絶縁スペーサ145が配置されている。
この第2絶縁スペーサ145の先端側に配置されている第2電極板146は、鉄−ニッケル合金の薄板からなる。この第2電極板146は、第2圧電素子147の平面形状に適合するリング状部146Rと、このリング部146Rの外周縁からこれに直交する方向(基端側)に延出する所定幅テープ状の電極リード部146Lとを有している。この電極リード部146Lは、その基端側の端部146LTが、第1電極板143の電極リード部143Lに重ねられ溶接されて、この第1電極板143に導通している。従って、この第2電極板146も、第1電極板143の電極リード部143Lを介して、接続端子180及びセンサ接続線175の芯線176に電気的に挿通している。
また、第2圧電素子147も、第1圧電素子142と同様、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電セラミックからなり、自身の内側に中軸スリーブ136の先端側筒状部139が内挿された平板リング形状を有している。この第2圧電素子147も、厚さ方向に分極されており、厚さ方向に圧縮応力あるいは引張応力を受けると、両端面に電荷が発生する。
第2絶縁スペーサ145の基端側には、中軸スリーブ136の外方突出部138が配置されているので、内燃機関(図示しない)の燃焼圧が上昇して、その圧力変化により、中軸130が、僅かではあるがハウジング110のハウジング基端部113に対して相対的に基端側に移動する。すると、第2圧電素子147に掛かっている圧縮応力が減少する方向に変化する。これにより、第2圧電素子147の両面に電荷が発生する。このうち、先端側面に発生した電荷は、この面に当接しているハウジング基端部113を経由して、ハウジング110に流れる。一方、基端側面に発生した電荷は、第2電極板146から、第1電極板の電極リード部143Lを通じ、さらに接続端子180を通じて、センサ接続線175の芯線176により外部に導出される。
かくして、燃焼圧の変化に応じて2枚の圧電素子142,147で発生した電荷をセンサ接続線175を経由して出力させて、燃焼圧の変化を検知することができる。
ところで、図3に示すように、このグロープラグ100は、圧電素子142,147の出力を取り出すセンサ接続線175のほか、中軸130に接続して、この中軸130を経由して、ヒータ部材120(ヒータ配線121)に通電するための3本のヒータ電力リード線170を備えている。これら合計4本のリード線170,175は、センサ部包囲筒160の内から、基端側に延出している。
これらのうち、センサ接続線175は、図5に示すように、芯線176と絶縁性樹脂からなりこれを被覆する被覆層177とからなる。このセンサ接続線175は、接続端子180に加締固定されている。
この接続端子180は、金属平板をプレスにより打ち抜き及び折り曲げ加工したものである。この接続端子180は、そのほぼ中央部分に形成した断面C字状の加締部181を、また、その先端側(図3,図5中、下方)に位置する平板状の接続板部182を、さらに、加締部181の基端側及び接続板部182の両側に、それぞれ固定爪部183,184を備えている。このうち、加締部181は、加締変形により、センサ接続線175の芯線176を内部に保持する。また、前述したように、この接続部材180の接続板部182と、第1電極板143の電極リード部143Lの端部143LTとは、溶接により固定する。なお、固定爪部183,184は、後述するリード固定筒部材151に形成したリード固定孔151FHに係合して、この接続部材180をリード固定筒部材151に固定する。
また、3本のヒータ電力リード線170も、図4に示すように、芯線171と絶縁性樹脂からなりこれを被覆する被覆層172とからなる。これらのヒータ電力リード線170も、センサ接続線175に用いたのと同形状の接続端子180に加締固定されている。
つまり、接続端子180の加締部181を加締変形させることにより、ヒータ電力リード線170の芯線171を内部に保持する。なお、固定爪部183,184は、リード固定筒部材151に形成したリード固定孔151FHに係合して、この接続部材180をリード固定筒部材151に固定する。
一方、ヒータ電力リード線170に接続する接続部材180については、図4に示すように、その接続板部182を、中継部材152に接続する。具体的に説明する。中継部材152は、鉄−ニッケル合金からなり、図3に示すように、センサキャップ148の内方突出部148Nの基端側(図中、上方)に、リング状の絶縁シート150を介して載置されてなる。この中継部材152は、図4に示すように、一部が切り欠かれた略2/3円筒形状の筒状部152Cと、この筒状部153先端部分から径方向外側に拡がる平板で略2/3円弧状の弧状部152Dと、弧状部152Dの周縁部分において、互いに周方向に分散した位置で基端側に立ち上がる3つの接続舌部152Eを備えている。
このうち、接続舌部152Eと接続端子180の接続板部182とは溶接によって接続される。なお、図4では図示しないが、3つの接続舌部152Eそれぞれに、接続端子180を経由してヒータ電力リード線170が接続される。また、この中継部材152の筒状部152Cは、図3に示すように、中軸130及び中軸スリーブ136の基端側筒状部137を包囲するように配置されて、この基端側筒状部137に、加締め固定されている。このため、3本のヒータ電力リード線170からそれぞれ供給された電流を、この中継部材152で集め、中軸スリーブ136及び中軸130を経由して、ヒータ部材120のヒータ配線121に流すことができる。
また、本実施形態では、ヒータ電力リード線170の芯線171を、加締によって接続した接続端子180を介して、中継部材152に接続したので、ヒータ電力リード線170の芯線171を、ハンダ付けや溶接によって、直接、中継部材152等に接続した場合に比して、振動などによるクラックや断線の発生が防止され、接続信頼性が高くされている。
なお、前述したように、センサ接続線175と3本のヒータ電力リード線170、及びこれらと接続している接続端子180は、いずれも、リード固定筒部材151のリード固定孔151FH内に固定されている。このリード固定筒部材151は、図3に示すように、中央に中軸130及び及び中軸スリーブ136の基端側筒状部137を一部挿入可能とした大きさの中央孔151Hを備える円筒形状で、絶縁性樹脂からなる部材である。このリード固定筒部材151は、中央孔151Hの周囲において、周方向に4箇所均等にリード固定孔151FHが穿孔されている。このリード固定孔151FHは、この孔に接続端子180を挿入すると、その固定爪部183,184が係合する形態とされている。
さらに、このリード固定筒部材151の基端側(図3中、上方)には、フッ素ゴムからなるグロメット190が配置されている。このグロメット190は、センサ接続線175及び3本のヒータ電力リード線170をそれぞれ挿通する4つの挿通孔190Hを備えている。このグロメット190は、センサ部包囲筒160の基端部160k内に配置されて、このセンサ部包囲筒160を閉塞している。さらに、このグロメット190及びセンサ部包囲筒160の基端部160kは、径方向内側(図3中、左右方向)に縮径するようにして加締められており、これによって、グロメット190の外周面190Sがセンサ部包囲筒160の基端部160kに密着し、これらの間で液密にされている。さらに、加締加工によって、グロメット190の挿通孔190Hと、センサ接続線175及び3本のヒータ電力リード線170との間も密着して液密にされている。つまり、グロメット190は、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175を液密に保持してなる。
本実施形態のグロープラグ100では、センサ部140に、圧電素子142,147を有しているが、上述のように、グロメット190でセンサ包囲筒160の基端部160kを液密に閉塞している。このため、このセンサ部140内に水や油等が浸入することが防止され、圧電素子142,147の絶縁性等の特性を低下させる虞がなく、適切に燃焼圧の検知を行うことができる。
また、このグロープラグ100では、前述したように、中軸130は、先端部130sでヒータ部材120に機械的に剛に接続しており、内燃機関の燃焼圧の変化により、ヒータ部材120が軸線方向基端側に移動すると、中軸130も同じく基端側に移動する。そして、センサ部140は、中軸130(中軸スリーブ136)を介したヒータ部材120の移動により、燃焼圧の変化を検知する形態に構成されている。
しかるに、グロープラグの中には、中軸を自身の基端側に突出させ、この中軸の基端部分をヒータ部材120へ通電するための端子として用いる形態のものが考えられる。このような形態のグロープラグでは、基端側に突出した中軸にヒータ通電用のリード線を接続するのであるが、このリード線が振動したり、他部材が中軸の突出した部分に接触することで、中軸が振動し、さらに振動がセンサ部に伝わって、センサ部からの燃焼圧の出力にノイズが重畳する虞がある。
これに対し、本実施形態のグロープラグ100では、中軸130を、グロープラグ100の基端側に突出させない形態、具体的には、グロメット190よりも先端側に配置する形態としている。従って、グロープラグ100よりも基端側で、中軸130が直接リード線に接続することが無く、リード線の振動や他部材の接触による不要な振動によって、センサ部140からの出力にノイズが重畳されることがない。
なお、ヒータ部材120への通電には、3本のヒータ電力リード線170を用いるが、ヒータ電力リード線170が振動したとしても、グロメット190を挿通しているためにより、このグロメット190で振動が抑制されるから、中軸130(中軸スリーブ136)にまでこの振動は伝わりにくい。従って、これによってセンサ部140の出力にノイズが載りにくくされている。
さらに本実施形態のグロープラグ100では、センサ接続線175の外径と、3本のヒータ電力リード線170の外径とを等しくし、また、グロメット190に形成する挿通孔190Hの大きさを等しくしている。また、この挿通孔190Hを、軸線AXの周りに均等に配置している。このため、グロメット190及びセンサ部包囲筒160の基端部160kを縮径するように加締めることにより、いずれの挿通孔190Hにおいても、グロメット190とセンサ接続線175あるいはヒータ電力リード線170とが均等に密着するため、これらの液密性が高くされている。
なお、本実施形態のグロープラグ100では、グロメット190の保持状態(加締められた状態)において、センサ部包囲筒160に液密に密着している部分の最小外径Dを、11.8mmφの比較的小さな径としている。その一方、ヒータ部材120の急速昇温のために、大きな電流を流しうるよう、3本のヒータ電力リード線170の芯線171の径をそれぞれ1.125mmφ、断面積で0.99mm2とし、また、ヒータ電力リード線170の外径dを2.1mmとしている。従って、3本合わせて、芯線171の合計断面積は2.97mm2となっている。これにより、前述のように、最大40Aの電流を流そうとしても、この3本のヒータ電力リード線170を用いれば、低抵抗で適切に電流を流すことができる。このように、本実施形態のグロープラグ100では、各ヒータ電力リード線170については、芯線171の断面積を小さくしながらも、複数本(本実施形態では3本)を合わせて、芯線171の合計断面積を十分な値とすることができている。つまり、ヒータ電力リード線170を複数としているので、各ヒータ電力リード線170を流れる電流(電力)の大きさを分散して小さくすることができるから、各ヒータ電力リード線170の芯線171の断面積、さらには被覆層172を含めた各ヒータ電力リード線170の外径dを小さくできる。
また、本実施形態のグロープラグ100では、相対的に太いヒータ電力リード線を一本とする場合に比して、ヒータ電力リード線170の数を3本としているので、グロメット190に形成する挿通孔190Hの径それぞれを小さくできている。このため、挿通する各線170とグロメット190との液密性を保ち、かつ、グロメット190の最小外径Dを、小さい値に維持することができている。このため、このグロープラグ100では、センサ部包囲筒160とグロメット190との間から、あるいはグロメット190とヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175との間から、水や油などの液体がグロープラグ100の内部に浸入することが防止される。
しかも、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175は、絶縁性樹脂の被覆層172,177で被覆された被覆線であるので、グロープラグ100の基端部分に水などが掛かっても、センサ部包囲筒160、ヒータ電力リード線170、及びセンサ接続線175の間での導通をも防止される。
また、前述したように、センサ部包囲筒160は、その径が、ハウジング110の工具係合部112よりも径小とされて、図3において破線で示す、係合部投影領域PA内に収まる大きさとされている。このため、このグロープラグ100では、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175の配置及びグロメット190の外形が、センサ部包囲筒160の外形で制限される上に、上述のように、このセンサ部包囲筒160が、係合部投影領域PA内に含まれる形状に制限されるから、グロメット190の最小外径Dを小さくし、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175をコンパクトに配置する必要がある。
これについても、このグロープラグ100では、ヒータ電力リード線170を複数(具体的には3本)としているので、グロメット190の最小外径Dを小さく保ちながらも、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175を適切に基端側に取り出すことができる。
具体的には、ヒータ電力リード線170の外径dを、グロメット190の保持状態における最小外径Dの20%以下、具体的には18%(=2.1/11.8)に抑えている。このため、本実施形態では、3本のヒータ電力リード線170を通じて、ヒータ配線121に大きな電流を流すことができる一方、グロメット190において、適切な液密性を保ちつつ、その外径Dを小さく保つことができている。
ついで、本実施形態のグロープラグ100の製造について説明する。グロープラグ100のうち、プラグ基端部101及びセンサ内蔵部102の部分の製造方法を除く部分は、公知の製造方法によれば良いので、記載を省略する。
そこで、プラグ基端部101及びセンサ内蔵部102の製造について以下に説明する。
ハウジング110のハウジング基端部113の基端側に、第2圧電素子147,第2電極板146のリング状部146R,第2絶縁スペーサ145をこの順に載置する。さらに、絶縁チューブ195,196をそれぞれ被せた中軸スリーブ136に中軸130を挿通し、先端側筒状部139を、第2圧電素子147,第2電極板146,及び第2絶縁スペーサ145の内側に位置させる。ついで、中軸スリーブ136の外方突出部138の基端側に、第1絶縁スペーサ144,第1電極板143のリング状部143R,第1圧電素子142,及び押圧スペーサ141を、中軸スリーブ136の基端側筒状部137が内側に位置するようにしつつ、この順に載置する。
さらに、これらにセンサキャップ148を被せ、これを軸線AX方向先端側に押圧した状態で、センサキャップ148を溶接部149によりハウジング基端部113に溶接する。これにより、センサ部140には、軸線AXに沿う方向に、圧縮応力が掛かった状態に保持されることとなる。また、中軸スリーブ136と中軸130の基端部130kとを、溶接部137Wで溶接する。これにより、中軸130の動きに追従して、中軸スリーブ136の外方突出部138も移動する。また、第1,第2電極板143,146の電極リード部143L,146Lを、基端側に折り曲げ、第2電極板146の電極リード部146Lの端部146LTを第1電極板143の電極リード部143Lに重ねて溶接する。
さらに、センサキャップ148の内方突出部148Nの基端側に、リング状の絶縁シート150、及び、中継部材152を載置し、この中継部材152の筒状部152Cを加締めて、中軸スリーブ136の基端側筒状部137に固定、導通する。さらに、中継部材152の弧状部152D及び絶縁シート150を覆うように、絶縁性樹脂からなる絶縁スペーサ153を載置する。
ついで、グロメット190の挿通孔190H、センサ部包囲筒160、及びリード固定筒部材151のリード固定孔151FHを挿通した状態としたヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175の先端部分に、接続端子180を加締接続(図4,図5参照)する。さらに、この接続端子180の接続板部182と中継部材152の接続舌部152E、あるいは第1電極板143の電極リード部143Lの端部143LTとを溶接する。
絶縁スペーサ153の基端側にリード固定筒部材151を載置するとともに、そのリード固定孔151FH内に、ヒータ電力リード線170及びセンサ接続線175の先端部分と、これに接続している接続端子180とを引き込む。センサ部包囲筒160を、絶縁スペーサ153及びセンサ部140の径方向外側を覆い、先端部分がハウジング基端部113を覆うように配置し、溶接部161でセンサ部包囲筒160とハウジング基端部113とを溶接固定する。
ついで、このセンサ部包囲筒160の基端部160k内にグロメット190を配置して、この基端部160kを閉塞する。さらに、この基端部160kを縮径するように加締加工して、グロメット190をセンサ部包囲筒160の基端部160k内に液密に配置する。
かくして、本実施形態に掛かるグロープラグ100が完成する。
(実施形態2)
ついで、実施形態2に係る燃焼圧センサ内蔵グロープラグ200について、図6〜図10を参照して説明する。前述の実施形態1では、圧電素子142,147を用いて、燃焼圧を検知した。これに対し、本実施形態2に係るグロープラグ200は、ピエゾ抵抗素子を用いて燃焼圧を検知する構成とされている点で異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は記載を省略あるいは簡略化する。
図6に、本実施形態2にかかるグロープラグ200の外形及び構造を示す。このグロープラグ200も、内燃機関の始動補助のため通電によってヒータ部材220を発熱させることができるほか、内燃機関の燃焼圧の変化を検知可能に構成されたセンサ部240を備えたグロープラグである。
このグロープラグ200も、軸線AXに沿う方向に延びる軸状の形態を有しており、この軸線AXに沿って、基端側(図6中、上方)から先端側(図中、下方)に向かって、プラグ基端部201,センサ内蔵部202,六角部203,プラグ中胴部204,プラグ先端部205をなしている。
プラグ基端部201は、グロープラグ200のうち最も基端側に位置し、後述するグロメット290を内包する部位である。なお、このプラグ基端部201(グロメット290)からは、基端側に向けて、2本のヒータ電力リード線270、及び、3本のセンサ接続275が延出している。センサ内蔵部202は、このグロープラグ200を取り付けた内燃機関(図示しない)の燃焼圧を検知するためのピエゾ抵抗素子242などからなるセンサ部240を内蔵する部位である。また、六角部203は、ハウジング210の工具係合部212が形成されている部位であり、六角柱形状とされている。さらに、プラグ先端部205は、主として、後述するヒータ部材220からなる部位である。プラグ中胴部204は、六角部203とプラグ先端部205との間に位置する、概略、円筒状をなす部位であり、雄ネジが形成された雄ネジ部211を含む。
図6,図7に示すように、このグロープラグ200は、軸線AXに沿う方向(軸線方向)に延びる筒状のハウジング210を有する。さらに、このハウジング210内に保持された導電性で棒状の中軸230と、この中軸230の先端側(図中、下方)に配置され、この中軸230に接続リング235により電気的に接続された棒状のヒータ部材220とを有する。このヒータ部材220は、ハウジング210の先端部分において、ヒータ保持部材216に圧入により保持されている。
また、図6,図8に示すように、このグロープラグ200は、その基端側のセンサ内蔵部202に、燃焼圧を検知可能に構成されたセンサ部240を有する。また、このセンサ部240の回路を駆動するための電源及びセンサ出力を外部に取り出すのに用いる3本のセンサ接続線275、中軸230にそれぞれ電気的に接続する2本のヒータ電力リード線270、及び、センサ部240等を包囲する筒状のセンサ部包囲筒260等を有している。
このグロープラグ200うち、先端部205に位置するヒータ部材220は、図7に示すように、先端が略半球状とされた円柱状形態をなしている。このヒータ部材220は、実施形態1のヒータ部材120と同様の構成を有している。即ち、このヒータ部材220は、絶縁セラミック体227と、これに内蔵されたヒータ配線221とから構成されている。このヒータ部材220は、その先端部220sがヒータ保持部材216から先端側に突出して配置されている。また、ヒータ配線221は、U字状に形成され、抵抗が高くされて通電により発熱するヒータ発熱部222と、これから基端側に延びるヒータリード部223,224とを有している。ヒータ発熱部222は、ヒータ先端部220sの内部に配置されている。
さらに、ヒータ部材220の基端側の外周面には、ヒータリード部223,224の端部が引き出されて、中軸側配線端部225及び接地側配線端部226とされている。中軸側配線端部225は、ヒータ部材220の基端部220kに形成されており、この基端部220kに圧入され、中軸230の先端部230sに溶接された筒状の接続リング235により、中軸230と機械的に剛に、及び電気的に接続している。
一方、接地側配線端部226はヒータ保持部材216と導通している。このため、次述する保持部材219及びハウジング210を通じて、接地側配線端部226を接地することができる。かくして、中軸230から、ヒータ配線221に電流を流すことができ、ヒータ発熱部222、従って、ヒータ部材220の先端部220sを発熱させることができる。
このヒータ部材220を用いたグロープラグ200も、いわゆる急速昇温タイプのグロープラグである。
また、ヒータ保持部材216は、自己潤滑性を有するグラファイトからなる保持部材219に、軸線AXに沿う方向に移動可能としつつ保持されている。従って、このヒータ保持部材216及びこれに圧入されたヒータ部材220は、このグロープラグ200が内燃機関(図示しない)に取り付けられて、燃焼圧の変化に晒されると、燃焼圧の変化に応じて、軸線AXに沿う方向に移動する。また、上述したように、中軸230とヒータ部材220の基端部220kは、接続リング235を介して、機械的に剛に接続されているから、ヒータ部材220が移動すると、中軸230もそれに従って移動する。
ヒータ保持部材216の基端部分は、他よりも径大とされた基端側径大部217とされており、ここに、内側に中軸230が遊嵌状に挿通された円筒状のスライドパイプ218が溶接されている。従って、燃焼圧が変化すると、このスライドパイプ218もヒータ保持部材216と共に、軸線AX方向に移動する。
なお、ハウジング210及び保持部材219の先端側には、保持部材219の脱落防止を兼ねた、外周円錐台形状の先端閉塞部材215がハウジング210に固着して配置されている。
ついで、このグロープラグ200の基端側の部位について説明する。図6及び図8に示すように、ハウジング210は、六角柱形状とされた工具係合部212を有している。この工具係合部212は、ハウジング210の最も基端側に位置しており、ハウジング基端部213にもなっている。このハウジング基端部213の基端側(図中、上方)には、円筒状のセンサ部包囲筒260が配置されている。
このセンサ部包囲筒260も、実施形態1のグロープラグ200と同じく、その径が、ハウジング210の工具係合部212の対辺寸法よりも径小とされている。このため、図8において破線で示す、工具係合部212を軸線AXに沿う基端側に投影した係合部投影領域PA内に、センサ部包囲筒260が含まれている。このため、グロープラグ200を内燃機関(図示しない)に着脱するに当たり、その基端側から、基端部201及びセンサ内蔵部202及び六角部203を包囲するようにして、レンチ等の工具を工具係合部212に係合させ、グロープラグ200を回転させることができる。
中軸230は、鉄からなり、ハウジング210よりも基端側まで延びるが、後述するグロメット290よりも先端側に配置されている。また、ハウジング210の中軸挿通孔210H内に、軸線方向への移動可能に配置したスライドパイプ218は、プッシュパイプ236に係合して接続している。これにより、プッシュパイプ236も、燃焼圧の変化によって、軸線AX方向に移動する。
なお、このプッシュパイプ236とハウジング210のハウジング基端部213(工具係合部212)との間には、Oリング297が配置されており、先端側から進入した高圧のガスがセンサ部240内まで侵入して、腐食や燃焼圧検知の妨げとなることを防止している。
また、ハウジング基端部213の基端側(図中、上方)には、ダイヤフラム部材241を保持する保持台237が配置されている。
ダイヤフラム部材241は、薄肉とされて変形容易なダイヤフラム部241Dを有しており、プッシュパイ236でダイヤフラム部材241の受圧端部241Pを押すと、ダイヤフラム部241Dが変形する。
ダイヤフラム部材241のうち、ダイヤフラム部241Dの基端側の面には、ピエゾ抵抗素子242が貼り付けられており、ダイヤフラム部材241Dの変形により、ピエゾ抵抗素子242の抵抗値が変化する。図10に示すように、プリント基板244には、中軸230が挿通される中軸挿通孔244HCのほか、ワイヤ挿通孔244HWが穿孔されている。ピエゾ抵抗素子242の抵抗値は、ボンディングワイヤ243を経由してプリント基板244上の回路素子245等で構成された検知回路(図示しない)によって検知され、これに基づいてセンサ出力信号が生成され、プリント基板244に立設された3本の接続ピン246のうちの1本から出力される。なお、3本の接続ピン246のうち残りの2本は、センサ接続線275から供給され、この検知回路を駆動するための電源用として用いる。
3本の接続ピン246は、前述の実施形態1における第1電極板143の電極リード143Lと同様(図5参照)、それぞれ接続端子180の接続板部182に溶接される。また、これらの接続端子180は、実施形態1と同様、センサ接続線275に接続している。具体的には、センサ接続線275は、芯線276を被覆層277で被覆してなり、この芯線276を加締部181で加締めることにより互いに接続している。
さらに、接続端子180及びセンサ接続線275は、実施形態1と同様、固定爪部183,184を、リード固定筒部材251に形成したリード固定孔251FHに係合させることにより、このリード固定筒部材251に固定されている。
一方、中軸230の基端部230kには、基端側に突出する細径の基端突出部230tが形成されている。軸線AXに沿って延びる1本のヒータ電力リード線270の芯線271とこの基端突出部230tとは、接続端子280を介して接続されている。具体的には、ヒータ電力リード線270の芯線271と接続端子280とは、第1加締部281を加締めることにより接続されている。また、基端突出部230tと接続端子280とは、第2加締部282を加締めることにより接続されている。
なお、接続端子280及びこれと接続するヒータ電力リード線270とは、リード固定筒部材251のうち、中央部分に穿孔した中央孔251H内に配置されている。
さらに、この中軸230の基端部230kには、これを把持するように、中継部材252が加締固定されている。この中継部材252は、詳細は図示しないが、図8において紙面奥側に延び、さらに基端側に折れ曲がって、実施形態1における中継部材152の接続舌部152Eと同様の形状とされており、この部分が、実施形態1と同じく(図4参照)、接続端子280の接続板部に溶接されている。この接続端子280は、もう1本のヒータ電力リード線270と加締接続しており、これらもリード固定筒部材251に形成したリード固定孔251FH内に係合して固定されている。
かくして、本実施形態2のグロープラグ200では、2本のヒータ電力リード線270からそれぞれ供給された電流を、中軸230で集め、ヒータ部材220のヒータ配線221に流すことができる。
また、本実施形態2でも、ヒータ電力リード線270の芯線271を、加締によって接続した接続端子180,280を介して、中継部材252あるいは中軸230の基端突出部230tに接続したので、ヒータ電力リード線270の芯線271を、ハンダ付けや溶接によって、直接、基端突出部230t等に接続した場合に比して、振動などによるクラックや断線の発生が防止され、接続信頼性が高くされている。
さらに、リード固定筒部材251の基端側(図8中、上方)には、フッ素ゴムからなるグロメット290が配置されている。このグロメット290は、3本のセンサ接続線275及び2本のヒータ電力リード線270をそれぞれ挿通する5つの挿通孔290H,290HCを備えている。具体的には、図9を参照すると容易に理解できるように、グロメット290のうちその中央には、軸線AXに沿って、ヒータ電力リード線270を挿通する中央挿通孔290HCが形成されている。これとともに、この周囲には、3本のセンサ接続線275及び1本のヒータ電力リード線270をそれぞれ挿通する4つの挿通孔290Hが周方向に均等に配置されている。このグロメット290は、センサ部包囲筒260の基端部260k内に配置されて、このセンサ部包囲筒260を閉塞している。さらに、このグロメット290及びセンサ部包囲筒260の基端部260kは、径方向内側(図8中、左右方向)に縮径するようにして加締められており、これによって、グロメット290の外周面290Sがセンサ部包囲筒260の基端部260kに密着し、これらの間で液密にされている。さらに、加締加工によって、グロメット290の挿通孔290H及び中央挿通孔290HCと、各センサ接続線275及びヒータ電力リード線270との間も密着して液密にされている。つまり、グロメット290は、ヒータ電力リード線270及びセンサ接続線275を液密に保持してなる。
このようにしているので、本実施形態2のグロープラグ200でも、ピエゾ抵抗素子242や回路素子245を有するセンサ部240内に水や油等が浸入することが防止され、ピエゾ抵抗素子242や回路素子245等の絶縁性等の特性を低下させる虞がなく、適切に燃焼圧の検知を行うことができる。
また、このグロープラグ200では、前述したように、中軸230は、その先端部230sでヒータ部材220に機械的に剛に接続している。
しかし、このグロープラグ200では、中軸230を、グロープラグ200の基端側に突出させない形態、具体的には、グロメット290よりも先端側に配置する形態としている。従って、グロープラグ200よりも基端側で、中軸230が直接リード線に接続したり他部材と接触することが無い。このため、リード線の振動や他部材の接触による振動が中軸230に伝わることがなく、ひいては、この中軸230からヒータ部材220、スライドパイプ218、プッシュパイプ236を介して、ダイヤフラム部241D及びピエゾ抵抗素子242に振動が伝わることがない。
なお、ヒータ部材220への通電には、2本のヒータ電力リード線270を用いるが、このヒータ電力リード線270が振動したとしても、これを挿通しているグロメットにより振動が抑制されるから、中軸230にまでこの振動は伝わりにくい。従って、これによってセンサ部240(ピエゾ抵抗素子242)の出力にノイズが載りにくくされている。
なお、本実施形態2のグロープラグ200では、3本のセンサ接続線275の外径と、2本のヒータ電力リード線270の外径とを等しくし、また、グロメット290に形成する4つの挿通孔290H及び中央挿通孔290HCの大きさを互いに等しくしている。また、4つの挿通孔290Hを、軸線AXの周りに均等に配置している。このため、グロメット290及びセンサ部包囲筒260の基端部260kを縮径するように加締めることにより、いずれの挿通孔290Hにおいても、グロメット290とセンサ接続線275あるいはヒータ電力リード線270とが均等に密着するため、これらの液密性が高くされている。
但し、中央挿通孔290HCの径を挿通孔290Hより大きくし、中央挿通孔290HCを挿通するヒータ電力リード線270の外径を、他よりも大きくすることもできる。この場合でも、各挿通孔290Hには均等に圧力が掛かるため、液密性を高く保ちうるからである。
本実施形態2のグロープラグ200でも、ヒータ電力リード線270を複数としているので、各ヒータ電力リード線270を流れる電流(電力)の大きさを分散して小さくすることができるから、各ヒータ電力リード線270の芯線271の断面積、さらには被覆層272を含めた各ヒータ電力リード線270の外径dを小さくできる。従って、グロメット290の保持状態(加締められた状態)において、センサ部包囲筒260に液密に密着している部分の最小外径Dを比較的小さな径としながらも、センサ接続線275及びヒータ電力リード線270を液密に挿通、保持して、適切に基端側に取り出すことができている。
ついで、本実施形態2のグロープラグ200の製造について説明する。
まず、グロープラグ200のうち、先端側部分の製造について説明する。ヒータ部材220をヒータ保持部材216に圧入する。ヒータ部材220の基端部220kに接続リング235を圧入し、この接続リング235を中軸230の先端部230sに溶接する。また、ヒータ保持部材216の基端側径大部217にスライドパイプ218を溶接する。これらを、予め先端の所定部位に保持部材219を配置したハウジング210内に挿通し、先端側から先端閉塞部材215をヒータ部材220に嵌め、ハウジング210の先端に当接させて、ハウジング210と先端閉塞部材215とを溶接により固着する。
ついで、グロープラグ200のうち、基端側部分の製造について説明する。
中軸230が挿通されたハウジング210の中軸挿通孔210H内に、プッシュパイプ236を配置し、スライドパイプ218と係合させる。また、ハウジング210とプッシュパイプ236との間にOリング297を配置し、燃焼ガスが中軸挿通孔210Hを通してセンサ部240に到達しないようにする。
ハウジング210のハウジング基端部213の基端側に、保持台237を固定し、さらに、その基端側に、ダイヤフラム部材241を配置、固定する。またこれにより、ダイヤフラム部材241の受圧端部241Pがプッシュパイプ236に当接する。ダイヤフラム部材241を覆うようにプリント基板244を配置し、ボンディングワイヤ243でプリント基板244とピエゾ抵抗素子242との所定部位間を接続する。
ついで、グロメット290の挿通孔290H及び中央挿通孔290HC、センサ部包囲筒260、及びリード固定筒部材251のリード固定孔251FH及び中央孔251Hを挿通した状態としたヒータ電力リード線270及びセンサ接続線275の先端部分に、それぞれ接続端子180,280を加締接続(図6,図8及び図9参照)する。さらに、この接続端子180の接続板部182と接続ピン246あるいは中継部材252の接続舌部とを溶接する。また、この接続端子280の第2加締部282で中軸230の基端突起部230tを加締めて互いに接続する。
プリント基板244の基端側にリード固定筒部材251を載置するとともに、そのリード固定孔251FH内に、ヒータ電力リード線270及びセンサ接続線275の先端部分と、これに接続している接続端子180とを引き込む。センサ部包囲筒260を、プリント基板244及びリード固定筒部材251の径方向外側を覆い、先端部分が保持台237を覆うように配置し、保持台237とセンサ部包囲筒260とを溶接する。
このセンサ部包囲筒260の中段加締部260jを縮径させるようにして加締め、リード固定筒部材251をセンサ部包囲筒260内に固定する。さらに、このセンサ部包囲筒260の基端部260k内にグロメット290を配置して、この基端部260kを閉塞する。さらに、この基端部260kを縮径するように加締加工して、グロメット290をセンサ部包囲筒260の基端部260k内に液密に配置する。
かくして、本実施形態に掛かるグロープラグ200が完成する。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態1,2のグロープラグ100,200では、燃焼圧を検知する燃焼圧検知センサを内蔵するグロープラグを示したが、ヒータ温度や燃焼光など他の事項を検知するセンサを内蔵するグロープラグに適用しても良い。
実施形態1に係る圧電素子を用いた燃焼圧センサ内蔵グロープラグの外観を示す斜視図である。 実施形態1に係る燃焼圧センサ内蔵グロープラグの先端部分の構造を示す部分縦断面図である。 実施形態1に係る燃焼圧センサ内蔵グロープラグの基端部分の構造を示す部分縦断面図である。 ヒータ電力リード線と接続端子、及び、接続端子と中継部材との接続の様子を示す説明図である。 センサ信号出力線と接続端子、及び、接続端子と電極板との接続の様子を示す説明図である。 実施形態2に係るピエゾ抵抗素子を用いた燃焼圧センサ内蔵グロープラグの構造を示す縦断面図である。 実施形態2に係る燃焼圧センサ内蔵グロープラグの先端部分の構造を示す部分縦断面図である。 実施形態2に係る燃焼圧センサ内蔵グロープラグの基端部分の構造を示す部分縦断面図である。 実施形態2に係る燃焼圧センサ内蔵グロープラグの基端部分の外観を示す部分拡大斜視図である。 実施形態2に係る燃焼圧センサ内蔵グロープラグに用いるプリント基板の形状を示す説明図である。
符号の説明
100,200 燃焼圧センサ内蔵グロープラグ(センサ内蔵グロープラグ)
110,210 ハウジング(包囲部材)
112,212 工具係合部
113,213 ハウジング基端部
120,220 ヒータ部材
121,221 ヒータ配線
130,230 中軸
140,240 センサ部(燃焼圧検知センサ部,センサ部)
152,252 中継部材
160,260 センサ部包囲筒(包囲部材、基端側部)
160k,260k 基端部
170,270 ヒータ電力リード線
171,271 芯線
172,272 被覆層
d (ヒータ電力リード線の)外径
175,275 センサ接続線
176,276 芯線
177,277 被覆層
180,280 接続端子
190,290 グロメット
190H,290H 挿通孔
290HC 中央挿通孔
190S,290S (グロメットの)外周面
D (グロメットの)外径
PA 係合部投影領域
AX 軸線

Claims (5)

  1. 内燃機関に装着されるセンサ内蔵グロープラグであって、
    通電により発熱するヒータ配線を有し、上記センサ内蔵グロープラグの軸線に沿う軸線方向先端側に配置されてなるヒータ部材と、
    芯線及びこの芯線を被覆する絶縁性樹脂の被覆層を有し、軸線方向基端側に延び、上記芯線が上記ヒータ配線の一端に電気的に導通し、上記ヒータ配線に電力を供給する複数のヒータ電力リード線と、
    上記内燃機関または上記グロープラグの所定情報を出力するセンサ部と、
    絶縁性の樹脂で被覆されてなり、上記センサ部に直接または間接に接続し、上記センサ部から軸線方向基端側に延びる少なくとも1つのセンサ接続線と、
    上記ヒータ部材のうち基端側の一部、上記ヒータ電力リード線のうち先端側の一部、上記センサ部の少なくとも一部、及び、上記センサ接続線のうち先端側の一部を、上記軸線の径方向外側から覆う包囲部材と、
    絶縁性のゴム状弾性体からなり、
    軸線方向に延び、上記ヒータ電力リード線及びセンサ接続線のいずれかがそれぞれ挿通された複数の挿通孔を有し、
    上記包囲部材のうち基端側の端部を液密に閉塞すると共に、上記ヒータ電力リード線及びセンサ接続線を液密に保持してなる
    グロメットと、を備える
    センサ内蔵グロープラグ。
  2. 請求項1に記載のセンサ内蔵グロープラグであって、
    前記包囲部材は、
    工具を係合させるために外周が所定形状とされてなる工具係合部と、
    上記工具係合部よりも基端側に位置し、前記端部を含む基端側部と、を有し、
    上記基端側部は、上記工具係合部を前記軸線方向基端側に投影した係合部投影領域内に含まれる形状とされてなる
    センサ内蔵グロープラグ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセンサ内蔵グロープラグであって、
    前記複数のヒータ電力リード線は、
    各ヒータ電力リード線の前記芯線の合計断面積が、1.0mm2以上であり、
    各ヒータ電力リード線の外径が、保持状態における前記グロメットのうち前記包囲部材に液密に密着している部位の最小外径の20%以下である
    センサ内蔵グロープラグ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセンサ内蔵グロープラグであって、
    前記センサ部は、圧電素子またはピエゾ抵抗素子を用いて前記内燃機関の燃焼圧を測定する燃焼圧検知センサ部である
    センサ内蔵グロープラグ。
  5. 請求項4に記載のセンサ内蔵グロープラグであって、
    前記包囲部材内で、前記グロメットよりも先端側に配置され、前記軸線に沿って延び、自身の先端側で前記ヒータ部材に機械的に剛に接続してなる中軸を備え、
    前記燃焼圧検知センサ部は、上記ヒータ部材の移動により、上記燃焼圧の変化を検知する形態に構成されてなる
    センサ内蔵グロープラグ。
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