JP2007246157A - 自立袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】底面フィルムを用いて底部をガセット形式に形成する自立袋において、特に、袋の底開き性がよく、軽量の内容物でも問題なく充填でき、更に、袋の製造工程も簡略化でき、小ロット生産でもロス率が少なく経済性にも優れた自立袋を提供する。
【解決手段】自立袋を、その底部が前後の壁面の積層フィルム1,1’の下部の間に底面の積層フィルム2を内側に折り込んで挿入してなるガセット部5を有する形式で形成し、該ガセット部を内側の中央部が低くその両側が袋の側部に向って徐々に高くなる船底形のシールパターンでヒートシールして形成すると共に、該底面の積層フィルムに、少なくともポリアミド層とシーラント層としての線状低密度ポリエチレン層とを含む共押し出し成形による積層フィルムを用いて構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、自立袋に関し、更に詳しくは、袋の底部をガセット形式で形成して自立性を付与した自立袋の分野において、袋が自立性に優れることはもとより、内容物充填の際に、口部と共に底部も前後に広がり易く、比較的軽量の内容物に対しても充填適性がよく、更に、製造工程の簡略化や生産性向上による製造コストの低減も可能で経済性にも優れた自立袋に関する。
従来、自立袋としては、底部をガセット形式で形成して自立性を付与したスタンディングパウチ形式などの自立袋が、自立性に優れ取り扱い易く、また、立体容器としての特徴も一部備え、外観にも優れることから、固形物や、粒状、粉状等の内容物のほか、液状の内容物まで広範囲の内容物の密封包装用に汎用されるようになっている。
このようなスタンディングパウチ形式の自立袋の製造には、その製袋機を小型化でき、且つ2列付けなどでの効率的な製袋も容易に行えることから、壁面用の積層フィルムと底面用の積層フィルムとを別々のロールで供給して製袋する方式の製袋機が一般的に使用されている。
そして、壁面用の積層フィルムと底面用の積層フィルムには、充填される内容物に対する適性のほか、ヒートシール強度や耐衝撃強度などのように、両者に共通して求められる性能が多く、また、製造も同じ工程と条件で共通して行えることから、壁面用の積層フィルムと底面用の積層フィルムとを、同一の積層構成として、両者を付け合わせで製造することが多かった。
しかし、厳密には、壁面用の積層フィルムと底面用の積層フィルムには、要求される性能に異なるものもあり、具体的には、壁面用の積層フィルムでは、袋の形状安定性のために剛性が求められ、また、手での引き裂きによる袋の開口を容易にするため、通常、積層フィルムの流れ方向の易引き裂き性が求められている。このため、壁面用の積層フィルムは、その基材層だけではなく、シーラント層にも引き裂き性をよくする配慮がなされている。
一方、底面用の積層フィルムに対しては、前記易引き裂き性は全く不要であり、逆に耐衝撃強度などに対してはマイナス要素であり、また、剛性に関しても、高すぎると内容物充填の際に、袋の底部が前後に広がり難くなるので、剛性よりもむしろ柔軟性を有することが求められている。
このように壁面用の積層フィルムと底面用の積層フィルムとでは、求められる性能に異なるものもあり、細かく対応するためには、それぞれを別々に製造して、それぞれの材質、フィルム形成方法、積層方法などの構成を使い分ける必要があり、工程や管理が煩雑になるという問題があった。
特に、壁面用の積層フィルムでは、その剛性、耐衝撃強度のほか、ラミネート強度、ヒートシール強度、易引き裂き性などに優れることが好ましく、そのためには、積層フィルムの基材層、中間層、シーラント層などの各層にその目的に沿って優れた性能のフィルムを選定し、それぞれをドライラミネーション法で貼り合わせることが最適である。
これに対して、底面用の積層フィルムの場合は、前述したように、易引き裂き性や剛性は不要であり、底部の広がりを容易にするためにはむしろ柔軟性に優れることが好ましく、このためには、積層方法としてドライラミネーション法を採ることは必ずしも最適とは言えず、特に、ドライラミネーション法を採る場合は、剛性やラミネート強度、ヒートシール強度、易引き裂き性などの向上のためにはよいが、積層フィルムの基材層、中間層、シーラント層などを予め所望の厚みのフィルム状に製膜し、それをドライラミネート用の接着剤を用いて貼り合わせる必要があり、製造の工程数が増し、加工速度も低く、また、使用面積の少ない底面用の積層フィルムを単独で製造することは、小ロット生産にもなり生産効率が悪く、製造コストの上昇を招く問題もあった。
従来、このような自立袋の底面用の積層フィルムに関する検討例は殆ど報告されておらず、壁面用の積層フィルムと底面用の積層フィルムとの構成についてコメントされた数少ない例として、〔1〕詰め替え用パウチに関して、「本発明の詰め替え用パウチでは、その壁面フィルムと底面フィルムとに、同一構成の積層フィルムを用いてもよいが、底面フィルムは、剛性をそれほど必要としないため、その厚さを若干薄くすることができ、それによりコストメリットと同時に、前記ヒートシール部の厚さの差による段差を小さくすることができるので、ヒートシールの安定性を向上させることができる。」とした詰め替え用パウチがある(特許文献1参照)。
また、〔2〕スタンディングパウチ形式の「注出口部を有する袋」に関して、壁面用の積層フィルムと底面用の積層フィルムとに異なる構成の積層フィルムを用いた例として、壁面用積層フィルムとして、「(外側)二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載する)(厚み15μm)/接着剤/アルミニウム蒸着(蒸着厚み400Å)二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、アルミ蒸着PETフィルムと記載する)(厚み12μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(以下、L・LDPEフィルムと記載する)(厚み150μm)」の構成の積層フィルムを使用し、底面用積層フィルムとして、「(外側)ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/アルミ蒸着PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/L・LDPEフィルム(厚み70μm)」の構成の積層フィルムを使用した実施例が記載され、更に、「上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行ったものであり、各フィルムの間の接着剤はドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用したものである。」とした構成の注出口部を有する袋がある(特許文献2参照)。
特開2001−114297号公報(第5頁、段落番号〔0027〕) 特開2006−1601号公報(第11〜12頁、段落番号〔0042〕)
しかし、前記特許文献1、2に記載された発明には、壁面用の積層フィルムに対して、底面用の積層フィルムの厚みを薄くすることは記載されているが、いずれも積層方法は、壁面用の積層フィルムと同様に、ドライラミネーション法によるものであり、これだけでは、底面用の積層フィルムの剛性を多少低くすることはできても、前述したような積層フィルムの基材層、中間層、シーラント層などを所定の厚みのフィルム状に製膜して用意し、それぞれをドライラミネート用接着剤で貼り合わせるという、工程数の多さ、および加工速度の低さ、そして、小ロット生産での生産効率の悪さなどは解決できず、依然として問題点が残されていた。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、袋の底部をガセット形式で形成して自立性を付与した自立袋において、袋が自立性に優れることはもとより、自立袋に必要とされる基本的な性能を維持でき、且つ、底面用の積層フィルムが柔軟性に優れ、内容物充填の際に袋の底部が前後に容易に広がり、軽量の内容物でもスムーズに充填することができ、更に、製造工程も簡略化でき、小ロット生産の場合でも効率よく製造でき経済性にも優れた自立袋を提供することである。
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、袋の底部が、前後の壁面の積層フィルムの下部の間に底面の積層フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、該ガセット部が内側の中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形のシールパターンでヒートシールして形成される自立袋において、該底面の積層フィルムが、少なくともポリアミド層とシーラント層としての線状低密度ポリエチレン層とを含む共押し出し成形による積層フィルムで形成されていることを特徴とする自立袋からなる。
本発明において、自立袋の前後の壁面の積層フィルムの構成は、特に限定はされず、袋に充填される内容物に対応して任意の積層構成を採ることができる。
また、自立袋の底面の積層フィルムは、少なくともポリアミド層とシーラント層としての線状低密度ポリエチレン層とを含み共押し出し成形により製膜された構成とするが、ポリアミド層と線状低密度ポリエチレン層の間の中間層、または最外層にガスバリヤー層や強度向上層などを設けてもよい。
上記各層の間には、必要に応じて接着性を向上させるための接着性樹脂層を設けることができる。
前記ポリアミド層には、ナイロン6、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン66、ナイロン12などを好適に使用することができる。
また、前記共押し出し成形は、インフレーション共押し出し成形でもTダイ共押し出し成形でもいずれでもよい。
自立袋の上部の構成については、特に限定はされず、極単純に上部の端縁部を封止する上部シール部の下の開封位置に切取り線、ノッチ、ハーフカット線などの開封手段を設けた構成、更に、その開封手段の下側の袋の内面にチャックテープを取り付けた構成、或いは、詰め替え用パウチなどに見られるように、自立袋の上部のコーナー部に狭い幅の注出口部をヒートシールパターンにより設けた構成など、自立袋の用途に応じて任意の構成を採ることができる。
請求項2に記載した発明は、前記底面の積層フィルムのポリアミド層の厚みが15〜35μmで、線状低密度ポリエチレン層の厚みが80〜130μmであることを特徴とする請求項1記載の自立袋からなる。
前記底面の積層フィルムのポリアミド層の厚みは15〜35μmの範囲が好ましく、厚みが15μm未満の場合は積層フィルムの強度が不足し、35μmを超える場合は強度は十分でありコスト面で不利となるため好ましくない。
また、線状低密度ポリエチレン層の厚みは80〜130μmの範囲が好ましく、厚みが80μm未満の場合は積層フィルムとして十分なシール強度、耐衝撃強度、耐圧強度等の性能を得られず、130μmを超える場合は柔軟性が低下するため好ましくない。
請求項3に記載した発明は、前記自立袋の上部のコーナー部にヒートシールパターンにより狭い幅の注出口部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の自立袋からなる。
前記のような構成は、自立袋に充填される内容物が液状などの流動性を有する内容物で、その使用時にはボトルなどの口径の小さい他の容器に移し替えて使用するような場合に好適に使用できる構成であり、前記注出口部の幅および形状、向きなどは、内容物の粘度や、移し替えを行う容器の口部の大きさに応じて適宜に決定することができる。
請求項1に記載した発明によれば、袋の底部が、前後の壁面の積層フィルムの下部の間に底面の積層フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、該ガセット部が内側の中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形のシールパターンでヒートシールして形成される自立袋において、該底面の積層フィルムが、少なくともポリアミド層とシーラント層としての線状低密度ポリエチレン層とを含む共押し出し成形による積層フィルムで形成された構成としているので、内容物が充填された袋は、底部が前後に大きく広がりフラットな底面が形成されるので自立性に優れている。
また、袋の底面の積層フィルムは、基材層をポリアミド層とし、シーラント層を線状低密度ポリエチレン層としているので、柔軟性に優れると共に、強度およびヒートシール性にも優れており、内容物の充填の際に、袋の底部が容易に前後に広がり軽量の内容物でもスムーズに充填することができる。また、耐衝撃強度やヒートシール強度などの性能面でも必要な性能を具備した自立袋とすることができる。
更に、袋の底面の積層フィルムは、共押し出し成形により製膜しているので、ドライラミネーション法などで貼り合わせる方法と比較して、多層構成の積層フィルムを一工程で製膜でき、製造工程が大幅に簡略化され生産性が著しく向上されると同時に、小ロット生産の場合でも、ロス率が少なく効率よく製造することができる。
請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載した発明の自立袋の構成において、前記底面の積層フィルムのポリアミド層の厚みが15〜35μmの範囲で、線状低密度ポリエチレン層の厚みが80〜130μmの範囲とした構成としているので、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、袋の底開き性がよく、且つ必要な耐衝撃強度やヒートシール強度などの性能を備えた自立袋を一層確実に提供することができる。
請求項3に記載した発明によれば、請求項1または2に記載した発明の自立袋の構成において、前記自立袋の上部のコーナー部にヒートシールパターンにより狭い幅の注出口部が設けられた構成としているので、請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、自立袋に充填される内容物が、例えば、液状の内容物で、その使用時にはボトルなどの口径の小さい他の容器に移し替えて使用するような場合でも、内容物を外にこぼすことなく安全且つ容易に移し替えて使用できるようになる。
以下に本発明の自立袋の製造に用いる積層フィルム、および自立袋の実施の形態について一部図面を用いて説明する。
先ず、本発明の自立袋の製造に用いる積層フィルムは、壁面の積層フィルムと底面の積層フィルムとに分けられるが、壁面の積層フィルムについては、特に限定はされず、各種のパウチに用いられている公知の積層フィルムはいずれも使用できる。但し、シーラント層だけは、底面の積層フィルムについて線状低密度ポリエチレンの使用を規定しているので、壁面の積層フィルムについてもこれと同じ線状低密度ポリエチレン、またはこれと熱接着可能なポリエチレン系樹脂を使用することが必要である。
前記壁面の積層フィルムとして、簡単な構成では、基材フィルム層にシーラント層を積層した構成の積層フィルムが用いられるが、袋に充填される内容物の種類やその量、或いは、水蒸気その他のガスバリヤー性、遮光性、各種の機械的強度など必要とされる性能に応じて、上記基材フィルム層とシーラント層との間などに水蒸気その他のガスバリヤー層や、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルムを使用することができる。
上記基材フィルム層、水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層、シーラント層などは、それぞれを単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成することもできる。
前記基材フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのポリアミドの二軸延伸フィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどを好適に使用することができる。
これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
前記ガスバリヤー層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、MXD6、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔などの金属箔、或いは、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ITOなどの無機酸化物やアルミニウムなどの金属の蒸着層、またはPVDCやポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)などの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。
前記無機酸化物や金属の蒸着層は、蒸着やスパッタリング、イオンプレーティングなどの手段で、前記基材フィルム上に厚みが200〜1200Å程度になるように堆積させて形成することができる。
前記無機酸化物の蒸着層は、単独の層で形成してもよいが、複数の層で形成することにより一層優れたガスバリヤー性を得ることができる。
また、前記無機酸化物の蒸着層は、その接着性を向上させ、或いは亀裂などの損傷を防止して優れたガスバリヤー性を有効に発揮させるため、その上下の面に接着性向上層、保護層、ガスバリヤー性向上層などの目的で、反応型アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シランカップリング剤を含有させたアクリル系樹脂、金属アルコキシドを含有させた水溶性高分子、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物などの樹脂層を設けて複合層としてガスバリヤー層を形成することができる。
前記ガスバリヤー層のうち、アルミニウム箔、またはアルミニウムの蒸着層を設けたフィルムは、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
前記強度向上層としては、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
前記基材フィルム層とガスバリヤー層、遮光層、強度向上層との積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
前記シーラント層には、線状低密度ポリエチレン(L・LDPE)のほか、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーなどを使用することができる。
シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を基材フィルム層またはガスバリヤー層などの積層面に押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。但し、内容物がシーラント層に浸透しやすいもの、またはそれを含むものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
前記線状低密度ポリエチレン(L・LDPE)は、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
また、エチレン・αオレフィン共重合体でシングルサイト触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており、本発明の自立袋のように、底部にガセット部を設けて形成した自立袋や、通常のガセット袋などヒートシール部にフィルムの重なりの差による段差のある袋のシーラント層にはシール抜けによるピンホールの発生を防止できる点で適している。
次に、袋の底面の積層フィルムは、前述したように、少なくともポリアミド層とシーラント層としての線状低密度ポリエチレン層とを含み、共押し出し成形により製膜さた積層フィルムであることを特徴とするものである。
図1の(イ)、(ロ)に、それぞれ底面の積層フィルムの一例の構成を示す模式断面図を示したのでこれを参照して説明する。
図1の(イ)は、最も簡単な構成を示したものであり、図1の(イ)に示した底面の積層フィルム2a は、ポリアミド層21と線状低密度ポリエチレン層22とを共押し出し成形により積層して製膜した構成である。
また、図1の(ロ)に示した底面の積層フィルム2b は、前記(イ)に示した底面の積層フィルム2a の構成において、ポリアミド層21と線状低密度ポリエチレン層22との間に、中間層としてガスバリヤー層23を追加して共押し出し成形により積層して製膜した構成である。
尚、図1の(イ)、(ロ)に示した底面の積層フィルム2a 、2b の構成において、図には示していないが、各層の間には、必要に応じて接着性を向上させるための接着性樹脂層を設けることができる。この接着性樹脂層の樹脂としては、各種の押出グレードの接着性ポリオレフィン樹脂が市販されており、適宜選択して使用することができる。
前記ポリアミド層21として、具体的には、ナイロン6、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン66、ナイロン12などを好適に使用することができる。
前記ポリアミド層21と線状低密度ポリエチレン層22の厚みは、ポリアミド層21の厚みは15〜35μmの範囲が好ましく、線状低密度ポリエチレン層22の厚みは80〜130μmの範囲が好ましい。
また、前記ガスバリヤー層23として、具体的には、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)のほか、ポリアクリロニトリル(PAN)(押出グレード)を使用することができる。ポリアクリロニトリルは湿度等の影響によるガスバリヤー性の変動が少ないので、底面の積層フィルムの中間層としてだけではなく最外層として使用することもできる。
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明の自立袋について図面を用いて説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの図面に限定されるものではない。
図2は、本発明の自立袋を製袋する際の前後の壁面の積層フィルムと、底面の積層フィルムとの配置状態を説明する斜視図である。
図3は、本発明の自立袋の第1の実施例の構成を示す正面図である。
図4は、本発明の自立袋の第2の実施例の構成を示す正面図である。
図5は、本発明の自立袋の第3の実施例の構成を示す正面図である。
本発明の自立袋は、図2に示すように、前後の壁面の積層フィルム1、1′を、そのシーラント層(図示せず)同士が対向するように配置し、その下部の間に、前記図1の(イ)、(ロ)で底面の積層フィルム2a 、2b として説明した構成の底面の積層フィルム2を、そのシーラント層の線状低密度ポリエチレン層(図示せず)が壁面の積層フィルム1、1′のシーラント層と対向するように断面が逆V字形になるように底面フィルム折り返し部3で折り返すと共に、その両側の下端近傍に半円形などの底面フィルム切り欠き部4a 、4b (図では片側の切り欠き部4b のみを示す)を設けて挿入して配置し、その後、該底面の積層フィルム2を挿入した部分を、内側の中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形のシールパターンでヒートシールし、また、その上部の左右両側の端縁部を側部シール部でヒートシールして、底部にガセット部を有する形式の自立袋とするものである。
尚、図では前後の壁面の積層フィルム1、1′および底面の積層フィルム2とも一個の袋分にカットされた状態で示したが、実際の製袋ではそれぞれ長尺の積層フィルムを用いて袋が横方向に隣接してつながった形式で製袋され、最終段階で個々の袋にカットされるものである。
図3は、本発明の自立袋の第1の実施例の構成を示す正面図であり、図3に示した自立袋100は、外観上は通常のスタンディングパウチと同様な構成であるが、袋に使用する前後の壁面の積層フィルム1、1′と底面の積層フィルム2のうち、特に、底面の積層フィルム2の構成を前記図1の(イ)、(ロ)で説明した構成のいずれかに変更して構成したものである。
即ち、外観面では、前記図2でも一部説明したように、自立袋100の底部が、前後の壁面の積層フィルム1、1′の下部の間に、底面の積層フィルム2を内側に折り込んで底面フィルム折り返し部3まで挿入してなるガセット部5を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面の積層フィルム2の両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部4a 、4b が設けられ、該ガセット部5が、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部6でヒートシールして形成され、胴部が前後の壁面の積層フィルム1、1′の左右両側の端縁部を側部シール部7a 、7b でヒートシールして形成され、また、自立袋100の上部の端縁部は、所定幅の上部シール部8でヒートシールされるが、この部分を内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールして密封するものである。そして、上部シール部8の下側には袋の開封手段として、切取り線9とその両側の端部にノッチ10a 、10b を設けて構成したものである。
上記切取り線9は、印刷による切取り指示線でもよいが、レーザー光照射によるハーフカット線としてもよい。
前記底面の積層フィルム2に関しては、少なくともポリアミド層とシーラント層としての線状低密度ポリエチレン層とを含む共押し出し成形による積層フィルムを使用するものであり、詳細には前記図1の(イ)、(ロ)に示した底面の積層フィルム2a 、2b で説明した通りであり、また、前記壁面の積層フィルムに関しても先に詳しく説明しているので、ここでは説明を省略する。
図4は、本発明の自立袋の第2の実施例の構成を示す正面図であり、図4に示した自立袋200は、前記図3に示した自立袋100の構成において、袋の上部の開封位置に設けた切取り線9の下側の袋の内面、即ち、壁面の積層フィルム1、1′の内面に、更に、袋に再封性を付与するためのチャックテープ11を熱接着して構成したものであり、チャックテープ11を追加して熱接着した以外は総て前記図3に示した自立袋100と同様に形成して構成したものである。
前記チャックテープ11自体は、公知のものを使用でき、通常、互いに嵌合可能な凸条が設けられたテープ体と凹条が設けられたテープ体とからなり、袋の開口部の内面に、両者をその凸条と凹条とが対向するように配置し、そのテープ体部で熱接着して取り付け、凸条と凹条との嵌合または解離により、袋の開閉を容易に、且つ繰り返し行えるようにするものである。
図5は、本発明の自立袋の第3の実施例の構成を示す正面図であり、図5に示した自立袋300は、前記図3に示した自立袋100の構成において、袋の上部の構成のみを以下のように変更して構成したものであり、袋の胴部および底部は前記図3に示した自立袋100と同様に形成して構成したものである。
即ち、袋の上部は、その一方のコーナー部(図において左側のコーナー部)に、狭い幅で斜め外側上方を向く注出口部14をその外側周囲を注出口部シール部13のシールパターンでヒートシールして設けると共に、該注出口部14の両側の側部にその基部近傍で鋭角状に外側に折り返す図示した形状の切り欠き部を設け、また、注出口部14の開封位置に開封手段として、ハーフカット線12とその上側の端部にノッチ10a を設け、更に、該注出口部14の先端部近傍から袋300の内部側に向けて、少なくとも一方の壁面の積層フィルムに、注出口部14の中心線に沿う直線部と、それと交差して注出口部14の基部の下側とそこから更に適宜の間隔をおいて袋の内部側の位置に設けられた二つの円弧状部とからなるエンボス部Eをその断面が台形をなすように設けて構成したものである。
尚、袋300の上部のうち、注出口部14を設けていない部分の上部の端縁部は、上部シール部8でヒートシールするが、この部分は内容物の充填口に使用するため、図3に示した自立袋100で説明したのと同様に、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後に上部シール部8でヒートシールするものである。
前記エンボス部Eは、自立袋300に例えば液状などの内容物を充填し、注出口部14を開封して内容物を注出する際に、その直線部が外折れして注出口部14を安定した筒状に開口させると共に、注出口部14を下に向けて内容物を注出したとき、途中で注出口部14がその基部近辺などで折れ曲がって閉塞するのを防ぎ、また、注出口部14の基部からその下側の領域が、前記二つの円弧状部で逐次折れ曲がって外側に安定して広がり、注出口部14とその下側近辺の領域で安定した漏斗形状を形成させ、内容物の注出を一層容易に行えるようにするものである。従って、前記二つの円弧状部は、必ずしも円弧形状に限定するものではなく、例えば、前記直線部と折れ曲がり部で交差するV字形状などの折れ線状であってもよい。これは注出口部14とその両側の側部に設ける切り欠き部の形状により、内容物を注出する際に、その内圧による袋の注出口部近辺の広がり形状が円弧状乃至折れ線状などのように異なるためである。
以上のような自立袋の製袋は、通常のスタンディングパウチと同様に、袋が横方向に隣接してつながった形式で一列または二列突き合わせた形態で製袋することができる。
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
図3に示した構成の自立袋を、以下の構成の壁面の積層フィルムと底面の積層フィルムとを用いて、以下の寸法で製袋して実施例1の自立袋とした。
(1)壁面の積層フィルム1、1′の構成
(外側)二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルム)(厚み15μm)・印刷層/接着剤/線状低密度ポリエチレン(以下、L・LDPE)フィルム(厚み150μm)
上記各フィルムの貼り合わせは、ドライラミネーション法で行い、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤(乾燥時の塗布量3g/m2 )を使用したものである。
(2)底面の積層フィルム2の構成
(外側)ナイロン6層(厚み30μm)/接着性樹脂層(厚み15μm)/L・LDPE層(厚み120μm)
上記の積層フィルムは、Tダイ共押し出し成形により製膜したものである。
(3)自立袋の各部の寸法
自立袋の外形寸法は、幅が120mmで、長さが180mmとし、底部ガセット部5の長さ、即ち、袋の底辺から底面フィルム折り返し部3までの長さは38mmとした。
尚、自立袋の上部の端縁部の上部シール部8は、袋の上辺から下方に10mmまでの領域を上部シール部8の領域とし、その下に5mmの間隔をおいて、切取り線9として、3本のハーフカット線を1mmピッチで平行に、レーザー光照射により前後の壁面の積層フィルム1、1′の重なる位置に設け、その両側の端部にV字形のノッチ10a 、10b を設けた。
前記実施例1の自立袋の構成において、壁面の積層フィルムと底面の積層フィルムとを以下の構成に変更した他は、総て実施例1と同様に加工して実施例2の自立袋を製造した。
(1)壁面の積層フィルム1、1′の構成
(外側)ONフィルム(厚み15μm)・印刷層/接着剤/エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOH)フィルム(厚み25μm)/接着剤/L・LDPEフィルム(厚み140μm)
上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行い、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤(乾燥時の塗布量3g/m2 )を使用したものである。
(2)底面の積層フィルム2の構成
(外側)ナイロン6層(厚み30μm)/接着性樹脂層(厚み15μm)/EVOH層(厚み25μm)/L・LDPE層(厚み100μm)
上記の積層フィルムは、Tダイ共押し出し成形により製膜したものである。
〔比較例1〕
前記実施例2の自立袋の構成において、底面の積層フィルムを以下の構成の積層フィルムに変更した他は、総て実施例2と同様に加工して比較例1の自立袋を製造した。
底面の積層フィルム2の構成
(外側)ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/EVOHフィルム(厚み25μm)/接着剤/L・LDPEフィルム(厚み100μm)
上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行い、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤(乾燥時の塗布量3g/m2 )を使用したものである。
以上のように製造した実施例1、2および比較例1の自立袋について、特に、充填シール機で内容物を充填する際の自立袋の底開き性の良否を評価するため、スタンディングパウチ用の充填シール機を用いてそれぞれの自立袋100個に、未シールの上部の開口部(上部シール部8の部分)から内容物としてパン粉180gを充填シールして、底開き性の良否を調べた。
上記の試験の結果、充填シール機における自立袋の底開き性については、実施例1、2の自立袋は、いずれも底面の積層フィルムをTダイ共押し出し成形で製膜していることもあって、柔軟性に優れ、底開き性がよく良好に内容物の充填シールを行うことができ、充填シール機適性が良好であった。
これに対して比較例1の自立袋は、壁面の積層フィルムと同様に底面の積層フィルムも予め製膜した各層のフィルムをドライラミネーション法で貼り合わせているので、共押し出し成形法で製膜した積層フィルムと比較してその剛性が高くなり、全体的に袋の底開き性が悪く、また、内容物が軽量でもあるため、充填時に内容物充填面の上昇があり、著しい場合は上部シール部8のシール時に粉かみを発生するものもあり、充填シール機適性に劣っていた。
本発明の自立袋は、底部をガセット形式で形成して自立性を付与した自立袋において、自立性に優れることはもとより、自立袋に必要な基本的な性能を具備し、且つ、底面用の積層フィルムが柔軟性に優れ、内容物を充填する際に底開き性がよく充填シール機適性に優れるものであり、特に軽量の内容物でもスムーズに充填することができ、更に、製造工程も簡略化でき、小ロット生産の場合でもロス率が少なく効率よく製造できるものであり、充填される内容物など用途面に関しては特に制限はない。
(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の自立袋の底面の積層フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。 本発明の自立袋を製袋する際の前後の壁面の積層フィルムと、底面の積層フィルムとの配置状態を説明する斜視図である。 本発明の自立袋の第1の実施例の構成を示す正面図である。 本発明の自立袋の第2の実施例の構成を示す正面図である。 本発明の自立袋の第3の実施例の構成を示す正面図である。
符号の説明
1、1′ 壁面の積層フィルム
2、2a 、2b 底面の積層フィルム
3 底面フィルム折り返し部
4a 、4b 底面フィルム切り欠き部
5 ガセット部
6 底部シール部
7a 、7b 側部シール部
8 上部シール部
9 切取り線
10a 、10b ノッチ
11 チャックテープ
12 ハーフカット線
13 注出口部シール部
14 注出口部
E エンボス部
21 ポリアミド層
22 線状低密度ポリエチレン層
23 ガスバリヤー層
100、200、300 自立袋

Claims (3)

  1. 袋の底部が、前後の壁面の積層フィルムの下部の間に底面の積層フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、該ガセット部が内側の中央部が低くその両側が袋の側部に向かって徐々に高くなる船底形のシールパターンでヒートシールして形成される自立袋において、該底面の積層フィルムが、少なくともポリアミド層とシーラント層としての線状低密度ポリエチレン層とを含む共押し出し成形による積層フィルムで形成されていることを特徴とする自立袋。
  2. 前記底面の積層フィルムのポリアミド層の厚みが15〜35μmで、線状低密度ポリエチレン層の厚みが80〜130μmであることを特徴とする請求項1記載の自立袋。
  3. 前記自立袋の上部のコーナー部にヒートシールパターンにより狭い幅の注出口部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の自立袋。
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