JP2007021068A - 皮膚貼着用粘着テープもしくはシート - Google Patents

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浩太郎 下林
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Abstract

【課題】 水中においても、貼付部位の屈曲等による皮膚の伸縮に追従できる柔軟性と固定性を有すると共に、重ね貼りをすることができる皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを提供する。
【解決手段】 皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、縦および横の少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性基材に、粘着層を有する皮膚貼着用粘着テープもしくはシートであって、縦および横の少なくとも1方向において引張強度が10N/19mm以上、180N/19mm以下であり、伸びが40%以上、1,300%以下であり、50%モジュラスが1.0N/19mm以上、15.0N/19mm以下であり、応力緩和率が40%以下であり、かつ、耐水伸縮自背面接着率が90%以上である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートに関し、例えば、医療、衛生分野、スポーツ分野等において用いられる皮膚貼着用粘着テープもしくはシートに関する。
医療分野、スポーツ分野等において、皮膚貼着用粘着テープは、救急絆創膏やプラスター、粘着包帯、テーピング用テープ等に用いられている。例えば、テーピング用テープは、関節部や筋肉等の施部を固定して、支持、補強、圧迫することにより、痛みの軽減、怪我の予防、治療の促進等の効果を発揮する。テーピングは、薬物治療、手術などの治療方法と比べて、比較的安価に、しかも手軽に痛みを軽減することができる方法であり、また、スポーツ時の痛みの軽減、怪我の予防および応急処置にも有効な方法である。
ところで近年においては、交通手段が整備され便利に利用できるようになったため運動不足が指摘されるようになってきた。また、食生活の欧米化に伴い、野菜中心の生活から肉類中心の生活へ移行して栄養過多となり肥満が問題となってきた。更にまた、著しい経済成長に伴い就業可能時間帯が24時間になり深夜まで仕事に従事している人間が増えた。このため、飲食店、コンビニエンスストア等が24時間稼動するようになって、深夜の飲食が容易になり、肥満の原因も更に増大した。
このような運動不足や肥満を解消するために、エアロビクス、エアロバイク、筋力アップ等の運動が盛んに行われるようになってきた。これらは比較的時間と場所の制約が少ないので簡易に利用できるスポーツであるが、空気中での運動であるため重力による負担が大きく、筋肉や関節等への負担が大きい。そのため最近は重力の負担が少ない水中での運動が注目されており、例えば、プールでの水中ウォーキングや水中エアロビクスが盛んに行われるようになってきた。水中での運動は、浮力による重力の軽減のみならず、水の抵抗によって短時間で効果のある運動が効率的に行えるという利点がある。また、水泳は昔から行われている日本人に馴染みのあるスポーツであり、しかも、オリンピック等の世界大会において日本人の活躍が著しい今日、水泳等の水中でのスポーツは今後ますます盛んになると予想される。
このような事情から、水中で使用可能な皮膚貼着用粘着テープ、特に、筋肉や関節等を支持固定することができるテーピング用テープ等が要求されるようになってきた。通常の運動に適用可能なテーピング用テープとしては様々な種類の皮膚貼着用粘着テープが知られるようになってきたが、水中での使用には不十分なものであった。すなわち、水中で使用される皮膚貼着用粘着テープには、まず従来のテーピング用テープ等が有する特性、例えば、皮膚の伸縮、関節の屈曲に伴う皮膚への追従性、適度な伸び等、適度な応力保持性(キックバック性)、皮膚に物理的刺激を与えたり、カブレを生じさせないような低皮膚刺激性を有し、違和感や不快感を与えないような皮膚貼着用粘着テープであることが要求される。特に、腕や膝の内側等の刺激を感じやすい部位にも適用されることが多い皮膚貼着用粘着テープにおいては、なおさらである。しかもさらに、水中で皮膚から剥離したり、特に、水泳や競泳等の激しい運動中でも皮膚貼着用粘着テープが剥がれるおそれがなく、かつ、皮膚貼着用粘着テープのテーピング効果を発揮させるためには、水中においても十分な接着力を保持することが要求される。また、水中においても関節、筋肉等の伸縮に十分追従できる機能、適度な応力保持性等が必要となる。例えば従来品の中には基材内への水分の浸入を防ぐために基材の背面に撥水処理を施した粘着テープはあるが、この粘着テープは自背面接着力が弱くなり重ね貼りが十分に行えないものであった。
特開平8−66418号公報 特開2002−35196号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、水中においても、貼付部位の屈曲などによる皮膚の伸縮に追従できる柔軟性と固定性を有すると共に、重ね貼りすることができる皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、実験、検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、縦および横の少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性基材の上に、粘着層を有する皮膚貼着用粘着テープもしくはシートであって、縦および横の少なくとも1方向において引張強度が10N/19mm以上、180N/19mm以下であり、伸びが40%以上、1,300%以下であり、50%モジュラスが1.0N/19mm以上、15.0N/19mm以下であり、応力緩和率が40%以下であり、かつ、耐水伸縮自背面接着率が90%以上であることを特徴とする。
ここで、前記伸縮性基材は、1分間に通過する水量が、直径25mmの円形面積当たり10g以下であることができる。
また、前記皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、耐水接着力が1.0N/19mm以上であり、耐水自背面接着力が0.1N/19mm以上であることができる。
また、前記伸縮性基材は、該伸縮性基材の少なくとも一方の表面の水に対する接触角が35°以上、160°以下であることができる。
本発明によれば、水中においても、貼付部位の屈曲などによる皮膚の伸縮に追従できる柔軟性と固定性を有すると共に、重ね貼りをすることができる皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを実現することができる。
発明を実施するための形態
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、縦および/または横に伸縮性を有する基材に、医療貼付用粘着層を有する。但し、この皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、縦および/または横の引張強度が10N/19mm以上、180/19mm以下であり、伸びが40%以上、1,300%以下であり、50%モジュラスが1.0N/19mm以上、15.0N/19mm以下である。また、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの応力緩和率が40%以下であり、かつ、耐水伸縮自背面接着率が90%以上であることが必要である。本発明において、応力緩和率とは、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを50%伸張させて30分間保持した後の応力の減少率をいい、耐水伸縮自背面接着率が90%以上とは、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを自背面接着した状態で水中に30分間置いた後、水中にて30%伸張を3回繰り返した後の粘着シートの自背面接着率が90%以上であることをいう。
関節等の屈曲及び皮膚の伸縮に追従できる柔軟性と固定性を付与するためには、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの少なくとも一方向の引張強度が10N/19mm以上、180N/19mm以下であることが必要である。皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの引張強度が10N/19mm未満では、伸張時の追従性は良好であるが、収縮時の追従性が十分でない。一方、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの引張強度が180N/19mmを超えると、屈曲部の追従性及び皮膚の伸縮に伴う追従性、特に、伸張時の追従が困難になり、柔軟性に問題がある。また、繰り返しの伸張動作により、伸張時の抵抗が大きくなり皮膚刺激が発生しやすくなる。
皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの伸びが40%未満では、屈曲部の追従性が不十分であり、特に伸張時の追従が困難になる。一方、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの伸びが1,300%を越えると、伸縮時の追従性は十分であるが、固定性が不十分になる。
皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの応力緩和率が40%を超えると、伸張時の応力が低くなり、屈曲部及び皮膚の伸縮部への追従が困難になり、適度な固定性を実現することができなくなる。
また、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの50%モジュラスが1.0N/19mm未満では、関節の屈曲に対して十分な制御ができず、テーピング機能を発現することができない。一方、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの50%モジュラスが15.0N/19mmを超えると、関節の屈曲に対する制御は十分に行えるが、繰り返しの屈曲動作により抵抗が大きくなり、粘着テープもしくはシートが剥離するか、あるいは粘着テープもしくはシートが剥離しない場合では皮膚刺激が発生する。
皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの耐水伸縮自背面接着率が90%未満では、重ね貼りした状態で水中又は雨中にて使用されると、屈曲部での伸縮に皮膚貼着用粘着テープもしくはシートが追従しきれず、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートの端末から剥離が生じ、最終的には皮膚貼着用粘着テープもしくはシート全体が剥がれることになる。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、水中での皮膚への接着力の指標となる耐水接着力が1.0N/19mm以上であることが好ましい。耐水接着力が1.0N/19mm以上であれば、皮膚貼着した後、水中でも十分な皮膚接着性を示すことができる。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、自背面接着した後、水中で測定したときの接着力、すなわち基材への粘着力(耐水自背面接着力)が0.1N/19mm以上であることが好ましい。耐水自背面接着力が0.1N/19mm以上であれば、重ね貼りした部分が水中でも十分な接着性を発現することができる。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートに用いられる基材は粘着層を支持するものであり、適度な伸張度が要求される。基材が適度な伸張度を有することにより、関節等の屈曲部及び皮膚の伸縮に追従できる柔軟性と固定性とを実現することができ、また、重ね貼りを可能にし、皮膚刺激の低減を実現することができる。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートに用いられる基材は、防水性に優れていることが好ましく、防水性の判断基準としては、直径25mmの円形面積当たりの基材を1分間に通過する水の量(防水量)が10g以下であることが好ましい。基材の所定面積当たりの水の通過量が10g以下であれば、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを貼着した状態で水中で運動を行っても、あるいは雨にあたったり、入浴しても、基材に水が浸入して違和感を覚えることがない。
本発明に用いられる基材としては、一般的な医療用及び衛生材料用に要求される追従性と固定性とを有する弾性及び伸縮性を有する材料である。皮膚貼着用粘着テープもしくはシートに形成された際に本発明の上記特性を発揮することができるものであれば、原材料の種類等特に限定されることなく使用することができるが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び、ナイロン等を単独で、あるいは2種類以上をブレンドしたものを主成分としてなるフィルム、あるいは、上記材料にポリスチレンユニットからなるトリブロック共重合体を添加したものを主成分とするものからなるフィルム等が好ましく用いられる。本発明においては、基材は単層構成でも2層以上の積層体構成でもよく、積層体の場合には各層を構成する材料は同一でも異なっていてもよい。また、上記いずれかのフィルムに織布等をラミネートしたものでもよく、例えば、ポリウレタンフィルムと織布とをラミネートした積層体等が挙げられる。本発明においては、特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体に、スチレン含有量が10重量%以上30重量%以下のポリスチレンユニットを含むポリスチレンユニットとビニル−ポリイソプレンユニットからなるトリブロック共重合体を添加したもの、ポリエステル系又はポリエーテル系のポリウレタンからなるフィルム等が好ましく使用される。
本発明において、基材は、その少なくとも一方の表面の水に対する接触角が35°以上160°以下であることが好ましい。少なくとも一方の表面の水に対する接触角が35°以上であれば、重ね貼りして水中で使用しても、自背面である基材と粘着剤層との界面に水が容易に浸入することはない。また、水に対する接触角が160°以下であれば、基材と粘着剤層との投錨性が悪くなることがなく、投錨破壊が発生することはなく、被着体に糊残りが生じることがない。
なお、本発明において接触角の測定は、公知の方法でシリンジ等の円筒状の管から所定量の蒸留水を、測定する基材表面に応力がかからないようにゆっくりと載せて、その水と基材との成す角度を測定する。本発明においては、基材表面の水に対する接触角が35°以上、160°以下であるもの、又は、接触角が35°以上、160°以下に調節したものを基材として使用することが好ましい。基材の素材自体が有する接触角が上記範囲内であれば調節せずそのまま使用することができるが、そうでない場合には、基材表面の水に対する接触角を上記範囲内となるように調節して使用することが好ましい。接触角を調節する方法としては、基材を製膜する際に、サイズ剤又は撥水剤を配合する方法、基材に背面処理剤、サイズ剤又は撥水剤を塗布するか、あるいはこれに基材を含浸させる方法、基材に天然樹脂又は合成樹脂を塗工するか、基材と天然樹脂又は合成樹脂からなる層をラミネート処理する方法等が挙げられる。サイズ剤としては、ロジン系、アクリル系等のサイズ剤を使用することができ、撥水剤としては、フッ素系、シリコーン系等の撥水剤を使用することができる。また、天然樹脂や合成樹脂としては、天然ゴム、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、SBR、NBR、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられ、また、塩化ビニル、エチレン、酢酸ビニル等からなるコポリマー、ポリエチレンやポリプロピレン等のエマルジョン等を使用することができる。
本発明に用いられる基材の厚みは、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートが適用される部位、基材の特性等に応じて適宜決定されることが好ましいが、皮膚への追従性を考慮すると、0.05mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1mm以上、0.95mm以下である。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、基材の一方の面に医療貼付用粘着層等の粘着層を有する。粘着層を形成するために使用される粘着剤としては、皮膚に接着することができて、耐水自背面接着力が0.1N/19mm以上であれば、ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エステル系粘着剤、アクリル系接着剤等、特に限定されることなく使用することができる。皮膚接着性、皮膚低刺激性、及び、耐水自背面接着力を同時に満足する粘着剤の設計はアクリル系粘着剤を用いると比較的容易に行えるので、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
アクリル系粘着剤を構成するアクリル系重合体としてはアクリル酸エステルを用いることが好ましい。アクリル酸エステルとしては、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、イソオクチル基等の如き脂肪族基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられる。また、凝集性及び接着性を向上させるために、必要に応じてカルボキシル基を有するビニルエステルとして、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル等、又は、メチル基を有するアクリル酸エステルを共重合させてもよい。メチル基を有するアクリル酸エステルは、アクリル酸エステルと同様であるが、一般的に、メチル基、エチル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられる。
本発明においては、必要に応じて、さらに側鎖に架橋点となる官能基、例えば、水酸基、アミノ基、エポキシ基等を有するもの、および、ジビニルアクリレート、トリメチルプロパノールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のように1分子中に2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能不飽和モノマー等を、共重合モノマーとして併用することもできる。
本発明に用いられるアクリル系重合体は、さらに開始剤を含んでいてもよい。開始剤としては、特に制限はないが、例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)に代表されるアゾ系化合物等の熱分解によりラジカルを発生させるか、紫外線の照射等によってラジカルを発生させることができる一般的な開始剤等を用いることができる。
アクリル系重合体を形成するための重合方法については、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、溶媒または水の存在下で、熱分解による開始剤を用いてラジカルを発生させるか、紫外線照射によりラジカルを発生させる開始剤を用いてラジカルを発生させることにより重合を行うことができる。また、必要に応じて、一分子中2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能不飽和モノマーの替わりに架橋剤を用いてもよい。用いられる架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、金属イオン系、アミン系、シラノール系、過酸化物系等の架橋剤が挙げられる。本発明においては、架橋剤等による化学的手法、電子線照射等による物理的手法等の一般的な手法を用いて重合を行ってもよい。
粘着層は、ゲル分が25%以上、80%以下であることが好ましい。粘着層のゲル分が25%以上であれば、糊残りが発生することがない。また、粘着層のゲル分が80%以下であれば、得られる皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは十分な接着性が得られ、皮膚の伸縮及び屈曲に対して十分に追従することができ、かつ十分な固定性が得られる。なお、本発明において「ゲル分」とは「不溶解分」のことであり、不溶解分については特開2002−65841号公報に示されているが、有機溶剤に溶解しないという意味である。ここで「不溶解分」とは、乾燥したサンプルをトルエン中に常温で7日間浸漬し、平均孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン膜(日東電工(株)製のNTF膜)にて不溶解分(残渣)を濾別、乾燥して浸漬前の乾燥サンプルの重量との比率(%)で算出した値である。
本発明において、必要に応じて、粘着剤には本発明の効果を阻害しない範囲内で、粘着付与剤、軟化剤、液状成分等を添加して粘着特性を調整することができる。
本発明においては、上記粘着剤を用いて粘着層が形成される。粘着層は、基材全面に設けられていてもよいし、部分的に設けられていてもよい。粘着層が部分的に設けられている場合には、ドット状、条状に設けられていることができる。皮膚が蒸れると皮膚刺激が発生しやすくなるので、通気路として機能する空間を有することが好ましい。条状の形状としては、通気路として機能する空間が確保されていれば特に限定されることはなく、例えば、直線状、波状等が挙げられ、またその他の形状でもよい。一般的には条間空間の断面積の経時的変化が少ない波状が好ましい。本発明においては粘着層の形状は、粘着層の特性や形成された粘着テープもしくはシートの使用部位等によって適宜決定されることが好ましい。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを構成する粘着層の厚みは、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートが適用される部位、粘着剤の特性等に応じて適宜決定されることが好ましいが、例えば、20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは25〜90μmである。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内で穿孔が施されていたり、基材表面にエンボス加工が施されていてもよい。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、粘着層の表面の汚染を防ぐために、使用時まで粘着層の表面を剥離ライナーにて被覆させておくことが好ましい。この剥離ライナーは、一般的に皮膚へ貼付する粘着テープもしくはシート等に用いられるものを使用することができる。具体的には、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙等の表面に、シリコーン等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものや、上質紙にレジンをアンカーコートしたもの又はポリエチレンをラミネートしたもの等の表面にシリコーン等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものを使用することができる。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、医療用粘着テープもしくはシートや衛生材料として、また、整体等における体形補強や補正等に使用される粘着テープもしくはシート、あるいはスポーツのテーピング用テープ等として好適である。本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、特に水中での使用が要求される場合に優れた効果を発揮し、水中で繰り返し関節等の屈曲や皮膚の伸縮が行われても皮膚に追従し、柔軟性及び固定感を有し、かつ、剥がれることがない。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
(実施例1)
2−エチルヘキシルアクリレート96重量部とアクリル酸4重量部とからなる混合物を、不活性ガス雰囲気下で酢酸エチルによって共重合し、アクリル系重合体を得た。得られたアクリル系重合体100重量部に対し、三官能性イソシアネート0.22重量部を添加して粘着剤を作製した。上質紙にポリエチレンをラミネートし、このポリエチレンの面にシリコーン処理を施した剥離ライナーのシリコーン処理面に、得られた粘着剤を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、乾燥させて粘着層を形成した。この粘着層の上に、基材として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名:ウルトラセン5A53A)75重量部と、スチレン含有量が20重量%のポリスチレン/ビニル−ポリイソプレントリブロック共重合体(クラレ(株)製、商品名:ハイブラー7125)25重量部とからなる樹脂を用いてなるシートをのせて貼り合わせ、皮膚貼着用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼着用粘着シートについて、下記の測定および評価を行った。これらの結果を表1〜5に示す。
(実施例2)
実施例1において、粘着層(乾燥後)の厚みを40μmに変更し、また、基材をポリエーテル系ウレタンのシート(50μm厚)に変更した以外は実施例1と同様にして、皮膚貼着用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼着用粘着シートについて、下記の測定および評価を行った。これらの結果を表1〜5に示す。
(比較例1)
実施例1において、基材として、市販されている救急絆創膏を構成する基材と同様の軟質ポリ塩化ビニルフィルム(80μm厚)を用いた以外は実施例1と同様にして、皮膚貼着用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼着用粘着シートについて、下記の測定および評価を行った。これらの結果を表1〜5に示す。
(比較例2)
実施例1において、2−エチルヘキシルアクリレート95重量部とアクリル酸4重量部とメタアクリル酸1重量部とからなる混合物を用いてアクリル系重合体を作製した以外は実施例1と同様にして粘着剤を作製した。この粘着剤を、シリコーン処理が施された剥離ライナー上に、乾燥後の厚みが85μmとなるように塗布し、また、基材の種類を強撚布(500μm厚)に変更した以外は実施例1と同様にして、皮膚貼着用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼着用粘着シートについて、下記の測定および評価を行った。これらの結果を表1〜5に示す。
(比較例3)
一般的なスポーツ用テープとして市販されているニトリートCBテープ(日東電工(株)製)を準備した。このテープについて、実施例1と同様にして、下記の測定および評価を行った。これらの結果を表1〜5に示す。
上記各実施例および各比較例にて得られた皮膚貼着用粘着シートに関し、以下のようにして、測定および評価を行った。
《測定方法及び評価方法》
(1)引張強度および伸び
幅19mm×長さ約150mmの試料片を取り、100mmの長さ地点に標線を入れた。この試料片を引張速度300mm/分で引張り、試料片が破断したときの引張応力(単位:N/19mm幅)を測定し、引張強度とした。
また、試料片が破断したときの標線の長さを測定し、もとの長さ(100mm)で除した値を百分率(%)で示したものを伸びとした。
(2)50%モジュラス
幅19mm×長さ約150mmの試料片を取り、100mmの長さ地点に標線を入れた。この試料片を引張速度300mm/分の速さで引っ張り、試料片を50%引っ張った時点で、その時の応力を測定した。これが50%モジュラス(単位:N/19mm幅)である。
(3)応力緩和率(50%伸張を30分間保持した後の応力の減少率)
幅19mm×長さ約150mmの試料片を取り、100mmの長さ地点に標線を入れた。この試料片を引張速度300mm/分の速さで引っ張り、試料片を50%引っ張った時点で直に引っ張り動作を停止し、その時の応力(B)を測定する。試料片を50%引っ張った状態で30分間保持した後の応力(A)を測定し、応力Aおよび応力Bを下記式に導入して応力緩和率を求めた。

応力緩和率(%)={(B−A)/B}×100
(4)耐水接着力
幅19mm×長さ約150mmの試料片を切り出す。この試料片を、ベークライト板に貼り付け、2kgのゴムロールを1往復させることにより加圧貼着した。これを水中に静置して30分間保持した後、水から出し、引張速度が300mm/分で試料片を引き剥がし、この剥離力を測定した。
(5)耐水自背面接着力
幅19mm×長さ約150mmの試料片(A)とこの試料片より大きい試料片(B)を切り出す。日本工業規格JIS Z0237に準拠して、予めベークライト板に試料片(B)を貼着し、その背面に試料片(A)を貼り付けて、2kgのゴムロールを1往復させることにより加圧貼着した。これを水中に静置して30分間保持した後、水から出し、引張速度が300mm/分で試料片を引き剥がし、この剥離力を測定した。
(6)耐水伸縮自背面接着率
皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを2枚適当な大きさに切断して試験片とする。但し、一方の試験片は幅15mm×長さ100mmの大きさに切り出し、他方の試験片はこれよりもやや大きめに切り出す。やや大きめの試験片の基材面に小さい方の試験片の粘着層を重ねて、2kgのゴムロールを1往復させることにより加圧貼着して自背面接着サンプルを作製した。この自背面接着サンプルを水中に静置して30分間保持した後、水中にて、引張速度が300mm/分で引っ張り、30%伸張した時点で直に引っ張り動作を停止する。この引っ張り動作を3回繰り返した後、自背面接着サンプルの剥離した部分の面積を測定し、接着面積(15×100mm)で除し、この値を百分率で示した。
(7)水の接触角
円筒状の管から1μlの蒸留水を、基材に応力がかからないようにゆっくりと載せる。この水と基材との成す角度を測定した。
(8)防水性
まず、試験用試料片として、皮膚貼着用粘着テープもしくはシートから直径約40mmの円形の試料片を切り出した。内径25mmの円筒形容器の一方の口に試料片を密着させた。次いで、円筒形容器の他方の口から100mLの蒸留水をゆっくり入れて、1分間に試料片を通過した蒸留水の重量(g)を測定した。
(9)固定性の評価
年齢が30代以上のボランティア20人の膝に1周するように皮膚貼着用粘着テープもしくはシートを貼付して、その固定感について、「非常に快適」、「問題なし」、「不快に感じる」、「非常に不快」の4段階で評価してもらった。各評価段階に該当する人数を表2に示す。なお、4段階評価のうち、「非常に快適」または「問題なし」と評価した場合を有効と判定し、この人数の合計から有効率を求め、表2に併せて示した。
(10)皮膚接着性についての評価
年齢が30代以上のボランティア20人の膝に1周するように皮膚貼着用粘着シートを貼付して、2時間保持した。2時間経過後の皮膚接着性について、「完全に接着している」、「周辺部のみ剥がれた」、「周辺部から中程まで剥がれた」、「剥がれた」の4段階で評価してもらった。各評価段階に該当する人数を表3に示す。なお、4段階評価のうち、「完全に接着している」または「周辺部のみ剥がれた」と評価した場合を有効と判定し、この人数の合計から有効率を求め、表3に併せて示した。
(11)耐水皮膚接着性の評価
年齢が30代以上のボランティア20人の膝に1周するように皮膚貼着用粘着シートを貼付した。その後、水中で10分間歩行を行った。水中歩行後の皮膚接着性について、「完全に接着している」、「周辺部のみ剥がれた」、「周辺部から中程まで剥がれた」、「剥がれた」の4段階で評価してもらった。各評価段階に該当する人数を表4に示す。なお、4段階評価のうち、「完全に接着している」または「周辺部のみ剥がれた」と評価した場合を有効と判定し、この人数の合計から有効率を求め、表4に併せて示した。
(12)皮膚刺激性についての評価
年齢が30代以上のボランティア20人の膝に一周するように皮膚貼着用粘着シートを貼付して、その皮膚刺激性について、「貼る前と同じ状態」、「赤みが1〜2時間で消えた」、「赤みが1日で消えた」、「かぶれた」の4段階で評価してもらった。各評価段階に該当する人数を表5に示す。なお、4段階評価のうち、「貼る前と同じ状態」または「赤みが1〜2時間で消えた」と評価した場合を有効と判定し、この人数の合計から有効率を求め、表5に併せて示した。
Figure 2007021068
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表1〜5から明らかなように、本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、固定感、皮膚接着性、耐水皮膚接着性、皮膚刺激性の全てにおいて有効率が95%以上であることが分かった。
一方、応力緩和率が40%より大きく、耐水自背面接着率が90%未満である比較例1、50%モジュラスが15N/19mmより大きく、耐水伸縮時背面接着率が90%未満である比較例2、及び、伸びが40%未満であり、耐水自背面接着率が90%未満である比較例3では、固定感、皮膚接着性、耐水皮膚接着性、皮膚刺激性の評価のうちの1以上において望ましくない結果が得られ、有効率は55%以下であった。
すなわち、本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、水中においても貼付部位の屈曲などによる皮膚の伸縮に追従できる柔軟性と固定性を有すると共に、重ね貼りすることができ、重ね貼りした部分は水中においても剥がれにくいものである。
本発明の皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、医療分野、スポーツ分野等において用いられる粘着テープもしくはシートとして好適であり、特に、水中でのスポーツ分野において好適である。また、必要に応じて、適当な大きさ、形状等に切断して、例えば、救急絆創膏やプラスター、粘着包帯、テーピング用テープ等として用いることができる。

Claims (4)

  1. 縦および横の少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性基材の上に、粘着層を有する皮膚貼着用粘着シートであって、縦および横の少なくとも1方向において引張強度が10N/19mm以上、180N/19mm以下であり、伸びが40%以上、1,300%以下であり、50%モジュラスが1.0N/19mm以上、15.0N/19mm以下であり、応力緩和率が40%以下であり、かつ、耐水伸縮自背面接着率が90%以上であることを特徴とする皮膚貼着用粘着テープもしくはシート。
  2. 前記伸縮性基材は、1分間に通過する水量が、直径25mmの円形面積当たり10g以下であることを特徴とする請求項1記載の皮膚貼着用粘着テープもしくはシート。
  3. 前記皮膚貼着用粘着テープもしくはシートは、耐水接着力が1.0N/19mm以上であり、耐水自背面接着力が0.1N/19mm以上であることを特徴とする請求項1または2記載の皮膚貼着用粘着テープもしくはシート。
  4. 前記伸縮性基材は、該伸縮性基材の少なくとも一方の表面の水に対する接触角が35°以上、160°以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の皮膚貼着用粘着テープもしくはシート。
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