JP2007007442A - 人体又は動物の管状器官治療用の伸張性エンドプロスシーシス及びその装着用具 - Google Patents

Abstract

【課題】筋肉組織が網状物の空隙に入り込み、外傷を起こすだけでなく、血流における乱流を起こすことのない伸張性のあるエンドプロスシーシスを提供する。
【解決手段】展延性を有するプラスチック又はエラストマーのフィルムに覆われた伸張性の管状網状物によって構成されたエンドプロスシーシス（endoprosthesis）である。更に、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を装着するための用具は、チューリップ状のハウジング４を有するとともに、その末端部に設けられた管状ガイド部材８を有するものである。切断用ワイヤによってハウジング４を長手方向に開放し、幾つかの花びら状のものにすることができる。本発明におけるエンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、動脈瘤の管腔内治療及び医療上の拡張処理に適したものである。
【選択図】図６

Description

本発明は、ほぼ円筒状の伸張性網状物を含む、人体又は動物の管状器官治療用の伸張性エンドプロスシーシス（endoprosthesis）に関する。当該エンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、特に、動脈瘤の管腔内治療や医療上の拡張処理に適用されている。

この種のエンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、通常、気球によって伸張できる単一な金属網状物で形成されている。或いは、自動伸張ができるように形成されたものである。管腔の中を通って拡張処理を行った後、エンドプロスジーシス（endoprosthesis）は、探針を使うことによって管腔内に挿入され、そして伸張され又は取り外される。

しかし、上記のような従来のエンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、完全に満足のものとは言えない。即ち、筋肉組織が網状物の空隙に入り込み、外傷を起こさせるだけではなくて、血流における乱流をも起こさせている。

更に、従来のエンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、動脈瘤の治療に使用できず、そして液密性ではないために、一般に、脈管などの管状器官の二つの健康段節を連結するときに適用できない。

本発明は、上記の欠陥を解消できる伸張性エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を提供することにある。この目的を達成するために、本願発明は、下記の特徴を具備している。

即ち、上記網状物は、展延性及び生体適合性を有するプラスチック又はエラストマーのフィルムに覆われ、該フィルムが実質的にエンドプロスシーシス（endoprosthesis）の全体にわたって、網状物の空隙を充填すると共に、網状物の表面全体をカバーしていることを特徴としている。

本発明によれば、上記フィルムが、ポリウレタン等のポリマー、若しくは天然ゴム又は合成ゴムで形成されている。

エンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、自動伸張型のものであって、伸張状態で端部が張り出すように形成されている。

上記網状物は、ステンレススチール又は、予め放射線不透過性になっているテトラフルオロエチレン等の比較的剛性のあるプラスチックで形成されている。

本発明におけるもう一つの目的は、上述したような自動伸張可能なエンドプロスシーシス（endoprosthesis）を装着するための用具を提供することにある。

この用具は、下記の部材を備えている。

即ち、収縮状態のエンドプロスシーシス（endoprosthesis）を収容するチューリップ状部材を末端部に備えたガイドチューブと、上記チューリップ状部材を長手方向に開放する手段と、を備えている。

一つの実施態様によれば、上記手段は、上記チューリップ状部材を幾つかの花びら状部材にカットするワイヤを含み、当該ワイヤは、操作用ハンドルに接続されている。

他の実施態様によれば、上記手段は、チューリップ状部材における長手方向の開口部を有し、チューリップ状部材の各側縁部は一連のガセットを備え、両隣接側縁のガセットは互いに係合されていて、これらを通過して操作用ハンドルに接続されているコードによって保持されている。

以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。

図１及び図２に示したエンドプロスシーシス（endoprosthesis）１は、フィルム３に覆われた管状の網状物２によって形成されている。

網状物２は、生体適合性のステンレススチール製である。網状物２は、管状物を軸方向に覆うようにしてヤーンを織り又は編むことによって作られ、或いは他の適切な方法で作ることができる。網状物２は、可塑的に変形でき、その軸と平行に延びた菱形を形成する空隙がある図１に示した小径の第１安定形状、及び円周方向に延びた菱形を形成する空隙がある図２に示した大径の第２安定形状をとる。

網状物２は、その空隙を塞ぐ展延性及び液密性の材料でできたフィルムに完全に埋められている。この材料の展延性は、網状物の空隙の変形に拘らず、収縮状態から伸張状態に至る網状物２の変形にフィルム３が破断や離脱なく追従できるために十分である。好適な材料としては、天然ゴム，合成ゴム等のような生体適合性のあるエラストマーや、ポリウレタンのような生体適合性のあるポリマーが掲げられる。

フィルム３による網状物２のコーティングは、金属材を脱脂してプライマリー接着剤で処理した後、複合押出し又は浸漬法によって行われる。

伸張状態（図２を参照）で、液密性の管状セグメントは、管腔の中を通っての拡張処理を行った後、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）又は「伸展器」として、使われることが可能である。筋肉組織や血液が、円滑なエラストマー表面又はポリマー表面と接触しているので、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、筋肉組織に外傷を起こさせることがなく、血流の中の乱流も起こさせない。

漏洩性がないことから、このエンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を動脈瘤につなぐようにし、各端部を、動脈瘤と隣接している健康動脈環節の内壁に放射状に当てることにより、動脈瘤の管腔内治療に使用できる。

図３乃至図７に示した他の実施例においては、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）１Ａの網状物２は、自動伸張可能で、バネ性を有するステンレススチールを使って従来の方法で作られたものである。

装着に際し、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）１Ａは、半径方向の圧縮により図１に示した非安定な形状になり、図３乃至図５に示した用具５のチューリップ状部材４に挿入される。

チューリップ状部材４の末端部は、開放状態にあり、互いに１２０度の角度を形成する三つの切欠き６を有する。その基端部は、ガイドチューブ８が延びる内側肩部７を形成する。各切欠き６の平面において、チューブ８の肉厚部を通って形成された通路９は、肩部７近傍の一端及びチューブ８の基端部の他端で、放射状に配列されたオリフィス１０，１１を経て外方に現れている。

また、図示のように、チューブ８の肉厚部を通って流体注入用の長手通路１２及び１３を設けることが可能である。通路１２及び１３は、当該チューブの基端部から始まり、肩部７付近にあるチューブ８の内部空間に現れる。

前述した各平面それぞれにおいて、可擁性ワイヤ１４は、切欠き６を通過する。該ワイヤ１４の内側ストランド１５は、チューブ状部材４の内部に沿って延び、肩部７に設けられているオリフィス１６を経て、オリフィス１０を通過し、通路９に沿って延び、オリフィス１１を経て、操作ハンドル１７（図３）につながっている。ワイヤ１４の外側ストランド１８は、チューリップ状部材の外壁に沿って延び、ストランド１５と同じ通路９，１１を経て、ハンドル１７につながっている。従って、このハンドル１７は６本のワイヤとつながっていて、３本の内側ストランド１５はエンドプロスシーシス（endoprosthesis）１Ａの伸張傾向によって、チューリップ状部材の内壁に対し押しつけられたフラットな状態にある。

エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を使用する前、まず、管腔の中を通っての拡張処理を行い、用具５を糸で一つのガイド部材につなぎ、次いで皮膚を通過して挿入し、希望する部位に応じて管腔内へ導入する。

その後、施術者は、ハンドル１７を引く。これによって３本のストランド１５が引っ張られ、各内側ストランド１５が立体を作り出すそれぞれの母線に沿ってチューリップ状部材をカットする。チューリップ状部材は、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）から徐々に離れる。図６に示すように、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、自動的に伸張してくる。チューリップ状部材が完全に開いたとき、チューブ８を引くことによって当該用具が取り外される。

伸張状態（図７）で判るように、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）の両端部側は、自動的に外方へ張り出した状態が見られ、それによって二つの有利な効果が奏される：その一は、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）及び動脈からの漏洩がないことを確保できる；その二は、網状物２を形成するヤーンの端部１９は、フィルム３を超えて若干延び、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を動脈に固定する多数の固着点を形成する。このようにして、エンドプロスシーシス（endoprosthesis）が、位置的に安定化する。

網状物２を形成するために他の材料を使用しても良い。例えば、自己伸張可能なエンドプロスシーシス（endoprosthesis）を製造するため、予め放射線不透過処理したバネ特性を持ち比較的剛性のあるポリテトラフルオロエチレン（PTFE）等のポリマーのヤーンが使用される。

用具５の他の例を、概略的に図８に示す。この用具５は、チューリップ状部材を長手方向に開放する手段において、前述した用具と相違する。

チューリップ状部材は、その高さ全体にわたって、所定の線に沿って長手方向に切り開かれている。スロットの各側縁は、一連の突出している円筒状ガセット２０を有している。チューリップ状部材が閉じられた円筒状態にあり、自己伸張可能なエンドプロスシーシス（endoprosthesis）１Ａを収縮状態に保持しているとき、隣接する両側のガセット２０が互いに係合し、全てのガセットを通り基端部で操作ハンドル１７に接続されているコード２１によって全体が保持される。

エンドプロスシーシス（endoprosthesis）は、ハンドル１７を引くことにより簡単に開放される。

図１は、収縮状態にある本発明のエンドプロスシーシス（endoprosthesis）を概略的に示すものである。 図２は、伸張状態にある上記エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を概略的に示すものである。 図３は、本発明に従った自動伸張型エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を装着するための用具を大きく拡大したサイズで示す斜視図である。 図４は、図３に示した用具の長手方向断面図である。 図５は、図４のV-V線の断面を示すものである。 図６は、図３乃至図５に示した用具の使用形態を示すものである。 図７は、対応するエンドプロスシーシス（endoprosthesis）の伸張状態を示すものである。 図８は、本発明に従った自動伸張型エンドプロスシーシス（endoprosthesis）を装着するための他の用具を、大きく拡大したサイズで概略的に示す斜視図である。

Claims (8)

1. 自動伸張可能なエンドプロスシーシス（endoprosthesis）を装着するために用いられる用具であって、
   末端部を有するガイドチューブと、
   自動伸張可能なエンドプロスシーシス（endoprosthesis）を収容可能にし、前記ガイドチューブの末端部に設けられ、チューリップ形状を有する円筒状収容部と、
   自動伸張可能なエンドプロスシーシス（endoprosthesis）に影響することなく前記収納部を長手方向に開ける収納部開放手段と、
   を備えたことを特徴とする用具。
2. 請求項１記載の用具であって、前記収納部開放手段は、操作用ハンドルと、前記収納部を複数の部分にカットするために操作用ハンドルに接続されているワイヤとを有することを特徴とする用具。
3. 請求項１記載の用具であって、前記収納部は、収納部内の側縁を形成する長手方向の開口部を有し、更に各側縁に沿って配置された一連のガセットを有し、各側縁に沿っている一連のガセットは、互いに接近して装着されており、
   前記収納部開放手段は、操作用ハンドルとコードとを有し、このコードは、各側縁を互いに接近させて保持するように各側縁に沿っている一連のガセットを通過しており、前記コードは作動用ハンドルに接続されていることを特徴とする用具。
4. 請求項２または３記載の用具であって、前記収納部は、チューリップ状の収納部分を有することを特徴とする用具。
5. 請求項４記載の用具であって、前記ガイドチューブは、流体注入用の少なくとも一つの長手方向の溝部を有することを特徴とする用具。
6. 自動伸張可能なエンドプロスシーシス（endoprosthesis）を装着する用具であって、
   収縮状態のエンドプロスシーシス（endoprosthesis）（１Ａ）を収容するチューリップ状部材（４）が末端部に設けられたガイドチューブ（８）と、
   上記チューリップ状部材を長手方向に開放する手段（１４，１７；２０，２１，１７）と、
   を備えている用具。
7. 前記手段（１４，１７）は、操作ハンドル（１７）に接続され、チューリップ状部材（４）を複数の花びら状部材にカットする複数のワイヤを備えていることを特徴とする請求項６記載の用具。
8. 前記手段（２０，２１，１７）は、個々の縁部に一連のガセット（２０）があるチューリップ状部材の長手方向開口部をもち、二つの側縁にあるガセット（２０）が互いに係合され、それらを通過して操作ハンドル（１７）に接合されているコード（２１）により保持されることを特徴とする請求項６記載の用具。

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