JP2006341857A - レトルト対応ボトルの口部形状 - Google Patents
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Abstract
【課題】EVOHをバリヤ層として含むボトルをレトルト殺菌した際に、ボトルの口部の端面からEVOHが溶け出して内容物に混ざることがないように改良されたレトルト対応ボトルの口部形状を提供する。
【解決手段】エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOHと云う)をバリヤ層3として含むボトル1をレトルト殺菌するようにしたレトルト対応ボトルにおいて、前記ボトル1の口部2の形状を該口部の端面2aが外側又は上側を向くものとして、該口部に設けたシール5又はキャップ6によって前記口部2の端面2aが容器1の内部から遮断されるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOHと云う)をバリヤ層3として含むボトル1をレトルト殺菌するようにしたレトルト対応ボトルにおいて、前記ボトル1の口部2の形状を該口部の端面2aが外側又は上側を向くものとして、該口部に設けたシール5又はキャップ6によって前記口部2の端面2aが容器1の内部から遮断されるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガスバリヤ性樹脂としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOH)を有する食品用ボトルに係り、レトルト殺菌を行った際にEVOHが容器内部へ溶け出さないようにしたレトルト対応ボトルの口部形状に関する。
従来、食品充填用の容器として、内容食品に対する酸素による劣化を防止するために、酸素ガスバリヤ性樹脂をバリヤ層として有する多層構造のブローボトルが使用されている。そのようなボトルの材料として、例えば特許文献1には、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下「EVOH」と云う)等をガスバリヤ層とし、このバリヤ層の両側に接着性樹脂層を介してポリプロピレン(PP)が積層接着された多層積層体を形成してなる構造が開示されている。
また、特許文献2には、合成樹脂製高圧容器の容器壁を多層構造として、内壁層と外壁層との間に設けたガスバリヤ層にEVOHを使用した構造が開示されている。
特開昭61−233537号公報
特開2003−222296号公報
ところで、ブローボトル成形の場合、ボトルの口部端面にEVOH層が露出する構造となるが、この口部の端面を被覆する作業には面倒な手間を要し、コスト高となるため、口部の端面にEVOH層が露出した状態で殺菌処理にかけるのが現状である。
ところが、このようなボトルの殺菌にあたって、120℃前後の飽和蒸気圧(1.2kg/cm2 程度)に達した蒸気を耐圧容器内に充填するレトルト殺菌によって所定時間加熱処理を行った場合、口部の端面からEVOHが溶け出すという現象が確認されている。
このEVOHは人体に無害であり、上記のレトルト殺菌で溶け出す量は微量であるが、図8に示すように、ボトル20の口部21の端面22がボトル20の内側を向く形状である場合、この口部21にキャップ24をしても、口部21の端面22はボトル20の内側に向けて露出しているため、レトルト殺菌によって口部21の端面22から溶け出したEVOH23が、直に、ボトル20の内容物に混入するという不都合が生じる。
また、図9に示すように、ボトル20の内側を向く口部21の形状であって該口部21の端面22が上側を向く場合、この口部21にキャップ24を嵌めると、口部21の端面22がキャップ24で閉塞されるが、レトルト殺菌によってバリヤ層のEVOH23が溶け出すと、口部21の端面22とキャップ24との接合面からボトル20の内部に進入して内容物に混入することとなる。
なお、このEVOHが溶け出すという現象は、100℃以下のボイル殺菌では見られない現象であり、上記のレトルト殺菌の際の温度条件と圧力条件によって発生する現象であると考えられる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、EVOHをバリヤ層として含むボトルをレトルト殺菌した際に、ボトルの口部の端面からEVOHが溶け出しても、内容物に混入することがないように改良されたレトルト対応ボトルの口部形状を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載したレトルト対応ボトルの口部形状は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOHと云う)をバリヤ層として含むボトルをレトルト殺菌するようにしたレトルト対応ボトルにおいて、前記ボトルの口部の形状を該口部の端面が外側又は上側を向くものとし、該口部に付設したシール又はキャップによって前記口部の端面が容器の内部から遮断されるようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載したレトルト対応ボトルの口部形状は、請求項1において、前記ボトルの口部が外側を向くフランジを有する形状であって、該フランジの上面にシールを接着し、又はキャップを接合するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載したレトルト対応ボトルの口部形状は、請求項1又は2において、前記ボトルの口部が外側を向くフランジを有する形状であって、該フランジの上面にシールを接着するようにしたことを特徴とする。
さらに、本発明の請求項4に記載したレトルト対応ボトルの口部形状は、請求項1又は2において、前記ボトルの口部が上側を向く形状であって、該口部の厚さにおいて前記EVOHによるバリヤ層を外側寄りに形成したことを特徴とする。
以上説明したように、本発明のレトルト対応ボトルの口部形状は、EVOHをバリヤ層として含むボトルをレトルト殺菌するようにしたレトルト対応ボトルにおいて、ボトルの口部の形状を該口部の端面が外側又は上側を向くものとし、該口部に付設したシール又はキャップによって口部の端面が容器の内部から遮断されるようにしてあるため、該ボトルをレトルト殺菌した際に、ボトルの口部の端面からEVOHが溶け出しても、ボトルの内容物に混入するおそれがない。
また、本発明によるボトルの積層構造として、内層と外層にポリプロピレンを使用し、その中間層としてEVOHを介在したことよって、ガスバリヤ性の良好なボトルとして、内容食品に対する酸素による劣化を防止することが可能となる。
また、本発明によるレトルト対応ボトルの口部形状として、ボトルの口部が外側を向くフランジを有する場合、このフランジの上面にシールを接着すると、外側を向く口部の端面とボトルの内部とはシールによって遮断されているため、レトルト殺菌によりEVOHが口部の端面から溶け出してもボトルの内部に混入することがない。
さらに、ボトルの口部が上側を向く形状であって、該口部の厚さにおいてEVOHによるバリヤ層を外側寄りに形成したことにより、シール又はキャップによって口部の端面を閉塞することができ、レトルト殺菌によりEVOHが溶け出してシール又はキャップと口部の端面との間を進入した場合でも、EVOHによるバリヤ層を外側寄りに形成してあるため、溶け出したEVOHがボトルの内部に混入し難いものとなる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1(a)及び図2〜図7に示すものは、本発明によるボトルの口部の縦断面形状を示すものである。また、図1(b)にはボトルの口部の端部付近の断面を拡大して示してあり、図1(c)にはボトルの全体断面図を例示してある。
これらの図に示すように、本発明によるレトルト対応ボトル1の口部形状は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOHと云う)をバリヤ層3として含むボトル1をレトルト殺菌するようにしたレトルト対応ボトル1において、ボトル1の口部2の形状を該口部2の端面2aが外側又は上側を向くものとし、該口部2に付設したシール5又はキャップ6によって口部2の端面2aがボトル1の内部から遮断されるようにしたものである。
上記の構成のボトル1は内層7と外層8にポリプロピレン(PP)を使用し、その中間層としてバリヤ層3を形成するためにEVOHを介在した積層構造とされている。このバリヤ層3のEVOHは、図1(b)に示すように、バリヤ層3の両側に接着材層4、4を介して内層7と外層8のポリプロピレン(PP)と接着するようにしている。即ち、ボトル1は、PP/接着材層/EVOH/接着材層/PPによる多層構造を有する。なお、接着材層4としては、接着性ポリオレフィンを使用するとよい。
また、本発明によるレトルト対応ボトル1の口部形状は、図1(a)、図2〜図4に示すように、ボトル1の口部2にシール5を接着するものと、図5〜図7に示すように、ボトル1の口部2にキャップ6を嵌合するものとがある。
以下、本発明によるボトル1の口部形状について、各種形態を、実施例1〜7として説明する。なお、実施例1〜7において、ボトル1の積層構造は、上記と同様の構造によって構成されるものである。
図1(a)に示すボトル1は、ボトル1の口部2の端面2aが外側を向くフランジ9を有する形状であって、該フランジ9の上面にシール5を接着するようにしたものである。このような形状の口部2において、口部2の端面2aにおけるバリヤ層3はその端部が外方へ露呈した状態にあるが、ボトル1の内部とは、フランジ9の上面に接着されたシール5によって遮断されているため、レトルト殺菌によりバリヤ層3のEVOHが溶け出してもボトル1の内部に混入することがない。
図2に示すボトル1は、ボトル1の口部2が外側を向くと共に、口部2の端面2aが上側を向くように折曲されたフランジ9の形状を有することによって、バリヤ層3の端部が上方へ露呈した状態にされている。このようなボトル1の口部2にシール5を付設すると、シール5がフランジ9の上面に接着されると共に、該シール5が上側を向く口部2の端面2aに接着され、バリヤ層3をその端部で閉塞した状態にする。
従って、この状態で、レトルト殺菌を行った場合、バリヤ層3の端部はシール5で閉塞された状態にあるため、バリヤ層3のEVOHは外方へ溶け出し難く、仮にEVOHが溶け出して、シール5とフランジ9との接着面を進入した場合でも、該ボトル1の内部とはフランジ9の上面に接着されたシール5によって遮断されているため、溶け出したEVOHがボトル1の内部に混入することがない。
図3に示すボトル1は、その口部2が内側へ湾曲すると共に、その上部にてフランジ9が外側を向いた湾曲形状10を有し、該フランジ9の上面にシール5を接着するようにしたものである。このような形状の口部2においては、上記のような口部2の湾曲形状10によって、フランジ9が上下方向にバネ弾性を有することとなり、このフランジ9の高さに誤差がある場合でも、フランジ9のバネ効果によって、上方から押圧したシール5を隙間なく密着することが可能となる。
また、このボトル1の口部2の端面2aにおいてバリヤ層3はその端部が外方へ露呈した状態にあるが、ボトル1の内部とは、フランジ9の上面に接着されたシール5によって遮断されているため、レトルト殺菌によりバリヤ層3のEVOHが溶け出してもボトル1の内部に混入することがない。
図4に示すボトル1は、その口部2が内側へ湾曲されると共に、その上部におけるフランジ9が外側へ湾曲した湾曲形状10を有し、さらにフランジ9の端面2aが上側へ湾曲した形状を有するため、該口部2の端面2aにてバリヤ層3の端部が上側へ向けられた形状にされている。このような形状の口部2においては、上記のような湾曲形状10によって、フランジ9が上下方向にバネ弾性を有することとなり、このフランジ9の高さに誤差がある場合でも、フランジ9のバネ効果によって、上方から押圧したシール5を隙間なく密着することが可能となる。
従って、この状態で、レトルト殺菌を行った場合、バリヤ層3の端部はシール5によって閉塞された状態にあるため、EVOHは外方へ溶け出し難い。仮に、レトルト殺菌によってバリヤ層3のEVOHが溶け出してシール5とフランジ9との接着面を進入した場合でも、バリヤ層3の端部とボトル1の内部とはフランジ9の上面に接着されたシール5によって遮断されているため、溶け出したEVOHがボトル1の内部に混入することがない。
図5に示すボトル1は、ボトル1の外周の上部近傍に螺旋状の外周突部11が形成され、この外周突部11にキャップ6の内周に形成された内周突部12を螺合することによって、ボトル1の口部2にキャップ6を締め付けて密閉する構造とされている。
このボトル1の口部2は内側へ湾曲されると共に、その上部におけるフランジ9が外側へ湾曲した湾曲形状10を有するため、口部2の端面2aにてバリヤ層3の端部が外方へ露呈した状態にされている。このような形状の口部2においては、上記のような口部2の湾曲形状10によってフランジ9がバネ弾性を有するため、この口部2に対するキャップ6の締め付けによってフランジ9の上面とキャップ6との密着性が向上してシール性能を高めることができる。
この状態で、レトルト殺菌を行った場合、口部2の端面2aとボトル1の内部とは、フランジ9とキャップ6との密着によって遮断されているため、レトルト殺菌によりバリヤ層3のEVOHが溶け出してもボトル1の内部に混入することがない。
なお、この実施例及び以下の実施例において、ボトル1の口部2に締め付けるキャップ6の積層構造もまた、PPによる内層7と外層8との間に接着材層を介してバリヤ層3をEVOHによって形成した構造とした場合、このキャップ6の端面にてバリヤ層3が露出した状態となる。しかしながら、レトルト殺菌の際には、キャップ6によってボトル1の内部とは遮断されているため、バリヤ層3から溶け出したEVOHがボトル1の内部に混入するおそれは全くない。
図6に示すボトル1は、図5のボトル1と同様に、ボトル1の外周の上部近傍に螺旋状の外周突部11が形成され、この外周突部11にキャップ6の内周に形成された内周突部12を螺合することによって、ボトル1の口部2にキャップ6を締め付けて閉塞し得る構造とされている。
このボトル1の口部2は内側へ湾曲されると共に、その上部におけるフランジ9が外側へ湾曲された湾曲形状10を有し、さらにフランジ9の端面2aにてバリヤ層3の端部が上側へ向けられた形状に形成されている。
このような形状の口部2においては、上記のような口部2の湾曲形状10によってフランジ9がバネ弾性を有し、このバネ弾性を有する口部2に対するキャップ6の締め付けによってフランジ9の上面とキャップ6との密着性が向上してシール性能を高めることができる。
この状態で、レトルト殺菌を行った場合、バリヤ層3の端部はキャップ6で閉塞された状態にあるため、EVOHは外方へ溶け出し難いが、仮に、バリヤ層3のEVOHが溶け出してキャップ6とフランジ9との接合面を進入した場合でも、口部2の端面2aとボトル1の内部とはフランジ9の上面に密着されたキャップ6によって遮断されているため、溶け出したEVOHがボトル1の内部に混入することがない。
図7に示すボトル1は、該ボトル1の口部2が上側を向く形状であって、該口部2の厚さにおいてEVOHによるバリヤ層3を外側寄りに形成したものである。また、ボトル1の外周の上部近傍には螺旋状の外周突部11が形成され、この外周突部11にキャップ6の内周に形成された内周突部12を螺合することによって、ボトル1の口部2にキャップ6を締め付けて閉塞し得る構造とされている。
従って、このボトル1にレトルト殺菌を行った場合、バリヤ層3の端部はキャップ6で閉塞された状態にあるため、EVOHは外方へ溶け出し難いが、仮に、バリヤ層3のEVOHが溶け出した場合でも、EVOHによるバリヤ層3を口部2の厚さの外側寄りに形成してあるため、溶け出したEVOHがボトル1の内部に混入し難いものとされている。
本発明のレトルト対応ボトルの口部形状は、EVOHをバリヤ層として含むボトルをレトルト殺菌した際に、ボトルの口部の端面からEVOHが溶け出しても、内容物に混ざることがないレトルト対応ボトルの口部形状として利用することが可能である。
1 ボトル
2 口部
2a 端面
3 バリヤ層
4 接着材層
5 シール
6 キャップ
7 内層
8 外層
9 フランジ
10 湾曲形状
11 外周突部
12 内周突部
2 口部
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8 外層
9 フランジ
10 湾曲形状
11 外周突部
12 内周突部
Claims (4)
- エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOHと云う)をバリヤ層として含むボトルをレトルト殺菌するようにしたレトルト対応ボトルにおいて、前記ボトルの口部の形状を該口部の端面が外側又は上側を向くものとし、該口部に付設したシール又はキャップによって前記口部の端面が容器の内部から遮断されるようにしたことを特徴とするレトルト対応ボトルの口部形状。
- 前記ボトルは内層と外層にポリプロピレンを使用し、その中間層としてEVOHを介在するようにしたことを特徴とする請求項1記載のレトルト対応ボトルの口部形状。
- 前記ボトルの口部が外側を向くフランジを有する形状であって、該フランジの上面にシールを接着し、又はキャップを接合するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のレトルト対応ボトルの口部形状。
- 前記ボトルの口部が上側を向く形状であって、該口部の厚さにおいて前記EVOHによるバリヤ層を外側寄りに形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のレトルト対応ボトルの口部形状。
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