JP2006322097A - 高級板紙 - Google Patents
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Abstract
2層以上を抄きあわせ、少なくとも表裏層に上質系古紙を配合した高級板紙において、剛度の向上した板紙を提供することにある。
【解決手段】
古紙の配合された多層抄高級板紙において、表層と裏層パルプの少なくとも10質量%以上を、カヤーニ長さ加重平均繊維長1.50mm以上の上質古紙パルプにて構成することにより、剛度の高い高級板紙を得ることが可能となった。特に上質古紙パルプの灰分が10質量%以下の古紙パルプ、とりわけ、ミルクカートンに代表される飲料用カートン古紙より得られる再生パルプの使用が好ましい。
【選択図】
なし
Description
高級板紙はアイボリとカードに分けられるが、アイボリは原料の殆どが晒化学パルプを使った板紙の最高級品で、カードは表裏両面に晒化学パルプを使用し、中層に機械パルプを使用したものである。
特殊板紙は、高級板紙と同様の原紙に蛍光染料を使用しない塗料(カラー)を片面塗工した紙で、大部分が高級紙器(化粧品、薬品、食品などの箱)に使用される。
一般マニラボールは、中・裏層に、メカニカルパルプ(機械パルプ)または古紙パルプを使用しており、一般食料品の箱などに使用されている。
しかしながら近年、古紙処理技術の向上、及び古紙の有効利用の観点から、高級板紙の分野においても、上質パルプ100%の表層・裏層のパルプとして晒化学パルプの他に再生パルプを使用することが行われるようになってきた。勿論、上質系古紙パルプとしては、上白・罫白・カード・模造・色上・ケント・白アート、等の上質系(機械パルプ等の配合されていない)古紙を除塵したもの、または、除塵・脱墨されたものが通常使用される。
その理由の一つとして、フレッシュパルプが一度紙になり、それがまた再生される工程の中で、機械による叩解、乾燥、抄紙、離解の各工程(履歴)を繰り返す間にダメージを受け、元々のフレッシュな晒化学パルプと比較すると、繊維として強度が落ちたものとなっている。
また強度低下の二つ目の理由として、古紙の中には、非塗工紙(原紙の上にピグメント塗工されていない紙)の他、塗工紙(原紙の上にピグメント塗工された紙)も多く含まれるため、塗料の成分である顔料成分、また原紙の中に内添されていた填料成分、等の灰分が含まれているため、本来紙の強度を出すパルプ繊維間の水素結合が阻害される為に、紙として抄かれた場合、強度が出にくくなってしまう。
また、特許文献2には、高灰分の印刷用紙から灰分を除去することにより高品質の古紙パルプを得る方法について開示されている。灰分を系外に排出することは、紙を製造するにあたって強度を上げるための有効な手段であるが、排出された灰分の処分方法が新たな問題として挙がる。特に昨今、最終処分場の逼迫の問題等、環境保護の観点からパルプスラッジとともに、排出量を抑える動きが活発となっている。
(2)前記記載の上質系古紙パルプの灰分が10質量%以下であることを特徴とする(1)項に記載の高級板紙。
(3)前記記載の上質系古紙パルプが飲料用カートン古紙より得られた再生パルプであることを特徴とする(1)項または(2)項記載の高級板紙。
さらに、理由の第二は、飲料用カートンは通常原紙に填料が配合されておらず、また、ノーコートであり、その古紙パルプの灰分が5%以下であることが多く、優れている点である。
以上の通り、飲料用カートン古紙を再生することにより得られたパルプは、繊維長、灰分の二つの面で優れ、本発明で好ましく使用される。
但し、飲料用カートンはプラスチックフィルムで被覆されているのが通常であり、古紙の再生工程ではプラスチックフィルムとパルプ繊維をうまく分離・回収する技術が必要である。
即ち、飲料用カートン古紙を必要に応じて小さく破砕した後、水により浸透させながらミキシングを行い、水を古紙になじませると共に、プラスチックフィルムを剥がれやすくする。その後、パルパースクリーン等のごく粗いスクリーンにより、プラスチックフィルムを大ざっぱに分離した後、パルプ繊維の多く含まれたスラリーをさらにクリーナー、粗選スクリーン・精選スクリーン等により、細かく破砕されたプラスチックフィルム、その他異物を十分除いた後、必要に応じて洗浄・漂白されて飲料用カートン古紙パルプが完成される。
プラスチックフィルムが分離されにくい古紙の場合には、例えば、特開2002−38388には、ラミネート紙を酸性の溶液或いは水で加熱煮沸して一定時間放置する加熱煮沸工程、ミキサーで粉砕する工程、比重選別により分離する工程等、によりラミネート紙からパルプ繊維をうまく取り出す方法等、開示されている。しかしながら、本発明では、飲料用カートン古紙のパルプ再生方法を特に限定するものでなく、何れの方法でも飲料用カートンから得られた上質系古紙パルプは好ましく使用される。
一方、カードの場合は、上記表層・裏層に使用されるパルプがそのまま使用される他、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒化学パルプ、あるいはグラウンドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、古紙パルプが使用できる。古紙パルプとして、上記表裏層に使用される古紙の他、新聞、雑誌、切付、中質反古、茶模造、段ボール、台紙・地券、ボール、等より調製されるパルプが使用できる。但し、通常は表層・裏層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が使用される。例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等の脱墨古紙が使用されるのが一般的であり、これらの古紙は離解、除塵処理後、そのまま使用されることもあるが、必要に応じて、脱墨、漂白、インク分散、洗浄、等の各工程を経た後、古紙パルプとして使用できる。但し、本発明はこれにより限定されるものではない。
接着剤としては、水系接着剤が好ましく、例えば澱粉(リン酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉等の各種変性澱粉を含む)、ラテックス類(スチレン−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス等)、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白等の蛋白類、各種ポリビニルアルコール、各種ポリアクリルアミド、メラミン樹脂等の合成樹脂系接着剤、CMC等各種セルロース誘導体、等が挙げられ、これら接着剤から1種或いは適宜2種以上選択して使用される。
JAPAN TAPPI No.52に規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験方法による長さ加重平均繊維長を求めた。ここではカヤーニ社の繊維長分布測定機(FS−200)を用いた結果を「カヤーニ長さ加重平均繊維長」と称し、以下「繊維長」と呼称するものについても特に断らない限りこれを示す。
(灰分の測定)
ISO 2144−1987に規定された方法により紙の灰分を測定した。尚、古紙には炭酸カルシウム含む可能性有るため燃焼温度は575±25℃に統一した。
古紙パルプ1:色上古紙脱墨パルプ 繊維長0.80mm、灰分18.3%
(色上古紙を離解し、ラボのフローテーターにより脱墨したもの)
古紙パルプ2:晒クラフト古紙パルプ 繊維長2.40mm、灰分 1.4%
(印刷されていない晒クラフト紙をラボで離解したもの)
古紙パルプ3:白アート古紙パルプ 繊維長0.85mm、灰分25.2%
(印刷されていないアート古紙をラボで離解したもの)
古紙パルプ4:上質微塗工古紙パルプ 繊維長0.75mm、灰分15.8%
(印刷されていない上質微塗工紙をラボで離解したもの)
古紙パルプ5:ミルクカートン古紙パルプ 繊維長2.00mm、灰分 4.2%
(ミルクカートンをラボで離解し、フィルムを除去したパルプ)
古紙パルプ6:新聞古紙脱墨パルプ 繊維長0.45mm、灰分 4.1%
(新聞古紙を離解し、ラボのフローテーターにより脱墨したもの)
古紙パルプ2を50部、古紙パルプ3を50部取り、ラボのミキサーにて攪拌し、繊維長1.70mm、灰分12.8%の古紙パルプ(a)を得た。続いて古紙パルプ1を85部、古紙パルプ(a)を15部取り、ラボのミキサーで十分攪拌した後、これを手抄機にて乾燥後坪量50g/m2となるようにシートを2枚作製してウェットの状態で保管しておいた。
一方、古紙パルプ4を用いて、乾燥後坪量が100g/m2となるようにシートを1枚作製し、これを、先に手抄した2枚のシートの間に挟み込むように3層重ね合わせて、プレス、乾燥処理を行い絶乾坪量200g/m2の板紙原紙を得た。
この原紙の表面及び裏面に、顔料配合として、ウルトラホワイト90(クレー、エンゲルハード社製)が60部、ブリリアント15(軽質炭酸カルシウム、白石工業社製)が30部、クロノスKA−15(二酸化チタン、チタン工業社製)が10部、接着剤として、顔料100部当たり、ニールガムA−85(尿素リン酸エステル化澱粉、アベベ社製)が1部、B−1525(カルボキシル化スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、旭化成社製)が16部である顔料塗被組成物をメイヤーバーで塗工量が各面15g/m2になるように塗工し乾燥させ、絶乾坪量230g/m2の高級板紙を作製した。
得られたシートを調湿後、剛度の測定(JIS P 8125による)に供した。結果を表1に示す。
古紙パルプ2を75部、古紙パルプ3を25部取り、ラボのミキサーにて攪拌し、繊維長2.10mm、灰分7.2%の古紙パルプ(b)を得た。続いて古紙パルプ(a)15部の代わりに古紙パルプ(b)を15部使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/m2の原紙を作製し、塗料を表面と裏面に塗布して絶乾坪量230g/m2の高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
古紙パルプ(a)15部の代わりに古紙パルプ5を15部使用すること以外は実施例1と同様にして坪量200g/m2原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/m2の高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
古紙パルプ(a)を15部配合せずに、古紙パルプ1を100部のパルプを使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/m2の原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/m2の高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
古紙パルプ2を20部、古紙パルプ4を80部取り、ラボのミキサーにて攪拌して、繊維長1.30mm、灰分13.1%の古紙パルプ(c)を得た。続いて古紙パルプ(a)15部の代わりに古紙パルプ(c)を15部使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/m2の原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/m2の高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す
古紙パルプ(a)15部、古紙パルプ1を85部使用する代わりに、古紙パルプ(a)を5部、古紙パルプ1を95部使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/m2の原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/m2の高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
また、実施例3を見ると明らかな通り、飲料用カートン(ミルクカートン)古紙パルプを使用すると、繊維長と灰分のバランスが良く、好ましい。
また、実施例1と比較例3を見ると明らかな通り、上質系古紙パルプの配合率が10%に満たないと効果が小さく、好ましくない。
Claims (3)
- 古紙の配合された多層抄の高級板紙において、表層と裏層の構成パルプの少なくとも10質量%以上が、カヤーニ長さ加重平均繊維長が1.50mm以上の上質系古紙パルプであることを特徴とする高級板紙。
- 上記記載の上質系古紙パルプの灰分が10%以下であることを特徴とする請求項1記載の高級板紙。
- 上記記載の上質系古紙パルプが飲料用カートン古紙より得られた再生パルプであることを特徴とする請求項1または2に記載の高級板紙。
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