JP2006322097A - 高級板紙 - Google Patents

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Takayuki Yoshida
孝之 吉田
Hiroshi Suenaga
浩 末永
Keishi Niwaki
恵嗣 庭木
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Abstract

【課題】
2層以上を抄きあわせ、少なくとも表裏層に上質系古紙を配合した高級板紙において、剛度の向上した板紙を提供することにある。
【解決手段】
古紙の配合された多層抄高級板紙において、表層と裏層パルプの少なくとも10質量%以上を、カヤーニ長さ加重平均繊維長1.50mm以上の上質古紙パルプにて構成することにより、剛度の高い高級板紙を得ることが可能となった。特に上質古紙パルプの灰分が10質量%以下の古紙パルプ、とりわけ、ミルクカートンに代表される飲料用カートン古紙より得られる再生パルプの使用が好ましい。
【選択図】
なし

Description

本発明は多層抄された白板紙に関するものであり、さらに詳しくは古紙の配合された高級板紙に関するものである。
白板紙の用途は、一般に、紙器用(箱、ブリスターパック等)、紙製品用(見本帳台紙、アルバム等)、出版用(雑誌、本等)、商業印刷用(カタログ、パンフレット等)に使用されている。白板紙を大きく分類すると白ボールとマニラボールとに分けられる。白ボールは表層が晒パルプ、中層、裏層は古紙から抄合わせているものであり、マニラボールに比べると一般に厚手で、通常は何らかの印刷を施して折り畳み箱(食料品、洗剤、繊維製品、雑貨用)等に用いられる。
マニラボールは一般に、メニュー、カード類、美術本、絵本などの厚手印刷物及び打ち抜きの小型印刷箱(医薬品、化粧品、石鹸、タバコ、キャラメル、冷凍食品などの個包装用並びに液体食品用)等に利用されている。マニラボールは、通常、その層構成及び品質によって高級板紙、特殊板紙、一般マニラボールの3つにさらに分類される。
高級板紙はアイボリとカードに分けられるが、アイボリは原料の殆どが晒化学パルプを使った板紙の最高級品で、カードは表裏両面に晒化学パルプを使用し、中層に機械パルプを使用したものである。
特殊板紙は、高級板紙と同様の原紙に蛍光染料を使用しない塗料(カラー)を片面塗工した紙で、大部分が高級紙器(化粧品、薬品、食品などの箱)に使用される。
一般マニラボールは、中・裏層に、メカニカルパルプ(機械パルプ)または古紙パルプを使用しており、一般食料品の箱などに使用されている。
マニラボール、白ボール、いずれにも塗工品(コート)と未塗工(ノーコート)が包含される。
上記の通り、高級板紙は白板紙の中でも最高級品であり、美粧性の観点から、従来少なくとも表裏は共にフレッシュの晒化学パルプが使用されてきた。
しかしながら近年、古紙処理技術の向上、及び古紙の有効利用の観点から、高級板紙の分野においても、上質パルプ100%の表層・裏層のパルプとして晒化学パルプの他に再生パルプを使用することが行われるようになってきた。勿論、上質系古紙パルプとしては、上白・罫白・カード・模造・色上・ケント・白アート、等の上質系(機械パルプ等の配合されていない)古紙を除塵したもの、または、除塵・脱墨されたものが通常使用される。
しかしながら、フレッシュな晒化学パルプと比較すると、上記上質系古紙パルプを使用すると、板紙としての各種強度が低下してしまう。
その理由の一つとして、フレッシュパルプが一度紙になり、それがまた再生される工程の中で、機械による叩解、乾燥、抄紙、離解の各工程(履歴)を繰り返す間にダメージを受け、元々のフレッシュな晒化学パルプと比較すると、繊維として強度が落ちたものとなっている。
また強度低下の二つ目の理由として、古紙の中には、非塗工紙(原紙の上にピグメント塗工されていない紙)の他、塗工紙(原紙の上にピグメント塗工された紙)も多く含まれるため、塗料の成分である顔料成分、また原紙の中に内添されていた填料成分、等の灰分が含まれているため、本来紙の強度を出すパルプ繊維間の水素結合が阻害される為に、紙として抄かれた場合、強度が出にくくなってしまう。
これらの課題を解決するために、紙の強度アップ対策として、様々な紙力増強剤が内添されることが通常なされている。例えば、特許文献1には、イオン性ポリアクリルアミド成分を内添、或いは、カルボキシルメチルセルロースを内添する方法が開示されている。これらの技術により、古紙の多配合された高級板紙の一般強度、たとえば引張強度や引裂強度については、ある程度の改善は認められるものの、板紙の重要品質の一つである剛度については、上記の技術によってのみではなかなか改善できなかったのが現状である。
また、特許文献2には、高灰分の印刷用紙から灰分を除去することにより高品質の古紙パルプを得る方法について開示されている。灰分を系外に排出することは、紙を製造するにあたって強度を上げるための有効な手段であるが、排出された灰分の処分方法が新たな問題として挙がる。特に昨今、最終処分場の逼迫の問題等、環境保護の観点からパルプスラッジとともに、排出量を抑える動きが活発となっている。
特開2002−194694号公報 特開2002−138380号公報
本発明は、2層以上を抄きあわせ、少なくとも表裏層に上質系古紙を配合した高級板紙において、剛度の向上した板紙を提供する。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、表裏層に上質系古紙の多く配合された高級板紙において剛度をアップさせる方法について鋭意検討した結果、表層と裏層とともに繊維長の長い上質系古紙パルプを意図的に配合することにより板紙全体の剛度が大きく影響されることを見出し、また更に、上記上質系古紙パルプを特定の量以上配合することにより、剛度の高い高級板紙を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)古紙の配合された多層抄高級板紙において、表層と裏層の構成パルプの少なくとも10質量%が、カヤーニ長さ加重平均繊維長1.50mm以上の上質系古紙パルプであることを特徴とする高級板紙。
(2)前記記載の上質系古紙パルプの灰分が10質量%以下であることを特徴とする(1)項に記載の高級板紙。
(3)前記記載の上質系古紙パルプが飲料用カートン古紙より得られた再生パルプであることを特徴とする(1)項または(2)項記載の高級板紙。
本発明は、2層以上を抄きあわせ、少なくとも表裏層に上質系古紙を配合した高級板紙において、剛度の向上した板紙を提供するという効を奏する。
本発明は、2層以上を抄きあわせて製造する高級板紙において、表層と裏層に、意図的にカヤーニ長さ加重平均繊維長1.50mm以上の上質系古紙パルプを少なくとも10質量%以上配合して製造されたことを特徴とする高級板紙である。
何故本発明により課題が達成できるかは以下のように推測される。即ち、通常使用される古紙パルプは、例えば上白・罫白・カード・模造・色上・ケント・白アート、等の古紙から得られたパルプであるが、機械による叩解、乾燥、抄紙、離解の各工程(履歴)を繰り返す間にダメージを受け、フレッシュな晒化学パルプと比較すると、繊維として強度が落ちたものとなっている。また、これら古紙の構成パルプを調査すると、元々晒化学パルプの内でも広葉樹晒化学パルプ(いわゆるLBKP)が殆どであり、僅かに針葉樹晒化学パルプ(いわゆるNBKP)が含まれる程度である。パルプ繊維の性状は、針葉樹パルプ繊維は一般に長く、広葉樹パルプ繊維は一般に短い為、広葉樹パルプが多く配合されている紙は強度が弱くなる傾向にある。また、これら古紙の中には、非塗工紙(原紙の上にピグメント塗工されていない紙)の他、塗工紙(原紙の上にピグメント塗工された紙)も多く含まれるため、紙の強度を出すパルプ繊維間の水素結合が阻害される為に、紙として抄かれた場合、強度が出にくくなってしまう。
上記の様な上質系古紙を表裏層に配合した場合、通常カヤーニ長さ加重平均繊維長は0.6〜1.0mm程度であるが、本発明の表層・裏層にカヤーニ長さ加重平均繊維長1.50mm以上の上質系古紙パルプを10%以上配合したものは、表層・裏層の繊維長が全体的に長くなり、表層・裏層単層での強度が向上し、高級板紙全体としての強度、特に剛度が向上する。
本発明に使用される上質系古紙パルプの灰分は10%以下であることが好ましい。フレッシュパルプにも木材繊維中に僅かながら金属成分その他が含有されているため灰分は1%前後含まれるが、古紙パルプにはさらに、上質紙抄造時に内添された填料、或いは抄造中または抄造後に塗工されたコート層に無機成分(例えば炭酸カルシウム、カオリン、タルク等)が存在している為、灰分が含有されている。この灰分は、前述の通り、再生紙抄造の際には、繊維と繊維の結合には寄与しないため、灰分含有率が高くなるほど、紙の強度は低下する傾向となる。この為、折角長さ加重平均繊維長の長いパルプを配合しても、灰分が高ければ強度補強効果は小さいものとなる。この為灰分は10%以下であることが好ましい。10%を越えた場合は灰分による強度低下の影響が大きくなり、本発明の効果が発現しづらくなる。
本発明に使用される上質系古紙パルプは、飲料用カートン古紙を再生したものが好ましく、カートンとして使用された用途がミルク用、ジュース用、酒用等にかかわらないが、古紙回収量を含め、ミルクカートン古紙を再生したものが多く使用される。その理由の第一は、ミルクカートンに代表される飲料用カートンは通常原料として針葉樹晒化学パルプ及び広葉樹晒化学パルプで構成されているが、針葉樹晒化学パルプの比率が60〜70質量%と多く含まれている為である。この為カヤーニ長さ加重平均繊維長も1.50〜2.40mmと長い。
さらに、理由の第二は、飲料用カートンは通常原紙に填料が配合されておらず、また、ノーコートであり、その古紙パルプの灰分が5%以下であることが多く、優れている点である。
以上の通り、飲料用カートン古紙を再生することにより得られたパルプは、繊維長、灰分の二つの面で優れ、本発明で好ましく使用される。
但し、飲料用カートンはプラスチックフィルムで被覆されているのが通常であり、古紙の再生工程ではプラスチックフィルムとパルプ繊維をうまく分離・回収する技術が必要である。
飲料用カートン古紙の再生の技術としては、さまざまな方法が開示されているが、ごく一般的な方法を例として挙げるならば、以下の通りである。
即ち、飲料用カートン古紙を必要に応じて小さく破砕した後、水により浸透させながらミキシングを行い、水を古紙になじませると共に、プラスチックフィルムを剥がれやすくする。その後、パルパースクリーン等のごく粗いスクリーンにより、プラスチックフィルムを大ざっぱに分離した後、パルプ繊維の多く含まれたスラリーをさらにクリーナー、粗選スクリーン・精選スクリーン等により、細かく破砕されたプラスチックフィルム、その他異物を十分除いた後、必要に応じて洗浄・漂白されて飲料用カートン古紙パルプが完成される。
プラスチックフィルムが分離されにくい古紙の場合には、例えば、特開2002−38388には、ラミネート紙を酸性の溶液或いは水で加熱煮沸して一定時間放置する加熱煮沸工程、ミキサーで粉砕する工程、比重選別により分離する工程等、によりラミネート紙からパルプ繊維をうまく取り出す方法等、開示されている。しかしながら、本発明では、飲料用カートン古紙のパルプ再生方法を特に限定するものでなく、何れの方法でも飲料用カートンから得られた上質系古紙パルプは好ましく使用される。
高級板紙を製造するにあたって、原紙は2層以上、即ち少なくとも表層と裏層の2層を抄合わせることにより抄造される。しかし、白板紙の米坪は200g/m以上の場合が多いため表層、裏層の間に中層が存在、即ち3層以上の構成が通常であり、更に好ましくは表層/表下層/中層(1層以上)/裏層の4層以上で構成される。但し、これにより原紙の層構成を限定するものではない。
本発明の、カヤーニ長さ加重平均繊維長1.50mm以上の上質系古紙パルプは、3層以上の構造の場合、少なくとも表層・裏層に添加するのが良い。その理由は、板紙の場合は外層に近い層ほど強度を上げた方が、板紙全体の強度が上がり、中層の強度は上げても板紙全体の強度への貢献度は少ないためである。これはI型鋼の理論と同じである。
高級板紙の表層及び裏層には、通常白色度の高い晒化学パルプが使用される。例えば、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化して得られる晒化学パルプ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、上質系古紙パルプ等が挙げられる。上質系古紙パルプとしては、上白・罫白・カード・模造・色上・ケント・白アート・ミルクカートン、等の古紙より調製されたパルプが挙げられるが、本発明に使用される古紙として限定するものではない。これらの古紙は離解、除塵処理後、そのまま使用されることもあるが、必要に応じて、脱墨、漂白、インク分散、洗浄、等の各工程を経た後、古紙パルプとして使用できる。
原紙には必要に応じて表下層、裏下層、中層が設置される。高級板紙はこれら表裏層以外の層の原料構成により、アイボリーとカードに分けられるが、アイボリーの場合には基本的にはこれらの層には、上記表層・裏層に使用されるパルプがそのまま使用される。
一方、カードの場合は、上記表層・裏層に使用されるパルプがそのまま使用される他、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒化学パルプ、あるいはグラウンドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、古紙パルプが使用できる。古紙パルプとして、上記表裏層に使用される古紙の他、新聞、雑誌、切付、中質反古、茶模造、段ボール、台紙・地券、ボール、等より調製されるパルプが使用できる。但し、通常は表層・裏層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が使用される。例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等の脱墨古紙が使用されるのが一般的であり、これらの古紙は離解、除塵処理後、そのまま使用されることもあるが、必要に応じて、脱墨、漂白、インク分散、洗浄、等の各工程を経た後、古紙パルプとして使用できる。但し、本発明はこれにより限定されるものではない。
上記、表層から裏層に至る各層に使用されるパルプスラリーは、特に古紙を多用している場合、必要に応じて、灰分を除去する工程を経ることも可能である。灰分を除去する設備としては、通常古紙処理で使用されるパルプ洗浄機あるいは脱水機、例えば、バルブレスフィルター、エキストラクター、傾斜型エキストラクター、スクリュープレス、ダブルワイヤープレス、等が使用できる他、脱墨工程で使用されるフローテーター、例えば本州B型フローテーター、OK式フローテーター、MT式フローテーター、等がそのまま使用できる。その他、フォールウォッシャー、その他パルプ中の微細成分・灰成分、等を除去するために専用に設けられた各種除去機をそのまま使用することができる。
上記、表層から裏層に至る各層に使用されるパルプスラリー組成物には、必要に応じて他に適宜、紙力増強剤、耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染料、歩留向上剤、填料、PH調整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を選択し配合することができる。これらは複数種併用することも出来る。
本発明の高級板紙に使用される原紙は勿論手抄により得ることも可能であるが、通常は少なくとも2つ以上のワイヤーパートを備えた多段式の抄紙機により抄造される。単一のワイヤー型式としては、円網式、長網式、傾斜式、ツインワイヤー式等があり、一般に製紙用として使用されている方式を多段に組み合わせたワイヤーパートが通常使用される。例を挙げるならば、長網抄合せ、短網抄合せ、短網円網コンビネーション、長網円網コンビネーション等がある。また、乾燥方法についても一般に製紙用として使用される方式、例えばヤンキードライヤー、多筒式ドライヤー等が使用されるが、板紙は一般に紙厚が大きいことを考慮すれば多筒式ドライヤーがより好ましい。
本発明の高級板紙は、要求される印刷適性さえ十分で有れば、ノーコートでも可能であるが、通常、印刷適性を向上させる目的で顔料塗被組成物(塗工層)が、表層、或いは裏層の上(外側)に設けられるのが一般的である。
本発明に使用される顔料塗被組成物に含有され使用される顔料としては、一般に紙・板紙への塗工または紙への内添に使用される顔料・填料が使用される。具体的に例を挙げるならば、1)チョーク・重質炭酸カルシウム・軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム類、2)炭酸マグネシウム類、3)ドロマイト等のカルシウム・マグネシウム炭酸塩類、4)カオリン・天然クレー・焼成クレー・ろう石・ベントナイト・長石・タルク(滑石)・雲母・ワラストナイト・合成珪酸アルミ・合成珪酸カルシウム等の珪酸塩、5)天然ゼオライト・合成ゼオライト等の含水アルミノ珪酸塩類、6)珪藻土・珪石粉、含水微粉珪酸(ホワイトカーボン)、無水微粉珪酸、等の珪酸類、7)合成水酸化アルミニウム等のアルミニウム水和物、8)バライト・ブランクフィンクス等の硫酸バリウム類、9)石膏・合成亜硫酸カルシウム等の硫酸カルシウム・亜硫酸カルシウム類、10)アナターゼ型二酸化チタン・ルチル型二酸化チタン等の二酸化チタン類、11)リチウムアルミニウムカーボネート、等が挙げられる。
顔料塗被組成物の顔料以外の主成分は通常、各種接着剤、表面サイズ剤、耐水化剤、等により構成される。
接着剤としては、水系接着剤が好ましく、例えば澱粉(リン酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉等の各種変性澱粉を含む)、ラテックス類(スチレン−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス等)、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白等の蛋白類、各種ポリビニルアルコール、各種ポリアクリルアミド、メラミン樹脂等の合成樹脂系接着剤、CMC等各種セルロース誘導体、等が挙げられ、これら接着剤から1種或いは適宜2種以上選択して使用される。
助剤としては通常紙・板紙の表面・裏面の塗工に使用される素材が適用でき、例えば分散剤、水酸化ナトリウム・アンモニア水等のPH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等があり、必要に応じて単独でも2種以上混合使用してもよい。
本発明の高級板紙の表面または裏面への顔料塗被組成物の塗工は、シングル塗工でもダブル以上の多段塗工でもよく、塗工設備としても種々のものが使用でき、例えばバーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ゲートロールコーター及びサイズプレス等のロールコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター等の塗工装置を設けたオンマシン或いはオフマシンコーターによって塗工することができるが、塗工装置はこれらに限定されるものではない。塗工・乾燥後の平滑化処理は通常用いられるオンマシンキャレンダーやソフトキャレンダー、グロスキャレンダーなどが使用できる。
以下に実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において、「部」とあるのは特に断らない限り「固形分質量部」を示す。
(繊維長の測定)
JAPAN TAPPI No.52に規定された光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験方法による長さ加重平均繊維長を求めた。ここではカヤーニ社の繊維長分布測定機(FS−200)を用いた結果を「カヤーニ長さ加重平均繊維長」と称し、以下「繊維長」と呼称するものについても特に断らない限りこれを示す。
(灰分の測定)
ISO 2144−1987に規定された方法により紙の灰分を測定した。尚、古紙には炭酸カルシウム含む可能性有るため燃焼温度は575±25℃に統一した。
実験に先立ち、以下の古紙パルプを準備した。
古紙パルプ1:色上古紙脱墨パルプ 繊維長0.80mm、灰分18.3%
(色上古紙を離解し、ラボのフローテーターにより脱墨したもの)
古紙パルプ2:晒クラフト古紙パルプ 繊維長2.40mm、灰分 1.4%
(印刷されていない晒クラフト紙をラボで離解したもの)
古紙パルプ3:白アート古紙パルプ 繊維長0.85mm、灰分25.2%
(印刷されていないアート古紙をラボで離解したもの)
古紙パルプ4:上質微塗工古紙パルプ 繊維長0.75mm、灰分15.8%
(印刷されていない上質微塗工紙をラボで離解したもの)
古紙パルプ5:ミルクカートン古紙パルプ 繊維長2.00mm、灰分 4.2%
(ミルクカートンをラボで離解し、フィルムを除去したパルプ)
古紙パルプ6:新聞古紙脱墨パルプ 繊維長0.45mm、灰分 4.1%
(新聞古紙を離解し、ラボのフローテーターにより脱墨したもの)
<実施例1>
古紙パルプ2を50部、古紙パルプ3を50部取り、ラボのミキサーにて攪拌し、繊維長1.70mm、灰分12.8%の古紙パルプ(a)を得た。続いて古紙パルプ1を85部、古紙パルプ(a)を15部取り、ラボのミキサーで十分攪拌した後、これを手抄機にて乾燥後坪量50g/mとなるようにシートを2枚作製してウェットの状態で保管しておいた。
一方、古紙パルプ4を用いて、乾燥後坪量が100g/mとなるようにシートを1枚作製し、これを、先に手抄した2枚のシートの間に挟み込むように3層重ね合わせて、プレス、乾燥処理を行い絶乾坪量200g/mの板紙原紙を得た。
この原紙の表面及び裏面に、顔料配合として、ウルトラホワイト90(クレー、エンゲルハード社製)が60部、ブリリアント15(軽質炭酸カルシウム、白石工業社製)が30部、クロノスKA−15(二酸化チタン、チタン工業社製)が10部、接着剤として、顔料100部当たり、ニールガムA−85(尿素リン酸エステル化澱粉、アベベ社製)が1部、B−1525(カルボキシル化スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、旭化成社製)が16部である顔料塗被組成物をメイヤーバーで塗工量が各面15g/mになるように塗工し乾燥させ、絶乾坪量230g/mの高級板紙を作製した。
得られたシートを調湿後、剛度の測定(JIS P 8125による)に供した。結果を表1に示す。
<実施例2>
古紙パルプ2を75部、古紙パルプ3を25部取り、ラボのミキサーにて攪拌し、繊維長2.10mm、灰分7.2%の古紙パルプ(b)を得た。続いて古紙パルプ(a)15部の代わりに古紙パルプ(b)を15部使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/mの原紙を作製し、塗料を表面と裏面に塗布して絶乾坪量230g/mの高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
<実施例3>
古紙パルプ(a)15部の代わりに古紙パルプ5を15部使用すること以外は実施例1と同様にして坪量200g/m原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/mの高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
<比較例1>
古紙パルプ(a)を15部配合せずに、古紙パルプ1を100部のパルプを使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/mの原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/mの高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
<比較例2>
古紙パルプ2を20部、古紙パルプ4を80部取り、ラボのミキサーにて攪拌して、繊維長1.30mm、灰分13.1%の古紙パルプ(c)を得た。続いて古紙パルプ(a)15部の代わりに古紙パルプ(c)を15部使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/mの原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/mの高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す
<比較例3>
古紙パルプ(a)15部、古紙パルプ1を85部使用する代わりに、古紙パルプ(a)を5部、古紙パルプ1を95部使用すること以外は実施例1と同様にして絶乾坪量200g/mの原紙を作製し、塗料を表裏塗布して絶乾坪量230g/mの高級板紙を作製し、得られたシートを調湿後、剛度の測定に供した。結果を表1に示す。
実施例1〜3と比較例1を見ると明らかな通り、カヤーニ長さ加重平均繊維長が1.50mm以上の上質系古紙パルプを10%以上、表裏層に配合することにより、剛度の向上した古紙多配合の高級板紙を製造することができる。
実施例2を見ると、配合される上質系古紙パルプの灰分が10%以下である為、剛度向上効果も大きく、好ましい。
また、実施例3を見ると明らかな通り、飲料用カートン(ミルクカートン)古紙パルプを使用すると、繊維長と灰分のバランスが良く、好ましい。
一方、実施例1と比較例2を見ると明らかな通り、配合される上質系古紙パルプのカヤーニ長さ加重平均繊維長が1.50mmに満たないと、配合効果が小さく、好ましくない。
また、実施例1と比較例3を見ると明らかな通り、上質系古紙パルプの配合率が10%に満たないと効果が小さく、好ましくない。
本発明は、多層抄された白板紙、特に、古紙の配合された剛度の高い高級板紙に利用できる。
Figure 2006322097

Claims (3)

  1. 古紙の配合された多層抄の高級板紙において、表層と裏層の構成パルプの少なくとも10質量%以上が、カヤーニ長さ加重平均繊維長が1.50mm以上の上質系古紙パルプであることを特徴とする高級板紙。
  2. 上記記載の上質系古紙パルプの灰分が10%以下であることを特徴とする請求項1記載の高級板紙。
  3. 上記記載の上質系古紙パルプが飲料用カートン古紙より得られた再生パルプであることを特徴とする請求項1または2に記載の高級板紙。
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