JP2006198774A - インクジェットプリンタ、インクカートリッジ、インクジェットプリンタの機能回復制御方法およびプログラム - Google Patents

インクジェットプリンタ、インクカートリッジ、インクジェットプリンタの機能回復制御方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 使用されるインクの品質に関わらず、良好な印刷結果を得ることを目的とする。
【解決手段】 着脱自在に装着されるインクカートリッジ20には、識別IDと積算消費量情報とを含むインク管理情報を記憶するための不揮発性メモリ53,65が搭載されており、当該不揮発性メモリから、インク管理情報を読み出すと共に識別IDを書き込む読み出し/書き込み手段88と、書き込んだ識別IDの履歴、並びに読み出したインク管理情報の履歴である履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段96と、履歴情報およびインク管理情報に基づいて、不揮発性メモリがリライトされたか否かを判別するリライト判別手段95と、その判別結果に基づいてインク排出処理を実行するメンテナンス制御手段84と、を備えたものである。
【選択図】 図4

Description

本発明は、インクカートリッジが着脱自在に装着されると共に、当該インクカートリッジからインク供給を受けてインクを吐出するインクジェットヘッドを具備したインクジェットプリンタ、インクカートリッジ、インクジェットプリンタの機能回復制御方法およびプログラムに関するものである。
インクジェットプリンタは、通常、プリンタ本体にインクを収容したインクカートリッジが着脱自在に装着されることによりインクが供給され、インク切れとなった場合は新規のインクカートリッジと交換されることで印刷を継続することができるようになっている。このようなインクカートリッジの交換は、プリンタメーカが推奨する純正品を用いることが好ましいが、稀にインク切れとなったインクカートリッジにインクを詰め替えて、再使用するユーザが存在する。また、近年では、インク消費量(インク吐出回数)の積算値を記憶するICチップを搭載したインクカートリッジも知られているが(例えば、特許文献1参照)、この種のインクカートリッジを再使用する場合は、リセッターやイニシャライザー等と呼ばれる電子機器を用いてICを初期化し、インク消費量の積算値を「0」にするという方法が用いられている。
特開2001−315323号公報
しかしながら、インクジェットプリンタは、純正インクを使用した場合に最も良好な印刷結果が得られるように設計されているため、プリンタメーカが保証しないインクを詰め替えて再使用すると、プリンタの性能が有効に発揮できず、印刷品質を維持できなくなるといった問題がある。更には、同一メーカであっても、インクの種類が異なる、例えば顔料系インク、染料系インクが店頭に並んでおり、染料系インクで設計された機種に、顔料系のインクが詰められたカートリッジを装着して用いられた結果、ヘッドの目詰まりの原因となる可能性もある。
本発明は、上記の問題点に鑑み、使用されるインクの品質に関わらず、可能な限り良好な印刷結果を得ることができるインクジェットプリンタ、インクカートリッジ、インクジェットプリンタの機能回復制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明のインクジェットプリンタは、着脱自在なインクカートリッジと、当該インクカートリッジからインク供給を受けてインクを吐出するインクジェットヘッドとを具備したインクジェットプリンタにおいて、インクカートリッジに搭載され、少なくとも、当該インクカートリッジを識別するための識別IDと、当該インクカートリッジが供給したインクの実質的な総消費量を示す積算消費量情報とを含むインク管理情報を記憶するための第1の記憶部と、第1の記憶部から、インク管理情報を読み出す読み出し手段と、読み出し手段により読み出されたインク管理情報に識別IDが含まれていない場合、当該識別IDを第1の記憶部に書き込む識別ID書き込み手段と、インクジェットプリンタの内部に搭載され、識別ID書き込み手段により書き込まれた識別IDの履歴、並びに読み出し手段により読み出されたインク管理情報の履歴である履歴情報を記憶する第2の記憶部と、電源ON時、および/又はインクカートリッジの装着時において、第2の記憶部に記憶している履歴情報と、読み出し手段により第1の記憶部から読み出したインク管理情報とを照合し、これら両情報に含まれる識別IDと積算消費量情報とに基づいて、第1の記憶部がリライトされたか否かを判別するリライト判別手段と、インクジェットヘッドの機能回復のために、当該インクジェットヘッドを介してインクカートリッジ内のインクを所定量排出するインク排出処理を実行するインク排出処理手段と、リライト判別手段の判別結果に基づいて、インク排出処理手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、リライト判別手段によりリライトされたと判定された場合、インク排出処理手段における実質的なインク排出量を所定量より多くするインク排出増量制御を行うことを特徴とする。
また、本発明のインクジェットプリンタの機能回復制御方法は、インクカートリッジが着脱自在に装着されると共に、当該インクカートリッジからインク供給を受けてインクを吐出するインクジェットヘッドを具備したインクジェットプリンタの機能回復制御方法であって、インクカートリッジは、少なくとも当該インクカートリッジを識別するための識別IDと、当該インクカートリッジが供給したインクの実質的な総消費量を示す積算消費量情報とを含むインク管理情報を記憶するための第1の記憶部を搭載しており、装着されているインクカートリッジの第1の記憶部から、インク管理情報を読み出すと共に、その読み出し結果の履歴である履歴情報をインクジェットプリンタの内部に搭載された第2の記憶部に記憶するステップと、読み出したインク管理情報に識別IDが含まれていない場合、当該識別IDを第1の記憶部に書き込むと共に、その書き込み結果を第2の記憶部に記憶するステップと、第2の記憶部に記憶している履歴情報と、現在装着されているインクカートリッジの第1の記憶部から読み出したインク管理情報とを照合し、これら両情報に含まれる識別IDと積算消費量情報とに基づいて、当該第1の記憶部がリライトされたか否かを判別するステップと、リライトされたか否かの判別結果に基づいてインク排出処理を実行することにより、インクジェットヘッドの機能回復を行うステップと、を備え、インク排出処理は、第1の記憶部がリライトされていないと判定した場合、所定量のインクを排出し、リライトされたと判定した場合、所定量より多くのインクを排出するように制御されることを特徴とする。
これらの構成によれば、現在装着されているインクカートリッジから読み出したインク管理情報と、過去に装着されたインクカートリッジから読み出したインク管理情報の履歴とを照合することによって、現在装着されているインクカートリッジに搭載された第1の記憶部がリライトされたか否かを判別し、その判別結果に基づいて機能回復処理(インク排出処理)を実行するため、リライトされたか否かに関わらず、良好な印刷結果を得ることができる。すなわち、リライトされたと判定した場合は、リライトされていないと判定した場合と比較してインク排出量を多くする制御を行うことにより、プリンタメーカが保証しない保証外のインクカートリッジを使用した場合でも、インクジェットヘッドの目詰まり等のトラブルを防止し、印刷品質の低下を避けることができる。また、インクジェットプリンタ側で、第1の記憶部に識別IDを書き込むため、個々のインクカートリッジを識別するための情報を予め第1の記憶部に記憶しておく必要がない。また、この構成により、インクカートリッジの出荷時においては、インク管理情報に識別IDが含まれていないため、出荷時の状態におけるインク管理情報をコピーしておき、必要に応じて出荷時のインク管理情報に書き替え得る高度なイニシャライザーが用いられた場合でも、これを書き替えることができない。したがって、このような高度なイニシャライザーが用いられた場合でも、リライトされたか否かの判定を正確に行うことができる。なお、「リライト」とは、リセッター等の電子機器を用いて、第1の記憶部を初期化または、IDや消費量などのコードあるいは数値を書き換えすることを指すものである。
上記のインクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッドからのインク吐出量およびインク排出量の合計であるインク消費量を計測するインク消費量計測手段と、インク消費量計測手段の計測結果に基づいて、第2の記憶部に記憶された装着されているインクカートリッジの積算消費量情報を更新し、その更新結果を当該装着されているインクカートリッジの第1の記憶部に書き込む消費量書き込み手段と、をさらに備えていることが好ましい。
この構成によれば、プリンタ本体側でインク消費量を計測し、その計測結果に基づいて、現在装着されているインクカートリッジの積算消費量情報の値を更新すると共に、その更新結果を第1の記憶部に書き込むため、カートリッジ側にインク消費量を計測する手段や積算消費量情報を更新する手段を備える必要がない。したがって、インクカートリッジの制御構成を簡素化することができ、製造コストを抑えることができる。なお、インク消費量計測手段は、インク吐出回数やインク排出回数を計測し、それぞれ1回あたりの吐出量または排出量と乗算することにより、インク消費量を求めることが好ましい。この構成によれば、吐出回数や排出回数をカウントするだけで、容易にインク消費量を計測することができる。
上記のインクジェットプリンタにおいて、第2の記憶部は、少なくとも、過去に装着されたインクカートリッジの識別IDの履歴と、そのインクカートリッジの装着時に読み出し手段により読み出された初期積算消費量情報を記憶し、リライト判別手段は、第2の記憶部に記憶されている識別IDの履歴と、読み出し手段により読み出された識別IDとに基づいて、装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かを判別し、過去に装着されたことがあると判定した場合、第2の記憶部に記憶されている初期積算消費量情報と、読み出し手段により読み出された現在の積算消費量情報と、を比較して、その値が前者≧後者である場合に、第1の記憶部がリライトされたと判定することが好ましい。
この構成によれば、プリンタ本体側に記憶する履歴情報として、過去に装着されたインクカートリッジの識別IDの履歴と、そのインクカートリッジの装着時に読み出した初期積算消費量情報とを記憶しておくことで、現在装着されているインクカートリッジがリライトされていないかを容易に判定することができる。例えば、識別ID「001」の前回の初期積算消費量情報の値が「0」であって、今回装着されている識別ID「001」の初期積算消費量情報の値も「0」である場合、全くインクを使用しない状態でインクカートリッジが取り外されることは無いため(通常、インクカートリッジの装着時にはインク排出処理が実行される)、この場合はリライトされたと判定することができる。
上記のインクジェットプリンタにおいて、第2の記憶部は、少なくとも、過去に装着されたインクカートリッジの識別IDの履歴と、そのインクカートリッジの脱着直前に更新された最終積算消費量情報を記憶し、リライト判別手段は、第2の記憶部に記憶されている識別IDの履歴と、読み出し手段により読み出された識別IDとに基づいて、装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かを判別し、過去にも装着されたことがあると判定した場合、履歴情報記憶手段に記憶されている最終積算消費量情報と、読み出し手段により読み出された現在の積算消費量情報と、を比較して、その値が前者>後者である場合に、第1の記憶部がリライトされたと判定することが好ましい。
この構成によれば、プリンタ本体側に記憶する履歴情報として、過去に装着されたインクカートリッジの識別IDの履歴と、そのインクカートリッジの脱着直前に更新された最終積算消費量情報とを記憶しておくことで、現在装着されているインクカートリッジがリライトされていないかを容易に判定することができる。例えば、識別ID「001」の前回の最終積算消費量が50mlであって、今回装着されている識別ID「001」の積算消費量が40mlである場合、積算消費量が減る(インク残量が増える)ということはあり得ないので、この場合はリライトされたと判定することができる。
上記のインクジェットプリンタにおいて、第1の記憶部は、インク管理情報として、インクカートリッジの製造時に書き込まれた製造時IDをさらに記憶しており、リライト判別手段による、装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かの判別は、装着時に書き込まれた識別IDと製造時IDとを組み合わせたカートリッジIDに基づいて行われることが好ましい。
また、上記のインクジェットプリンタの機能回復制御方法において、第1の記憶部は、インク管理情報として、インクカートリッジの製造時に書き込まれた製造時IDをさらに記憶しており、リライトされたか否かを判別するステップでは、装着時に書き込まれた識別IDと製造時IDとを組み合わせたカートリッジIDの履歴に基づいて、リライトされたか否かを判別することが好ましい。
この構成によれば、履歴情報として、プリンタ装着時に書き込まれた識別IDと、製造時に書き込まれた製造時IDとを組み合わせたカートリッジIDを記憶しておき、当該履歴情報と、第1の記憶部から読み出したカートリッジIDとを照合することによって、装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かを判別するため、万が一識別IDが重複してしまったでも、確実に個々のインクカートリッジを識別することができ、そのプリンタに対して初めての装着であるか否かを正確に判定することができる。
上記のインクジェットプリンタ、並びにインクジェットプリンタの機能回復制御方法において、製造時IDおよび/または識別IDは、所定の方法により暗号化された値であることが好ましい。
この構成によれば、製造時IDおよび/または識別IDが暗号化されているため、これらを読み出して解読や解析を行うことができず、結果として、インクカートリッジの模倣品の製造を防止することができる。
上記のインクジェットプリンタにおいて、第1の記憶部は、インク管理情報として、インクカートリッジの型番をさらに記憶しており、読み出し手段により読み出された型番に基づいて、装着されているインクカートリッジがプリンタ機種に対応しているか否かを判別する対応判別手段を、さらに備え、制御手段は、リライト判別手段の判別結果に加え、対応判別手段の判別結果に基づいて、装着されているインクカートリッジがプリンタ機種に対応していないと判定した場合も、インク排出増量制御を行うことが好ましい。
この構成によれば、インクカートリッジがプリンタ機種に対応していない場合は、インクジェットヘッドの目詰まり等のトラブルが生じ易いため、インク排出増量制御を行うことで、印刷品質の低下を極力避けることができる。また、リライトされたインクカートリッジは、型番に関する情報もリセットされてしまう場合があるため、積算消費量情報に基づいて適切に判定できなかった場合でも、型番を照合することで、プリンタメーカが保証するインクカートリッジであるか、またインク組成がプリンタに適合するか(染料インクか、顔料インクか)をより確実に判定することができる。
上記のインクジェットプリンタにおいて、リライト判別手段によりリライトされたと判定された場合、並びに対応判別手段によりプリンタ機種に対応していないと判定された場合、その判別結果を記憶する判別結果記憶手段をさらに備え、制御手段は、判別結果記憶手段に判別結果が記憶されている場合、電源OFF時またはインクカートリッジの脱着時までに実行する全てのインク排出処理において、インク排出増量制御を行うことが好ましい。
この構成によれば、インクカートリッジがリライトされている場合や、プリンタ機種に対応していない場合は、電源OFF時または脱着時までの全てのインク排出処理においてインク排出増量制御を行うため、より確実にインクジェットヘッドの目詰まり等のトラブルを防止することができる。
上記のインクジェットプリンタにおいて、インク排出処理手段は、インクジェットヘッドを駆動してインクの捨て吐出を行わせるヘッド駆動手段、および/またはインクジェットヘッドからインクを吸引するインク吸引手段により構成されていることが好ましい。
この構成によれば、インクの捨て吐出を行わせるフラッシング処理やインクを吸引する吸引処理により、メニスカスを良好な状態に保つための効果的且つ効率的な機能回復処理を行うことができる。
本発明のインクカートリッジは、上記のインクジェットプリンタに装着されて用いられることを特徴とする。
この構成によれば、リライトされた場合でも、装着されたインクジェットプリンタのヘッドの目詰まり等、種々のトラブルを防止し、印刷品質の低下を避けることができる。
本発明のプログラムは、上記のインクジェットプリンタにおける各手段として機能させるためのものであることを特徴とする。
また、本発明の他のプログラムは、上記のインクジェットプリンタの機能回復制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
これらの構成によれば、保証外のインクカートリッジを使用した場合でも、インクジェットヘッドの目詰まり等のトラブルを防止し、印刷品質の低下を極力避け得るインクジェットプリンタを実現するためのコンピュータプログラムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ、インクカートリッジ、インクジェットプリンタの機能回復制御方法およびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明のインクジェットプリンタは、装着されているインクカートリッジの不揮発性メモリが、リセッターやイニシャライザー等の電子機器を用いて、プリンタメーカの保証もなくリライトされているか否かを判別し、その判別結果によって、そのインクカートリッジが純正品であるか否かを判定する。そして、純正カートリッジでない場合は、純正品である場合と比較してインク排出処理(ノズル開口面のインク増粘防止等を目的としたインクジェットヘッドの機能回復処理)におけるインク排出量を多くすることで、インクの品質に関わらず、良好な印刷結果を得ることができるように構成されている。そこで、以下、パーマネント方式のヘッドユニットを具備したインクジェットプリンタを例に挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ10の概略斜視図である。同図に示すように、インクジェットプリンタ10は、筐体50(プリンタ本体)と、2つのカートリッジ21,22から成るインクカートリッジ20とを備えている。インクカートリッジ20は、キャリッジ33に載置されており、当該キャリッジ33は、キャリッジモータ35により駆動されるタイミングベルト34を介し、ガイド部材36に案内されてプラテン37の長手方向に沿った主走査方向に往復移動するように構成されている。また、印刷媒体38は、図示しない用紙送り部材によって、主走査方向に直交する副走査方向に搬送されるようになっている。
キャリッジ33の印刷媒体38に対向する底面には、破線で示したインクジェットヘッド30(黒インクジェットヘッド31、カラーインクジェットヘッド32)が搭載され、その上部には、黒インクジェットヘッド31に黒インクを供給する黒カートリッジ21、並びにカラーインクジェットヘッド32にマゼンタ、シアン、イエローの各インクを供給するカラーカートリッジ22が、主走査方向に隣接するようにして着脱自在に装着されている。また、当該インクジェットヘッド30と当該カートリッジ20とにより、パーマネント方式のヘッドユニットが構成されている。
インクジェットヘッド30のホームポジション(非印刷領域)には、ワイピングユニット45および吸引ユニット46が配置されている。ワイピングユニット45は、吸引ユニット46による吸引処理の後、ワイパーブレード58,59(図4参照)により、ノズル開口面の拭き取りを行うものである。ワイパーブレード58,59は、ゴムや軟質樹脂等で構成され、ワイピングユニット45の先端部に上方に突出するように組み込まれている。このワイパーブレード58,59に対し、キャリッジ33に搭載されたインクジェットヘッド30が主走査方向に往復動することで、拭き取り動作が行われる。
一方、吸引ユニット46は、インクジェットヘッド30が直上まで移動してきたときに、上方に移動して黒インクジェットヘッド31のノズル形成面を封止する吸引キャップ41と、カラーインクジェットヘッド32のノズル形成面を色毎に封止する吸引キャップ42と、これらの吸引キャップ41,42に負圧を与える吸引ポンプ44(インク吸引手段)とを有しており、当該吸引ユニット46によって、インク排出処理の一つであるインク吸引処理が行われる。
吸引キャップ41,42は、吸引ポンプ44からの負圧をインクジェットヘッド30に作用させて、インク吸引処理を行うと共に、インクジェットプリンタ10の休止期間中において、インクジェットヘッド30のノズル開口面を封止してインク溶媒の蒸発を抑制させる蓋体として機能する。インク吸引処理によって吸引されたインクは吸引キャップ41,42と接続された廃インク貯留タンク48(図4参照)に蓄えられる。廃インク貯留タンク48には、繊維質の廃インク吸収体49が収容されており、吸引または捨て吐出(空吐出)されたインクはこの廃インク吸収体49に吸収される。
また、吸引キャップ41,42は、インク排出処理のもう一つの処理であるフラッシング処理において、インクジェットヘッド30との間にわずかの間隙を存して対峙し、インクジェットヘッド30から捨て吐出されるインクを受けるインク受けとしても機能する。フラッシング処理は、印刷処理中において数分に1回の割合で、インクジェットヘッド30をホームポジションに移動させた状態で、所定量のインクを捨て吐出させることにより行うものである。なお、フラッシング処理はその排出インク量に応じて、大、小2つのモードに分類されている(図10参照)。
図2(a)は、黒カートリッジ21の外観斜視図であり、同図(b)は、カラーカートリッジ22の外観斜視図である。黒カートリッジ21は、黒インクを収容するインク室21a(カートリッジ本体)を有し、当該インク21a室の底面51(図示上面)には、インク室21aと黒インクジェットヘッド31のインク連通路とを接続するインク供給口52と、インク管理情報を記憶した不揮発性メモリM1(第1の記憶部)と、当該不揮発性メモリM1へのアクセスのための端子54とが設けられている。尚、不揮発性メモリにはEEPROMが一般的に用いられるが、フラッシュROMや電池を有するRAMを用いて構成しても良いし、あるいはRFIDでも良い。
一方、カラーカートリッジ22は、マゼンタ、シアン、イエローの各インクを個別に収容するインク室22a,22b,22c(カートリッジ本体)を有すると共に、当該インク室22a,22b,22cの底面61(図示上面)には、各インク室(図示上面)とカラーインクジェットヘッド32のインク連通路とを接続するインク供給口62,63,64が設けられている。また、カラーカートリッジ22の底面には、各色に共通して、全色のインク管理情報を記憶した不揮発性メモリM2(第1の記憶部)と、当該不揮発性メモリM2へのアクセスのための端子66とが設けられている。不揮発性メモリM2には、各色のインク管理情報が記憶され、黒カートリッジ21と同様に、プリンタ本体からの指令に基づいて、情報の読み出しおよび書き込みが可能となっている。
黒カートリッジ21およびカラーカートリッジ22に搭載された不揮発性メモリM1,M2には、図5のメモリマップに示すように、インク管理情報として、インクカートリッジ20の型番、インクカートリッジ20に収容されたインクのインク色、インクの組成(インクタイプ,顔料系か染料系かについての情報等)、個々のカートリッジを識別するための識別ID、当該インクカートリッジ20が供給したインクの実質的な総消費量を示す積算消費量に関する情報等を、それぞれ型番記憶領域110、インク色記憶領域120、インク組成記憶領域130、識別ID記憶領域210、積算消費量記憶領域220に記憶している。これらの領域のうち、型番記憶領域110、インク色記憶領域120およびインク組成記憶領域130は、インクカートリッジ20製造時に書き込まれる領域であり、プリンタ本体から情報の書き込みが行われることはなく、読み出し専用の領域となっている。これに対し、識別ID記憶領域210および積算消費量記憶領域220は、製造時において情報が書き込まれるものではなく(NULL値となっている)、プリンタ本体からの指令に基づいて、情報の書き込みが行われる(書き込み対象領域)。また、当然、これらの書き込み対象領域は、プリンタ本体からの指令に基づいて、情報の読み出しも行われる。
なお、当該インク管理情報は、積算消費量を記憶させておくことで、インク切れではない使用途中の状態インクカートリッジ20が交換されても、プリンタ本体側がその積算消費量を読み出すことで、使用途中のインクカートリッジ20を再度使用可能とするために記憶されているものである。また、その他、プリンタ本体側が型番、インク色およびインクの組成に関する情報を読み出して適切な印刷処理やメンテナンス処理(機能回復処理)を行うためにも利用される。
また、不揮発性メモリM1,M2は、具体的にEEPROM等の記憶媒体により構成され、ICチップとして搭載されるが、ICチップ以外にも、磁気テープやシンボル画像(2次元コード等)等により構成することも可能である。
図3は、図2に示した各カートリッジ21,22が装着されるヘッドホルダ71の外観斜視図である。同図に示すように、ヘッドホルダ71には、各カートリッジ21,22が装着された場合に、各カートリッジ21,22の端子54,66と接触可能な電極端子72,73が設けられている。また、これらの電極端子72,73は、不揮発性メモリM1,M2に対し、情報の読み書きを行う情報読み書き部74,75(読み出し/書き込み手段88,図4参照)にそれぞれ接続されており、これら情報読み書き部74,75は、フレキシブルケーブル47によって、プリンタ本体の制御装置40(図1参照)に接続されている。
次に、図4のブロック図を参照し、制御装置40の制御構成について説明する。同図に示す符号100は、ホスト装置であり、インクジェットプリンタ10に印刷指令を行う印刷指令手段110と、インクジェットプリンタ10の印刷制御を行うプリンタドライバ120と、を備えている。印刷指令手段110は、プリンタドライバ120のユーティリティ上で、モノクロ/カラー印刷の選択、印刷範囲の選択、並びに印刷モードの選択等を行い、印刷指令を行う。また、プリンタドライバ120は、印刷指令手段110の指令に基づいて、インクジェットプリンタ10の印刷制御手段81に印刷データを送信する。
一方、インクジェットプリンタ10は、上記の印刷制御手段81の他、各種機能回復処理の制御を行うメンテナンス制御手段84(制御手段)を備え、メンテナンス制御手段84は、メンテナンス処理としてフラッシング処理制御手段85、ワイピング処理制御手段86、吸引処理制御手段87を制御する。また、メンテナンス制御手段84は、ヘッド駆動手段82、キャリッジモータ駆動手段83(以下、「CRモータ駆動手段」と記載する)、カートリッジ検出手段89、インク消費量計測手段90、ポンプ駆動手段91および計時手段93により各種検出や駆動制御を行うと共に、読み出し/書き込み手段88、対応判別手段94、リライト判別手段95、履歴情報記憶手段96(第2の記憶部)および判別結果記憶手段97により判別制御や情報の読み書き制御を行う。
印刷制御手段81は、ホスト装置100からの印刷データに基づいて、ビットマップデータを生成し、当該ビットマップデータに基づいて、ヘッド駆動手段82に駆動信号を発生させてインクジェットヘッド30からインクを吐出させると共に、CRモータ駆動手段83を制御する。ヘッド駆動手段82は、印刷データに基づく駆動信号の他に、フラッシング処理制御手段85からのフラッシング指令を受けて、ヘッド駆動手段82にフラッシング処理のための駆動信号を発生させる。
フラッシング処理制御手段85は、ヘッド駆動手段82やCRモータ駆動手段83を制御する。フラッシング処理は、クリーニング処理の中で実行される以外にも、印刷品質を良好に保つため印刷処理中において定期的に実行されるものであり、フラッシング処理制御手段85は、CRモータ駆動手段83によりキャリッジ33をホームポジションに移動させ、ヘッド駆動手段82に駆動信号を送出して、インクジェットヘッド30よりインクを捨て吐出させる。
ワイピング処理制御手段86は、ワイパーブレード58,59およびこれを上昇させるソレノイド68,69を有するワイピングユニット45を制御し、ワイパーブレード58,59は、各インクジェットヘッド31,32に対応している。インクジェットヘッド30がワイピングユニット45の直上部に臨んだ状態で、ソレノイド68,69が励磁すると、ワイパーブレード58,59が押し上げられ、対応するインクジェットヘッド30のノズル開口面(の端部)に接触する。この状態でCRモータ駆動手段83によりキャリッジ33を主走査方向に往復動作させることで、ノズル開口面に対する相対的な拭き取り動作が行われる。なお、ワイピング処理は、ノズル開口面に付着したごみや埃、或いは濃度が増したインク滴を拭き取ることを目的として実行されるが、これによりインクの混色を引き起こす場合があるため、これを防止すべく、実行後は必ずフラッシング処理を行うように制御される。
吸引処理制御手段87は、ポンプ駆動手段91により吸引ポンプ44を駆動制御する。吸引処理は、後述するクリーニング処理(「モード0」や「モードX」,図10参照)において、電源ON時やインクカートリッジ20の交換時に実行される他、吸引指令手段92からの指令を受けた場合に実行される。なお、吸引指令手段92は、例えば筐体50上に設けられた操作パネルにより構成されるものである。また、吸引処理制御手段87は、当該吸引処理を行う前に、CRモータ駆動手段83によりキャリッジ33をホームポジションに移動させる制御を行う。
読み出し/書き込み手段88(読み出し手段,識別ID書き込み手段,消費量書き込み手段)は、各インクカートリッジ20に搭載された不揮発性メモリM(M1,M2)に対し、インク管理情報の読み書きを行う。具体的には、型番、インク色、インク組成、インクカートリッジを識別するための識別ID、並びに積算消費量をそれぞれ該当する領域(アドレス)から読み出す(図5参照)。さらに、識別ID記憶領域210がNULL値であった場合(読み出し対象となっているカートリッジが初回の装着であった場合)は、識別IDを生成して書き込み、積算消費量記憶領域220には、メンテナンス制御手段84によりインク消費量計測手段90の計測結果に基づいて更新された各インクカートリッジ20の積算消費量情報の値を書き込む。
なお、読み出し/書き込み手段88が識別ID記憶領域210に識別IDを書き込む際は、不図示のアドレステーブルを参照して、書き込み対象となる領域(アドレス)を決定することが好ましい。すなわち、不揮発性メモリMの格納仕様を外部に公開せず、不揮発性メモリMからの識別IDの読み取りを、インクジェットプリンタ10のファームでのみ可能とすることが好ましい。この構成によれば、当該アドレステーブルが外部に公開されない限り、インクカートリッジ20およびインクジェットプリンタ10の製造メーカ以外は識別IDが格納されたアドレスを知り得ないため、識別IDの解読や書き換えを防止することができる。また、その結果、インクカートリッジ20の模倣品の製造を防止することができ、ひいては、低品質なインクの使用によるインクジェットプリンタ10の不具合を抑止することができる。なお、識別IDだけでなく、積算消費量を積算消費量記憶領域220に書き込む際も、アドレステーブルを参照するようにしても良い。
インク消費量計測手段90は、ヘッド駆動手段82の駆動信号を検出して吐出回数をカウントし、そのカウント値と、1回あたりのインク吐出量(2〜10pl)とを乗算することでインク吐出量を算出する。また、吸引処理制御手段87からポンプ駆動手段91に送出される指令を検出し、吸引処理1回あたりの吸引量に基づいてインク吸引量を算出する。すなわち、インク消費量計測手段90は、吐出回数のカウント(検出)と、算出処理によりインク消費量を計測する。また、算出処理では、フラッシング処理によるインク捨て吐出量、印刷処理によるインク吐出量、並びに吸引処理によるインク吸引量を合計することで、インク消費量を算出する。なお、インク吸引量は、ポンプ駆動手段91の駆動時間を計測し、その計測した時間と単位時間あたりの吸引量とを乗算することでインク吸引量を算出するようにしても良い。
カートリッジ検出手段89は、カートリッジホルダ(図3参照)への各カートリッジ21,22の装着を検出するものであり、各電極端子72,73に各カートリッジ21,22の端子54,66が接触することで、装着状態を判断する。したがって、上記の読み出し/書き込み手段88に、各電極端子72,73と各端子54,66が電気的に導通したことを検出させることで、読み出し/書き込み手段88をカートリッジ検出手段89として機能させることも可能である。なお、インクカートリッジ20の装着は電源ON状態でのみ可能となっているため、確実に装着状態を検出できるようになっている。
計時手段93は、図示しないメンテナンスタイマーによって構成されるものであり、各インクジェットヘッド30からインク吐出(印刷処理における吐出)またはインク排出(吸引処理による吸引およびフラッシング処理による捨て吐出を含む)が行われていない休止時間を計測するものである。そして、メンテナンス制御手段84は、当該計時手段93の計測結果に基づいて、クリーニング処理(「モード1」、「モード1+」、「モード2」または「モード2+」,図10参照)を行う。
履歴情報記憶手段96は、読み出し/書き込み手段88による各カートリッジ21,22に搭載された不揮発性メモリM1,M2からの情報読み出し結果の履歴、並びに読み出し/書き込み手段88による各カートリッジ21,22に搭載された不揮発性メモリM1,M2への識別IDの書き込み結果(インク管理情報に識別IDが含まれていない場合のみ書き込まれる)を記憶するものである。図6(a)は、その読み書き結果の一例を示す図である。同図に示すように、履歴情報記憶手段96は、黒カートリッジ21、カラーカートリッジ22別に、各カートリッジ21,22の装着時に読み出したインク管理情報(識別ID,型番,初期積算消費量情報)、そのインクカートリッジ20の脱着直前までのインク消費量、脱着直前に更新された最終積算消費量情報(初期積算消費量とインク消費量の和)を、装着順に従って記憶している。ここでは、初期積算消費量および最終積算消費量を、吐出回数として記憶している。また、履歴情報として、現在装着されているインクカートリッジ20(図示網掛部)の前回、前々回に装着されたインクカートリッジ20に関する合計3回の装着履歴を記憶している。なお、3回分に限らず、それ以上の装着履歴を記憶しておくようにしても良い。また、ここに示した情報以外にも、装着日時、脱着日時等の情報を記憶するようにしても良い。
同図の例の場合、黒カートリッジ21(識別ID:0001と記載)は、初期積算消費量「0」状態、すなわち新品の状態で装着され、識別IDが書き込まれている。そして、「3500×1000回」の吐出が行われた後、最終積算消費量「3500×1000回」で脱着されていることを示している。また、網掛部に示すように、今度は初期積算消費量「3500×1000回」で装着され、現在はインク消費量「0」の状態、すなわちまだ装着直後の状態であり、クリーニング処理も行われていないことを示している。このように、前回の最終積算消費量「3500×1000回」と、今回の初期積算消費量「3500×1000回」とが同一であれば、後述するリライト判別手段95(図4参照)により、当該黒カートリッジ21(識別ID:0001)は、純正品である(プリンタメーカが保証する範囲内で使用されている純正カートリッジである)と判断することができる。したがって、カラーカートリッジ22(識別ID:0111)についても、現在装着されているインクカートリッジ20(図示網掛部)は純正品であると判断される。
図4のブロック図の説明に戻る。対応判別手段94は、現在装着されているインクカートリッジ20がインクジェットプリンタ10のプリンタ機種に対応するものであるか否かを判別するものであり、不揮発メモリMから読み出した型番に基づいて判定する。例えば、図6(a)の例の場合、型番「IPBL01」が、プリンタ機種に対応したインクカートリッジ20の型番であるとすると、同図(b)に示すように、それ以外の型番のインクカートリッジ20が装着された場合(例えば型番「GPBL03」,図示網掛部参照)は、プリンタ機種に対応しない、すなわち「プリンタ非対応」と判定する。
また、図4に示すリライト判別手段95は、カートリッジホルダ71に装着されているインクカートリッジ20が、リライトされたか否か(保証外のカートリッジであるか(以下、「保証外カートリッジ」と称する)、若しくは純正品であるか)を判別するものであり、履歴情報記憶手段96に記憶されている履歴情報を参照して判断する。例えば、図6(c)に示すように、識別ID「0001」は、最終積算消費量「3500×1000回」で脱着されているにも関わらず、網掛部に示すように、初期積算消費量「0」で装着されている場合、これはプリンタメーカが保証しない手段を用いてリライト(初期化)したものとみなし、「保証外カートリッジ」と判断する。また、当該純正品であるか保証外カートリッジであるかの判別は、初期積算消費量同士を比較することによっても判別可能である。なお、当該判別処理については、後に詳述する。
また、図4に示す判別結果記憶手段97は、対応判別手段94およびリライト判別手段95の判別結果をフラグ(判別結果フラグ)により記憶するものであり、「プリンタ非対応」と判別された場合、並びにリライト判別手段95によってリライトされたと判別された場合(すなわち「保証外カートリッジ」であると判別された場合)、判別結果フラグを立てる。この判別結果フラグは、電源OFF時またはインクカートリッジ20の脱着時まで継続して記憶され、判別結果フラグが立てられた場合、メンテナンス制御手段84は、全てのクリーニング処理において、インク排出量を多くするインク排出増量制御を行うこととなる。なお、判別結果記憶手段97を、不揮発メモリによって構成し、インクカートリッジ20の脱着を検出したときにリセットされる構成としても良い。
次に、図7ないし図9のフローチャートを参照し、本実施形態のインクジェットプリンタ10におけるメンテナンス処理について説明する。電源ON、若しくはインクカートリッジ20(黒カートリッジ21またはカラーカートリッジ22)が装着されると、制御装置40は、現在装着されているインクカートリッジ20の不揮発性メモリMからインク管理情報を読み出す(S1)。そして、読み出したインク管理情報は、履歴情報記憶手段96に記憶され、当該インク管理情報に含まれる型番に基づいて、対応判別手段94により装着されているインクカートリッジ20が、プリンタ機種に対応しているか否かを判別する(S2)。ここで、「プリンタ非対応」と判別された場合は(S2:No)、「モードX」のクリーニング処理を実行する(S9)。
図10に示すように、「モードX」のクリーニング処理では、吸引処理制御手段87の制御によって、吸引処理が連続5回実行されると共に、ワイピング処理制御手段86によってワイピング処理が行われ、さらにその後フラッシング処理手段85によって「吐出量大」のフラッシング処理が連続5回実行される。このように、「モードX」は、かなり強力なクリーニング処理であり、これが実行されることで、プリンタ機種に対応しないインク(低品質の可能性があるインク)が用いられた場合でも、できるだけインクジェットヘッド30の目詰まり等のトラブルが生じないようになっている。「モードX」のクリーニング処理を実行すると(S9)、判別結果記憶手段97により判別結果フラグを立てる(S10)。
一方、装着されているインクカートリッジ20が、プリンタ機種に対応していると判別した場合は(S2:Yes)、読み出したインク管理情報に識別IDが含まれているか否かを判別する(S3)。ここで、識別IDが含まれていない場合(装着されているインクカートリッジ20が初回の使用である場合)は(S3:No)、付与する識別IDを生成して(IDの値を1ずつインクリメントするなどして生成する)現在装着されているインクカートリッジ20の不揮発性メモリMに書き込み(S4)、「モード0」のクリーニング処理(後述する)を実行する(S8)。書き込んだ識別IDは、履歴情報記憶手段96に記憶される(図6参照)。なお、識別IDの書き込みは、装着されているインクカートリッジ20のうち、初回装着されたものに限り、必ずしも両カートリッジ21,22に同時に識別IDを書き込むものではない。
一方、読み出したインク管理情報に識別IDが含まれている場合は(S3:Yes)、履歴情報記憶手段96から履歴情報を読み出し、純正品であるか保証外カートリッジであるかの判別処理を行う(S6)。なお、当該判別処理については、図9に示すサブルーチンにて後述する。
ここで、保証外カートリッジであると判別された場合は(S7:Yes)、上記の「モードX」のクリーニング処理を実行する(S9)。また、純正カートリッジであると判別された場合は(S7:No)、「モード0」のクリーニング処理を実行する(S8)。図9に示すように、「モード0」は、吸引処理が1回実行されると共に、ワイピング処理が行われ、さらにその後「吐出量大」のフラッシング処理が1回実行される。このように、「モード0」は「モードX」と比較すると、軽いクリーニング処理となっている。なお、クリーニング処理は、黒カートリッジ21またはカラーカートリッジ22のいずれか一方でも、プリンタ非対応または保証外カートリッジと判断された場合は、「モードX」のクリーニング処理を実行することとなる。
「モード0」または「モードX」のリーニング処理を実行すると、履歴情報記憶手段96に記憶されているインク消費量の値を更新する(S11)。また、読み出し/書き込み手段88による不揮発性メモリMへの積算消費量情報の書き換えもこの時点で行う。ここで、印刷制御手段81に対し、ホスト装置100から印刷指令が為された場合は(S12:Yes)、計時手段93により計測された休止時間が所定時間T1以上であるか否かを判別し(図8のS14)、所定時間T1に満たない場合は(S14:No)、そのまま印刷指令に基づいて、ヘッド駆動手段82およびCRモータ駆動手段83を駆動し、印刷処理を行う(S22)。
また、休止時間が所定時間T1以上である場合は(S14:Yes)、さらに所定時間T2(T2>T1)以上であるか否かを判別し(S15)、所定時間T2以上である場合は(S15:Yes)、判別結果フラグが立っているか否かを確認する(S16)。ここで、判別結果フラグが立っている場合は(S16:Yes)、装着されているインクカートリッジ20が、「プリンタ非対応」または「保証外カートリッジ」であるため、ワイピング処理を行うと共に「吐出量大」のフラッシング処理を2回連続して行う「モード1+」のクリーニング処理を実行する(S17)。また、判別結果フラグが立っていない場合は(S16:No)、装着されているインクカートリッジ20が、「プリンタ対応」且つ「純正カートリッジ」であるため、ワイピング処理を行うと共に「吐出量大」のフラッシング処理を1回だけ行う「モード1」のクリーニング処理を実行する(S18)。
また、休止時間が所定時間T2に満たない場合も(S15:No)、判別結果フラグが立っているか否かを判別し(S19)、判別結果フラグが立っている場合は(S19:Yes)、「吐出量小」のフラッシング処理を2回連続して行う「モード2+」のクリーニング処理を実行する(S20)。また、判別結果フラグが立っていない場合は(S19:No)、「吐出量小」のフラッシング処理を1回だけ行う「モード2」のクリーニング処理を実行する(S21)。このように、フラッシング処理制御手段85は、休止時間がT2以上であるか否かに応じて、フラッシング処理におけるモードを「吐出量大」と「吐出量小」とで切り替える。
「モード1」,「モード1+」,「モード2」,「モード2+」のいずれかのクリーニング処理(フラッシング処理)が実行されると、その後印刷指令に基づいて印刷処理が実行され(S22)、クリーニング処理および印刷処理によって消費されたインク消費量に基づいて、履歴情報記憶手段96に記憶されたインク消費量を更新する(図7のS11)。また、その後印刷指令が行われることなく(図7のS12:No)、電源が切断された場合は(図6のS13:Yes)、処理を終了する。
なお、休止時間T1,T2は、プリンタ機種や、インク組成によって適切な値に設定されるものであるが、少なくとも休止時間T1は十数秒以内、休止時間T2は5分以内に設定されることが好ましい。また、休止時間T1,T2は、印刷処理またはクリーニング処理の終了時からカウントが開始され、クリーニング処理の実行によってリセットされる。さらに、クリーニング処理は、休止時間T1,T2をインクジェットヘッド31,32毎にカウントして、インクジェットヘッド31,32毎に行っても良いし、いずれか一方でも休止している時間を休止時間として、両ヘッド31,32を同時に行っても良い。
続いて、図9を参照し、上記のフローチャートS6(図7参照)に相当するカートリッジ判別処理のサブルーチンについて説明する。カートリッジ判別処理では、まずS1において読み出したインク管理情報に含まれる識別IDが、履歴情報記憶手段96に記憶されている過去の識別IDと一致するか否か、すなわち履歴情報記憶手段96に装着履歴があるか否かを判別する(S41)。ここで、装着履歴がない場合は(S41:No)、純正カートリッジであると判断する。
一方、装着履歴がある場合は(S41:Yes)、読み出したインク管理情報に含まれる積算消費量L0と、前回の初期積算消費量Laとを比較する(S42)。ここで、L0>Laであるか否か、すなわち現在の(装着時の)積算消費量L0が前回の初期積算消費量Laよりも大きい値であるか否かを判別し(S43)、そうではない場合は(S43:No)、保証外カートリッジであると判断する。これは、純正カートリッジを装着しているのであれば(不揮発性メモリMのリライトが行われていなければ)、当然L0>Laとなるためである。
例えば、図6(c)に示す例の場合、網掛部に示す識別ID「0001」の現在の(装着時の)積算消費量L0は「0」であり、前回の初期積算消費量Laも「0」である。したがって、L0=Laであるため、保証外カートリッジであると判断される。これは、つまり図7のフローチャートに示したように、インクカートリッジ20の装着時には必ずクリーニング処理(「モード0」または「モードX」)が実行されるため(S8,S9)、全く印刷処理を行わなかったとしても、L0=Laとなることはないためである。なお、このとき履歴情報内に、同じ識別IDの履歴が複数存在する場合は、全ての履歴と比較するようにしても良い。
次に、L0>Laである場合は(S43:Yes)、現在の積算消費量L0が前回の脱着直前に更新された値である最終積算消費量Lb以上であるか否かを判別し(S45)、L0≧Lbである場合は(S45:Yes)、純正カートリッジであると判断する。また、L0<Lbである場合は(S45:No)、インク消費量が減ることは考えられないため、不揮発性メモリMのリライトまたは書き換えが行われたものとみなして保証外カートリッジであると判断する。
なお、この場合は、前回の最終積算消費量Lbとの比較であるため、通常であればL0=Lbとなるはずであるが、前回の装着時から今回の装着時までの間に、他のインクジェットプリンタで当該インクカートリッジ20が使用されていた場合は、そのインクジェットプリンタでインク消費が為されるため、L0=Lbであるか否かではなく、L0≧Lbであるか否かで判別する。また、当該判別は、履歴情報内に、同じ識別IDの履歴が複数存在する場合であっても、直前の装着履歴と比較を行う。
このように、本発明では、読み出した現在の積算消費量L0を、前回の初期積算消費量Laや前回の最終積算消費量Lbと比較することで、純正カートリッジであるか保証外カートリッジであるかを容易に判別することができる。
但し、上記のカートリッジ判別処理では、インクが詰め替えられた保証外カートリッジを使用した場合であっても、履歴情報記憶手段96に同じ識別IDの装着履歴がない場合や、不揮発性メモリMに識別IDが書き込まれていない場合(例えば高度なイニシャライザーにより積算消費量だけでなく識別IDも含めてリライトされた場合)は、純正カートリッジであると判断することとなる。したがって、そのような保証外カートリッジを使用した場合であっても、保証外カートリッジを正しく判別するべく、例えばインク消費量のカウント数が、想定され得る吐出回数の上限値である最大所定回数を超えた場合、そのカートリッジは保証外カートリッジであるものとして、「モード1+」や「モード2+」のクリーニング処理を実行するようにしても良い。この構成によれば、例えば大型タンクに収容されたインクを、チューブを介してインクカートリッジ20に供給する方法で保証外インクが使用された場合であっても、インク消費量のカウント数が最大所定回数を超えた時点からは、適切なクリーニング処理を行うことができる。
また、上記のカートリッジ判別処理では、S45(図9参照)においてL0≧Lbであるか否か、すなわち現在の積算消費量L0が、前回の脱着直前に更新された値である最終積算消費量Lb以上であるか否かを判別するものとしたが、L0とLbとに継続性がない場合、すなわちL0=Lbでない場合は、保証外カートリッジであると判断しても良い。また、この場合、使用途中のインクカートリッジ20を他のインクジェットプリンタ10では使用してはいけない旨を、カートリッジケース上や取扱説明書等に明記することが好ましい。この構成によれば、インク交換毎にクリーニング処理で消費されるインク量を節約することができる。
また、S42およびS44の両方の比較を行うのではなく、いずれか一方のみの比較を行うようにしても良い。また、この場合履歴情報としては、S42の比較のみを行う場合は初期積算消費量のみ、S44の比較のみを行う場合は最終積算消費量のみを記憶することが好ましい。この構成によれば、判別処理を簡素化することができると共に、履歴情報記憶手段96に要する記憶容量を少なくすることができる。
また、S4(図7参照)における識別IDの生成は、個々のインクジェットプリンタ10に割り当てられた本体ユニーク値と、識別IDの書き込み毎に付与される通番と、によって構成されることが好ましい。この構成によれば、例えば通番のみで識別IDが構成されている場合、他のプリンタで使用されていた使用途中のインクカートリッジが装着されると、その通番と履歴情報に含まれる通番とが一致してしまうこともあり得るが、識別IDには本体ユニーク値が含まれるため、正確に個々のインクカートリッジを識別することができる。したがって、偶然に通番が一致してしまったからという理由で、保証外カートリッジと判定されるといった問題を無くすことができる。
以上、説明したとおり、本発明によれば、現在装着されているインクカートリッジ20から読み出したインク管理情報と、履歴情報記憶手段96に記憶されている履歴情報とを照合し、現在装着されているインクカートリッジ20の不揮発性メモリMがリライトされたか否かを判別し、その判別結果に基づいてメンテナンス(インク排出処理)を実行するため、リライトされたか否かに関わらず、良好な印刷結果を得ることができる。つまり、リライトされたと判別した場合は、リライトされていないと判別した場合と比較してインク排出量を多くする制御を行うことにより、プリンタメーカが保証しない保証外のインクカートリッジ20を使用した場合でも、インクジェットヘッド30の目詰まり等のトラブルを防止し、印刷品質の低下を避けることができる。
さらに、本発明のインクジェットプリンタ10は、インクカートリッジ20が装着された時に識別IDを書き込むため(出荷時においては、インク管理情報に識別IDが含まれていないため)、出荷時の状態におけるインク管理情報をコピーしておき、必要に応じて出荷時のインク管理情報に書き替え得る高度なイニシャライザーが用いられた場合でも、これを書き替えることができない。したがって、このような高度なイニシャライザーが用いられた場合でも、リライトされたか否かの判定を正確に行うことができる。
また、プリンタ本体側でインク消費量を計測し、その計測結果に基づいて、現在装着されているインクカートリッジ20の積算消費量の値を更新すると共に、その更新結果を不揮発性メモリMに書き込むため、インクカートリッジ20側にインク消費量を計測する手段や積算消費量を更新する手段を備える必要がない。したがって、インクカートリッジ20の制御構成を簡素化することができ、製造コストを抑えることができる。また、印刷処理やフラッシング処理で消費されるインク消費量は、インク吐出回数のカウント結果に基づいて算出されるため、容易にインク消費量を計測することができる。
また、履歴情報として、少なくとも前回の初期積算消費量Laまたは前回の最終積算消費量Lbとを記憶しておき、現在装着されているインクカートリッジ20から読み出した積算消費量L0と比較することで、不揮発性メモリMがリライトされていないかを容易に判別することができるため、簡易な制御で使用インクに見合ったメンテナンスを行うことができる。
また、インクカートリッジ20がプリンタ機種に対応していない場合は、インクジェットヘッド30の目詰まり等のトラブルが生じ易いといった問題があるが、この場合もインク排出増量制御を行うため、印刷品質の低下を避けることができる。また、リライトされたインクカートリッジ20は、型番に関する情報もリセットされてしまうことがあるため、積算消費量に基づいて適切に判別できなかった場合や、識別IDの装着履歴がない状態で初回使用された場合でも、型番を照合することでより確実に純正品であるか否かを判別することができる。
また、対応カートリッジであるか否か、並びに純正カートリッジであるか否かの判別結果を、判別結果フラグとして記憶することで、電源ON時やインクカートリッジ20の装着時以外のクリーニング処理においても、インク排出増量制御を行うことができるため、より確実にインクジェットヘッド30の目詰まり等のトラブルを防止することができる。
また、印刷処理の指令があった場合は、休止時間の長さに応じたインク排出量でクリーニング処理を行うため、無駄なインク消費を防止しつつ、効率的にメンテナンスを行うことができる。
なお、上記では、印刷処理が指令された後、休止時間に応じてクリーニング処理を実行するものとしたが(図7および図8のS12〜S21参照)、印刷指令の有無に関わらず、定期的にクリーニング処理を実行するようにしても良い。
続いて、図11を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、下記の点で第1実施形態と異なる。すなわち、本実施形態では、不揮発性メモリM内に、インク管理情報として、インクカートリッジ20の製造時に書き込まれた製造時IDをさらに記憶しておき(製造時ID記憶領域150)、当該製造時IDと、装着時に書き込む識別IDとを組み合わせたカートリッジIDに基づいて、そのカートリッジが過去に装着されたことがあるか否かを判別する。また、これら製造時IDおよび/または識別IDは、所定の方法により暗号化された値とすることを特徴とするものである。そこで、以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図11は、本実施形態における不揮発性メモリMのメモリマップを示したものである。同図に示すように、本実施形態の不揮発性メモリMは、型番記憶領域110、インク色記憶領域120、インク組成記憶領域130、識別ID記憶領域210、積算消費量記憶領域220の他、製造年月日を記憶する製造年月日記憶領域140と、製造時に書き込まれたユニークな値である製造時IDを記憶する製造時ID記憶領域150とをさらに備えている。これらの領域のうち、型番記憶領域110、インク色記憶領域120、インク組成記憶領域130、製造年月日記憶領域140および製造時ID記憶領域150は、インクカートリッジ20製造時に書き込まれる領域であり、プリンタ本体から情報の書き込みが行われることはなく、読み出し専用の領域となっている。なお、識別ID記憶領域210および積算消費量記憶領域220は、第1実施形態と同様に、プリンタ本体からの指令に基づいて、情報の読み出しや書き込みが行われる書き込み対象領域となっている。
また、これらの領域のうち、製造時ID記憶領域150と、識別ID記憶領域210とによりカートリッジID領域が構成され、履歴情報記憶手段96(図4参照)は、当該カートリッジID領域150,210から読み出した読み出し結果の履歴を記憶する。すなわち、本実施形態では、図6における識別IDに代えて製造時IDと識別IDとを組み合わせたカートリッジIDを記憶する。例えば、製造時IDが「12345678」で、識別IDが「0001」の場合、カートリッジIDは、「123456780001」として記憶する。この構成によれば、万が一識別IDが重複してしまったでも、確実に個々のインクカートリッジを識別することができ、そのプリンタに対して初めての装着であるか否かを正確に判定することができる。
また、これら製造時IDおよび識別IDは、暗号化された値となっている。暗号化の方法としては種々考えられるが、例えば、単純な暗号化としては、製造時IDまたは識別IDを示す数値の下位に1−2桁のパリティを付加したり、製造時IDまたは識別IDを示す数値を所定の計算式に入れて対応する英字を付加するといった方法を採用できる。なお、パリティや英字が付加される場合は、当然プリンタ本体側にそれらをチェックする機能(パリティチェック機能など)が搭載されることとなる。この構成によれば、不揮発性メモリMからイニシャライザー等の電子機器を用いてインク管理情報を読み出し、積算消費量をリセットしてさらに、製造時IDや識別IDの末尾をインクリメントしてカートリッジIDを書き替えるといった行為が為されても、単純にインクリメントした値は不正IDと判定することができるので、正確に純正品であるか否かを判定することができる。また、スクランブル処理を行って、製造時IDおよび/または識別IDを暗号化するようにしても良い。この構成によれば、イニシャライザー等を用いて、製造時IDや識別IDの読み出し、解読および解析を行うことができず、結果として、インクカートリッジの模倣品の製造を抑止することができる。
以上、説明したとおり本実施形態によれば、個々のインクカートリッジを、製造時IDと識別IDとを組み合わせたカートリッジIDにより識別するため、現在装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かの判定をより確実に行うことができる。また、製造時IDおよび/または識別IDを暗号化することで、解読や解析を防止し、万が一不揮発性メモリMが書き替えられた場合でも、正確に純正品であるか否かを判定することができるため、適切な機能回復処理を行うことができる。
なお、上記の第2実施形態では、不揮発性メモリM内に、製造時IDが記憶されていることを前提としたが、当該製造時IDが記憶されているカートリッジについては、製造時IDと識別IDとを組み合わせたカートリッジIDによって個々のカートリッジを識別し、製造時IDが記憶されていないカートリッジについては、識別IDによって個々のカートリッジを識別するようにしても良い。また、製造時IDが記憶されているカートリッジについては、識別IDを書き込まず、製造時IDで識別し、製造時IDが記憶されていないカートリッジについては、識別IDを書き込んで、当該識別IDによって識別を行うなど、製造時IDの有無に応じて、識別するためのIDを変えるようにしても良い。
また、上記の両実施形態では、パーマネント方式のヘッドユニットを利用した場合を例示したが、インクカートリッジ20とインクジェットヘッド30とが一体に構成された一体型(使い捨てヘッド型)においても、本発明を適用可能である。また、インクカートリッジをインク色毎にセットするようなタイプのものであっても、本発明を適用可能である。
また、上記の例に示した、インクジェットプリンタ10の各手段(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
また、上記の実施形態におけるインクジェットプリンタの例によらず、装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの概略斜視図である。 インクカートリッジの外観斜視図である。 カートリッジホルダの外観斜視図である。 制御装置の構成を示すブロック図である。 不揮発性メモリのメモリ配置図である。 履歴情報記憶手段に記憶される履歴情報を示す図である。 インクジェットプリンタの処理を示すフローチャートである。 図7に続くフローチャートである。 カートリッジ判別処理を示すフローチャートである。 各クリーニングモードにおけるクリーニング処理の内容を示す図である。 第2実施形態における不揮発性メモリのメモリ配置図である。
符号の説明
10 インクジェットプリンタ 20 インクカートリッジ
21 黒カートリッジ 22 カラーカートリッジ
30 インクジェットヘッド 31 黒インクジェットヘッド
32 カラーインクジェットヘッド 84 メンテナンス制御手段
85 フラッシング処理手段 87 吸引処理制御手段
88 読み出し/書き込み手段 89 カートリッジ検出手段
90 インク消費量計測手段 93 計時手段
94 対応判別手段 95 リライト判別手段
96 履歴情報記憶手段 97 判別結果記憶手段
M 不揮発メモリ
M1 不揮発性メモリ(黒カートリッジ用)
M2 不揮発性メモリ(カラーカートリッジ用)

Claims (15)

  1. 着脱自在なインクカートリッジと、当該インクカートリッジからインク供給を受けてインクを吐出するインクジェットヘッドとを具備したインクジェットプリンタにおいて、
    前記インクカートリッジに搭載され、少なくとも、当該インクカートリッジを識別するための識別IDと、当該インクカートリッジが供給したインクの実質的な総消費量を示す積算消費量情報とを含むインク管理情報を記憶するための第1の記憶部と、
    少なくとも前記インクカートリッジの装着時に、前記第1の記憶部から、前記インク管理情報を読み出す読み出し手段と、
    前記読み出し手段により読み出された前記インク管理情報に前記識別IDが含まれていない場合、当該識別IDを前記第1の記憶部に書き込む識別ID書き込み手段と、
    前記インクジェットプリンタの内部に搭載され、前記識別ID書き込み手段により書き込まれた前記識別IDの履歴、並びに前記読み出し手段により読み出された前記インク管理情報の履歴である履歴情報を記憶する第2の記憶部と、
    電源ON時、および/又は前記インクカートリッジの装着時において、前記第2の記憶部に記憶している前記履歴情報と、前記読み出し手段により前記第1の記憶部から読み出した前記インク管理情報とを照合し、これら両情報に含まれる前記識別IDと前記積算消費量情報とに基づいて、前記第1の記憶部がリライトされたか否かを判別するリライト判別手段と、
    前記インクジェットヘッドの機能回復のために、当該インクジェットヘッドを介して前記インクカートリッジ内のインクを所定量排出するインク排出処理を実行するインク排出処理手段と、
    前記リライト判別手段の判別結果に基づいて、前記インク排出処理手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記リライト判別手段によりリライトされたと判定された場合、前記インク排出処理手段における実質的なインク排出量を前記所定量より多くするインク排出増量制御を行うことを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記インクジェットヘッドからのインク吐出量およびインク排出量の合計であるインク消費量を計測するインク消費量計測手段と、
    前記インク消費量計測手段の計測結果に基づいて、前記第2の記憶部に記憶された前記装着されているインクカートリッジの前記積算消費量情報を更新し、その更新結果を当該装着されているインクカートリッジの前記第1の記憶部に書き込む消費量書き込み手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記第2の記憶部は、少なくとも、過去に装着されたインクカートリッジの前記識別IDの履歴と、そのインクカートリッジの装着時に前記読み出し手段により読み出された初期積算消費量情報を記憶し、
    前記リライト判別手段は、前記第2の記憶部に記憶されている識別IDの履歴と、前記読み出し手段により読み出された識別IDとに基づいて、前記装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かを判別し、過去に装着されたことがあると判定した場合、前記第2の記憶部に記憶されている前記初期積算消費量情報と、前記読み出し手段により読み出された現在の積算消費量情報と、を比較して、その値が前者≧後者である場合に、前記第1の記憶部がリライトされたと判定することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記第2の記憶部は、少なくとも、過去に装着されたインクカートリッジの前記識別IDの履歴と、そのインクカートリッジの脱着直前に更新された最終積算消費量情報を記憶し、
    前記リライト判別手段は、前記第2の記憶部に記憶されている識別IDの履歴と、前記読み出し手段により読み出された識別IDとに基づいて、前記装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かを判別し、過去にも装着されたことがあると判定した場合、前記第2の記憶部に記憶されている前記最終積算消費量情報と、前記読み出し手段により読み出された現在の積算消費量情報と、を比較して、その値が前者>後者である場合に、前記第1の記憶部がリライトされたと判定することを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記第1の記憶部は、前記インク管理情報として、前記インクカートリッジの製造時に書き込まれた製造時IDをさらに記憶しており、
    前記リライト判別手段による、前記装着されているインクカートリッジが過去にも装着されたことがあるか否かの判別は、装着時に書き込まれた前記識別IDと前記製造時IDとを組み合わせたカートリッジIDに基づいて行われることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記製造時IDおよび/または前記識別IDは、所定の方法により暗号化された値であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記第1の記憶部は、前記インク管理情報として、前記インクカートリッジの型番をさらに記憶しており、
    前記読み出し手段により読み出された前記型番に基づいて、前記装着されているインクカートリッジがプリンタ機種に対応しているか否かを判別する対応判別手段を、さらに備え、
    前記制御手段は、前記リライト判別手段の判別結果に加え、前記対応判別手段の判別結果に基づいて、前記装着されているインクカートリッジがプリンタ機種に対応していないと判定した場合も、前記インク排出増量制御を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
  8. 前記リライト判別手段によりリライトされたと判定された場合、並びに前記対応判別手段によりプリンタ機種に対応していないと判定された場合、その判別結果を記憶する判別結果記憶手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記判別結果記憶手段に前記判別結果が記憶されている場合、電源OFF時または前記インクカートリッジの脱着時までに実行する全ての前記インク排出処理において、前記インク排出増量制御を行うことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ。
  9. 前記インク排出処理手段は、前記インクジェットヘッドを駆動してインクの捨て吐出を行わせるヘッド駆動手段、および/または前記インクジェットヘッドからインクを吸引するインク吸引手段により構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタに装着されて用いられるインクカートリッジ。
  11. インクカートリッジが着脱自在に装着されると共に、当該インクカートリッジからインク供給を受けてインクを吐出するインクジェットヘッドを具備したインクジェットプリンタの機能回復制御方法であって、
    前記インクカートリッジは、少なくとも当該インクカートリッジを識別するための識別IDと、当該インクカートリッジが供給したインクの実質的な総消費量を示す積算消費量情報とを含むインク管理情報を記憶するための第1の記憶部を搭載しており、
    装着されているインクカートリッジの前記第1の記憶部から、前記インク管理情報を読み出すと共に、その読み出し結果の履歴である履歴情報を前記インクジェットプリンタの内部に搭載された第2の記憶部に記憶するステップと、
    読み出した前記インク管理情報に前記識別IDが含まれていない場合、当該識別IDを前記第1の記憶部に書き込むと共に、その書き込み結果を前記第2の記憶部に記憶するステップと、
    前記第2の記憶部に記憶している前記履歴情報と、現在装着されているインクカートリッジの前記第1の記憶部から読み出した前記インク管理情報とを照合し、これら両情報に含まれる前記識別IDと前記積算消費量情報とに基づいて、当該第1の記憶部がリライトされたか否かを判別するステップと、
    リライトされたか否かの判別結果に基づいてインク排出処理を実行することにより、前記インクジェットヘッドの機能回復を行うステップと、を備え、
    前記インク排出処理は、前記第1の記憶部がリライトされていないと判定した場合、所定量のインクを排出し、リライトされたと判定した場合、前記所定量より多くのインクを排出するように制御されることを特徴とするインクジェットプリンタの機能回復制御方法。
  12. 前記第1の記憶部は、前記インク管理情報として、前記インクカートリッジの製造時に書き込まれた製造時IDをさらに記憶しており、
    前記リライトされたか否かを判別するステップでは、装着時に書き込まれた前記識別IDと前記製造時IDとを組み合わせたカートリッジIDの履歴に基づいて、前記リライトされたか否かを判別することを特徴とする請求項11に記載のインクジェットプリンタの機能回復制御方法。
  13. 前記製造時IDおよび/または前記識別IDは、所定の方法により暗号化された値であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットプリンタの機能回復制御方法。
  14. コンピュータを、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおける各手段として機能させるためのプログラム。
  15. コンピュータに、請求項11、12または13に記載のインクジェットプリンタの機能回復制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。
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