JP2006124807A - 自動車用燃料タンク又は給油管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 C:0.05質量%以下,Si:4.0質量%以下,Mn:1.8質量%以下,P:0.045質量%以下,S:0.005質量%以下,Ni:6〜20質量%,Cr:16〜25質量%を含み、更に必要に応じてCu:2.0質量%以下,N:0.10質量%以下,Mo:0.3〜2.5質量%の一種又は二種以上を含むオーステナイト系ステンレス鋼板を基材とする自動車用燃料タンク又は給油管である。成形後の基材表面に、カチオン電着塗装,ジンクリッチ塗装,エポキシ系又はアクリル系の焼付け塗装で防食塗膜が形成されている。
【選択図】 なし
Description
自動車の排ガス規制強化に伴い保証期間が長期化される傾向を考慮すると、従来のターンめっき材や普通鋼板では要求特性を満足させ難く、樹脂製の燃料タンクや給油管ではガソリン透過が避けられず、オーステナイト系ステンレス鋼板の適用が有望な対策である。燃料タンクや給油管用素材には厳しい絞り,張出し加工性が要求されるので、フェライト系よりも加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の方が適用しやすい。
たとえば、低濃度塩化物溶液と接する環境下では、P,Mo,Nは有害でCuは応力腐食割れの抑制に有効であることが知られている。応力腐食割れに対して無害な量的レベルまでPを低減しようとすれば、特殊な精錬法を必要とするため製造コストが著しく上昇する。Cuは、応力腐食割れの抑制に有効であるものの、塩素イオンを含む水環境下で耐孔食性を著しく劣化させることも報告されている。
カチオン電着塗装は大掛かりな設備を必要とするが、自動車部材の製造に従来から使用されている電着塗装設備を転用できる。カチオン電着塗装に先立って、リン酸塩処理,クロメート処理等の化成処理を施しておくと,基材に対する電着塗膜の密着性が向上する。
これに対し、亜鉛粉を含むジンクリッチ塗料をステンレス鋼板に塗布・焼成すると、亜鉛の優先溶解に起因する犠牲防食作用に加え亜鉛の腐食生成物が鋼板表面に付着することによる腐食抑制作用がステンレス鋼板に付与される。亜鉛の腐食生成物は、ステンレス鋼板が曝される環境に応じて異なるが、主として酸化亜鉛,水酸化亜鉛等からなる。
防食塗膜の形成に有効なジンクリッチ塗料としては、亜鉛粉の防食作用が発現する限り一般の市販塗料を使用できる。スプレー,はけ塗り等でジンクリッチ塗料を塗布し,常温乾燥で塗膜を形成する方法がコスト面から好ましい。
・C:0.05質量%以下
耐隙間腐食性や耐応力腐食割れ性に悪影響を及ぼすことなくオーステナイト相を安定化させる成分であり、0.005質量%以上でC含有の効果がみられる。しかし、溶接部等の粒界腐食感受性を高めるので、上限を0.05質量%(好ましくは、0.03質量%)とする。
耐孔食性の改善に有効な成分であり、Cuが共存する系では耐応力腐食割れ性を高める作用も呈する。このような効果は、1.0質量%以上のSi添加でみられる。しかし、強力なフェライト生成元素であるため、Siの増量に応じてNiを多量添加してオーステナイト相を安定化させることが必要になる。Niの使用量を可能な限り低減する上で、Si含有量の上限を4.0質量%(好ましくは、3.0質量%)とする。
・Mn:1.8質量%以下
腐食の起点となりやすい硫化物を形成し、耐孔食性,耐応力腐食割れ性を劣化させるので少ないほど好ましい。しかし、Mnの極低下には高価な配合原料の使用を必要とするので、製鋼上不可避的に混入する量としてMn含有量の上限を1.8質量%とした。なかでも、耐応力腐食割れ性の要求が厳しい用途では、Mn含有量を0.5質量%以下に規制することにより耐応力腐食割れ性を向上させる。
耐応力腐食割れ性に有害な元素であるので、上限を0.045質量%(好ましくは、0.03質量%)とした。
・S:0.005質量%以下
鋼中のMnと反応して硫化物となり、耐孔食性,耐応力腐食割れ性を劣化させる元素であり、可能な限り低減することが好ましい。本成分系では、S含有量の上限を0.005質量%(好ましくは、0.003質量%)とした。
オーステナイト相の安定化に必須の成分であり、最低でも6質量%のNiが必要であるが、Niの増量に伴い鋼材コストが上昇するので上限を20質量%とした。6〜20質量%の範囲では、Ni添加は耐応力腐食割れ性にあまり影響しないが耐隙間腐食性の改善に効果がある。特に耐応力腐食割れ性が要求される用途では、10質量%以上のNiを含有させる。Ni含有量は、要求特性に応じて好ましくは10〜18質量%,より好ましくは12〜16質量%の範囲で選定される。
ステンレス鋼の耐食性改善に必須の合金成分であり、塩化物を含む環境下で要求される耐食性を得るためCr含有量を16質量%以上としている。Crの増量に応じて耐食性が向上するが、それに伴いNiを増量してオーステナイト相を安定化させることが必要になる。Crの過剰添加は製造性,加工性の面からも好ましくないので、上限を25質量%とした。Cr含有量は、好ましくは17〜22質量%,より好ましくは18〜20質量%の範囲で選定される。
必要に応じて添加される成分であり、塩分を若干含む水環境や塩乾湿繰り返し環境下での耐応力腐食割れ性を改善する作用がある。耐応力腐食割れ性の改善効果は、0.5質量%以上でみられ、Cuの増量に応じて大きくなる。しかし、過剰添加は耐孔食性にとって好ましくなく、応力腐食割れの起点となる孔食が発生しやすくなり、熱間加工性も劣化するので、Cu含有量の上限を2.0質量%(好ましくは、1.8質量%)とした。
・N:0.10質量%以下
必要に応じて添加される成分であり、応力腐食割れを助長するものの耐孔食性,耐隙間腐食性の向上に寄与し、応力腐食割れの起点となる腐食を抑制する。しかし、過剰添加は加工性を低下させるので、上限を0.10質量%(好ましくは、0.05質量%)とした。
必要に応じて添加される成分であり、耐応力腐食割れ性には不適であるが耐孔食性,耐隙間腐食性の改善に寄与する。Moの添加効果は、0.2質量%以上で顕著になる。Si添加で耐応力腐食割れ性を改善した本成分系では、耐応力腐食割れ性に悪影響を及ぼさないように2.5質量%までのMo含有が許容される。好ましくは、0.5〜1.5質量%の範囲でMo含有量が選定される。
以上の成分以外にも、V,Zr,Ca,Mg,Co,REM等を含む場合もある。これらの成分は、溶製中に原料であるスクラップから混入することもあるが、特に過剰に含まれる場合を除き、耐隙間腐食性や耐応力腐食割れ性に悪影響を及ぼさない。また、製造性を向上させるため微量のBを添加することもできる。
市販のリン酸塩処理液,クロメート処理液を用いて各試験片を前処理した後、カチオン電着塗装,ジンクリッチ塗装又はエポキシ系又はアクリル系の焼付け塗装により膜厚:20μmの塗膜を設けた。
ジンクリッチ塗装では、市販のジンクリッチ塗料をハケ塗りし自然乾燥することにより膜厚:20μmの塗膜を形成した。
エポキシ系の焼付け塗装では、膜厚:2μmのリン酸塩皮膜,クロメート皮膜を形成した試験片を市販のエポキシ系塗料液に浸漬し、オーブン中150℃で乾燥することにより膜厚:20μmの塗膜を形成した。
Crが不足する鋼種EやCuが過剰な鋼種Fでは、塗装の種類に拘わらず深さ:0.1mmを超える孔食があり、孔食を起点とする応力腐食割れが検出された。
Claims (3)
- C:0.05質量%以下,Si:4.0質量%以下,Mn:1.8質量%以下,P:0.045質量%以下,S:0.005質量%以下,Ni:6〜20質量%,Cr:16〜25質量%,Fe:実質的に残部の組成をもつオーステナイト系ステンレス鋼板を基材とし、製品形状に成形された基材の少なくとも一部表面にカチオン電着塗装,ジンクリッチ塗装或いはエポキシ系又はアクリル系の焼付け塗装で防食塗膜が形成されていることを特徴とする自動車用燃料タンク又は給油管。
- 更にCu:2.0質量%以下,N:0.10質量%以下,Mo:0.3〜2.5質量%の一種又は二種以上を含むオーステナイト系ステンレス鋼板を基材とする請求項1記載の自動車用燃料タンク又は給油管。
- 製品形状に成形されたオーステナイト系ステンレス鋼板の溶接部及び/又は隙間構造部にジンクリッチ塗膜が設けられている請求項1又は2記載の自動車用燃料タンク又は給油管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004317551A JP2006124807A (ja) | 2004-11-01 | 2004-11-01 | 自動車用燃料タンク又は給油管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004317551A JP2006124807A (ja) | 2004-11-01 | 2004-11-01 | 自動車用燃料タンク又は給油管 |
Publications (1)
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JP2006124807A true JP2006124807A (ja) | 2006-05-18 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004317551A Pending JP2006124807A (ja) | 2004-11-01 | 2004-11-01 | 自動車用燃料タンク又は給油管 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2006124807A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008095138A (ja) * | 2006-10-11 | 2008-04-24 | Nisshin Steel Co Ltd | オーステナイト鋼 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002060972A (ja) * | 2000-08-22 | 2002-02-28 | Nisshin Steel Co Ltd | 自動車燃料タンク用ステンレス鋼板 |
JP2002146557A (ja) * | 2000-11-08 | 2002-05-22 | Nippon Steel Corp | 耐食性、成形性および溶接性に優れた燃料タンク用潤滑表面処理ステンレス鋼 |
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2004
- 2004-11-01 JP JP2004317551A patent/JP2006124807A/ja active Pending
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JP2008095138A (ja) * | 2006-10-11 | 2008-04-24 | Nisshin Steel Co Ltd | オーステナイト鋼 |
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