JP2005531632A - 歯科材料を形成する方法および装置 - Google Patents

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Abstract

表面に第1の硬化性歯科用組成物(例えば、歯科用接着剤)を塗布するステップ、続いて、該表面上の第1の硬化性歯科用組成物に第2の硬化性歯科用組成物(例えば、歯科用コンポジット)を塗布するステップを含む、歯科材料を形成する方法。第2の硬化性組成物が第1の硬化性組成物の完全硬化の前に実質的に完全に硬化されるように、第1の硬化性歯科用組成物と第2の硬化性歯科用組成物が硬化される。

Description

本発明は、一般に逐次的な硬化を必要とする、硬化性歯科用組成物から歯科材料を形成する方法に関する。
硬化性ポリマー材料は、コンポジット、充填材、修復材、セメント、および接着剤などを含む様々な歯科用途に使用される。このような材料は、硬化時に収縮することが多い。これは、材料が例えば歯科用充填材又は修復材におけるような圧迫される環境中にあるとき、特に問題である。圧迫される環境中にある間、収縮時の寸法の変化によって材料内に歪みが発生する可能性があり、これは、典型的には、周囲の環境(例えば、歯)に対する応力になる。このような力によって、歯とポリマー材料との間に界面破壊が生じ、その結果、物理的な隙間が生じ、後で歯の窩洞への微小漏洩が生じる可能性がある。或いは、このような力は、歯および/又はコンポジット内の破損に繋がる可能性がある。
一般に、ポリマー歯科材料を硬化させる慣用的な方法には、コンポジットを口腔表面の所定の位置に接着剤で保持することが必要であり、接着剤を硬化させた後、続いてコンポジット材料を硬化させることが必要である。更に具体的には、慣用的な方法は、次のステップ、即ち、歯を表面処理(例えば、エッチング、プライマー処理)するステップ、歯の表面に硬化性接着剤を塗布するステップ、接着剤をキュアするステップ、硬化した接着剤上にコンポジット材料(例えば、修復材)を付けるステップ、およびコンポジット材料をキュアするステップの1つ以上を使用する。また、このような方法は、典型的には、約380nm〜520nmで放射する青色光源を使用し、硬化を誘導する。光キュア性歯科用組成物は、次の理由から、好ましくは約380nm〜520nmの範囲内で重合される。1)約380nm未満の波長の光を吸収するUV光開始剤又は増感剤(ベンゾインアルキルエーテル、アセトフェノン誘導体、およびベンゾフェノンなど)を使用する光活性化は、短波長放射線のため安全でないと一般に考えられている、2)約520nmより長波長の光を吸収する光開始剤又は光増感剤(エオシン染料、ローズベンガル、およびメチレンブルーなど)は、一般に白〜僅かに黄色である歯に審美的に好適でない、スペクトル領域の濃色の性質(色が赤色〜青色)のために一般に好適でない、3)約380nm〜520nmの青色光を吸収する、歯科用組成物に好ましい増感剤および開始剤は、典型的には色が淡黄色〜黄色であり、硬組織の審美性の点で臨床的に許容可能な材料を提供する。従って、記載される実用上の制限から、ほぼ例外なく青色光が使用されてきた。従って、硬化中又は硬化後に歯科材料および周囲環境に加わる応力の量を低減する、歯科材料(例えば、歯科用接着剤および歯科用コンポジット)の硬化方法が必要とされている。
米国特許第4,652,274号明細書 米国特許第4,642,126号明細書 国際公開第00/38619号パンフレット 国際公開第01/92271号パンフレット 国際公開第01/07444号パンフレット 国際公開第00/42092号パンフレット 米国特許第5,076,844号明細書 米国特許第4,356,296号明細書 EP−0373 384号明細書 EP−0201 031号明細書 EP−0201 778号明細書 米国特許第6,187,836号明細書 米国特許第6,084,004号明細書 米国特許第5,545,676号明細書 米国特許第5,856,373号明細書 米国特許第6,187,833号明細書 米国特許出願第10/050218号明細書 米国特許第4,298,738号明細書 米国特許第4,324,744号明細書 米国特許第4,385,109号明細書 米国特許第4,710,523号明細書 米国特許第4,737,593号明細書 米国特許第6,251,963号明細書 欧州特許出願第0 173 567 A2号 米国特許第4,516,195号明細書 米国特許第4,888,489号明細書 米国特許第5,147,204号明細書 国際公開第99/22667号パンフレット 国際公開第01/64129号パンフレット 米国特許出願公開第US2001/0032985 A1号明細書 米国特許第5,130,347号明細書 米国特許第5,063,257号明細書 米国特許第5,520,725号明細書 米国特許第5,859,089号明細書 米国特許第5,925,715号明細書 米国特許第5,962,550号明細書 米国特許第5,154,762号明細書 米国特許第5,871,360号明細書 米国特許第4,872,936号明細書 米国特許第5,227,413号明細書 米国特許第5,367,002号明細書 米国特許第5,965,632号明細書 米国特許出願第09/916399号明細書 米国特許出願ファイル番号57157US003号 米国特許出願ファイル番号57435US002号 米国特許第5,501,727号明細書 米国特許第4,695,251号明細書 米国特許第4,503,169号明細書 米国特許第6,387,981号明細書 国際公開第01/30304号パンフレット 国際公開第01/30305号パンフレット 国際公開第01/30306号パンフレット 国際公開第01/30307号パンフレット 米国特許第6,306,926号明細書 米国特許第4,719,149号明細書 米国特許第5,256,447号明細書 米国特許第5,525,648号明細書 米国特許第5,980,253号明細書 米国特許第6,030,606号明細書 マティス(Mathis)ら、「新規グラスアイオノマー/コンポジットレジンハイブリッド修復材(Properties of a New Glass Ionomer/Composite Resin Hybrid Restorative)」要約51番、J.Dent Res.、66:113(1987年) モリン(Morin)D、デロング(DeLong)R、ダグラス(Douglas)WH、酸エッチング技術による咬頭強化(Cusp reinforcement by the acid−etch technique)、J.Dent Res.、1984年、63:1075〜1078頁 モリン(Morin)DL、ダグラス(Douglas)WH、クロス(Cross)M、デロング(DeLong)R、修復された歯の生物物理学的応力分析:実験的歪み測定(Biophysical stress analysis of restored teeth:experimental strain measurement)、Dent Master、1988年、4:41〜48頁 ロペス(Lopes)LMP、レイタオ(Leitao)JGM、ダグラス(Douglas)WH、Quintessence Int、1991年、22:641〜645頁
本発明は、組成物を一般に逐次的に硬化させることを必要とする、硬化性組成物を硬化する(例えば、重合、架橋、イオン反応、又は他の化学反応によりキュアする)方法を提供する。このような方法は、例えば、歯科用シーラント、歯科用接着剤、歯科用セメント、歯科用コンポジット、歯科用修復材および歯科用補綴物などの歯科用途に特に有用である。本発明の方法により、典型的には、材料の硬化中および/又は硬化後に歯科材料および周囲環境に加わる応力の量が低減する。
一般に、本発明の方法には、歯科表面(例えば、歯の表面又は骨)と接触している第1の組成物と接触している第2の組成物の硬化を開始する第1のステップが必要である。続いて、第2の組成物が硬化する(例えば、重合する)間、又はそれが実質的に完全に硬化した後、方法には、第1の組成物の硬化を開始する第2のステップが必要である。典型的には、硬化ステップは、例えば、化学キュア機構又は光重合機構により実施することができる。
一実施形態では、本発明は、表面に接着される歯科材料を形成する方法を提供し、この方法は、表面に第1の硬化性歯科用組成物を塗布するステップであって、第1の硬化性組成物が約380nm〜約520nmの範囲内の放射線(青色光)を吸収する第1の光開始剤を含むステップ;表面上の第1の硬化性組成物に第2の硬化性歯科用組成物を塗布するステップであって、第2の硬化性組成物が約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を含むステップ;第2の硬化性組成物に約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、第2の組成物を選択的に硬化させるステップ、および、続いて第1の硬化性組成物に約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、第1の組成物を硬化させ、第2の組成物を表面に接着させるステップを含み、第1の光開始剤と第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない。本明細書で使用する場合、「選択的に硬化する」は、第2の組成物は硬化されるが第1の組成物は実質的に未硬化のままであることを意味する。
ある実施形態では、第1の硬化性組成物は歯科用接着剤であり、第2の硬化性組成物は歯科用コンポジットである。ある実施形態では、表面は口腔表面、典型的には歯又は骨の表面である。ある実施形態では、第1の光開始剤はホスフィンオキシドであり、第2の光開始剤はジケトンである。好ましいホスフィンオキシドは、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドであり、更に好ましくはビスアシルホスフィンオキシドである。本発明の光開始剤は、好ましくは、約380nm〜約520nmの光を吸収し、着色がほぼ無色、淡黄色、又は黄色である。
ホスフィンオキシドの例には、式、
(R12P(=O)C(=O)R2
(式中、各R1は個々にヒドロカルビル基であり、任意に2つのR1基は結合してリン原子と共に環を形成することができ、各R2は独立してヒドロカルビル基、S−、O−、若しくはN−を含有する5員環若しくは6員環の複素環基、又は−Z−C(=O)P(=O)(R12基(式中、Zは2価のヒドロカルビル基を表す)である)のアシルホスフィンオキシドが挙げられる。
また、ホスフィンオキシドの例には、式、
1P(=O)(C(=O)R22
(式中、R1はヒドロカルビル基であり、各R2は独立してヒドロカルビル基、S−、O−、又はN−を含有する5員環又は6員環の複素環基である)のビスアシルホスフィンオキシドも挙げられる。
別の実施形態では、口腔表面に接着される歯科材料を形成する方法は、口腔表面に硬化性歯科用接着剤を塗布するステップであって、硬化性接着剤が約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を吸収する第1の光開始剤を含むステップ;口腔表面上の硬化性歯科用接着剤に硬化性歯科用コンポジットを塗布するステップであって、硬化性歯科用コンポジットが約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を含むステップ;硬化性歯科用コンポジットに約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、硬化性歯科用コンポジットを選択的に硬化させるステップ;および、続いて硬化性歯科用接着剤に約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を照射し、接着剤を硬化させ、歯科用コンポジットを口腔表面に接着させるステップを含み、第1の光開始剤と第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない。
更に別の実施形態では、口腔表面に接着される歯科材料を形成する方法は、口腔表面に硬化性歯科用接着剤を塗布するステップであって、硬化性歯科用接着剤が約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を吸収するホスフィンオキシドを含むステップ;口腔表面上の硬化性歯科用接着剤に硬化性歯科用コンポジットを塗布するステップであって、硬化性歯科用コンポジットが約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収するジケトンを含むステップ;硬化性歯科用コンポジットに約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、歯科用コンポジットを選択的に硬化させるステップ;および、続いて硬化性歯科用接着剤に約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を照射し、歯科用コンポジットを口腔表面に接着させるステップを含み、第1の光開始剤と第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない。
前記の実施形態はそれぞれ少なくとも2種類の組成物を含み、そのそれぞれが少なくとも1種類の光開始剤を含む。光開始剤を1種類しか、又は全く使用しない他の実施形態も本発明の範囲内に含まれる。
このような実施形態の1つでは、本発明は口腔表面に接着される歯科材料を形成する方法を提供し、この方法は、表面に第1の硬化性歯科用組成物を塗布するステップ、表面上の第1の硬化性歯科用組成物に第2の硬化性歯科用組成物を塗布するステップ、および、第1の硬化性歯科用組成物と第2の硬化性歯科用組成物を硬化させ、第2の組成物を表面に接着させるステップであって、第2の硬化性組成物が第1の硬化性組成物の完全硬化の前に実質的に完全に硬化されるステップを含み、第1の硬化性組成物又は第2の硬化性組成物の少なくとも一方が化学硬化性である。
別の実施形態では、本発明は、口腔表面に接着される歯科材料を形成する方法を提供し、この方法は、口腔表面に硬化性歯科用接着剤を塗布するステップ、口腔表面上の硬化性歯科用接着剤に硬化性歯科用コンポジットを塗布するステップ、および、硬化性歯科用接着剤と硬化性歯科用コンポジットを硬化させ、コンポジットを表面に接着させるステップであって、硬化性歯科用コンポジットが硬化性歯科用接着剤の完全硬化の前に実質的に完全に硬化されるステップを含み、硬化性接着剤又は硬化性コンポジットの少なくとも一方が化学硬化性である。
また、本発明は、本発明のものなどの歯科用組成物を硬化させるのに使用できる装置も提供する。一実施形態では、歯科用組成物を硬化させるライトが提供され、このライトは、ハウジング;ハウジング内に配置され、第1の波長範囲内の光を放射する第1の光源;ハウジング内に配置され、第2の波長範囲内の光を放射する第2の光源;および、第1の光源と第2の光源に操作可能に接続され、第1の光源と第2の光源からの光の放射を制御する制御装置を備える。また、このようなライトを使用して歯科用組成物を硬化させる方法も本発明に包含される。
本発明は、表面に接着される歯科材料を形成する方法を提供する。表面は、典型的には、歯又は骨の表面などの口腔表面であるが、他の表面(例えば、補綴装置の調製に使用される固定具の表面など)も包含される。
歯科材料は、例えば、歯科用接着剤、歯科用コンポジット、人工歯冠、前方又は後方充填材、鋳造材料、キャビティーライナー、セメント、コーティング組成物、ミルブランク、修復材、補綴物、およびシーラントとして使用できる。好ましい態様では、歯科材料は、歯科修復材である。本発明の修復材は、口内に直接付けられ、その場でキュア(硬化)できる。
本方法には、表面に第1の硬化性歯科用組成物(例えば、歯科用接着剤)を塗布した後、表面上の第1の硬化性組成物に第2の硬化性歯科用組成物(例えば、歯科用コンポジット)を塗布するステップが必要である。第2の硬化性組成物が第1の硬化性組成物の完全硬化の前に実質的に完全に硬化するように、第1の硬化性歯科用組成物と第2の硬化性歯科用組成物は硬化される。「実質的に完全に硬化した」組成物は、典型的には歯科環境中で加えられる荷重を支持するのに十分に硬いものである。
ある実施形態では、第1の硬化性組成物と第2の硬化性組成物は両方とも、光重合性材料を含む。他の実施形態では、第1の硬化性組成物又は第2の硬化性組成物の少なくとも一方が化学硬化性である。更に他の実施形態では、第1の硬化性組成物と第2の硬化性組成物は両方とも化学硬化性である。光重合性材料と化学硬化性材料を、必要に応じて1つの組成物中に合わせることができるということも想到される。
第1の硬化性組成物と第2の硬化性組成物が両方とも光重合性材料を含む実施形態では、第1の硬化性組成物は、約380nm〜約520nm(或いは、約380nm〜約450nm)の範囲内の放射線を吸収する第1の光開始剤を含み、第2の硬化性組成物は、約380nm〜約520nm(或いは、約450nm〜約520nm)の範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を含む。これらの実施形態では、第1の光開始剤と第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない。
約520nmより長波長の顕著な放射線を吸収する光開始剤(例えば、エチルエオシン、エリスロシン、およびメチレンブルー)を使用する場合、顕著な着色が生じる可能性があり、一般に、一定の臨床用途に(例えば、歯科充填材および修復物として)は許容できない。本発明の光開始剤は、好ましくは、約380nm〜約520nmの光を吸収し、約380nm〜約520nmの光を照射する前、および照射した後の着色が、ほぼ無色、淡黄色、又は黄色である。
本発明の硬化性組成物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、又はそれらの組合せである化合物を含む。このような材料は、光重合性歯科用組成物並びに化学硬化性歯科用組成物の両方が周知である。また、典型的な重合性組成物は、フッ素供給源、抗微生物剤、促進剤、安定剤、吸収剤、顔料、染料、粘度調整剤、表面張力降下剤および湿潤助剤、酸化防止剤、フィラー、並びに当業者に周知の他の成分などの好適な添加剤を含有してもよい。重合の前後に所望の物理的特性および取扱い特性を提供するように、各成分の量および種類を調節しなければならない。
一般に、歯科用組成物は本明細書に後述される種類のフィラーを含む。組成物中の樹脂系の種類(例えば、カチオンキュア性樹脂)に応じて、異なる種類のフィラーが使用される。組成物の種類(例えば、接着剤)に応じて、異なる量のフィラーが使用される。このような情報は、一般に、当業者に既知である。例えば、接着剤およびシーラントは、一般に、軽く(例えば、組成物の総重量を基準にして、フィラーを最大約25重量%まで)充填されるか、又は充填されない。セメントは、更に多量のフィラー(例えば、組成物の総重量を基準にして、約25重量%〜約60重量%のフィラー)を含有することが多く、充填材は、更により多量のフィラー(例えば、組成物の総重量を基準にして、約50重量%〜約90重量%のフィラー)を含有することができる。
光重合性組成物
本発明の方法で使用される硬化性組成物は、ある実施形態では光重合性である、即ち、組成物は、化学線を照射すると組成物の重合(又は、硬化)を開始する光開始剤(即ち、光開始剤系)を含有する。このような光重合性組成物は、フリーラジカル重合性又はカチオン重合性とすることができる。好ましくは、照射は約380nm〜約520nmの機能波長範囲を有する。
好適な光重合性組成物は、(カチオン活性エポキシ基を含有する)エポキシ樹脂、(カチオン活性ビニルエーテル基を含有する)ビニルエーテル樹脂、および(フリーラジカル活性不飽和基を含有する)エチレン性不飽和化合物を含んでもよい。有用なエチレン性不飽和化合物の例には、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、およびこれらの組合せが挙げられる。カチオン活性官能基とフリーラジカル活性官能基の両方を単一の化合物中に含有する重合性材料も好適である。例には、エポキシ官能性アクリレート、エポキシ官能性メタクリレート、およびこれらの組合せが挙げられる。
フリーラジカル光重合性組成物
光重合性組成物は、フリーラジカル活性官能基を有する化合物を含んでもよく、これらの化合物には1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、およびポリマーを含んでもよい。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を経ることができる。このようなフリーラジカル重合性化合物には、モノ−、ジ−、又はポリ−アクリレートおよびメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、およびトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレートなど);分子量200〜500のポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレート、アクリル化モノマーの共重合性混合物((特許文献1)(ボエッチャー(Boettcher)ら)中のものなど)、およびアクリル化オリゴマー((特許文献2)(ザドー(Zador)ら)のものなど)、およびビニル化合物(スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペート、およびジビニルフタレートなど)が挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物には、例えば、(特許文献3)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、(特許文献4)(ワインマン(Weinmann)ら)、(特許文献5)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、(特許文献6)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)に開示されるシロキサン官能性(メタ)アクリレート、並びに、例えば、(特許文献7)(フォック(Fock)ら)、(特許文献8)(グリフィス(Griffith)ら)、(特許文献9)(ヴァーゲンクネヒト(Wagenknecht)ら)、(特許文献10)(ライナーズ(Reiners)ら)、および(特許文献11)(ライナーズ(Reiners)ら)に開示されるフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。必要に応じて、2種類以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用できる。
カチオン光重合性組成物
光重合性組成物は、カチオン重合性エポキシ樹脂などのカチオン活性官能基を有する化合物を含んでもよい。このような材料には、開環重合性のオキシラン環を有する有機化合物が挙げられる。これらの材料にはモノマーエポキシ化合物、およびポリマー型のエポキシドが挙げられ、これらは脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式とすることができる。これらの化合物は、一般に、平均で、1分子当り少なくとも1つの重合性エポキシ基、好ましくは少なくとも約1.5、更に好ましくは1分子当り少なくとも約2つの重合性エポキシ基を有する。ポリマーエポキシドには、末端エポキシ基を有する直鎖ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、およびペンダントのエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)などが挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物であっても、又は1分子当り1つ、2つ又はそれより多くのエポキシ基を含有する化合物の混合物であってもよい。1分子当りのエポキシ基の「平均」数は、エポキシ含有材料中のエポキシ基の総数を、存在するエポキシ含有分子の総数で除することによって決定される。
これらのエポキシ含有材料は、低分子量モノマー材料から高分子量ポリマーまで様々であってよく、その主鎖および置換基の性質が非常に様々であってよい。許容される置換基の例には、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホン酸基、シロキサン基、ニトロ基、およびリン酸基などが挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、約58〜約100,000以上まで様々であってよい。
本発明で有用な好適なエポキシ含有材料は、(特許文献12)(オックスマン(Oxman)ら)および(特許文献13)(ワインマン(Weinmann)ら)に列記されている。
また、様々なエポキシ含有材料のブレンドも想到される。このようなブレンドの例は、低分子量(200未満)、中程度の分子量(約200〜10,000)、および高分子量(約10,000超)など、エポキシ含有化合物の2つ以上の重量平均分子量分布を含む。代替で、又は追加で、エポキシ樹脂は、異なる化学的性質(脂肪族および芳香族など)又は異なる官能性(極性および非極性など)を有するエポキシ含有材料のブレンドを含有してもよい。
カチオン活性官能基を有する他の種類の有用な材料には、ビニルエーテル、オキセタン、スピロ−オルトカーボネート、およびスピロ−オルトエステルなどが挙げられる。
必要に応じて、カチオン活性官能基とフリーラジカル活性官能基の両方が単一の分子中に含有されてもよい。このような分子は、例えば、ジエポキシド又はポリエポキシドと、エチレン性不飽和カルボン酸1当量以上を反応させることによって得られてもよい。このような材料の一例は、UVR−6105(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)から入手可能)とメタクリル酸1当量との反応生成物である。エポキシ基およびフリーラジカル活性官能基を有する市販の材料には、日本、ダイセル化学工業(株)(Daicel Chemical,Japan)から入手可能なサイクロマー(CYCLOMER)M−100、M−101、又はA−200などのサイクロマー(CYCLOMER)シリーズ、並びに、ジョージア州アトランタ、UBCケミカルズ、ラドキュア・スペシャルティーズ(Radcure Specialties,UCB Chemicals,Atlanta,GA)から入手可能なエベクリル(EBECRYL)−3605が挙げられる。
カチオンキュア性組成物は、更にヒドロキシル含有有機材料を含んでもよい。好適なヒドロキシル含有材料は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有するいずれかの有機材料であってよい。好ましくは、ヒドロキシル含有材料は、2つ以上の第一級又は第二級脂肪族ヒドロキシル基を含有する(即ち、ヒドロキシル基は非芳香族炭素原子に直接結合している)。ヒドロキシル基は、末端に位置するか、又はポリマー若しくはコポリマーからのペンダントとすることができる。ヒドロキシル含有有機材料は、分子量が非常に低いもの(例えば、32)から非常に高いもの(例えば、百万以上)まで様々とすることができる。好適なヒドロキシル含有材料は、低分子量(即ち、約32〜約200)、中程度の分子量(即ち、約200〜約10,000)又は高分子量(即ち、約10,000超)を有することができる。本明細書で使用される場合、分子量は全て重量平均分子量である。
ヒドロキシル含有材料は、性質が非芳香族であってもよく、又は芳香族官能基を含有してもよい。ヒドロキシル含有材料は、任意に、分子の主鎖中に窒素、酸素、およびイオウなどのヘテロ原子を含有してもよい。ヒドロキシル含有材料は、例えば、天然の又は合成で調製されるセルロース材料から選択されてもよい。ヒドロキシル含有材料は、熱的に又は光分解に対して不安定な場合がある基を実質的に含んではならない、即ち、材料は、約100℃より低温で、又は重合組成物に望ましい光重合条件で受ける場合がある化学線の存在下で、揮発性成分を分解したり、又は遊離してはならない。
本発明に有用な好適なヒドロキシル含有材料は、(特許文献12)(オックスマン(Oxman)ら)に列記されている。
重合性組成物に使用されるヒドロキシル含有有機材料の量は、ヒドロキシル含有材料と、カチオン重合性成分および/又はフリーラジカル重合性成分との相溶性、ヒドロキシル含有材料の当量および官能性、最終組成物に所望される物理的特性、および所望の重合速度などの要因に応じて、広範囲にわたり様々であってよい。
様々なヒドロキシル含有材料のブレンドを使用してもよい。このようなブレンドの例は、低分子量(約200未満)、中程度の分子量(即ち、約200〜約10,000)および高分子量(約10,000超)など、ヒドロキシル含有化合物の2つ以上の分子量分布を含む。代替で、又は追加で、ヒドロキシル含有材料は、異なる化学的性質(脂肪族および芳香族など)又は異なる官能性(極性および非極性など)を有するヒドロキシル含有材料のブレンドを含有してもよい。追加の例として、2種類以上の多官能性ヒドロキシ材料、又は1種類以上の一官能性ヒドロキシ材料と、多官能性ヒドロキシ材料との混合物を使用してもよい。
また、重合性材料は、単一の分子中にヒドロキシル基およびフリーラジカル活性官能基を含有してもよい。このような材料の例には、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなど);グリセロールモノ(メタ)アクリレート又はグリセロールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート又はトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、およびペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールモノ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、又はソルビトールペンタ(メタ)アクリレート;および、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパンなどが挙げられる。
また、重合性材料は、単一の分子中にヒドロキシル基およびカチオン活性官能基を含有してもよい。一例は、ヒドロキシル基およびエポキシ基の両方を含む単一の分子である。
光開始剤
フリーラジカル光重合性組成物を重合させるのに好適な光開始剤(即ち、1種類以上の化合物を含む光開始剤系)には、二元系および三元系が挙げられる。典型的な三元系光開始剤は、(特許文献14)(パラツォット(Palazzotto)ら)に記載のヨードニウム塩、光増感剤、および電子供与化合物を含む。好ましいヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、およびジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート)である。好ましい光増感剤は、約450nm〜約520nm(好ましくは約450nm〜約500nm)の範囲内の光を幾らか吸収するモノケトンおよびジケトンである。更に好ましい化合物は、約450nm〜約520nm(更により好ましくは約450nm〜約500nm)の範囲内の光を幾らか吸収するα−ジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、および他の環状α−ジケトンである。最も好ましいのは、カンファーキノンである。好ましい電子供与化合物には、置換アミン(例えば、エチルジメチルアミノベンゾエート)が挙げられる。
カチオン光重合性組成物を重合させるのに好適な光開始剤には、二元系および三元系が挙げられる。典型的な三元系光開始剤は、(特許文献15)(カイサキ(Kaisaki)ら)、(特許文献13)(ワインマン(Weinmann)ら)、(特許文献16)(オックスマン(Oxman)ら)、および(特許文献12)(オックスマン(Oxman)ら)、並びに(特許文献17)(デデ(Dede)ら、2002年1月15日出願)に記載のヨードニウム塩、光増感剤、および電子供与化合物を含む。好ましいヨードニウム塩、光増感剤、および電子供与化合物は、フリーラジカル光重合性組成物を重合させる光開始剤系に関して本明細書に列記される通りである。
フリーラジカル光重合性組成物を重合させる他の好適な光開始剤には、典型的には約380nm〜約1200nmの機能波長範囲を有するホスフィンオキシドの部類が挙げられる。約380nm〜約450nmの機能波長範囲を有する、好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル開始剤は、(特許文献18)(レヒトケン(Lechtken)ら)、(特許文献19)(レヒトケン(Lechtken)ら)、(特許文献20)(レヒトケン(Lechtken)ら)、(特許文献21)(レヒトケン(Lechtken)ら)、および(特許文献22)(エルチッチ(Ellrich)ら)、(特許文献23)(コーラー(Kohler)ら)、および(特許文献24)(イン(Ying))に記載されるものなどの、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドである。
好適なアシルホスフィンオキシドは、一般式、
(R12P(=O)C(=O)R2
(式中、各R1は個々にヒドロカルビル基(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびアラルキルであり、これらはいずれも、ハロ基、アルキル基、又はアルコキシ基で置換されているものとすることができる)であり、任意に2つのR1基は結合してリン原子と共に環を形成することができ、各R2は独立してヒドロカルビル基、S−、O−、若しくはN−を含有する5員環若しくは6員環の複素環基(芳香族又は脂環式)、又は−Z−C(=O)P(=O)(R12基(式中、Zは炭素数2〜6のアルキレン又はフェニレンなどの2価のヒドロカルビル基を表す)である)を有する。
好適なビスアシルホスフィンオキシドは、一般式、
1P(=O)(C(=O)R22
(式中、R1はヒドロカルビル基であり、各R2は独立してヒドロカルビル基(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびアラルキルであり、これらはいずれも、ハロ基、アルキル基、又はアルコキシ基で置換されているものとすることができる)、S−、O−、又はN−を含有する5員環又は6員環の複素環基(芳香族又は脂環式)である)を有する。
約380nm〜約450nmより長波長の波長範囲で照射されるとき、フリーラジカル開始できる市販のホスフィンオキシド光開始剤には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(IRGACURE)819、ニューヨーク州タリータウン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)1700、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))との重量比25:75の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCURE)4265、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))との重量比1:1の混合物、および、エチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(ルシリン(LUCIRIN)LR8893X、ノースカロライナ州シャーロット、BASF社(BASF Corp.,Charlotte,NC))が挙げられる。
本発明に有用な、好ましいアシルホスフィンオキシドは、R1およびR2基がフェニル、C1〜C4アルキル、又はC1〜C4アルコキシ置換フェニルのものである。最も好ましくは、アシルホスフィンオキシドは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(IRGACURE)819、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、又はビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))である。
典型的には、ホスフィンオキシド開始剤は、光重合性組成物中に、触媒として有効な量(組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%〜約5.0重量%など)で存在する。
第三級アミン還元剤をアシルホスフィンオキシドと組合せて使用してもよい。本発明に有用な例示的な第三級アミンには、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート、およびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。アミン還元剤は、存在する場合、光重合性組成物中に、組成物の総重量を基準にして約0.1重量%〜約5.0重量%の量で存在する。
光重合手順および装置
光重合性組成物は、典型的には、「安全な光」条件(即ち、組成物の尚早な硬化を引き起こさない条件)下で、組成物の様々な成分を混和することによって調製される。混合物を調製するとき、必要に応じて、好適な不活性溶媒を使用してもよい。好適な溶媒の例には、アセトンおよびジクロロメタンが挙げられる。
硬化は、組成物を放射線源、好ましくは可視光線源に暴露することによって作用する。約380nm〜約800nmの可視光線を放射する光源を使用することが好都合な場合がある。幾つかの場合、より制限されたスペクトルの光(例えば、約380nm〜約520nmの波長を有する青色光)を放射する光源を使用することが可能な場合がある。幾つかの好適な光源の例には、石英ハロゲンランプ、タングステンハロゲンランプ、水銀アーク、カーボンアーク、低圧、中圧、および高圧水銀ランプ、プラズマアーク、発光ダイオード、並びにレーザーが挙げられるが、これらに限定されない。
一般に、有用な光源は、約200〜約1200mW/cm2の範囲の強度を有する場合がある。歯科用途に有用となり得る例の1つには、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company of St.Paul,Minnesota)から市販されているXL−3000歯科用キュアリングライトがある。このようなライトは、例えば、約400nm〜約500nmの波長で約400〜約800mW/cm2の強度を有する場合がある。
暴露は、幾つかの方法で作用してもよい。例えば、重合性組成物は、硬化プロセス全体を通して(例えば、約2秒〜約60秒)放射線に連続的に暴露されてもよい。また、組成物を1回の線量の放射線に暴露した後、放射線源を取除き、それによって重合を起させることも可能である。幾つかの場合、材料を低強度から高強度まで増強する光源に当てることもできる。
複数の暴露を使用する場合、各線量の強度は同じであっても、又は異なってもよい。同様に、各暴露の総エネルギーは同じであっても、又は異なってもよい。
硬化性組成物の硬化は、波長の異なる光に暴露することによって作用されてもよいため、それぞれが異なる波長範囲の光を提供する異なる装置を使用して、組成物の選択的な硬化を実施することができる。しかし、硬化中に使用者が装置を1つしか操作する必要がないように、異なる波長範囲の光を選択的に提供できる1つの装置を供給することが望ましい場合もある。他の代替形態では、その単一の装置は、選択された時間間隔、および選択された強度で異なる波長を自動的に供給するように設計されてもよい。
図1は、本発明に関して使用されてもよい硬化装置10の例示的な一実施形態を表す。装置10は、装置10を好都合な向きに保持することができ、装置10がバッテリーで動く場合には充電スタンドの役割をする場合もあるベース12を具備してもよい。装置10は、図1に見られるように、略円筒状の形状を有してもよいハウジング14を備えてもよい。図示される実施形態では、装置は、光が装置10の先端18から送達されるように、1つ以上の光源を作動させるスィッチ16を備える。
図示される装置10は、本質的に例示としてのみ考慮されるべきである。硬化性歯科用組成物に関して使用されてもよい他の光源は、例えば、(特許文献25)(ゴンサー(Gonser))、(特許文献26)(ブライアン(Bryan))、および(特許文献27)(パテン(Patten)ら)、並びに、(特許文献28)(ブロイレス(Broyles)ら)、および(特許文献29)(アダム(Adam)ら)に記載されている。
本発明の異なる硬化性組成物は、波長が異なる光に応答して硬化するため、装置10は異なる硬化性組成物をキュアするのに必要な、波長の異なる光を選択的に提供できることが好ましい場合がある。図2を参照すると、装置10内に収容されてもよい構成要素の幾つかのブロック図が表されている。装置10は、好ましくは、光源を作動させるのに使用できるスィッチ16を備える。スィッチ16は制御装置20に操作可能に接続され、制御装置20は1対の光源24および26に操作可能に接続される。また、制御装置20は、好ましくは、制御装置20と光源24および26に電力を提供する電源22(例えば、バッテリー、燃料電池など)にも接続される。
光源24および26は、選択された波長範囲の光の放射に限定されてもよく、それらの範囲は、重なっても重ならなくてもよい。例えば、第1の光源24は、第1の波長範囲(例えば、約380nm〜約450nm)内の光だけを放射してもよく、第2の光源は、第2の波長範囲(約450nm〜約520nm)内の光だけを放射してもよい。或いは、光源の1つは、第1の波長範囲と第2の波長範囲の両方の光を放射してもよい(又は、更に広い範囲の光を放射してもよい、例えば、光源の1つは広帯域白色光を放出してもよい)。別の実施形態では、光源は、放射される光の波長を制限するフィルタを備えてもよい。更に別の形態では、所望する全波長範囲の光を放射する1つの光源、および選択された波長範囲の光を選択的に送達する1つ以上のフィルタを備える装置を使用することが可能であってよい。このような装置の一例は、例えば、(特許文献25)(ゴンサー(Gonser))に記載されている。
波長の異なる光を提供する1つのシステムが図2に表されているが、本発明に関して有用な硬化装置の実際の構成に多くの変更が可能であり得ることを理解すべきである。例えば、装置の作動を他の技術によって達成できる場合、スィッチ16は任意であってよい(例えば、幾つかの実施形態では、スタンド12から装置10を単に取外すだけで内部スィッチが入り、装置を作動させてもよい)。別の代替では、制御装置20は光源24および26に一体化されてもよい。可能性のある更に別の形態では、各光源24および26は、電源22に、又はそれら自体の個々の電源に直接取り付けられてもよい。更に、制御装置20は、例えば、デジタルマイクロプロセッサ、アナログ回路、又はデジタル制御とアナログ制御の組合せとして提供されてもよい。構成要素の他の特定の配置および選択の形態は、当業者に分かるであろう。
更に、光源24および26は、図2に、別々の、別個の構成要素として表されているが、それらは、一体化された構成要素として一緒に提供され得ることを理解すべきである。波長の異なる光を提供できる一体化されたLED光源の一例は、(特許文献30)(バート(Baht)ら)に記載されている。他のものは、当業者に分かるであろう。
図3は、本発明に関して使用されてもよい代替の1つの硬化装置110のブロック図を表す。装置110では、2つの別々の光源124および126はそれぞれ、それら自体の制御装置120aおよび120bによってそれぞれ制御される。制御装置120aおよび120bは、それぞれ、別々の任意のスィッチ116aおよび116bでそれぞれ作動する。このようなシステムは、後述のように手動の光送達プロトコルで使用されてもよい。
本発明に関して使用されるどの硬化装置でも、硬化性組成物の選択的硬化が達成されるように、様々な異なる光送達プロトコルを使用して選択された波長範囲の光を送達してもよい。一例では、硬化性組成物は、約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を吸収する第1の光開始剤を有する第1の硬化性組成物、および約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を有する第2の硬化性組成物を含んでもよい。換言すれば、第1の硬化性組成物は第1の波長範囲内の光に応答して硬化し、第2の硬化性組成物は第2の波長範囲内の光に応答して硬化する。1つの光送達プロトコルでは、第2の硬化性組成物を選択的に硬化させるため、これらの硬化性組成物を硬化させる光の送達が、約450nm以上の波長を有する光を最初に提供することを必要とする場合がある。幾つかの場合、波長範囲の上端を約520nm以下に制限することが望ましい場合がある。少なくとも部分硬化されている、又は完全硬化されている第2の硬化性組成物では、第1の組成物を硬化させるため、約450nm以下の波長を有する光が提供されてもよい。幾つかの場合、波長範囲の下端を約380以上に制限することが望ましい場合がある。この光送達プロトコルは、逐次的であると記載されてもよい、即ち、第2の波長範囲内の光が初期の時間間隔の間送達されて停止し、続いて、初期の時間間隔の終了後、第1の波長範囲内の光が送達される。
別の光送達プロトコルでは、第2の硬化性組成物を選択的に硬化できるように、これらの硬化性組成物を硬化する光の送達が、約450nm以上の第2の波長範囲を有する光を最初に提供することを必要とする場合がある(任意に、第2の波長範囲の上端を約520nm以下に制限する)。第2の硬化性組成物が少なくとも部分硬化されている、又は完全硬化されている状態で第1の組成物を硬化させるため、約450nm以下の第1の波長範囲内の光が提供されてもよい(任意に、波長範囲の下端を約380nm以上に制限する)。この代替形態の違いは、第2の波長範囲内の光の送達が、第1の波長範囲内の光の送達中に終了しないことである。その結果、後の光送達相は、450nmより長波長と450nmより短波長の両方の光を含む(任意に、下限および上限は約380nmおよび約520nmである)。光送達のこのプロトコルは、累加式と記載されてもよい、即ち、第2の波長範囲内の光が最初の時間間隔中に送達され、続いて、最初の時間間隔の終了後に第1の波長範囲内と第2の波長範囲内の両方の光が送達される。このような累加式光送達プロトコルでは、第2の波長範囲の光しか送達されないとき、第2の硬化性組成物は部分的にしか硬化されず、第2の硬化性組成物の完全硬化は、第1の波長範囲と第2の波長範囲の両方の光を送達する間に起こる場合がある。
前記および他の異なる光送達プロトコルは、好ましくは、例えば、本発明の硬化装置内の1つ又は複数の制御装置によって自動的に実行されてもよい。或いは、硬化プロセス中に、使用者が波長の異なる光の送達を作動させることにより、異なるプロトコルを手動で実行してもよい。
化学硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、ある実施形態(例えば、歯科用接着剤組成物)では、化学硬化性である、即ち、組成物は、化学線を用いる照射に依存することなく、組成物を重合、キュア、又はその他硬化できる化学開始剤(即ち、開始剤系)を含有する。このような化学硬化性(例えば、重合性又はキュア性)組成物は、「自己キュア」組成物と称されることがあり、グラスアイオノマーセメント、樹脂変性グラスアイオノマーセメント、レドックスキュア系、およびこれらの組合せを含んでもよい。
グラスアイオノマーセメント
化学硬化性組成物は、典型的には、主成分としてエチレン性不飽和カルボン酸のホモポリマー又はコポリマー(例えば、ポリアクリル酸、および、コポリ(アクリル、イタコン酸)など)、フルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラス、水、およびキレート剤(酒石酸など)を使用する慣用的なグラスアイオノマーを含んでもよい。慣用的なグラスアイオノマーは、典型的には、使用直前に混合される粉末/液体配合物中に供給される。混合物は、ポリカルボン酸の酸性繰返し単位と、ガラスから浸出するカチオンとのイオン反応のため、暗中で自己硬化する。
樹脂変性グラスアイオノマーセメント
化学硬化性組成物は、樹脂変性グラスアイオノマー(「RMGI」)セメントを含んでもよい。慣用的なグラスアイオノマーのように、RMGIセメントは、FASガラスを使用する。しかし、RMGIの有機部分が異なる。ある種のRMGIでは、ポリカルボン酸は、酸性繰返し単位の幾つかを硬化性のペンダント基で置換する又はエンドキャップするように変性され、例えば、(特許文献31)(ミトラ(Mitra))に記載のような第2のキュア機構を提供するように光開始剤が添加される。アクリレート基又はメタクリレート基は、通常、硬化性のペンダント基として使用される。別の種類のRMGIでは、セメントは、例えば(非特許文献1)、並びに、(特許文献32)(アカハネ(Akahane)ら)、(特許文献33)(カトウ(Kato)ら)、(特許文献34)(チェン(Qian)ら)、(特許文献35)(ミトラ(Mitra)ら)、および(特許文献36)(アカハネ(Akahane)ら)におけるようなポリカルボン酸、アクリレート、又はメタクリレート官能性モノマー、および光開始剤を含む。別の種類のRMGIでは、セメントは、例えば、(特許文献37)(ミトラ(Mitra)ら)、(特許文献33)(カトウ(Kato)ら)、(特許文献38)(カトウ(Kato))に記載されるポリカルボン酸、アクリレート又はメタクリレート官能性モノマー、およびレドックス又は他の化学キュア系を含んでもよい。別の種類のRMGIでは、セメントは、(特許文献39)(エンゲルブレヒト(Engelbrecht))、(特許文献40)(ミトラ(Mitra))、(特許文献41)(ホアン(Huang)ら)、および(特許文献42)(オルロースキー(Orlowski))に記載される、様々なモノマー含有成分又は樹脂含有成分を含んでもよい。RMGIセメントは、好ましくは、粉末/液体系、又はペースト/ペースト系として配合され、混合および塗布される時、水を含有する。組成物は、ポリカルボン酸の酸性繰返し単位とガラスから浸出したカチオンとのイオン反応のため、暗中で硬化することができ、また、市販のRMGI製品は、典型的には、セメントに歯科用キュアリングランプからの光を暴露してもキュアする。レドックスキュア系を含有し、化学線を使用することなく暗中でキュアできるRMGIセメントが、(特許文献43)(ミトラ(Mitra)、2001年7月27日出願)に記載されている。
レドックスキュア系
化学硬化性組成物は、重合性成分(例えば、エチレン性不飽和重合性成分)と、レドックス剤(酸化剤と還元剤を含む)とを含むレドックスキュア系を含んでもよい。好適な重合性成分、レドックス剤、任意の酸官能性成分、および本発明で有用な任意のフィラーは、(特許文献44)(ミトラ(Mitra)ら、2002年4月12日出願)、(特許文献45)(ミトラ(Mitra)ら、2002年4月12日出願)に記載されている。
還元剤および酸化剤は、互いに反応、又はさもなければ協働し、樹脂系(例えば、エチレン性不飽和成分)の重合を開始できるフリーラジカルを生成しなければならない。この種のキュアは暗反応である、即ち、光の存在に依存せず、光がなくても進行できる。還元剤および酸化剤は、好ましくは、十分な貯蔵性があり、望ましくない着色がないため、典型的な歯科条件下での貯蔵および使用が可能である。それらは、重合性組成物の他の成分中に容易に溶解できるように(および、重合性組成物の他の成分から分離しないように)するため、樹脂系と十分な混和性がなければならない(および、好ましくは水溶性でなければならない)。
有用な還元剤には、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、および金属錯化アスコルビン酸化合物((特許文献46)(ワン(Wang)ら)に記載);アミン、特に第三級アミン(4−t−ブチルジメチルアニリンなど);芳香族スルフィン酸塩(p−トルエンスルフィン酸塩およびベンゼンスルフィン酸塩など);チオ尿素(1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、および1,3−ジブチルチオ尿素など);およびこれらの混合物が挙げられる。他の二次的な還元剤には、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存)、亜ジチオン酸アニオンの塩又は亜硫酸アニオンの塩、およびこれらの混合物を挙げてもよい。好ましくは、還元剤はアミンである。
また、好適な酸化剤も当業者に周知であり、過硫酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、セシウム塩、およびアルキルアンモニウム塩など)が挙げられるが、これらに限定されない。追加の酸化剤には、過酸化物(ベンゾイルパーオキシドなど)、ハイドロパーオキシド(クミルハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、およびアミルハイドロパーオキシドなど)、並びに、遷移金属塩(塩化コバルト(III)および塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)、過ホウ酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、過リン酸およびその塩、並びにこれらの混合物)が挙げられる。
2種類以上の酸化剤又は2種類以上の還元剤を使用することが望ましい場合がある。少量の遷移金属化合物を添加してレドックスキュアの速度を加速してもよい。幾つかの実施形態では、(特許文献45)(ミトラ(Mitra)ら、2002年4月12日出願)に記載のように重合性組成物の安定性を向上させるため、二次的なイオン性塩を含むことが好ましい場合がある。
還元剤および酸化剤は、適切なフリーラジカル反応速度を可能にするのに十分な量で存在する。これは、任意のフィラーを除く重合性組成物の全成分を合わせ、硬化した塊が得られるか否かを観察することによって評価できる。
好ましくは、還元剤は、重合性組成物の成分の総重量(水を含む)を基準にして、少なくとも約0.01重量%、更に好ましくは少なくとも約0.10重量%の量で存在する。好ましくは、還元剤は、重合性組成物の成分の総重量(水を含む)を基準にして、約10重量%以下、更に好ましくは約5重量%以下の量で存在する。
好ましくは、酸化剤は、重合性組成物の成分の総重量(水を含む)を基準にして、少なくとも約0.01重量%、および更に好ましくは少なくとも約0.10重量%の量で存在する。好ましくは、酸化剤は、重合性組成物の成分の総重量(水を含む)を基準にして、約10重量%以下、更に好ましくは約5重量%以下の量で存在する。
(特許文献37)(ミトラ(Mitra)ら)に記載のように、還元剤または酸化剤をマイクロカプセル化することができる。これによって、一般に、重合性組成物の貯蔵性が向上し、必要に応じて、還元剤と酸化剤を一緒に包装することができる。例えば、封入剤の適切な選択によって、酸化剤および還元剤を酸官能性成分および任意のフィラーと合わせ、貯蔵安定な状態に保持することができる。同様に、水溶性封入剤の適切な選択によって、還元剤および酸化剤をFASガラスおよび水と合わせ、貯蔵安定な状態に維持することができる。
レドックスキュア系を他のキュア系と(例えば、グラスアイオノマーセメントと、および、(特許文献37)(ミトラ(Mitra)ら)に記載されるものなどの光重合性組成物と)合わせることができる。
レドックスキュア系を使用する硬化性組成物は、2部式の粉末/液体系、ペースト/液体系、およびペースト/ペースト系を含む様々な形態で供給できる。各部が粉末、液体、ゲル、又はペーストの形態である、複数部分の組合せ(即ち、2部以上の組合せ)を使用する他の形態も可能である。複数部分からなる系では、一部分が典型的には還元剤を含有し、別の部分が典型的には酸化剤を含有する。従って、系の一部分に還元剤が存在する場合、酸化剤は典型的には系の別の部分に存在する。しかし、マイクロカプセル化技術を使用して、系の同じ部分で還元剤と酸化剤を組み合わせることができる。
フィラー
また、本発明の硬化性組成物は、フィラーを含有することもできる。フィラーは、歯科用修復組成物に現在使用されているフィラーなどの、歯科用途に使用される組成物に組込むのに好適な、1種類以上の様々な材料から選択されてもよい。
フィラーは、好ましくは微粉砕されている。フィラーは、単峰性(unimodial)又は多峰性(polymodial)(例えば、二峰性(bimodal))がある粒度分布を有することができる。好ましくは、フィラーの最大粒度(粒子の最大寸法、典型的には直径)は、約10マイクロメートル未満、更に好ましくは約2.0マイクロメートル未満である。好ましくは、フィラーの平均粒度は、約3.0マイクロメートル未満、更に好ましくは約0.6マイクロメートル未満である。
フィラーは、無機材料とすることができる。また、フィラーは、樹脂系に不溶性の架橋有機材料とすることもでき、任意に、無機フィラーで充填される。フィラーは、いかなる場合も非毒性で、口内で使用するのに好適でなければならない。フィラーは、放射線不透過性又は放射線半透過性とすることができる。また、フィラーは実質的に非水溶性である。
好適な無機フィラーの例には、天然材料又は合成材料があり、石英;窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えば、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、およびAlに由来するガラス;長石;ホウケイ酸ガラス;カオリン;タルク;チタニア;(特許文献47)(ランドクレブ(Randklev))に記載されるものなどの低モース硬度フィラー;および、サブミクロンシリカ粒子(例えば、オハイオ州アクロン、デグサ社(Degussa Corp.,Akron,OH)からエアロシル(AEROSIL)の商品名で入手可能なもの(「OX50」、「130」、「150」および「200」シリカを含む)、およびイリノイ州タスコラ、カボット社(Cabot Corp.,Tuscola,IL)製のCAB−O−SIL M5シリカなどの熱分解法シリカ)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機フィラー粒子の例には、充填又は非充填微粉状ポリカーボネート、およびポリエポキシドなどが挙げられる。
好ましい非酸反応性フィラー粒子は、石英、サブミクロンシリカ、および、(特許文献48)(ランドクレブ(Randklev))に記載される種類の非ガラス質微粒子である。これらの非酸反応性フィラーの混合物、並びに、有機材料と無機材料から製造されるコンビネーションフィラーも想定される。
また、フィラーと樹脂との間の結合を向上させるため、フィラー粒子の表面をカップリング剤で処理することもできる。好適なカップリング剤の使用には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、およびγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが含まれる。
また、フィラーは、酸反応性フィラーとすることもできる。酸反応性フィラーは、典型的には、酸官能性樹脂成分と組み合わせて使用され、非反応性フィラーと組み合わせて使用されても、又は組み合わせて使用されなくてもよい。酸反応性フィラーは、必要に応じて、フッ化物放出特性を有することができる。好適な酸反応性フィラーには、金属酸化物、ガラス、および金属塩が挙げられる。好ましい金属酸化物には、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛が挙げられる。好ましいガラスには、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、およびフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが特に好ましい。FASガラスは、好ましくは、十分な溶離性カチオンを含有し、ガラスを硬化性組成物の成分と混合すると、硬化した歯科用組成物が形成される。また、好ましくは、硬化した組成物が抗う食性を有するように、十分な溶離性フッ化物イオンを含有する。ガラスは、FASガラス製造分野の当業者に周知の技術を使用して、フッ化物、アルミナ、および他のガラス生成成分を含有する溶融物から製造できる。FASガラスは、他のセメント成分と好都合に混合でき、得られる混合物が口内で使用されるとき良好に機能するように、好ましくは、十分に微粉砕された粒子の形態である。
好ましくは、FASガラスの平均粒度(典型的には直径)は、例えば、沈降分析器を使用して測定する場合、約10マイクロメートル以下、更に好ましくは約5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者に周知であり、様々な供給元から市販されており、多くのものは、ビトレマー(VITREMER)、ビトレボンド(VITREBOND)、リライXルーティングセメント(RELY X LUTING CEMENT)、およびケタック−フィル(KETAC−FIL)(ミネソタ州セントポール、3M ESPEデンタルプロダクツ(3M ESPE Dental Products,St.Paul,MN))、フジ(FUJI)II、GCフジ(FUJI)LC、およびフジ(FUJI)IX(日本、東京、株式会社ジーシー(G−C Dental Industrial Corp.,Tokyo,Japan))、およびケムフィル・スーペリア(CHEMFIL Superior)(ペンシルバニア州ヨーク、デンツプライ・インターナショナル(Dentsply International,York,PA))の商品名で市販されているものなどの現在入手可能なグラスアイオノマーセメント中に見出される。必要に応じて、フィラーの混合物を使用することができる。
FASガラスを任意に表面処理することができる。好適な表面処理には、酸洗浄(例えば、リン酸を用いる処理)、リン酸塩を用いる処理、酒石酸などのキレート剤を用いる処理、シラン、又は、酸性若しくは塩基性シラノール溶液を用いる処理が挙げられるが、これらに限定されない。望ましくは、処理溶液又は処理されたガラスのpHは、中性又は中性付近に調節されるが、それは、これによって硬化性組成物の貯蔵安定性を増大できるからである。
ある組成物では、同じ部分に又は異なる部分に、酸反応性フィラーと非酸反応性フィラーとの混合物を使用することができる。
他の好適なフィラーは、(特許文献49)(チャン(Zhang)ら)、並びに、(特許文献50)(ウー(Wu)ら)、(特許文献51)(チャン(Zhang)ら)、(特許文献52)(ウィンディッシュ(Windisch)ら)、および(特許文献53)(チャン(Zhang)ら)に開示されている。
(特許文献54)(ブレッチャー(Bretscher)ら)は、フリーラジカル重合性組成物、カチオン重合性組成物、および、フリーラジカル重合性成分とカチオン重合性成分の両方を特徴とするハイブリッド組成物に使用できる多数の放射線不透過性フィラーを開示している。それらは、カチオン重合組成物に使用するのに、特に好都合である。このようなフィラーの1つは、酸化アルミニウム5〜25重量%、酸化ホウ素10〜35重量%、酸化ランタン15〜50重量%、酸化ケイ素20〜50重量%を含む、溶融物由来のフィラーである。別のフィラーは、酸化アルミニウム10〜30重量%、酸化ホウ素10〜40重量%、酸化ケイ素20〜50重量%、酸化タンタル15〜40重量%を含む、溶融物由来のフィラーである。第3のフィラーは、酸化アルミニウム5〜30重量%、酸化ホウ素5〜40重量%、酸化ランタン0〜15重量%、酸化ケイ素25〜55重量%、酸化亜鉛10〜40重量%を含む、溶融物由来のフィラーである。第4のフィラーは、酸化アルミニウム15〜30重量%、酸化ホウ素15〜30重量%、酸化ケイ素20〜50重量%、および酸化イッテルビウム15〜40重量%を含む、溶融物由来のフィラーである。第5のフィラーは、ゾルゲル法によって調製される非ガラス質微粒子の形態であり、ゾルゲル法では、無定形酸化ケイ素の水性又は有機分散体又はゾルを、放射線不透過性金属酸化物又は前駆体有機若しくは無機化合物の、水性又は有機分散体、ゾル、又は溶液と混合する。第6のフィラーは、ゾルゲル法によって調製される非ガラス質微粒子の形態であり、ゾルゲル法では、無定形酸化ケイ素の水性又は有機分散体又はゾルを、放射線不透過性金属酸化物又は前駆体有機若しくは無機化合物の水性又は有機分散体、ゾル、又は溶液と混合する。
歯科用接着剤
多数の硬組織接着剤の例が開示されてきた。例えば、(特許文献55)(アーセン(Aasen)ら)およびその中の参考文献は、メタクリレートベースのコンポジットを硬組織に接着させる様々な材料と方法を含んでいる。歯に結合する様々な好ましい材料およびプロトコルを記載する他の多くの特許(例えば、(特許文献56)(オックスマン(Oxman)ら))、および(特許文献57)(アーセン(Aasen)ら)など)がある。(特許文献58)(オックスマン(Oxman)ら)は、カチオンキュア性組成物を硬組織に結合させる材料と方法を記載している。また、(特許文献3)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、(特許文献4)(ワインマン(Weinmann)ら)、(特許文献5)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、(特許文献6)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)に開示されるシロキサン官能性(メタ)アクリレート、および(特許文献7)(フォック(Fock)ら)、(特許文献8)(グリフィス(Griffith)ら)、(特許文献9)(ワーゲンクネヒト(Wagenknecht)ら)、(特許文献10)(レイナーズ(Reiners)ら)、(特許文献11)(レイナーズ(Reiners)ら)に開示されるフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートを歯科用接着剤として使用できる。
歯科用接着剤のある実施形態は、少なくとも1種類のフリーラジカル阻害剤を含む。阻害剤の量は、境界間の(cross−boundary)重合の量を低減するのに十分な量である。例には、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、MEHQ(メチルエチルヒドロキノン)、およびビスフェノールAが挙げられる。典型的には、阻害剤は、樹脂(例えば、フィラーを含まない接着剤組成物)の重量を基準にして、約0.05重量%〜約1.0重量%の量で使用される。
このような既知の材料を本発明の方法に使用することができる。一般に、これらの材料は、最初に接着剤、次いでコンポジット材料を硬化させる方法に使用されてきた。即ち、慣用的な方法は、次のステップ、即ち、歯の表面を処理(例えば、エッチング、プライマー処理)するステップ、歯の表面に硬化性接着剤を塗布するステップ、接着剤をキュアさせるステップ、硬化した接着剤上にコンポジット材料(例えば、修復材)を付けるステップ、およびコンポジット材料をキュアするステップの1つ以上を使用する。また、このような方法は、硬化を誘導するため、典型的には、約380nm〜520nmで放射する青色光源を使用する。
対照的に、本発明によれば、コンポジット材料は、接着剤の完全硬化の前に、実質的に完全に硬化される。例えば、一実施形態では、硬化性接着剤は、約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を吸収する第1の光開始剤(例えば、ホスフィンオキシド)を含み、約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を含む硬化性歯科用コンポジットが硬化された後にのみ照射される。これは、異なる波長の放射線を吸収する2種類の光開始剤を使用することによって起こり、硬化プロセスは、2つの異なる照射波長を別々に、および逐次的に使用することによって制御できる。
歯科用コンポジット
本発明のコンポジットは、一般に、高充填組成物であると考えられ、典型的には、フリーラジカル光開始剤系および又はカチオン光開始剤系(例えば、本明細書に記載の三元系光開始剤系)を使用して、硬化(例えば、重合又はキュア)される。キュアされたコンポジットは、穴、裂溝、又は窩洞(例えば、歯の中の窩洞)に充填する充填材又は修復材として有効である。
好ましいコンポジット材料には、メタクリレート組成物およびエポキシ組成物、並びにポリアクリル酸、水、FASガラス、および任意にフリーラジカル重合性樹脂、および重合触媒を含むグラスアイオノマー((特許文献54)(ブレッチャー(Bretscher)ら)、および(特許文献59)(ホームズ(Holmes)ら)に記載のものなど)が挙げられる。
本発明の目的および利点を以下の実施例で更に説明するが、これらの実施例に列挙される特定の材料およびその量、並びに、他の条件および詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。別途表示されない限り、部およびパーセンテージは全て重量を基準にしており、水は全て脱イオン水であり、分子量は全て重量平均分子量である。
実施例
Figure 2005531632
試験方法
剪断結合強度:歯の表面(象牙質又はエナメル質)を引張の方向に平行な向きにして、歯のサンプルを「インストロン(Instron)」装置のジョーに固定されている保持器に取り付けることによって、剪断結合強度を評価した。歯の表面に結合している硬化した修復材の周りに歯科矯正ワイヤ(直径0.44mm)のループを配置した。歯科矯正ワイヤの端部をインストロン(Instron)装置の引張ジョーに固定し、それによって結合を剪断応力下に置いた。修復材が歯の表面から分離するまで、2mm/分のクロスヘッド速度を使用して結合に応力を加えた。結合を破壊するのに必要な力(MPa単位)を5つのサンプルの平均として報告した。
歯の歪み:次の出版物、(非特許文献2)、(非特許文献3)、(非特許文献4)に記載される方法論に従い、歪みゲージを使用し、修復された歯の歪み測定を行った。
簡潔には、本発明の方法を使用して後で行う修復のために、抜歯され、近心−咬合−遠心(MOD)構成で切削されたヒトの歯(小臼歯)の両側に、歪みゲージ(CEA−06−032UW−120型、ノースカロライナ州ローリー、メジャメンツ・グループ社、マイクロ−メジャメンツ事業部(Measurements Group,Inc., Micro−Measurements Division, Raleigh, NC))を結合させた。結合は、M−ボンド200接着剤キット(M−Bond 200 Adhesive Kit)(ノースカロライナ州ローリー、メジャメンツ・グループ社、M−ラインアクセサリーズ(Measurements Group,Inc., M−Line Accessories, Raleigh, NC))で達成された。クォーターブリッジ回路配列(外部ダミー)を使用して、歪みゲージを歪み調整装置(8チャネル2100システム(Eight−Channel 2100 System)、ノースカロライナ州ローリー、メジャメンツ・グループ社、インスツルメンツ事業部(Measurements Group,Inc., Instruments Division, Raleigh, NC))に接続した。1測定当り300秒間、5Hzにおける歪みゲージチャネル、対、時間を両方とも即時収集するため、歪み調整装置をPC(スリムライン(Slimline)−325(386)、ノースゲートコンピュータ・システムズ、カリフォルニア州シティ・オブ・インダストリー、ノースゲート・イノベーションズ社(Northgate Computer Systems,Northgate Innovations,Inc.,City of Industry,CA);収集ソフトウェアプログラム(Acquisition Software Program):ラブテック・ノートブック(Labtech Notebook)(バージョン6.2.0)、メリーランド州ベテスダ、アデプト・サイエンティフィック社(Adept Scientific Inc.,Bethesda,MD))に接続した。様々な修復手順の結果を「マイクロストレイン」単位で報告したが、値が大きいほど修復物内の歯の応力および歪みが大きいことを示す。
接着剤組成物
接着剤A:ビス−GMA/HEMAの65/35重量%ブレンドを、CPQ(0.5%)、EDMAB(0.5%)、およびOMAN072SbF6ヨードニウム塩(0.5%)と合わせることによって、接着剤組成物を調製した。この組成物を接着剤Aと称した。
接着剤B−H:ビス−GMA/HEMAの65/35重量%ブレンドを、イルガキュア(IRGACURE)819(1.5%)、およびBHT阻害剤(0.5%)と合わせることによって、接着剤組成物を調製した。この組成物を接着剤Bと称した。接着剤C−Hは、表1に示されるように、イルガキュア(IRGACURE)819とBHTの濃度が異なること以外、接着剤Bについて記載されるように調製された。
Figure 2005531632
接着剤I:ビス−GMA/HEMAの60/40重量%ブレンドを、イルガキュア(IRGACURE)819(0.5%)およびBHT阻害剤(0.1%)と合わせることによって、接着剤組成物を調製した。この組成物を接着剤Iと称した。
実施例1−異なる光開始剤系を有する組成物の選択的キュア
この実施例の目的は、異なる光開始剤系を有する組成物に、異なる有効波長範囲を有する光を当てて選択的にキュア(即ち、硬化した材料に重合)できることを例証することであった。別の目的は、様々な接着剤組成物を塗被され、歯科修復材を充填され、逐次的に照射された歯のサンプルの剪断結合強度を測定することであった。
エナメル質および象牙質の歯のサンプルは、標準的な120グリット/600グリットで研削し、スコッチボンド(SCOTCHBOND)リン酸エッチング剤(3M社(3M Company))でエッチングし、スコッチボンド(SCOTCHBOND)多目的プライマー(3M社(3M Company))でプライマー処理することにより、慣用的な方式で調製された。次いで、別々に調製した歯のサンプルに接着剤A又は接着剤Bを塗布して薄い被膜を形成し、キュアしないまま放置した。接着剤を塗被されたそれぞれの歯のサンプルの上に、厚さが2.5mmであり、直径4mmの円筒状の穴を有するテフロン(登録商標)(Teflon)型を置き、Z100歯科修復材を充填した。次いで、接着剤を塗被され、修復材を充填された歯のサンプルを次の2つのキュア方法の1つで照射した。
キュア方法1。約460〜500nmの有効波長範囲を有するアクキュア(ACCUCURE)3000レーザー(ユタ州ソルトレークシティ、レーザーメッド(Lasermed,Salt Lake City,UT))に10秒間50mw/cm2で暴露することにより、歯のサンプルを照射した。この波長範囲の放射線は、一般に約400〜500nmの波長範囲内でキュアするCPQベースの光開始剤系を有する材料をキュアさせることが予測されるが、一般に約380〜450nmの波長範囲内でキュアするイルガキュア(IRGACURE)819光開始剤系を有する材料をキュアさせることは予測されない。
キュア方法2。歯のサンプルをキュア方法1で照射した後、続いて、約400〜500nmの有効波長範囲を有するビジルクス(VISILUX)2500ハロゲンライト(3M社(3M Company))に20秒間800mw/cm2で暴露することによって照射した。この波長範囲の放射線は、CPQベースの光開始剤系、又はイルガキュア(IRGACURE)819光開始剤系を有する材料をキュアさせることが予測される。
剪断結合強度の決定。次いで、照射された歯のサンプルの剪断結合強度を、本明細書に記載の剪断結合強度試験方法に従って評価したが、その結果を表2に報告する。接着剤層と修復材の両方がキュア(硬化)された状態にあるとき、一般に高い結合強度が達成されている。
キュア方法1(約460〜500nmでのキュア)により照射された歯のサンプルの場合、接着剤A(CPQ含有)およびZ100(CPQ含有)(実験1)で高い結合強度が達成されたが、接着剤B(イルガキュア(IRGACURE)819含有)およびZ100(実験2および3)では高い結合強度は達成されなかった。460〜500nmで照射すると、接着剤AおよびZ100修復材はキュアされたが、接着剤Bはキュアされなかったことが結論付けられる。
キュア方法2(約460〜500nmで照射後、約400〜500nmで照射)により照射された歯のサンプルの場合、接着剤A/Z100の組合せと接着剤B/Z100の組合せの両方(実験4〜6)で高い結合強度が達成された。この方法でキュアすると、まず、(460〜500nmで)接着剤AとZ100修復材がキュアされ、次いで、(400〜500nmで)接着剤Bがキュアされた。
Figure 2005531632
実施例2−異なる光開始剤系を有する組成物の選択的キュア
接着剤A又は接着剤Bの層を別々のスライドガラス上に塗被して層を形成した後、各接着剤層にZ100修復材層を追加した。塗被されたスライドを実施例1に記載のようにアクキュア(ACCUCURE)3000レーザーで照射した後(キュア方法1)、Z100層は接着剤Bを塗被したスライド上で容易に動かすことができたが、一方、Z100層は接着剤Aを塗被したスライドにしっかりと接着していた。続いて、実施例1に記載のようにビジルクス(VISILUX)2500ハロゲンライトで照射すると(キュア方法2)、Z100層は、接着剤Bを塗被したスライドにしっかりと接着した。
実施例3−異なる光開始剤系を有する組成物の選択的キュア
接着剤A又は接着剤Bの1アリコートを別々のガラスバイアル瓶に添加した後、各バイアル瓶にP−60修復材の1アリコートを添加した。充填されたバイアル瓶を15秒間アクキュア(ACCUCURE)3000レーザーで照射した後、P−60修復材は、固化した接着剤A中で固体ポリマーにキュアしたが、もう一方のバイアル瓶では、P−60固体ポリマーはまだ流体の接着剤Bによって取囲まれていた。続いて、実施例1に記載のようにビジルクス(VISILUX)2500ハロゲンライトで照射すると(キュア方法2)、接着剤Bは固化することが予測される。
460〜500nmの波長範囲で照射すると、接着剤AとZ100修復材(両方ともCPQベースの光開始剤系を有する)はキュアされたが、接着剤B(イルガキュア(IRGACURE)819を有する)はキュアせず、続いて、400〜500nmの波長範囲で照射すると、接着剤Bがキュアされた、又はキュアされることが、実施例2および実施例3の結果から結論付けられる。
実施例4−選択的キュアに対するBHT/イルガキュア(IRGACURE)819濃度の影響
接着剤B−Hのアリコートをスライドガラス上に別々に付け、実施例1に記載のようにアクキュア(ACCUCURE)3000レーザーで照射した(キュア方法1)。接着剤組成物は、硬化状態にキュアしなかった。
次いで、接着剤B−Hを別々のスライドガラス上に塗被して薄層を形成した後、各接着剤層にZ100修復材層を追加した。塗被されたスライドを実施例1に記載のようにアクキュア(ACCUCURE)3000レーザーで照射した後(キュア方法1)、接着剤D−H層上のキュアされた固体Z100層はスライドガラスに接着していたが、接着剤B−C層上のキュアされた固体Z100層は、スライドガラスに接着しなかった。Z100層と接着剤D−H層との接着は、Z100キュアで開始する境界間の(cross−boundary)キュア(即ち、重合)に起因した場合があり、また、接着剤中のBHTフリーラジカル阻害剤が不十分なために起こった場合がある。対照的に、Z100層と接着剤B−C層が接着しなかったことは、これらの接着剤中に十分なBHT阻害剤が存在し、Z100キュアによる境界間の(cross−boundary)キュアが防止された又は最小限になったことを示唆する。続いて、実施例1に記載のようにビジルクス(VISILUX)2500ハロゲンライトで照射すると(キュア方法2)、Z100層は、接着剤Bを塗被したスライドと接着剤Cを塗被したスライドに接着した。
逐次的にキュアされる修復材−接着剤手順で、意図する結果を達成するには、ホスフィンオキシド光開始剤を基準にする接着剤組成物中のフリーラジカル阻害剤の濃度が重要になり得ることが、これらの実施例の結果から結論付けられる。
実施例5−選択的キュア後の歯の歪みに対する影響
抜歯されたヒトの歯(小臼歯)を切削して、歯科分野で周知のMOD(近心、咬合、遠心)を形成し、本明細書に記載の歯の歪み試験方法に詳述されるように、照射中および照射後の歯の移動を測定するため、歯の構造の両側に歪みゲージを取り付けた。スコッチボンド(SCOTCHBOND)リン酸エッチング剤で10〜20秒間エッチングし、スコッチボンド(SCOTCHBOND)多目的プライマーでプライマー処理することにより、慣用的な方式で歯のサンプルを調製した。次いで、調製された歯の窩洞に接着剤Bを塗布して薄い被膜を形成し、後のステップは、次の2つのプロトコルの1つに従った。
標準(慣用的)プロトコル:約400−500nmの有効波長範囲を有するエリパー・トライライト(ELIPAR Trilight)(3M社(3M Company))に20秒間、800mw/cm2で暴露することにより、接着剤を塗被された歯の窩洞を照射した。接着剤層は、硬質の被膜にキュアした。次いで、窩洞にZ100修復材を充填し、修復材をキュアさせるのと同じ光で60秒間照射した。
2波長プロトコル:接着剤を塗被された(キュアされていない)歯の窩洞にZ100修復材を充填し、約475−500nmの有効波長範囲を提供するように、475nmのカットオフを有するオリエル(Oriel)51290光フィルタ(コネチカット州ストラットフォード、オリエル(Oriel,Stratford,CT))でフィルタリングされるエリパー・トライライト(ELIPAR Trilight)に60秒間、800mw/cm2で暴露することにより、充填された歯を照射した。この波長範囲で修復材はキュアされたが、接着剤Bはキュアされなかった。次いで、充填された歯のサンプルをオリエル(Oriel)フィルタを用いずにエリパー・トライライト(ELIPAR Trilight)で20秒間照射することにより、接着剤B層をキュアした。
標準プロトコルと2波長プロトコルの両方で、本明細書に記載の歯の歪み試験方法に従ってキュアおよびポストキュア中の、歯の歪み対時間を測定した。初期照射の開始から5分後の「極限歪み」に関する結果は、標準プロトコルでは約200マイクロストレイン、2波長プロトコルでは約50マイクロストレインであった。従って、この実験結果から、2波長プロトコルでは標準プロトコルと比較して歯の歪みが75%低減することを結論付けることができる。
実施例6−異なるキュア機構を用いる組成物の逐次的キュア
この実施例の目的は、接着剤層と、それに続いて塗布されるコンポジット層を、異なるキュア方法を使用して逐次的にキュアすること(例えば、コンポジット層に化学的キュア(自己キュア)機構、それに続いて、接着剤層に光キュア機構)を例証することであった。
アクリル樹脂中に埋設されたウシの歯のサンプルを、平滑で均一なエナメル質表面が得られるように120グリットのサンドペーパーで調製した。スコッチボンド(SCOTCHBOND)リン酸エッチング剤(3M社(3M Company))を5本の歯のグループにブラシで塗布し、約15秒間、歯の表面に付けておいた。この歯を水で十分にすすぎ、過剰のエッチングジェルを除去した後、圧縮空気流で乾燥させた。
厚さが2.5mmであり、ゼラチンカプセルスリーブを嵌めた直径4.7mmの円筒状の穴を有するテフロン(登録商標)(Teflon)型を、エッチングされた歯のエナメル質表面に直接付け、心合わせし、固定した。光硬化性接着剤I組成物(イルガキュア(IRGACURE)819光開始剤を含有)を各テフロン(登録商標)(Teflon)型の穴の真下のエナメル質表面にブラシで塗布し、薄膜を形成した。次いで、表3に列記されるペーストAおよびペーストB成分から製造される、2部式の自己キュア性(即ち、レドックスキュア系を使用して化学的に重合できる)コンポジット材料を次の3つのキュア方法に記載のように使用した。
Figure 2005531632
キュア方法1。約400〜500nmの有効波長範囲を有するXL3000デンタル・キュアリング・ライト(Dental Curing Light)(3M社(3M Company))で30秒間、塗被された接着剤層を照射した。それによって、接着剤層は硬化被膜にキュアされた。次いで、ペーストAおよびペーストBを同分量、均一になるまで歯科用混合パッド上で混合した後、得られるコンポジット材料を、テフロン(登録商標)(Teflon)型が充填されるまで少しずつ型の穴に移した。コンポジット材料は、触ると3分内に硬化していた。サンプルを合計5分間キュアさせた後、型全体を37℃の水に24時間浸漬した。
キュア方法2。この方法は、コンポジット材料を型に加える前、塗被された接着剤層に光を照射しなかった(即ち、キュアされないままであった)こと以外、キュア方法1と同一であった。
キュア方法3。この方法は、コンポジット材料を5分間キュアさせた直後、キュアされたコンポジット材料と直接接触させて光を当てることにより、サンプルをXL3000デンタル・キュアリング・ライト(Dental Curing Light)で30秒間照射したこと以外、キュア方法2と同一であった。サンプルをキュアさせた後、型全体を37℃の水に24時間浸漬した。
本明細書に記載の試験方法に従って、各キュア方法用の5つのサンプルの剪断結合強度を評価したが、その結果(5つのサンプルの平均としてのエナメル質への接着)は次のようであった。
キュア方法1のサンプル:8.3±3.1MPa
キュア方法2のサンプル:1.9±2.3MPa(5つのサンプルのうち4つは接着しなかった)
キュア方法3のサンプル:14.9±3.5MPa
これらの結果から、コンポジット材料が自己キュア機構(即ち、化学重合)でキュアされた後、接着剤層を光キュア(即ち、光重合)させたキュア方法3で、エナメル質への最大の接着が達成されたことを結論付けることができる。この接着の値(14.9±3.5MPa)は、コンポジット材料の追加、およびそれに続く自己キュアの前に接着剤層を光でキュアしたキュア方法1で達成された接着のほぼ2倍であった。予測されるように、接着剤がキュアされなかったキュア方法2では、接着はほとんど又は全く達成されなかった。
比較例1−520nmより長波長を吸収する赤色光開始剤の使用
この実施例の目的は、異なる層に異なる光開始剤系を有し、約520nmより長波長の放射線を吸収できる光開始剤の1つを有する、逐次的にキュアされた積層組成物の物理的特性(例えば、色)を例証することである。
表4に列記される成分を合わせることによって、組成物A(赤色化合物、エオシンYを有する)およびB(CPQを有する)を調製した。
Figure 2005531632
円筒状の穴(深さ6.5mm、および直径6.3mm)を有するテフロン(登録商標)(TEFLON)型の底部(厚さ約2mm)に組成物B(400〜約500nmの波長範囲の放射線を吸収し、キュアを促進するCPQ光増感剤を有する)を、上部(厚さ約4.5mm)にピンク色の組成物A(約450〜約570nmの波長範囲の放射線を吸収し、キュアを促進するエオシンY光増感剤を有する)を充填した。更に2つのテフロン(登録商標)(Teflon)型を同様に充填した。可視領域の光強度が200mW/cm2を超え、約480nmで開始し、典型的には約515nmで約50%の透過率に達する波長範囲を提供するようにOG515ロングパスガラスフィルタ(long−pass glass filter)(ニュージャージー州オークリッジ、エスコ・プロダクツ(ESCO Products,Oak Ridge,NJ))で光をフィルタリングし、100W高圧Hg光源(カリフォルニア州トランス、レスコ(Lesco,Torrance,CA))で、充填された第1の型を上部から10秒間照射した。次いで、約380nmで開始し、典型的には約400nmで約50%の透過率に達する波長範囲を提供するようにOG400ロングパスフィルタ(long−pass filter)(エスコ・プロダクツ(ESCO Products))を使用したこと以外は同様に、第1の型を上部から再び10秒間照射した。照射時間が両方とも20秒であったこと以外は同様に、第2の型を2回照射し、照射時間が両方とも40秒であったこと以外は同様に、第3の型を2回照射した。
3つの全ての型サンプルで、組成物Aの上部層は、OG515フィルタを用いた1回目の照射中に硬化したが、組成物Bはキュアされないままであった。次いで、組成物BはOG400フィルタを用いた2回目の照射中に硬化した。全ての場合において、型中の組成物Aは、キュア後にピンクから黄橙色に変色した。対照的に、型中の組成物Bは、キュア後、淡黄色のままであった。キュア後の顕著な着色は、一般に、一定の臨床用途(例えば、歯科充填材および修復材など)には許容できない。
製造業者の指示に従って使用されるバーコル硬さ試験機(イリノイ州ラブズパーク、バーバー−コルマン社(Barber−Colman Company, Loves Park, IL)、モデルGYZJ934−1)を用いて、硬化した組成物のバーコル硬さを決定したが、その結果を表5に記載する。表5のデータから、照射時間を10秒から40秒に延ばすと、底部組成物層のキュア(即ち、硬化)はより完全になるが、上部層は全ての照射時間で本質的に完全にキュアされたことを結論付けることができる。
Figure 2005531632
本明細書に引用される特許、特許文献、および出版物の完全な開示は、それぞれが個々に援用されるかの如く、その内容全体が参照により援用される。本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、本発明に関する様々な修正および変更が当業者には明らかである。本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態および実施例によって不当に限定されるべきではなく、このような実施例および実施形態は、前述の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする本発明の範囲に関する例示としてのみ表される。
本発明の1つの例示的な装置の斜視図である。 本発明の1つの例示的な硬化装置の構成要素のブロック図である。 本発明の別の例示的な硬化装置の構成要素のブロック図である。

Claims (64)

  1. 表面に第1の硬化性歯科用組成物を塗布するステップであって、前記第1の硬化性組成物が約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第1の光開始剤を含むステップ、
    前記表面上の前記第1の硬化性組成物に第2の硬化性歯科用組成物を塗布するステップであって、前記第2の硬化性組成物が約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を含むステップ、
    前記第2の硬化性組成物に約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、前記第2の組成物を選択的に硬化させるステップ、および
    続いて、前記第1の硬化性組成物に約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、前記第1の組成物を硬化させ、前記第2の組成物を前記表面に接着させるステップ、
    を含む、表面に接着される歯科材料を形成する方法であって、
    前記第1の光開始剤と前記第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない方法。
  2. 前記第1の硬化性組成物が歯科用接着剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2の硬化性組成物が歯科用コンポジットである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記表面が口腔表面である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1の光開始剤が、約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を吸収する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第2の光開始剤が、約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第1の光開始剤が、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドからなる群から選択されるホスフィンオキシドを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ホスフィンオキシドが、一般式、
    1P(=O)(C(=O)R22
    (式中、R1はヒドロカルビル基であり、各R2は独立してヒドロカルビル基、S−、O−、又はN−を含有する5員環又は6員環の複素環基である)のビスアシルホスフィンオキシドである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ホスフィンオキシドが、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、又はこれらの組合せである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第2の光開始剤が、モノケトン、ジケトン、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記光開始剤がカンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記光開始剤がカンファーキノンである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記硬化性組成物が、フリーラジカル重合性組成物、カチオン重合性組成物、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記硬化性組成物の少なくとも1つがフィラーを更に含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記光開始剤は、約380nm〜約520nmの波長範囲を有する光を照射する前、および照射後の着色がほぼ無色、淡黄色又は黄色である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記第1の硬化性歯科用組成物が、シロキサン官能性(メタ)アクリレート、フルオロポリマー官能性(メタ)アクリレート、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 表面に第1の硬化性歯科用組成物を塗布するステップであって、前記第1の硬化性組成物が約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収するホスフィンオキシドを含むステップ、
    前記表面上の前記第1の硬化性組成物に第2の硬化性歯科用組成物を塗布するステップであって、前記第2の硬化性組成物が約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を含むステップ、
    前記第2の硬化性組成物に約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、前記第2の組成物を選択的に硬化させるステップ、および
    続いて、前記第1の硬化性組成物に約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、前記第1の組成物を硬化させ、前記第2の組成物を前記表面に接着させるステップ、
    を含む、表面に接着される歯科材料を形成する方法であって、
    前記第1の光開始剤と前記第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない方法。
  18. 口腔表面に硬化性歯科用接着剤を塗布するステップであって、前記硬化性接着剤が約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を吸収する第1の光開始剤を含むステップ、
    前記口腔表面上の前記硬化性歯科用接着剤に硬化性歯科用コンポジットを塗布するステップであって、前記硬化性歯科用コンポジットが約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する第2の光開始剤を含むステップ、
    前記硬化性歯科用コンポジットに約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、前記硬化性歯科用コンポジットを選択的に硬化させるステップ、および
    続いて、前記硬化性歯科用接着剤に約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を照射し、前記歯科用接着剤を硬化させ、前記歯科用コンポジットを前記口腔表面に接着させるステップ、
    を含む、口腔表面に接着される歯科材料を形成する方法であって、
    前記第1の光開始剤と前記第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない方法。
  19. 前記第1の光開始剤がホスフィンオキシドを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記第2の光開始剤が、モノケトン、ジケトン、又はこれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記歯科用接着剤がフリーラジカル阻害剤を含む、請求項18に記載の方法。
  22. 前記フリーラジカル阻害剤が、フィラーを含まない前記歯科用接着剤の重量を基準にして、約0.05重量%〜約1.0重量%の量で存在する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記光開始剤は、約380nm〜約520nmの波長範囲を有する光を照射する前、および照射後の着色がほぼ無色、淡黄色又は黄色である、請求項18に記載の方法。
  24. 前記硬化性歯科用接着剤がシロキサン官能性(メタ)アクリレート、フルオロポリマー官能性(メタ)アクリレート、又はこれらの組合せを含む、請求項18に記載の方法。
  25. 口腔表面に硬化性歯科用接着剤を塗布するステップであって、前記硬化性接着剤が約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を吸収するホスフィンオキシドを含むステップ、
    前記口腔表面上の前記硬化性歯科用接着剤に硬化性歯科用コンポジットを塗布するステップであって、前記硬化性歯科用コンポジットが約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収するジケトンを含むステップ、
    前記硬化性歯科用コンポジットに約450nm〜約520nmの範囲内の放射線を照射し、前記歯科用コンポジットを選択的に硬化させるステップ、および
    続いて、前記硬化性歯科用接着剤に約380nm〜約450nmの範囲内の放射線を照射し、前記歯科用コンポジットを前記口腔表面に接着させるステップ、
    を含む、口腔表面に接着される歯科材料を形成する方法であって、
    前記第1の光開始剤と前記第2の光開始剤のどちらも約520nmより長波長の放射線を吸収しない方法。
  26. 表面に第1の硬化性歯科用組成物を塗布するステップ、
    前記表面上の前記第1の硬化性歯科用組成物に第2の硬化性歯科用組成物を塗布するステップ、および
    前記第1の硬化性歯科用組成物と前記第2の硬化性歯科用組成物を硬化させ、前記表面に第2の組成物を接着させるステップであって、前記第2の硬化性組成物が前記第1の硬化性組成物の完全硬化の前に実質的に完全に硬化されるステップ、
    を含む、表面に接着される歯科材料を形成する方法であって、
    前記第1の硬化性組成物又は前記第2の硬化性組成物の少なくとも一方が化学硬化性である方法。
  27. 前記第1の硬化性組成物が歯科用接着剤である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記第2の硬化性組成物が歯科用コンポジットである、請求項26に記載の方法。
  29. 前記表面が口腔表面である、請求項26に記載の方法。
  30. 前記第1の硬化性組成物を硬化させるステップが、前記第1の硬化性組成物を照射することを含む、請求項26に記載の方法。
  31. 前記第1の硬化性組成物が、約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する光開始剤を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記光開始剤がホスフィンオキシドである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記ホスフィンオキシドが、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記ホスフィンオキシドが、一般式、
    1P(=O)(C(=O)R22
    (式中、R1はヒドロカルビル基であり、各R2は独立してヒドロカルビル基、S−、O−、又はN−を含有する5員環又は6員環の複素環基である)のビスアシルホスフィンオキシドである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記ホスフィンオキシドが、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、又はこれらの組合せである、請求項34に記載の方法。
  36. 前記光開始剤が、モノケトン、ジケトン、又はこれらの組合せを含む、請求項31に記載の方法。
  37. 前記光開始剤がカンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
  38. 前記光開始剤がカンファーキノンである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記第2の硬化性組成物が、前記第1の硬化性組成物の硬化を開始する前に実質的に完全に硬化される、請求項26に記載の方法。
  40. 前記第2の硬化性組成物を硬化するステップが、前記第2の硬化性組成物を照射することを含む、請求項26に記載の方法。
  41. 前記第2の硬化性組成物が、約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する光開始剤を含む、請求項40に記載の方法。
  42. 前記光開始剤がホスフィンオキシドである、請求項41に記載の方法。
  43. 前記光開始剤は、約380nm〜約520nmの波長の光を照射する前、および照射後の着色がほぼ無色、淡黄色又は黄色である、請求項26に記載の方法。
  44. 前記第1の硬化性歯科用組成物がシロキサン官能性(メタ)アクリレート、フルオロポリマー官能性(メタ)アクリレート、又はこれらの組合せを含む、請求項24に記載の方法。
  45. 口腔表面に硬化性歯科用接着剤を塗布するステップ、
    前記口腔表面上の前記硬化性歯科用接着剤に硬化性歯科用コンポジットを塗布するステップ、および
    前記硬化性歯科用接着剤と前記硬化性歯科用コンポジットを硬化させ、前記表面に前記コンポジットを接着させるステップであって、前記硬化性歯科用コンポジットが前記硬化性歯科用接着剤の完全硬化の前に実質的に完全に硬化されるステップ、
    を含む、口腔表面に接着される歯科材料を形成する方法であって、
    前記硬化性接着剤又は硬化性コンポジットの少なくとも一方が化学硬化性である方法。
  46. 前記硬化性歯科用接着剤を硬化させるステップが、前記硬化性歯科用接着剤を照射することを含む、請求項45に記載の方法。
  47. 前記硬化性歯科用接着剤が、約380nm〜約520nmの範囲内の放射線を吸収する光開始剤を含む、請求項46に記載の方法。
  48. 前記光開始剤がホスフィンオキシドである、請求項47に記載の方法。
  49. 前記歯科用接着剤がフリーラジカル阻害剤を含む、請求項47に記載の方法。
  50. 前記フリーラジカル阻害剤が、フィラーを含まない前記歯科用接着剤の重量を基準にして、約0.05重量%〜約1.0重量%の量で存在する、請求項49に記載の方法。
  51. 前記硬化性歯科用接着剤が、シロキサン官能性(メタ)アクリレート、フルオロポリマー官能性(メタ)アクリレート、又はこれらの組合せを含む、請求項45に記載の方法。
  52. ハウジング、
    前記ハウジング内に配置され、第1の波長範囲内の光を放射する第1の光源、
    前記ハウジング内に配置され、第2の波長範囲内の光を放射する第2の光源、および
    前記第1の光源と前記第2の光源に操作可能に接続される制御装置であって、前記第1の光源と前記第2の光源からの光の放射を制御する制御装置、
    を備える、歯科用組成物を硬化させるライト。
  53. 前記第1の光源が、前記第1の波長範囲内の光だけを放射する、請求項52に記載のライト。
  54. 前記第1の光源が、前記第1の波長範囲外の波長を有する光を放射する、請求項52に記載のライト。
  55. 前記第1の光源が、前記第1の波長範囲内と前記第2の波長範囲内の両方の波長を有する光を放射できる、請求項52に記載のライト。
  56. 前記第1の波長範囲が、約380nm〜約450nmである、請求項52に記載のライト。
  57. 前記第2の波長範囲が、約450nm〜約520nmである、請求項56に記載のライト。
  58. 前記第1の波長範囲が、約380nm〜約520nmである、請求項56に記載のライト。
  59. 前記第1の光源が、発光ダイオードを含む、請求項52に記載のライト。
  60. 前記第2の光源が、発光ダイオードを含む、請求項52に記載のライト。
  61. ハウジング、
    前記ハウジング内に配置され、第1の波長範囲内の光を放射する第1の光源、
    前記ハウジング内に配置され、第2の波長範囲内の光を放射する第2の光源、および
    前記第1の光源と前記第2の光源に操作可能に接続される制御装置であって、前記第1の光源と前記第2の光源からの光の放射を制御する制御装置、
    を備えるライトからの放射線を当てるステップを含む、歯科用組成物を硬化させる方法。
  62. 前記第1の光源が、前記第1の波長範囲内と前記第2の波長範囲内の両方の波長を有する光を放射できる、請求項61に記載の方法。
  63. 前記第1の光源が、発光ダイオードを含む、請求項61に記載の方法。
  64. 前記第2の光源が、発光ダイオードを含む、請求項61に記載の方法。
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