JP2005283357A - 光電式エンコーダ - Google Patents
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Abstract
【課題】 移動スケールが上下方向に傾いても、原点位置のずれを防止することができる光電式エンコーダの提供。
【解決手段】 光束10がインデックス3に入射すると、スリット32a,32bにより原点信号用の光束10c、10dが生成される。光束10c、10dは、移動スケール4に形成された回折格子42a,42bにそれぞれ入射する。各光束10c、10dが対応する回折格子42a,42bの格子パターン部420に入射すると、各光束10c、10dは格子パターン部420により±1次回折されて原点信号用受光素子7a〜7dに入射する。一方、各光束10c、10dがスリット部421に入射すると、光束10c、10dはスリット部421を透過する。その結果、移動スケール4の移動に伴って生じる原点信号用受光素子7a〜7dの受光強度変化から原点位置が検出される。
【選択図】 図1
【解決手段】 光束10がインデックス3に入射すると、スリット32a,32bにより原点信号用の光束10c、10dが生成される。光束10c、10dは、移動スケール4に形成された回折格子42a,42bにそれぞれ入射する。各光束10c、10dが対応する回折格子42a,42bの格子パターン部420に入射すると、各光束10c、10dは格子パターン部420により±1次回折されて原点信号用受光素子7a〜7dに入射する。一方、各光束10c、10dがスリット部421に入射すると、光束10c、10dはスリット部421を透過する。その結果、移動スケール4の移動に伴って生じる原点信号用受光素子7a〜7dの受光強度変化から原点位置が検出される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光学的に主信号および原点信号を生成し、これらの光電変換信号を変位情報および原点情報として用いる光電式エンコーダに関する。
移動ステージ上に格子ピッチが不連続に変化する回折格子(例えば、格子ピッチの異なる2つの回折格子を接続したもの)を形成し、その回折格子にレーザ光を照射して回折された回折光を光検出器で検出することにより、移動ステージの基準位置(原点位置)を検出する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
明渡純,外2名,「フラウンホーファ回折を用いた基準位置検出法」,1991年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,p.1139−1140
しかしながら、上述した従来の方法で反射型の光学系を構成した場合、移動ステージが上下方向に傾いた場合、原点位置がずれてしまうという問題があった。
請求項1の発明による光電式エンコーダは、光源と、可動物体に固定された移動スケールと、光源の光から2つの主信号光束を生成する主信号光束生成部と、移動スケールに形成され、主信号光束生成部からの2つの主信号光束をそれぞれ回折してほぼ同一方向に出射する主信号用回折部と、主信号用回折部から出射される2つの主信号光束の干渉光を受光して干渉光強度に応じた信号を出力する主信号検出器と、1以上のスリットを所定のパターンで配置したスリットパターンを有し、光源の光の一部を透過して原点信号光束を形成する原点信号光束生成部と、移動スケールに形成され、原点信号光束生成部からの原点信号光束を所定方向に回折する第1の原点信号用回折部と、所定方向に配設され、第1の原点信号用回折部で回折された原点信号光束を受光して受光強度に応じた信号を出力する原点信号検出器と、第1の原点信号用回折部に対して移動スケールの移動方向またはその逆方向に隣接するように移動スケールに形成され、スリットパターンと所定の相関を有して原点信号光束生成部からの原点信号光束を所定方向と異なる方向に回折する第2の原点信号用回折部とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光電式エンコーダにおいて、所定の相関を、ナイフエッジ光学系を構成する相関としたものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光電式エンコーダにおいて、主信号光束生成部と原点信号光束生成部とを同一インデックススケールに形成したものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の光電式エンコーダにおいて、原点信号光束生成部,第1の原点信号用回折部,第2の原点信号用回折部および原点信号検出器のセットを複数組備えたものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載の光電式エンコーダにおいて、原点信号光束生成部,第1の原点信号用回折部,第2の原点信号用回折部および原点信号検出器のセットを2組備え、第1の原点信号用回折部および第2の原点信号用回折部を移動方向と直交する方向に主信号用回折部を挟むように配置したものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光電式エンコーダにおいて、所定の相関を、ナイフエッジ光学系を構成する相関としたものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光電式エンコーダにおいて、主信号光束生成部と原点信号光束生成部とを同一インデックススケールに形成したものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の光電式エンコーダにおいて、原点信号光束生成部,第1の原点信号用回折部,第2の原点信号用回折部および原点信号検出器のセットを複数組備えたものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載の光電式エンコーダにおいて、原点信号光束生成部,第1の原点信号用回折部,第2の原点信号用回折部および原点信号検出器のセットを2組備え、第1の原点信号用回折部および第2の原点信号用回折部を移動方向と直交する方向に主信号用回折部を挟むように配置したものである。
本発明によれば、移動スケールが上下方向に傾いても、原点位置のずれを防止することができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明による光電式エンコーダの第1の実施の形態を示す図であり、エンコーダの主要構成を示したものである。図1に示すエンコーダは、光源1、コリメートレンズ2、インデックス3、移動スケール4、ミラー5a,5b、主信号用受光素子6および原点信号用受光素子7a〜7dを備えている。主信号用受光素子6および原点信号用受光素子7a〜7dの検出信号は不図示のエンコーダ処理回路に出力され、そこで移動スケール4のx方向への変位が算出される。
−第1の実施の形態−
図1は本発明による光電式エンコーダの第1の実施の形態を示す図であり、エンコーダの主要構成を示したものである。図1に示すエンコーダは、光源1、コリメートレンズ2、インデックス3、移動スケール4、ミラー5a,5b、主信号用受光素子6および原点信号用受光素子7a〜7dを備えている。主信号用受光素子6および原点信号用受光素子7a〜7dの検出信号は不図示のエンコーダ処理回路に出力され、そこで移動スケール4のx方向への変位が算出される。
光源1にはレーザ光源や発光ダイオード(LED)等が用いられる。インデックス3には主信号用の回折格子31と、回折格子31を挟むように設けられた原点信号用のスリット32a,32bとがそれぞれ形成されている。例えば、光学ガラス等から成る透明平行平板に一様な格子パターンを有する回折格子31(例えば位相格子)を形成し、透明平行平板の帯状領域3aを挟んだ領域3b,3cに、金属薄膜等の反射コーティングを施したものである。
移動スケール4には、インデックス3の回折格子31に対応する主信号用の回折格子41が形成されている。さらに、回折格子41のy方向両側には、後述する原点信号用の光束10c,10dが入射する原点信号用の回折格子42a,42bが形成されている。各回折格子42a,42bは、一様な格子パターンが形成された格子パターン部420と格子パターン部420と態様の異なるスリット格子部421とで構成されている。スリット格子部421は、インデックス3の各スリット32a,32bに対応したスリット形状に形成されている。
なお、回折格子42aのスリット格子部421と回折格子42bに形成されたスリット格子部421とは、x方向に距離Dだけずらして形成されている。本実施の形態では、回折格子31の格子ピッチと格子パターン部420の格子ピッチは同一ピッチに設定されているが、必ずしも同一ピッチでなくても良い。
移動スケール4の回折格子41および回折格子42a,42bの格子パターン部420は反射型の回折格子を構成しており、位相格子を構成する格子パターンが形成された透明基板の表面に金属薄膜等の反射コーティングを施したものである。なお、スリット格子部421の基板表面には反射コーティングは施されておらず、光を透過する。移動スケール4は計測対象である可動物体に固定され、可動物体と一体でx方向に移動する。
光源1から出射された光はコリメートレンズ2により平行光とされ、インデックス3に照射される。インデックス3の反射コーティングが施された領域3b,3cに入射した光束10は反射コーティングにより反射され、反射コーティングが施されていない帯状領域3aに入射した光束10のみがインデックス3を透過することができる。そして、インデックス3に光束10が照射されると、回折格子31により主信号用の光束10a,10bが形成され、スリット32a,32bを透過した光束10c,10dが原点信号用の光束として利用される。
(主信号)
インデックス3の帯状領域3aの回折格子31に照射された光束10は、回折格子31で±1次回折を受けてミラー5a方向に+1次回折光である光束10aが出射され、反対側のミラー5b方向に−1次回折光である光束10bが出射される。光束10a,10bは各々ミラー5a,5bにより反射され、それぞれ移動スケール4に形成された回折格子41に入射する。回折格子41に入射した光束10a,10bは、回折格子41により±1次回折を受けて反射され、主信号用受光素子6に入射する。このとき、±1次回折された回折光は、移動スケール4の移動状態に応じて位相が各々変化する。そのため、主信号用受光素子6で受光される干渉光の位相情報には移動スケール4の移動情報が含まれている。
インデックス3の帯状領域3aの回折格子31に照射された光束10は、回折格子31で±1次回折を受けてミラー5a方向に+1次回折光である光束10aが出射され、反対側のミラー5b方向に−1次回折光である光束10bが出射される。光束10a,10bは各々ミラー5a,5bにより反射され、それぞれ移動スケール4に形成された回折格子41に入射する。回折格子41に入射した光束10a,10bは、回折格子41により±1次回折を受けて反射され、主信号用受光素子6に入射する。このとき、±1次回折された回折光は、移動スケール4の移動状態に応じて位相が各々変化する。そのため、主信号用受光素子6で受光される干渉光の位相情報には移動スケール4の移動情報が含まれている。
(原点信号)
インデックス3に光束10が照射されると、スリット32a,32bの部分を光束10c,10dが透過して移動スケール4の回折格子42a,42bに垂直入射する。上述したように、回折格子42a,42bは格子パターン部420とスリット格子部421とで構成されており、光束10cが格子パターン部420に入射すると±1次回折を受けて反射され、回折光は原点信号用受光素子7a,7bに入射する。このとき、受光面上における回折光の照射幅はインデックス3のスリット32a,32bの幅とほぼ同じ寸法となる。なお、スリット32a,32bの幅は原点信号用受光素子7a〜7dの受光面よりも小さく設定される。
インデックス3に光束10が照射されると、スリット32a,32bの部分を光束10c,10dが透過して移動スケール4の回折格子42a,42bに垂直入射する。上述したように、回折格子42a,42bは格子パターン部420とスリット格子部421とで構成されており、光束10cが格子パターン部420に入射すると±1次回折を受けて反射され、回折光は原点信号用受光素子7a,7bに入射する。このとき、受光面上における回折光の照射幅はインデックス3のスリット32a,32bの幅とほぼ同じ寸法となる。なお、スリット32a,32bの幅は原点信号用受光素子7a〜7dの受光面よりも小さく設定される。
一方、光束10cがスリット格子部421に入射した場合には、光束10cはスリット格子部421を透過する。この透過の割合は、インデックス3のスリット32aと移動スケール4のスリット格子部421とが一致したとき(x位置が同一のとき)に最大となり、原点信号用受光素子7a,7bの出力信号は逆に最小となる。
光束10cがスリット格子部421と格子パターン部420との両方に跨って照射される場合には、格子パターン部420の光は回折を受けてその回折光が原点信号用受光素子7a,7bに入射し、スリット格子部421の光は移動スケール4を透過する。そのため、このときの原点信号用受光素子7a,7bの出力信号の大きさは、光束10cの全体が格子パターン部420に入射しているときの出力信号と、スリット32aとスリット格子部421とが一致したときの出力信号との間の値を取る。
光束10dの場合も光束10cの場合と同様に、光束10dが回折格子42bの格子パターン部420に入射すると、そのときに生成される回折光が原点信号用受光素子7c,7dにより検出される。そして、スリット32bと回折格子42bのスリット格子部421とが一致したときに原点信号出力が最小となる。
図2は、原点信号用受光素子7a〜7dから出力される原点信号の出力パターンを模式的に示したものである。図2において、縦軸は原点信号出力を表し、横軸は移動スケール4のxプラス方向への移動距離を表している。実線A1が原点信号用受光素子7a,7bの出力を示しており、破線A2が原点信号用受光素子7c,7dの出力を示している。
x1はスリット32aとスリット格子部421とが一致したときの移動スケール4の移動距離を示しており、x2はスリット32bとスリット格子部421とが一致したときの移動距離を示している。図1に示すように、スリット32aとスリット32bとはx方向に距離Dだけずれているので、出力が最小となる位置も距離Dだけずれている。実線で示す出力パターンA1はx1に関して左右対称となっており、破線で示す出力パターンA2はx2に関して左右対称となっている。
原点信号用受光素子7c〜7dの出力信号が入力されるエンコーダ処理回路では、二つの出力のレベル一致点である実線と破線とが交差する位置x0を原点位置として処理することが可能となる。このレベル一致点の信号を原点信号と称する。光束10c,10dがスリット格子部421上を通過したとき、移動距離x1,x2の前後では出力が急激に変化し出力パターンA1,A2の傾きが急峻になるので、レベル一致点x0を高精度に検出することができる。
ところで、移動スケール4がy軸周りに傾いた場合、原点信号用受光素子7a〜7dに入射する回折光の照射位置が変化する。従来の光電式エンコーダでは受光素子の前にスリットを配置するなどして原点情報を形成するようにしているので、すなわち、回折光が受光素子に入ってくる位置関係で原点信号を形成しているため、移動スケール4が傾くと回折光の照射位置が変化し原点位置がずれてしまうことがあった。例えば、受光素子で回折光が受光される正常な状態から、移動スケール4がx方向に移動することなく傾いたときに回折光が受光素子から外れてしまうおそれがある。そのような場合、移動スケール4は原点位置にあるにも関わらず原点位置になっていないと計測されてしまうことがある。
しかしながら、本実施の形態の光電式エンコーダでは、移動スケール4の移動に伴う光量変化である原点信号用受光素子7c〜7dの出力強度で原点位置を検出するようにしている。そのため、原点信号用受光素子7a〜7dの受光面はインデックス3のスリット32a,32bの幅よりも大きいので、移動スケール4が多少傾いても回折光が受光面から外れることなく出力強度も変化しない。このように、本発明では原点信号用光束10c,10dの光量に原点情報を載せているため、移動スケール4が上下に(y軸周りに)傾いても、原点位置のずれが生じない。
−第2の実施の形態−
図3は本発明による光電式エンコーダの第2の実施の形態を示す図である。図3は図1と同様にエンコーダの主要構成を示したものであり、インデックス13および移動スケール14の構成が図1に示した光電式エンコーダと異なり、その他の構成は同一である。以下では図1の構成と異なる部分を中心に説明する。なお、図3においてもエンコーダ処理回路は図示を省略した。
図3は本発明による光電式エンコーダの第2の実施の形態を示す図である。図3は図1と同様にエンコーダの主要構成を示したものであり、インデックス13および移動スケール14の構成が図1に示した光電式エンコーダと異なり、その他の構成は同一である。以下では図1の構成と異なる部分を中心に説明する。なお、図3においてもエンコーダ処理回路は図示を省略した。
インデックス13には主信号用の回折格子131と、回折格子を挟むように設けられた原点信号用のランダムパターンスリット132a,132bがそれぞれ形成されている。ランダムパターンスリット132a,132bは、反射パターンと透過パターンとをランダムに配列したものである。例えば、光学ガラス等から成る透明平行平板に一様な格子パターンを有する回折格子131(例えば位相格子)を形成し、透明平行平板の帯状領域13aを挟んだ領域13b,13cに、金属薄膜等の反射コーティングを施したものである。第2の実施の形態の場合も、ランダムパターンスリット132a,132bの幅は原点信号用受光素子7a〜7dの受光面よりも小さく設定されている。
移動スケール14には、インデックス13の回折格子131に対応する主信号用の回折格子141が形成されている。さらに、回折格子141のy方向両側には、後述する原点信号用の光束10c,10dが入射する原点信号用の回折格子142a,142bが形成されている。各回折格子142a,142bは、一様な格子パターンが形成された反射型回折格子を構成する格子パターン部143と、反射パターンと透過パターンとをランダムに配列したランダムパターン部144と、透明基板が露出している透明部145とで構成されている。
回折格子142aのランダムパターン部144のパターン配列は、ランダムパターンスリット132aのパターン配列と相関があるように同一パターン配列で形成されている。ランダムパターン部144とランダムパターンスリット132aとのx位置が一致すると、相互の透過パターン同士および反射パターン同士が一致する。すなわち、ランダムパターン部144は、ランダムパターンスリット132aの透過パターンにより形成される各スリットに対してナイフエッジとして機能するように配設されている。回折格子142aのランダムパターン部144とランダムパターンスリット132aとの間にも同様の相関がある。
なお、回折格子142aではx軸プラス方向に沿って透明部145,ランダムパターン部144,格子パターン部143の順に設けられているが、回折格子142bでは逆に格子パターン部143,ランダムパターン部144,透明部145の順に設けられている。
光源1から出射された光はコリメートレンズ2により平行光とされ、インデックス13に照射される。インデックス13の場合も、反射コーティングが施されていない帯状領域13aに入射した光束10のみがインデックス13を透過することができる。そして、回折格子131により主信号用の光束10a,10bが形成され、ランダムパターンスリット132a,132bを透過した光束10c,10dが原点信号用の光束として利用される。
(主信号)
インデックス13から出射される光束10a,10bについては、第1の実施の形態と同様の過程をたどって回折格子141に入射し、回折格子41により±1次回折を受けて反射された回折光が主信号用受光素子6に入射する。
インデックス13から出射される光束10a,10bについては、第1の実施の形態と同様の過程をたどって回折格子141に入射し、回折格子41により±1次回折を受けて反射された回折光が主信号用受光素子6に入射する。
(原点信号)
ランダムパターンスリット132a,132bを透過した光束10c,10dは、移動スケール14の回折格子142a,142bに垂直入射する。光束10cが回折格子142aの格子パターン部143に入射すると±1次回折を受けて反射され、回折光は原点信号用受光素子7a,7bに入射する。
ランダムパターンスリット132a,132bを透過した光束10c,10dは、移動スケール14の回折格子142a,142bに垂直入射する。光束10cが回折格子142aの格子パターン部143に入射すると±1次回折を受けて反射され、回折光は原点信号用受光素子7a,7bに入射する。
光束10cが回折格子142aの透明部145に入射した場合には、光束10cは移動スケール14を透過して原点信号用受光素子7a,7bには入射しない。光束10cがランダムパターン部144に入射した場合、ランダムパターンスリット132aの位置とランダムパターン部144の位置とが完全に一致したときには、光束10cは移動スケール14を透過して原点信号用受光素子7a,7bには入射しない。
そのため、移動スケール14のx軸正方向への移動に伴って、図4の実線で示すようにランダムパターンのナイフエッジ特性を有する原点信号出力パターンB1が得られる。図4の範囲Cで示す部分の信号出力が、光束10cがランダムパターン部144を通過したときの出力信号に対応しており、ランダムパターンスリット132aの位置とランダムパターン部144の位置とが完全に一致したときに出力が急激に低下する。一方、光束10dの場合も同様であるが、回折格子142bは格子パターン部143,ランダムパターン部144,透明部145の配列が回折格子142aの逆になっている。
すなわち、回折格子142aと回折格子142bとの間では、態様の異なる格子部である格子パターン部143およびランダムパターン部144が移動スケール14の移動方向に対して反転されているので、実線の出力パターンB1を左右反転した破線で示すような原点信号出力パターンB2が得られる。その結果、原点信号出力パターンB1と原点信号出力パターンB2のレベルが一致する位置x0を原点位置として処理することができる。レベル一致点は、信号が急激に小さくなる領域にある。
本実施の形態におけるインデックス13では、図5(a)に示すように同一基板上に主信号用の回折格子131と原点信号用のランダムパターンスリット132a,132bとを形成した。しかし、図5(b)に示すように別々の基板上に形成しても良い。図5(b)に示す例では、回折格子131が形成された基板200と、ランダムパターンスリット132a,132bが形成された基板201とを近接して(例えば、接するように)上下に配置する。
基板201の領域201b、201cには反射コーティングが施され、帯状領域201aの中央部には反射コーティングは施されていない。この場合、基板200と基板201とでインデックス光学系を構成する。基板200の回折格子から出射された0次光がランダムパターンスリット132a,132bに入射し、その透過光が原点信号用の光束10c、10dとなる。
第2の実施の形態においても、移動スケール14の移動に伴う光量変化である原点信号用受光素子7c〜7dの出力強度で原点位置を検出するようにしているので、移動スケール14が上下に(y軸周りに)傾いても、原点位置のずれが生じない。
上述した実施の形態では、インデックス3,13の回折格子および移動スケール4,14の回折格子に位相格子を用いたが、明暗格子を用いても良い。また、スリット部421やランダムパターン部144に代えて遮蔽物体を配置しても良い。上述した実施の形態では、原点信号の強度をあげるために各光束10c、10dに対して2個の受光素子を用いているが、1個であってもかまわない。
上述した第1の実施の形態では回折格子41を挟むように回折格子42a,42bを配置し、第2の実施の形態では回折格子141を挟むように回折格子142a,142bを配置しているが、このような構成とすることにより、移動スケール4,14がz軸周りに傾いたときのアッベ誤差の発生を防止することができる。そのため、上述した実施の形態では、スリットとスリット部との組み合わせ、または、ランダムパターンスリットとランダムパターン部との組み合わせを2組用いているが、3組以上用いても良いし、アッベ誤差が問題とならないならば1組でも良い。
また、上述した第1の実施の形態では、移動スケール4上の2つスリット部421をスケール移動方向にずらして配置したが、ずらさなくてもかまわない。
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、回折格子31,131は主信号光束生成部を、回折格子41,141は主信号用回折部を、主信号用受光素子6は主信号検出器を、スリット32a,32bおよびランダムパターンスリット132a,132bは原点信号光束生成部を、格子パターン部143,420は第1の原点信号用回折部を、スリット格子部421およびランダムパターン部144は第2の原点信号用回折部を、原点信号用受光素子7a〜7dは原点信号検出器をそれぞれ構成する。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
1 光源
2 コリメートレンズ
3,13 インデックス3
4,14 移動スケール
5a,5b ミラー
6 主信号用受光素子
7a〜7d 原点信号用受光素子
10,10a〜10d 光束
31,41,42a,42b,131,141,142a,142b 回折格子
32a,32b スリット
132a,132b ランダムパターンスリット
143,420 格子パターン部
144 ランダムパターン部
145 透明部
200,201 基板
421 スリット格子部
2 コリメートレンズ
3,13 インデックス3
4,14 移動スケール
5a,5b ミラー
6 主信号用受光素子
7a〜7d 原点信号用受光素子
10,10a〜10d 光束
31,41,42a,42b,131,141,142a,142b 回折格子
32a,32b スリット
132a,132b ランダムパターンスリット
143,420 格子パターン部
144 ランダムパターン部
145 透明部
200,201 基板
421 スリット格子部
Claims (5)
- 光源と、
可動物体に固定された移動スケールと、
前記光源の光から2つの主信号光束を生成する主信号光束生成部と、
前記移動スケールに形成され、前記主信号光束生成部からの前記2つの主信号光束をそれぞれ回折してほぼ同一方向に出射する主信号用回折部と、
前記主信号用回折部から出射される前記2つの主信号光束の干渉光を受光して干渉光強度に応じた信号を出力する主信号検出器と、
1以上のスリットを所定のパターンで配置したスリットパターンを有し、前記光源の光の一部を透過して原点信号光束を形成する原点信号光束生成部と、
前記移動スケールに形成され、前記原点信号光束生成部からの前記原点信号光束を所定方向に回折する第1の原点信号用回折部と、
前記所定方向に配設され、前記第1の原点信号用回折部で回折された原点信号光束を受光して受光強度に応じた信号を出力する原点信号検出器と、
前記第1の原点信号用回折部に対して前記移動スケールの移動方向またはその逆方向に隣接するように前記移動スケールに形成され、前記スリットパターンと所定の相関を有して前記原点信号光束生成部からの前記原点信号光束を前記所定方向と異なる方向に回折する第2の原点信号用回折部とを備えたことを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項1に記載の光電式エンコーダにおいて、
前記所定の相関を、ナイフエッジ光学系を構成する相関としたことを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項1または2に記載の光電式エンコーダにおいて、
前記主信号光束生成部と前記原点信号光束生成部とを同一インデックススケールに形成したことを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の光電式エンコーダにおいて、
前記原点信号光束生成部,前記第1の原点信号用回折部,前記第2の原点信号用回折部および前記原点信号検出器のセットを複数組備えたことを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項4に記載の光電式エンコーダにおいて、
前記原点信号光束生成部,前記第1の原点信号用回折部,前記第2の原点信号用回折部および前記原点信号検出器のセットを2組備え、前記第1の原点信号用回折部および前記第2の原点信号用回折部を前記移動方向と直交する方向に前記主信号用回折部を挟むように配置したことを特徴とする光電式エンコーダ。
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