JP2005179513A - 耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着フィルム及び接着剤付きポリイミドフィルム - Google Patents

耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着フィルム及び接着剤付きポリイミドフィルム Download PDF

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Yoichiro Mansei
要一郎 満生
Toshihiko Ito
敏彦 伊藤
Masaru Tanaka
勝 田中
Katsuyuki Masuda
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Abstract

【課題】
各種プリント配線板に有用な熱的特性及びノンハロ難燃性に優れた耐熱性樹脂組成物、接着フィルム並びに接着剤付きポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】
(A)ミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂及び(C)有機リン系化合物を含む耐熱性樹脂組成物において、(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂が、(a)芳香族環を3個以上有するジアミン又は脂肪族ジアミン、と(b)脂環式ジアミン及びシロキサンジアミンの混合物、とを無水トリメリット酸と反応させて得られるジイミドカルボン酸と、芳香族ジイソシアネートとを、反応させて得られる変性ポリアミドイミド樹脂である耐熱性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着フィルム及び接着剤付きポリイミドフィルムに関する。具体的には、ミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂及びその他熱硬化性樹脂等からなる耐熱性樹脂組成物の優れた特性を維持したまま、熱的特性及びノンハロ難燃性が改良された耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着剤フィルム及び接着剤付きポリイミドフィルムに関する。
近年、各種電子機器の小型化、軽量化が急速に進むのに伴って電子部品の搭載密度も高くなり、それに用いられる各種電子部品、材料に要求される特性も多様化してきている。このような中で特にプリント配線板は、配線占有面積が小型、高密度になり多層配線板化(ビルドアップ配線板)、フレキシブル配線板化(FPC)等の要求も益々高まってきている。これらの配線板は、製造工程において種々の接着剤あるいは接着フィルムを用いており、汎用的に接着剤として使用される樹脂には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が主に挙げられる。しかしながら、近年のプリント配線板における高機能化においては、これらの樹脂はいずれも耐熱性、電気絶縁性等の特性を満足させるのに不十分となりつつある。
これに対して、優れた耐熱性と電気絶縁性を有するものとしてポリイミド樹脂系接着剤の使用量が増加してきたが、原料モノマー組成上コストが高く、一部の高付加価値な配線板用途へ限定的に使用されているのが現状である。そこで、耐熱性を含めた特性とコストとのバランスに優れるポリアミドイミド樹脂に着目し、各種変性を施した接着剤を検討してきたが、ポリイミド樹脂よりは耐熱性が劣る。そのため、ポリアミドイミド樹脂を用いて配線板に成型した時の熱的特性、例えば高温放置後の密着力は劣っている。また配線板の各製造工程時に加わる熱履歴(ワイアボンディング、ハンダリフロー工程時)が樹脂の熱的耐性に影響を及ぼし、そのため配線板の高温時の高弾性率及び低熱膨張率が劣るなどの問題があった。
更に、各種プリント配線板用途においては、難燃性の付与が必須となっており、これまで難燃剤として、最も一般的に用いられているのは難燃効果の優れた臭素系化合物等のハロゲン系化合物ならびにアンチモン系化合物であった。しかしながら、ハロゲン系化合物は、最近の研究によって燃焼時に有毒なダイオキシン等を含むガスを発生するため、その使用がヨーロッパ諸国を中心に制限されつつあり、ノンハロ難燃剤の要求が強まっている。また、このような有毒ガスを発生させないノンハロ難燃剤として、具体的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機充填剤又はリン系化合物等が知られている(例えば特開2003−27028号公報参照)。
特開2003−27028号公報
しかしながら、これら化合物は十分な難燃性を得るために目的の樹脂に対して大量に添加する必要があり、本来の樹脂の有する特性を大幅に低下させることがある。具体的には、水酸化アルミニウムは一般的に製造時に混入する可溶性ナトリウムのため、例えば配線板用接着剤であるFPC用接着剤においては、長期高温高湿処理をすると被着体であるポリイミドフィルム表面上で加水分解反応が発生して、ポリイミドフィルム表面が脆弱化し、剥離強度が低下する事が知られている。更に、水酸化マグネシウムは、耐酸性を低下させる事が一般的に知られている。また、リン系化合物の中でも良く知られているリン酸エステル類は可塑剤として機能し、耐熱性、絶縁性等を低下させるので、種類及び使用量を極力制限する必要があり、総合的な特性のバランスを保つのが難しいなどの問題があった。
本発明は、上記の問題を解決すべく熱的特性、即ち接着力の加熱劣化性及び耐湿性が少なく、さらにノンハロ難燃性を大幅に改良する耐熱性樹脂組成物、そしてこれを用いた各種プリント配線板用途に好適な、接着フィルム及び接着剤付きポリイミドフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく検討した結果、変性ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性樹脂、リン系化合物を含む耐熱性樹脂組成物において、接着力の加熱劣化が少なく、また、高温時の熱膨張率が低減され、さらにノンハロ難燃性が改良される知見を見出し、本発明に至った。
本発明は、以下に記載の各事項に関する。
(1)(A)ミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂及び(C)有機リン系化合物を含む耐熱性樹脂組成物において、(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂が、芳香族環を3個以上有するジアミン又は脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及びシロキサンジアミンの混合物と無水トリメリット酸を反応させて得られる下記一般式(1)、又は下記一般式(2)、又は下記一般式(3)で示されるジイミドカルボン酸を含む混合物と、下記一般式(4)で示される芳香族ジイソシアネートとを、反応させて得られる変性ポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする耐熱性樹脂組成物。
Figure 2005179513
Figure 2005179513

Figure 2005179513


(但し、一般式(1)中、Rは、一般式(5)で示され、一般式(5)のXは、一般式(6)で示される。)
Figure 2005179513


(一般式(2)中のRは、一般式(7)で示され、n1は1〜70の整数を、Xは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基、単結合を、R、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、メトキシ基、メチル基、ハロゲン化メチル基を、Yは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基を、Zは、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合を示す。)

Figure 2005179513


(一般式(3)中のRは、一般式(8)で示され、一般式(8)中、R及びRは各々独立に2価の有機基を、R〜Rは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜18のアリール基を示し、nは1〜50の整数である。)
Figure 2005179513
Figure 2005179513


(一般式(4)中、R10は、一般式(9)で示される。)
(2)(A)ミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して、(B)熱硬化性樹脂5〜100重量部及び(C)有機リン系化合物2〜10重量部を含有する(1)に記載の耐熱性樹脂組成物。
(3)前記(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂の脂肪族ジアミンのアミン当量が200〜2500g/mol、脂環式ジアミンのアミン当量が50〜100g/molである(1)又は(2)に記載された耐熱性樹脂組成物。
(4)前記(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂のシロキサンジアミンのアミン当量が200〜2500g/molである(1)〜(3)いずれかに記載耐熱性樹脂組成物。
(5)前記(B)成分の熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂とその硬化促進剤又は硬化剤を含む熱硬化性樹脂である(1)〜(4)いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物。
(6)前記(C)成分の有機リン系化合物が下記一般式(10)で示されるリン酸エステル系化合物、又は下記一般式(11)で示されるリン酸エステル系化合物を含む有機リン系化合物である(1)〜(5)いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物。
Figure 2005179513


(但し、一般式(10)中、nは10〜50の整数である。)
Figure 2005179513


(但し、一般式(11)中、Wは単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、−S−、−SO−、−O−、又は−N=N−である結合基を示し、nは10〜50の整数である。)
(7)(1)〜(6)いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物を含む接着層を有する接着フィルム。
(8)ポリイミドフィルムの片面または両面に、(1)〜(6)いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物を含む接着層を有する接着剤付きポリイミドフィルム。
本発明により、ミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性樹脂及び有機リン系化合物を含む耐熱性樹脂組成物の優れた特性を維持したまま、課題であった熱的特性、即ち接着力の加熱劣化性及び耐湿性、さらにノンハロ難燃性を大幅に改良することができる。本発明の耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着フィルム及び接着剤付きポリイミドフィルムは、優れた熱的特性及びノンハロ難、燃性を有することから各種プリント配線板の中でも極薄高密度実装が可能な多層FPC及び半導体搭載基板用途に適用可能であり、接着剤及び接着フィルムとして有用な層間絶縁材料やベース材料になり得る。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂は、芳香族環を3個以上有するジアミン又は脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及びシロキサンジアミンの混合物と無水トリメリット酸とを反応させて得られる前記一般式(1)又は前記一般式(2)又は前記一般式(3)で示されるジイミドジカルボン酸の混合物と、前記一般式(4)で示される芳香族ジイソシアネートとを反応させて得られる変性ポリアミドイミド樹脂である。従って、ジイミドジカルボン酸を合成する際、脂環式ジアミンとシロキサンジアミンは必須であり、芳香族環を3個以上有するジアミンと脂肪族ジアミンは少なくともどちらか一方、又は両方が混合物に含まれていればよい。そして、本発明に用いられる変性ポリアミドイミド樹脂は、ミクロ相分離構造(サブミクロンからミクロンオーダーの海島構造)を有しており、乾燥後又は硬化後にミクロ相分離構造になる。このような変性ポリアミドイミド樹脂としては、ソフトセグメントである脂肪族ユニット、脂環式ユニット及びシロキサンユニットとハードセグメントである芳香族ユニットからなる変性ポリアミドイミド樹脂が挙げられる。このミクロ相分離構造を有する事によって特異的に応力緩和作用が発現し、高耐熱性を保持したまま優れた接着性を得ることが出来る。
前記一般式(2)中、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、これらの構造異性体が挙げられる。前記一般式(2)中、炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アリル基、炭素数1〜20のアルキル基等で置換されてもよい。
前記芳香族環を3個以上有するジアミンとしては、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと略す。)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられ、変性ポリアミドイミド樹脂の特性のバランスとコストの見地からは、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンが特に好ましい。これらは単独でまたは2種類以上組み合わせて使用される。
本発明で用いる脂肪族ジアミンとしては、公知のものが使用できるが、例えば、下記一般式(12)で表されるものであることが好ましい。
Figure 2005179513

また脂肪族ジアミンで商業的に入手可能なものとしてはジェファーミンD−230(アミン当量115)、ジェファーミンD−400(アミン当量200)、ジェファーミンD−2000(アミン当量1,000)、ジェファーミンD−4000(アミン当量2,000)、以上サンテクノケミカル株式会社製商品名等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。
ここで、(A)成分の変性ポリアミドイミド樹脂の特性向上、特に接着性及び強靭性が向上するミクロ相分離構造を形成させるには、前記一般式(12)の脂肪族ジアミン、即ちポリオキシプロピレンジアミンのアミン当量を、200〜2500/molとすることが好ましく、400〜2000g/molとすることがより好ましく、1000〜2000g/molとすることが特に好ましい。これらの例としては、ジェファーミンD−2000(アミン当量1000)、ジェファーミンD−4000(アミン当量2000)、以上サンテクノケミカル株式会社製商品名等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。なお、本発明においてアミン当量とは、アミノ基1molを含む樹脂のグラム数のことである。
本発明で用いられる前記一般式(2)で示されるジイミドジカルボン酸の脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素成分は、原料となる脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素からなるジアミン化合物から導かれる。このようなジアミンは、一般式(7)中の一部である下記一般式(13)であらわすことができる。
Figure 2005179513

(一般式(13)中、Xは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基、単結合を、R、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、メトキシ基、メチル基、ハロゲン化メチル基を、Yは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基を、Zは、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合を示す。)
脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素からなるジアミン化合物は、例えば2,2−ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4−(3−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]メタン、4,4'−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ジシクロヘキシル、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]エーテル、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ベンゼン、2,2'−ジメチルビシクロヘキシル4,4'−ジアミン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ジシクロヘキシル−4,4'−ジアミン、2,6,2',6'−テトラメチル−4,4'−ジアミン、5,5'−ジメチル−2,2'−スルフォニル−ジシクロヘキシル−4,4'−ジアミン、3,3'−ジヒドロキシジシクロヘキシル−4,4'−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルスルホン、(4,4’−ジアミノシクロヘキシル)ケトン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(3,3’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、(3,3’―ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等が例示できる。これらジアミン化合物は2種類以上を混合して用いてもよく、さらに、他のジアミン化合物を併用することもできる。
このような脂環式炭化水素基を有する飽和炭化水素からなるジアミン化合物は、芳香族ジアミン化合物を水素還元することによって容易に得ることが可能である。このような芳香族ジアミン化合物として、例えば2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'−ジメチルビフェニル−4,4'−ジアミン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4'−ジアミン、2,6,2',6'−テトラメチル−4,4'−ジアミン、5,5'−ジメチル−2,2'−スルフォニル−ビフェニル−4,4'−ジアミン、3,3'−ジヒドロキシビフェニル−4,4'−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテル等が例示できる。
芳香族ジアミン化合物の水素還元は、芳香環の一般的な還元方法によって可能であるが、例えば水素の存在下にラネーニッケルや酸化白金(D.Varechら、Tetrahedron Letter 26、 61(1985)、 R.H.Bakerら、J.Am.Chem.Soc.、69、1250(1947))、 ロジウム−酸化アルミ(J.C.Sircarら、J.Org.Chem.、30、3206(1965)、 A.I.Meyersら、Organic Synthesis Collective Volume VI、 371(1988)、 A.W.Burgstahler、Organic Synthesis Collective Volume V、 591(1973)、 A.J.Briggs、 Synthesis、 1988、 66)、酸化ロジウム−酸化白金(S.Nishimura、Bull.Chem.Soc.Jpn.、34、32(1961)、 E.J.Coreyら、J.Am.Chem.Soc.101、1608(1979))、 チャコール担持ロジウム(K.Chebaaneら、Bull.Soc.Chim.Fr.、1975、244)の触媒系及び水素化ホウ素ナトリウム−塩化ロジウム系(P.G.Gassmanら、Organic Synthesis Collective Volume VI、 581(1988)、P.G.Gassmanら、Organic Synthesis Collective Volume VI、 601(1988))などの方法が挙げられる。
本発明で用いる脂環式ジアミンとしては、公知のものが使用できるが、例えば、下記一般式(14)で表されるものであることが好ましい。
Figure 2005179513

商業的に入手可能な脂環式ジアミンとしては、ワンダミンHM(アミン当量100)以上、新日本理化株式会社製商品名等が挙げられる。これは単独で使用される。ここで、(A)成分の変性ポリアミドイミド樹脂の特性向上特に接着性及び強靭性を向上させるミクロ相分離構造を形成させるには、この脂環式ジアミン、即ち4,4′−ジアミノジ(シクロヘキシル)メタンを使用することが特に好ましい。また、同様に脂環式ジアミンのアミン当量は、50〜100g/molとすることが好ましい。
本発明で用いるシロキサンジアミンとしては、公地のものが使用できるが、例えば、下記一般式(15)で表されるものであることが好ましい。
Figure 2005179513


(一般式(15)中R11、R12は各々独立に2価の有機基を示し、R13〜R16は各々独立に一般式(8)におけるR〜Rと同意義であり、nは1〜50の整数を示す。)
上記一般式(15)中、2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基等のアリーレン基等が挙げられる。このようなシロキサンジアミンとしては下記一般式(16)に示すもの等が挙げられる。
Figure 2005179513


(一般式(16)中、nは1〜50の整数を示す。)
商業的に入手可能なものとしてはシロキサン系両末端アミンであるアミノ変性シリコーンオイルX−22−9362(アミン当量700)、X−22−9415(アミン当量1100)、X−22−9405(アミン当量1900)以上、信越化学工業株式会社製商品名などが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上組み合わせて使用される。
ここで、(A)成分の変性ポリアミドイミド樹脂の特性向上、特に接着性及び強靭性を付与し、更にはノンハロ難燃性が向上するミクロ相分離構造を形成させるには、シロキサンジアミンのアミン当量を、200〜2,500g/molとすることが好ましく、400〜2,500g/molとすることがより好ましく、700〜2,000g/molとすることが特に好ましい。これらの例としては、例えば、X−22−9415(アミン当量1100)、X−22−9405(アミン当量1900)以上、信越化学工業株式会社製商品名などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。
本発明で用いる前記一般式(4)で示される芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、2,4−トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略す)、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等が挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上組み合わせて使用される。特に可とう性付与及び結晶性防止の見地から、MDIとTDIの併用が特に好ましく、混合重量比としては、MDI/TDIが90/10〜10/90とすることが好ましく、80/20〜20/80とすることがより好ましく、70/30〜30/70とすることが特に好ましい。また、耐熱性の見地から、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイシシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートを、上記芳香族ジイソシアネートに対して、5〜10モル%併用する事が好ましい。
また、耐熱性の見地から、前記イミドジカルボン酸に加えて、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸も、上記イミドジカルボン酸に対して5〜10モル%併用する事が好ましい。
本発明で用いる(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂は、例えば芳香族環を3個以上有するジアミン(1′)、脂肪族ジアミンであるポリオキシプロピレンジアミン(2′)及びシロキサンジアミン(3′)の混合物と無水トリメリット酸(以下、TMAと略す)を非プロトン性極性溶媒の存在下に、50〜90℃で0.2〜1.5時間反応させ、さらに水と共沸可能な芳香族炭化水素を非プロトン性極性溶媒の0.1〜0.5重量比で投入し、120〜180℃で反応を行い、前記一般式(1)で表される芳香族ジイミドジカルボン酸と前記一般式(2)で表される脂肪族ジイミドジカルボン酸と前記一般式(3)で表されるシロキサンジイミドジカルボン酸とを含む混合物を製造し、これと前記一般式(4)で表される芳香族ジイソシアネートとを150〜250℃程度で0.5〜3時間程度反応させる事で製造できる。なお前記芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
また、同様に前記一般式(1)、又は前記一般式(2)、又は前記一般式(3)で表されるジイミドジカルボン酸を含む混合物を製造した後、その溶液を150〜250℃程度にすることでその溶液から芳香族炭化水素を除去し、これと一般式(4)で示す芳香族ジイソシアネートとの反応を行う事によって製造する事もできる。また、変性ポリアミドイミド樹脂は非プロトン性極性溶媒を含むワニスであることが好ましい。
前記芳香環を3個以上有するジアミン(1′)、脂肪族ジアミン(2′)、脂環式ジアミン(2′′)、シロキサンジアミン(3′)の混合物の混合比としては、(1′)/(2′)/(2′′)/(3′)が10〜79/10〜50/1〜20/10〜30モル比であることが好ましく、25〜60/20〜40/5〜10/20〜30モル比であることがより好ましい。これらモル比の範囲から外れて得られる樹脂は、ミクロ相分離構造の消失又は分子量の低下が起こって、接着性及び強靭性が低下する傾向がある。
さらに上記混合物と無水トリメリット酸(TMA)とを反応させ、前記一般式(1)又は、前記一般式(2)、又は前記一般式(3)で表されるジイミドジカルボン酸を含む混合物を得るための原料の使用量は、前記芳香環を3個以上有するジアミン(1′)、脂肪族ジアミン(2′)、脂環式ジアミン(2′′)、シロキサンジアミン(3′)の合計モル数とTMAのモル数のモル比は、((1′)+(2′)+(2′′)+(3′))/TMAが、1/2.05〜1/2.20であることが好ましく、1/2.10〜1/2.15であることがより好ましい。このモル比が1/2.20未満ではTMAが残存し、最終的に得られる樹脂の分子量が低下する傾向があり、1/2.05を超えるとジアミンが残存し、最終的に得られる樹脂の分子量が低下する傾向がある。
次いで前記一般式(1)、又は前記一般式(2)、又は前記一般式(3)で表されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と前記一般式(4)で表される芳香族ジイソシアネートとを反応させ、変性ポリアミドイミド樹脂を得るためのモル比は、ジイミドジカルボン酸を含む混合物/芳香族ジイソシアネート=1/1.50〜1/1.05であることがより好ましく、1/1.3〜1/1.1であることがより好ましい。このモル比が1/1.50未満では得られる樹脂の分子量が低下する傾向であり、1/1.05を超えると得られる樹脂の分子量が低下する傾向がある。
前記非プロトン性極性溶媒としては、芳香族環を3個以上有するジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、シロキサンジアミン及びTMAと反応しない有機溶媒である事が好ましく、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、等が例示できる。イミド化反応には、高温を要するため沸点の高い、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
これらの非プロトン性極性溶媒中に含まれる水分量は、0.1〜0.2重量%とすることが好ましい。この水分量が0.2重量%を超えるとTMAが水和して、生成するトリメリット酸により、十分に反応が進行せず、ポリマの分子量が低下する傾向がある。また、本発明で使用する非プロトン性極性溶媒の使用量は、芳香族環を3個以上有するジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、シロキサンジアミン及びTMAの総量に対して、10〜80重量%の範囲になることが好ましく、50〜80重量%の範囲になることがより好ましい。この使用量が10%未満ではTMAの溶解性が低下し、十分な反応が行えなくなる傾向があり、80重量%を超えると工業的製造法として不利である傾向がある。
(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は、10,000〜150,000であることが好ましく、30,000〜120,000であることがより好ましく、50,000〜90,000であることが特に好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算されたものである。
本発明で用いる(B)成分の熱硬化性樹脂としては、(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂骨格中のアミド基と熱等によって反応すれば制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂等が好ましい。これらのうち、接着性及び取り扱い性の見地からエポキシ樹脂等がより好ましく、さらにはノンハロ難燃性の見地から分子内にリン原子を含有するエポキシ樹脂が特に好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、リン含有エポキシ樹脂ZX−1548−1(リン含有量:2.0重量%)、ZX−1548−2(リン含有量:2.5重量%)、ZX−1548−3(リン含有量:3.0重量%)、ZX−1548−4(リン含有量:4.0重量%)以上、東都化成株式会社製商品名等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記(B)成分の熱硬化性樹脂の配合量は、(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、10〜80重量部であることがより好ましく、20〜65重量部であることが特に好ましい。熱硬化性樹脂の配合量が、5重量部未満では、難燃性が不十分となり、かつ硬化剤としての機能が低下する傾向があり、また100重量部を超えると硬化後の樹脂の架橋構造が密となり脆弱化して密着性が低下する傾向がある。
本発明で用いる(B)成分の熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂に加えて、さらに硬化促進剤を使用してもかまわない。特に、分子内にリン原子を含有するエポキシ樹脂を用いた場合、硬化促進剤を使用することが好ましい。上記硬化促進剤としては、(B)成分のリン含有エポキシ樹脂と反応するもの、または、(A)成分と(B)成分との硬化反応を促進させるものであれば、特に制限はなく、例えば、アミン類、イミダゾール類が使用できる。これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。上記アミン類としては、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。上記イミダゾール類としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のアルキル基置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。
上記硬化促進剤の配合量は、アミン類の場合は、アミンの活性水素の当量とリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が、それぞれほぼ等しくなる量が好ましい。イミダゾールの場合は、リン含有エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜2.0重量部であることが好ましい。この配合量は、少なければ未硬化のリン含有エポキシ樹脂が残存して、架橋樹脂のガラス転移温度が低くなり、多すぎると未反応の硬化促進剤が残存して、ポットライフ、絶縁性等が低下する傾向がある。
本発明で用いる(C)成分の有機リン系化合物としては、例えば、前記一般式(11)で表されるビフェニル型リン酸エステル、前記一般式(10)で示される芳香族縮合リン酸エステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、2−メタアクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタアクリロイルオキシエチルホスフェート、CR−733S、CR−741、CR−747、PX−200以上、大八化学工業株式会社製商品名の芳香族縮合リン酸エステル、SP−703、SP−601以上、四国化成工業株式会社製商品名、「レオフォス」シリーズの35、50、65、95、110以上、味の素ファインテクノ株式会社製商品名が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。
前記一般式(10)又は前記一般式(11)中において、化合物中のベンゼン環は炭素数1〜5のアルキル基等の置換基を有していてもよい。上記置換基が2つ以上の場合は、2つ以上の置換基は各々同一でも相違してもよい。上記炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
上記(C)成分の有機リン系化合物の配合量は、(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して2〜10重量部であることが好ましく、2〜5重量部であることがより好ましい。この配合量が2重量部未満では、難燃性が不十分となる傾向があり、10重量部を超えると接着性、はんだ耐熱性、絶縁信頼性が低下する傾向がある。
本発明では、これら組成物を各樹脂成分または固形添加剤成分単体を有機溶剤中で予備混合した後再混合するか、もしくはこれら成分をまとめて有機溶媒中で混合して、固形分20〜40重量%のワニス状の耐熱性樹脂組成物とすることが好ましい。上記有機溶媒としては、耐熱性樹脂組成物に対し、溶解性が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、アセトン等が挙げられる。
また、本発明の耐熱性樹脂組成物には、上記各成分の他に必要に応じて、カップリング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、イオントラップ剤等を適宜配合してもよい。
本発明の耐熱性樹脂組成物を用いて、プリント配線板用基板に接着層を形成するには、例えば、そのまま基板表面に、ワニス状の耐熱性樹脂組成物を塗布して接着層を形成してもよいし、支持基材にワニス状の耐熱性樹脂組成物を塗布し、接着フィルムの形態にして、耐熱性樹脂組成物の層を基板表面に積層することによって、接着層を形成してもよい。また、接着フィルムを使用する時は、積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
本発明の接着層を有する接着フィルムは、例えば、支持基材上に、所定の有機溶剤に溶解したワニス状の耐熱性樹脂組成物を塗布後、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させて作製することができる。上記支持基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、フッ素系フィルム、離型紙、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔等が挙げられる。なお、支持基材の厚みは10〜150μmが好ましく、支持基材にはマッド処理、コロナ処理、離型処理を施してもよい。
上記有機溶媒としては、耐熱性樹脂組成物に対し、溶解性が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソブル等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用される。
上記支持基材上に積層された耐熱性樹脂組成物の厚みは5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。上記接着フィルムの形態としては、例えば、ある一定の長さで裁断されたシート状、ロール状等が挙げられる。保存性、生産性及び作業性の見地からは、耐熱性樹脂組成物と反対側の面に保護フィルムをさらに積層し、ロール状に巻き取って貯蔵することが好ましい。また、前記保護フィルムとしては、例えば、支持基材と同じく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、フッ素系フィルム、離型紙が挙げられる。なお、上記保護フィルムの厚みは20〜100μmであることがより好ましく、保護フィルムにはマッド処理、コロナ処理、離型処理を施してもよい。
また、本発明の接着フィルムは、ポリイミドフィルムの片面または両面に、積層することで接着剤付きポリイミドフィルムとする事が好ましい。そして、フレキシブル配線板用カバーレイフィルムならびにベースフィルムとすることができる。さらには金属箔を積層することで、フレキシブル配線板用基板とすることもできる。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
(変性ポリアミドイミド樹脂合成例A1〜8)
還流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1リットルのセパラブルフラスコに芳香族環を3個以上有するジアミンとしてBAPP(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)、脂肪族ジアミンとしてジェファーミンD−2000(サンテクノケミカル株式会社製商品名、アミン当量1000)、脂環式ジアミンとしてワンダミンHM(新日本理化株式会社製商品名、アミン当量100)、シロキサンジアミンとして反応性シリコーンオイルX−22−9362(アミン当量700)、X−22−9415(アミン当量1100)、X−22−9405(アミン当量1900)(信越化学工業株式会社製商品名)、TMA(無水トリメリット酸)、非プロトン性極性溶媒としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)をそれぞれ、表1に示した配合比で仕込み、80℃で30分間撹拌した。そして、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mlを投入してから温度を上げ約160℃で2時間還流させた。
水分定量受器に水が約3.6ml以上溜まっていること、水の流出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器に溜まっている流出水を除去しながら、約190℃まで温度を上げてトルエンを除去した。その後、溶液を室温(25℃)に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI(4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート)及びTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)及びγ−BL(γ−ブチロラクトン)を下記の表1に示した配合比で投入し、150℃で1時間後、さらに180℃で2時間反応させた。反応終了後、変性ポリアミドイミド樹脂のNMP/γ−BL溶液A−1〜A−8を得た。下記の表1に合成した変性ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量、及び変性ポリアミドイミド樹脂のNMP/γ−BL溶液の固形分(重量%)を示した。なお、下記の表1に示したように、合成例A6〜8では、脂環式ジアミン(ワンダミンHM)を使用していない。
Figure 2005179513

(実施例1〜5及び比較例1〜3)
得られた合成例A1〜8の変性ポリアミドイミド樹脂に対して、下記の表2に示す材料を配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した後、脱泡のため室温で24時間静置して耐熱性樹脂組成物を得た。また、リン含有エポキシ樹脂(固形分75重量%程度:メチルエチルケトン溶解品)及びフェノールノボラック樹脂(固形分50重量%程度:ジメチルアセトアマイド溶解品)を使用した。下記の表2に示したように、合成例A1〜5の変性ポリアミドイミド樹脂を用いた耐熱性樹脂組成物を実施例1〜5とし、また合成例A6〜8の変性ポリアミドイミド樹脂を用いた耐熱性樹脂組成物を比較例1〜3とした。
Figure 2005179513

(試料A)
また、得られた実施例1〜5及び比較例1〜3の耐熱性樹脂組成物を厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製商品名:カプトン100V)に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、乾燥機にて130℃で10分間乾燥させたものを作製して、さらに35μmの圧延銅箔(株式会社日鉱マテリアルズ製商品名:BHY−22B−T)の粗化面側と張り合わせて、温度160℃/時間30分/圧力3MPaで熱プレスを行って仮接着した後、乾燥機にて180℃で120分間加熱し、試料とした。
(試料B)
また、得られた実施例1〜5及び比較例1〜3の耐熱性樹脂組成物を厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製商品名:カプトン100V)の片面に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、乾燥機にて130℃で10分間乾燥させた後、未塗工面を再度前記と同じ乾燥膜厚となるように塗布したものを作製して乾燥後、180℃で120分間加熱して試料とした。
(試料C)
また、得られた実施例1〜5及び比較例1〜3の耐熱性樹脂組成物を厚さ100μmのフッ素系フィルム(ニチアス株式会社製商品名:ナフロンテープTOMBO9001)に乾燥後の膜厚が40μmになるように塗布し、乾燥機にて130℃で10分間乾燥後、180℃で120分間加熱して、フッ素系フィルム付き硬化フィルムを得た。なお、使用時はフッ素系フィルムを剥がして試料とした。
これら試料を用いて、接着性(試料A)、はんだ耐熱性(試料A)、難燃性(試料B)、ガラス転移温度(試料C)、及び貯蔵弾性率(試料C)を測定し、その結果を表3に示した。また、(試料C)を用い、変性ポリアミドイミド樹脂のミクロ相分離構造(サブミクロンからミクロンオーダーの海島構造)の有無を電子顕微鏡で確認した。なおこれら特性の測定方法、条件を以下に示す。
(接着性)
試料A(試料構成:ポリイミドフィルム/樹脂組成物/圧延銅箔粗化面)を用いて、常態及び乾燥機にて150℃で10日間加熱放置した場合、高温高湿条件下(121℃、2気圧、飽和状態)で処理した場合の3条件で、90°方向引き剥がし試験を測定温度:25℃、剥離速度:10mm/minの条件で行い、圧延銅箔引きの剥離強度(kN/m)を測定した。
(はんだ耐熱性)
(1)試料A(試料構成:ポリイミドフィルム/樹脂組成物/圧延銅箔粗化面)を用いて、常態のはんだ耐熱性を、300℃に加温したはんだ浴に1分間、銅箔側を下にして試料を浮かべて、ふくれ、はがれ等の外観異常の有無から調べた。
(2)試料A(試料構成:ポリイミドフィルム/樹脂組成物/圧延銅箔粗化面)を用いて、加湿処理(40℃、90%RH、8時間)後、はんだ耐熱性を280と260℃に加温したはんだ浴に1分間、銅箔側を下にして試料を浮かべて、ふくれ、はがれ等の外観異常の有無から調べた。評価は、○:ふくれ、はがれ等の外観異常無し、×:ふくれ、はがれ等の外観異常有りとした。
(難燃性)
試料B(試料構成:樹脂組成物/ポリイミドフィルム/樹脂組成物)を用いて、UL94難燃性規格に準拠して難燃性グレードを測定した。
(ガラス転移温度及び貯蔵弾性率)
試料C(試料構成:硬化フィルムのみ)を用いて、動的粘弾性測定(レオメトリック株式会社製商品名:RSAII)を下記の条件で行った。ガラス転移温度(Tg)はtanδピークの最大値を測定値として用いた。
測定モード:引張り、試料サイズ:幅5.0mm×22.5mm、測定温度:0〜250℃、昇温速度:5℃/分、測定周波数:1Hz
Figure 2005179513

表3に示したように、実施例1〜5の耐熱性樹脂組成物を用いた接着フィルムの特性(接着性、はんだ耐熱性、難燃性)は、優れており、それと比べ、脂環式ジアミンを使用していない比較例1〜3の耐熱性樹脂組成物を用いた接着フィルムの難燃性及び加湿処理後のはんだ耐熱性は劣っている。また、実施例1〜5で、変性ポリアミドイミド樹脂のミクロ相分離構造(サブミクロンからミクロンオーダーの海島構造)の存在を確認した。本発明の耐熱性樹脂組成物を用いることにより、臭素系化合物等のハロゲン系化合物を用いず、ハロゲン系化合物と同等の難燃性グレードVTM−0を実現し、接着性、はんだ耐熱性、ノンハロ難燃性に優れた接着フィルムを得ることができた。

Claims (8)

  1. (A)ミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂及び(C)有機リン系化合物を含む耐熱性樹脂組成物において、(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂が、芳香族環を3個以上有するジアミン又は脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及びシロキサンジアミンの混合物と無水トリメリット酸を反応させて得られる下記一般式(1)、又は下記一般式(2)、又は下記一般式(3)で示されるジイミドカルボン酸を含む混合物と、下記一般式(4)で示される芳香族ジイソシアネートとを、反応させて得られる変性ポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする耐熱性樹脂組成物。
    Figure 2005179513
    Figure 2005179513

    Figure 2005179513

    (但し、一般式(1)中、Rは、一般式(5)で示され、一般式(5)のXは、一般式(6)で示される。)


    Figure 2005179513

    (一般式(2)中のRは、一般式(7)で示され、n1は1〜70の整数を、Xは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基、単結合を、R、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、メトキシ基、メチル基、ハロゲン化メチル基を、Yは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基を、Zは、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化脂肪族炭化水素基、スルホニル基、エーテル基、カルボニル基又は単結合を示す。)
    Figure 2005179513

    (一般式(3)中のRは、一般式(8)で示され、一般式(8)中、R及びRは各々独立に2価の有機基を、R〜Rは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜18のアリール基を示し、nは1〜50の整数である。)
    Figure 2005179513



    Figure 2005179513


    (一般式(4)中、R10は、一般式(9)で示される。)
  2. (A)ミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して、(B)熱硬化性樹脂5〜100重量部及び(C)有機リン系化合物2〜10重量部を含有する請求項1に記載の耐熱性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂の脂肪族ジアミンのアミン当量が200〜2500g/mol、脂環式ジアミンのアミン当量が50〜100g/molである請求項1又は2に記載された耐熱性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分のミクロ相分離構造を有する変性ポリアミドイミド樹脂のシロキサンジアミンのアミン当量が200〜2500g/molである請求項1〜3いずれかに記載耐熱性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分の熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂とその硬化促進剤又は硬化剤を含む熱硬化性樹脂である請求項1〜4いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物。
  6. 前記(C)成分の有機リン系化合物が下記一般式(10)で示されるリン酸エステル系化合物、又は下記一般式(11)で示されるリン酸エステル系化合物を含む有機リン系化合物である請求項1〜5いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物。
    Figure 2005179513

    (但し、一般式(10)中、nは10〜50の整数である。)
    Figure 2005179513

    (但し、一般式(11)中、Wは単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、−S−、−SO−、−O−、又は−N=N−である結合基を示し、nは10〜50の整数である。)
  7. 請求項1〜6いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物を含む接着層を有する接着フィルム。
  8. ポリイミドフィルムの片面または両面に、請求項1〜6いずれかに記載された耐熱性樹脂組成物を含む接着層を有する接着剤付きポリイミドフィルム。


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