JP2005134887A - ズームレンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】 可視域から近赤外域まで良好に色収差が補正され、小型で大口径比の明るいレンズ系を実現する。
【解決手段】 物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを備える。第2レンズ群G2を光軸上で物体側に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行い、その変倍に伴う像面補正を第1レンズ群G1を光軸上で像側に移動させることで行う。また、以下の条件式(1),(2)を満足する。f1は第1レンズ群G1の焦点距離を示し、f2は第2レンズ群G2の焦点距離を示す。strは第2レンズ群G2の変倍に伴う移動量(mm)、zはズーム比を示す。
0.5<|f1/f2|<0.8 ……(1)
2.6<str/z<2.9 ……(2)
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に監視用に用いられるズームレンズに関し、特に、可視域および近赤外域の双方において使用可能なズームレンズに関する。
CCTV(Closed Circuit TeleVision)などの監視用のカメラには、昼夜を問わず使用可能なレンズ系の開発が望まれている。特に屋外で使用される監視用のカメラでは、通常、昼間は可視光による撮影を行い、夜間は近赤外光による撮影を行うため、そのレンズ系としては、可視域から近赤外域までの広い波長域に対応したものが必要となる。
一般的な可視域用に設計されたレンズ系では、特に、近赤外領域において色収差が発生し、夜間の近赤外領域での撮影の際にピントずれを起こしてしまう。このため、監視カメラ用のレンズ系では、特に、可視域から近赤外域まで色収差が良好に補正されている必要がある。
従来、可視域から近赤外域まで色収差を補正したズームレンズとしては、例えば以下の特許文献記載のものがある。この特許文献1に記載のズームレンズは、物体側から順に負の前群と正の後群とで構成された2群タイプのズームレンズとなっている。前群としては2群3枚構成、後群としては5群6枚構成の例が記載されている。
特開2002−207166号公報
上述したように、監視カメラ用のレンズ系では、可視域から近赤外域まで特に色収差が良好に補正されている必要がある。監視カメラ用としてはさらに、低照度下でも利用可能な明るく大口径比でコンパクトなレンズ系への要求がある。したがって、これらの種々の要求を満たすレンズ系の開発が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、小型で大口径比の明るいレンズ系を実現できるズームレンズを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、可視域から近赤外域まで良好に色収差を補正することができるズームレンズを提供することにある。
本発明の第1の観点に係るズームレンズは、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とを備え、第2レンズ群を光軸上で物体側に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行い、その変倍に伴う像面補正を第1レンズ群を光軸上で像側に移動させることで行うようになされ、かつ、以下の条件式(1),(2)を満足するように構成されているものである。
0.5<|f1/f2|<0.8 ……(1)
2.6<str/z<2.9 ……(2)
ただし、f1は、第1レンズ群の焦点距離を示し、f2は、第2レンズ群の焦点距離を示す。strは第2レンズ群の変倍に伴う広角端から望遠端までの移動量(mm)、zはズーム比を示す。
この第1の観点に係るズームレンズにおいて、第1レンズ群は、例えば、物体側より順に、負の屈折力を有する第1-1レンズと、負の屈折力を有する第1-2レンズと、負の屈折力を有する第1-3レンズおよび正の屈折力を有する第1-4レンズからなる接合レンズとが配列された3群4枚構成となっていることが好ましい。この場合さらに、第1-1レンズおよび第1-2レンズが、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであり、第1-3レンズが両凹レンズであることがより好ましい。
また第2レンズ群は、例えば、物体側より順に、正の屈折力を有する第2-1レンズと、正の屈折力を有する第2-2レンズと、負の屈折力を有する第2-3レンズと、正の屈折力を有する第2-4レンズとが配列された4群4枚構成で、かつ、第2-1レンズの少なくとも1面以上が非球面形状で構成されていることが好ましい。この場合さらに、第2-3レンズが、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであることがより好ましい。
この第1の観点に係るズームレンズにおいて、第1レンズ群および第2レンズ群を上記のような好ましい構成にした場合、さらに以下の条件式を満足するように構成されていることがより好ましい。
ndL14>1.83 ……(3)
νdL21>60 ……(4−1)
ndL23>1.83 ……(5)
ただし、ndL14は第1レンズ群における第1-4レンズのd線に対する屈折率、νdL21は第2レンズ群における第2-1レンズのd線に対するアッベ数、ndL23は第2レンズ群における第2-3レンズのd線に対する屈折率を示す。
本発明の第2の観点に係るズームレンズは、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とを備え、第2レンズ群を光軸上で物体側に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行い、その変倍に伴う像面補正を第1レンズ群を光軸上で像側に移動させることで行うようになされている。第1レンズ群は、物体側より順に、負の屈折力を有する第1-1レンズと、負の屈折力を有する第1-2レンズと、負の屈折力を有する第1-3レンズおよび正の屈折力を有する第1-4レンズからなる接合レンズとが配列された3群4枚構成であり、第2レンズ群は、物体側より順に、正の屈折力を有する第2-1レンズと、正の屈折力を有する第2-2レンズと、負の屈折力を有する第2-3レンズと、正の屈折力を有する第2-4レンズとが配列された4群4枚構成で、かつ、第2-2レンズの少なくとも1面以上が非球面形状で構成されている。かつ、以下の条件式(1),(2)を満足するように構成されている。
0.5<|f1/f2|<0.8 ……(1)
2.6<str/z<2.9 ……(2)
ただし、f1は、第1レンズ群の焦点距離を示し、f2は、第2レンズ群の焦点距離を示す。strは第2レンズ群の変倍に伴う広角端から望遠端までの移動量(mm)、zはズーム比を示す。
この第2の観点に係るズームレンズにおいて、第1レンズ群における第1-1レンズおよび第1-2レンズは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであり、第1-3レンズは両凹レンズであることが好ましい。また、第2レンズ群における第2-3レンズは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであることが好ましい。
この第2の観点に係るズームレンズはまた、以下の条件式を満足するように構成されていることが好ましい。
ndL14>1.83 ……(3)
νdL22>60 ……(4−2)
ndL23>1.83 ……(5)
ただし、ndL14は第1レンズ群における第1-4レンズのd線に対する屈折率、νdL22は第2レンズ群における第2レンズのd線に対するアッベ数、ndL23は第2レンズ群における第2-3レンズのd線に対する屈折率を示す。
本発明の第1および第2の観点に係るズームレンズでは、上記した好ましい構成を、要求される仕様等に応じて適宜採用することで、可視域から近赤外域まで良好に収差補正が行われると共に、小型化および大口径比化を図りやすくなる。特に、条件式(1),(2)を満足することで、諸収差の発生を抑えつつ、小型化を図りやすくなる。また特に、条件式(3),(5)を満足することで、より小型化を図りやすくなる。
また特に、第1レンズ群を3群4枚構成とすることで、例えば、第1レンズ群を2群3枚構成にした場合に比べて、小型化を図りつつ、特に望遠端での球面収差や倍率色収差の補正がしやすくなる。この場合さらに、第1-1レンズおよび第1-2レンズを、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズとし、第1-3レンズを両凹レンズとすることで、特に望遠端での球面収差の補正により有利となる。
特に、本発明の第1の観点に係るズームレンズにおいて、第2レンズ群における第2-1レンズの少なくとも1面以上を非球面形状とすることで、特に大口径比化に伴って発生する球面収差の補正をしやすくなる。また、第2レンズ群の最も物体側の第2-1レンズに非球面を用いることで、偏芯感度を小さく抑えやすくなる。さらに、この第2-1レンズに関して条件式(4−1)を満足することで、近赤外域まで良好に色収差の補正をしやすくなる。
また特に、本発明の第2の観点に係るズームレンズにおいて、第2レンズ群における第2-2レンズの少なくとも1面以上を非球面形状とすることで、特に大口径比化に伴って発生する球面収差の補正をしやすくなる。さらに、この第2-2レンズに関して条件式(4−2)を満足することで、近赤外域まで良好に色収差の補正をしやすくなる。
本発明の第1の観点に係るズームレンズによれば、各レンズ群の焦点距離の比に関して適切な条件を満足すると共に、第2レンズ群の移動量に関して適切な条件を満足するようにしたので、小型で大口径比の明るいレンズ系を実現しやすくなる。
本発明の第1の観点に係るズームレンズにおいて、特に、第2レンズ群を、物体側より順に、正の屈折力を有する第2-1レンズと、正の屈折力を有する第2-2レンズと、負の屈折力を有する第2-3レンズと、正の屈折力を有する第2-4レンズとが配列された4群4枚構成とし、かつ、第2-1レンズの少なくとも1面以上を非球面形状にした場合には、球面収差の補正をしやすくなるので、より大口径比化を図りやすくなる。さらに、第2レンズ群の第2-1レンズのアッベ数に関して所定の条件式(4−1)を満足することで、近赤外域まで良好に色収差の補正を行いつつ、小型化および大口径比化を図ることができる。
本発明の第2の観点に係るズームレンズによれば、各レンズ群の焦点距離の比に関して適切な条件を満足すると共に、第2レンズ群の移動量に関して適切な条件を満足するようにしたので、小型で大口径比の明るいレンズ系を実現しやすくなる。特に、第2レンズ群における第2-2レンズの少なくとも1面以上を非球面形状で構成するようにしたので、球面収差の補正をしやすくなり、大口径比化を図りやすくなる。
本発明の第2の観点に係るズームレンズにおいて、特に、第2レンズ群の第2-2レンズのアッベ数に関して所定の条件式(4−2)を満足した場合には、近赤外域まで良好に色収差の補正を行いつつ、小型化および大口径比化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るズームレンズの構成例を示している。この構成例は、後述の数値実施例1−1(表1〜3)のレンズ構成に対応している。また、図2は、本実施の形態に係るズームレンズの他の構成例を示している。図2の構成例は、後述の数値実施例1−2(表4〜6)のレンズ構成に対応している。なお、図1,図2は、広角端でのレンズ配置を示している。
各図において、符号Riは、絞りStも含めて最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目(i=1〜18)の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。なお、各構成例共に基本的な構成は同じなので、以下では、図1に示したズームレンズの構成を基本にして説明する。
このズームレンズは、可視域および近赤外域の双方において使用可能なものであり、例えば昼夜兼用の監視カメラなどに搭載して好適なものである。このズームレンズは、光軸Z1に沿って、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とが、物体側より順に配設された構成となっている。このズームレンズの結像面(撮像面)には、例えば、図示しないCCD(電荷結合素子)またはCMOS(Complementary Mental-Oxide Semiconductor)などを用いた撮像素子が配置される。第2レンズ群G2と結像面との間には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、種々の光学部材が配置されていても良い。図1の構成例では、撮像面を保護するためのカバーガラスGCが配置されている。第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間には、絞りStが配置されている。
このズームレンズは、2群ズーム方式となっており、第2レンズ群G2を光軸上で物体側に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行い、その変倍に伴う像面補正を第1レンズ群G1を光軸上で像側に移動させることで行うようになっている。第1レンズ群G1と第2レンズ群G2は、広角端から望遠端へと変倍させるに従い、図1に実線で示した軌跡を描くように移動する。第1レンズ群G1は、フォーカス群としての機能も兼ねている。
このズームレンズは、以下の条件式(1),(2)を満足するように構成されている。ただし、f1は、第1レンズ群G1の焦点距離を示し、f2は、第2レンズ群G2の焦点距離を示す。strは第2レンズ群G2の変倍に伴う広角端から望遠端までのストローク量(移動量、単位mm)、zはズーム比を示す。
0.5<|f1/f2|<0.8 ……(1)
2.6<str/z<2.9 ……(2)
第1レンズ群G1は、物体側より順に、例えば、負の屈折力を有する第1-1レンズL11と、負の屈折力を有する第1-2レンズL12と、負の屈折力を有する第1-3レンズL13および正の屈折力を有する第1-4レンズL14からなる接合レンズとが配列された3群4枚構成となっている。
第1レンズ群G1において、第1-1レンズL11および第1-2レンズL12は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであることが好ましい。第1-3レンズL13は、両凹形状であることが好ましい。第1-4レンズL14は、例えば物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなっている。
第2レンズ群G2は、物体側より順に、正の屈折力を有する第2-1レンズL21と、正の屈折力を有する第2-2レンズL22と、負の屈折力を有する第2-3レンズL23と、正の屈折力を有する第2-4レンズL24とが配列された4群4枚構成で、かつ、第2-1レンズL21の少なくとも1面以上が非球面形状で構成されていることが好ましい。
第2レンズ群G2において、第2-1レンズL21は、例えば近軸近傍において両凸形状となっている。第2-2レンズL22および第2-4レンズL24は、例えば両凸形状となっている。第2-3レンズL23は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成されていることが好ましい。
このズームレンズはさらに、以下の条件式を満足するように構成されていることがより好ましい。ただし、ndL14は第1レンズ群G1における第1-4レンズL14のd線に対する屈折率、νdL21は第2レンズ群G2における第2-1レンズL21のd線に対するアッベ数、ndL23は第2レンズ群G2における第2-3レンズL23のd線に対する屈折率を示す。
ndL14>1.83 ……(3)
νdL21>60 ……(4−1)
ndL23>1.83 ……(5)
次に、以上のように構成されたズームレンズの作用および効果を説明する。
このズームレンズでは、第2レンズ群G2を光軸方向に移動させることにより、変倍が行われ、その変倍に伴う像面変動の補正が、第1レンズ群G1を光軸方向に移動させることにより行われる。フォーカス調整も、第1レンズ群G1を光軸方向に移動させることにより行われる。
このズームレンズでは、第1レンズ群G1を3群4枚構成とすることで、例えば、第1レンズ群G1を2群3枚構成にした場合に比べて、小型化を図りつつ、諸収差、特に望遠端での倍率色収差の補正や球面収差の補正がしやすくなる。特に、第1-3レンズL13および第1-4レンズL14を接合レンズにすることで、色収差の補正がしやすくなる。また特に、最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ(第1-1レンズL11および第1-2レンズL12)を2枚配置することで、望遠端での球面収差の補正がしやすくなる。
このズームレンズでは、第2レンズ群G2における第2-1レンズL21の少なくとも1面以上を非球面形状とすることで、特に大口径比化に伴って発生する球面収差の補正をしやすくなる。また、第2レンズ群G2の最も物体側の第2-1レンズL21に非球面を用いることで、偏芯感度を小さく抑えやすくなる。さらに、この第2-1レンズL21に関して条件式(4−1)を満足することで、近赤外域まで良好に色収差の補正をしやすくなる。
条件式(1)は、第1レンズ群G1の焦点距離f1と第2レンズ群G2の焦点距離f2との比f1/f2の適切な範囲を規定している。条件式(1)を満足することにより、小型化を図りつつ、諸収差が補正しやすくなる。条件式(1)の上限を超えると、第1レンズ群G1の屈折力が弱くなりすぎ、第1レンズ群G1の移動量が増えてしまうため、コンパクト化を図ることができなくなる。下限を下回ると、第1レンズ群G1の屈折力が強くなりすぎ、特に、望遠端での球面収差が補正不足となるので好ましくない。
条件式(2)は、変倍に伴う第2レンズ群G2の適切なストローク範囲を規定している。条件式(2)の上限を超えると、第2レンズ群G2の移動量が増えてしまうため、コンパクト化を図ることができなくなる。下限を下回ると、特に広角端での球面収差とコマ収差との補正が困難となるので好ましくない。
条件式(3)は、第1レンズ群G1における第1-4レンズL14の適切な屈折率の範囲を規定している。条件式(5)は、第2レンズ群G2における第2-3レンズL23の適切な屈折率の範囲を規定している。条件式(3),(5)を満足するようにして屈折率の高い硝種を選択することにより、各レンズL14,L23の球面形状を緩く(曲率半径を大きく)しやすくなり、コンパクト化を図りやすくなる。特に、第2-3レンズL23を物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズとして、条件式(5)を満足することで、よりコンパクト化を図りやすくなる。条件式(3),(5)の値を下回ると、コンパクト化を図ることが困難となるので好ましくない。
条件式(4−1)は、第2レンズ群G2における第2-1レンズL21の適切なアッベ数の範囲を規定している。非球面を用いる第2-1レンズL21に関して、条件式(4−1)を満足するようにして硝種を適切に選択することにより、特に、可視域から近赤外域まで軸上色収差を良好に補正することができる。これにより、可視域・近赤外域両用レンズを容易に実現できる。条件式(4−1)の値を下回ると、可視から近赤外域までの色収差の補正が困難となるので好ましくない。
このように、本実施の形態に係るズームレンズによれば、要求される仕様等に応じて、上記した好ましい構成を適宜採用することで、可視域から近赤外域まで良好に収差補正を行いつつ、小型化および大口径比化を図ることができ、監視用のカメラに適した性能を容易に得ることができる。例えば、明るい環境下から低照度の環境下への撮影、または可視光による撮影から近赤外光による撮影へと移行する場合においても、フォーカス調整をし直すことなく、使い勝手の良いレンズ系を実現できる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るズームレンズの構成例を示している。この構成例は、後述の数値実施例2−1(表8〜10)のレンズ構成に対応している。また、図8は、本実施の形態に係るズームレンズの他の構成例を示している。図8の構成例は、後述の数値実施例2−2(表11〜13)のレンズ構成に対応している。なお、図7,図8は、広角端でのレンズ配置を示している。
図7,図8において、符号Riは、絞りStも含めて最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目(i=1〜18)の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。
本実施の形態に係るズームレンズの基本的な構成は、図1,図2に示したズームレンズと同じなので、以下では、これらとは異なる部分を中心に説明する。
このズームレンズにおいて、第1レンズ群G1は、例えば4枚のレンズL11〜L14により構成されている。各レンズL11〜L14の基本形状は、図1,図2の構成と略同様である。
第2レンズ群G2は、例えば4枚のレンズL21〜L24により構成されている。このうち、第2-3レンズL23および第2-4レンズL24の基本形状は、図1,図2の構成と略同様である。
図1,図2に示したズームレンズでは、第2レンズ群G2の第2-1レンズL21に非球面を用いるようにしたが、本実施の形態では、第2-2レンズL22の少なくとも1面以上に非球面を用いている。本実施の形態では、第2-1レンズL21は、例えば両凸形状となっている。第2-2レンズL22は、例えば近軸近傍において物体側に凸面を向けた平凸形状となっている。
このズームレンズは、図1,図2に示したズームレンズと同様、以下の条件式(1),(2)を満足するように構成されている。
0.5<|f1/f2|<0.8 ……(1)
2.6<str/z<2.9 ……(2)
このズームレンズは、以下の条件式を満足していることが好ましい。ただし、νdL22は第2レンズ群G2における第2-2レンズL22のd線に対するアッベ数を示す。
ndL14>1.83 ……(3)
νdL22>60 ……(4−2)
ndL23>1.83 ……(5)
このズームレンズでは、第2レンズ群G2における第2-2レンズL22の少なくとも1面以上を非球面形状とすることで、特に大口径比化に伴って発生する球面収差の補正をしやすくなる。さらに、この第2-2レンズL22に関して条件式(4−2)を満足することで、近赤外域まで良好に色収差の補正をしやすくなる。
条件式(4−2)は、第2レンズ群G2における第2-2レンズL22の適切なアッベ数の範囲を規定している。非球面を用いる第2-2レンズL22に関して、条件式(4−2)を満足するようにして硝種を適切に選択することにより、特に、可視域から近赤外域まで軸上色収差を良好に補正することができる。これにより、可視域・近赤外域両用レンズを容易に実現できる。条件式(4−2)の値を下回ると、可視から近赤外域までの色収差の補正が困難となるので好ましくない。
その他の作用、効果は、上記第1の実施の形態に係るズームレンズと同様である。このように、本実施の形態に係るズームレンズにおいても、可視域から近赤外域まで良好に収差補正を行いつつ、小型化および大口径比化を図ることができ、監視用のカメラに適した性能を容易に得ることができる。
次に、本実施の形態に係るズームレンズの具体的な数値実施例について説明する。
[実施例1−1,1−2]
まず、上記第1の実施の形態に対応する数値実施例を説明する。以下では、2つの数値実施例1−1,1−2をまとめて説明する。表1〜表3は、図1に示したズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータ(実施例1−1)を示している。また、表4〜表6は、図2に示したズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータ(実施例1−2)を示している。表1および表4には、その実施例のレンズデータのうち基本的なデータ部分を示し、表2および表5には、その実施例のレンズデータのうち非球面形状に関するデータ部分を示す。表3および表6には、その他のデータを示す。
各表に示したレンズデータにおける面番号Siの欄には、各実施例のズームレンズについて、絞りSt,カバーガラスGCも含めて最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目(i=1〜18)の面の番号を示している。曲率半径Riの欄には、図1において付した符号Riに対応させて、物体側からi番目の面の曲率半径の値を示す。面間隔Diの欄についても、図1において付した符号に対応させて、物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸上の間隔を示す。曲率半径Riおよび面間隔Diの値の単位はミリメートル(mm)である。ndiの欄には、絞りSt,カバーガラスGCも含めて、物体側からi番目のレンズ要素のd線(587.6nm)に対する屈折率の値を示す。νdjの欄には、カバーガラスGCも含めて、物体側からj番目(j=1〜9)のレンズ要素のd線に対するアッベ数の値を示す。
表1および表4の各レンズデータにおいて、面番号の左側に付された記号「*」は、そのレンズ面が非球面形状であることを示す。各実施例共に、第2レンズ群G2における第2-1レンズL21の両面S9,S10が非球面形状となっている。基本レンズデータには、これらの非球面の曲率半径として、光軸近傍(近軸近傍)の曲率半径の数値を示している。
表2および表5の各非球面データの数値において、記号“E”は、その次に続く数値が10を底とした“べき指数”であることを示し、その10を底とした指数関数で表される数値が“E”の前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−02」であれば、「1.0×10-2」であることを示す。
各非球面データには、以下の式(A)によって表される非球面形状の式における各係数Bi,KAの値を記す。Zは、より詳しくは、光軸から高さhの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)を示す。
Z=C・h2/{1+(1−KA・C2・h21/2}+ΣBi・hi ……(A)
ただし、
Z:非球面の深さ(mm)
h:光軸からレンズ面までの距離(高さ)(mm)
KA:離心率
C:近軸曲率=1/R
(R:近軸曲率半径)
i:第i次(i=3〜10)の非球面係数
各実施例のズームレンズ共に、変倍に伴って第1レンズ群G1および第2レンズ群G2が光軸上を移動するため、これらの各群の前後の面間隔D7,D8,D16の値は、可変となっている。これらの面間隔D7,D8,D16の変倍時のデータとして、広角端、および望遠端における各実施例の値を表3および表6に示す。表3および表6にはまた、広角端と望遠端とにおける、焦点距離、Fナンバー(FNO.)および半画角ωの値を、各実施例のズームレンズについてまとめて示す。
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
また、表7に、上述の条件式(1)〜(3),(4−1),(5)に関する値を、各実施例についてまとめて示す。表7に示したように、各実施例の値が、各条件式の数値範囲内となっている。
Figure 2005134887
図3(A)〜(C)は、実施例1−1のズームレンズにおける広角端での球面収差、非点収差、およびディストーション(歪曲収差)を示している。図4(A)〜(C)は、望遠端における同様の各収差を示している。各収差図には、d線を基準波長とした収差を示すが、球面収差図には、近赤外域(波長880nm)についての収差も示す。非点収差図において、実線はサジタル方向、破線はタンジェンシャル方向の収差を示す。ωは、半画角を示す。
同様に、実施例1−2についての諸収差を図5(A)〜(C)(広角端)、および図6(A)〜(C)(望遠端)に示す。
以上の各数値データおよび各収差図から分かるように、各実施例について、可視域から近赤外域まで良好に収差補正がなされ、小型で大口径比のレンズ系が実現できている。
[実施例2−1,2−2]
次に、上記第2の実施の形態に対応する数値実施例を説明する。以下では、2つの数値実施例2−1,2−2をまとめて説明する。表8〜表10は、図7に示したズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータ(実施例2−1)を示している。また、表11〜表13は、図8に示したズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータ(実施例2−2)を示している。表8および表11には、その実施例のレンズデータのうち基本的なデータ部分を示し、表9および表12には、その実施例のレンズデータのうち非球面形状に関するデータ部分を示す。表10および表13には、その他のデータを示す。各表におけるRi,Diなどの記号の意味は、上記実施例1−1,1−2と同様である。
表8および表11の各レンズデータにおいて、面番号の左側に付された記号「*」は、そのレンズ面が非球面形状であることを示す。各実施例共に、第2レンズ群G2における第2-2レンズL22の両面S11,S12が非球面形状となっている。基本レンズデータには、これらの非球面の曲率半径として、光軸近傍(近軸近傍)の曲率半径の数値を示している。各非球面データには、上述の式(A)によって表される非球面形状の式における各係数Bi,KAの値を記す。
各実施例のズームレンズ共に、変倍に伴って第1レンズ群G1および第2レンズ群G2が光軸上を移動するため、これらの各群の前後の面間隔D7,D8,D16の値は、可変となっている。これらの面間隔D7,D8,D16の変倍時のデータとして、広角端、および望遠端における各実施例の値を表10および表13に示す。表10および表13にはまた、広角端と望遠端とにおける、焦点距離、Fナンバー(FNO.)および半画角ωの値を、各実施例のズームレンズについてまとめて示す。
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
Figure 2005134887
また、表14に、上述の条件式(1)〜(3),(4−2),(5)に関する値を、各実施例についてまとめて示す。表14に示したように、各実施例の値が、各条件式の数値範囲内となっている。
Figure 2005134887
図9(A)〜(C)は、実施例2−1のズームレンズにおける広角端での球面収差、非点収差、およびディストーション(歪曲収差)を示している。図10(A)〜(C)は、望遠端における同様の各収差を示している。各収差図には、d線を基準波長とした収差を示すが、球面収差図には、近赤外域(波長880nm)についての収差も示す。非点収差図において、実線はサジタル方向、破線はタンジェンシャル方向の収差を示す。ωは、半画角を示す。
同様に、実施例2−2についての諸収差を図11(A)〜(C)(広角端)、および図12(A)〜(C)(望遠端)に示す。
以上の各数値データおよび各収差図から分かるように、各実施例について、可視域から近赤外域まで良好に収差補正がなされ、小型で大口径比のレンズ系が実現できている。
なお、本発明は、上記各実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
本発明の第1の実施の形態に係るズームレンズの全体構成を示すものであり、実施例1−1に対応するレンズ断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る他のズームレンズの全体構成を示すものであり、実施例1−2に対応するレンズ断面図である。 実施例1−1に係るズームレンズの広角端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。 実施例1−1に係るズームレンズの望遠端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。 実施例1−2に係るズームレンズの広角端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。 実施例1−2に係るズームレンズの望遠端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。 本発明の第2の実施の形態に係るズームレンズの全体構成を示すものであり、実施例2−1に対応するレンズ断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る他のズームレンズの全体構成を示すものであり、実施例2−2に対応するレンズ断面図である。 実施例2−1に係るズームレンズの広角端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。 実施例2−1に係るズームレンズの望遠端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。 実施例2−2に係るズームレンズの広角端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。 実施例2−2に係るズームレンズの望遠端における球面収差、非点収差、およびディストーションを示す収差図である。
符号の説明
GC…カバーガラス、G1…第1レンズ群、G2…第2レンズ群、St…絞り、Ri…物体側から第i番目のレンズ面の曲率半径、Di…物体側から第i番目と第i+1番目のレンズ面との面間隔、Z1…光軸。

Claims (9)

  1. 物体側より順に、
    負の屈折力を有する第1レンズ群と、
    正の屈折力を有する第2レンズ群と
    を備え、
    前記第2レンズ群を光軸上で物体側に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行い、その変倍に伴う像面補正を前記第1レンズ群を光軸上で像側に移動させることで行うようになされ、
    かつ、以下の条件式(1),(2)を満足するように構成されている
    ことを特徴とするズームレンズ。
    0.5<|f1/f2|<0.8 ……(1)
    2.6<str/z<2.9 ……(2)
    ただし、
    f1:第1レンズ群の焦点距離
    f2:第2レンズ群の焦点距離
    str:第2レンズ群の変倍に伴う広角端から望遠端までの移動量(mm)
    z:ズーム比
  2. 前記第1レンズ群は、
    物体側より順に、負の屈折力を有する第1-1レンズと、負の屈折力を有する第1-2レンズと、負の屈折力を有する第1-3レンズおよび正の屈折力を有する第1-4レンズからなる接合レンズとが配列された3群4枚構成であり、
    前記第2レンズ群は、
    物体側より順に、正の屈折力を有する第2-1レンズと、正の屈折力を有する第2-2レンズと、負の屈折力を有する第2-3レンズと、正の屈折力を有する第2-4レンズとが配列された4群4枚構成で、かつ、前記第2-1レンズの少なくとも1面以上が非球面形状で構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
  3. 前記第1レンズ群において、
    前記第1-1レンズおよび前記第1-2レンズは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであり、前記第1-3レンズは両凹レンズである
    ことを特徴とする請求項2に記載のズームレンズ。
  4. 前記第2レンズ群の前記第2-3レンズは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のズームレンズ。
  5. さらに、以下の条件式を満足するように構成されている
    ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
    ndL14>1.83 ……(3)
    νdL21>60 ……(4−1)
    ndL23>1.83 ……(5)
    ただし、
    ndL14:第1レンズ群における第1-4レンズのd線に対する屈折率
    νdL21:第2レンズ群における第2-1レンズのd線に対するアッベ数
    ndL23:第2レンズ群における第2-3レンズのd線に対する屈折率
  6. 物体側より順に、
    負の屈折力を有する第1レンズ群と、
    正の屈折力を有する第2レンズ群と
    を備え、
    前記第2レンズ群を光軸上で物体側に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行い、その変倍に伴う像面補正を前記第1レンズ群を光軸上で像側に移動させることで行うようになされ、
    前記第1レンズ群が、
    物体側より順に、負の屈折力を有する第1-1レンズと、負の屈折力を有する第1-2レンズと、負の屈折力を有する第1-3レンズおよび正の屈折力を有する第1-4レンズからなる接合レンズとが配列された3群4枚構成であり、
    前記第2レンズ群が、
    物体側より順に、正の屈折力を有する第2-1レンズと、正の屈折力を有する第2-2レンズと、負の屈折力を有する第2-3レンズと、正の屈折力を有する第2-4レンズとが配列された4群4枚構成で、かつ、前記第2-2レンズの少なくとも1面以上が非球面形状で構成され、
    かつ、以下の条件式(1),(2)を満足するように構成されている
    ことを特徴とするズームレンズ。
    0.5<|f1/f2|<0.8 ……(1)
    2.6<str/z<2.9 ……(2)
    ただし、
    f1:第1レンズ群の焦点距離
    f2:第2レンズ群の焦点距離
    str:第2レンズ群の変倍に伴う広角端から望遠端までの移動量(mm)
    z:ズーム比
  7. 前記第1レンズ群において、
    前記第1-1レンズおよび前記第1-2レンズは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであり、前記第1-3レンズは両凹レンズである
    ことを特徴とする請求項6に記載のズームレンズ。
  8. 前記第2レンズ群の前記第2-3レンズは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである
    ことを特徴とする請求項6または7に記載のズームレンズ。
  9. さらに、以下の条件式を満足するように構成されている
    ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
    ndL14>1.83 ……(3)
    νdL22>60 ……(4−2)
    ndL23>1.83 ……(5)
    ただし、
    ndL14:第1レンズ群における第1-4レンズのd線に対する屈折率
    νdL22:第2レンズ群における第2-2レンズのd線に対するアッベ数
    ndL23:第2レンズ群における第2-3レンズのd線に対する屈折率
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