JP2004319717A - 半導体ウェーハの製造方法 - Google Patents

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Masao Yoshimuta
政男 吉牟田
Masayuki Asano
政幸 浅野
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和則 鬼崎
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Abstract

【課題】アルカリエッチング工程でのエッチピットおよびエッチング面の粗さを低減する半導体ウェーハの製造方法を提供する。
【解決手段】ラッピング後、シリコンウェーハWの表裏両面側に存在する加工ダメージ層の一部をスライト加工(研磨)する(S104)。その後、シリコンウェーハWをアルカリエッチングする(S106)。これにより、アルカリエッチング工程でのエッチピット、エッチング面の粗さを低減できる。その結果、鏡面研磨工程における研磨量が低減し、ウェーハの平坦度が高まり、ウェ−ハ裏面の平坦性も高まる。よって、デバイス工程における半導体ウェーハの真空吸着の安定性も高められる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体ウェーハの製造方法、詳しくは片面が鏡面研磨された半導体ウェーハの製造過程におけるアルカリエッチング工程で生じたエッチピットに起因する粗さを低減し、かつ、片面鏡面研磨後にウェーハの裏面となりうる面の平坦性を高める半導体ウェーハの製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアルカリエッチングを用いた片面鏡面ウェーハの製造方法では、インゴットをスライスして薄板状のウェーハを作製し、その後、ウェーハに対して面取り工程、ラッピング工程、アルカリエッチング工程、片面鏡面研磨工程、洗浄工程の各工程が順次施される。
ところで、アルカリエッチング処理においては、従来から一般的に施されていた酸エッチングの課題である周期2〜10mmのうねり(ナノトポグラフィー)が改善される反面、周期1〜100μmの表面粗さが増大(Rmax1〜5μm)することによる発塵の問題が生じていた。そこで、特許文献1のようなものが提案されている。
【0003】
従来の片面鏡面ウェーハの製造方法では、アルカリエッチング工程と片面鏡面研磨工程との間に、シリコンウェーハの裏面に対し、軽度の研磨加工が施される。この明細書中、ウェーハの表面とは、片面鏡面研磨時に鏡面研磨される面をいう。また、ウェーハの裏面とは、片面鏡面研磨時に鏡面研磨されない面をいう。
【0004】
【特許文献1】特開平6−349795号(第1頁、図1)
【0005】
前記ラッピング工程では、互いに平行なラップ定盤の間にウェーハを配置し、遊離砥粒と分散剤と水の混合物であるラップ液を、ラップ定盤とウェーハとの間に流し込む。そして、加圧下で回転・すり合わせることで、ウェーハの表裏両面をラッピングする。これにより、スライス加工により発生したウェーハ毎の厚さのばらつき、ウェ−ハ面内での厚さのばらつき、および、スライスダメ−ジ層を除去することができる。
ラップ量は、一般的にウェーハ表裏両面で60μm以上とされる。そのため、ラッピング工程での生産性および研磨後の加工精度を考慮したとき、ラップ液に使用される遊離砥粒としては、#1000〜#1500のアルミナ砥粒となる。その結果、加工ダメ−ジ層の厚さはウェーハ片面で6〜10μmとなる。
続くエッチング工程では、ラッピング後のシリコンウェーハ(ラップドウェーハ)を、KOHまたはNaOHなどのアルカリ性エッチング液に浸漬し、ラッピング工程で発生した加工ダメ−ジ層を除去する。このとき、ウェーハの表裏両面には、ラッピング時の加工ダメージ層に起因したエッチピットが生じる。エッチピットは、アルカリ性エッチング液が加工ダメージの微かな傷などを伝ってウェーハの内部まで浸透することで形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の片面鏡面ウェーハの製造方法では、以下の欠点が発生した。
(1) ウェーハの表面に関しては、最終の片面鏡面研磨時にエッチングにより生じたうねりと、エッチピットとを除去する必要があった。ところが、アルカリエッチングが施された片面鏡面ウェーハは、一般的な酸エッチングが施された片面鏡面ウェーハに比べ、前述したようにうねりは改善されるものの粗さが増大する。そのため、研磨量が数十μmにも達し、研磨量および研磨時間が増加していた。これにより、研磨布が劣化し、ウェーハの外周がダレてしまう問題が発生していた。その結果、片面鏡面研磨後のウェーハの平坦度としては、例えば20mm×20mmのサイトにおける裏面基準の高低差(SBIR)では、酸エッチング品に比べて、0.1〜0.3μm程度悪化していた。
【0007】
(2) ウェーハの裏面について言及すれば、アルカリエッチング後の軽度の研磨では、図2(a)に示すように、凸部の一部は除去することができるものの、凹部については研磨のケミカル作用によりアルカリエッチングで生じた凹凸はわずかに変化する程度である。そのため、裏面研磨前後の凹凸の変化を、例えばADE社製の静電容量式のフラットネス測定機によって測定しても、変化は見られない。また、光学式のフラットネス測定機によって測定した場合でも、ウェーハの裏面の平坦性が低いため、真空チャックによるウェーハの保持状態(真空チャックのチャック面の形状)によって、ウェーハの変形量が異なってしまう。その結果、例えばウェーハ吸着面に複数条の環状溝が配設されたリングチャック式の真空チャックの場合と、ウェーハ吸着面に多数本の小ピンを有するピンチャック式の真空チャックの場合とでは、測定されたウェーハの表面の平坦性に差が生じるといった問題があった。
【0008】
以下、この平坦性に差が生じる現象を詳細に説明する。真空チャックを使用した測定では、ウェーハの裏面が測定の基準となる。そのため、ウェーハを真空チャックすると、ウェーハの裏面の凹凸形状がウェーハの表面に転写される。その際、前記リングチャック式の場合とピンチャック式の場合とでは、環状溝の形成壁(リングチャック式)または小ピン(ピンチャック式)によって支持されるウェーハ裏面内の領域(位置と面積)が異なる。したがって、同一ウェーハに対して、例えば1回目がリングチャック式での測定、2回目がピンチャック式での測定を行う際、仮に環状溝の形成壁によるウェーハの保持領域がウェーハの裏面の凹部で、ピンによるウェーハの保持領域がウェーハの裏面の凸部となった場合、ウェーハ裏面の粗さ(凹凸)が大きければ、前後2回の測定結果に大きな誤差が生じる。このことは、出荷直前のウェーハの検査で使用される真空チャックと、出荷先での検品時に使用される真空チャックとが異なるとき、特に問題となる。それを回避するには、ウェーハの表裏面の識別が可能な粗さを保持しながら、ウェーハの裏面の平坦性を高める必要がある。これは、真空チャックされるウェーハ裏面の粗さが小さければ、前記チャッキング方式による測定誤差は、それほど問題とならないためである。
【0009】
【発明の目的】
この発明は、片面鏡面ウェーハにおいて、アルカリエッチング工程でのエッチピットおよびエッチング面の粗さを低減して、半導体ウェーハの裏面の平坦性を高めることができる半導体ウェーハの製造方法を提供することを、その目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、スライスされた半導体ウェーハをラッピングするラッピング工程と、該ラッピング後の半導体ウェーハの表裏両面に存在する加工ダメージ層の一部、または、半導体ウェーハの裏面に存在する加工ダメージ層の一部を研磨するスライト研磨工程と、該スライト研磨後、前記加工ダメージ層をアルカリ性エッチング液により除去するアルカリエッチング工程と、該エッチング後の半導体ウェーハの表面となる面を鏡面化させる片面鏡面研磨工程とを備えた半導体ウェーハの製造方法である。
【0011】
半導体ウェーハとしては、シリコンウェーハ、ガリウムヒ素ウェーハなどを採用することができる。
スライト研磨加工とは、半導体ウェーハの表裏両面または裏面に存在する加工ダメージ層の一部を研磨加工により除去する工程である。
スライト研磨に使用される研磨装置としては、例えば上定盤および下定盤の各対向面に研磨布がそれぞれ貼着されたバッチ式の両面研磨装置を採用することができる。また、半導体ウェーハの裏面だけをスライト研磨する場合は、半導体ウェーハを1枚ずつ研磨する枚葉式の片面研磨装置、または、キャリアプレートに複数枚のウェーハをワックス貼着し、その後、このキャリアプレートを研磨ヘッドに固定し、各ウェーハを研磨定盤上の研磨布に押し付けて同時研磨するバッチ式の片面研磨装置などを採用することができる。
研磨布の種類および材質は限定されない。例えば、不織布にウレタン樹脂を含浸・硬化させた不織布パッド、発泡したウレタンのブロックをスライスした発泡性ウレタンパッドなどを採用することができる。その他、ポリエステルフェルトにポリウレタンを含浸した基材の表面に発泡ウレタンを積層し、このポリウレタンの表層部分を除去して発泡層に開口部を形成したスエ−ドパッドでもよい。
【0012】
研磨剤としては、例えばpH8〜10のアルカリ性溶液に、平均粒径0.1〜0.02μm程度のコロイダルシリカ粒子を分散させたものを採用することができる。
アルカリエッチング工程では、両面または裏面にスライト研磨を施した半導体ウェーハを、例えばKOHまたはNaOHなどのアルカリ性エッチング液に浸漬し、スライト研磨後に残留している加工ダメ−ジ層を除去する。エッチング量は、あらかじめ半導体ウェーハに施されたスライト研磨量に応じて増減する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記スライト研磨工程が、メカノケミカル研磨である請求項1記載の半導体ウェーハの製造方法である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記メカノケミカル研磨における研磨量が、ラッピング加工で生じるダメージ深さの20〜50%である請求項1または請求項2記載の半導体ウェーハの製造方法である。
例えば、#1000のアルミナ砥粒を含むラップ液によりラッピング加工を施した半導体ウェーハの加工ダメージ層は、表層より10μm程度である。この場合のスライト研磨における研磨量は2〜5μmとする。スライト研磨の加工量が20%未満の場合には、その後のアルカリエッチングにおいて、ラッピング加工から直接アルカリエッチングを施した面状態との差が確認できない。また、加工量が50%を超えると、アルカリエッチング後に発生するエッチピットの残留率が著しく低下し、エッチング面が鏡面に近い状態となる。その結果、デバイスプロセスにおける裏面のセンサ検出において識別エラーなどの発生が問題となる。しかも、ウェーハ表面(鏡面)と、エッチピットにより光沢度が低下したウェーハ裏面との識別が困難になるおそれがある。
【0015】
【作用】
この発明によれば、ラッピング後の半導体ウェーハの両面もしくは裏面に対してスライト研磨を施す。これにより、半導体ウェーハのスライト研磨後の表面状態としては、図2(b)に示すように、外観上鏡面化された平坦部分と、その下に存在するラッピング工程でのダメージの残留部分とが混在した面となる。そのため、その後に半導体ウェーハをアルカリエッチングすると、平坦部分には加工ダメージが存在しないことから、エッチピットは形成されない状態でエッチングされる(図2(c))。これに対して、前記ダメ−ジ残留部分では、アルカリ性エッチング液が微かな傷などを伝ってウェーハの内部まで浸透し、エッチピットが形成される。その結果、鏡面研磨工程後でもウェーハの表裏面を容易に識別することができる。
【0016】
また、スライト研磨により、ラッピング時に発生した加工ダメージ層の厚さが低減されるので、アルカリエッチング後の表面粗さも小さくなる。しかも、エッチピットが形成されない平坦部分が、真空チャック板などに対するウェーハの裏面の接触部分となることから、真空チャック時におけるウェーハの裏面からのパーティクルの発生を抑制することができる。さらに、チャック面の形状の違いで、ウェーハの表面の平坦性の測定結果に差異が生じる現象を抑えることができる。また、両面スライト研磨を施した場合には、片面鏡面研磨時における研磨量を低減することができ、平坦度を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。
図1に示すように、一実施例にあっては、スライス、面取り、ラッピング、スライト研磨、アルカリエッチング、エッジポリッシュ、鏡面研磨、仕上げ洗浄の各工程を経て、片面鏡面ウェーハが作製される。以下、各工程を詳細に説明する。
CZ法により引き上げられた単結晶シリコンインゴットは、スライス工程(S101)で、口径8インチ、厚さ860μm程度の多数枚のシリコンウェーハにスライスされる。得られたシリコンウェーハには、ウェーハ毎の厚さのばらつき、ウェーハ面内での厚さのばらつき、および、スライス時に生じる加工ダメージ層(厚さ10〜15μm)が現出される。
【0018】
次に、シリコンウェーハの外周部が面取り(S102)される。すなわち、ウェーハの外周部が#600〜#1500のメタル面取り用砥石により、所定の形状に粗く面取りされる。これにより、ウェーハの外周部は、所定の丸みを帯びた形状(例えばMOS型の面取り形状)に成形される。
次にまた、面取りされたシリコンウェーハは、ラッピング装置によりラッピングされる(S103)。このラッピング工程では、シリコンウェーハを、互いに平行なラッピング定盤の間に配置し、ラッピング定盤とシリコンウェーハとの間に、#1000〜#1500のアルミナ砥粒と分散剤と水の混合物であるラップ液を1リットル/分で流し込む。そして、加圧下で定盤を回転し、すり合わせを行ない、ウェーハ表裏両面をラッピングする。これにより、スライス時に発生したシリコンウェーハの厚さのばらつきおよび加工ダメージ層が除去される。ラッピング量は、ウェーハ両面で60μm程度である。ラッピング後のウェーハ表裏両面の加工ダメージ層の厚さは、ウェーハ片面で6〜10μm程度である(図2(a))。
【0019】
続いて、シリコンウェーハの表裏両面がスライト研磨される(S104)。
スライト研磨用の研磨装置としては、遊星歯車式の両面研磨装置を採用する。この両面研磨装置は、互いに平行に設けられた上定盤および下定盤と、これらの上定盤、下定盤間に介在されて、軸線回りに回転自在に設けられた小径な太陽ギヤと、この軸線と同じ軸線を中心にして回転自在に設けられた大径なインターナルギヤ、太陽ギヤおよびインターナルギヤに噛合する外ギヤが形成された合計4枚の円板形状のキャリアプレートとを備えている。上定盤の下面には、ウェーハ裏面を研磨する発泡性ウレタンパッドからなる研磨布が貼着されている。また、下定盤の上面には、ウェーハ表面を研磨する同じく発泡性ウレタンパッドからなる研磨布が貼着されている。
【0020】
スライト研磨時、シリコンウェーハに対する各研磨布の当接圧力を250gf/cmとし、両定盤を同じ方向に30rpmで回転しながら研磨する。研磨中、研磨布間に供給される研磨剤は、pH8〜10のアルカリ性溶液にコロイダルシリカ粒子を分散させたスラリーである。研磨剤の供給量は1リットル/分、研磨量はラッピング後の加工ダメージ層の厚さの20〜50%、例えば#1000のラップ砥粒でラッピングを行ったウェーハで言えば2〜5μmである。スライト研磨後、シリコンウェーハの表裏両面側には、ラッピング後の加工ダメージ層の半分を超える厚さ、例えば3〜5μm程度の加工ダメージ層がそれぞれ残る。シリコンウェーハのスライト研磨面は、ウェ−ハ面内において、外観上鏡面化された平坦部分と、この鏡面の下に存在するダメ−ジ残留部とが混在した面となる(図2(b))。
【0021】
また、例えばウェーハ裏面側だけをスライト研磨する場合には、キャリアプレートを介して、ワックス貼着または水張り(ワックスレス)によりシリコンウェーハが研磨ヘッドに保持された枚葉式の研磨装置を用いる。このとき、スライト研磨が施されないウェーハ表面には、ラップ加工時の加工ダメージ層がそのまま残る。そのため、アルカリエッチングを施す前に、研削によりウェーハ表面側の加工ダメージを除去しておく。研削工程では、#2000以上のレジノイド研削砥石を有する研削装置により、ウェーハ表面を研削する(S105)。
【0022】
その後、スライト研磨されたシリコンウェーハを、アルカリ性エッチング液に浸漬し、アルカリエッチングする(S106)。アルカリ性エッチング液には、KOHまたはNaOHの溶液を使用する。
アルカリ性エッチング液は、シリコンのエッチングに対して選択性を有する。そのため、スライト研磨後のダメージ残留部を選択的にエッチングすることができる。これにより、それぞれのダメージ残留部を中心としてエッチピットが形成される。一方、スライト研磨時に加工ダメージが完全に取り除かれた平坦部分のエッチングは、エッチピットが形成されない状態で進行する(図2(c))。その結果、図6、図7(b)、図8および図9に示す従来のシリコンウェーハに比べて、エッチング面における周期1〜100μmの粗さおよび1〜10mmのうねりが大きく改善される(図3(a),図4および図5)。
【0023】
続いて、エッチングされたシリコンウェーハの外周部を、エッジポリッシュ(PCR:Polishing Cornor Rounding)する。これにより、シリコンウェーハの面取り面が鏡面仕上げされる(S107)。
ここでは、研磨布付きの周知のエッジポリッシュ加工装置が用いられる。すなわち、研磨砥粒を含む研磨液を1800ml/分で供給しながら、回転モータにより研磨布を軸線回りに5rpmで回転する。回転中の研磨布の外周面に、500rpmで回転しているシリコンウェーハの面取り面を、1.5kg/cmの研磨圧力で押し付ける。こうして、面取り面を鏡面研磨する。
エッジポリッシュ後、必要に応じて、シリコンウェーハをドナーキラー熱処理(図示せず)してもよい。ドナーキラー熱処理により、酸素ドナーの発生が防止される。
【0024】
次に、枚葉式またはバッチ式の片面研磨装置を用いて、シリコンウェーハの表面を鏡面研磨する(S108)。研磨布には、スライト研磨時に使用したものと同一のものを使用する。
鏡面研磨時には、研磨定盤を40rpmで高速回転させ、研磨ヘッドを所定の回転速度で回転させる。その状態を保ちながら、研磨剤(スラリー)を1リットル/分で研磨布上に供給し、シリコンウェーハの表面を研磨布に押し付けて研磨する。研磨量は、従来の約半分となる。これは、あらかじめシリコンウェーハにスライト研磨を施すことで、アルカリエッチング後の粗さ、ピット深さが低減するためである。
その後、シリコンウェーハを仕上げ洗浄する(S109)。具体的には、RCA系の洗浄液により洗浄する。
【0025】
このように、アルカリエッチング前にスライト研磨を施すようにしたので、鏡面研磨工程における研磨時間を短縮することができるともに、研磨面のフラットネスの悪化を抑制することができる。しかも、シリコンウェーハの平坦度だけでなく、ウェーハ裏面の平坦性についても大きく改善することが可能になる。その結果、フラットネス測定器(ADE社製)を使用して測定したウェーハ裏面のサイトフラットネスを、従来ウェーハ(図7(a),(b))に比べて、高めることができる(図3(a),(b))。
また、このようにウェーハ平坦度およびウェーハ裏面の平坦性が高まることで、例えばウェーハを吸着保持するタイプのフラットネス測定器における様々なウェーハチャックに関する影響(チャック構造の違いなど)、および、デバイス工程でのシリコンウェーハの真空吸着時の影響を低減させることができる。
【0026】
【発明の効果】
この発明によれば、あらかじめウェーハ表裏両面側のうち、少なくとも裏面側にスライト研磨を施すようにしたので、アルカリエッチング工程でのエッチピットおよびエッチング面の粗さを低減させることができる。その結果、続く鏡面研磨工程での研磨量を低減させることができ、これによりウェーハ平坦度が高まるとともに、ウェ−ハ裏面の平坦性も高まる。
また、このようにウェーハ平坦度とウェーハ裏面の平坦性が高まることで、裏面からの発塵およびデバイス工程における半導体ウェーハの真空吸着時の変形を抑制させることができる。
【0027】
特に、請求項3の発明によれば、スライト研磨時の半導体ウェーハの研磨量を、ラッピング後の加工ダメージ層の厚さの半分以下としたので、アルカリエッチング後にエッチピットの残留率が著しく低下し、ウェーハ裏面がウェーハ表面と同程度まで鏡面化されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法を示すフローシートである。
【図2】(a)は、この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法におけるラッピング後の半導体ウェーハのラッピング面を示す要部拡大断面図である。
(b)は、この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法におけるスライト研磨後の半導体ウェーハのスライト研磨面を示す要部拡大断面図である。
(c)は、この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面を示す要部拡大断面図である。
【図3】(a)は、この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面のフラットネス分布を示すグラフである。
(b)は、この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法における鏡面研磨後の半導体ウェーハの研磨面のフラットネス分布を示すグラフである。
【図4】この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面の状態を示す顕微鏡写真の模式図である。
【図5】この発明の一実施例に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面の状態を示すグラフである。
【図6】(a)は、従来手段に係る半導体ウェーハの製造方法におけるラッピング後の半導体ウェーハのラッピング面を示す要部拡大断面図である。
(b)は、従来手段に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面を示す要部拡大断面図である。
【図7】(a)は、従来手段に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面のフラットネス分布を示すグラフである。
(b)は、従来手段に係る半導体ウェーハの製造方法における鏡面研磨後の半導体ウェーハの研磨面のフラットネス分布を示すグラフである。
【図8】従来手段に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面の状態を示す顕微鏡写真の模式図である。
【図9】従来手段に係る半導体ウェーハの製造方法におけるアルカリエッチング後の半導体ウェーハのエッチング面の状態を示すグラフである。

Claims (3)

  1. スライスされた半導体ウェーハをラッピングするラッピング工程と、
    該ラッピング後の半導体ウェーハの表裏両面に存在する加工ダメージ層の一部、または、半導体ウェーハの裏面に存在する加工ダメージ層の一部を研磨するスライト研磨工程と、
    該スライト研磨後、前記加工ダメージ層をアルカリ性エッチング液により除去するアルカリエッチング工程と、
    該エッチング後の半導体ウェーハの表面となる面を鏡面化させる片面鏡面研磨工程とを備えた半導体ウェーハの製造方法。
  2. 前記スライト研磨工程が、メカノケミカル研磨である請求項1記載の半導体ウェーハの製造方法。
  3. 前記メカノケミカル研磨における研磨量が、ラッピング加工で生じるダメージ深さの20〜50%である請求項1または請求項2記載の半導体ウェーハの製造方法。
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