JP2004294359A - 圧力センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧測定が可能で、かつ製造工程を簡素化することのできる圧力センサを提供する。
【解決手段】(100)面からエッチング処理に伴って開口部及び薄肉のダイアフラム部2が形成されてなる半導体基板1を圧力導入孔20aを有するガラス台座(ガラス基板)20上に配設し、半導体基板1とガラス台座20とを陽極接合法によって接合する。半導体基板1のガラス台座20との接合面3aの幅L4(A)とし、ダイアフラム部2の略中心から前記開口部の端部までの長さをL5(B)とした場合に、L4とL5との比L4/L5が、0.2≦L4/L5≦0.5になるように設定される。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板のダイアフラム部に複数の歪みゲージをブリッジ状に形成し、ダイアフラム部が受ける圧力を電気信号として出力することで圧力を検出する半導体式圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の半導体式圧力センサにあっては、例えば肉薄のダイアフラム部と、このダイアフラム部の外側周囲に形成される肉厚の支持部とを有する半導体基板を備え、前記ダイアフラム部にピエゾ抵抗素子からなる歪みゲージを形成し、前記ダイアフラム部が受ける圧力によって歪みゲージに歪みを発生させ、前記歪みゲージのピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化をブリッジ回路の電圧変化として取り出して圧力の値を検出するセンサ素子を備えるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような圧力センサは、前記センサ素子と、前記ダイアフラム部に圧力を伝達するための圧力導入孔部を備えたガラス台座(ガラス基板)とを陽極接合法によって接合し、前記ガラス台座を金属製のベース板上に低融点ガラスを介して固定する構造が一般的である。また、陽極接合による前記センサ素子と前記ガラス台座との接合強度を向上させるために、前記センサ素子の前記支持部の前記ガラス台座との接合面にアルミニウム(Al)層を形成し、両部材の接合強度を高めるものが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−38726号公報
【特許文献2】
特開2001−284603号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる圧力センサは、前記センサ素子の前記支持部に前記アルミニウム層を形成し、前記ガラス台座との強固な接合を得て高圧測定用として用いられるものであるが、前記圧力センサの製造工程において、前記アルミニウム層の形成工程が必要となることから製造工程が煩雑となり、また前記圧力センサの製造コストが高くなってしまうといった問題点を有している。
【0006】
本発明は前述した問題点に着目し、高圧測定が可能で、かつ製造工程を簡素化することのできる圧力センサを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、請求項1に記載の圧力センサのように、(100)面からのエッチング処理に伴って開口部及び薄肉のダイアフラム部が形成されてなる半導体基板を圧力導入孔を有するガラス基板上に配設し、前記半導体基板と前記ガラス基板とを陽極接合法によって接合してなる圧力センサであって、前記半導体基板の前記ガラス基板との接合面の幅をAとし、前記ダイアフラム部の略中心から前記開口部の端部までの長さをBとした場合に、AとBとの比A/Bが、0.2≦A/B≦0.5になるように設定されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、請求項1に記載の圧力センサにおいて、前記半導体基板の前記接合面近傍の内壁に曲面部が形成されてなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1〜図3を用いて圧力センサの構造を説明する。1は例えば軸方位<100>の図示しないシリコンウエハを一辺が2.2mmの正方形に切断してなる単結晶シリコンからなるn型の半導体基板であり、この半導体基板1は、(100)面からのエッチング処理によって肉薄状に形成されるダイアフラム部2と、このダイアフラム部2の周囲に一体形成される肉厚状からなる支持部3とを有している。なお本実施形態の場合、ダイアフラム部2の厚さは60〜100μm、ダイアフラム部2の大きさは1辺が1.3mmの正方形に設定されている。このダイアフラム部2内の支持部3側にピエゾ抵抗素子からなる4つの歪みゲージ4(4a,4b,4c,4d)を備えている。
【0011】
これら歪みゲージ4a〜4dは低抵抗体からなる複数のリード部5によって電気的に接続され、各リード部5と歪みゲージ4a〜4dによってブリッジ回路6が構成されている。なお、7は熱酸化法により半導体基板1の表面に形成されている二酸化珪素(SiO↓2)からなる熱酸化膜、8は水分やナトリウム(Na)等の外部からの汚染から熱酸化膜7を保護するシリコンナイトライド膜である。
【0012】
そして、熱酸化膜7、シリコンナイトライド膜8には、各リード部5同士の各接合部9(9a,9b,9c,9d)に対応する部分にコンタクトホール10が形成されるとともに、このコンタクトホール10の形成箇所にアルミニウム等の導電材料からなる電極部11が形成され、この電極部11を外方に延長形成することでボンディングパッド部12が構成されている。
【0013】
かかる構成の半導体式圧力センサは、図4に示すように、ブリッジ回路6の接合部9a,9bとなるボンディングパッド12にワイヤボンディングにより接続されるボンディングワイヤ13を介し電源電圧Vccを印加することにより、ダイアフラム部2の表裏の圧力差によって生じる歪みを各歪みゲージ4の変化に応じた出力電圧Voとして、ブリッジ回路6の接合部9c,9dとなるボンディングパッド12からボンディングワイヤ13を介し外部に取り出すものである。
【0014】
一方、半導体基板1の裏面側には、半導体基板1における支持部3の接合面3aと陽極接合により接合されるガラス台座20を備えている。ガラス台座20は、例えばアルミノホウケイ酸ガラスからなり、半導体基板1と略同等に一辺の長さが2.2mmの正方形形状をなしている。半導体基板1は、半導体基板1のダイアフラム部2に対応する略中央に圧力導入孔20aが切削法やサンドブラスト法あるいは超音波法等により形成されている。
【0015】
次に、図5及び図6を用いて圧力センサの構造を更に詳述する。
【0016】
圧力センサは、一辺の長さL1が2.2mmの正方形で、厚さW1が150〜220μmのn型半導体基板1を用い、支持部3を残すように水酸化カリウム(KOH)等のアルカリエッチング液に所定時間浸してなる異方性エッチングにより厚さW2が80〜120μm、ダイアフラム部2の一辺の長さL2が1.2〜1.3mmの肉薄状のダイアフラム部2を形成する。この場合、半導体基板1は、半導体基板1の幅方向の略中心Pであり、かつダイアフラム部2の幅方向の略中心Pを基準として一辺の長さL2が1.2〜1.3mmからなるダイアフラム部2が得られるように、開口部の幅L3を1.33mmに設定し、異方性エッチングを行うことで、支持部3のガラス台座20との接合面3aの幅(幅方向の長さ)L4(A)を0.44mm(小数点以下3桁を四捨五入)とすることができる(図5(a))。尚、半導体基板1の厚さW1は、ガラス台座20との接合強度及び圧力センサの出力特性のばらつきを考慮すると、135〜215μmのものを用いることが望ましい。
【0017】
半導体基板1は、ダイアフラム部2と支持部3との境界部14に対応する半導体基板1のエッチング面側に形成される角部15(図5(a)参照)と、支持部3のガラス台座20との接合面3aの近傍の内壁16とを除去する処理がなされる。半導体基板1は、六フッ化硫黄と水素の混合ガスを用いてプラズマエッチング法からなる等方性エッチングにより、角部15が丸まり曲面部17が形成されるとともに、支持部3の接合面3aの近傍の内壁16に曲面部18が形成される(図2及び図3,図5(b)参照)。尚、前述の等方性エッチング後におけるダイアフラム部2の厚さW2は、60〜100μmになる。
【0018】
半導体基板1は、酸化炉に投入され表裏面に熱酸化膜7が形成される。
【0019】
尚、図5(a),(b)において図示はされていないが前記異方性、等方性エッチング時には、半導体基板1表面及び支持部3の背面に熱酸化膜7、シリコンナイトライド膜8が重ねて形成されており、前記等方性エッチング後に熱酸化膜7、シリコンナイトライド膜8が除去されるようになっている。
【0020】
半導体基板1は、ダイアフラム部2において、各歪みゲージ4a〜4dの形成箇所に対応する表面の熱酸化膜7が除去され、ボロン等のp型の半導体材料を用いて熱拡散によりダイアフラム部2内の所定位置に各歪みゲージ4a〜4dが形成され、再び、各歪みゲージ4a〜4dの形成部分に熱酸化膜7が形成される(図5(c)参照)。半導体基板1は、各歪みゲージ4a〜4dを図1及び図4で示すブリッジ回路6状にするため、例えば、各歪みゲージ4a〜4dの両端から所定パターンで熱酸化膜7が除去され、各歪みゲージ4a〜4dよりも濃度が高いボロン等のp型の半導体材料を用い、熱拡散により各リード部5が形成されることでブリッジ回路6が得られる。
【0021】
半導体基板1の各リード部5により形成される各接合部9a〜9dは、コンタクトホール10,電極部11及びボンディングパッド12が形成できるような接合部形状に形成される。そして、ブリッジ回路6が形成された半導体基板1は、半導体基板1の表面の熱酸化膜7上にシリコンナイトライド膜8が形成される(図5(d)参照)。
【0022】
半導体基板1は、ダイアフラム部2において、各接合部9a〜9dの形成箇所に対応するシリコンナイトライド膜8をプラズマエッチング法等により除去され、このシリコンナイトライド膜8を除去した部分の熱酸化膜7がフッ酸混合液等を用いて除去される。従って半導体基板1は、シリコンナイトライド膜8から熱酸化膜7を介し各接合部9a〜9dに達する各コンタクトホール10が形成される(図5(e)参照)。この場合、熱酸化膜7の除去により半導体基板1の背面側に形成される熱酸化膜7は除去されることになる。
【0023】
半導体基板1は、コンタクトホール10の形成位置に、アルミニウム等からなる導電部材が蒸着やスパッタリング法等の手段によって電極部11及びボンディングパッド12が形成される(図5(f))。
【0024】
そして、半導体基板1をガラス台座20に配設し、半導体基板1側を陽極とし、ガラス台座20側を陰極とし、所定の直流電圧を印加する陽極接合法によりガラス台座20上に半導体基板1を固定することで圧力センサが完成する。
【0025】
尚、ボンディングパッド12は、図3に示すようにボンディングワイヤ13によって図示しない外部回路と電気的に接続される。
【0026】
かかる圧力センサは、検出精度が高くかつ調整の容易性を考慮すると、圧力センサのフルスケール電圧(出力電圧)の温度特性における直線性が最も良くなるためには、図6に示すように各歪みゲージ4(4a〜4d)の略中心Qとダイアフラム部2の略中心Pとの距離をX、ダイアフラム部2と支持部3との境界部14とダイアフラム部2の略中心Pとの距離をRとしたときのXとRとの比X/Rが0.93から0.98となるようにダイアフラム部2に歪ゲージ4を配設することが望ましい。このことは、本願出願人によって特願2002−285604号にて提案している。
【0027】
図7は、支持部3のガラス台座20との接合面3aの幅L4と、ダイアフラム部2の略中心Pから開口部の端部までの長さL5(B)との比L4/L5と、半導体基板1とガラス台座20との接合強度との関係を示す図であり、ガラス台座20の圧力導入孔20aの孔径を0.8mmとし、この圧力導入孔20aから圧力をダイアフラム部2の裏面側から印加して、半導体基板1がガラス台座20から剥がれる方向に前記圧力が作用する場合の強度を示すものである。図6を用いて説明したことを前提とし、厚さW1が150μmの半導体基板1を用いた場合の圧力センサは、図7に示すように比L4/L5が「5」となる付近で破壊強度がほぼ一定となるため、この付近の比L4/L5のものを用いることが望ましいが、接合面3aの幅L4の寸法を大きくし比L4/L5を「5」に近づけると、半導体基板1が大型化することなり、シリコンウエハからの半導体基板1の取り数が減少し、大幅な製造コストのアップにつながる。
【0028】
よって、半導体基板1のサイズを変更せず、ダイアフラム部2の一辺の長さL2を1.2〜1.3mmとし、ダイアフラム部2の厚さW2を60〜100μmとすると、各歪みゲージ4(4a〜4d)の略中心Qとダイアフラム部2の略中心Pとの距離をX、ダイアフラム部2と支持部3との境界部14とダイアフラム部2の略中心Pとの距離をRとしたときのXとRとの比X/Rを0.93から0.98とする為には、開口部の幅L3を1.33mmとして設定し異方性エッチングすることで、支持部3のガラス台座20との接合面3aの幅L4と、ダイアフラム部2の略中心Pから開口部の端部までの長さL5(B)との比L4/L5を0.2〜0.5の範囲とすることが可能となる。尚、ダイアフラム部2の一辺の長さL2は、圧力センサの定格圧力と設計上のダイアフラム部2の破壊強度との関係を示す安全率や、圧力センサの出力電圧のフルスケール電圧の直線性等を考慮し、1.2〜1.3mmに設定される。
【0029】
尚、比L4/L5が0.2〜0.5を用いた圧力センサが2000kpa以上の高圧に耐えうることは、図7からも明らかである。
【0030】
かかる圧力センサは、(100)面からのエッチング処理に伴って開口部及び薄肉のダイアフラム部2が形成されてなる半導体基板1を圧力導入孔20aを有するガラス台座20上に配設し、前記接合面3aとガラス台座20とを陽極接合法によって接合するものであり、半導体基板1のガラス台座20との接合面3aの幅をL4とし、ダイアフラム部2の略中心Pから開口部の端部までの長さをL5とした場合に、L4とL5との比L4/L5が、0.2≦L4/L5≦0.5になるように設定されるものである。従って、従来のような接合強度を向上させるための専用の工程を必要とすることなく、比L4/L5の設定のみで高圧測定に耐えうる圧力センサを得ることができるため、製造工程を簡素化することが可能となり、また、製造工程の簡素化に伴い圧力センサの製造コストも低減することが可能となる。
【0031】
また、圧力センサは、半導体基板1の接合面3aの近傍の内壁16に曲面部18を形成するものであり、ガラス台座20の圧力導入孔20aから導入される圧力による半導体基板1の剥がし方向に作用する応力、即ちガラス台座20と接合面3aに作用する前記応力を曲面部18によって分散させることができ、接合強度を更に向上させることが可能となる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、(100)面からのエッチング処理に伴って開口部及び薄肉のダイアフラム部が形成されてなる半導体基板を圧力導入孔を有するガラス基板上に配設し、前記半導体基板と前記ガラス基板とを陽極接合法によって接合してなる圧力センサに関し、 高圧測定が可能で、かつ製造工程を簡素化することのできる圧力センサを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の圧力センサを示す平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】同上圧力センサの回路構成を示す図。
【図5】同上圧力センサの製造工程を示す図。
【図6】同上圧力センサの出力特性を説明する図。
【図7】同上圧力センサの接合強度を説明する図。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 ダイアフラム部
3 支持部
3a 接合面
16 内壁
18 曲面部
20 ガラス台座(ガラス基板)
20a 圧力導入孔

Claims (2)

  1. (100)面からのエッチング処理に伴って開口部及び薄肉のダイアフラム部が形成されてなる半導体基板を圧力導入孔を有するガラス基板上に配設し、前記半導体基板と前記ガラス基板とを陽極接合法によって接合してなる圧力センサであって、
    前記半導体基板の前記ガラス基板との接合面の幅をAとし、前記ダイアフラム部の略中心から前記開口部の端部までの長さをBとした場合に、AとBとの比A/Bが、
    0.2≦A/B≦0.5
    になるように設定されていることを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記半導体基板の前記接合面近傍の内壁に曲面部が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
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JP2008190970A (ja) * 2007-02-05 2008-08-21 Mitsubishi Electric Corp 圧力センサ
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