JP2004216581A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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豊 古畑
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Abstract

【課題】駆動ICの絶縁を確実に行うことができる液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】複数のノズル開口21を備えたノズルプレート20と、圧力発生室12が形成される流路形成基板10と、該流路形成基板10の前記ノズルプレート20との接合面とは反対の面に設けられる圧電素子300とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、前記流路形成基板10の前記圧電素子300が形成される側の面に、リザーバ形成基板30と、該リザーバ形成基板30上に前記リザーバ部31の一方面を封止する封止基板40と、該封止基板40上に設けられて前記圧電素子300を駆動する駆動IC110とを具備し、前記封止基板40を前記リザーバ形成基板30上の少なくとも前記駆動IC110との間に設けられた絶縁性及び可撓性を有する封止膜41と、該封止膜41上に接合されて前記駆動IC110を搭載する領域に開口部45が設けられた固定基板42とで構成する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被噴射液を吐出する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置としては、例えば、圧電素子や発熱素子によりインク滴吐出のための圧力を発生させる複数の圧力発生室と、各圧力発生室にインクを供給する共通のリザーバと、各圧力発生室に連通するノズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録装置があり、このインクジェット式記録装置では、印字信号に対応するノズル開口と連通した圧力発生室のインクに吐出エネルギを印加してノズル開口からインク滴を吐出させる。
【0003】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0004】
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0005】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0006】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成することで高密度配列を実現したものがある。
【0007】
また、このようなインクジェット式記録ヘッドは、圧電素子を駆動するための駆動IC(半導体集積回路)等が必要である。この駆動ICは、圧力発生室が形成された流路形成基板に接合される接合基板、例えば、リザーバの少なくとも一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板上に搭載され、ワイヤボンディングによって各圧電素子と接続する構造が採用されている。また、リザーバ形成基板上には、リザーバ部の一方面を封止する封止基板が設けられている。(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−135790号公報(第11図、第8−9頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のインクジェット式記録ヘッドでは、封止基板には、リザーバ形成基板上に設けられて外部配線と駆動ICとを電気的に接続する配線パターンに対向する領域に開口部が設けられており、インクジェット式記録ヘッドを高密度及び多ノズル化すると、封止基板に搭載される駆動ICの面積が大きくなると共に配線パターンの形成される面積も大きくなり、封止基板に設けられた開口部の開口面積が大きくなってしまう。これにより、封止基板の剛性が低下して、封止基板に反り等の変形が生じ、リザーバ形成基板と封止基板との接合が困難になるという問題がある。
【0010】
さらに、リザーバ形成基板上に駆動ICを接着する際には、リザーバ形成基板上の配線パターンと駆動ICとが短絡しないように、駆動ICを接着する接着剤に絶縁性の接着剤、例えば、絶縁物を混入した接着剤等を用いて絶縁する必要があり、製造が煩雑であるという問題がある。
【0011】
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑み、容易に高密度化及び多ノズル化を行うことができると共に、駆動ICの絶縁を確実に行うことができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を吐出する複数のノズル開口を備えたノズルプレートと、該ノズルプレートと接合され且つ前記ノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の前記ノズルプレートとの接合面とは反対の面に設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、前記流路形成基板の前記圧電素子が形成される側の面に、前記圧力発生室の共通の液体室であるリザーバの少なくとも一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板と、該リザーバ形成基板上に設けられて前記リザーバ部の一方面を封止する封止基板と、該封止基板上に前記圧電素子を駆動する駆動ICとを具備し、前記封止基板が前記リザーバ形成基板上の少なくとも前記駆動ICとの間に設けられた絶縁性及び可撓性を有する封止膜と、該封止膜上に接合されて前記駆動ICを搭載する領域に開口部が設けられた固定基板とからなることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0014】
かかる第1の態様では、封止膜により駆動ICと固定基板とを絶縁した状態で、固定基板の開口部の開口面積を小さくすることができ、封止基板の剛性を高めて、封止基板の反り等の変形を防止することができると共にリザーバ形成基板と封止基板とを容易に接合することができる。また、これにより、高密度化及び多ノズル化に対応した駆動ICを搭載することができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記流路形成基板には、並設された前記圧電素子の列が複数列設けられていると共に前記リザーバ形成基板上には、前記圧電素子の各列に対応した前記駆動ICが1個以上設けられており、前記固定基板の前記開口部が1個以上の前記駆動ICのそれぞれに独立して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0016】
かかる第2の態様では、駆動ICを搭載するための開口部の開口面積を小さくして封止基板の剛性をさらに高めることができる。
【0017】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記リザーバ形成基板及び前記封止基板には、前記駆動ICの各端子と前記圧電素子とを電気的に接続する接続配線を挿通する貫通孔が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0018】
かかる第3の態様では、封止基板の剛性を保った状態で、貫通孔を挿通する接続配線を介して駆動ICの各端子と圧電素子とを確実に接続することができる。
【0019】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記リザーバ形成基板上には、前記駆動ICと外部配線とを接続する配線パターンが設けられていると共に、前記封止基板には、前記配線パターンと前記外部配線とを電気的に接続するための接続孔が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0020】
かかる第4の態様では、封止基板の剛性を保った状態で、接続孔を介して外部配線と配線パターンとを確実に接続することができる。
【0021】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記封止膜がポリフェニレンサルファイド(PPS)からなると共に前記固定基板がステンレス鋼(SUS)からなることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0022】
かかる第5の態様では、所定の封止膜により、駆動ICを確実に絶縁することができると共に、所定の固定基板により封止基板の剛性を高めて反り等の変形を防止することができる。
【0023】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記リザーバ形成基板には、前記圧電素子に対向する領域に空間を確保した状態で当該空間を密封する圧電素子保持部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0024】
かかる第6の態様では、大気中の水分等の外部環境に起因する圧電素子の破壊を防止できる。
【0025】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記リザーバ形成基板が前記流路形成基板の熱膨張率と同一の材料からなることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0026】
かかる第7の態様では、流路形成基板とリザーバ形成基板との接合時の熱による変形を防止できる。
【0027】
本発明の第8の態様は、第1〜7の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
【0028】
かかる第8の態様では、高密度化及び多ノズル化した液体噴射装置を実現できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図であり、図3は、図2のA−A′断面図及びB−B′断面図である。
【0030】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その両面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が幅方向に2列並設され、その長手方向外側には、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
【0031】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0032】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14の断面積は、圧力発生室12のそれより小さく形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
【0033】
このような流路形成基板10の厚さは、圧力発生室12の配列密度に合わせて最適な厚さを選択すればよく、圧力発生室12の配列密度が、例えば、1インチ当たり180個(180dpi)程度であれば、流路形成基板10の厚さは、220μm程度であればよいが、例えば、200dpi以上と比較的高密度に配列する場合には、流路形成基板10の厚さは100μm以下と比較的薄くするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0034】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.03〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば、2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。
【0035】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
【0036】
一方、流路形成基板10に設けられた弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜3μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板として作用する。
【0037】
ここで、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、図3(a)に示すように、インク供給路14とは反対側の端部近傍から引き出され、圧力発生室12の列間に対向する領域の弾性膜50上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60上、弾性膜50上及びリード電極90上には、圧力発生室12の共通の液体室であるリザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、リザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
【0038】
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。そして、圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に密封され、大気中の水分等の外部環境に起因する圧電素子300の破壊を防止している。このようなリザーバ形成基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0039】
また、リザーバ形成基板30の略中央部、すなわち、圧力発生室12の列間に対向する領域には、リザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されるリード電極90は、その端部近傍が貫通孔33内に露出するように設けられている。また、リザーバ形成基板30上には、貫通孔33の長手方向に亘って配線パターン34が形成されている。この配線パターン34は、貫通孔33の長手方向一端側のリザーバ形成基板30の端部近傍で異方性導電材(ACF)等からなる接続層121を介してFPC等の外部配線120と電気的に接続されている。また、配線パターン34は、貫通孔33の長手方向他端側のリザーバ形成基板30の端部近傍では導通するように連続して形成されている。
【0040】
さらに、リザーバ形成基板30上の配線パターン34上、すなわち、圧力発生室12の各列に対応する領域のそれぞれには、並設された2列の圧電素子300をそれぞれ選択的に駆動するための半導体集積回路等の2つの駆動IC110が詳しくは後述する封止基板40の一部を介して固定されている。そして、外部配線120からの駆動信号及び駆動電圧は、複数の配線パターン34と駆動IC110の長手方向の一端部及び短手方向の一端部に設けられた入力端子111とを電気的に接続するボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる入力用接続配線130を介してそれぞれ駆動IC110に供給されるようになっている。なお、駆動IC110と外部配線120とを電気的に接続する複数の配線パターン34は、例えば、リザーバ形成基板30の全面に金属等の導電性の膜を形成後、パターニングすることによって容易に形成することができる。
【0041】
さらに、駆動IC110の上面の貫通孔33側となる短手方向他端部には、各圧電素子300を駆動する所定の波形を有する駆動電圧が出力される出力端子112が長手方向に亘って複数設けられている。この駆動IC110の出力端子112は、各圧電素子300の上電極膜80から延設され貫通孔33に露出したリード電極90の端部近傍とボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる出力用接続配線131を介して電気的に接続されている。
【0042】
このようなリザーバ形成基板30上には、封止膜41及び固定基板42からなる封止基板40が設けられている。この封止基板40には、リザーバ形成基板30に設けられた貫通孔33に連通する厚さ方向に貫通した連通孔43と、配線パターン34と外部配線120とを接続する厚さ方向に貫通した接続孔44とが設けられている。
【0043】
この封止基板40を構成する封止膜41には、配線パターン34の一部を露出して、露出した配線パターン34と駆動IC110の入力端子111とを接続するための露出孔35が設けられ、封止膜41は、露出孔35、連通孔43及び接続孔44以外のリザーバ形成基板30上の全面に亘って形成されている。すなわち、この封止膜41によって、リザーバ形成基板30上に設けられた配線パターン34はほぼ覆われ、配線パターン34上にこの封止膜41を介して駆動IC110が接合されている。このような封止膜41は、絶縁性を有すると共に剛性が低く可撓性を有する材料からなり、例えば、厚さが5〜7μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムを挙げることができる。
【0044】
また、固定基板42は、封止膜41上に接合され、2つの駆動IC110のそれぞれに対向する領域に独立した2つの実装用開口部45が設けられている。この2つの実装用開口部45は、駆動IC110の外周面に接触しない大きさで、且つ封止膜41の露出孔35を露出させる大きさで形成されている。また、固定基板42のリザーバ100に対向する領域には、独立した開口部47が設けられている。この開口部47によって、リザーバ部31の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されて内部圧力の変化によって変形可能な可撓部48となっている。
【0045】
すなわち、固定基板42には、連通孔43、接続孔44、実装用開口部45及び開口部47が開口し、各開口はそれぞれ不連続となるように独立して形成されている。これにより、固定基板42は、封止膜41上に接合された2つの駆動IC110の周囲を囲むように連続して設けられ、連通孔43と2つの実装用開口部45との間のそれぞれには、連通孔43と実装用開口部45とを不連続とする一体的に形成された梁部46が形成されている。このような固定基板42としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属材料を挙げることができる。
【0046】
なお、リザーバ100の長手方向中央部外側の封止基板40には、リザーバ100にインクを供給するインク導入口49が形成されている。さらに、リザーバ形成基板30には、インク導入口49とリザーバ100の側壁とを連通するインク導入路36が設けられている。このような封止基板40は、封止膜41によって、配線パターン34を覆うことによって、配線パターン34同士や配線パターン34と駆動IC110とが絶縁されるため、高密度化及び多ノズル化に対応した面積の大きな駆動IC110を用いても、固定基板42に形成する実装用開口部45の開口面積を小さくすることができると共に固定基板42に梁部46を設けることができる。これにより、封止基板40の剛性を高めて、封止基板40の反り等の変形を防止することができると共にリザーバ形成基板30と封止基板40との接合を容易に行うことができる。また、駆動IC110をリザーバ形成基板30上に搭載する際も、例えば、絶縁物を混入した絶縁性の接着剤を用いる必要がなく、駆動IC110と配線パターン34とを封止膜41によって絶縁することができるため、製造工程を簡略化することができる。
【0047】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、勿論、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板10に並設された圧力発生室を2列設けると共に各圧力発生室12に対応した圧電素子300の列を2列設け、圧電素子300の各列を駆動する駆動IC110を2個設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、圧力発生室及び圧電素子を1列設け、駆動ICを一つとしてもよい。このようにしても、封止膜及び固定基板からなる封止基板を設けることによって、リザーバ形成基板と封止基板との接合体の反りを防止して、接合体の破壊を防止すると共に、製造を簡略化することができる。
【0048】
また、例えば、上述した実施形態1では、封止膜41をリザーバ形成基板30上に露出孔35、連通孔43及び接続孔44以外の領域の全面に亘って形成するようにしたが、これに限定されず、封止膜は、少なくともリザーバ形成基板30のリザーバ部31に対向する領域と、リザーバ形成基板30上の駆動IC110との間と、配線パターン34上の固定基板42が接合される領域の間とに設けるようにすればよい。これにより、リザーバ100を封止すると共に駆動IC110の短絡及び配線パターン34の短絡を確実に防止することができる。
【0049】
さらに、例えば、上述した実施形態は、成膜及びリソグラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体層を形成するもの、又は水熱法等の結晶成長により圧電体層を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明を採用することができる。このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0050】
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図4は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図4に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0051】
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図示しない紙送りモータの駆動力により回転できるようになっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
【0052】
また、上述の実施形態1では、液体噴射ヘッドとして、印刷媒体に所定の画像や文字を印刷するインクジェット式記録ヘッドを一例として説明したが、勿論、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等、他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図4】一実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板、12 圧力発生室、20 ノズルプレート、21 ノズル開口、30 リザーバ形成基板、31 リザーバ部、40 封止基板、41 封止膜、42 固定基板、60 下電極膜、70 圧電体層、80 上電極膜、90 リード電極、100 リザーバ、110 駆動IC、120 外部配線、130 入力用接続配線、131 出力用接続配線、300 圧電素子

Claims (8)

  1. 液体を吐出する複数のノズル開口を備えたノズルプレートと、該ノズルプレートと接合され且つ前記ノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の前記ノズルプレートとの接合面とは反対の面に設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、
    前記流路形成基板の前記圧電素子が形成される側の面に、前記圧力発生室の共通の液体室であるリザーバの少なくとも一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板と、該リザーバ形成基板上に設けられて前記リザーバ部の一方面を封止する封止基板と、該封止基板上に前記圧電素子を駆動する駆動ICとを具備し、前記封止基板が前記リザーバ形成基板上の少なくとも前記駆動ICとの間に設けられた絶縁性及び可撓性を有する封止膜と、該封止膜上に接合されて前記駆動ICを搭載する領域に開口部が設けられた固定基板とからなることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1において、前記流路形成基板には、並設された前記圧電素子の列が複数列設けられていると共に前記リザーバ形成基板上には、前記圧電素子の各列に対応した前記駆動ICが1個以上設けられており、前記固定基板の前記開口部が1個以上の前記駆動ICのそれぞれに独立して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項2において、前記リザーバ形成基板及び前記封止基板には、前記駆動ICの各端子と前記圧電素子とを電気的に接続する接続配線を挿通する貫通孔が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記リザーバ形成基板上には、前記駆動ICと外部配線とを接続する配線パターンが設けられていると共に、前記封止基板には、前記配線パターンと前記外部配線とを電気的に接続するための接続孔が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記封止膜がポリフェニレンサルファイド(PPS)からなると共に前記固定基板がステンレス鋼(SUS)からなることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記リザーバ形成基板には、前記圧電素子に対向する領域に空間を確保した状態で当該空間を密封する圧電素子保持部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項1〜6の何れかにおいて、前記リザーバ形成基板が前記流路形成基板の熱膨張率と同一の材料からなることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  8. 請求項1〜7の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010058333A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Fujifilm Corp 液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法
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