JP2003118110A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置Info
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Abstract
均一化を図ることのできるインクジェット式記録ヘッド
及びインクジェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 ノズル開口に連通する圧力発生室12が
形成される流路形成基板10と、流路形成基板10の一
方面側に振動板を介して設けられて圧力発生室12内に
圧力変化を生じさせる圧電素子300とを具備するイン
クジェット式記録ヘッドにおいて、複数の圧電素子30
0に共通する共通電極60上に、圧電素子300を駆動
するための駆動回路に繋がる外部配線が接続される複数
の接続部100Aを設け、且つこれら複数の接続部10
0Aを、共通電極60上に設けられる配線電極65によ
って接続することにより、共通電極60の抵抗値を実質
的に低下させる。
Description
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素
子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を高密度に作り付けることがで
きるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆
動が可能になるという利点がある。
子を高密度に配列したインクジェット式記録ヘッドで
は、多数の圧電素子を同時に駆動して多数のインク滴を
一度に吐出させると、電圧降下が発生して圧電素子の変
位量が不安定となり、インク吐出特性が低下するという
問題がある。
い位置に設けられた圧電素子ほど印加される電圧が低く
なり易い。このため、一列に並設された圧電素子であっ
ても接続部からの距離によってインク吐出特性にばらつ
きが生じてしまうという問題がある。
子の電極は、その膜厚が薄いため抵抗値が比較的高く、
このような問題が特に生じやすい。
出特性を良好に保持できると共に、均一化を図ることの
できるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット
式記録装置を提供することを課題とする。
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室が
形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側
に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変
化を生じさせる圧電素子とを具備するインクジェット式
記録ヘッドにおいて、複数の圧電素子に共通する共通電
極上に、前記圧電素子を駆動するための駆動回路に繋が
る外部配線が接続される複数の接続部を有し、且つこれ
ら複数の接続部が、前記共通電極上に設けられる配線電
極によって接続されていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
共通電極の抵抗値が実質的に低下するため、多数の圧電
素子を同時に駆動しても電圧降下が生じることがなく、
インク吐出特性が安定する。
て、前記圧電素子を構成する少なくとも前記共通電極
が、薄膜及びリソグラフィ法により形成されたものであ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
が比較的高いが、配線電極によって共通電極の抵抗値が
効果的に低下する。
において、前記共通電極の膜厚が、0.5μm以下であ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
が比較的高いが、配線電極によって共通電極の抵抗値が
効果的に低下する。
の態様において、前記配線電極が前記圧力発生室の前記
圧電素子の個別電極が引き出される側とは反対側の周壁
上に当該圧力発生室の並設方向に沿って延設されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
ることなく、共通電極上に配線電極を比較的容易に形成
できる。
て、前記配線電極が前記圧力発生室の長手方向一端部を
跨ぐように設けられていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
よる応力が、圧力発生室の長手方向端部に集中するのを
防止できる。
て、前記配線電極の前記圧力発生室に対向する領域に当
該圧力発生室の長手方向端部側に当該配線電極が除去さ
れた凹部を有することを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
よって圧力発生室の長手方向端部にかかる応力が効果的
に分散される。
て、前記凹部の少なくとも一部が前記圧力発生室の幅よ
りも広い幅で形成され、且つ前記凹部の端面と前記圧力
発生室の幅方向端面とのなす角が90°以上であること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
よって圧力発生室の長手方向端部にかかる応力が効果的
に分散される。
において、前記凹部の端面が略円形形状となっているこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
よって圧力発生室の長手方向端部にかかる応力をより効
果的に分散させることができる。
て、前記圧電素子の前記配線電極側の端面が、前記凹部
の端面と同心円である略円形形状に形成されていること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
方向一端部における振動板の剛性が均一化される。
かの態様において、前記配線電極が、前記共通電極より
も固有抵抗の小さい金属で形成されていることを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドにある。
を確実に低下し、電圧降下の発生がより確実に防止され
る。
れかの態様において、前記配線電極の厚さが、1μm以
上であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
を確実に低下し、電圧降下の発生がより確実に防止され
る。
れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶
基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電素子
の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたもの
であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。
開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ
比較的容易に製造することができる。
れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備するイ
ンクジェット式記録装置にある。
を安定させ、信頼性を向上したインクジェット式記録装
置を実現することができる。
て詳細に説明する。
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、図1の断面図である。
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
複数の隔壁11により区画された圧力発生室12が幅方
向に並設され、その長手方向外側には、後述するリザー
バ形成基板30のリザーバ部31と貫通孔51を介して
連通され各圧力発生室12の共通のインク室となるリザ
ーバ110の一部を構成する連通部13が形成され、各
圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給
路14を介して連通されている。
結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われ
る。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をK
OH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて
(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1
の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(11
0)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが
出現し、(110)面のエッチングレートと比較して
(111)面のエッチングレートが約1/180である
という性質を利用して行われる。かかる異方性エッチン
グにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第
2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加
工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室
12を高密度に配列することができる。
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一
端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12よ
り浅く形成されており、圧力発生室12に流入するイン
クの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク
供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中ま
でエッチング(ハーフエッチング)することにより形成
されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時
間の調整により行われる。
各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通
するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が
接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。な
お、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1
mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜
4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又
は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の
面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン
単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果
たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10
と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよ
い。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート
20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の
接着剤等を用いて容易に接合することができる。
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要
がある。
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態で
は、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上
電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、
駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部
が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素
子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じ
る振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
0の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路
14とは反対側の端部近傍から流路形成基板10の端部
近傍まで延設される、例えば、金(Au)等からなるリ
ード電極90が接続され、このリード電極90の端部近
傍は、圧電素子300を駆動するための駆動回路に繋が
る外部配線(図示なし)が接続される接続部100とな
っている。
電極膜60は、圧力発生室12の並設方向に亘って連続
的に延設され、且つ圧電素子300の一端部近傍でパタ
ーニングされている。すなわち、下電極膜60は、リー
ド電極90が延設される領域を除く他の領域に連続的に
設けられている。また、下電極膜60の圧力発生室12
の並設方向端部近傍には、外部配線が接続される接続部
100Aがそれぞれ設けられている。
材料からなる配線電極65が、圧力発生室12のリード
電極90が引き出される側とは反対側の周壁上を介して
圧力発生室12の列の外側まで延設され、配線電極65
の両端部がそれぞれ接続部100Aとなっている。すな
わち、下電極膜60の各接続部100Aは、配線電極6
5によって電気的に接続されている。
定されないが、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アル
ミニウム(Al)等の比較的固有抵抗の小さい金属を用
いることが好ましく、少なくとも下電極膜60よりも固
有抵抗の小さい金属を用いることが望ましい。
て、下電極膜60の抵抗値を実質的に低下させることが
でき、多数の圧電素子を同時に駆動しても電圧降下が生
じることがない。したがって、常に所定の大きさのイン
ク滴を吐出させることができ、印刷品質を常に良好に保
持することができる。
示すように、圧力発生室12の長手方向端部を跨ぐよう
に延設されていることが好ましい。これにより、圧電素
子300を駆動した際に、圧力発生室12の長手方向端
部近傍に応力が集中するのを防止することができる。し
たがって、圧電素子300の繰り返し駆動によって、振
動板に割れ等が発生することがなく、耐久性及び信頼性
を向上することができる。
極65の圧力発生室12に対向する領域には、配線電極
65の一部を除去した凹部66を設けることが好まし
い。また、この凹部66は、配線電極65の端面での幅
が圧力発生室12よりも広く形成されていることが好ま
しく、且つ凹部66の端面と圧力発生室12の幅方向端
面とのなす角θが、90°以上であることが好ましい。
れないが、端面を略円形形状とすることが好ましい。ま
た、凹部66の端面を略円形形状とした場合には、図5
(b)に示すように、圧電素子300の配線電極65側
の端面300aを、凹部66の端面と略同心円である円
形形状とすることが好ましい。
うな形状とすることにより、圧電素子300の駆動によ
って圧力発生室12の端部近傍にかかる応力が、一部に
集中することなく分散される。したがって、振動板の破
壊をより確実に防止することができる。
側には、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザ
ーバ110の少なくとも一部を構成するリザーバ部31
を有するリザーバ形成基板30が接合されている。この
リザーバ部31は、本実施形態では、リザーバ形成基板
30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘
って形成されており、弾性膜50を貫通して設けられた
貫通孔51を介して流路形成基板10の連通部13と連
通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザ
ーバ110を構成している。
形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラ
ス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施
形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結
晶基板を用いて形成した。
00に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害
しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可
能な圧電素子保持部32が設けられ、圧電素子300は
この圧電素子保持部32内に密封されている。
41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板4
0が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低
く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフ
ェニレンスルフィド(PPS)フィルム)からなり、こ
の封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止さ
れている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料
(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)
等)で形成される。この固定板42のリザーバ110に
対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部4
3となっているため、リザーバ110の一方面は可撓性
を有する封止膜41のみで封止され、内部圧力の変化に
よって変形可能な可撓部33となっている。
ット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段か
らインクを取り込み、リザーバ110からノズル開口2
1に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆
動回路からの記録信号に従い、外部配線を介して圧力発
生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜
80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60
及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧
力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からイン
ク滴が吐出する。
ット式記録ヘッドの製造方法の一例について、図6及び
図7を参照して説明する。なお、図6及び図7は、圧力
発生室12の長手方向の一部を示す断面図である。
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
リングで下電極膜60を弾性膜50の全面に形成後、下
電極膜60をパターニングして全体パターンを形成す
る。この下電極膜60の材料としては、白金(Pt)等
が好適である。これは、スパッタリング法やゾル−ゲル
法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大気雰囲
気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度
で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわ
ち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲
気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体
層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた
場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないこ
とが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
70を成膜する。この圧電体層70は、結晶が配向して
いることが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有
機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥し
てゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物か
らなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用
いて形成することにより、結晶が配向している圧電体層
70とした。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジ
ルコン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使
用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の
成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング
法で形成してもよい。
法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、
アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長さ
せる方法を用いてもよい。
体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向
しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶
が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の
配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の
方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜
とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させ
た状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状
態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された
薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造
された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmであ
る。
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多
くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態
では、白金をスパッタリングにより成膜している。
70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子3
00のパターニングを行う。
電極90を形成する。例えば、本実施形態では、金(A
u)等からなるリード電極90となる膜を流路形成基板
10の全面に亘って形成し、その後、この膜を圧電素子
300毎にパターニングすることによって各リード電極
90とした。
60上に配線電極65を形成する。すなわち、流路形成
基板10の全面に配線電極65を成膜後、エッチングす
ることによって所定パターンとする。この配線電極65
は、上述したように下電極膜60よりも固有抵抗の小さ
い金属で形成することが好ましく、例えば、金、銅、ア
ルミニウム等が挙げられる。本実施形態では、金をスパ
ッタリングによって形成した。
して膜形成を行った後、前述したアルカリ溶液によるシ
リコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、図7
(d)に示すように、圧力発生室12、連通部13及び
インク供給路14等を形成し、その後、下電極膜60及
び弾性膜50を貫通させて貫通孔51を形成する。
び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチ
ップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すよう
な一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割す
る。そして、分割した流路形成基板10に、リザーバ形
成基板30及びコンプライアンス基板40を順次接着し
て一体化することによってインクジェット式記録ヘッド
とする。
態を説明したが、本発明の構成は上述したものに限定さ
れるものではない。
ある下電極膜60の接続部100Aを2カ所に設けてい
るが、接続部の数は特に限定されず、勿論、3カ所以上
に設けるようにしてもよい。
ド電極90の端部近傍が、圧電素子300の個別電極で
ある上電極膜80の接続部100となっているが、下電
極膜60の接続部100Aと同様に、リード電極90の
接続部100となる領域に、例えば、配線電極65と同
一の層からなる接続層を設けるようにしてもよい。
及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型
のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これ
に限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを
貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェ
ット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。
ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1
Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けら
れたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8上に搬送されるようになっている。
通電極上に設けた配線電極によって共通電極の抵抗値を
実質的に低下させることができる。したがって、多数の
圧電素子を同時に駆動しても電圧降下が発生することが
なく、常に安定したインク吐出特性を得ることができ
る。
録ヘッドの分解斜視図である。
録ヘッドの断面図である。
録ヘッドの配線パターンを示す平面図である。
録ヘッドの配線パターンの変形例を示す平面図である。
録ヘッドの配線パターンの変形例を示す要部平面図であ
る。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録装置の概略図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室が形成
される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振
動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を
生じさせる圧電素子とを具備するインクジェット式記録
ヘッドにおいて、 複数の圧電素子に共通する共通電極上に、前記圧電素子
を駆動するための駆動回路に繋がる外部配線が接続され
る複数の接続部を有し、且つこれら複数の接続部が、前
記共通電極上に設けられる配線電極によって接続されて
いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項2】 請求項1において、前記圧電素子を構成
する少なくとも前記共通電極が、薄膜及びリソグラフィ
法により形成されたものであることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッド。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、前記共通電極
の膜厚が、0.5μm以下であることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッド。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記配
線電極が前記圧力発生室の前記圧電素子の個別電極が引
き出される側とは反対側の周壁上に当該圧力発生室の並
設方向に沿って延設されていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッド。 - 【請求項5】 請求項4において、前記配線電極が前記
圧力発生室の長手方向一端部を跨ぐように設けられてい
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項6】 請求項5において、前記配線電極の前記
圧力発生室に対向する領域に当該圧力発生室の長手方向
端部側に当該配線電極が除去された凹部を有することを
特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 請求項6において、前記凹部の少なくと
も一部が前記圧力発生室の幅よりも広い幅で形成され、
且つ前記凹部の端面と前記圧力発生室の幅方向端面との
なす角が90°以上であることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッド。 - 【請求項8】 請求項6又は7において、前記凹部の端
面が略円形形状となっていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッド。 - 【請求項9】 請求項8において、前記圧電素子の前記
配線電極側の端面が、前記凹部の端面と同心円である略
円形形状に形成されていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッド。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、前記
配線電極が、前記共通電極よりも固有抵抗の小さい金属
で形成されていることを特徴とするインクジェット式記
録ヘッド。 - 【請求項11】 請求項1〜10の何れかにおいて、前
記配線電極の厚さが、1μm以上であることを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項12】 請求項1〜11の何れかにおいて、前
記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチング
により形成され、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグ
ラフィ法により形成されたものであることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項13】 請求項1〜12の何れかのインクジェ
ット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録装
置。
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