JP2004204123A - フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記成分(A)および(B)からなる樹脂組成物であって、曲げ剛性率が200〜500MPaである樹脂組成物(Z)と、下記成分(C)とを含有する層(I)を有するフィルム。
(A)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれた2種以上のオレフィンであって、該選ばれた2種以上のオレフィンの炭素原子数の合計が6以上であるオレフィンの単量体単位を含有し、下記式(イ)で定義されるXが−100以上であり0以下である非晶性オレフィン系重合体。
X=[エチレン単量体単位の含有量(モル%)]−[炭素原子数が4〜20のオレフィン単量体単位の含有量(モル%)] (イ)
(B)結晶性プロピレン系樹脂
(C)石油樹脂類
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムに関するものである。更に詳しくは、トレー底面におけるフィルム同志のオーバーラップ性、耐延伸白化性に優れたストレッチフィルムとして好適に用いられるフィルム関するものである。
【0002】
【従来の技術】
青果物や鮮魚、鮮肉、惣菜等の食品を直接に、またはプラスチックトレー等に載せて包装するストレッチフィルムなど、フィルムの端を引き伸ばしながら被包装体を包装(ストレッチ包装)するフィルムには、透明性、柔軟性、ストレッチ性などから、これまで、主に塩化ビニル樹脂からなるフィルムが用いられてきた。ところが、昨今、環境問題に対する関心の高まりから、塩化ビニル樹脂に代わり、オレフィン重合体からなるフィルムの検討が行われ、直鎖状低密度ポリエチレンとプロピレン系樹脂からなる層を有するフィルムや、プロピレンおよびブテン−1を主単量体単位とする非晶性オレフィン系重合体とプロピレン系樹脂からなる層を有するフィルムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−29903号公報
【特許文献2】
特開2000−52510号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記フィルムによりプラスチックトレーをストレッチ包装した場合、トレー底面でのフィルム同志のオーバーラップに十分な長さが得られないことや、フィルムをストレッチしたときにフィルムが白化することがあり、オーバーラップ性、耐延伸白化性において十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、オーバーラップ性、耐延伸白化性に優れたフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下記成分(A)および(B)からなる樹脂組成物であって、曲げ剛性率が200〜500MPaである樹脂組成物(Z)と、下記成分(C)とを含有する層(I)を有するフィルムに係るものである。
(A)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれた2種以上のオレフィンであって、該選ばれた2種以上のオレフィンの炭素原子数の合計が6以上であるオレフィンの単量体単位を含有し、下記式(イ)で定義されるXが−100以上であり0以下である非晶性オレフィン系重合体。
X=[エチレン単量体単位の含有量(モル%)]−[炭素原子数が4〜20のオレフィン単量体単位の含有量(モル%)] (イ)
(ただし、非晶性オレフィン系重合体の全単量体単位含有量を100モル%とする。)
(B)結晶性プロピレン系樹脂
(C)石油樹脂類
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は、非晶性オレフィン系重合体であり、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれた2種以上のオレフィンであって、該選ばれた2種以上のオレフィンの炭素原子数の合計が6以上であるオレフィンの単量体単位を含有し、示差走査熱量測定(DSC)により、結晶の融解熱量が1J/g以上の融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークのいずれもが、−100〜200℃に観測されない重合体である。該融解ピークまたは該結晶化ピークが観測されるオレフィン系重合体であると、得られるフィルムの耐延伸白化性が低下することがある。
【0007】
成分(A)の非晶性オレフィン系重合体が含有する炭素原子数2〜20のオレフィン単量体単位のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等の直鎖状オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等の分岐状オレフィンなどの鎖状オレフィンがあげられ、これらの中から、炭素原子数の合計量が6以上となるオレフィンが選択され用いられる。具体的な組み合わせとしては、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセンなどがあげられる。炭素原子数の合計が6未満となるようなオレフィンの組み合わせを選択した場合、得られるフィルムの耐延伸白化性が劣ることがある。
【0008】
成分(A)の非晶性オレフィン系重合体は、オレフィン単量体単位以外の他の単量体単位を含有していてもよく、該他の単量体単位の単量体としては、環状オレフィン、ポリエン化合物、ビニル芳香族化合物をあげることができる。
【0009】
上記環状オレフィンとしては、たとえば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン等が例示される。
【0010】
上記ポリエン化合物としては、二重結合間に単結合を1つ挟んだいわゆる共役ポリエン化合物や、それ以外の非共役ポリエン化合物が含まれる。共役ポリエン化合物としては、直鎖状脂肪族共役ポリエン化合物や分岐状脂肪族共役ポリエン化合物等の脂肪族共役ポリエン化合物、脂環族共役ポリエン化合物等があげられる。非共役ポリエン化合物としては、脂肪族非共役ポリエン化合物、脂環族非共役ポリエン化合物、芳香族非共役ポリエン化合物等があげられる。なお、これらポリエン化合物は、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基等を含んでいてもよい。
【0011】
ここで、脂肪族共役ポリエン化合物としては、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3―ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、2−メチル−1,3−デカジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−オクタジエン、2,3−ジメチル−1,3−デカジエン等が例示される。また、脂環族共役ポリエン化合物としては、たとえば、2−メチル−1,3−シクロペンタジエン、2−メチル−1,3−シクロヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−シクロペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−シクロヘキサジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−フルオロ−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−シクロペンタジエン、2−クロロ−1,3−シクロヘキサジエン等が例示される。
【0012】
ここで、脂肪族非共役ポリエン化合物のとしては、たとえば、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,5,9−デカトリエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3.3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、3−メチル−1,6−ヘプタジエン、4−メチル−1,6−ヘプタジエン、4,4−ジメチル−1,6−ヘプタジエン、4−エチル−1,6−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1.6−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエン、6,10−ジメチル1,5,9−ウンデカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン8−メチル−1,7−ノナジエン、13−エチル−9−メチル−1,9,12−ペンタデカトリエン、5,9,13−トリメチル−1,4,8,12−テトラデカジエン、8,14,16−トリメチル−1,7,14−ヘキサデカトリエン、4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン等が例示される。また、脂環族非共役ポリエン化合物としては、たとえば、ビニルシクロヘキセン、5−ビニル2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、2,5−ノルボルナジエン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロペンタン、1,5−ジビニルシクロオクタン、1−アリル−4−ビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1−アリル−5−ビニルシクロオクタン、1,5−ジアリルシクロオクタン、1−アリル−4−イソプロペニルシクロヘキサン、1−イソプロペニル−4−ビニルシクロヘキサン、1−イソプロペニル−3−ビニルシクロペンタン、メチルテトラヒドロインデン等が例示される。一方、芳香族非共役ポリエン化合物としては、たとえば、ジビニルベンゼン、ビニルイソプロペニルベンゼン等があげられる。
【0013】
上記ビニル芳香族化合物としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が例示される。
【0014】
成分(A)の非晶性オレフィン系重合体の下記式(イ)で定義されるXは、得られるフィルムの耐延伸白化性の観点から、−100以上0以下であり、好ましくは−60以上0以下であり、より好ましくは−40以上0以下である。
X=[エチレン単量体単位の含有量(モル%)]−[炭素原子数が4〜20のオレフィン単量体単位の含有量(モル%)] (イ)
(ただし、非晶性オレフィン系重合体の全単量体単位含有量を100モル%とする。)
【0015】
成分(A)の非晶性オレフィン系重合体の具体例としては、下記の(1)〜(15)の共重合体を挙げることができる。
(1)エチレン−1−ブテン共重合体などのエチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンの共重合体。
(2)エチレン−1−ブテン−2−メチル−1,3−ブタジエン共重合体などのエチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとポリエン化合物の共重合体。
(3)エチレン−1−ブテン−5−エチリデンノルボルネン共重合体などのエチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンと環状オレフィン化合物の共重合体。
(4)エチレン−1−ブテン−スチレン共重合体などのエチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとビニル芳香族化合物の共重合体。
(5)エチレン−1−ブテン−2−メチル−1,3−ブタジエン−スチレン共重合体などのエチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとポリエン化合物とビニル芳香族化合物の共重合体。
(6)エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体などのエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンの共重合体。
(7)エチレン−プロピレン−1−ブテン−2−メチル−1,3−ブタジエン共重合体などのエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとポリエン化合物の共重合体。
(8)エチレン−プロピレン−1−ブテン−5−エチリデンノルボルネン共重合体などのエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンと環状オレフィン化合物の共重合体。
(9)エチレン−プロピレン−1−ブテン−スチレン共重合体などのエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとビニル芳香族化合物の共重合体。
(10)エチレン−プロピレン−1−ブテン−2−メチル−1,3−ブタジエン−スチレン共重合体などのエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとポリエン化合物とビニル芳香族化合物の共重合体。
(11)プロピレン−1−ブテン共重合体などのプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンの共重合体。
(12)プロピレン−1−ブテン−2−メチル−1,3−ブタジエン共重合体などのプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとポリエン化合物の共重合体。
(13)プロピレン−1−ブテン−5−エチリデンノルボルネン共重合体などのプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンと環状オレフィン化合物の共重合体。
(14)プロピレン−1−ブテン−スチレン共重合体などのプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとビニル芳香族化合物の共重合体。
(15)プロピレン−1−ブテン−2−メチル−1,3−ブタジエン−スチレン共重合体などのプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとポリエン化合物とビニル芳香族化合物の共重合体。
これらの共重合体の中では、得られるフィルムの得られるフィルムの耐延伸白化性の観点から、前記(1)、(6)、(11)の重合体が好ましく、(11)の重合体がより好ましい。
【0016】
本発明の成分(A)の非晶性オレフィン系重合体の極限粘度[η]は、得られるフィルムの耐ブリード白化性の観点から、0.5以上であり、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.5以上であり、更に好ましくは2以上である。また、該極限粘度[η]は、易加工性の観点から、10以下であり、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下であり、更に好ましくは4以下である。なお、該極限粘度[η]の測定は、135℃テトラリン中でウベローデ粘度計を用いて行う。
【0017】
本発明の成分(A)の非晶性オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、得られるフィルムの耐ブリード白化性をより高める観点から、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下であり、更に好ましくは3以下である。なお、該分子量分布の測定はゲルパーミエイションクロマトグラフにより行う。
【0018】
本発明の成分(A)および成分(B)の非晶性オレフィン系重合体は、公知のチーグラー・ナッタ型触媒又は公知のシングルサイト触媒(メタロセン系等)を用いて製造することができるが、フィルムの柔軟性をより高める観点からは、公知のシングルサイト触媒(メタロセン系等)が好ましく、かかるシングルサイト触媒の例としては、たとえば特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報などに記載のメタロセン系触媒;特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報などに記載の非メタロセン系の錯体触媒を例示することができる。これらの中でも、入手容易性の観点から、メタロセン触媒が好ましく、その中でも好適なメタロセン触媒の例としては、シクロペンタジエン形アニオン骨格を少なくとも1個有し、C1対称構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体が好ましい。また、メタロセン触媒を用いた製造方法の例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書の方法を例示することができる。
【0019】
本発明の成分(B)の結晶性プロピレン系樹脂としては、プロピレン単量体単位を50重量%以上含有する重合体をあげることができ、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体などをあげることができる。また、これら重合体としては、ランダムタイプ、ブロックタイプ等広範な構造のものが使用可能である。
【0020】
成分(B)の結晶の融解ピークの総融解熱量は、得られるフィルムのオーバーラップ性、耐熱性の観点から、好ましくは80〜130J/gであり、より好ましくは90〜125J/gであり、更に好ましくは100〜120J/gである。該結晶の融解ピークの中でピーク高さが最大である結晶融解ピーク(結晶融解主ピーク)の温度は、得られるフィルムのオーバーラップ性、耐熱性の観点から、好ましくは140〜176℃であり、より好ましくは145〜170℃であり、更に好ましくは150〜165℃である。なお、結晶の融解ピークの総融解熱量、結晶の融解ピークの温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
【0021】
成分(B)の結晶性プロピレン系樹脂の数平均分子量について、特に制限はないが、好ましくは10,000〜1,000,000のものが用いられる。
【0022】
成分(B)の結晶性プロピレン系樹脂の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。また、市販の該当品を用いることも可能である。
【0023】
本発明の成分(C)は石油樹脂類であり、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油類の熱分解により生成する分解油留分を重合し固化させた熱可塑性樹脂、クマロン−インデン樹脂、アルキル−フェノール樹脂などがあげられる。ロジン系樹脂としては、ガムロジンやウッドロジン、水素化ロジン、アルコールでエステル化したエステル化ロジン、フェノールとロジンを反応させたロジンフェノール樹脂などが例示できる。テルペン系樹脂としては、α−ピネンやβ−ピネンの重合したテルペン樹脂、フェノールとテルペンを反応させたテルペンフェノール樹脂、スチレン等で極性を付与した芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂などが例示できる。石油類の熱分解により生成する分解油留分を重合し固化させた熱可塑性樹脂としては、C5留分を原料とした脂肪族系石油樹脂、C9留分を原料とした芳香族系石油樹脂、ジシクロペンタジエンを原料とした脂環族系石油樹脂、およびこれら2種以上が共重合した共重合系石油樹脂、さらにこれらを水素化した水素化系石油樹脂などが例示できる。具体的には、例えば、三井化学(株)製のハイレッツ、ペトロジン、荒川化学工業(株)製のアルコン、ヤスハラケミカル(株)製のクリアロンなどの市販品を用いることができる。
【0024】
成分(C)の石油樹脂類の中では、色調、臭いの点で、水素化ロジン、水素化テルペン樹脂、水素化系石油樹脂などの水素添加誘導体が好ましい。
【0025】
本発明の層(I)は、成分(A)および成分(B)からなる樹脂組成物であって、曲げ剛性率が200〜500MPaである樹脂組成物(Z)を含有する層である。該樹脂組成物(Z)の曲げ剛性率は、好ましくは220〜450MPaであり、より好ましくは240〜400MPaであり、更に好ましくは260〜350MPaである。該樹脂組成物(Z)の曲げ剛性率が大きすぎる場合や、小さすぎる場合、得られるフィルムのオーバーラップ性が低下することがある。
【0026】
本発明の層(I)における成分(A)の含有量と成分(B)の含有量としては、得られるフィルムのオーバーラップ性の観点から、成分(A)および成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が55〜10重量%であり、成分(B)の含有量が45〜90重量%であり、好ましくは、成分(A)の含有量が50〜15重量%であり、成分(B)の含有量が50〜85重量%であり、より好ましくは、成分(A)の含有量が45〜20重量%であり、成分(B)の含有量が55〜80重量%である。
【0027】
本発明の層(I)における成分(A)および(B)の合計の含有量と成分(C)の含有量としては、得られるフィルムのオーバーラップ性の観点から、成分(A)〜(C)の合計量を100重量%として、好ましくは、成分(A)および(B)の合計の含有量が99〜50重量%であり、成分(C)の含有量が1〜50重量%であり、より好ましくは、成分(A)および(B)の合計の含有量が95〜55重量%であり、成分(C)の含有量が5〜45重量%であり、更に好ましくは、成分(A)および(B)の合計の含有量が90〜60重量%であり、成分(C)の含有量が10〜40重量%であり、特に好ましくは、成分(A)および(B)の合計の含有量が85〜65重量%であり、成分(C)の含有量が15〜35重量%である。
【0028】
本発明の層(I)には、例えば、トリミングロス等から発生するリサイクル樹脂をブレンドして使用してもよい。
【0029】
本発明の層(I)には、必要に応じて各種添加剤や充填剤、例えば酸化防止剤、造核剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤などを含ませることができる。
【0030】
本発明のフィルムは、層(I)を有するフィルムであり、単層フィルムであってもよいし、他の層を有する多層フィルムであってもよい。他の層としては、オレフィン系樹脂を含有する層、ポリアミド樹脂を含有する層、ポリビニルアルコール樹脂を含有する層、ポリエステル樹脂を含有する層、接着性樹脂を含有する層、リサイクル樹脂を含有する層などをあげることができる。
【0031】
本発明のフィルムは、透明性およびヒートシール性の観点から、フィルム表面の少なくとも一方がエチレン系樹脂を含有する層(II)であることが好ましく、フィルム両表面がエチレン系樹脂を含有する層(II)であることがより好ましい。ここで、エチレン系樹脂とは、エチレン単量体単位を50重量%以上含有するオレフィン系樹脂である。該オレフィン系樹脂は、エチレン単量体単位以外の単量体単位を含有していてもよく、該他の単量体単位に用いられる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物などをあげることができ、これらは1種または2種以上組み合わせて用いられる。かかるエチレン系樹脂としては、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマーなどをあげることができる。
【0032】
該エチレン系樹脂としては、フィルムの透明性およびヒートシール性をより高める観点から、密度が880〜920kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体、酢酸ビニル単量体単位の含有量が5〜30重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、酢酸ビニル単量体単位の含有量が10〜20重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。ここで、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K 6760に従い、アニールは無しで測定され、酢酸ビニル単量体単位の含有量はJIS K 6730に従い測定される。
【0033】
該エチレン系樹脂の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法等があげられる。
【0034】
本発明のフィルムの総厚みは特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。本発明のフィルムをストレッチフィルムとして用いる場合、その厚みは通常は、1〜100μmであり、好ましくは2〜60μm、さらに好ましくは5〜30μmである。
【0035】
本発明のフィルムが多層フィルムの場合、フィルム総厚みに対する層(I)の厚み比率は、特に限定されるものでなく、任意に選択することができる。通常は、層(I)の厚み比率を、フィルム総厚みに対して1〜99%とし、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは10〜80%とする。本発明のフィルムをストレッチフィルムとして用いる場合の該厚み比率は、ストレッチフィルム総厚みに対して、10〜80%が好ましく、さらに好ましくは20〜70%である。
【0036】
本発明のフィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等で製造することが可能である。多層ストレッチフィルムの場合は、製膜した後熱貼合する方法や、例えば、二種二層あるいは二種三層の共押出タイプのインフレーションフィルム成形機やTダイフィルム成形機で製膜することが可能である。
【0037】
本発明のフィルムに収縮性が必要である場合は、製膜後に少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。延伸は一軸でも二軸でも可能である。一軸延伸の場合は、例えば通常用いられるロール延伸法が好ましい。また、二軸延伸の場合は、例えば一軸に延伸した後に二軸延伸を行う逐次延伸方式でもよく、チューブラー延伸のような同時二軸延伸する方法でも可能である。
【0038】
本発明のフィルムは、種々の用途に用いられるが、中でもストレッチフィルムに好適に用いられ、該フィルムは、食品、パレット貨物、牧草、書籍、玩具などの包装に用いられるが、これらの中でも、青果物や鮮魚、鮮肉、惣菜等の食品を直接に、またはプラスチックトレー等に載せて包装する食品包装用に好適である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、物性の評価は、以下の方法により行った。
(1)非晶性オレフィン系重合体の単量体組成
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、1HNMRスペクトル、13CNMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13C−NMRスペクトルにおいて、プロピレン単量体単位由来のメチル炭素のスペクトル強度と1−ブテン単量体単位由来のメチル炭素のスペクトル強度との比からプロピレン単量体単位と1−ブテン単量体単位の組成比を算出し、次に、1H−NMRスペクトルにおいて、メチン単位とメチレン単位由来の水素のスペクトル強度とメチル単位由来の水素のスペクトル強度との比からエチレン単量体単位、プロピレン単量体単位および1−ブテン単量体単位の組成比を算出した。
(2)メルトフローレート(MFR)
プロピレン−エチレンランダム共重合体は、JIS K 7210に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定を行った。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、JIS K 7210に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定を行った。
(3)極限粘度[η]
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりの非晶性オレフィン系重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlである非晶性オレフィン系重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(4)分子量分布測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法を用い、下記の条件により測定を行った。
装置:Waters社製 150C ALC/GPC
カラム:昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M2本
温度 :140℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
溶出溶媒流速:1.0ml/min
試料濃度:1mg/ml
測定注入量:400μl
分子量標準物質:標準ポリスチレン
検出器:示差屈折
(5)示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い以下の条件で測定した。なお、測定の標準物質にはインジウムを用いた。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。
(6)曲げ剛性率
非晶性オレフィン系重合体と結晶性プロピレン系樹脂とを、東洋精機社製ラボプラストミルR−100Hを用いて、層(I)中の組成比で溶融混練し、得られた樹脂組成物を用いて、ASTM−D−747に従って曲げ剛性率を測定した。
【0040】
(7)トレー底面におけるオーバーラップ性
評価対象のフィルムを(株)寺岡精工社製ストレッチ包装機AW3600II型に装着し、100gの樹脂ペレットを入れたリスパック社製発泡ポリスチレントレーGP550を包装した。得られた包装トレー底面におけるフィルム同志のオーバーラップ長さを以下のように判定した。該長さが大きいほど、オーバーラップ性に優れる。
○:オーバーラップ長が30mm以上
△:オーバーラップ長さが1mm以上30mm未満
×:オーバーラップ長さが1mm未満
(8)耐延伸白化性
評価対象のフィルムを(株)寺岡精工製ストレッチ包装機AW3600II型に装着し、100gの樹脂ペレットを入れた中央化学(株)製発泡ポリスチレントレーC−65(奥行180mm)を包装する。その際、トレー上面に張られたフィルムの白化の仕方を以下のように判定した。
○:フィルムに白化が認められない。
△:フィルムにやや白化が認められる。
×:フィルムに白化が認められる。
(9)耐熱性
市販のハンド式トレー包装機(ARC(株)製 ポリラッパー)の熱シール用熱板にフィルム1枚を2秒間接触させ、フィルムに穴が開かない最高熱板温度を測定し、耐熱温度とした。
【0041】
<実施例1>
[1]非晶性オレフィン系重合体の製造、評価
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、プロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出し、重合器の下部から、重合触媒の成分として、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.10Kg/時間であった。該重合体(以下、重合体▲1▼と称する。)の物性評価結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
[2]フィルムの製造、評価
(1)層(I)〔中間層〕用樹脂組成物の調製
重合体▲1▼85重量%と結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンS131、MFR(温度230℃、荷重21.18N)=1.5g/10分、融解主ピーク温度=135℃、融解熱量=60J/g)15重量%とをバンバリー混練機で溶融混練後、圧着ロールに通してシート化、更にペレタイザーによりペレット化し、樹脂組成物(以下、樹脂組成物▲1▼と称する。)を調整した。次に、樹脂組成物▲1▼35重量%と、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンFS2011DG2、MFR(温度230℃、荷重21.18N)=2.5g/10分、融解主ピーク温度=160℃、融解熱量=120J/g)35重量%と、石油樹脂類(ヤスハラケミカル(株)製クリアロンP135)30重量%とを二軸押出機で溶融混練し、ペレット化した樹脂組成物を中間層用樹脂組成物として用いた。
【0044】
樹脂組成物▲1▼35重量部と結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンFS2011DG2)35重量部とを、東洋精機製ラボプラストミルで、230℃、3分の条件で溶融混練して得た組成物の曲げ剛性率は300MPaであった。
【0045】
(2)層(II)〔両外層〕用樹脂組成物の調製
エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学工業(株)製エバテートH2081、MFR(190℃)=2g/10分、酢酸ビニル単量体単位の含有量=15.8重量%)97重量部および防曇剤(丸菱油化工業(株)製STO−405)3重量部をバンバリーミキサーで溶融混練して調製した樹脂組成物を、両外層用樹脂組成物として用いた。
【0046】
(3)フィルムの製造
得られた中間層用樹脂組成物および両外層用樹脂組成物を、それぞれ(株)プラコー製三層インフレフィルム加工機の中間層押出機および両外層押出機に供給して、ダイス温度200℃、ブロー比4.5、引取速度20m/minで加工することにより、厚み構成比が外層/中間層/外層の順に22.5%/55%/22.5%、全厚み11μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの諸特性値を表2に示す。
【0047】
<比較例1>
中間層用樹脂組成物として、樹脂組成物▲1▼8重量%と、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンFS2011DG2)62重量%と、石油樹脂類30重量%とを二軸押出機で溶融混練し、ペレット化した樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行った。なお、樹脂組成物▲1▼8重量部と結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンFS2011DG2)62重量部とを、東洋精機製ラボプラストミルで、230℃、3分の条件で溶融混練して得た組成物の曲げ剛性率は900MPaであった。得られたフィルムの諸特性値を表2に示す。
【0048】
<比較例2>
中間層用樹脂組成物として、樹脂組成物▲1▼47重量%と、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンFS2011DG2)23重量%と、石油樹脂類30重量%とを二軸押出機で溶融混練し、ペレット化した樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行った。なお、樹脂組成物▲1▼47重量部と結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンFS2011DG2)23重量部とを、東洋精機製ラボプラストミルで、230℃、3分の条件で溶融混練して得た組成物の曲げ剛性率は160MPaであった。得られたフィルムの諸特性値を表2に示す。
【0049】
【表2】
表中、
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学工業(株)製エバテートH2081)
STO−405:防曇剤(丸菱油化工業(株)製STO−405)
PP1:結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンS131)
PP2:結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製ノーブレンFS2011DG2)
P135:石油樹脂類(ヤスハラケミカル社製クリアロンP135)
【0050】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、オーバーラップ性、耐延伸白化性に優れたフィルムを提供することができた。本発明のフィルムは、耐熱性、透明性、ヒートシール性、易加工性にも優れ得る。そのため、本発明のフィルムは、ストレッチフィルムに好適に用いられ、特に食品用包装用ストレッチフィルムに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレー底面でのフィルムのオーバーラップの状態を模式的に表した図である。
Claims (6)
- 下記成分(A)および(B)からなる樹脂組成物であって、曲げ剛性率が200〜500MPaである樹脂組成物(Z)と、下記成分(C)とを含有する層(I)を有するフィルム。
(A)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれた2種以上のオレフィンであって、該選ばれた2種以上のオレフィンの炭素原子数の合計が6以上であるオレフィンの単量体単位を含有し、下記式(イ)で定義されるXが−100以上であり0以下である非晶性オレフィン系重合体。
X=[エチレン単量体単位の含有量(モル%)]−[炭素原子数が4〜20のオレフィン単量体単位の含有量(モル%)] (イ)
(ただし、非晶性オレフィン系重合体の全単量体単位含有量を100モル%とする。)
(B)結晶性プロピレン系樹脂
(C)石油樹脂類 - 成分(B)が、結晶融解ピークの総融解熱量が80〜130J/gであり、かつ結晶融解主ピークの温度が140〜176℃である結晶性プロピレン系樹脂である請求項1記載のフィルム。
- 層(I)において、成分(A)と成分(B)との合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が55〜10重量%であり、成分(B)の含有量が45〜90重量%である請求項1または2に記載のフィルム。
- 層(I)において、成分(A)〜(C)の合計量を100重量%として、成分(A)と成分(B)の合計の含有量が99〜50重量%であり、成分(C)の含有量が1〜50重量%である請求項1〜3に記載のフィルム。
- 層(I)に加え、エチレン系樹脂を含有する層(II)を有し、表面の少なくとも一方が該層(II)である請求項1〜4に記載のフィルム。
- ストレッチフィルムである請求項1〜5に記載のフィルム。
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