【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリベンザゾール繊維からなり、高温かつ高湿度下に暴露されたときに優れた耐久性を有する高強度繊維ロープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高強度、高耐熱性を有する繊維として、ポリベンゾオキサゾールもしくはポリベンゾチアゾールまたはこれらのコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊維が知られており、その繊維からなる高強度ロープは広く使用されている。
【0003】
通常、ポリベンザゾール繊維は、上記ポリマーやコポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押し出した後、凝固性流体(水、または水と無機酸の混合液)中に浸漬して凝固させ、さらに水洗浴中で徹底的に洗浄し大部分の溶媒を除去した後、水酸化ナトリウム等の無機塩基の水溶液槽を通り、糸中に抽出されずに残っている酸を中和した後、乾燥することによって得られる。
【0004】
この様にして製造されるポリベンザゾール繊維は上記に記載した通り、強度などの力学特性に優れ、かつ耐熱性も高いため、ヨットロープをはじめとする強度や耐摩耗性が必要とされるロープ用途に広く用いられてきた。しかし、ポリベンザゾール繊維は非常に高度に配向した分子鎖構造のためにロープ製造工程における機械的ダメージを受けやすい。そのため得られたロープは、特に高温かつ高湿度下における長期耐久性が、ポリベンザゾール繊維自体の有する性能よりも劣ることが問題になっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、ポリベンザゾール繊維からなるロープにおいて、高温かつ高湿度下に長時間暴露されても強度低下の小さい耐久性に優れる製品を提供せんとすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに至った。熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料で、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するもの、なかでもペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類を糸中に含有するポリベンザゾール繊維を用いると、ロープ製造過程における機械的ダメージを受けた製品であっても、高温かつ高湿度下に長時間暴露した後の強度低下率を抑制することができることを見いだすし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の構成からなる。
1.温度80℃相対湿度80%雰囲気下で700時間暴露した後の引張強度保持率が85%以上のポリベンザゾール繊維からなること特徴とする高強度繊維ロープ。
2.ポリベンザゾール繊維中に熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料を含んでいることを特徴とする上記第1記載の高強度繊維ロープ。
3.ポリベンザゾール繊維中に含有される有機顔料がその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有することを特徴とする上記第1記載の高強度繊維ロープ。
4.ポリベンザゾール繊維中に含有される有機顔料がペリノン及び/又はペリレン類であることを特徴とする上記第1記載の高強度繊維ロープ。
5.ポリベンザゾール繊維中に含有される有機顔料がフタロシアニン類であることを特徴とする上記第1記載の高強度繊維ロープ。
6.ポリベンザゾール繊維中に含有される有機顔料がキナクリドン類であることを特徴とする上記第1記載の高強度繊維ロープ。
7.ポリベンザゾール繊維中に含有される有機顔料がジオキサジン類であることを特徴とする上記第1記載の高強度繊維ロープ。
8.ポリベンザゾール繊維からなり、温度80℃相対湿度80%雰囲気下で700時間暴露した後の引張強度保持率が75%以上であること特徴とする高強度繊維ロープ。
以下、本発明を詳述する。
【0007】
本発明における熱分解温度が200℃以上の高耐熱性を有し鉱酸に溶解する有機顔料として不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、染色レーキ、イソインドリノン類、イソインドリン類、ジオキサジン類、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類等が挙げられる。その中でも分子内に−N=及び/又はNH−基を有するものが好ましく、より好ましくはジオキサジン類、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類である。
【0008】
ペリノン及び/又はペリレン類としては、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:2’、1’−i]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー8,17−ジオン、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:1’、2’−j]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー6,9−ジオン、2,9−ビス(p−メトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−メトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ジメチルアントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(4−フェニルアゾフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、8,16−ピランスレンジオン等があげられる。
これらのペリノン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
【0009】
フタロシアニン類としては、フタロシアニン骨格を有していればその中心に配位する金属の有無および原子種は問わない。これらの化合物の具体例としては、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32鉄、29H,31H−フタロシアニネート−N29,N30,N31,N32コバルト、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、オキソ(29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32),(SP−5−12)チタニウム等があげられる。また、これらのフタロシアニン骨格が1個以上のハロゲン原子、メチル基、メトキシ基等の置換基を有していてもよい。
これらのフタロシアニン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
【0010】
キナクリドン類としては、5,12−ジヒドロー2,9−ジメチルキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジクロロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジブロモキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン等があげられる。
これらのキナクリドン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
【0011】
ジオキサジン類としては9,19−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[2,3−c:2’,3’−n]トリフェノジオキサジン、8,18−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[3,2−b:3’,2’−m]トリフェノジオキサジン等が挙げられる。これらのジオキサジン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%―20%、好ましくは0.1%―10%である。
【0012】
また、ペリレン類、ペリノン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、およびジオキサジン類の2つまたは3つ以上の化合物の併用も可能である。
勿論本発明技術内容はこれらに限定されるものではない。
【0013】
本発明におけるポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリマーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、またはポリベンズイミダゾール(PBI)から選ばれる1種以上のポリマーをいう。本発明においてPBOは芳香族基に結合されたオキサゾール環を含むポリマーをいい、その芳香族基は必ずしもベンゼン環である必要は無い。さらにPBOは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)や芳香族基に結合された複数のオキサゾール環の単位からなるポリマーが広く含まれる。同様の考え方は、PBTやPBIにも適用される。また、PBO、PBT及び、またはPBIの混合物、PBO、PBT及びPBIのブロックもしくはランダムコポリマー等のような二つまたはそれ以上のポリベンザゾールポリマーの混合物、コポリマー、ブロックポリマーも含まれる。好ましくは、ポリベンザゾールは、鉱酸中、特定濃度で液晶を形成するライオトロピック液晶ポリマーである。
【0014】
PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。当該ポリマーは構造式 (a)〜(i)に記載されているモノマー単位から成る。
【0015】
【化1】
【0016】
ポリベンザゾール繊維は、ポリベンザゾールポリマーの溶液(PBZポリマードープ)より製造されるが、当該ドープを調製するための好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解しうる非酸化性の鉱酸が挙げられる。好適な非酸化性鉱酸の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物が挙げられる。その中でもポリリン酸及びメタンスルホン酸が、最も好ましくはポリリン酸である。
【0017】
ドープ中のポリマー濃度は、1〜30%、好ましくは1〜20%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は通常では20重量%を越えることはない。
【0018】
本発明において、好適なポリマーまたはコポリマーとドープは公知の方法で合成される。例えばWolfeらの米国特許第4,533,693号明細書(1985.8.6)、Sybertらの米国特許第4,772,678号明細書(1988.9.22)、Harrisの米国特許第4,847,350号明細書(1989.7.11)またはGregoryらの米国特許第5,089,591号明細書(1992.2.18)に記載されている。要約すると、好適なモノマーは非酸化性で脱水性の酸溶液中、非酸化性雰囲気で高速撹拌及び高剪断条件のもと約60℃から230℃までの間で段階的または任意の昇温速度で温度を上げることで反応させられる。
【0019】
このようにして得られるドープを紡糸口金から押し出し、空間で引き伸ばしてフィラメントに形成される。好適な製造法は先に述べた参考文献や米国特許第5,034,250号明細書に記載されている。紡糸口金を出たドープは紡糸口金と洗浄バス間の空間に入る。この空間は一般にエアギャップと呼ばれているが、空気である必要はない。この空間は、溶媒を除去すること無く、かつ、ドープと反応しない溶媒で満たされている必要があり、例えば空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられる。
【0020】
紡糸後のフィラメントは、過度の延伸を避けるために洗浄され溶媒の一部が除去される。そして、更に洗浄され、適宜水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の無機塩基で中和され、ほとんどの溶媒は除去される。ここでいう洗浄とは、ポリベンザゾールポリマーを溶解している鉱酸に対し相溶性であり、ポリベンザゾールポリマーに対して溶媒とならない液体に繊維またはフィラメントを接触させ、ドープから酸溶媒を除去することである。好適な洗浄液体としては、水や水と酸溶媒との混合物がある。フィラメントは、好ましくは残留鉱酸金属原子濃度が重量で8000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下に洗浄される。その後、フィラメントは、乾燥、熱処理、巻き取り等が必要に応じて行われる。
【0021】
本発明に係る高強度繊維ロープの第一の特徴は、有機顔料を含んでいるポリベンザゾール繊維を原材料として用いることであり、温度80℃相対湿度80%雰囲気下で700時間暴露した後の引張強度保持率が75%以上のポリベンザゾール繊維製ロ−プを得ることができた点である。ここでいう有機顔料は前述のごとく熱分解温度が200℃以上であり、鉱酸に溶解するものであり、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−を有する顔料である。より好ましくは、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類である。また、鉱酸とは、メタンスルフォン酸またはポリリン酸である。
【0022】
これらの有機顔料を糸中に含有させる方法としては、特に限定されず、ポリベンザゾールの重合のいずれの段階または重合終了時のポリマードープの段階で含有させることができる。例えば、有機顔料をポリベンザゾールの原料を仕込む際に同時に仕込む方法、段階的または任意の昇温速度で温度を上げて反応させている任意の時点で添加する方法、また、重合反応終了時に反応系中に添加し、撹拌混合する方法が好ましい。
【0023】
水洗後、50℃以上、通常300℃以下でフィラメントを乾燥することにより有機顔料を固定する。乾燥処理後の引っ張り強度保持率は、有機顔料を含有していないポリベンザゾール繊維に対して80%以上を有しており、乾燥処理によるポリマーへの悪影響は少ない。このように本発明に係るポリベンザゾール繊維の特徴は、糸中での有機顔料が欠点となって繊維の初期強度が低下することも無く、良好に保持されることである。また、紡糸時の可紡性も良好であり、糸切れの無い良好な操業性が維持される。これは、添加した顔料が鉱酸に溶解するため、ポリマードープ中でも溶解しているためと推測される。有機顔料含有量が20%を超えるとフィラメント繊度の増加で初期の糸強度が低くなるため好ましくない。
【0024】
繊維内部における高耐熱性有機顔料の化学的な存在状態あるいはその作用については明確には分かっていない。高耐熱性有機顔料分子がポリベンザゾール繊維中のミクロボイド内に満たされているため、高温かつ高湿度下に長時間暴露されても外からの水蒸気がポリベンザゾール分子に到達しにくくなり強度低下が起こりにくくなるのか、あるいは、ポリベンザゾール繊維中に残留している鉱酸が水分により解離して放出した水素イオンを有機顔料が捕捉して系内を中性化することにより強度低下を抑制しているのか、あるいは、発達した共役系を有する高耐熱性有機顔料が繊維中で何らかの理由で発生したラジカルを捕捉して系内を安定化させているのか等が推定される。
【0025】
得られた高強度繊維ロープは、驚くべきことにその耐光性も向上していることが明らかになったが、その作用は明確には分かっていない。高耐熱性有機顔料の遮光効果により光劣化が緩和されるのか、または、光照射により励起したポリベンザゾール分子を直ちに基底状態に戻すのか、あるいは、酸素分子との相互作用等により発生したラジカルを捕捉して系内を安定化させているのか等が推定されるが、本発明はこの考察に拘束されるものではない。
【0026】
【実施例】
以下に実例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
【0027】
(高温かつ高湿度下における強度低下の評価方法)
高温かつ高湿度下における強度低下の評価は、恒温恒湿器中で高温かつ高湿度保管処理した後、標準状態(温度:20±2℃、相対湿度65±2%)の試験室内に取り出し、30分以内に引張試験を実施し、処理前の強度に対する処理後の強度保持率で評価を行った。なお、高温高湿度下での保管試験にはヤマト科学社製Humidic Chamber 1G43Mを使用し、恒温恒湿器中に光が入らないよう完全に遮光して、80℃、相対湿度80%の条件下にて700時間処理を実施した。強度保持率は、高温高湿度保管前後の引張強度を測定し、高温高湿度保管試験後の引張強度を高温高湿度保管試験前の引張強度で割って100を掛けて求めた。
【0028】
(金属濃度測定)
フィラメント中の残留リン濃度は、試料をペレット状に固めて蛍光X線測定装置(フィリップスPW1404/DY685)を用いて測定し、ナトリウム濃度は中性子活性化分析法で測定した。
【0029】
(光暴露試験)
水冷キセノンアーク式ウェザーメーター(アトラス社製、形式Ci35A)を使用し、金属フレームに糸を巻き付けて固定して装置にセットし、内側フィルターガラスに石英、外側フィルターガラスにボロシリケート、タイプSを使用し、放射照度:0.35W/m2(at 340nm)、ブラックパネル温度:80℃±3℃、試験槽内湿度:50%±5%で100時間連続照射を行った。
【0030】
(紡糸)
フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径180μm、孔数166のノズルからフィラメントを適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に押し出した。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。エアギャップ長は30cmとした。60℃の空気中にフィラメントを紡出した。テークアップ速度を200m/分とし、紡糸延伸倍率を30とした。ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が6000ppm以下になるまで水洗した。さらに、1%NaOH水溶液で10秒間中和した後30秒間水洗後、200℃で3分間乾燥して、糸を糸管に巻き取った。
【0031】
(実施例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で30分間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で20時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅15.2gを添加して撹拌混合した。その後、前述の方法により紡糸した。得られた糸の高温高湿度保管後の強度保持率は90%であった。得られたポリベンザソール繊維12本を、1mあたり80回の撚りを加えながら撚り合わせ太さ3000デニールの合撚糸を得た。得られた合撚糸8本を通常の装置を用いて編組することで8打ち構造のロープを製造した。得られた製品の高温高湿度保管後の強度保持率は81%であり、原材料として使用したポリベンザゾール繊維の強度保持率と比較して、9%低下しただけであった。また得られたロープの光暴露試験を実施した結果、100時間照射後の強度保持率は、80%と良好であった。
【0032】
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた固有年度29dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgにビスベンズイミダゾ[2,1−b:2’、1’−i]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー8,17−ジオン15.2gを添加して撹拌混合した。その後、前述の方法により紡糸した。得られた糸の高温高湿度保管試験後の強度保持率は86%であった。
得られたポリベンザソール繊維12本を、1mあたり80回の撚りを加えながら撚り合わせ太さ3000デニールの合撚糸を得た。得られた合撚糸8本を通常の装置を用いて編組することで8打ち構造のロープを製造した。得られた製品の高温高湿度保管後の強度保持率は76%であり、原材料として使用したポリベンザゾール繊維の強度保持率と比較して、10%低下しただけであった。
【0033】
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた固有年度29dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに9,19−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[2,3−c:2’,3’−n]トリフェノジオキサジン15.2gを添加して撹拌混合した。その後、前述の方法により紡糸した。得られた糸の高温高湿度保管後の強度保持率は85%であった。
得られたポリベンザソール繊維12本を、1mあたり80回の撚りを加えながら撚り合わせ太さ3000デニールの合撚糸を得た。得られた合撚糸8本を通常の装置を用いて編組することで8打ち構造のロープを製造した。得られた製品の高温高湿度保管後の強度保持率は73%であり、原材料として使用したポリベンザゾール繊維の強度保持率と比較して、12%低下しただけであった。
【0034】
(実施例4)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,5,12−ジヒドロ−2,9−ジメチルキノ[2,3−b]アクリジン−7,14−ジオン19.4g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で30分間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で20時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gのポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールのポリマードープを前述の方法により紡糸した。このようにして得られた糸の高温高湿度保管後の強度保持率は85%であった。
得られたポリベンザソール繊維12本を、1mあたり80回の撚りを加えながら撚り合わせ太さ3000デニールの合撚糸を得た。得られた合撚糸8本を通常の装置を用いて編組することで8打ち構造のロープを製造した。得られた製品の高温高湿度保管後の強度保持率は76%であり、原材料として使用したポリベンザゾール繊維の強度保持率と比較して、9%低下しただけであった。
【0035】
(比較例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で30分間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で20時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgを用いて、前述の方法により紡糸した。得られた糸の高温高湿度保管後の強度保持率は75%であった。
得られたポリベンザソール繊維12本を、1mあたり80回の撚りを加えながら撚り合わせ太さ3000デニールの合撚糸を得た。得られた合撚糸8本を通常の装置を用いて編組することで8打ち構造のロープを製造した。得られた製品の高温高湿度保管後の強度保持率は50%であり、原材料として使用したポリベンザゾール繊維の強度保持率(75%)と比較するとその差は25%と非常に大きく、実施例と比較して、ロープ製造工程におけるダメージにより耐久性が著しく低下していることがわかった。また得られたロープの光暴露試験を実施した結果、100時間照射後の強度保持率は、58%であり実施例1と比較して大きく劣っていた。
【0036】
以上の結果を表1にまとめる。表1より明らかなように、比較例と比べ、実施例のポリベンザゾール繊維からなる高強度繊維ロープは高温高湿度下に暴露した後の強度保持率が非常に高いことがわかる。
【0037】
【表1】
【0038】
本発明によると、高温かつ高湿度下に長時間暴露された場合であっても強度を充分に維持することができるポリベンザゾール繊維からなる高強度繊維ロープを提供できるため、特に産業用資材として、利用分野が拡大する効果が絶大である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によると、高温高湿度条件において高い耐久性を有するポリベンザゾール繊維からなる高強度繊維ロープを提供することを可能とした。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a high-strength fiber rope made of polybenzazole fiber and having excellent durability when exposed to high temperature and high humidity.
[0002]
[Prior art]
As a fiber having high strength and high heat resistance, polybenzazole fiber composed of polybenzoxazole or polybenzothiazole or a copolymer thereof is known, and a high-strength rope made of the fiber is widely used.
[0003]
Usually, after extruding the dope containing the polymer or copolymer and the acid solvent from the spinneret, the polybenzazole fiber is immersed in a coagulable fluid (water or a mixture of water and an inorganic acid) to coagulate. After thoroughly washing in a washing bath to remove most of the solvent, the solution passes through an aqueous solution of an inorganic base such as sodium hydroxide to neutralize the acid remaining in the yarn without being extracted, and then dried. Obtained by:
[0004]
As described above, the polybenzazole fiber produced in this manner has excellent mechanical properties such as strength and high heat resistance. Therefore, ropes that require strength and wear resistance, such as a yacht rope, are required. It has been widely used for applications. However, polybenzazole fibers are susceptible to mechanical damage during the rope manufacturing process due to the very highly oriented molecular chain structure. For this reason, the obtained rope has a problem that the long-term durability especially under high temperature and high humidity is inferior to the performance of the polybenzazole fiber itself.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and an object of the present invention is to provide a rope made of polybenzazole fiber, which is a product excellent in durability with a small decrease in strength even when exposed to high temperature and high humidity for a long time. Is to not provide.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve the above problems, and as a result, have finally completed the present invention. Organic pigments having a heat decomposition temperature of 200 ° C. or higher and having high heat resistance and soluble in mineral acids, preferably those having —N = and / or NH— groups in the molecular structure thereof, especially perinones and / or perylenes Using polybenzazole fiber containing phthalocyanines, quinacridones, or dioxazines in the yarn, even if the product was mechanically damaged during the rope manufacturing process, it was exposed to high temperature and high humidity for a long time. It has been found that the later rate of strength reduction can be suppressed, and the present invention has been completed.
That is, the present invention has the following configurations.
1. A high-strength fiber rope comprising a polybenzazole fiber having a tensile strength retention of 85% or more after being exposed to an atmosphere at a temperature of 80 ° C and a relative humidity of 80% for 700 hours.
2. 2. The high-strength fiber rope according to the above item 1, wherein the polybenzazole fiber contains an organic pigment having a high heat resistance of 200 ° C. or higher and soluble in a mineral acid.
3. 2. The high-strength fiber rope according to the above item 1, wherein the organic pigment contained in the polybenzazole fiber has -N = and / or NH- groups in its molecular structure.
4. 2. The high-strength fiber rope according to the above item 1, wherein the organic pigment contained in the polybenzazole fiber is perinone and / or perylene.
5. 2. The high-strength fiber rope according to the above item 1, wherein the organic pigment contained in the polybenzazole fiber is a phthalocyanine.
6. 2. The high-strength fiber rope according to the above item 1, wherein the organic pigment contained in the polybenzazole fiber is a quinacridone.
7. 2. The high-strength fiber rope according to the above item 1, wherein the organic pigment contained in the polybenzazole fiber is a dioxazine.
8. A high-strength fiber rope comprising a polybenzazole fiber and having a tensile strength retention of 75% or more after being exposed to an atmosphere at a temperature of 80 ° C. and a relative humidity of 80% for 700 hours.
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0007]
Insoluble azo pigments, condensed azo pigments, dye lakes, isoindolinones, isoindolines, dioxazines, perinones and organic pigments having a high heat resistance of 200 ° C. or higher and soluble in mineral acids in the present invention are soluble in mineral acids. And / or perylenes, phthalocyanines, quinacridones and the like. Among them, those having a -N = and / or NH- group in the molecule are preferable, and more preferable are dioxazines, perinones and / or perylenes, phthalocyanines, and quinacridones.
[0008]
As perinones and / or perylenes, bisbenzimidazo [2,1-b: 2 ′, 1′-i] benzo [lmn] [3,8] phenanthroline-8,17-dione, bisbenzimidazo [2, 1-b: 1 ′, 2′-j] benzo [lmn] [3,8] phenanthroline-6,9-dione, 2,9-bis (p-methoxybenzyl) anthra [2,1,9-def: 6,5,10-d'e'f '] diisoquinoline-1,3,8,10 (2H, 9H) -tetron, 2,9-bis (p-ethoxybenzyl) anthra [2,1,9-def: 6,5,10-d'e'f '] diisoquinoline-1,3,8,10 (2H, 9H) -tetron, 2,9-bis (3,5-dimethylbenzyl) anthra [2,1,9- def: 6,5,10-d'e'f '] diisoquinoline-1,3,8 , 10 (2H, 9H) -tetron, 2,9-bis (p-methoxyphenyl) anthra [2,1,9-def: 6,5,10-d'e'f '] diisoquinoline-1,3,8 , 10 (2H, 9H) -tetron, 2,9-bis (p-ethoxyphenyl) anthra [2,1,9-def: 6,5,10-d'e'f '] diisoquinoline-1,3,8 , 10 (2H, 9H) -tetron, 2,9-bis (3,5-dimethylphenyl) anthra [2,1,9-def: 6,5,10-d'e'f '] diisoquinoline-1,3 , 8,10 (2H, 9H) -tetron, 2,9-dimethylanthra [2,1,9-def: 6,5,10-d'e'f '] diisoquinoline-1,3,8,10 (2H , 9H) -tetron, 2,9-bis (4-phenylazophenyl) anthra [2,1, -def: 6,5,10-d'e'f '] Jiisokinorin 1,3,8,10 (2H, 9H) - Tetron, 8,16- pin lance range on the like.
There may also be a combination of one or more compounds of these perinones. The addition amount is 0.01% to 20%, preferably 0.1% to 10% based on polybenzazole.
[0009]
As long as the phthalocyanine has a phthalocyanine skeleton, it does not matter whether or not there is a metal coordinating at the center of the phthalocyanine and the atomic species. Specific examples of these compounds include 29H, 31H-phthalocyaninate (2-)-N29, N30, N31, N32 copper, 29H, 31H-phthalocyaninate (2-)-N29, N30, N31, N32 iron, 29H, 31H-phthalocyaninate-N29, N30, N31, N32 cobalt, 29H, 31H-phthalocyaninate (2-)-N29, N30, N31, N32 copper, oxo (29H, 31H-lid Russian Ninate (2-)-N29, N30, N31, N32), (SP-5-12) titanium and the like. Further, these phthalocyanine skeletons may have one or more substituents such as a halogen atom, a methyl group and a methoxy group.
There may be a combination of one or more of these phthalocyanines. The addition amount is 0.01% to 20%, preferably 0.1% to 10% based on polybenzazole.
[0010]
Examples of the quinacridones include 5,12-dihydro-2,9-dimethylquino [2,3-b] acridin-7,14-dione, 5,12-dihydroquino [2,3-b] acridin-7,14-dione, Examples thereof include 12-dihydro-2,9-dichloroquino [2,3-b] acridine-7,14-dione and 5,12-dihydro-2,9-dibromoquino [2,3-b] acridine-7,14-dione.
There may also be a combination of one or more of these quinacridones. The addition amount is 0.01% to 20%, preferably 0.1% to 10% based on polybenzazole.
[0011]
Examples of dioxazines include 9,19-dichloro-5,15-diethyl-5,15-dihydrodiindolo [2,3-c: 2 ′, 3′-n] triphenodioxazine and 8,18-dichloro-5,15-. Diethyl-5,15-dihydrodiindolo [3,2-b: 3 ′, 2′-m] triphenodioxazine and the like. There may also be a combination of one or more of these dioxazines. The addition amount is 0.01% to 20%, preferably 0.1% to 10% based on polybenzazole.
[0012]
Also, two or more compounds of perylenes, perinones, phthalocyanines, quinacridones, and dioxazines can be used in combination.
Of course, the technical contents of the present invention are not limited to these.
[0013]
In the present invention, the polybenzazole fiber refers to a fiber made of a polybenzazole polymer, and the polybenzazole (PBZ) refers to polybenzoxazole (PBO), polybenzothiazole (PBT), or polybenzimidazole (PBI). Refers to one or more polymers selected from In the present invention, PBO refers to a polymer containing an oxazole ring bonded to an aromatic group, and the aromatic group does not necessarily need to be a benzene ring. Further, PBO widely includes poly (p-phenylene benzobisoxazole) and a polymer composed of units of a plurality of oxazole rings bonded to an aromatic group. Similar considerations apply to PBT and PBI. Also included are mixtures, copolymers, block polymers of two or more polybenzazole polymers, such as mixtures of PBO, PBT and / or PBI, block or random copolymers of PBO, PBT and PBI, and the like. Preferably, the polybenzazole is a lyotropic liquid crystal polymer that forms a liquid crystal at a specific concentration in a mineral acid.
[0014]
The structural unit contained in the PBZ polymer is preferably selected from a lyotropic liquid crystal polymer. The polymer consists of the monomer units described in structural formulas (a) to (i).
[0015]
Embedded image
[0016]
The polybenzazole fiber is produced from a solution of a polybenzazole polymer (PBZ polymer dope). Suitable solvents for preparing the dope include cresol and a non-oxidizing mineral acid capable of dissolving the polymer. Is mentioned. Examples of suitable non-oxidizing mineral acids include polyphosphoric acid, methanesulfonic acid and concentrated sulfuric acid or mixtures thereof. Among them, polyphosphoric acid and methanesulfonic acid are most preferably polyphosphoric acid.
[0017]
The polymer concentration in the dope is 1 to 30%, preferably 1 to 20%. The maximum concentration is limited by practical handling properties such as, for example, polymer solubility and dope viscosity. Because of these limiting factors, the polymer concentration does not usually exceed 20% by weight.
[0018]
In the present invention, suitable polymers or copolymers and dopes are synthesized by known methods. For example, Wolfe et al., U.S. Pat. No. 4,533,693 (1985.8.6); Sybert et al., U.S. Pat. No. 4,772,678 (1988.9.22); Harris U.S. Pat. No. 4,847,350 (1989.7.11) or US Pat. No. 5,089,591 to Gregory et al. (1992.2.18). In summary, the preferred monomers are non-oxidizing and dehydrating acid solutions in a non-oxidizing atmosphere with high speed stirring and high shear conditions between about 60 ° C. and 230 ° C., stepwise or at any rate. The reaction can be performed by raising the temperature with.
[0019]
The dope thus obtained is extruded from a spinneret and stretched in space to form a filament. Suitable processes are described in the references mentioned above and in U.S. Pat. No. 5,034,250. The dope which has left the spinneret enters the space between the spinneret and the washing bath. This space is commonly referred to as an air gap, but need not be air. This space must be filled with a solvent that does not react with the dope without removing the solvent, and examples thereof include air, nitrogen, argon, helium, and carbon dioxide.
[0020]
The spun filaments are washed and some of the solvent is removed to avoid overdrawing. Then, it is further washed and appropriately neutralized with an inorganic base such as sodium hydroxide, calcium hydroxide, potassium hydroxide or the like, and most of the solvent is removed. Washing here refers to removing the acid solvent from the dope by contacting the fiber or filament with a liquid that is compatible with the mineral acid in which the polybenzazole polymer is dissolved and does not become a solvent for the polybenzazole polymer. It is to be. Suitable cleaning liquids include water or a mixture of water and an acid solvent. The filaments are preferably washed to a residual mineral acid metal atom concentration of less than 8000 ppm by weight, more preferably less than 5000 ppm. Thereafter, the filament is subjected to drying, heat treatment, winding, and the like as necessary.
[0021]
The first feature of the high-strength fiber rope according to the present invention is that a polybenzazole fiber containing an organic pigment is used as a raw material, and the tensile strength after exposure for 700 hours in an atmosphere at a temperature of 80 ° C. and a relative humidity of 80% is used. The point is that a polybenzazole fiber rope having a strength retention of 75% or more was obtained. As described above, the organic pigment has a thermal decomposition temperature of 200 ° C. or higher and is soluble in a mineral acid, and is preferably a pigment having —N = and / or NH— in its molecular structure. More preferred are perinones and / or perylenes, phthalocyanines, quinacridones, or dioxazines. The mineral acid is methanesulfonic acid or polyphosphoric acid.
[0022]
The method for incorporating these organic pigments into the yarn is not particularly limited, and they can be incorporated at any stage of the polymerization of polybenzazole or at the stage of polymer doping at the end of the polymerization. For example, a method in which an organic pigment is charged at the same time as the raw material of polybenzazole is charged, a method in which the organic pigment is added stepwise or at an arbitrary time during which the temperature is raised at an arbitrary heating rate, or a method in which the reaction is performed at the end of the polymerization reaction The method of adding to a system and stirring and mixing is preferable.
[0023]
After washing with water, the organic pigment is fixed by drying the filament at 50 ° C. or higher, usually 300 ° C. or lower. The tensile strength retention after the drying treatment is 80% or more of the polybenzazole fiber containing no organic pigment, and the adverse effect on the polymer by the drying treatment is small. As described above, the feature of the polybenzazole fiber according to the present invention is that the polybenzazole fiber is well retained without the organic pigment in the yarn becoming a defect and the initial strength of the fiber being reduced. In addition, spinnability during spinning is good, and good operability without yarn breakage is maintained. This is presumably because the added pigment was dissolved in the mineral acid and was dissolved even in the polymer dope. If the organic pigment content exceeds 20%, the initial yarn strength is decreased due to an increase in filament fineness, which is not preferable.
[0024]
The chemical existence state or action of the high heat resistant organic pigment inside the fiber is not clearly understood. Since the heat-resistant organic pigment molecules are filled in the microvoids in the polybenzazole fiber, even when exposed to high temperature and high humidity for a long time, water vapor from the outside hardly reaches the polybenzazole molecules and the strength decreases. Is reduced, or the organic pigment captures the hydrogen ions released by the dissociation of the mineral acid remaining in the polybenzazole fiber due to moisture and neutralizes the inside of the system to suppress the decrease in strength. It is presumed that the organic pigment is stabilized or the highly heat-resistant organic pigment having a developed conjugated system captures radicals generated in the fiber for some reason and stabilizes the system.
[0025]
The resulting high-strength fiber rope has surprisingly been found to have improved lightfastness, but its action is not clearly understood. Whether the photodegradation is alleviated by the light-shielding effect of the high heat-resistant organic pigment, or the polybenzazole molecules excited by light irradiation are immediately returned to the ground state, or radicals generated by interaction with oxygen molecules, etc. It is presumed that the system is captured and stabilized in the system, but the present invention is not limited to this consideration.
[0026]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described using actual examples, but the present invention is not limited to the following examples as a matter of course, and is carried out with appropriate changes within a range that can conform to the gist of the preceding and following paragraphs. It is, of course, possible, and all of them are included in the technical scope of the present invention.
[0027]
(Evaluation method of strength reduction under high temperature and high humidity)
Evaluation of the strength decrease under high temperature and high humidity is performed by storing in a thermo-hygrostat at high temperature and high humidity, and then taking out the test chamber in a standard state (temperature: 20 ± 2 ° C., relative humidity 65 ± 2%). A tensile test was performed within 30 minutes, and the strength before the treatment was evaluated based on the strength retention after the treatment. Humidic Chamber 1G43M manufactured by Yamato Scientific Co., Ltd. was used for the storage test under high temperature and high humidity, and the light was completely shielded from light in a constant temperature and humidity chamber at 80 ° C. and a relative humidity of 80%. For 700 hours. The strength retention was determined by measuring the tensile strength before and after storage at high temperature and high humidity, dividing the tensile strength after storage test at high temperature and high humidity by the tensile strength before storage test at high temperature and high humidity, and multiplying by 100.
[0028]
(Metal concentration measurement)
The residual phosphorus concentration in the filament was measured using a fluorescent X-ray measuring device (Philips PW1404 / DY685) after solidifying the sample into a pellet, and the sodium concentration was measured by a neutron activation analysis method.
[0029]
(Light exposure test)
Using a water-cooled xenon arc type weather meter (manufactured by Atlas Co., type Ci35A), wind the thread around the metal frame, fix it and set it in the device. Use quartz for the inner filter glass, borosilicate for the outer filter glass, type S Irradiance: 0.35 W / m 2 (at 340 nm), black panel temperature: 80 ° C. ± 3 ° C., humidity in the test tank: 50% ± 5%, and continuous irradiation was performed for 100 hours.
[0030]
(spinning)
The spinning was performed under the condition that the filament diameter was 11.5 μm and 1.5 denier. At a spinning temperature of 175 ° C., the filament was extruded from a nozzle having a pore diameter of 180 μm and a number of holes of 166 into a first cleaning bath arranged to converge at an appropriate position to form a multifilament. A quench chamber was installed in the air gap between the spinning nozzle and the first cleaning bath so that the filament was drawn at a more uniform temperature. The air gap length was 30 cm. The filament was spun into air at 60 ° C. The take-up speed was 200 m / min, and the spinning draw ratio was 30. Water washing was performed until the residual phosphorus concentration in the polybenzazole fiber became 6000 ppm or less. Further, the yarn was neutralized with a 1% aqueous solution of NaOH for 10 seconds, washed with water for 30 seconds, dried at 200 ° C. for 3 minutes, and wound around a yarn tube.
[0031]
(Example 1)
In a nitrogen stream, 334.5 g of 4,6-diaminoresorcinol dihydrochloride, 260.8 g of terephthalic acid and 2078.2 g of 122% polyphosphoric acid were stirred at 60 ° C. for 30 minutes, and then slowly heated to 135 ° C. for 20 minutes. The reaction was carried out at 150 ° C. for 5 hours and at 170 ° C. for 20 hours. 29H, 31H-phthalocyaninate (2-)-N29, N30 was added to 2.0 kg of a poly (p-phenylenebenzobisoxazole) dope having an intrinsic viscosity of 30 dL / g measured with the obtained methanesulfonic acid solution at 30 ° C. , N31 and N32 copper were added and mixed with stirring. Thereafter, spinning was performed by the method described above. The strength retention of the obtained yarn after storage at high temperature and high humidity was 90%. Twenty of the obtained polybenzasol fibers were twisted while being twisted 80 times per meter to obtain a plied yarn having a thickness of 3000 denier. The obtained eight twisted yarns were braided using a usual device to produce an eight-stroke structure rope. The strength retention of the obtained product after storage at high temperature and high humidity was 81%, which was only 9% lower than the strength retention of the polybenzazole fiber used as a raw material. The obtained rope was subjected to a light exposure test. As a result, the strength retention after irradiation for 100 hours was as good as 80%.
[0032]
(Example 2)
Bisbenzimidazo [2,1-b: 2 ′, 1′-i] benzo [was added to 2.0 kg of a poly (p-phenylenebenzobisoxazole) doped with 29 dL / g specific year obtained in the same manner as in Example 1. Imn] [3,8] phenanthroline-8,17-dione was added and mixed with stirring. Thereafter, spinning was performed by the method described above. The strength retention of the obtained yarn after the high-temperature high-humidity storage test was 86%.
Twenty of the obtained polybenzasol fibers were twisted while being twisted 80 times per meter to obtain a plied yarn having a thickness of 3000 denier. The obtained eight twisted yarns were braided using a usual device to produce an eight-stroke structure rope. The strength retention of the obtained product after storage at high temperature and high humidity was 76%, which was only 10% lower than the strength retention of the polybenzazole fiber used as a raw material.
[0033]
(Example 3)
9,19-Dichloro-5,15-diethyl-5,15-dihydrodiindolo [2,2 3-c: 2 ′, 3′-n] Trifenodioxazine (15.2 g) was added thereto, followed by stirring and mixing. Thereafter, spinning was performed by the method described above. The strength retention of the obtained yarn after storage at high temperature and high humidity was 85%.
Twenty of the obtained polybenzasol fibers were twisted while being twisted 80 times per meter to obtain a plied yarn having a thickness of 3000 denier. The obtained eight twisted yarns were braided using a usual device to produce an eight-stroke structure rope. The strength retention of the obtained product after storage at high temperature and high humidity was 73%, which was only 12% lower than the strength retention of the polybenzazole fiber used as a raw material.
[0034]
(Example 4)
Under a stream of nitrogen, 334.5 g of 4,6-diaminoresorcinol dihydrochloride, 260.8 g of terephthalic acid, 5,12-dihydro-2,9-dimethylquino [2,3-b] acridine-7,14-dione After stirring 4 g and 2078.2 g of 122% polyphosphoric acid at 60 ° C. for 30 minutes, the temperature was slowly raised and reacted at 135 ° C. for 20 hours, 150 ° C. for 5 hours, and 170 ° C. for 20 hours. A polymer dope of polyparaphenylenebenzobisoxazole having an intrinsic viscosity of 24 dL / g measured with a methanesulfonic acid solution at 30 ° C. was spun by the method described above. The strength retention of the thus obtained yarn after storage at high temperature and high humidity was 85%.
Twenty of the obtained polybenzasol fibers were twisted while being twisted 80 times per meter to obtain a plied yarn having a thickness of 3000 denier. The obtained eight twisted yarns were braided using a usual device to produce an eight-stroke structure rope. The strength retention of the obtained product after storage at high temperature and high humidity was 76%, which was only 9% lower than the strength retention of the polybenzazole fiber used as a raw material.
[0035]
(Comparative Example 1)
In a nitrogen stream, 334.5 g of 4,6-diaminoresorcinol dihydrochloride, 260.8 g of terephthalic acid and 2078.2 g of 122% polyphosphoric acid were stirred at 60 ° C. for 30 minutes, and then slowly heated to 135 ° C. for 20 minutes. The reaction was carried out at 150 ° C. for 5 hours and at 170 ° C. for 20 hours. Using 2.0 kg of a poly (p-phenylenebenzobisoxazole) dope having an intrinsic viscosity of 30 dL / g measured with the obtained methanesulfonic acid solution at 30 ° C., spinning was carried out by the method described above. The strength retention of the obtained yarn after storage at high temperature and high humidity was 75%.
Twenty of the obtained polybenzasol fibers were twisted while being twisted 80 times per meter to obtain a plied yarn having a thickness of 3000 denier. The obtained eight twisted yarns were braided using a usual device to produce an eight-stroke structure rope. The strength retention of the obtained product after storage at high temperature and high humidity was 50%, and the difference was very large at 25% compared to the strength retention (75%) of the polybenzazole fiber used as a raw material. It was found that the durability was significantly reduced due to damage in the rope manufacturing process as compared with the examples. The obtained rope was subjected to a light exposure test. As a result, the strength retention after irradiation for 100 hours was 58%, which was significantly inferior to that of Example 1.
[0036]
Table 1 summarizes the above results. As is clear from Table 1, the high-strength fiber rope made of the polybenzazole fiber of the example has a very high strength retention after being exposed to high temperature and high humidity as compared with the comparative example.
[0037]
[Table 1]
[0038]
According to the present invention, it is possible to provide a high-strength fiber rope made of polybenzazole fiber that can maintain sufficient strength even when exposed to high temperature and high humidity for a long time, and particularly as an industrial material. The effect of expanding the field of use is enormous.
[0039]
【The invention's effect】
ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, it became possible to provide the high-strength fiber rope which consists of polybenzazole fiber which has high durability under high temperature and high humidity conditions.