JP2004051142A - 断熱容器 - Google Patents

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Kazunobu Endo
遠藤 一信
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Abstract

【目的】箱本体に内容物を入れた状態で側板を手で掴んで持ち上げてもヒンジ部が外れるおそれのない断熱容器を提供する。
【解決手段】発泡樹脂材で形成された底板1、前後側板2,3、左右側板4,5及び蓋板6からなり、各側板2〜5は、ヒンジ部7,9を介して底板1に対し起立姿勢と折畳姿勢とに姿勢変更可能に連結されてなる断熱容器において、底板上面1aの左右側端部に堰壁部11,11が突設され、各堰壁部11の内側面と各側板4,5の内側面とに亘りヒンジ部9が設けられ、各堰壁部11の外側面下部に嵌合凹部12が設けられ、左右各側板4,5の下端部に、起立姿勢時に堰壁部11の上端面11aに当接する下端支持面13と、起立姿勢時に堰壁部11の嵌合凹部12に嵌合する嵌合凸部14とが設けられている。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生鮮食品等の被保冷物あるいは被保温物の運搬に適した断熱容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生鮮食品等の被保冷物や被保温物を収容して所要場所に運搬する発泡スチロール等からなる断熱容器が知られている。このような断熱容器は、有底筒状に一体形成された箱本体と蓋体とからなるものが普通であるが、これでは、例えば被収容物を所要場所へ運搬して空の断熱容器を返送する際に、その空容器が嵩高となって返送費用が高くつく。そこで、箱本体を、底板と前側板と後側板と左側板と右側板とに分割形成し、被収容物を収容する際に底板と前後左右の側板とを箱状に組み立て、運搬後に返送する際に分解して嵩低に重ねることができるようにしたものが提案されている。
【0003】
上記のように箱本体を底板と前後左右側板に分割形成すれば、分解して嵩低に重ねることができるので、空容器での運搬時や保管時に非常に好都合であるが、分解した状態から箱状に組み立てるのに可成り手間がかかり実用に適さないと云う問題があった。そこで、本発明の出願人は、以前に、箱本体を、底板と前後左右の側板とに分割形成して嵩低に折り畳むことができながら、これらを容易迅速に組み立てることができて十分実用に適する断熱容器を提案した(特開2001−58682号公報)。この断熱容器は、発泡合成樹脂材によって形成された底板、前後側板、左右側板及び蓋板からなるもので、各側板が、折曲可能なヒンジ部(蝶番部)を介して底板に対し起立姿勢と折畳姿勢とに姿勢変更可能に連結されていることを特徴としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記断熱容器では、分解した箱本体を容易迅速に組み立てることができ利点はある一方、容器の内容物の荷重が底板に直接かかることから、内容物の入った容器を持ち運びする際、底板を持たずに、最も手っとり早い左右側板を手で掴んで持ち上げると、底板にかかる内容物の荷重によって、底板と左右側板とを連結しているヒンジ部が外れて、底板が抜ける、と云う問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、箱本体に内容物を入れた状態で側板を手で掴んで持ち上げてもヒンジ部が外れるおそれのない断熱容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、発泡樹脂材で形成された底板1、前後側板2,3、左右側板4,5及び蓋板6からなり、各側板2〜5は、折曲可能なヒンジ部7,8,9を介して底板1に対し起立姿勢と折畳姿勢とに姿勢変更可能に連結されてなる断熱容器において、底板上面1aの左右両側端部には左右側板4,5を夫々連結する堰壁部11,11が突設され、各堰壁部11の内側面とこれに連結する各側板4,5の内側面とに亘って前記ヒンジ部9が設けられる一方、各堰壁部11の外側面下部に嵌合凹部12が設けられ、左右各側板4,5の下端部には、起立姿勢時に堰壁部11の上端面11aに当接する下端支持面13と、起立姿勢時に堰壁部11の嵌合凹部12に嵌合して底板1を一体的に持ち上げ可能な嵌合凸部14とが設けられてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1に記載の断熱容器において、左右各側板4,5の外側面には容器持ち上げ用の手掛け部30が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項1又は2に記載の断熱容器において、各堰壁部11の上端面11aとこれに当接する左右各側板4,5の下端支持面13との何れか一方に係合凸条部16が設けられ、他方に係合凹溝部15が設けられてなることを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の断熱容器において、前後側板2,3は、底板上面1aの左右両側端部に突設された左右両堰壁部11,11の高さ内に納まるように折り畳まれ、この折り畳まれた前後側板2,3上に左右側板4,5が折り畳まれるようになっていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る断熱容器を組み立てた状態での斜視図、図2の(A)は図1のX−X線断面図、(B)は折り畳んだ状態での同様な断面図、図3は図1のY−Y線断面図、(B)は折り畳んだ状態での同様な断面図、図4は図1のX−X線断面図、(B)は折り畳んだ状態での同様な断面図である。これらの図に示すように、断熱容器は、発泡樹脂材によって形成された底板1と前後側板2,3と左側板4,5と蓋板6とからなるもので、底板1と前後左右の側板2〜5とによって箱本体Wが形成され、これに蓋板6を被せることによって断熱容器が形成される。各側板2,3,4,5は、夫々折曲可能なヒンジ部7,8,9,9を介して底板1に対し起立姿勢と折畳姿勢とに姿勢変更可能に連結されている。各ヒンジ部7,8,9,9は、ポリスチレン等合成樹脂製の接着テープからなるもので、底板1及び各側板2〜5に対し夫々接着されるようになっている。
【0011】
底板1の上面1aには、図2及び図5に示すように、前端部に前側板2を連結するための堰壁部10が突設され、左右両側端部には左右側板4,5を夫々連結するための堰壁部11,11が突設されている。堰壁部10の内側面と前側板2の内側面下端部とに亘ってヒンジ部7が接着され、これにより前側板2が底板1に対して起立及び折畳可能に連結され、また後側板3は、これの内側面下端部と底板1の上面1aとに亘って接着されたヒンジ部8により、底板1に対して起立及び折畳可能に連結されている。
【0012】
図3及び図4に示すように、左右各堰壁部11の内側面とこれに連結される左右各側板4,5の内側面下端部とに亘ってヒンジ部9が接着され、これによって左右各側板4,5が底板1に対し起立及び折畳可能に連結されている。また図5から分かるように、左右各堰壁部11の外側面にはその中央部側を除いた両端部側に夫々嵌合凹部12が設けられている。一方、左右各側板4,5の下端部には図3及び図8から分かるように、起立姿勢時(図3の(A)参照)に堰壁部11の上端面11aに当接する下端支持面13と、起立姿勢時(図3の(A)参照)に堰壁部11の嵌合凹部12に嵌合して底板1を一体的に持ち上げ可能となり、折畳姿勢時(図3の(B)参照)には堰壁部11の嵌合凹部12から離脱する肉太の嵌合凸部14とが設けられている。
【0013】
図4、図6及び図8から分かるように、左右各側板4,5の外側面には容器持ち上げ用の手掛け部30が凹設されている。また左右各側板4,5の下端支持面13には、堰壁部11の上端面11aに凹設された凹溝部15に対して係脱可能な凸条部16が突設され、左右各側板4,5の上端面4a,5aには、蓋板6の下面周縁部に周設された凸条部17の左右各辺部17aが係脱可能な凹溝部18が形成されている。
【0014】
また図6から分かるように、左右各側板4,5の両端部には、各側板2〜5の起立姿勢時に前後側板2,3の外側面端部に外側から当接してこれを支持する支持壁部19,19が設けられており、各支持壁部19の内側面には、前後各側板2,3の外側面両端部に夫々凹設された凹溝部20(図7参照)に対して係脱可能な凸条部21が突設されている。また、前後各側板2,3の上端面2a,3aには、蓋板6の下面周縁部にある凸条部17の前後各辺部17bが係脱可能な凹溝部22が形成されている。
【0015】
また図2及び図5に示すように、底板1の前端部に設けられた堰壁部10の上端面10aには、前側板2の下端に突設された凸条部23が係脱可能な凹溝部24が凹設され、底板上面1aの後端部には後側板3の下端に突設された凸条部25が係脱可能な凹溝部26が凹設されている。
【0016】
また図2の(A)及び(B)に示すように、前側板2を連結する堰壁部10の底板上面1aからの高さH1は、前後各側板2,3の厚みtよりも僅かに高く、後側板3は底板1の後端部で底板上面1aと同レベルで連結され、従って同図の(B)から分かるように、後側板3を折り畳んだ後、前側板2を折り畳むと、この前側板2は後側板3の上に平行に位置するようになる。
【0017】
また図3の(A)及び(B)に示すように、左右の側板4,5は、所謂観音開き式に折り畳まれるように構成され、そしてこれら両側板4,5を夫々連結する堰壁部11は、底板上面1aからの高さH2が前後両側板2,3を重ね合わせた厚み2tよりも僅かに高くなるように構成されており、従って同図の(B)から分かるように、前後両側板2,3を重ね合わせに折り畳んだ後、左右両側板4,5を折り畳むと、これら左右両側板4,5は、先に折り畳まれた前後両側板2,3の上に平行に位置し、これによって前後左右4つの側板2〜5を底板1上に極めて嵩低にコンパクトに折り畳むことができる。
【0018】
上記のように構成される断熱容器の作用について説明すると、先ず図1には、底板1と前後左右の側板2〜5とによって組み立てられた状態の箱本体Wと、この箱本体Wから外された蓋板6とが示され、また図2の(A)、図3の(A)及び図4の(A)には、図1のように組み立てられた箱本体Wの縦横の断面図が示され、更に図8には、この箱本体Wの中に被保冷物や被保温物Gを入れた状態が示されている。
【0019】
しかして、特に図8から分かるように、被保冷物や被保温物Gの入った箱本体Wを持ち上げる際に、左右側板4,5に設けてある手掛け部30,30に両手の指を掛けて持ち上げると、被保冷物や被保温物Gの荷重Mが箱本体Wの底板1にかかるが、それらの荷重Mは、底板1の両堰壁部11,11に設けられた嵌合凹部12,12に夫々嵌合している嵌合凸部14,14によって受けられ(この時、堰壁部11側から受ける嵌合凸部14側の反力をRで示す)、各堰壁部11の内側面と各側板4,5の内側面とに亘って接着されたヒンジ部9にはその荷重Mが殆どかからないから、このヒンジ部9が堰壁部11や側板4,5から剥離するようなことがなく、従って底板1が抜けるようなこともない。この場合、各嵌合凸部14は、図示のように左右各側板4,5の下端部に十分肉太に一体に形成されたものであるから、破損するようなことがない。
【0020】
尚、図8では、図示を簡略するために箱本体Wから蓋板6を取り外した状態を示しているが、蓋板6を取り付けた場合も上記の作用は同じである。断熱容器の運搬に際して箱本体Wを持ち上げたり、降ろしたりする時は、蓋板6を付けたままの状態である。
【0021】
また、断熱容器の運搬後に返送する際に、この断熱容器を分解する時は、箱本体Wから蓋板6を取り外した後、図2の(A)に示す状態から、先ず、箱本体Wの前後側板2,3のうちの後側板3を折り畳み、この折り畳んだ後側板3の上に前側板2を折り畳んで重ね合わせ、図2の(B)に示す状態とする。こうして前後側板2,3を折り畳んだ後、左右の側板4,5を折り畳んで、先に折り畳んだ前後側板2,3の上に重ねあわせ、図3の(B)に示すような状態とする。
【0022】
以上説明したように、この断熱容器によれば、被保冷物や被保温物Gの内容物の入った箱本体Wを持ち上げる際に、左右側板4,5の手掛け部30,30に両手の指を掛けて持ち上げると、内容物の荷重Mが箱本体Wの底板1にかかるが、その荷重Mは、底板1の両堰壁部11,11の嵌合凹部12,12に夫々嵌合している嵌合凸部14,14によって受けられることによって、ヒンジ部9が堰壁部11や側板4,5から剥離することがなく、底板1が抜けることもない。また、左右各側板4,5に夫々手掛け部30を設けているため、箱本体Wの持ち上げ作業が容易となる。
【0023】
この場合、嵌合凹部12に対する嵌合凸部14の嵌脱は、図3の(A)に示すようにヒンジ点9aを中心に行なわれるが、この嵌脱作用が良好で、且つ嵌合凹部12の下面12aに対する嵌合凸部14の上面14aの接触面積を大きくするためには、発明者が種々実験の結果、嵌合凹部12の下面12aの基端12b及び開口端12cと、これに対応する嵌合凸部14の上面14aの基端14b及び開口端14cを図示のように同方向のテーパ状に形成することが好ましいことが判明している。
【0024】
また、この断熱容器にあっては、箱本体Wを組み立てることにより、前後側板2,3の夫々下端に突設した凸条部23,25が底板1側の凹溝部24,26に夫々係合し、また左右各側板4,5の下端に突設した凸条部16が底板1の堰壁部11の上端面11aに設けた凹溝部15に係合し、更に左右各側板4,5の支持壁部19,19の内側面に突設した凸条部21が前後各側板2,3の外側面に設けた凹溝部20に係合するから、底板1と前後左右各側板2〜5とが互いに密着して隙間がなくなり、断熱効果を一層高めることができると共に、ガタつきがなくて、構造的に安定した箱本体Wとなる。
【0025】
また、箱本体W内に被保冷物や被保温物Gの内容物を入れて蓋板6を取り付ける時には、蓋板6の下面周縁部に周設した凸条部17の前後左右辺部17a,17a,17b,17bが前後左右各側板2〜5の上端面に設けた凹溝部22,22,18,18に係合するから、蓋板6と箱本体Wの前後左右各側板2〜5とが互いに密着して、内部を密封状態に確実に保持することができる。
【0026】
この実施形態では、ヒンジ部7,8,9が合成樹脂製の接着テープからなるもので、底板1及び各側板2〜5に対して接着されるものとしたが、ヒンジ部は、この実施形態のような接着テープからなるものに限らず、例えば、特開2001−58682号公報に記載されているような構造、即ち折曲可能な薄肉部と、この薄肉部を介して連設された両側一対のヒンジ本体部とからなり、一方のヒンジ本体部が底板に固着され、他方のヒンジ本体部が側板2〜5に固着されるようなものでもよい。
【0027】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、被保冷物や被保温物の内容物の入った断熱容器を持ち上げる際に、両側板を手で掴んで持ち上げると、内容物の荷重は底板にかかるが、その荷重は、底板の両堰壁部の嵌合凹部に夫々嵌合している側板の嵌合凸部によって受けられるから、ヒンジ部が側板や底板側から外れることがなく、従って底板が抜けるようなこともない。
【0028】
請求項2に係る発明によれば、左右各側板の外側面に手掛け部を設けているから、容器の持ち上げが容易となる。
【0029】
請求項3に係る発明によれば、左右側板が連結される各堰壁部の上端面とこれに当接する左右各側板の下端支持面との何れか一方に係合凸条部を設け、他方に係合凹溝部を設けているから、左右各側板を安定良く堰壁部上に起立させることができると共に、各側板の下端部の嵌合凸部を堰壁部側の嵌合凹部に確実に嵌合させておくことができる。
【0030】
請求項4に係る発明によれば、前後左右4つの側板を底板上に嵩低にコンパクトに折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱容器を組み立てた状態での斜視図である。
【図2】(A)は図1のX−X線断面図、(B)は折り畳んだ状態での同様な断面図である。
【図3】図1のY−Y線断面図、(B)は折り畳んだ状態での同様な断面図である。
【図4】図1のX−X線断面図、(B)は折り畳んだ状態での同様な断面図である。
【図5】底板を示す斜視図である。
【図6】左右両側板を示す斜視図である。
【図7】前後両側板を示す斜視図である。
【図8】本発明の断熱容器の作用を説明する断面図である。
【符号の説明】
W        箱本体
1        底板
1a       底板の上面
2,3      前後側板
4,5      左右側板
6        蓋板
7,8,9    ヒンジ
10       底板上面の前端部に設けられた堰壁部
11       左右上面の左右両端部に設けられた堰壁部

Claims (4)

  1. 発泡樹脂材で形成された底板、前後側板、左右側板及び蓋板からなり、各側板は、折曲可能なヒンジ部を介して底板に対し起立姿勢と折畳姿勢とに姿勢変更可能に連結されてなる断熱容器において、底板上面の左右両側端部には左右側板を夫々連結する堰壁部が突設され、各堰壁部の内側面とこれに連結する側板の内側面とに亘って前記ヒンジ部が設けられる一方、各堰壁部の外側面下部に嵌合凹部が設けられ、左右各側板の下端部には、起立姿勢時に堰壁部の上端面に当接する下端支持面と、起立姿勢時に堰壁部の嵌合凹部に嵌合して底板を一体的に持ち上げ可能な嵌合凸部とが設けられてなる断熱容器。
  2. 左右各側板の外側面には容器持ち上げ用の手掛け部が設けられている請求項1に記載の断熱容器。
  3. 各堰壁部の上端面とこれに当接する左右各側板の下端支持面との何れか一方に係合凸条部が設けられ、他方に係合凹溝部が設けられてなる請求項1又は2に記載の断熱容器。
  4. 前後側板は、底板上面の左右両側端部に突設された左右両堰壁部の高さ内に納まるように折り畳まれ、この折り畳まれた前後側板上に左右側板が折り畳まれるようになっている請求項1〜3の何れかに記載の断熱容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011037500A (ja) * 2009-08-17 2011-02-24 Mitsubishi Plastics Inc 保冷コンテナ
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