JP2003166918A - 半導体単結晶中の結晶欠陥観察用試料の作製方法 - Google Patents
半導体単結晶中の結晶欠陥観察用試料の作製方法Info
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- JP2003166918A JP2003166918A JP2001365011A JP2001365011A JP2003166918A JP 2003166918 A JP2003166918 A JP 2003166918A JP 2001365011 A JP2001365011 A JP 2001365011A JP 2001365011 A JP2001365011 A JP 2001365011A JP 2003166918 A JP2003166918 A JP 2003166918A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、微小結晶欠陥の透過型電子顕微鏡
観察に当たり、結晶欠陥位置を特定すると共に、特定さ
れた部位をTEM(透過型電子顕微鏡)観察に適するよ
うに、FIB(収束イオンビーム)加工を施す方法を提
供する。 【解決手段】 微小欠陥の正確な位置を把握するため
に、微小欠陥部位の左右に対照的に擬似薄壁を作製し、
左右の薄壁の位置と微小欠陥位置とを透過型電子顕微鏡
の焦点電流により特定し、微小欠陥部位を薄膜化する。
微小欠陥を含む部位を薄膜化することによりTEM観察
像が鮮明となり微小欠陥を同定できる。
観察に当たり、結晶欠陥位置を特定すると共に、特定さ
れた部位をTEM(透過型電子顕微鏡)観察に適するよ
うに、FIB(収束イオンビーム)加工を施す方法を提
供する。 【解決手段】 微小欠陥の正確な位置を把握するため
に、微小欠陥部位の左右に対照的に擬似薄壁を作製し、
左右の薄壁の位置と微小欠陥位置とを透過型電子顕微鏡
の焦点電流により特定し、微小欠陥部位を薄膜化する。
微小欠陥を含む部位を薄膜化することによりTEM観察
像が鮮明となり微小欠陥を同定できる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体単結晶中の
微小な結晶欠陥を透過型電子顕微鏡により観察するため
の試料作製方法に関し、詳細には収束イオンビーム加工
により欠陥観察箇所をより薄膜化し、鮮明な画像を得る
ことができる観察用試料の作製方法に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】半導体デバイスの作製には、シリコン半
導体単結晶あるいは化合物半導体単結晶が用いられてい
る。これら半導体単結晶は、高純度で低欠陥であること
が要求され、高度に制御され製造されているが、単結晶
成長時に微小な結晶欠陥が導入されることが知られてい
る。半導体素子の微細化、高集積化に伴い、この微小な
欠陥の存在がデバイスの歩留まり低下の大きな要因とな
っており、これらの発生原因の究明とその対策が必要と
なってきている。 【0003】しかしながら、結晶欠陥は極めて微小であ
るうえに密度が低いため、結晶欠陥の位置特定が困難
で、直接観察や分析できる技術が確立していないのが現
状である。 【0004】半導体結晶中に存在する微小な欠陥を検出
・観察するのに適した装置として透過型電子顕微鏡(以
下、TEM:Transmission Electron Microscopy )が
ある。TEMにて観察するための試料は、電子線が透過
し像を形成するのに十分な薄さにする必要があり、シリ
コンの場合でも現状(加速電圧数百kV)では1μm以
下の薄膜にする必要がある。 【0005】薄膜化する方法の一例としてイオンミリン
グ法と呼ばれる方法が用いられる。イオンミリング法
は、まず半導体基板から超音波加工機にて、試料を直径
3mmφ程度に打ち抜き、次にラッピング装置にて厚さ
が100μm程度になるまで研磨を行う。さらに、ディ
ンプルグラインダを用いてディスク状の試料の一方面を
ディンプルの中心付近の厚みが10μm程度の厚みにな
るようにディンプル状に研磨する。続いてディンプル部
分に鏡面加工を施し、最後にイオンミリング装置により
中央部に直径が約0.1μmの小孔が開く程度までミリ
ングを行うと、その近傍は0.1μm程度の薄膜とな
る。 【0006】この薄膜部分をTEMにて観察するのであ
るが、観察に適する薄膜部の位置をあらかじめ精密に設
定して、欠陥観察位置を薄膜部にすることは非常に困難
であるという問題があった。このためイオンミリング法
による薄膜化は、特定位置を観察するものではなく、適
切に薄膜化が行われた部位を選んで観察する、不特定部
位の評価にしか用いられないものであった。 【0007】また、特開平10−197423号公報に
は、結晶欠陥位置を特定するためのパターニングを施し
た後、特定された結晶欠陥を含んだ部分をパターンを参
照して切り出し、欠陥個所をFIBにて切り出すものが
示されている。しかし、この方法はパターニングを施す
ものであるから、パターニングするための蒸着プロセス
に要する時間がかかるという問題があった。 【0008】特開平10−197423号公報に示され
た方法は、内部微小結晶欠陥のおおよその位置を検出し
マークを施すものであるから、マーキング精度の問題か
ら加工は1μm程度が限度であり、これ以上薄く加工す
ることは観察すべき欠陥を削り落としてしまう可能性が
ある。 【発明が解決しようとする課題】 【0009】このように、TEMにて観察するための試
料は、電子線が透過し像を形成するのに十分な薄さにす
る必要があり、結晶欠陥部位を含んでかつ1μm以下、
好ましくは0.1μm程度の薄膜に加工する方法が必要
とされていた。 【0010】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あって、基板内部にに存在する微小結晶欠陥の観察を行
う際に、既存の装置を用いて高精度で容易に、TEM試
料作製が可能な方法を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0011】本発明者らは、観察すべき微小欠陥位置を
特定するために、FIB加工で1μm程度に薄膜化され
た従来の加工の後に、欠陥位置の左右に互い違いの薄壁
を作製する2段階のFIB加工を施し、TEMのフォー
カス電流値の相対比から微小欠陥位置を詳細に特定し、
欠陥前後の不要な部分を削除し電子線が透過可能な厚み
とすることとした。 【0012】これにより、確実に微小欠陥部位を残し、
さらに電子線が透過する厚みにすることにより鮮明な像
を得ることができるものとなる。 【発明の実施の形態】 【0013】以下、微小欠陥部位を残し、さらに電子線
が透過する厚みにする工程を図1から図4により詳細に
説明する。 【0014】まず、図示しないIR−LST(InfraRed
- Light Scattering Tomography)により基板内部に存
在する欠陥存在箇所20を計測し、基板表面に重金属イ
オン、例えばガリウム、ゲルマニウム等によるエッチン
グ、あるいは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force M
icroscope )法を応用した局所的な陽極酸化膜の蒸着を
施すことによって、図1(a)に示すように欠陥付近に
欠陥存在箇所20を中心として上下左右にマーキング3
0を4箇所施す。 【0015】マーキング30は欠陥位置を中心に上下左
右の四方に施すものであるが、所望の位置に精度良くマ
ーキングできるものであれば、欠陥の左右に二カ所であ
ってもよい。なお、一つのマーキング長さは5μm程度
が望ましい。さらに欠陥場所をコンマ数μの精度で特定
できるものであればさらによい。 【0016】また、マーキング30は図示しないFIB
装置に付属の二次イオン(SIM:Secondary Ion Micro
scopy)像でマーキング場所を確認できるものであれば手
法を問わない。SIM像とはイオンを照射し、出てくる
二次電子・イオンを検出し画像化し位置を検出するもの
で、特に元素種類の違いにより顕著なコントラストの変
化が生じることにより位置を検出するものである。 【0017】次に、マーキング30を施した箇所を含ん
だ部分が中心にくるようにして矩形状に試料を図示しな
いダイシング装置で切り出す。切り出す大きさは次工程
のFIB加工で加工しやすい大きさであれば特に限定さ
れるものではないが、1〜3mm程度の矩形状が望まし
い。これにより次工程のFIB加工時間を短くすること
ができる。 【0018】次に、図1(b)に示すように、マーキン
グ30の位置を目安にFIB加工により欠陥存在箇所2
0を中心に厚さ約1〜2μmの1次薄壁11と補強壁1
3を残すH状に切り出す。この時の1次薄壁11の幅は
後行程の作業の簡便さから3〜30μmが望ましい。3
μm以下の場合は本発明の形状を作製することが困難と
なり、また30μm以上では薄壁の強度の関係から、だ
れや撓みを生じ、TEM観察が不可能となる。 【0019】FIB装置は、マスクを用いることなく、
加速したイオンビームを極めて細く絞り入射することで
高精度に削り取るが可能で、ごく微細な加工ができる装
置である。このためFIBは、図1(b)に示すような
形状に試料の不要な部分を選択的にイオンエッチングす
るのに最適である。 【0020】通常はこの状態でTEM観察を行うが、1
次薄壁11が1〜2μmと厚いため鮮明な明視野像が得
られない上に、電子線照射による種々の妨害線発生によ
り精密な分析が困難になる。また、この状態で鮮明に観
察可能な厚さまで薄くしようとすると、厚み方向のどの
位置に微小欠陥21があるかわからずに削ることにな
り、下手をすると観察すべき微小欠陥21を削り落とす
こととなる。 【0021】本発明はさらに、図2に示すようにFIB
加工により欠陥存在箇所20の左右に適当な幅をもつ擬
似薄壁15,16を1次薄壁11に作製する。この時、
欠陥存在箇所20から0.5μm以上離した場所に幅1
μm以上、厚さ0.1μm以下の擬似的な薄壁を左右互
い違いに段差をつけて作製する。幅は1μm以上であれ
ば、電子顕微鏡内の幾何学的な構造から、試料傾斜機構
を利用し疑似薄膜上に電子線が細部まで照射できる。 【0022】また電子線の焦点距離を疑似薄膜15、1
6で合わせるためには0.1μm以下、好ましくは20
nm程度の薄さが必要になる。この段差が本発明のFI
B加工の特徴となる形状で、TEM観察時、内部欠陥の
座標を知る重要な手がかりとなる。 【0023】なお微小欠陥が複数個存在した場合には、
擬似薄壁を複数個作製しておけばFIB加工作業の短縮
につながる。 【0024】この後、FIB加工した試料を電子顕微鏡
内に導入し、左右それぞれの薄壁15、16と微小欠陥
21の焦点距離を電子顕微鏡内の対物レンズの電流値か
ら読みとる。例えば、図3により説明すると、擬似薄壁
15を焦点としたときの対物レンズの電流値をa、擬似
薄壁16を焦点としたときの対物レンズの電流値をb、
微小欠陥21を焦点としたときの対物レンズの電流値を
sとしたとき、疑似薄壁15の焦点距離をZa、疑似薄
壁16の焦点距離をZb、微小欠陥21の焦点距離をZ
sとして、(Za−Zs)と(Zb−Zs)の絶対値の
比率から微小欠陥21の座標を知ることができる。 【0025】電子顕微鏡では二次元(XY平面)的に欠
陥位置を把握できる反面、深さ方向の情報を把握するこ
とが困難であるが、意図的に欠陥存在箇所の左右に段差
をつけた擬似薄壁15,16の焦点距離を利用するとい
うことで、Za、Zbの算出が可能となる。 【0026】Za、Zbの詳細な焦点距離(薄壁の表
裏)を知るためには、図2に示すように厚さ20nm程
度の壁を残す。この厚さ以上であると、電子線が試料を
透過せず、正確な焦点距離を得ることができない。ま
た、薄すぎるとFIB加工が困難になると共に形状を維
持できなくなり焦点距離を測定することができない。 【0027】微小欠陥21は、壁が左右の疑似薄壁1
5、16と比べ厚いため、鮮明な欠陥像は得られない。
しかし欠陥像が得られる焦点距離が狭いため、焦点を表
面(Zb)から裏面(Za)へと移動させた時に、おお
よその焦点の情報が得られる。これから、ZsとZa/
Zbの関係を求めることができる。 【0028】この後、計算した比率から図4に示すよう
にFIB加工により微小欠陥21を含んで20nm程度
になるように2次薄壁12の前後を薄く切り取り加工す
る。 【0029】このようにしてできた微小欠陥21を含む
2次薄壁12を試料としてTEM観察することにより、
より鮮明な欠陥像を得ることができる。 【0030】TEMにて観察した結果の例を図5に示す
が、図5(a)は、欠陥を含む領域の厚みが1μmのも
ので、観察像がはっきりせず欠陥の同定ができない。し
かし、図5(b)に示す20nmまで欠陥を含む領域を
薄膜化したものは観察像がはっきりしており、欠陥は多
面体酸素析出物であることが判明できる。 【0031】 【発明の効果】微小欠陥の正確な位置を把握するため
に、FIB加工により微小欠陥部位の左右に対照的に擬
似薄壁を作製し、左右の薄壁の位置と微小欠陥位置とを
透過型電子顕微鏡の焦点電流により特定するという既存
の装置を用いて微小欠陥部位を薄膜化することができ
る。これにより微小欠陥を含む部位を薄膜化でき、TE
M観察像が鮮明となり微小欠陥の同定が可能となる。ま
た、2段階に微小欠陥位置を決定するため欠陥を削り取
ってしまうということがなくなり、欠陥観察の失敗がな
くなる。
微小な結晶欠陥を透過型電子顕微鏡により観察するため
の試料作製方法に関し、詳細には収束イオンビーム加工
により欠陥観察箇所をより薄膜化し、鮮明な画像を得る
ことができる観察用試料の作製方法に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】半導体デバイスの作製には、シリコン半
導体単結晶あるいは化合物半導体単結晶が用いられてい
る。これら半導体単結晶は、高純度で低欠陥であること
が要求され、高度に制御され製造されているが、単結晶
成長時に微小な結晶欠陥が導入されることが知られてい
る。半導体素子の微細化、高集積化に伴い、この微小な
欠陥の存在がデバイスの歩留まり低下の大きな要因とな
っており、これらの発生原因の究明とその対策が必要と
なってきている。 【0003】しかしながら、結晶欠陥は極めて微小であ
るうえに密度が低いため、結晶欠陥の位置特定が困難
で、直接観察や分析できる技術が確立していないのが現
状である。 【0004】半導体結晶中に存在する微小な欠陥を検出
・観察するのに適した装置として透過型電子顕微鏡(以
下、TEM:Transmission Electron Microscopy )が
ある。TEMにて観察するための試料は、電子線が透過
し像を形成するのに十分な薄さにする必要があり、シリ
コンの場合でも現状(加速電圧数百kV)では1μm以
下の薄膜にする必要がある。 【0005】薄膜化する方法の一例としてイオンミリン
グ法と呼ばれる方法が用いられる。イオンミリング法
は、まず半導体基板から超音波加工機にて、試料を直径
3mmφ程度に打ち抜き、次にラッピング装置にて厚さ
が100μm程度になるまで研磨を行う。さらに、ディ
ンプルグラインダを用いてディスク状の試料の一方面を
ディンプルの中心付近の厚みが10μm程度の厚みにな
るようにディンプル状に研磨する。続いてディンプル部
分に鏡面加工を施し、最後にイオンミリング装置により
中央部に直径が約0.1μmの小孔が開く程度までミリ
ングを行うと、その近傍は0.1μm程度の薄膜とな
る。 【0006】この薄膜部分をTEMにて観察するのであ
るが、観察に適する薄膜部の位置をあらかじめ精密に設
定して、欠陥観察位置を薄膜部にすることは非常に困難
であるという問題があった。このためイオンミリング法
による薄膜化は、特定位置を観察するものではなく、適
切に薄膜化が行われた部位を選んで観察する、不特定部
位の評価にしか用いられないものであった。 【0007】また、特開平10−197423号公報に
は、結晶欠陥位置を特定するためのパターニングを施し
た後、特定された結晶欠陥を含んだ部分をパターンを参
照して切り出し、欠陥個所をFIBにて切り出すものが
示されている。しかし、この方法はパターニングを施す
ものであるから、パターニングするための蒸着プロセス
に要する時間がかかるという問題があった。 【0008】特開平10−197423号公報に示され
た方法は、内部微小結晶欠陥のおおよその位置を検出し
マークを施すものであるから、マーキング精度の問題か
ら加工は1μm程度が限度であり、これ以上薄く加工す
ることは観察すべき欠陥を削り落としてしまう可能性が
ある。 【発明が解決しようとする課題】 【0009】このように、TEMにて観察するための試
料は、電子線が透過し像を形成するのに十分な薄さにす
る必要があり、結晶欠陥部位を含んでかつ1μm以下、
好ましくは0.1μm程度の薄膜に加工する方法が必要
とされていた。 【0010】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あって、基板内部にに存在する微小結晶欠陥の観察を行
う際に、既存の装置を用いて高精度で容易に、TEM試
料作製が可能な方法を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0011】本発明者らは、観察すべき微小欠陥位置を
特定するために、FIB加工で1μm程度に薄膜化され
た従来の加工の後に、欠陥位置の左右に互い違いの薄壁
を作製する2段階のFIB加工を施し、TEMのフォー
カス電流値の相対比から微小欠陥位置を詳細に特定し、
欠陥前後の不要な部分を削除し電子線が透過可能な厚み
とすることとした。 【0012】これにより、確実に微小欠陥部位を残し、
さらに電子線が透過する厚みにすることにより鮮明な像
を得ることができるものとなる。 【発明の実施の形態】 【0013】以下、微小欠陥部位を残し、さらに電子線
が透過する厚みにする工程を図1から図4により詳細に
説明する。 【0014】まず、図示しないIR−LST(InfraRed
- Light Scattering Tomography)により基板内部に存
在する欠陥存在箇所20を計測し、基板表面に重金属イ
オン、例えばガリウム、ゲルマニウム等によるエッチン
グ、あるいは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force M
icroscope )法を応用した局所的な陽極酸化膜の蒸着を
施すことによって、図1(a)に示すように欠陥付近に
欠陥存在箇所20を中心として上下左右にマーキング3
0を4箇所施す。 【0015】マーキング30は欠陥位置を中心に上下左
右の四方に施すものであるが、所望の位置に精度良くマ
ーキングできるものであれば、欠陥の左右に二カ所であ
ってもよい。なお、一つのマーキング長さは5μm程度
が望ましい。さらに欠陥場所をコンマ数μの精度で特定
できるものであればさらによい。 【0016】また、マーキング30は図示しないFIB
装置に付属の二次イオン(SIM:Secondary Ion Micro
scopy)像でマーキング場所を確認できるものであれば手
法を問わない。SIM像とはイオンを照射し、出てくる
二次電子・イオンを検出し画像化し位置を検出するもの
で、特に元素種類の違いにより顕著なコントラストの変
化が生じることにより位置を検出するものである。 【0017】次に、マーキング30を施した箇所を含ん
だ部分が中心にくるようにして矩形状に試料を図示しな
いダイシング装置で切り出す。切り出す大きさは次工程
のFIB加工で加工しやすい大きさであれば特に限定さ
れるものではないが、1〜3mm程度の矩形状が望まし
い。これにより次工程のFIB加工時間を短くすること
ができる。 【0018】次に、図1(b)に示すように、マーキン
グ30の位置を目安にFIB加工により欠陥存在箇所2
0を中心に厚さ約1〜2μmの1次薄壁11と補強壁1
3を残すH状に切り出す。この時の1次薄壁11の幅は
後行程の作業の簡便さから3〜30μmが望ましい。3
μm以下の場合は本発明の形状を作製することが困難と
なり、また30μm以上では薄壁の強度の関係から、だ
れや撓みを生じ、TEM観察が不可能となる。 【0019】FIB装置は、マスクを用いることなく、
加速したイオンビームを極めて細く絞り入射することで
高精度に削り取るが可能で、ごく微細な加工ができる装
置である。このためFIBは、図1(b)に示すような
形状に試料の不要な部分を選択的にイオンエッチングす
るのに最適である。 【0020】通常はこの状態でTEM観察を行うが、1
次薄壁11が1〜2μmと厚いため鮮明な明視野像が得
られない上に、電子線照射による種々の妨害線発生によ
り精密な分析が困難になる。また、この状態で鮮明に観
察可能な厚さまで薄くしようとすると、厚み方向のどの
位置に微小欠陥21があるかわからずに削ることにな
り、下手をすると観察すべき微小欠陥21を削り落とす
こととなる。 【0021】本発明はさらに、図2に示すようにFIB
加工により欠陥存在箇所20の左右に適当な幅をもつ擬
似薄壁15,16を1次薄壁11に作製する。この時、
欠陥存在箇所20から0.5μm以上離した場所に幅1
μm以上、厚さ0.1μm以下の擬似的な薄壁を左右互
い違いに段差をつけて作製する。幅は1μm以上であれ
ば、電子顕微鏡内の幾何学的な構造から、試料傾斜機構
を利用し疑似薄膜上に電子線が細部まで照射できる。 【0022】また電子線の焦点距離を疑似薄膜15、1
6で合わせるためには0.1μm以下、好ましくは20
nm程度の薄さが必要になる。この段差が本発明のFI
B加工の特徴となる形状で、TEM観察時、内部欠陥の
座標を知る重要な手がかりとなる。 【0023】なお微小欠陥が複数個存在した場合には、
擬似薄壁を複数個作製しておけばFIB加工作業の短縮
につながる。 【0024】この後、FIB加工した試料を電子顕微鏡
内に導入し、左右それぞれの薄壁15、16と微小欠陥
21の焦点距離を電子顕微鏡内の対物レンズの電流値か
ら読みとる。例えば、図3により説明すると、擬似薄壁
15を焦点としたときの対物レンズの電流値をa、擬似
薄壁16を焦点としたときの対物レンズの電流値をb、
微小欠陥21を焦点としたときの対物レンズの電流値を
sとしたとき、疑似薄壁15の焦点距離をZa、疑似薄
壁16の焦点距離をZb、微小欠陥21の焦点距離をZ
sとして、(Za−Zs)と(Zb−Zs)の絶対値の
比率から微小欠陥21の座標を知ることができる。 【0025】電子顕微鏡では二次元(XY平面)的に欠
陥位置を把握できる反面、深さ方向の情報を把握するこ
とが困難であるが、意図的に欠陥存在箇所の左右に段差
をつけた擬似薄壁15,16の焦点距離を利用するとい
うことで、Za、Zbの算出が可能となる。 【0026】Za、Zbの詳細な焦点距離(薄壁の表
裏)を知るためには、図2に示すように厚さ20nm程
度の壁を残す。この厚さ以上であると、電子線が試料を
透過せず、正確な焦点距離を得ることができない。ま
た、薄すぎるとFIB加工が困難になると共に形状を維
持できなくなり焦点距離を測定することができない。 【0027】微小欠陥21は、壁が左右の疑似薄壁1
5、16と比べ厚いため、鮮明な欠陥像は得られない。
しかし欠陥像が得られる焦点距離が狭いため、焦点を表
面(Zb)から裏面(Za)へと移動させた時に、おお
よその焦点の情報が得られる。これから、ZsとZa/
Zbの関係を求めることができる。 【0028】この後、計算した比率から図4に示すよう
にFIB加工により微小欠陥21を含んで20nm程度
になるように2次薄壁12の前後を薄く切り取り加工す
る。 【0029】このようにしてできた微小欠陥21を含む
2次薄壁12を試料としてTEM観察することにより、
より鮮明な欠陥像を得ることができる。 【0030】TEMにて観察した結果の例を図5に示す
が、図5(a)は、欠陥を含む領域の厚みが1μmのも
ので、観察像がはっきりせず欠陥の同定ができない。し
かし、図5(b)に示す20nmまで欠陥を含む領域を
薄膜化したものは観察像がはっきりしており、欠陥は多
面体酸素析出物であることが判明できる。 【0031】 【発明の効果】微小欠陥の正確な位置を把握するため
に、FIB加工により微小欠陥部位の左右に対照的に擬
似薄壁を作製し、左右の薄壁の位置と微小欠陥位置とを
透過型電子顕微鏡の焦点電流により特定するという既存
の装置を用いて微小欠陥部位を薄膜化することができ
る。これにより微小欠陥を含む部位を薄膜化でき、TE
M観察像が鮮明となり微小欠陥の同定が可能となる。ま
た、2段階に微小欠陥位置を決定するため欠陥を削り取
ってしまうということがなくなり、欠陥観察の失敗がな
くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン基板から微小欠陥個所を切り出す工程
を説明した図 【図2】擬似薄壁を作製する工程を説明した図 【図3】電子顕微鏡の対物レンズの電流値から欠陥位置
を特定する図 【図4】微小欠陥箇所を薄膜化した図 【図5】微小欠陥のTEM像 【符号の説明】 10 シリコン基板 11 1次薄壁 12 2次薄壁 13 補強壁 15 擬似薄壁 16 擬似薄壁 20 欠陥存在箇所 21 微小欠陥 30 マーキング
を説明した図 【図2】擬似薄壁を作製する工程を説明した図 【図3】電子顕微鏡の対物レンズの電流値から欠陥位置
を特定する図 【図4】微小欠陥箇所を薄膜化した図 【図5】微小欠陥のTEM像 【符号の説明】 10 シリコン基板 11 1次薄壁 12 2次薄壁 13 補強壁 15 擬似薄壁 16 擬似薄壁 20 欠陥存在箇所 21 微小欠陥 30 マーキング
フロントページの続き
(72)発明者 梅野 繁
佐賀県杵島郡江北町大字上小田2201番地
住友金属工業株式会社シチックス事業本部
内
(72)発明者 柳瀬 好生
佐賀県杵島郡江北町大字上小田2201番地
住友金属工業株式会社シチックス事業本部
内
Fターム(参考) 2G052 AA13 AD32 EC14 EC18 FD06
FD20 GA34 HA19 JA04 JA08
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 透過型電子顕微鏡により微小欠陥を観察
するための試料作製において、微小欠陥部位の左右に対
照的に擬似薄壁を作製し、左右の薄壁の位置と微小欠陥
位置とを透過型電子顕微鏡の焦点電流により特定し、微
小欠陥部位を薄膜化することを特徴とする半導体単結晶
中の結晶欠陥観察用試料の作製方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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