JP2003082535A - セルロース原料由来の微細繊維状炭素材料およびその製造方法 - Google Patents

セルロース原料由来の微細繊維状炭素材料およびその製造方法

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JP2003082535A JP2001277228A JP2001277228A JP2003082535A JP 2003082535 A JP2003082535 A JP 2003082535A JP 2001277228 A JP2001277228 A JP 2001277228A JP 2001277228 A JP2001277228 A JP 2001277228A JP 2003082535 A JP2003082535 A JP 2003082535A
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重則 空閑
Daiei Kin
大榮 金
Yoshiharu Nishiyama
義春 西山
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    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロース原料におけるミクロフィブリルの
崩壊・凝集を生じさせることなく、セルロース原料から
低廉で大量生産可能な新規な微細繊維状炭素材料および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 セルロース原料中のミクロフィブリルの
崩壊を防止するために、本発明では、その原因となるセ
ルロース中に含まれる水の表面張力、水の凍結過程にお
ける結晶化を回避して、セルロースを乾燥させ、その後
炭化又は黒鉛化する。乾燥方法は、(1)セルロース原
料を液体二酸化炭素などに膨潤等させて臨界点乾燥、
(2)セルロース原料を有機溶媒に膨潤等させて加熱乾
燥あるいは凍結乾燥、(3)セルロース原料を水に膨潤
等させた状態で氷の結晶が形成しないように急速凍結乾
燥、のいずれを利用することにより実行することができ
る。このように乾燥された材料を炭化・黒鉛化すること
により、ミクロフィブリル間の凝集あるいはミクロフィ
ブリル構造の崩壊が防止され、ミクロフィブリルを保存
した状態の棒状あるいは網目状の微細繊維状炭素材料を
加工することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は天然セルロースなど
のセルロース原料由来の微細繊維状炭素材料およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素材料はその構造により種々の特性を
有する優れた材料であり、従来より様々な炭素材料が開
発されている。その一つとして、炭素繊維が挙げられ
る。炭素繊維は、主にポリアクリロニトリルなどを原料
として高温で焼成することにより製造されている。この
炭素繊維は繊維方向に黒鉛構造が並んでいることから高
強度、高弾性が発現され、構造材料などに利用されてい
る。また、ナノテクノロジーの進展により炭素材料も微
細加工することが試みられている。その一例として、カ
ーボンナノチューブが挙げられる。このカーボンナノチ
ューブは、黒鉛構造からなるシートが継ぎ目なく円筒に
形成されたものであり、電極材料の他、チューブ内に水
素などを貯蔵できることから水素貯蔵合金としての利用
が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したカーボンナノ
チューブは優れた特性を発揮することが期待されている
が、その大量生産は困難であり、また多大な製造コスト
がかかることから汎用性に欠ける。一方、従来のポリア
クリルアミドなどの合成高分子から生成された炭素繊維
では、カーボンナノチューブのような微細な構造を作る
ための原料である合成高分子の微細加工自体が極めて困
難である。
【0004】他方、古くから活用されている木炭、活性
炭、黒鉛などの炭素材料では、その原料として木材、
綿、麻、再生セルロースなどのセルロース材料が使用さ
れている。このセルロース材料は、網目状に成長した微
細な繊維(ミクロフィブリル)から構成される。そのた
め、このセルロース中のミクロフィブリルを利用し、繊
維として加工・分離できれば、大量に微細繊維状炭素を
製造することが可能となる。
【0005】しかしながら、従来の黒鉛などの炭素材料
の製造方法では、原料有機物を無酸素条件で300℃以上
の温度で加熱分解される際に上記ミクロフィブリルが崩
壊あるいはミクロフィブリルが束となって相互に凝集し
てしまうため、微細なミクロフィブリルを保存した状態
で繊維として取り出すことはできなかった。
【0006】そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、セルロース原料における
ミクロフィブリルを崩壊・凝集させることなく、セルロ
ース原料から低廉で大量生産可能な新規な微細繊維状炭
素およびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、セルロース
中のミクロフィブリルを保存した状態で微細繊維状炭素
材料を製造するためには、セルロース原料を加熱炭化さ
せる前に、セルロース原料に含有された水の表面張力や
氷の結晶成長を抑制し得る条件でセルロース原料を乾燥
させることが有効であることを見出した。すなわち、セ
ルロースを乾燥させる際にセルロース中に含有される水
の表面張力やセルロース原料を凍結乾燥させる際にセル
ロース中に含有される水の結晶成長によりミクロフィブ
リルが凝集、崩壊し、ミクロフィブリルを保存したまま
繊維として取出すことができないことを見出した。そこ
で、本発明の微細繊維状炭素の製造方法は、断片化また
は棒状結晶粒子に細分化されたセルロース原料を該セル
ロース中のミクロフィブリルを保存し得る条件で乾燥さ
せた後、不活性雰囲気下で炭化または黒鉛化することを
特徴とする。
【0008】ここで「ミクロフィブリルを保存し得る条
件で乾燥させる」とは、セルロース原料に含有された水
の表面張力を解消し得る条件や該水の結晶成長を抑制し
得る条件等であり、具体的には、次の(1)乃至(3)
いずれかにより実行することができる。(1)断片化ま
たは細分化セルロース原料を有機溶媒に膨潤または分散
させた状態で乾燥させる。(2)断片化または細分化セ
ルロース原料を臨界点乾燥用溶媒に膨潤または分散させ
た状態で臨界点乾燥させる。(3)断片化または細分化
されたセルロース原料を水に膨潤または分散させた状態
で、水の結晶が形成されないように急速に凍結させて乾
燥させる。
【0009】上記発明によれば、天然界などの豊富に存
在するセルロース原料から微細繊維状炭素材料を低廉に
大量生産することが可能となる。
【0010】さらに本発明は、上記製造方法によりセル
ロース原料から製造された微細繊維状炭素材料およびセ
ルロース原料由来の繊維径2nm〜300nmである微
細繊維状炭素材料に関する。
【0011】本発明の微細繊維状炭素材料は、各繊維が
カーボンナノチューブと同程度の微細な径を備え、ま
た、大きな表面積と結晶の高い配向性を有することか
ら、補強材料、吸着材、触媒担体、電界放射用材料、電
極材料などの広範な利用価値が期待される。
【0012】なお、上記本発明における「微細繊維状炭
素材料」には、棒状の微細な短繊維、微細繊維さらには
ミクロフィブリルの網目構造を保持した微細繊維からな
る網目状の材料が含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づき詳細に説明する。
【0014】本発明の微細繊維状炭素の製造方法は、セ
ルロースを原料とし、セルロースを構成するミクロフィ
ブリル(平行鎖構造をもつ幅3〜50 nmの微細繊維)を保
存したまま乾燥、炭化若しくは黒鉛化して微細繊維状炭
素原料を生成することを特徴とする。すなわち、本発明
の微細繊維状炭素材料はセルロース中のミクロフィブリ
ルを繊維として利用可能にすることを目的としているた
め、本製造方法の出発原料となる「セルロース原料」は
ミクロフィブリル構造が保存されているものであれば、
特に制限はなく、例えば、木材、綿などの高等植物セル
ロース、微生物が産生するセルロース(例えば、酢酸菌
が産生するナタデココ)、腔腸動物(例えば、ホヤ)の
セルロース、海藻が有する高結晶性のセルロース等の天
然セルロースが含まれる他に、ミクロフィブリルが保存
されている限り、セルロース系ゲル、再生繊維なども含
まれる。
【0015】上記「セルロース」材料は、最終的に製造
される微細繊維状炭素原料の形状に応じて断片化または
細分化される。具体的には、最終産物として棒状の微細
炭素繊維を製造する場合には、セルロース原料を鉱酸
(無機酸)含有溶液中に懸濁し、網目状のミクロフィブ
リルを加水分解により切断して、長さ0.1から数マイク
ロメートルの棒状結晶粒子に細分化することが好まし
い。ここで用いる鉱酸は、ミクロフィブリルを加水分解
し得るものであればよく、硫酸、塩酸などが挙げられ
る。上記加水分解処理により生成された棒状結晶粒子
は、必要に応じて、棒状結晶粒子を沈降速度に基づいて
粒子サイズ毎に分離し、最終的産物の繊維長を調整して
もよい。
【0016】一方、網目状の微細繊維状炭素材料を構成
するためには、材料の大きさに対応してセルロース原料
は断片化される。そして、この断片化された材料を水等
に光度に膨潤させ、後述する乾燥工程においてミクロフ
ィブリルが相互固着することを防止することが好まし
い。
【0017】次いで、上記細分化又は断片化されたセル
ロース原料はミクロフィブリルを保存し得る条件で乾燥
される。ここで「ミクロフィブリルを保存し得る条件」
とは、ミクロフィブリルの崩壊または相互固着を防止し
た条件であり、セルロース原料中に含有された水の表面
張力を解消または水が凍結される際の結晶成長を抑制し
得る条件が挙げられる。水の表面張力を解消または水が
凍結される際の結晶成長を抑制し得る第一の乾燥方法と
しては、断片化または細分化セルロース原料に含まれる
水を、乾燥の過程でミクロフィブリルの凝集を生じさせ
難い有機溶媒、例えば、t-ブチルアルコール、ベンゼ
ン、ペンタン、ヘキサンなどに置換する。置換後の乾燥
では、用いた有機溶媒により、加温下で乾燥または凍結
乾燥される。例えば、t-ブチルアルコール、ベンゼン等
では凍結乾燥により乾燥することが好ましく、一方、ヘ
キサン、ペンタン等では加温下で乾燥することが好まし
い。また、t-ブチルアルコール、ベンゼン等のように置
換する溶媒が水と相溶性が低い場合には、あらかじめ上
記断片化等の後、材料中の水等を水および有機溶媒等と
相溶性がある溶媒、例えば、エタノールなどに置換する
ことが好ましい。このような水を有機溶媒に置換した後
乾燥する方法は、断片化したセルロース材料の乾燥処理
に好適に用いることができる。このような断片化セルロ
ース材料の溶媒置換は、水槽→置換溶媒槽に順次、断片
化原料を浸漬させることにより実行することができる。
【0018】第二の方法としては、細分化されたセルロ
ースの分散媒である水を臨界点乾燥用溶媒に置換し、臨
界点乾燥する方法が挙げられる。臨界点乾燥用溶媒とし
ては、例えば、液体CO2、t−ブチルアルコールを用い
ることができる。セルロース原料中の水は臨界点乾燥用
溶媒に置換され、臨界点以上の温度(例えば、液体CO 2
の場合には40℃以上)に上昇させることにより溶媒を昇
華させ、原料が乾燥される。この第二の方法は、断片化
セルロース原料の乾燥処理に好適に採用することができ
る。
【0019】第三の乾燥方法としては、断片化または細
分化セルロースの分散媒である水の結晶が成長しないよ
うに急速に凍結させ、乾燥させる方法が挙げられる。急
速に凍結乾燥させる方法の一例としては、前記セルロー
ス懸濁液を冷却した金属板に向けて噴霧することにより
急速凍結させ、昇華乾燥させる方法がある。このように
材料を急速に凍結させることにより、材料中に含まれる
水が徐々に結晶成長して、ミクロフィブリルを凝集、破
壊することを防止することができる。なお、この第三の
乾燥方法は、棒状結晶粒子に細分化されたセルロースを
乾燥させる方法として好適に利用することができる。
【0020】なお、上記第一および第三の乾燥方法にお
いては、乾燥除去される液体に微量の無機塩(塩化亜
鉛、リン酸アンモニウムなど)や不揮発性の酸(硫酸、
リン酸など)を加えてセルロースに付着させ、その脱水
作用により炭化収率を向上させることもできる。
【0021】上記種々の方法で乾燥されたセルロース原
料は、最終的に不活性ガス雰囲気下で炭化または黒鉛化
され、微細繊維状炭素材料が生成される。ここで用いる
「不活性ガス」は、例えばアルゴンなどを用いることが
できる。また「不活性ガス雰囲気」とは通常の酸化・燃
焼を起こさない雰囲気という意味であり、上記不活性ガ
スにセルロースの炭化収率改善の効果があることが知ら
れている各種のガス、例えば、塩化水素、塩素、微量の
酸素などを共存させることが可能である。炭化・黒鉛化
は、例えば、炭化物の場合には500〜1000℃程度の温度
で、黒鉛化物の場合には1800℃以上の高温で実施するこ
とが好ましい。
【0022】上記製造方法により棒状の微細な炭素短繊
維やミクロフィブリルの網目構造を微細繊維として保存
したシート状の炭素材料が得られる。この炭素材料はミ
クロフィブリルを生かして微細繊維により構成されてい
るため、各炭素材料産物中の繊維経は、出発原料中のミ
クロフィブリルの径に応じ数nm〜数百nmである。
【0023】また、上記微細繊維状炭素は次のような多
彩な性質および用途を有する。第一に、大きな表面積を
有する。従来の水を含んだ材料から直接凍結乾燥・炭化
等した物に比して、本方法で製造された炭素繊維は、約
10倍前後の大きな表面積を有している。そのため、大き
な表面積を活用して、本炭素材料をフィルター、吸着
材、触媒担体、電極材料等として利用することができ
る。
【0024】第二に、黒鉛化した上記微細繊維状炭素で
は、カーボンナノチューブのような黒鉛層が円周方向に
形成された中空の炭素繊維とは構造上異なり、黒鉛層が
結晶の繊維方向に面状に延びかつこの微細な黒鉛層が繊
維糸内に複数積層された結晶の高い配向性を有してい
る。そのため、本炭素繊維は、黒鉛などと同様に電極材
料として用いることができるだけでなく、この黒鉛層間
に伝導性化合物等、例えばリチウムなどのアルカリ金属
等をインタカレーションさせることにより、新たな電極
材料を形成することもできる。また、上記黒鉛層間に水
素を貯蔵させる水素貯蔵材料として利用することも可能
である。
【0025】第三に、黒鉛化した微細繊維状炭素では、
上述した通り、繊維内に黒鉛構造が密に形成されている
ため、高強度が発揮される。そのため、各種の補強材
料、例えば、高分子材料の補強材などとして利用するこ
とができる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて詳細に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0027】〔実施例1〕セルロース生産性酢酸菌(ア
メリカンタイプカルチャーコレクション寄託番号:ATCC
23769)をシュラム・ヘストリン培地(1Lあたりグルコ
ース20 g、ペプトン5 g、酵母抽出物5 g、リン酸水素2
ナトリウム2.7 g、クエン酸1水和物 1.15 g含有)で28
℃にて数日〜10日間静置培養し、培養液中に形成される
ゲル状のバクテリアセルロースを得る。これを1cm角程
度に細断し、水洗後、2%水酸化ナトリウム水溶液に24時
間浸漬してセルロース以外の成分を除去し精製する。こ
の湿潤バクテリアセルロースゲルを水槽→エタノール槽
→t-ブチルアルコール槽の順で浸漬し、溶媒を置換した
後、凍結乾燥器(東京理化機械社製、FDU-810型)を用
いて凍結乾燥した。凍結乾燥品を高温炉(富士電波工業
社製「ハイマルチ5000」)内に収容し、アルゴン気流下
で2200℃まで加熱して黒鉛化した。比較対照として、溶
媒置換を行わずに水から直接凍結乾燥させたセルロース
も用意した。窒素吸着法により、これら出発セルロース
および黒鉛化物の比表面積データを測定し、その結果を
表1に示す。
【0028】
【表1】 バクテリアセルロースおよびその黒鉛化物の窒素吸着比表面積 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試料 水から凍結乾燥 t-ブチルアルコール から凍結乾燥 ───────────────────────────── バクテリアセルロース 37.6 m2/g 118 m2/g 同上 黒鉛化物 --- 114 m2/g ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0029】表1に示すとおり、溶媒置換後の凍結乾燥
品は、水から凍結乾燥させた対照サンプルに比して、3
倍以上もの大きな比表面積を有していることが示され
た。
【0030】この表面積の増大がミクロフィブリル構造
間の分離によるものかを調べるために上記黒鉛化物を走
査型電子顕微鏡および透過性電子顕微鏡で観察した。そ
の結果を図1および図2にそれぞれ示す。これら図よ
り、黒鉛化物中には、従来の製法では崩壊・凝集してし
まうバクテリアセルロースのミクロフィブリルが保持さ
れ、さらに微細な黒鉛微結晶が繊維方向に積層されてい
ることが確認された。また、バクテリアセルロース由来
の微細繊維状炭素では、繊維径は30nm程度であった。
【0031】〔実施例2〕マボヤ外套膜(皮膜)を1cm
角程度に細断し、水洗後 5%亜塩素酸ナトリウム水溶液
に24時間浸漬して精製する。この湿潤ホヤセルロースを
上記実施例1と同様に冷水槽→エタノール槽→t-ブチル
アルコール槽の順で浸漬し、溶媒置換後、上記凍結乾燥
器を用いて乾燥した。乾燥品を高温炉内に収容し、アル
ゴン気流下で2200℃まで加熱して黒鉛化した。窒素吸着
法により測定した上記出発セルロースおよび黒鉛化物の
比表面積データを表2に示す。比較対照として水から直
接凍結乾燥したサンプルの値も示す。
【0032】
【表2】 ホヤセルロースおよびその黒鉛化物の窒素吸着比表面積 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試料 水から凍結乾燥 t-ブチルアルコール から凍結乾燥 ────────────────────────── ホヤセルロース 23.3 m2/g 114 m2/g 同上 黒鉛化物 --- 65.4 m2/g ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0033】黒鉛化物の走査型電子顕微鏡像を図3、透
過型電子顕微鏡像を図4に示す。これらにより黒鉛化物
が元のホヤセルロースのミクロフィブリル形態を保って
おり、それらがさらに微細な黒鉛微結晶を含むことが分
る。また、ホヤセルロースからは10〜100nm径の繊維が
得られた。
【0034】〔実施例3〕ワットマン社製セルロース粉
末(「ワットマンCF11」:木綿起源)を60%硫酸で60℃
にて2時間加水分解処理を行い、網目状のミクロフィブ
リルを棒状結晶粒子に細分化した。棒状結晶粒子を含む
硫酸溶液を遠心分離し、その後、透析により水洗して、
微結晶セルロース懸濁液を得る。液体窒素に半分浸漬
し、冷却した銅板(5 mm厚)に向けて、上記懸濁液を噴
霧することにより急速凍結させた。この急速凍結サンプ
ルを上記凍結乾燥器にて凍結乾燥した。これを高温炉内
に収容し、アルゴン気流下で2200℃まで加熱して黒鉛化
した。窒素吸着法により測定した上記出発セルロースお
よび黒鉛化物の比表面積データは、表3のとおりであ
る。
【0035】なお、比較対照として、水から凍結乾燥し
たサンプルの値を示す。表3に示す通り、急速凍結後に
凍結乾燥を行うことにより、ミクロフィブリル構造の崩
壊、凝集が防止され、乾燥試料で比較すると対照よりも
20倍以上表面積を増大させることができた。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】上記発明の方法によれば、従来のカーボ
ンナノチューブなどと異なり、微細繊維状炭素材料を低
廉に製造でき、また、一度に大量生産を行なうことが可
能となる。さらに本発明の微細繊維状炭素材料では、繊
維径として数nmから数百nmの微細繊維から構成され、大
きな表面積と結晶の高い配向性を有する。そのため、本
炭素材料は補強材料、吸着材、触媒担体、電極材料など
の広範な用途を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バクテリアセルロース黒鉛化物の走査型電子
顕微鏡像を示す写真である。
【図2】 バクテリアセルロース黒鉛化物の透過型電子
顕微鏡像を示す写真である。
【図3】 ホヤセルロース黒鉛化物の走査型電子顕微鏡
像を示す写真である。
【図4】 ホヤセルロース黒鉛化物の透過型電子顕微鏡
像を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 空閑 重則 東京都国分寺市日吉町2−31−21 (72)発明者 金 大榮 東京都足立区西竹の塚2−4−29−103 (72)発明者 西山 義春 東京都新宿区上落合1−25−2 Fターム(参考) 3B154 AA02 AA12 BA19 BA29 BB15 BB32 BF01 DA05 DA11 DA30 4G046 EA06 EB02 EB04 EC01 4L037 CS03 CS04 PA52 PG04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断片化または棒状結晶粒子に細分化され
    たセルロース原料を該セルロース原料のミクロフィブリ
    ルを保存した状態で乾燥させた後、不活性雰囲気下で炭
    化または黒鉛化する、微細繊維状炭素材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記乾燥が、以下の(1)乃至(3)い
    ずれかにより行われる請求項1に記載の製造方法。 (1)断片化または細分化セルロース原料を有機溶媒に
    膨潤または分散させた状態で乾燥させる。 (2)断片化または細分化セルロース原料を臨界点乾燥
    溶媒に膨潤または分散させた状態で臨界点乾燥させる。 (3)断片化または細分化セルロース原料を水に膨潤ま
    たは分散させた状態で急速に凍結させ、乾燥させる。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法により製
    造された微細繊維状炭素材料。
  4. 【請求項4】 セルロース原料由来の微細繊維状炭素材
    料であって、繊維径が2nm〜300nmである微細繊
    維状炭素材料。
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