JP2002117903A - 非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質電池

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JP2002117903A
JP2002117903A JP2000306878A JP2000306878A JP2002117903A JP 2002117903 A JP2002117903 A JP 2002117903A JP 2000306878 A JP2000306878 A JP 2000306878A JP 2000306878 A JP2000306878 A JP 2000306878A JP 2002117903 A JP2002117903 A JP 2002117903A
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Gen Fukushima
弦 福嶋
Mamoru Hosoya
守 細谷
Junji Kuyama
純司 久山
Kimio Takahashi
公雄 高橋
Atsushi Sato
敦 佐藤
Takashi Okawa
剛史 大川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池のパワー密度を追求しつつ、エネルギー
密度とのバランスも優れた電池を得る。 【解決手段】 負極3と、この負極3と対向して配さ
れ、正極活物質に、オリビン型結晶構造を有し、一般式
LixFe1-yyPO4(ただし、MはMn、Cr、C
o、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、
Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05
≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化
合物を単独で、又は他の材料と混合して使用した正極2
と、これら負極3と正極2との間に配されたセパレータ
4と、非水電解液とを備え、負極3の体積と正極2の体
積との和をaとし、セパレータ4の体積をbとしたとき
に、上記aと上記bとは、0.17≦b/(a+b)≦
0.39という関係を満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極及び負極の体
積と、セパレータの体積との比を規定した非水電解質電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラ一体型ビデオテープレコー
ダ、携帯電話、携帯用コンピュータ等のポータブル電子
機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そ
してこれらの電子機器のポータブル電源となる電池、特
に二次電池について、エネルギー密度を向上させるため
の研究がなされている。二次電池の中でもリチウムイオ
ン電池は、従来の水溶液系電解液を用いた二次電池であ
る鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエ
ネルギー密度が得られるため、期待が大きく、研究開発
が活発に進められている。
【0003】リチウムイオン電池の放電反応は、負極に
おいてリチウムイオンが電解液中に脱離し、正極では活
物質の層間等にリチウムイオンが取り込まれることによ
って進行する。逆に、充電反応は、上記の反応の逆反応
が進行し、正極においてはリチウムイオンが脱離する。
すなわち、負極からのリチウムイオンが正極活物質に出
入りする反応を繰り返すことによって充放電を繰り返す
ことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に非水電解質二次
電池では、水溶液系二次電池に比べ電解液の伝導性が悪
いため、電極を薄型にし、電極を大表面化することによ
り、実質的な電流密度を下げ、高負荷放電を可能にして
いる。電極を大面積にしすぎた場合、限られた容積の中
に入る活物質量が減少するため、電池のエネルギー密度
が減少する。
【0005】上述したように、種々の電子機器をより軽
く、より長時間便利に、かつ経済的に使用できる電源と
して、また、電気自動車等の輸送機器をより長時間走行
させることのできる電源として、より高いエネルギー密
度の二次電池が望まれており、これに伴い、電池の中に
おける電極の体積比率もどんどん高まってきている。
【0006】一方で、パワーツールや、エンジンとモー
ターの両方を動力源とするハイブリッド型電気自動車な
ど、今までに比べ、より高いパワーを引き出せる二次電
池の要求も高まっており、これらの用途に対しては、ニ
ッケルカドミウム二次電池やニッケル水素二次電池など
の水溶液系電池が用いられてきた。
【0007】これらのより高いパワーを要求される用途
に関しても、リチウム二次電池は、特徴の1つである高
いエネルギー密度を生かして、より高いレベルで、エネ
ルギー密度とパワー密度を両立できる可能性があり、こ
れを実現するためには、従来のエネルギー密度とを追求
する電池とは異なる構成にする必要がある。
【0008】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、パワー密度を追求しつつ、エネ
ルギー密度とのバランスにも優れた非水電解質電池を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の非水電解質電池
は、負極活物質を有する負極と、負極と対向して配さ
れ、正極活物質に、オリビン型結晶構造を有し、一般式
LixFe1-yyPO4(ただし、MはMn、Cr、C
o、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、
Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05
≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化
合物を単独で、又は他の材料と混合して使用した正極
と、これら負極と正極との間に配されたセパレータと、
非水電解液とを備え、負極の体積と正極の体積との和を
aとし、セパレータの体積をbとしたときに、このaと
bとは、0.17≦b/(a+b)≦0.39の関係を
満たすことを特徴とする。
【0010】また、本発明の非水電解質電池は、負極活
物質を有する負極と、負極と対向して配され、正極活物
質に、オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1-y
yPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、N
i、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、N
bの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.
2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独
で、又は他の材料と混合して使用した正極と、これら負
極と正極との間に介在される非水電解質とを備え、負極
の体積と正極の体積との和をaとし、非水電解質の体積
をcとしたときに、aとcとは、0.20≦c/(a+
c)≦0.39の関係を満たすことを特徴とする。さら
に、負極と正極との間に非水電解質とともにセパレータ
を配する場合であっても、負極の体積と正極の体積との
和a及びセパレータの体積bと非水電解質の体積cとの
和とは、同様に0.20≦b+c/(a+b+c)≦
0.39の関係を満たす。
【0011】上述したような本発明に係る非水電解質電
池においては、負極及び正極の体積の和と、セパレー
タ、非水電解質又はセパレータと非水電解質との和の体
積との割合を上述した範囲に規制することで、パワー密
度とエネルギー密度との両立を実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0013】図1は、本実施の形態として示す非水電解
質電池1の縦断面図である。この非水電解質電池1は、
フィルム状の正極2と、フィルム状の負極3とが、セパ
レータ4を介して密着状態で巻回された巻層体が、電池
缶5の内部に装填されてなる。
【0014】上記正極2は、正極活物質と結着剤とを含
有する正極合剤を集電体上に塗布、乾燥することにより
作製される。集電体には例えばアルミニウム箔等の金属
箔が用いられる。
【0015】正極活物質には、目的とする電池の種類に
応じて金属酸化物、金属硫化物又は特定の高分子を用い
ることができる。例えば、リチウム一次電池を構成する
場合、正極活物質としては、TiS2、MnO2、黒鉛、
FeS2等を使用することができる。また、リチウム二
次電池を構成する場合、正極活物質として、LiCoO
2、LiNiO2、LiMn24等の酸化物を使用するこ
とができる。
【0016】また、オリビン型結晶構造を有し、一般式
LixFe1-yyPO4(ただし、MはMn、Cr、C
o、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、
Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05
≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化
合物(以下、リチウム鉄リン酸化物と称して説明す
る。)を使用することができる。このようなリチウム鉄
リン酸化物の具体例としては例えばLiFePO4、L
iFe0.2Mn0.8PO4、LiFe0.2Cr0.8PO4、L
iFe0.2Co0.8PO4、LiFe0.2Cu0.8PO4、L
iFe0.2Ni0.8PO 4、LiFe0.250.75PO4、L
iFe0.25Mo0.75PO4、LiFe0.25Ti0 .75
4、LiFe0.3Zn0.7PO4、LiFe0.3Al0.7
4、LiFe0.3Ga0.7PO4、LiFe0.25Mg0.75
PO4、LiFe0.250.75PO4、LiFe0.25Nb
0.75PO4等を挙げることができる。これらのリチウム
鉄リン酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度的
に優れた正極活物質となる。正極2には、これらの正極
活物質を単独で、又は複数種をあわせて、若しくはカー
ボン等の炭素材料等と混合して使用してもよい。
【0017】また、上記正極合剤の結着剤としては、通
常、電池の正極合剤に用いられている公知の結着剤を用
いることができるほか、上記正極合剤に導電剤等、公知
の添加剤を添加することができる。
【0018】負極3は、負極活物質と結着剤とを含有す
る負極合剤を、集電体上に塗布、乾燥することにより作
製される。上記集電体には、例えば銅箔等の金属箔が用
いられる。
【0019】リチウム一次電池又はリチウム二次電池を
構成する場合、負極材料としては、リチウム、リチウム
合金、又はリチウムをドープ、脱ドープできる材料を使
用することが好ましい。リチウムをドープ、脱ドープで
きる材料として、例えば、難黒鉛化炭素系材料やグラフ
ァイト系材料等の炭素材料を使用することができる。具
体的には、熱分解炭素類、コークス類、グラファイト
類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素
繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。上
記コークス類には、ピッチコークス、ニートルコーク
ス、石油コークス等がある。また、上記有機高分子化合
物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な
温度で焼成し炭素化したものを示す。
【0020】上述した炭素材料のほか、リチウムをドー
プ、脱ドープできる材料として、ポリアセチレン、ポリ
ピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用するこ
ともできる。また、リチウム合金として、リチウム−ア
ルミニウム合金等を使用することができる。
【0021】また、上記負極合剤の結着剤としては、通
常リチウムイオン電池の負極合剤に用いられている公知
の結着剤を用いることができるほか、上記負極合剤に公
知の添加剤等を添加することができる。
【0022】セパレータ4は、正極2と負極3との間に
配され、正極2と負極3との物理的接触による短絡を防
止する。このセパレータ4としては、ポリエチレンフィ
ルム、ポリプロピレンフィルム等の微孔性ポリオレフィ
ンフィルムが用いられる。
【0023】ここで、本発明の非水電解質電池1では、
正極2の体積と負極3の体積との和をaとし、セパレー
タ4の体積をbとしたときに、セパレータの体積比率b
/(a+b)が、0.17以上、0.39以下の範囲と
なされている。なお、上記正極2及び負極3の体積に
は、活物質層ばかりでなく集電体の体積をも含む。
【0024】リチウム二次電池の特徴としては、高いエ
ネルギー密度を有することが挙げられるが、このリチウ
ム二次電池について電池構造を工夫、すなわち、電極を
薄型化、大面積化することにより、電池の実質的な電流
密度を下げてパワー密度を向上させる検討が行われてい
る。電極を薄型化、大面積化するに伴って、電極部分に
対するセパレータの体積比率が高くなる。
【0025】セパレータ4の体積比率が0.39よりも
高いと、電極部分の体積が小さくなり十分なエネルギー
密度が得られない。また、セパレータ4の体積比率が
0.17よりも低いと、電流密度が高く、パワー密度を
満足することができない。従って、セパレータ4の体積
比率b/(a+b)を0.17以上、0.39以下の範
囲とすることで、パワー密度とエネルギー密度とを共に
満足させることができる。
【0026】非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解し
て調製される。
【0027】電解質としては、通常、電池電解液に用い
られている公知の電解質を使用することができる。具体
的には、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiC
lO4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、Li
C(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6等の
リチウム塩を挙げることができる。その中でも特にLi
PF6、LiBF4が酸化安定性の点から望ましい。
【0028】このような電解質は、非水溶媒中に0.1
mol/l〜3.0mol/lの濃度で溶解されている
ことが好ましい。さらに好ましくは、0.5mol/l
〜2.0mol/lである。
【0029】また、非水溶媒としては、従来より非水電
解液に使用されている種々の非水溶媒を使用することが
できる。例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の環
状炭酸エステルや、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等の鎖
状炭酸エステル、プロピオン酸メチルや酪酸メチル等の
カルボン酸エステル、γ−ブチルラクトン、スルホラ
ン、2−メチルテトラヒドロフランやジメトキシエタン
等のエーテル類等を使用することができる。これらの非
水溶媒は単独で使用してもよく、複数種を混合して使用
してもよい。その中でも特に、酸化安定性の点からは、
炭酸エステルを用いることが好ましい。
【0030】上述したような本発明に係る非水電解質電
池1では、電極部分に対するセパレータ4の体積比率を
上記範囲に規定することで、パワー密度を追求しつつ、
エネルギー密度とのバランスにも優れたものとなる。
【0031】そして、このような非水電解質電池1は、
次のようにして製造される。
【0032】正極2は、正極活物質と結着剤とを含有す
る正極合剤を、正極集電体となる例えばアルミニウム箔
等の金属箔上に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形
成することにより作製される。上記正極合剤の結着剤と
しては、公知の結着剤を用いることができるほか、上記
正極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0033】負極3は、負極活物質と結着剤とを含有す
る負極合剤を、負極集電体となる例えば銅箔等の金属箔
上に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成すること
により作製される。上記負極合剤の結着剤としては、公
知の結着剤を用いることができるほか、上記負極合剤に
公知の添加剤等を添加することができる。
【0034】以上のようにして得られる正極2と、負極
3とを、例えば微孔性ポリプロピレンフィルムからなる
セパレータ4を介して密着させ、渦巻型に多数回巻回す
ることにより巻層体が構成される。
【0035】次に、その内側にニッケルメッキを施した
鉄製の電池缶5の底部に絶縁板6を挿入し、さらに巻層
体を収納する。そして負極の集電をとるために、例えば
ニッケルからなる負極リード7の一端を負極3に圧着さ
せ、他端を電池缶5に溶接する。これにより、電池缶5
は負極3と導通をもつこととなり、非水電解質電池1の
外部負極となる。また、正極2の集電をとるために、例
えばアルミニウムからなる正極リード8の一端を正極2
に取り付け、他端を電流遮断用薄板9を介して電池蓋1
0と電気的に接続する。この電流遮断用薄板9は、電池
内圧に応じて電流を遮断するものである。これにより、
電池蓋10は正極2と導通をもつこととなり、非水電解
質電池1の外部正極となる。
【0036】次に、この電池缶5の中に非水電解液を注
入する。この非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解さ
せて調製される。
【0037】次に、アスファルトを塗布した絶縁封口ガ
スケット11を介して電池缶5をかしめることにより電
池蓋10が固定されて円筒型の非水電解質電池1が作製
される。
【0038】なお、この非水電解質電池1においては、
図1に示すように、負極リード7及び正極リード8に接
続するセンターピン12が設けられているとともに、電
池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気
体を抜くための安全弁装置13及び電池内部の温度上昇
を防止するためのPTC素子14が設けられている。
【0039】なお、上述した実施の形態では、非水電解
液を用いた非水電解質電池を例に挙げて説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、導電性高分子化
合物の単体あるいは混合物を含有する高分子固体電解質
を用いた固体電解質電池や、膨潤溶媒を含有するゲル状
の固体電解質を用いたゲル状電解質電池についても適用
可能である。
【0040】上記の高分子固体電解質やゲル状電解質に
含有される導電性高分子化合物として具体的には、シリ
コン、アクリル、アクリロニトリル、ポリフォスファゼ
ン変性ポリマ、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイド、フッ素系ポリマ又はこれらの化合物の複
合ポリマや架橋ポリマ、変性ポリマ等が挙げられる。上
記フッ素系ポリマとしては、ポリ(ビニリデンフルオラ
イド)、ポリ(ビニリデンフルオライド−co−ヘキサ
フルオロプロピレン)、ポリ(ビニリデンフルオライド
−co−テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデン
フルオライド−co−トリフルオリエチレン)等が挙げ
られる。
【0041】このとき、固体電解質やゲル状電解質にセ
パレータとしての機能も兼ね備えさせる場合があるが、
この場合にも本発明は適用可能である。この様な場合、
固体電解質やゲル状電解質の体積をcとすると、電極部
分に対して、比率c/(a+c)を0.20以上、0.
39以下の範囲とすることで、電池のパワー密度とエネ
ルギー密度とを共に満足させることができる。
【0042】また、上述した固体電解質やゲル状電解質
と、セパレータ4とを併用させて正極2と負極3との間
に介在させる場合があるが、この場合にも本発明は適用
可能である。この様な場合、固体電解質やゲル状電解質
とセパレータ4との体積の和(b+c)が、電極部分に
対して、比率(b+c)/(a+b+c)を0.20以
上、0.39以下の範囲とすることで、電池のパワー密
度とエネルギー密度とを共に満足させることができる。
【0043】また、上述した実施の形態では、二次電池
を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、一次電池についても適用可能である。ま
た、本発明の電池は、円筒型、角型、コイン型、ボタン
型等、その形状については特に限定されることはなく、
また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができ
る。さらに、上述した実施の形態では、外装材として鉄
製の電池缶5を用いたが、これに限らずアルミラミネー
ト材等のフレキシブルなフィルム状の外装材を用いても
よい。
【0044】
【実施例】上述したような非水電解質電池を作製し、そ
の特性を評価した。
【0045】〈実施例1〉まず、負極を以下のようにし
て作製した。
【0046】まず、粉砕した黒鉛粉末を90重量部と、
結着剤を10重量部とを混合して負極合剤を調製した。
ここで、結着剤にはポリフッ化ビニリデンを用いた。
【0047】次に、負極合剤をN−メチル−2−ピロリ
ドンに分散させてスラリー状とした。そして、このスラ
リーを負極集電体である厚さ10μmの帯状の銅箔の両
面に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成した後、
ロールプレス機で圧縮成型し、負極を作製した。この負
極の体積は3.95cm3であった。
【0048】次に、正極を次のように作製した。
【0049】まず、リン酸リチウム(Li3PO4)粉末
とリン酸第一鉄(Fe3(PO42)粉末を合成したリ
チウム鉄リン酸化物(LiFePO4)に炭素材料(カ
ーボン)混合し、ミリングを施し、焼成して正極活物質
となるリチウム鉄リン酸化物と炭素材料の複合材料を得
た。そして、得られたをリチウム鉄リン酸化物と炭素材
料の複合材料95重量部と、結着剤を5重量部とを混合
して正極合剤を調製した。ここで、結着剤にはポリフッ
化ビニリデンを用いた。
【0050】次に、正極合剤を、N−メチル−2−ピロ
リドンに分散させてスラリーとした。そして、このスラ
リーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔
の両面に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成した
後、ロールプレス機で圧縮成形することにより正極を作
製した。この正極の体積は5.43cm3であった。
【0051】以上のようにして得られる正極と、負極と
を、厚さ25μmの微孔性ポリプロピレンフィルムから
なるセパレータを介して密着させ、渦巻型に多数回巻回
することにより巻層体を作製した。ここで用いたセパレ
ータの体積は2.01cm3であった。
【0052】次に、その内側にニッケルメッキを施した
鉄製の電池缶の底部に絶縁板を挿入し、さらに巻層体を
収納した。そして負極の集電をとるために、ニッケル製
の負極リードの一端を負極に圧着させ、他端を電池缶に
溶接した。また、正極の集電をとるために、アルミニウ
ム製の正極リードの一端を正極に取り付け、他端を電流
遮断用薄板を介して電池蓋と電気的に接続した。この電
流遮断用薄板は、電池内圧に応じて電流を遮断するもの
である。
【0053】そして、この電池缶の中に非水電解液を注
入した。この非水電解液は、炭酸エチレンを50容量%
と、炭酸ジエチルを50容量%との混合溶媒中に、電解
質としてLiPF6を1.0mol/lの濃度で溶解さ
せて調製した。
【0054】最後に、アスファルトを塗布した絶縁封口
ガスケットを介して電池缶をかしめることにより電池蓋
を固定して、直径が約18mm、高さが約65mmの円
筒型の試験電池を作製した。
【0055】〈実施例2〜実施例7、比較例1〜比較例
4〉正極、負極及びセパレータの体積を以下に掲げる表
1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして
それぞれ試験電池を作製した。
【0056】そして、以上のようにして作製された電池
について、重量エネルギー密度、重量パワー密度とを測
定した。
【0057】重量エネルギー密度を測定するには、ま
ず、20℃、1Aの定電流定電圧充電を上限電圧4.2
Vまで行った。次に、0.5Aの定電流放電を終止電圧
2Vまで行い、放電容量と放電平均電圧とを測定した。
そして、測定した放電容量と放電平均電圧及び各電池の
質量から、 (放電容量)×(放電平均電圧)÷(電池の質量) を重量エネルギー密度とした。
【0058】重量パワーー密度を測定するには、まず、
20℃、1Aの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vま
で行った。次に0.5Aの定電流放電を、上記の重量エ
ネルギー密度測定の際に求めた放電容量の半分まで行
い、放電深度が50%になるように各電池を調整した。
その後、3Aの電流で10秒間の放電を行い、 {(測定前の開回路電圧)−(10秒放電後の閉回路電
圧)}/(放電電流:3A) を電池の抵抗とした。そして、 {(測定前の開回路電圧)−(2V)}×(2V)÷
(電池の抵抗)÷(電池の質量) を重量パワー密度とした。
【0059】そして、上記で求めた重量エネルギー密度
と重量パワー密度との積を総合性能とし、その総合性能
が比較例1の電池に比べてどれだけ向上したかを算出
し、総合性能向上率とした。
【0060】実施例1乃至実施例7、比較例1乃至比較
例4で作製した電池について、重量エネルギー密度、重
量パワー密度及び総合性能向上率の評価結果を、正極、
負極及びセパレータの体積と、電極部分に対するセパレ
ータの体積比率と併せて表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】表1から、電極部分に対するセパレータの
体積比率が大きくなるほど、重量パワー密度は向上し、
重量エネルギー密度は悪化することがわかる。
【0063】パワー密度追求の観点からすれば、エネル
ギー密度追求型の電池に比べ、10%以上パワー密度が
向上する必要があり、セパレータの体積比率は0.17
以上が好ましいと考えられる。また、総合性能でもエネ
ルギー密度追求型電池と同等以上の性能が必要であり、
セパレータの体積比率は0.39以下が好ましいと考え
られる。
【0064】また、比較例1に対する総合性能向上率で
は、セパレータの体積比率が0.26前後のときに、1
4%とピークを示した。セパレータの体積比率がこれよ
りも小さいと重量パワー密度が小さくなるため総合性能
向上率は低くなり、また、セパレータの体積比率がこれ
よりも大きくなると重量エネルギー密度が小さくなるた
め、総合性能向上率は低くなった。
【0065】以上の結果より、電極部分に対するセパレ
ータの体積比率を0.17以上0.39以下とすること
で、パワー密度を追求しつつ、エネルギー密度とのバラ
ンスにも優れた非水電解質電池を実現できることがわか
った。さらに、電極部分に対する、より好ましいセパレ
ータの体積比率は0.2以上、0.3以下の範囲であ
る。
【0066】また、以下に示す実施例8乃至実施例13
及び比較例5乃至比較例7では、液系電解質に代えてポ
リマー電解質を使用し、このポリマー電解質とセパレー
タとを正極と負極との間に配して、上述した実施例1乃
至実施例7、及び比較例1乃至比較例4と同様の検討を
行った。
【0067】〈実施例8〉まず、負極を以下のようにし
て作製した。
【0068】粉砕した黒鉛粉末90重量部と、結着剤と
してポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフ
ルオロプロピレン)10重量部とを混合して負極合剤を
調整し、さらにこれをN−メチル−2−ピロリドンに分
散させスラリー状とした。そして、このスラリーを負極
集電体である厚さ10μmの帯状銅箔の片面に均一に塗
布し乾燥後、ロールプレス機で圧縮成型し、負極を作製
した。この負極の体積は1.88cm3であった。
【0069】次に、正極を次のように作製した。
【0070】まず、リン酸リチウム(Li3PO4)粉末
とリン酸第一鉄(Fe3(PO42)粉末を合成したリ
チウム鉄リン酸化物(LiFePO4)に炭素材料(カ
ーボン)混合し、ミリングを施し、焼成して正極活物質
となるリチウム鉄リン酸化物と炭素材料の複合材料を得
た。そして、得られたをリチウム鉄リン酸化物と炭素材
料の複合材料95重量部と、結着剤を5重量部とを混合
して正極合剤を調製した。ここで、結着剤にはポリフッ
化ビニリデンを用いた。
【0071】次に、正極合剤を、N−メチル−2−ピロ
リドンに分散させてスラリーとした。そして、このスラ
リーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔
の両面に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成した
後、ロールプレス機で圧縮成形することにより正極を作
製した。この正極の体積は2.31cm3であった。
【0072】正極及び負極の活物質層が形成されていな
い部分(正極はアルミニウム箔、負極は銅箔)上に、ア
ルミニウムからなる正極端子リード及びニッケルからな
る負極端子リードを溶接した。
【0073】さらに、ゲル電解質を次にようにして得
た。
【0074】負極、正極上にエチレンカーボネート(E
C)42.5重量部、プロピレンカカーボネート(P
C)42.5重量部、LiPF615重量部からなる可
塑剤30重量部に、重量平均分子量Mwが60万のポリ
(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプ
ロピレン)10重量部、そして炭酸ジエチル60重量部
を混合溶解させた溶液を均一に塗布し、含浸させ、常温
で8時間放置し、炭酸ジメチルを気化、除去しゲル電解
質を得た。
【0075】ゲル電解質を塗布した負極、及び正極を、
ゲル電解質側を厚さ25μmの微孔性ポリプロピレンフ
ィルムからなるセパレータを介して重ね合わせ、圧着、
巻回する事で、3.3cm×5.2cm×3.3mmの
巻回型ゲル電解質電池素子(容量550mAh)を作製
した。この時の塗布されたゲル電解質の体積は1.11
cm3であった。
【0076】ラミネートフィルムからなる封入体に上記
電池素子を挿入し、200℃、10秒の条件でシール機
によりシール幅5mmで熱融着し、試験電池を作製し
た。
【0077】〈実施例9〜実施例13及び比較例5〜比
較例7〉正極、負極及びセパレータの体積を以下に掲げ
る表2に示すように変えたこと以外は実施例8と同様に
して試験電池を作製した。
【0078】そして、実施例8乃至実施例13及び比較
例5乃至比較例7で作製した電池について、上述した方
法と同様にして重量エネルギー密度、重量パワー密度及
び総合性能向上率を測定した。重量エネルギー密度、重
量パワー密度及び総合性能向上率の評価結果を、正極、
負極及び電解質層を含むセパレータの体積と、電極部分
に対するセパレータと電解質層との体積の和の比率と併
せて表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】非水電解質として非水電解液に代えてポリ
マー電解質を用い、このポリマー電解質を電解質層とし
てセパレータとともに正極と負極との間に配した場合に
おいても、電極部分に対するセパレータと電解質層との
体積の和の比率を0.20以上、0.39以下とするこ
とで、総合性能の向上が見られた。
【0081】さらに、以下に示す実施例14乃至実施例
27では、正極活物質に使用する材料を代えて、上述し
た実施例1乃至実施例7、及び比較例1乃至比較例4と
同様の検討を行った。
【0082】〈実施例14〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.2Mn0. 8
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0083】〈実施例15〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.2Cr0. 8
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0084】〈実施例16〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.2Co0. 8
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0085】〈実施例17〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.2Cu0. 8
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0086】〈実施例18〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.2Ni0. 8
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0087】〈実施例19〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.250.7 5
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0088】〈実施例20〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.25Mo0 .75
PO4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同
じ条件で作製した。
【0089】〈実施例21〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.25Ti0 .75
PO4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同
じ条件で作製した。
【0090】〈実施例22〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.3Zn0. 7
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0091】〈実施例23〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.3Al0. 7
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0092】〈実施例24〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.3Ga0. 7
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0093】〈実施例25〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.25Mg0 .75
PO4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同
じ条件で作製した。
【0094】〈実施例26〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.250.7 5
4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同じ
条件で作製した。
【0095】〈実施例27〉正極活物質に、LiFeP
4と炭素材料の複合体に代えてLiFe0.25Nb0 .75
PO4を使用した以外は実施例1の非水電解質電池と同
じ条件で作製した。
【0096】上述した実施例14乃至実施例27の各電
池に対しても、実施例1乃至実施例13と同様に上述し
た方法で重量エネルギー密度、重量パワー密度及び総合
性能向上率を測定したところ、実施例1と同様な効果が
確認された。
【0097】
【発明の効果】本発明では、負極及び正極の体積の和
と、セパレータの体積、又はポリマー電解質、或いはセ
パレータとポリマー電解質との体積の和との比を一定範
囲に規制することで、パワー密度とエネルギー密度との
両立を図ることができ、優れた特性を有する非水電解質
電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る非水電解質電池の縦断面図
である。
【符号の説明】
1 非水電解質電池、 2 正極、 3 負極、 4
セパレータ、 5 電池缶、 10 電池蓋
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 4/58 H01M 4/58 (72)発明者 久山 純司 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 高橋 公雄 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 佐藤 敦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 大川 剛史 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5H021 CC08 EE04 HH04 5H029 AJ02 AK03 AL02 AL06 AL12 AL16 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ02 BJ14 DJ04 DJ17 EJ12 HJ02 HJ07 5H050 AA02 BA16 BA17 BA18 CA07 CB02 CB07 CB12 CB20 DA19 FA05 FA18 HA02 HA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負極活物質を有する負極と、 上記負極と対向して配され、正極活物質に、オリビン型
    結晶構造を有し、一般式LixFe1-yyPO4(ただ
    し、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、T
    i、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1
    種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8
    である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と
    混合して使用した正極と、 上記負極と上記正極との間に配されたセパレータと、 非水電解液とを備え、 上記負極の体積と上記正極の体積との和をaとし、上記
    セパレータの体積をbとしたときに、上記aと上記bと
    は、 0.17≦b/(a+b)≦0.39 の関係を満たすことを特徴とする非水電解質電池。
  2. 【請求項2】 負極活物質を有する負極と、 上記負極と対向して配され、正極活物質に、オリビン型
    結晶構造を有し、一般式LixFe1-yyPO4(ただ
    し、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、T
    i、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1
    種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8
    である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と
    混合して使用した正極と、 上記負極と上記正極との間に介在される非水電解質とを
    備え、 上記負極の体積と上記正極の体積との和をaとし、上記
    非水電解質の体積をcとしたときに、上記aと上記cと
    は、 0.20≦c/(a+c)≦0.39 の関係を満たすことを特徴とする非水電解質電池。
  3. 【請求項3】 上記正極と負極との間には、上記非水電
    解質とともに、セパレータが配され、上記負極の体積と
    上記正極の体積との和をaとし、上記セパレータの体積
    をbとし、上記非水電解質の体積をcとしたときに、上
    記a、上記b及び上記cとは、 0.20≦b+c/(a+b+c)≦0.39 の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の非水
    電解質電池。
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