JP2001201723A - 連続装用ソフトコンタクトレンズ - Google Patents

連続装用ソフトコンタクトレンズ

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JP2001201723A
JP2001201723A JP2000008480A JP2000008480A JP2001201723A JP 2001201723 A JP2001201723 A JP 2001201723A JP 2000008480 A JP2000008480 A JP 2000008480A JP 2000008480 A JP2000008480 A JP 2000008480A JP 2001201723 A JP2001201723 A JP 2001201723A
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lens
water
methacrylate
soft contact
contact lens
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JP2000008480A
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English (en)
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Tsuneo Hogi
恒夫 保木
Junichi Iwata
淳一 岩田
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Asahi Kasei Aime Co Ltd
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Asahi Kasei Aime Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 装用した時に汚れ付着性が少なく、レンズの
動きがスムーズで安定しており、角膜へのレンズの固着
が無く、長期装用性に優れたコンタクトレンズを提供す
る。 【解決手段】 含水率が17.5〜50%の範囲内で、
ナトリウムイオン透過係数が0.2〜10×10-3mm
2 /minの範囲内にあり、酸素透過係数が30以上で
ある含水ソフトコンタクトレンズ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期の連続装用性
に優れたソフトコンタクトレンズに関するものである。
更に詳しくは、装用時に角膜への固着が無く、レンズの
動きが優れ装用感が良い、長期装用に優れた含水ソフト
コンタクトレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ソフトコンタクトレンズには、含水ソフ
トコンタクトレンズと非含水ソフトコンタクトレンズと
が有り、含水ソフトコンタクトレンズは装用感が優れて
いるところから多く使用されている。これらのうちで含
水ソフトコンタクトレンズは、酸素透過係数が低く連続
装用には適さないことから、酸素透過係数を高めた含水
ソフトコンタクトレンズ、例えば米国特許4、711、
943号公報に開示されているものなどが開発されてき
た。一方、非含水ソフトコンタクトレンズは、例えば、
特開昭54−81363号公報、特開昭58−1279
14号公報、特開昭48−75047号公報などに開示
されているものが開発されてきた。
【0003】また、特表平11−502949号公報に
は、酸素透過性の重合し得る材料とイオン透過性の重合
し得る材料から形成された高い酸素透過性及び高いイオ
ン透過性を有するポリマー性材料からなる、レンズが動
き得るに十分な量のイオン又は水を透過させる眼のレン
ズに関する開示がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸素透
過係数を高めた含水ソフトコンタクトレンズはタンパク
質および脂質のレンズへの吸収が多く、この汚れによる
角膜への疾患が起こり易いという問題点があり、これら
レンズはキャスト重合法で作られるため表面の水濡れ性
が経時変化しやすく、長期装用すると角膜への固着など
がおきやすくなる。非含水ソフトコンタクトレンズはそ
の材料が疎水性で表面を親水性に後処理しているが、長
期間装用により角膜への固着が起こり易いという問題が
あり一般に広く使用される所までに至っていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らはソフトコンタクトレンズの材料の材料
特性を検討し鋭意研究を重ねた結果、特定の材料特性に
することでその目的を達成できることを見いだし、本発
明を完成するに到った。すなわち本発明は、含水率が1
7.5〜50%の範囲内で、ナトリウムイオン透過係数
が0.2〜10×10-3mm2 /minの範囲内にあ
り、酸素透過係数が30以上である含水ソフトコンタク
トレンズである。さらには、含水率が20〜40%の範
囲内で、ナトリウムイオン透過係数が0.3〜5×10
-3mm2 /minの範囲内にあり、酸素透過係数が80
〜300の範囲内である含水ソフトコンタクトレンズに
関するものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ソフトコンタクトレンズは、含水率が17.5〜50%
の範囲内で、ナトリウムイオン透過係数が0.2〜10
×10-3mm2 /minの範囲内にあり、酸素透過係数
が30以上である含水ソフトコンタクトレンズである。
このレンズの特性を制御することにより長期間にわたっ
てレンズ表面の水濡れ性を維持することが出来て、酸素
透過係数が高く、タンパク質および脂質の付着性が少な
く、レンズの動きが安定し、角膜への固着が起こり難
く、特に角膜から強膜へかけた曲率が大きい部所へのレ
ンズの固着が起きず、安全性の高いコンタクトレンズの
提供が可能となる。さらには、含水率が20〜40%の
範囲内で、ナトリウムイオン透過係数が0.3〜5×1
-3mm2 /minの範囲内にあり、酸素透過係数が8
0〜300の範囲内である含水ソフトコンタクトレンズ
が30日間の連続装用が可能でより好ましい。
【0007】本発明のコンタクトレンズの含水率が50
を超えるとタンパク質汚れが多くなり、レンズの強度お
よび剛性も小さくなり装用時の形態安定性が劣り、取扱
いが難しく装用感も悪くなり好ましくなく、またこの含
水率は17.5未満になるとタンパク質及び脂質汚れが
多くなり、さらにはレンズが角膜に固着し易くなり好ま
しくない。ナトリウムイオン透過係数が0.2×10-3
mm2 /min未満になると長期装用時に角膜あるいは
強膜の曲率が大きい部所への固着が起こり易くなり、固
着の頻度が極めて多くなり好ましくなく、また10×1
-3mm2 /min以上になるとCaイオンもレンズ内
部に透過し易くなる為タンパク質とCaイオンが複合し
てレンズに固着する複合汚染が起き易く、レンズ内部へ
のタンパク質の吸収が起き易くなり、タンパク質や脂質
の汚れが多くなり、レンズの強度も弱くなりレンズの形
態安定性も劣り好ましくない。
【0008】特表平11−502949号公報にはイオ
ン又は水透過性を有するレンズが開示されているが、そ
のイオン透過性(当該明細書でのイオノフラックスイオ
ン透過係数)は1.5×10-6mm2 /min以上と記
載されているものの高々71.0×10-6mm2 /mi
n(実施例F−12)であり本発明の透過係数の10 -3
オーダーと比較して約100〜1000分の1の大きさ
である。一方、ポリヒドロキシメタアクリレート(含水
率36%)およびヒドロキシメタアクリレートとn−ビ
ニルピロリドン共重合体(含水率78%)からなるソフ
トコンタクトレンズ材料のナトリウムイオン透過係数は
それぞれ約2×10-3mm2 /min、22×10-3
2 /minであり、また酸素透過係数(Dk値)とし
てはそれぞれが8.7、26.6であることが、日本コ
ンタクトレンズ学会誌、20(3)、53、1978に
記載されており、本発明のコンタクトレンズが高い酸素
透過係数とナトリウムイオン透過係数の両方を同時に満
たしている初めての材料であることが判る。
【0009】このイオン透過係数が小さいと装用初期は
問題が無いが、1週間以上の連続装用を行った場合に角
膜周辺部及び強膜へのレンズ周辺部の固着が起こり、次
第にレンズ中央部まですなわち角膜中央部への固着の進
展が起きて、その固着程度も強いものとなり最悪の場合
角膜表皮細胞に障害が起きて、レンズの脱着も不可能と
なる。30日間の連続装用を安全にする為には、本発明
の範囲のナトリウムイオン透過係数を有することが一つ
の必須要件である。酸素透過係数とナトリウムイオン透
過係数両方を高いレベルに維持するには、レンズの含水
率が関係しており、レンズの含水率が17.5%未満で
は酸素透過係数は高いがナトリウムイオン透過係数が極
めて小さい値となる。
【0010】この原因は明らかではないがポリマー中に
おける水の存在状態に関係していると考えられ、ある特
定の含水量になるまでは水がポリマー分子鎖近辺に拘束
され自由に動けない為、ナトリウムイオンの自由な透過
に関与出来ないことに基づくものと考えられる。したが
って、ポリマーの親水成分の化学構造、ミクロ構造、マ
クロ構造、そのポリマー内での比率、分布などが複雑に
関連していると考えられる。ちなみに、含水率の10%
増分によるナトリウムイオン透過係数の増分は、ポリヒ
ドロキシメタアクリレートおよびポリビニルピロリドン
系の含水ソフトレンズ材料では約3×10-3mm2 /m
inであるが、本発明の高酸素透過性含水ソフトレンズ
材料では約1.5×10-3mm2 /minであり上記の
ポリマー構造の違いを示唆している。
【0011】酸素透過係数が30未満になると角膜への
負荷が増え連続装用が難しくなるため好ましくない。ま
た、酸素透過係数は現在、技術的には300程度まで上
げることが可能である。含水率が20〜40%の範囲内
で、ナトリウムイオン透過係数が0.3〜5×10-3
2 /minの範囲内にあり、酸素透過係数が80〜3
00の範囲内である含水ソフトコンタクトレンズが30
日間の連続装用に最適のレンズの形態安定性、装用感、
固着防止能、角膜への安全性などすべての特性バランス
に優れる為より好ましい。
【0012】本発明のコンタクトレンズは上記特性を有
するものであれば何でも良くその構成物に制限は無い
が、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、アクリル酸などのアクリル系モノマー、メチルメタ
アクリレート、エチルメタアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタアクリレート、メタアクリル酸などのメタ
アクリル系モノマー、トリス(トリメチルシロキシ)シ
リルプロピルメタアクリレート、ビス(トリメチルシロ
キシ)メチルシリルプロピルメタアクリレート、ペンタ
メチルジシロキサンプロピルメタアクリレート、トリス
(トリメチルシロキシ)シリルプロピルオキシエチルメ
タアクリレート、トリス(ポリジメチルシロキシ)シリ
ルプロピルメタアクリレートなどのシリコン系モノマ
ー、
【0013】シロキサニル基とメタアクリレート基の間
にウレタン結合、グリセリル基、ポリアルキレングリコ
ール基など親水性基を有するもの、あるいはシロキサニ
ル基の一部を末端ヒドロキシ基あるいはポリアルキレン
グリコール基で置換した親水性シロキサニルメタアクリ
レート、トリス(ジメチルトリフロロプロピルシロキ
シ)シリルプロピルメタアクリレートなどのフルオロシ
リコン系モノマー、2,2,2−トリフロロエチルメタ
アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロロプロ
ピルメタアクリレート、ヘキサフロロイソプロピルメタ
アクリレートなどのパーフロロアルキル系モノマー、
【0014】1,1,2,2−テトラフロロエトキシ−
2−ヒドロキシプロピルメタアクリレートなどの水酸基
を有するフロロアルキル系及びフロロアルキルエーテル
系モノマー、N−ビニルピロリドン、N,N’−ジメチ
ルアクリルアミド、N,N’−ビニルメチルアセトアミ
ドなどの親水性モノマー、エチレングリコールジメタア
クリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレ
ート、テトラメチルジシロキサンビス(プロピルメタア
クリレート)などの架橋性モノマー、分子末端に重合性
の不飽和基を有するシリコン系マクロー、及びそのパー
フロロ変性マクロマー、ポリアルキレングリコール変性
マクロマーなどのシリコン系マクロマーなど共重合可能
な化合物との共重合物などが挙げられる。
【0015】本発明のコンタクトレンズは、上記モノマ
ー及びマクロマーから選ばれた混合物に、熱、UV、電
子線あるいは放射線などにより重合を開始する重合開始
剤を添加して重合したポリマーから製造される。その目
的に応じて染料、UV吸収剤などの添加物を加える事も
可能である。本発明のコンタクトレンズは、そのポリマ
ーのミクロ構造、マクロ構造を本発明の目的に合うよう
にコントロールする為に、上記モノマーおよびマクロマ
ーから選ばれた混合物に、さらにモノマー混合物に可溶
で、低級アルコールあるいは水に可溶の有機溶媒を0.
2〜50%の範囲で添加することができる。これら有機
溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、
グリセリン、ジメチルアセトアミド、ジメチルフォルム
アミド、テトラヒドロフラン、りん酸アルキルエステ
ル、ピロリドンなどが使用できる。
【0016】これらの内、酸素透過性、耐汚れ付着性、
機械的強度などの物性バランスが良いことからシロキサ
ン系メタクリレート、フロロアルキルシロキサン系メタ
クリレート、フロロアルキル系メタクリレート、ヒドロ
キシル基を含有するフロロアルキルエーテル系メタクリ
レート、親水性モノマー、分子内に2つ以上の不飽和基
を有する架橋性モノマー、また、特開平3−24002
1号公報、特開平3−257420号公報、特開平4−
50814号公報、特願平3−202106号公報、特
願平3−33026号公報などに開示されている分子末
端に重合性の不飽和基を有するシリコン系マクロマーと
の共重合物が使用できる。さらには、本発明のレンズ
は、引っ張り弾性率が0.8×107 〜2×107 dy
ne/cm 2 である共重合物からなるものである。
【0017】上記のコンタクトレンズは、従来のレンズ
製造方法で製造でき、例えば、ポリマーのブロックから
旋盤で切削して研磨加工する方法、あるいは、レンズの
片面のみを重合鋳型でキャスト重合して形成し他の面を
切削研磨法で仕上げる方法などがある。切削研磨法で作
成したレンズは、レンズ表面と内部が実質的に同じポリ
マー組成であり、長期間の装用においても表面特性の変
化が無く水濡れ性、タンパク質付着性、脂質付着性など
が安定したレンズ性能を示すため好ましい。また、上記
マクロマーを主成分とするコンタクトレンズは、例え
ば、レンズの形状に相当する重合鋳型の中にモノマー組
成物を注入して重合するキャスト法で製造できる。
【0018】特にエチレンビニルアルコール共重合体、
アクリロニトリル共重合体、エチレンテレフタレート重
合体および共重合体など表面に極性基のある材料で成形
した重合鋳型を使用して製造したレンズはレンズ表面と
内部が実質的に同じポリマー組成であり、長期間の装用
においても表面特性の変化が無く水濡れ性、タンパク質
付着性、脂質付着性などが安定したレンズ性能を示すた
め好ましい。なお、キャスト重合で製造した後にレンズ
表面をオゾン処理、プラズマ照射処理することにより表
面特性特に水濡れ性などを改良する事も可能である。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例などを用いて更に具体
的に説明する。なお、実施例などにおけるレンズ特性の
評価方法は以下の通りである。 1.含水率 ソフトコンタクトレンズを精製水に入れ37℃で72時
間静置した後、レンズを取り出し表面の付着水を手早く
拭き取ってその重量を精秤した後、真空乾燥機で恒量に
なるまで乾燥して、その重量変化から次の式で求めた。 含水率 =(重量変化量/乾燥前重量)×100 (%) 2.ナトリウムイオン透過係数 100mlビーカー(以下受容チャンバーという)にマ
グネチック攪拌子、導電率計(HORIBA社製:ES
−14型)の電極部をセットし、局方精製水60mlを
入れ恒温水槽で35℃に保った。コンタクトレンズを
8.5mmΦの孔を開けたシリコンパッキン2枚で挟み
底部に固定した内容量30mlのガラス円筒(以下供与
チャンバーという)に0.1MのNaCl水溶液を16
ml加え、上記受容チャンバーに投入して両チャンバー
の液面を合わせ、3時間測定した。ナトリウムイオン透
過係数は、「水晶体」(岩田修造編著、メディカル葵出
版刊、1986年、第1版)第275頁に記載されてい
る理論と方法に基づき求めた。
【0020】3.酸素透過係数(Dk値) コンタクトレンズ協会「標準Dk値測定法」に準じて理
化精機工業(株)社製、K316−IPI型フィルム酸
素透過測定器を使用して電極法により測定した。Dk値
の表示は×1011(cm2 /sec)・(mlO2 /m
l×mmHg)で示した。 4.引っ張り弾性率 コンタクトレンズの中央部から約3mm幅のサンプルを
切り出し、万能試験機(島津製作所製、AGS−50B
型)で100mm/minの速度で引っ張り試験を行
い、初期の傾きから求めた。値はdyne/cm2 で示
した。
【0021】5.タンパク質付着性 下記組成のモデル汚れ水溶液を調合した。 NaCl 0.9 重量% NaH2PO4 0.0184重量% Na2HPO4 0.076 重量% 卵白リゾチーム 0.12 重量% 牛血清アルブミン 0.388 重量% CaCl2(H2O)2 0.0407重量% この液2mlにレンズ1枚を入れ、温度37℃で24時
間浸漬し、精製水中にレンズを入れて30分間振とうし
て洗浄する。レンズを取り出し表面水を軽くふき取る。
そのレンズをプロテイン分析試薬(BCA液)液中に浸
漬(レンズ1枚/2ml)し,40℃で5時間反応し、
UV562nmにて分光光度計(日本分光(株)社製、
V−550型)で測定した。別途求めた検量線から、レ
ンズ1枚当りの付着タンパク質量を求めた。
【0022】6.脂質付着性 オリーブオイル1%のリン酸緩衝液を撹拌混合して、レ
ンズを入れ40℃の恒温槽中で23時間浸漬した。5m
lの精製水を入れた容器内にレンズを入れ30秒間振り
洗いをして、これを5回繰り返して洗浄した。このレン
ズを真空乾燥した後、クロロフォルム/メタノール:2
/1混合溶媒で抽出し、トリグリセライドG試験液で発
色してその吸光度を分光光度計(日本分光(株)社製、
V−550型)で測定した。別に求めた検量線からレン
ズ1枚当りの脂質付着量を求めた。
【0023】7.水濡れ性 レンズを保存液から引き上げた時のレンズ表面の水層の
維持状況を観察して次の判定基準により水濡れ性を評価
した。 判定 引き上げて60秒以上濡れている 3 引き上げて30秒以上60秒未満濡れている 2 引き上げて3秒以上30秒未満濡れている 1 引き上げて3秒未満で水層がブレイクする 0
【0024】8.家兎眼装用試験 白色家兎の角膜曲率を測定し、約0.2mm大きいベー
スカーブを有するサイズ13.5mm、中心厚み0.0
5mm、パワー−3.00ディオプターのレンズを装用
させ31日間観察した。装用状態を記録するとともに7
日おきに角膜の状態を目視およびフルオレッセン染色し
て検査した。また、角膜への固着の有無を確認するた
め、角膜の曲率と同じベースカーブのレンズを作成して
同様に装用試験を行い、角膜および強膜への固着を観察
した。レンズの角膜への固着は、レンズ脱着後フルオレ
ッセン染色して固着に由来する染色領域を求めレンズが
装用されていた角膜及び強膜の面積に対する比率を求め
以下の判定基準で決めた。
【0025】また、回収レンズを肉眼及び微分干渉顕微
鏡で観察し汚れの付着の有無を調べた。 判定 圧痕及び染色が認められない 5(固着なし) レンズエッジの圧痕あり、染色域なし 4 レンズエッジの圧痕あり、染色面積10%以下 3 レンズエッジの圧痕あり、染色面積10%を越えて50%未満 2 レンズエッジの圧痕あり、染色面積50%以上 1 レンズ脱着不可 0
【0026】
【実施例1】<親水性シロキサニルメタアクリレートの
合成>2−イソシアナトエチルメタアクリレート12.
4gをシクロヘキサン30mlに溶解し、該溶液をトリ
ス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルオキシエチル
アルコール30gをシクロヘキサン50mlに溶解しジ
ブチルスズジラウレート0.03gを添加した溶液に滴
下して加え、50℃で24時間反応させた。赤外吸収ス
ペクトルによりイソシアネート基の吸収の消失を確認
し、反応終了後水を添加して攪拌し、n−ヘキサン50
0mlを加え、さらに飽和NaCl水溶液約1000m
lを加えて攪拌した。有機層を分離した後、硫酸マグネ
シウムを加えて乾燥し、溶剤を減圧下に除去して親水性
シロキサニルメタアクリレート32gを得た。
【0027】<レンズの製作>上記の親水性シロキサニ
ルメタクリレート9.5重量部、トリス(トリメチルシ
ロキシ)シリルプロピルメタクリレート23.5重量
部、N−ビニルピロリドン30.5重量部、N−ジメチ
ルアクリルアミド23.5重量部、トリフルオロエチル
メタクリレート7重量部、1,1,2,2−テトラフロ
ロエトキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート5
重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.9重
量部、アゾイソブチロニトリル0.1重量部、ジメチル
フォルムアミド5重量部を窒素雰囲気下で溶解混合し
た。この混合物を、直径16mmのプロピレン製試験管
に入れ45℃で16時間、60℃で24時間、90℃で
72時間重合して透明なビッカース硬度8.4の重合物
を得た。
【0028】得られた重合物から切削研磨法にてベース
カーブ9.0mm、パワー−3.00ディオプター、サ
イズ14.0mm、中心厚み0.05mmのレンズにな
るように加工した。得られたドライレンズを生理食塩水
で90℃で3時間及び保存液で16時間膨潤し、含水ソ
フトレンズを得た。得られたレンズを37℃の精製水に
72時間浸漬した後に求めた含水率は46%で、ナトリ
ウムイオン透過係数は4.8×10-3mm2 /min、
引っ張り弾性率は1.0×107 dyne/cm2 であ
った。レンズをモデル汚れ液に浸漬してタンパク質及び
脂質の付着性を評価した結果、タンパク質は10μg/
枚、脂質は40μg/枚と少ない物であった。また、一
定の厚みのディスクで測定した酸素透過係数(Dk値)
は80であった。水濡れ性は良好でランク3であった。
【0029】上記のレンズを白色家兎の眼に装着して3
1日間連続して装用させたが、レンズの動きもスムーズ
で固着が無く、レンズの汚れもほとんど無かった。ま
た、家兎眼にも異常が無く長期装用にも安全であること
が判った。回収したレンズは水濡れ性が保たれており、
レンズ性能の経時変化は認められなかった。なお、家兎
角膜の曲率半径と同じレンズで同様に装用試験を21日
間実施したが固着は認められず、ランク5であった。
【0030】
【実施例2】親水性シロキサニルメタクリレート17重
量部、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメ
タクリレート16重量部にした他は実施例1に記載の方
法で重合して透明な重合物を得た。得られた重合物から
同様にして含水ソフトレンズを作成した。得られたレン
ズの含水率は44%、ナトリウムイオン透過係数は5.
3×10-3mm2 /min、引っ張り弾性率は1.2×
107 dyne/cm 2 であった。また、タンパク質及
び脂質の付着性はそれぞれ5μg/枚、38μg/枚と
少なく、Dk値は75であった。水濡れ性はランク3で
あった。
【0031】
【実施例3】親水性シロキサニルメタクリレートとして
トリス(トリフロロプロピルジメチルシロキシ)シリル
プロピルオキシエタノールを実施例1の合成法と同様に
して合成した。得られたモノマーを実施例1と同様の方
法で重合して重合物を得た。得られた重合物から実施例
1と同様の方法でレンズを加工した。得られたレンズの
含水率は40%、ナトリウムイオン透過係数は1.8×
10-3mm2 /min、引っ張り弾性率は1.1×10
7 dyne/cm2 であった。また、タンパク質及び脂
質の付着性はそれぞれ12μg/枚、35μg/枚と少
なく、Dk値は65であった。水濡れ性はランク3で優
れていた。
【0032】
【実施例4】親水性シロキサニルメタクリレートとして
トリス(ポリジメチルシロキシ)シリルプロピル基を有
するものを実施例1の合成法と同様にして合成した。得
られたモノマーを実施例1と同様の方法で重合して重合
物を得た。得られた重合物から実施例1と同様の方法で
レンズを加工した。得られたレンズの含水率は40%、
ナトリウムイオン透過係数は1.4×10-3mm2 /m
in、引っ張り弾性率は0.9×107 dyne/cm
2 であった。また、タンパク質及び脂質の付着性はそれ
ぞれ15μg/枚、45μg/枚と少なく、Dk値は9
8であった。水濡れ性はランク3であった。
【0033】
【実施例5】実施例1に記載したモノマー混合物に紫外
線重合開始剤を加え、エチレンビニルアルコール共重合
物製のレンズ形状にしたキャスト重合用鋳型に注入し、
紫外線を照射して重合し、膨潤してソフトコンタクトレ
ンズを得た。実施例1と同様にして物性を評価した結
果、含水率は46%、Dk値は80で同等で、タンパク
質及び脂質の付着性はそれぞれ18μg/枚、150μ
g/枚と少なかった。表面の水濡れ性はランク3で、低
下していなかった。家兎眼での長期装用試験では汚れ付
着が少なく、変形もなく、水濡れ性は経時変化していな
いでレンズを保存液から引き上げてもランク3を維持し
ていた。
【0034】
【比較例1】親水性シロキサニルメタクリレートを加え
ずに、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメ
タクリレートを33重量部にして、ジメチルフォルムア
ミドを加えない他は実施例1に記載のモノマー混合物に
紫外線重合開始剤を加え、プロピレン製のレンズ形状に
したキャスト重合用鋳型に注入し、紫外線を照射して重
合し、膨潤してソフトコンタクトレンズを得た。実施例
1と同様にして物性を評価した結果、含水率は46%、
ナトリウムイオン透過係数は0.02×10-3mm2
min、Dk値は60であった。タンパク質及び脂質の
付着性はそれぞれ45μg/枚、450μg/枚と多か
った。水濡れ性はランク1で低いものであった。家兎眼
での長期装用試験では汚れ付着が多く、一部レンズが変
形していた。水濡れ性は大きく変わり、レンズを保存液
から引き上げるとすぐに表面の水層がなくなる状態でラ
ンク0となった。また、角膜曲率半径と同じベースカー
ブのレンズを装用した固着試験では9眼中6眼でランク
1の固着が起こり、その内2眼はランク0であった。
【0035】
【実施例6】ヒドロキシプロピル基、トリフロロプロピ
ル基を有する平均分子量約3000の両末端ヒドロキシ
プロピル基を有するポリジメチルシロキサンと、2−イ
ソシアナトエチルメタアクリレートとの反応により親水
性シロキサニルマクロマーを合成した。上記親水性シロ
キサニルマクロマー70重量部、N−ビニルピロリドン
15重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド15重量
部、トリフロロエチルメタアクリレート5重量部、エチ
レングリコールジメタアクリレート1重量部のモノマー
混合物に紫外線重合開始剤を加え、エチレンビニルアル
コール共重合物製のレンズ形状にしたキャスト重合用鋳
型に注入し、紫外線を照射して重合した。得られた重合
物を膨潤してソフトコンタクトレンズを得た。実施例1
と同様にして物性を評価した結果、含水率は23%、D
k値は160で、ナトリウムイオン透過係数は0.55
×10-3mm2 /min、タンパク質及び脂質の付着性
はそれぞれ18μg/枚、50μg/枚と少なかった。
水濡れ性はランク3で優れていた。家兎眼での長期装用
試験では汚れ付着が少なく、変形もなく、水濡れ性は経
時変化していないでレンズを保存液から引き上げても表
面の水層がなくならずランク3で変化なかった。また、
角膜曲率半径と同じレンズでの21日間の連続装用をし
たが、試験眼9眼全てで固着は認められずランク5であ
った。
【0036】
【実施例7】重合度10のメチル基末端のポリエチレン
グリコール基、トリフロロプロピル基を有する平均分子
量約3000の両末端ヒドロキシプロピル基を有するポ
リジメチルシロキサンと、2−イソシアナトエチルメタ
アクリレートとの反応により親水性シロキサニルマクロ
マーを合成した。上記親水性シロキサニルマクロマー7
0重量部、N−ビニルピロリドン15重量部、N、N−
ジメチルアクリルアミド15重量部、トリフロロエチル
メタアクリレート5重量部、エチレングリコールジメタ
アクリレート1重量部のモノマー混合物に紫外線重合開
始剤を添加し、エチレンビニルアルコール共重合物製の
レンズ形状にしたキャスト重合用鋳型に注入し、紫外線
を照射して重合し、膨潤してソフトコンタクトレンズを
得た。実施例1と同様にして物性を評価した結果、含水
率は27%、Dk値は170で、ナトリウムイオン透過
係数は1.05×10-3mm2 /min、タンパク質及
び脂質の付着性はそれぞれ18μg/枚、50μg/枚
と少なかった。水濡れ性はランク3で優れていた。家兎
眼での長期装用試験では汚れ付着が少なく、変形もな
く、水濡れ性は経時変化していないでレンズを保存液か
ら引き上げても表面の水層がなくならずランク3で変化
なかった。また、角膜曲率半径と同じレンズでの21日
間の連続装用をしたが、試験眼4眼全てで固着は認めら
れずランク5であった。
【0037】
【比較例2】実施例6のモノマー混合物をポリプロピレ
ン製のレンズ形状にしたキャスト重合用鋳型に注入し、
紫外線を照射して重合し、膨潤してソフトコンタクトレ
ンズを得た。実施例6と同様にして物性を評価した結
果、含水率は24%、Dk値は165で、ナトリウムイ
オン透過係数は0.02×10-3mm2 /min、タン
パク質及び脂質の付着性はそれぞれ60μg/枚、35
0μg/枚と多かった。水濡れ性は保存液浸漬レンズで
はランク2であり、レンズ表面の水を拭き取ってから試
験するとランク1で乾燥により表面の水濡れ性が大幅に
低下した。家兎眼での長期装用試験では汚れ付着が多く
レンズが白濁し、変形もあり、水濡れ性は経時変化して
レンズを保存液から引き上げると直ぐに表面の水層がな
くなりランク0であった。また、固着の試験では9眼中
4眼でランク4の固着が起きた。
【0038】
【比較例3】実施例6で、親水性シロキサニルマクロマ
ー85重量部、N−ビニルピロリドン10重量部、N,
N−ジメチルアクリルアミド5重量部、トリフロロエチ
ルメタアクリレート5重量部、エチレングリコールジメ
タアクリレート1重量部のモノマー混合物のモノマー混
合物を、ポリプロピレン製のレンズ形状にしたキャスト
重合用鋳型に注入し、紫外線を照射して重合し、膨潤し
てソフトコンタクトレンズを得た。実施例6と同様にし
て物性を評価した結果、含水率は12%、Dk値は25
6で、ナトリウムイオン透過係数は0.011×10-3
mm2 /min、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞ
れ50μg/枚、355μg/枚と多かった。水濡れ性
は保存液浸漬レンズではランク2であり、レンズ表面の
水を拭き取ってから試験するとランク1で乾燥により表
面の水濡れ性が大幅に低下した。家兎眼での長期装用試
験では汚れ付着が多くレンズが白濁し、変形もあり、水
濡れ性は経時変化してレンズを保存液から引き上げると
直ぐに表面の水層がなくなりランク0であった。また、
固着の試験では9眼中4眼でランク2の固着が起きた。
【0039】
【発明の効果】本発明は、装用した時に汚れ付着性が少
なく、角膜へのレンズの固着が無く、適度な引っ張り弾
性率を有するためレンズの動きがスムーズで安定してお
り、長期装用性に優れたコンタクトレンズを提供でき
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H006 BB01 BB03 BB05 BB07 BB08 4F071 AA33 AA67 AF07Y AF08Y AF10Y AH19 BA01 BB01 BB13 BC07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水率が17.5〜50%の範囲内で、
    ナトリウムイオン透過係数が0.2〜10×10-3mm
    2 /minの範囲内にあり、酸素透過係数が30以上で
    ある含水ソフトコンタクトレンズ。
  2. 【請求項2】 含水率が20〜40%の範囲内で、ナト
    リウムイオン透過係数が0.3〜5×10-3mm2 /m
    inの範囲内にあり、酸素透過係数が80〜300の範
    囲内である請求項1に記載の含水ソフトコンタクトレン
    ズ。
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