JP2001091565A - 回転機巻線の部分放電測定方法 - Google Patents

回転機巻線の部分放電測定方法

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JP2001091565A
JP2001091565A JP26548699A JP26548699A JP2001091565A JP 2001091565 A JP2001091565 A JP 2001091565A JP 26548699 A JP26548699 A JP 26548699A JP 26548699 A JP26548699 A JP 26548699A JP 2001091565 A JP2001091565 A JP 2001091565A
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紀明 関
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転機の運転時に部分放電を測定する場合
に、確実、かつ、より容易に回転機の運転中の電荷校正
を実現して部分放電の測定を行い、さらに、回転機の停
止時と運転時とのそれぞれの部分放電測定結果を対比可
能とする部分放電測定方法を提供する。 【解決手段】 回転機の停止時に、巻線の絶縁体に並列
に接続されるパルス発生器PG1と診断車31とを用い
て電荷校正を行う。巻線に回転機の定格電圧を印加して
その部分放電現象を診断車で測定する。回転機の運転中
に、測温用のサーチコイルとサーチコイルに接続された
測定器25とを用いて、測定器によって検出された検出
信号が停止時に定格電圧が印加した際に診断車が検出し
た検出信号と同一であるとして電荷校正を行った後に、
運転中の部分放電現象を測定器に測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば水力発電所
等に設置されている発電機、同期電動機、誘導電動機も
しくは直流電動機等の各種の回転機における巻線の絶縁
劣化状態を、部分放電法を用いて測定,評価する回転機
巻線の部分放電測定方法に関し、特に、回転機の運転中
に部分放電を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】同期電動機、誘導電動機や直流電動機等
の各種回転機は回転子巻線及び固定子巻線を備えてお
り、これらの巻線の絶縁状態は回転機の性能維持のため
の重要な要素である。
【0003】このため、例えば、水力発電所の水車発電
機用として用いられる同期機の固定子巻線にあっても、
各種の方法で絶縁状態の測定が行われている。この種の
測定は、一般的に、発電機の運転を停止させたうえで、
巻線の絶縁体の部分放電等を測定することにより行われ
ている。従来、この固定子巻線の部分放電の測定は、そ
の固定子巻線に対し電荷を直接注入する方法が採られる
ことが多かった。具体的には、まず、発電機の運転を停
止させ、次に巻線の口出し部の絶縁を剥ぎ取り、その剥
ぎ取った巻線に対し電荷を直接注入することにより行わ
れていた(直接注入法)。
【0004】すなわち、部分放電現象は、放電が電極と
電極との間を橋絡するように発生しているのではなく、
電極に挟まれた絶縁体の一部分で発生しているものであ
り、その等価回路は、図4に示すように、放電が発生す
る部分のCcと、この放電部分に直列に挟まれる放電が
発生しない健全部分Cbと、残りの健全部分Caとによ
って表される。同図において、供試体となる巻線の絶縁
体はCに対応することになり、上記直接注入法において
は、Ck1なる結合コンデンサを通して測定器31を接
続し、この測定器31が電圧変化を測定することによっ
て放電電荷を測定するようにしている。
【0005】ところが、直接注入法を実施するために
は、巻線に対し電圧を直接印加させる必要があることか
ら発電機の運転を停止させなければならず、発電機の運
転中に実施することは不可能であるという不都合があ
る。
【0006】そこで、発電機の運転中であっても部分放
電現象を検出し得る方法として、発電機固定子の巻線を
収容するスロット内部の測温用サーチコイルを用いた部
分放電測定法が知られている。この方法は、図2に示す
ように、固定子1のスロット3内に収容された巻線4、
およびその絶縁体の過加熱を検知するために、このスロ
ット3内の巻線4a,4b間に配設されているサーチコ
イル型の温度センサ6が、たまたま巻線4の部分放電を
静電結合で検知し得る構成であることを利用して部分放
電現象を知見しようとするものである。
【0007】すなわち、このサーチコイル6を用いた部
分放電測定方法は、上記巻線4とサーチコイル6が静電
結合し得ることから、図4に示すような巻線4の絶縁体
に該当するコンデンサCに対して、巻線4とサーチコイ
ル6による結合コンデンサCk2が並列に配設したよう
な等価回路が構成されることを利用している。このた
め、上記巻線4の絶縁体5における部分放電現象が上記
結合コンデンサCk2に直列に配設された測定器25に
よって検出することが可能となる。
【0008】ところが、このサーチコイル6を用いた部
分放電検出方法においては、放電の電荷量が不明である
ため、放電特性を定量的に評価できないという不都合が
ある。すなわち、測定器25,31によって検出される
のはパルス電圧であるが、このパルス電圧値は上記コン
デンサCにおける健全部分Caに依存してしまうことに
なる。このため、放電現象を定量的に評価するには、上
記Caに依存しない量で評価する必要があり、このた
め、Ccにおいて放電が生じるときの電圧Vと、このC
cに直列に接続された健全部分Cbとの積によって表さ
れる放電電荷Q(=Cb×V)を用いるようにしてい
る。
【0009】そこで、上記測定器25,31で測定され
た変動電圧を放電電荷に校正する電荷校正が必要である
が、このような電荷校正は、供試体であるコンデンサC
に対して上記コンデンサCの健全部分Cbに対応するコ
ンデンサC01を有し、放電が生じた放電部分Ccに対応
するパルス発生器PG1を並列に接続することによって
行われる(図4参照)。すなわち、上記パルス発生器P
G1により既知電圧Vのパルスを発生させることによっ
て部分放電が発生した状態を擬似的を再現することにな
り、上記既知電圧VとコンデンサC01との積によって表
される放電電荷Qが、上記測定器25,31において検
出される電圧値と対応づけされる。このようにして、上
記測定器25,31の電荷校正を行うようにしている。
【0010】ところが、このような電荷校正は、発電機
が停止した状態であれば可能であるが、パルス発生器P
G1が高電圧に耐え得るものではないことから、発電機
の運転中にはパルス発生器PG1接続することが困難で
あり、電荷校正を行うことができない。従って、サーチ
コイル6を用いることで発電機の運転中の部分放電測定
をしようとしても、電荷校正を行えないことからその定
量的な評価が困難となってしまうという不都合がある。
【0011】そこで、発電機の運転中に電荷校正を可能
とするために、特開平9−222456号公報には、固
定子のスロット内にサーチコイルとは別のコイルを配置
して、電荷校正を行うことが記載されている。この方法
では、上記コイルと巻線とが静電結合することによって
結合コンデンサ(図4のC01に対応するコンデンサ)が
構成されることを利用して、上記コイルにパルス発生器
を接続して発電機の運転中であっても電荷校正を行うこ
とを可能となるようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載された電荷校正方法では、スロット3内にサーチコイ
ル6とは別のコイルを配設しておく必要があり、既存の
発電機においては、そのコイルの設置が困難であるとい
う不都合がある。
【0013】また、巻線と上記コイルとによって構成さ
れる結合コンデンサの静電容量を予め、測定によりある
いは計算によって求めておく必要があるが、当該静電容
量の測定には多くの手間と時間がかかり、また、その測
定あるいは計算を正確に行うことは困難であるという不
都合がある。このため、電荷校正として、容易、かつ正
確に行い得るものではないという不都合がある。
【0014】これを解消するために、例えば、発電機の
停止時に、サーチコイル6に接続された測定器25にお
ける電荷校正を予め行っておき、発電機の運転時には、
上記測定器25の入り口にパルス発生器を接続して、上
記測定器25の応答が、上記発電機の停止時に電荷校正
を行った際の状態と同じになるように、上記パルス発生
器のパルスを調整して電荷校正を行う方法が考えられ
る。すなわち、発電機の停止時に、部分放電現象を擬似
的に再現した回路による通常の電荷校正を行えば、発電
機の運転時には、測定器に対してのみ電荷校正時の状態
を擬似的に再現させれば、電荷校正し得るという考えに
基づく電荷校正方法である。
【0015】具体的には、図3に示すように、発電機の
停止時に、高圧電源及び測定器を備えた診断車31の測
定ケーブル32、及びパルス発生器PG1を固定子の巻
線につながっている引出口に接続する。一方、サーチコ
イル6に接続された中継端子20に測定器25を接続す
る。このときの等価回路は、図6に示すようになる。す
なわち、巻線4の絶縁体5に対応するコンデンサCに対
し、並列にパルス発生器PG1及び測定器25が接続さ
れた状態となる。そして、パルス発生器PG1よりパル
スを発生させたときの測定器25の応答を検出する。こ
れによって、発電機の停止時に電荷校正が行われたこと
になる。なお、このとき、後述するパルス発生器PG2
は接続されていない。
【0016】ついで、発電機の運転時には、図7に示す
ように、パルス発生器PG2を中継端子20に接続す
る。このとき、パルス発生器PG2が接続されている一
方、他方のパルス発生器PG1は接続されていない(図
6参照)。そして上記パルス発生器PG2から注入する
パルスを調整して、測定器25の応答が上記発電機の停
止時において得られた測定器25の応答と同一になるよ
うにして上記測定器25のみにおいて部分放電が発生し
た状態を擬似的に再現し電荷校正を行う。このようにす
れば、サーチコイル6とは別のコイルを配設する必要も
ない上に、静電容量を予め測定あるいは計算しておくこ
とが省略され、発電機の運転時の電荷校正を、正確、か
つ容易に行うことができるようになる。
【0017】ところが、本発明者が上記の考えに基づき
実験を繰り返して検討したところ、発電機の運転時にパ
ルス発生器PG2からパルスを注入しても、測定器25
の応答が小さい場合があり、このように校正電荷の電荷
の応答が小さいと運転時に測定した部分放電現象を過大
に評価してしまうこととなってしまい、正確な部分放電
測定が実現し得ない場合があることが判明した。このよ
うな測定器25の応答はサーチコイル6の配置状態等に
依存していると考えられ、上記の電荷校正方法は、正確
に電荷校正が行え運転中に部分放電現象を容易かつ正確
に測定し得る場合もあるが、全てのサーチコイル6に対
して常に確実に電化校正することができないという不都
合があることが判明した。
【0018】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、発電機等の回
転機の運転時に部分放電を測定する場合に、確実、か
つ、より容易に回転機の運転中の電荷校正を実現して、
部分放電の測定を行うことにあり、さらに、回転機の停
止時と運転時とのそれぞれの部分放電測定結果を対比可
能とする部分放電測定方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、実験を重ねた結果、発電機の停止時に
巻線に対しこの発電機の定格電圧に等しい電圧を印加し
た場合の直接注入法による測定結果と、発電機の運転時
にサーチコイルを用いて部分放電現象を測定した結果と
が、ほぼ等しいことを見いだして本発明を完成するに至
ったものである。
【0020】すなわち、図8に示すように、発電機の運
転時の部分放電現象、すなわち、巻線にE/√3の電圧
が印加している状態での部分放電現象をサーチコイルを
用いることによって測定した結果(同図の(a))と、
発電機の停止時に巻線にE/√3の電圧を印加したとき
の部分放電現象をサーチコイルにより測定した結果(同
図の(b))とを比較したところ、その検出した電圧レ
ベルがほぼ同レベルであることが見い出された。
【0021】また、サーチコイルを用いた部分放電現象
の測定が、発電機の運転時であっても雑音の増大などを
伴うことなく、印加した電圧に対応して検出されること
を確認することができた。
【0022】そこで、発電機の停止中に所定の電荷を注
入することによって行った電荷校正の状態と同じ状態を
発電機の運転中に再現しなくてもよい点に着目した。す
なわち、発電機の停止時に、この発電機の定格電圧に等
しい電圧を印加した場合に測定された放電電荷を、その
運転中にサーチコイルを用いて検出した測定器の検出信
号に対応させることによっても電荷校正を行い得るとの
結論に到達し、本発明を完成するに至ったものである。
【0023】具体的に、本発明は、回転機の停止時に、
上記回転機の固定子のスロットに配置された巻線の絶縁
体に対し、それぞれ並列に接続されたパルス発生器と第
1測定器とを用いて、上記パルス発生器から既知電圧の
パルスを上記巻線に注入し、このときの上記第1測定器
の応答からこの第1測定器における電荷校正を行った上
で、上記巻線に対し上記回転機の定格電圧に等しい電圧
を印加したときの上記絶縁体に生じる部分放電現象を、
上記第1測定器によって測定する。一方、上記回転機の
運転中に、上記スロット内の巻線近傍に設けられてこの
巻線と静電結合するセンサと、このセンサに接続された
第2測定器とを用いて、上記第2測定器によって検出さ
れた検出信号が、上記回転機の停止時に上記巻線に対し
定格電圧に等しい電圧を印加したときの上記第1測定器
が検出した検出信号と同一であるとして、上記第2測定
器における電荷校正を行った後に、上記回転機の運転中
の部分放電現象を、上記第2測定器によって測定するこ
とを特定事項とする方法である。
【0024】ここで、「パルス発生器」及び「第1測定
器」は、共にそれぞれコンデンサを有するものとするの
がよい。すなわち、パルス発生器に備えられたコンデン
サは電荷校正の際の健全部分Cbに対応するコンデンサ
となる。一方、第1測定器に備えられたコンデンサは、
部分放電の測定の際に結合コンデンサCkとなるもので
ある。また、「センサ」は、回転機の運転中に巻線と静
電結合することによって、結合コンデンサCkを構成す
ることになる。
【0025】そして、この場合、発電機の停止時に所定
の電荷を注入することによって行った電荷校正の状態を
回転機の運転中に再現しなくても、電荷校正を行うこと
が可能となり、例えば、サーチコイルの配置状態などに
起因する、パルス入力による電荷校正を行うことができ
ないこと等が確実に回避される。その結果、発電機の運
転中の電荷校正を、常に、確実に行うことが可能になる
と共に、回転機の運転中の部分放電の測定を、この校正
電荷に基づいて定量的に、しかも、正確に行い得る。
【0026】ここで、「センサ」としては、巻線と静電
結合し得る電極であればよく、具体的には、例えば請求
項2記載の如く、巻線の温度監視用としてスロットに予
め付設されている測温用サーチコイルを利用するように
してもよい。この場合、センサとして、新たな電極をス
ロット内に配置させることなく電荷校正及び部分放電の
検出が可能となり、既存の発電機においてもそのまま部
分放電の検出・測定が可能となる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における回
転機巻線の部分放電測定方法によれば、発電機の停止時
に所定の電荷を注入することによって行った電荷校正の
状態を、回転機の運転中に再現しなくても、電荷校正を
行うことができるようになり、例えば、サーチコイルの
配置状態などによって、運転中にパルス入力による電荷
校正を行うことができないこと等を確実に回避すること
ができる。その結果、発電機の運転中の電荷校正を、常
に、確実に行うことができると共に、部分放電の測定を
より容易に、かつ正確に行うことができるようになる。
【0028】さらに、回転機の停止中の部分放電現象の
測定結果を、回転機の運転中に測定器で測定された電圧
レベルを同一視することによって、運転中に測定された
放電電荷のレベルと、発電機の停止時に測定された放電
電荷のレベルとが互いに一致することになり、その結
果、両測定結果の対比ができるようになる。このため、
巻線の部分放電状態を確定した評価に基づいて運転中で
も継続して管理することができ、発電機巻線の時系列的
な劣化状況を正確に把握してその寿命などを推定するこ
とができるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0030】図1は、本実施形態に係る部分放電測定の
対象となる発電機を示し、1は固定子、2はこの固定子
1の中心部に図1の紙面に直交する方向の軸の回りに回
転する回転子である。
【0031】上記固定子1には、等角度に多数個のスロ
ット3,3,…が設けられている。なお、図示の便宜上、
図1では12個のスロット3,3,…のみを図示してい
る。
【0032】そして、図2に示すように、各スロット3
には上巻線4aと下巻線4bとからなる巻線4が設けら
れており、これらの巻線4a,4bはマイカ等の絶縁体
5により囲まれている。
【0033】各巻線4には、ガラステープやマイカテー
プを巻回した平角銅線が用いられる。なお、上記巻線4
は上巻線4aと下巻線4bとに分かれた2層巻形態とさ
れている。このような2層巻形態は、固定子巻線をスロ
ット内へ収容する形態として広く用いられている。
【0034】上記特定のスロット3には、上巻線4aと
下巻線4bとの間に、温度測定用の抵抗を有するサーチ
コイル6が配置されている。このサーチコイル6は、本
来、巻線4の異常な温度上昇を監視するために設置され
ているものであるが、本実施形態では部分放電信号を検
出するためのセンサとしても用いられる。
【0035】ここで、各サーチコイル6には、温度変化
により抵抗値が変化する銅素子や白金素子を絶縁体で被
覆した平板状のものを好適に用いることができる。その
他、サーチコイル6として、熱電対式のものを用いるこ
とも可能である。
【0036】そして、各サーチコイル6は、上述のよう
に、上巻線4aと下巻線4bとの間に埋込的に配置され
ているため、各サーチコイル6は巻線4の素線自体の各
絶縁体及び絶縁体5を隔てて充電部に接することとな
る。従って、各サーチコイル6と巻線4との間におい
て、静電結合が可能となり、運転中の部分放電の測定に
おいて、結合コンデンサとして利用することができる。
【0037】また、各サーチコイル6からは三本のリー
ド線7が外部に引き出されている。なお、図2において
は、リード線7を図示簡略化のために横方向に延出する
ように図示しているが、実際は紙面と垂直な方向に延出
している。このリード線7の他端側は、通常は温度計測
装置に接続されているのであるが、本実施形態では、任
意のサーチコイル6のリード線7を部分放電信号検出用
のリード線として用いる。この特定スロット3,3,…の
サーチコイル6のリード線7は、固定子1に設けられた
中継端子20に接続されている。
【0038】次に、発電機の運転を停止させた状態で行
う定期点検について説明する。
【0039】まず、図3に示すように、診断車31の測
定ケーブル32を固定子の引出口に接続する。この固定
子の引出口は、上記巻線に接続されているものである。
また、上記診断車31は、高圧電源及び第1測定器を備
えている。この高圧電源は上記巻線に対して電圧を印加
するために用いられるものである。
【0040】そして、既知の静電容量を有するコンデン
サC01を有するパルス発生器PG1を上記引き出し口に
接続する。このとき、等価回路は、図4に示すように、
巻線の絶縁体5であるコンデンサCに対し、測定器31
及びパルス発生器PG1が並列に接続されたようにな
る。同図において、測定器31は、上記診断車31に備
えられたものを示し、結合コンデンサCk1は、同じく
この診断車31に備えられたものを示している。なお、
図3において、発電機の停止中には測定器25は接続さ
れていない。
【0041】そして、まず、電荷校正を行うようにす
る。すなわち、上記パルス発生器PG1によって既知電
圧Vのパルスを発生させることによって、上記等価回路
は擬似的に部分放電現象が生じた状態となる。このと
き、上記パルス発生器PG1において印可した電圧Vと
上記コンデンサC01の静電容量とによって放電電荷Qが
特定される(Q=C01×V)。このときの測定器31の
応答と、放電電荷Qを対応させることによって電荷校正
ができる。
【0042】そして、電荷校正を行った後に、発電機の
停止時における部分放電の測定を行う。これは、上記診
断車31の高圧電源によって巻線4に所定の電圧を印加
し、このときの電圧変動を診断車31(測定器31)が
測定することによって行う。この部分放電の測定によっ
て、例えば図5に示すような、印加電圧に対する放電電
荷のデータが得られることになる。なお、同図におい
て、実線は印加電圧を低い値から高い値に増加させてい
った場合に得られた結果であり、破線は印加電圧を高い
値から低い値に減少させていった場合に得られた結果を
示している。
【0043】次に、発電機の運転中の部分放電測定につ
いて説明する。
【0044】発電機の運転中に行う部分放電測定では、
図3に示すように、中継端子20を介して測定対象のス
ロット3のサーチコイル6を測定器25に接続する。な
お、図示は省略するが、測定器25は、商用周波数を除
去するためのハイパスフィルタ等を含んだ検出回路と、
検出回路の出力を表示する表示器とを備えている。ま
た、同図において、診断車31及びパルス発生器PG1
は、引出口に接続されていない。このとき等価回路は、
図4に示すようになる。すなわち、測定器25は上記中
継端子20に接続されたものであり、結合コンデンサC
2は、サーチコイル6によって構成されたものとなっ
ている。なお、図4においても、上述したようにパルス
発生器PG1は接続されていない状態となっている。
【0045】そして、まず、測定器25における電荷校
正を行うが、この電荷校正は、図5に示す発電機の停止
時に得られた印加電圧に対する放電電荷の測定データに
おいて、試験電圧として定格電圧E/√3を印加した際
の放電電荷の値を、発電機の運転中に測定器25で測定
された電圧に対応させることによって行う(同図の一点
鎖線参照)。すなわち、発電機の運転中には巻線4に定
格電圧E/√3が印可した状態となっており、このとき
の放電現象と、発電機の停止時に巻線4に定格電圧を印
加した時の放電現象とは同じ現象であるとみなすことに
なる。なお、放電電荷としては、図5において破線で示
される結果を用いるのが好ましい。
【0046】そして、このようにして得られた校正電荷
に基づいて、発電機の運転中に各スロット3の巻線4の
部分放電を電荷量に換算して測定する。
【0047】このように、発電機の運転時において電荷
校正を行う際に、放電電荷の発生状態を再現して電荷校
正を行わなくても、発電機の停止時に測定された部分放
電現象の検出結果を利用して、運転中に電荷校正を行う
ことができるようになる。このため、サーチコイル6の
配設状態等に起因して電荷校正が正確に行えない等の不
具合を確実に回避することができるようになる。その結
果、発電機の運転中であっても常に、正確に、電荷校正
を行って、運転中の部分放電現象を正確に把握すること
ができるようになる。
【0048】また、発電機の停止中に行った部分放電試
験の結果と、運転中に行った部分放電試験の結果とを対
比させることができるため、巻線の部分放電状態を確定
した評価に基づいて運転中でも継続して管理することが
でき、発電機巻線4の時系列的な劣化状況を正確に把握
してその寿命などを推定することができるようになる。
【0049】なお、本実施形態では、回転機として発電
機に適用しているが、これに限らず、例えば同期電動
機、誘導電動機もしくは直流電動機等の各種の回転機に
適用するようにしてもよい。この場合であっても、回転
機の運転中に電荷構成を確実に行うことができるように
なり、運転中の部分放電測定をより容易に、かつ正確に
行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の適用対象となる発電機の概
略断面図である。
【図2】スロットの拡大図である。
【図3】発電機の停止時、及び運転時における部分放電
測定の機器配置図である。
【図4】発電機の停止時、及び運転時における部分放電
測定の等価回路図である。
【図5】発電機の停止時において測定された印加電圧と
放電電荷の関係の一例を示す図である。
【図6】従来の発電機の停止時、及び運転時における部
分放電測定の等価回路を示す図4対応図である。
【図7】従来の発電機の停止時における部分放電測定の
機器配置を示す図3対応図である。
【図8】発電機の運転時と停止時とにおける部分放電現
象の検出結果を示す図である。
【符号の説明】
1 固定子 3 スロット 4 巻線 5 絶縁体 6 サーチコイル(センサ) 11 パルス発生器 25 測定器(第2測定器) 31 絶縁診断車(第1測定器)
フロントページの続き (72)発明者 角田 美伯 埼玉県熊谷市新堀1008番地 三菱電線工業 株式会社熊谷製作所内 Fターム(参考) 2G014 AA16 AA23 AB06 2G015 AA12 BA03 CA01 CA20 2G016 BA00 BB09 BC02 BD08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機の停止時に、 上記回転機の固定子のスロットに配置された巻線の絶縁
    体に対し、それぞれ並列に接続されたパルス発生器と第
    1測定器とを用いて、 上記パルス発生器から既知電圧のパルスを上記巻線に注
    入し、このときの上記第1測定器の応答からこの第1測
    定器における電荷校正を行った上で、 上記巻線に対し上記回転機の定格電圧に等しい電圧を印
    加したときの上記絶縁体に生じる部分放電現象を、上記
    第1測定器によって測定する一方、上記回転機の運転中
    に、 上記スロット内の巻線近傍に設けられてこの巻線と静電
    結合するセンサと、このセンサに接続された第2測定器
    とを用いて、 上記第2測定器によって検出された検出信号が、上記回
    転機の停止時に上記巻線に対し定格電圧に等しい電圧を
    印加したときの上記第1測定器が検出した検出信号と同
    一であるとして、上記第2測定器における電荷校正を行
    った後に、 上記回転機の運転中の部分放電現象を、上記第2測定器
    によって測定することを特徴とする回転機巻線の部分放
    電測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項2において、 センサは、巻線の温度監視用としてスロットに予め付設
    されている測温用サーチコイルを利用することを特徴と
    する回転機巻線の部分放電測定方法。
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