JP2001068995A - 単一磁束量子回路 - Google Patents

単一磁束量子回路

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JP2001068995A
JP2001068995A JP24415499A JP24415499A JP2001068995A JP 2001068995 A JP2001068995 A JP 2001068995A JP 24415499 A JP24415499 A JP 24415499A JP 24415499 A JP24415499 A JP 24415499A JP 2001068995 A JP2001068995 A JP 2001068995A
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transmission line
passive transmission
flux quantum
circuit
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JP24415499A
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Hideo Suzuki
秀雄 鈴木
Kazunori Miyahara
一紀 宮原
Yoichi Enomoto
陽一 榎本
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International Superconductivity Technology Center
Fujitsu Ltd
Original Assignee
International Superconductivity Technology Center
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】受動伝送線路を備える単一磁束量子回路に関
し、特性インピーダンスの大きい受動伝送線路を使用す
ることができるようにし、受動伝送線路のベースとなる
絶縁層を薄くすることなく、受動伝送線路の線路幅を狭
くすることができるようにし、受動伝送線路の占有面積
を縮小することによるチップ面積の縮小化により、チッ
プコストの低減化を図ると共に、受動伝送線路のベース
となる絶縁層にピンホールが発生しないようにして歩留
りの向上を図る。 【解決手段】受信回路10のジョセフソン接合J41〜
J(n+1)は、後段のジョセフソン接合ほど臨界電流
値が大きなジョセフソン接合とし、受信回路10を、初
段ほど入力インピーダンスが大きく、後段ほど等価的な
インピーダンスが小さくなるというインピーダンス変成
器としても機能させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受動伝送線路(Pa
ssive Transmission Lines)を備える単一磁束量子(Si
ngle Flux Quantum)回路に関する。
【0002】コンピュータや情報通信の分野において
は、高速かつ低消費電力のデバイスが要求されている。
これに対応して、超電導技術を用いた単一磁束量子回路
の研究が国内外で進められている。
【0003】
【従来の技術】従来、単一磁束量子回路としてRSFQ
(Rapid Single Flux Quantum)回路と呼ばれる論理回
路が提案されている(" RSFQ Logic/Memory Family :
A NewJosephson-Junction Technology for Sub-Teraher
tz-Clock-Frequency DigitalSystems ", IEEE TRANSACT
IONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, VOL.1, NO.1,MAR
CH 1991, PP.3-28 )。
【0004】図9はRSFQ回路(高速単一磁束量子回
路)の原理回路の一つであるジョセフソン伝送線路(Jo
sephson Transmission Lines)の構成を示す回路図であ
り、図9中、J11〜J16はジョセフソン接合、L1
1〜L16はインダクタンス、CS11〜CS16は直
流電流源である。
【0005】ジョセフソン伝送線路は、ジョセフソン接
合とインダクタンスとで梯子形回路を構成すると共に、
直流電流源により各セクションに直流電流を供給する構
成とし、入力信号を磁束量子を単位として伝送するとい
うものである。
【0006】ここに、ジョセフソン伝送線路は、ジョセ
フソン接合の臨界電流値Ic とジョセフソン接合間を接
続しているインダクタンス値Lとの積の値が磁束量子の
大きさである2.07×10-15 Vsよりも小さくなる
ようにする必要がある。
【0007】このため、長い伝送線路を必要とする場合
に、これをジョセフソン伝送線路で構成する場合には、
多数のジョセフソン接合を設けることが必要となるが、
この場合には、ジョセフソン接合のスイッチングによる
伝搬遅延が大きくなり、信号の高速伝送を図ることがで
きないという問題点があった。
【0008】そこで、また、従来、図10に示すような
単一磁束量子回路が提案されている(" TRANSMISSION O
F SINGLE-FLUX-QUANTUM PULSES ALONG SUPERCONDUCTING
MICROSTRIP LINES ", IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED
SUPERCONDUCTIVITY, VOL.3,NO.1, MARCH 1993, PP.2598
-2600)。
【0009】この単一磁束量子回路は、伝送線路として
受動伝送線路である超電導マイクロストリップ線路(Su
perconducting Microstrip Lines)を用いて信号の高速
伝送を図るとするものである。
【0010】図10中、3はジョセフソン伝送線路から
なるドライバ回路であり、J21、J22、J23はジ
ョセフソン接合、L21、L22、L23はインダクタ
ンス、R21、R22、R23は直流電流源を構成する
ための抵抗である。
【0011】また、4は超電導マイクロストリップ線
路、5はジョセフソン伝送線路からなる受信回路であ
り、J24、J25、J26はジョセフソン接合、L2
4、L25、L26はインダクタンス、R24、R2
5、R26は直流電流源を構成するための抵抗である。
【0012】また、6はドライバ回路3と超電導マイク
ロストリップ線路4とのインピーダンス整合を補正する
ためのインピーダンス整合補正回路であり、L27はイ
ンダクタンス、C27はキャパシタンスである。
【0013】また、7は超電導マイクロストリップ線路
4と受信回路5との間のインピーダンス整合を補正する
ためのインピーダンス整合補正回路であり、L28はイ
ンダクタンス、C28はキャパシタンスである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】図10に示す従来の単
一磁束量子回路は、ドライバ回路3及び受信回路5にお
いては、全てのジョセフソン接合J21〜J26を同一
臨界電流値のジョセフソン接合とすると共に、全てのイ
ンダクタンスL21〜L26を同一インダクタンス値の
インダクタンスとするとしている。
【0015】このため、ドライバ回路3と超電導マイク
ロストリップ線路4とのインピーダンス整合及び超電導
マイクロストリップ線路4と受信回路5とのインピーダ
ンス整合を考えると、ジョセフソン接合J21〜J26
の臨界電流値を比較的小さく設計しても、超電導マイク
ロストリップ線路4のインピーダンスは低くなり過ぎて
しまう。
【0016】ここに、例えば、超電導回路の作製技術と
して比較的進んでいるNb接合作製技術を用いた場合を
想定して、ジョセフソン接合J21〜J26の臨界電流
値を0.1mAとした場合には、超電導マイクロストリ
ップ線路4のインピーダンスは1.5〜2Ωと小さな値
になる。
【0017】これを実現するために、超電導マイクロス
トリップ線路4のベースとなる絶縁層としてSiO2
を使用し、その厚みを300nmとすると、超電導マイ
クロストリップ線路4の線路幅は40〜60μmと幅広
となってしまい、SiO2 層の厚みを700nmとする
と、超電導マイクロストリップ線路4の線路幅は80〜
120μmにもなってしまう。
【0018】また、例えば、ジョセフソン接合J21〜
J26の臨界電流値を0.25mAとすると、超電導マ
イクロストッリップ線路4の線路幅は、ジョセフソン接
合J21〜J26の臨界電流値を0.1mAとした場合
の2.5倍程度にもなってしまう。
【0019】なお、図10に示す従来の単一磁束量子回
路を示す前掲文献には、ジョセフソン接合J21〜J2
6として、臨界電流値が0.125mAのジョセフソン
接合を使用すると、超電導マイクロストリップ線路4の
インピーダンスは、1.8Ωとなることが報告されてい
る。
【0020】ここに、超電導マイクロストリップ線路4
の線路幅を狭めるためには、超電導マイクロストリップ
線路4のベースとなる絶縁層を薄くすることが有効であ
るが、絶縁層を薄くすると、絶縁層にピンホールが発生
し、歩留りが低下してしまうという問題点がある。
【0021】本発明は、かかる点に鑑み、特性インピー
ダンスの大きい受動伝送線路を使用することができるよ
うにし、受動伝送線路のベースとなる絶縁層を薄くする
ことなく、受動伝送線路の線路幅を狭くすることができ
るようにし、受動伝送線路の占有面積を縮小することに
よるチップ面積の縮小化によりチップコストの低減化を
図ることができると共に、受動伝送線路のベースとなる
絶縁層にピンホールが発生しないようにして歩留りの向
上を図ることができるようにした単一磁束量子回路を提
供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の単一磁束量子回
路は、受動伝送線路と、ジョセフソン伝送線路からな
り、受動伝送線路に単一磁束量子を出力するドライバ回
路と、ジョセフソン伝送線路からなり、受動伝送線路を
伝送されてくる単一磁束量子を受信する受信回路とを備
え、受信回路のジョセフソン接合は、単一磁束量子の伝
送が可能な範囲で、後段のジョセフソン接合ほど臨界電
流値が大きなジョセフソン接合とされているというもの
である。
【0023】本発明においては、受信回路のジョセフソ
ン接合は、後段のジョセフソン接合ほど臨界電流値が大
きなジョセフソン接合とされているので、受信回路は、
初段ほど入力インピーダンスが大きく、後段ほど等価的
なインピーダンスが小さくなるというインピーダンス変
成器としても機能することになる。
【0024】この結果、受動伝送線路の特性インピーダ
ンスが大きくても、受動伝送線路と受信回路とのインピ
ーダンス整合を図ることができ、ドライバ回路に入力さ
れる単一磁束量子を受動伝送線路及び受信回路を介して
受信回路の後段回路に伝送することができる。
【0025】このように、本発明によれば、受動伝送線
路として、特性インピーダンスが大きな受動伝送線路を
使用することができるので、受動伝送線路のベースとな
る絶縁層を薄くすることなく、受動伝送線路の線路幅を
狭くすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図8を参照して、本
発明の第1実施形態〜第6実施形態について説明する。
【0027】第1実施形態・・図1、図2 図1は本発明の第1実施形態の要部を示す回路図であ
り、図1中、8は3段構成のジョセフソン伝送線路から
なるドライバ回路であり、J31、J32、J33はジ
ョセフソン接合、L31、L32、L32はインダクタ
ンス、CS31、CS32、CS33は直流電流源であ
る。
【0028】また、9は超電導伝送線路からなる受動伝
送線路、10は(n+1)段構成のジョセフソン伝送線
路からなる受信回路であり、J41、J42、J43、
J4n、J4(n+1)はジョセフソン接合、L41、
L42、L43、L4n、L4(n+1)はインダクタ
ンス、CS41、CS42、CS43、CS4n、CS
4(n+1)は直流電流源である。
【0029】なお、ジョセフソン接合J43、J4n間
に順に存在するジョセフソン接合J44〜J4(n−
1)と、インダクタンスL43、L4n間に順に存在す
るインダクタンスL44〜L4(n−1)と、直列電流
源CS43、CS4n間に順に存在する直列電流源CS
44〜CS4(n−1)は、図示を省略している。
【0030】ここに、初段のジョセフソン接合J41の
臨界電流値をIc とすると、2段目のジョセフソン接合
J42の臨界電流値はβIc 、3段目のジョセフソン接
合J43の臨界電流値はβ2 Ic 、n段目のジョセフソ
ン接合J4nの臨界電流値はβn-1 Ic 、最終段のジョ
セフソン接合J4(n+1)の臨界電流値はβn Icと
なるようにされている。但し、βは、1<β≦2の値で
ある。
【0031】すなわち、受信回路10においては、ジョ
セフソン接合J4k(但し、kは1〜nの整数であ
る。)の臨界電流値はβk-1 Ic とされ、後段のジョセ
フソン接合の臨界電流値はβ倍ずつ大きくなるように設
定されている。
【0032】また、初段のインダクタンスL41のイン
ダクタンス値をLo とすると、2段目のインダクタンス
L42のインダクタンス値はLo /β、3段目のインダ
クタンスL43のインダクタンス値はLo /β2 、n段
目のインダクタンスL4nのインダクタンス値はLo /
βn-1 、最終段のインダクタンスL4(n+1)のイ
ンダクタンス値はLo /βn となるようにされている。
【0033】すなわち、インダクタンスL4kのインダ
クタンス値はLo /βk-1 とされ、後段のインダクタン
スのインダクタンス値は1/β倍ずつ小さくなるように
設定され、ジョセフソン接合J4kの臨界電流値βk-1
Ic とインダクタンスL4kのインダクタンス値はLo
/βk-1 との積が一定となるようにしている。この積
は、伝搬してきた単一磁束量子が超電導ループ内に留ま
らないように、単一磁束量子の大きさの0.2〜0.99
倍の範囲に選ぶことが適切である。
【0034】また、ドライバ回路8においては、ジョセ
フソン接合J31、J32、J33の臨界電流値は、ジ
ョセフソン接合J31、J32、J33の臨界電流値を
Ic_inとすると、例えば、Ic_in≒βn Ic とされ、イ
ンダクタンスJ31、L32、J33のインダクタンス
値は、インダクタンスL31、L32、L33のインダ
クタンス値をLo_inとすると、例えば、Lo_in≒Lo /
βn とされる。
【0035】このように、本発明の第1実施形態におい
ては、受信回路10は、k段目のジョセフソン接合の臨
界電流値をαk ×Ic 、(k+1)段目のジョセフソン
接合の臨界電流値をαk+1 ×Ic とすると(但し、α1
=1である。)、1<αk+1/αk ≦2となるように構
成されると共に、k段目のインダクタンスのインダクタ
ンス値は、L0 /αk とされ、かつ、αk+1 /αk =β
(一定値)とされているが、αk+1 /αk は、各段ごと
に、1<αk+1 /αk ≦2の範囲にあれば足りる。
【0036】また、受信回路10は、単一磁束量子がト
ラップされることを避けるために、各段におけるジョセ
フソン接合の臨界電流値とインダクタンスのインダクタ
ンス値との積が単一磁束量子の大きさの0.2〜0.99
倍の範囲で略一定値となるように構成することが適切で
ある。
【0037】また、受信回路10のジョセフソン接合J
41〜J4(n+1)としては、RSFQ回路の場合と
同様に、I−V特性上、ヒステリシスの無いジョセフソ
ン接合を用いるか、又は、SIS(Superconductor-Ins
ulator-Superconductor)のようなヒステリシスを持つ
ジョセフソン接合を用いる場合には、ジョセフソン接合
と並列にシャント抵抗を設け、マッカンバー・パラメー
タが1程度になるように調整し、実質的にヒステリシス
が無いようにして用いることになる。
【0038】なお、実質的にヒステリシスが無いように
したジョセフソン接合を使用する場合には、受動伝送線
路9の特性インピーダンスは、受信回路10の初段のジ
ョセフソン接合J41のノーマル抵抗と、これに並列接
続されたシャント抵抗との合成並列抵抗値の0.4〜0.
99倍とすることが適切であり、特に、動作マージンを
考えると、ほぼ0.5倍が最も適切である。
【0039】以上のように、本発明の第1実施形態にお
いては、受信回路10のジョセフソン接合J41〜J
(n+1)は、後段のジョセフソン接合ほど臨界電流値
が大きなジョセフソン接合とされているので、受信回路
10は、初段ほど入力インピーダンスが大きく、後段ほ
ど等価的なインピーダンスが小さくなるというインピー
ダンス変成器としても機能することになる。
【0040】この結果、受動伝送線路9の特性インピー
ダンスが大きくても、受動伝送線路9と受信回路10と
のインピーダンス整合を図ることができ、ドライバ回路
8に入力される単一磁束量子を受動伝送線路9及び受信
回路10を介して受信回路10の後段回路に伝送するこ
とができる。
【0041】このように、本発明の第1実施形態によれ
ば、受動伝送線路9として、特性インピーダンスが大き
な受動伝送線路を使用することができるので、受動伝送
線路9のベースとなる絶縁層を薄くすることなく、受動
伝送線路9の線路幅を狭くすることができる。
【0042】したがって、受動伝送線路9の占有面積を
縮小することによるチップ面積の縮小化により、チップ
コストの低減化を図ることができると共に、受動伝送線
路のベースとなる絶縁層にピンホールが発生しないよう
にして歩留りの向上を図ることができる。
【0043】図2は本発明の第1実施形態をシミュレー
ションするための回路の一例を示す図であり、図2中、
11は単一磁束量子発生源であるDC/SFQ回路、1
2はドライバ回路8に対応するドライバ回路、13は受
動伝送線路9に対応する受動伝送線路であり、PTLは
長さを6600μm、特性インピーダンスを4Ωとする
受動伝送線路である。
【0044】また、RL は0.2Ωの終端抵抗、14は
受信回路10に対応する受信回路、15は受信回路14
が受信した単一磁束量子をモニタするデシタル・モニ
タ、Cは電流計、Vは電圧計である。
【0045】図2の例では、β=√2とし、受動伝送線
路13の特性インピーダンスを4Ω(線幅20μmに相
当)としているが、この場合、動作マージンとして±2
0%以上が得られた。これは、Ic =0.1mA、特性
インピーダンス=2Ωの場合と同等の値であり、本発明
の第1実施形態の有効性を確認することができた。
【0046】第2実施形態・・図3 図3は本発明の第2実施形態の要部を示す回路図であ
り、本発明の第2実施形態は、ドライバ回路8の出力端
に受動伝送線路9及び受信回路10からなる伝送線路を
複数個接続するというものである。
【0047】本発明の第2実施形態によれば、ドライバ
回路8に複数の伝送線路を接続している単一磁束量子回
路について、本発明の第1実施形態と同様の作用効果を
得ることができる。
【0048】第3実施形態・・図4 図4は本発明の第3実施形態の要部を示す回路図であ
り、本発明の第3実施形態は、ドライバ回路8と受動伝
送線路9との間に1/4波長変成器(λ/4トランスフ
ォーマ)18を接続すると共に、受動伝送線路9と受信
回路10との間に1/4波長変成器19を接続し、その
他については、図1に示す本発明の第1実施形態と同様
に構成したものである。
【0049】ここに、1/4波長変成器18は、ドライ
バ回路8側が相対的に低インピーダンスで整合し、受動
伝送線路9側が相対的に高インピーダンスで整合するよ
うに、ドライバ回路8と受動伝送線路9との間に接続さ
れている。
【0050】また、1/4波長変成器19は、受動伝送
線路9側が相対的に高インピーダンスで整合し、受信回
路10側が相対的に低インピーダンスで整合するよう
に、受動伝送線路9と受信回路10との間に接続されて
いる。
【0051】なお、1/4波長変成器18、19の長さ
は、受動伝送線路9上を伝送する単一磁束量子のスペク
トルの主たる周波数成分の波長を基準として決定され
る。また、本発明の第3実施形態においては、1/4波
長変成器18、19は、一段構成とされているが、これ
ら1/4波長変成器18、19は、複数段構成としても
良い。
【0052】このように、本発明の第3実施形態によれ
ば、受動伝送線路9の両端に1/4波長変成器18、1
9を設けるとしているので、受動伝送線路9の特性イン
ピーダンスが本発明の第1実施形態の場合よりも大きく
ても、受動伝送線路9と受信回路10とのインピーダン
ス整合を図ることができ、ドライバ回路8に入力される
単一磁束量子を受動伝送線路9及び受信回路10を介し
て受信回路10の後段回路に伝送することができる。
【0053】この結果、受動伝送線路9として、本発明
の第1実施形態の場合よりも特性インピーダンスが大き
な受動伝送線路を使用することができるので、受動伝送
線路9のベースとなる絶縁層を薄くすることなく、本発
明の第1実施形態の場合よりも受動伝送線路9の線路幅
を狭くすることができる。
【0054】したがって、受動伝送線路9の占有面積を
縮小することによるチップ面積の縮小化により、チップ
コストの低減化を図ることができると共に、受動伝送線
路9のベースとなる絶縁層にピンホールが発生しないよ
うにして歩留りの向上を図ることができる。
【0055】第4実施形態・・図5 図5は本発明の第4実施形態の要部を示す回路図であ
り、本発明の第4実施形態は、ドライバ回路8と受動伝
送線路9との間にテーパ型変成器20を接続すると共
に、受動伝送線路9と受信回路10との間にテーパ型変
成器21を接続し、その他については、図1に示す本発
明の第1実施形態と同様に構成したものである。
【0056】ここに、テーパ型変成器20は、ドライバ
回路8側が相対的に低インピーダンスで整合し、受動伝
送線路9側が相対的に高インピーダンスで整合するよう
に、ドライバ回路8と受動伝送線路9との間に接続され
ている。
【0057】また、テーパ型変成器21は、受動伝送線
路9側が相対的に高インピーダンスで整合し、受信回路
10側が相対的に低インピーダンスで整合するように、
受動伝送回路9と受信回路10との間に接続されてい
る。
【0058】なお、本発明の第4実施形態においては、
テーパ型変成器20、21は、一段構成とされている
が、これらテーパ型変成器20、21は、複数段構成と
しても良い。
【0059】このように、本発明の第4実施形態によれ
ば、受動伝送線路9の両端にテーパ型変成器20、21
を設けるとしているので、受動伝送線路9の特性インピ
ーダンスが本発明の第1実施形態の場合よりも大きくて
も、受動伝送線路9と受信回路10とのインピーダンス
整合を図ることができ、ドライバ回路8に入力される単
一磁束量子を受動伝送線路9及び受信回路10を介して
受信回路10の後段回路に伝送することができる。
【0060】この結果、受動伝送線路9として、本発明
の第1実施形態の場合よりも特性インピーダンスが大き
な受動伝送線路を使用することができるので、受動伝送
線路9のベースとなる絶縁層を薄くすることなく、本発
明の第1実施形態の場合よりも受動伝送線路9の線路幅
を狭くすることができる。
【0061】したがって、受動伝送線路9の占有面積を
縮小することによるチップ面積の縮小化により、チップ
コストの低減化を図ることができると共に、受動伝送線
路9のベースとなる絶縁層にピンホールが発生しないよ
うにして歩留りの向上を図ることができる。
【0062】第5実施形態・・図6 図6は本発明の第5実施形態の要部を示す回路図であ
り、本発明の第5実施形態は、受動伝送線路9の出力端
と受信回路10の入力端との間に、受動伝送線路9の特
性インピーダンスに比べて抵抗値の小さな抵抗22を直
列に接続し、その他については、図1に示す本発明の第
1実施形態と同様に構成したものである。
【0063】このように構成された本発明の第5実施形
態によれば、本発明の第1実施形態の場合と同様に、受
動伝送線路9の占有面積を縮小することによるチップ面
積の縮小化により、チップコストの低減化を図ることが
できると共に、受動伝送線路9のベースとなる絶縁層に
ピンホールが発生しないようにして歩留りの向上を図る
ことができ、更に、終端抵抗22によって、ジョセフソ
ン接合J33と受動伝送線路9とジョセフソン接合J4
1とで超電導ループが形成されないようにし、受動伝送
線路9での磁束トラップの発生を避けることができる。
【0064】第6実施形態・・図7 図7は本発明の第6実施形態の要部を示す回路図であ
り、本発明の第6実施形態は、受動伝送線路9の出力端
と受信回路10の入力端との間に、単一磁束量子を通過
させることができるキャパシタンス値を有するキャパシ
タンス23を直列に接続し、その他については、図1に
示す本発明の第1実施形態と同様に構成したものであ
る。
【0065】このように構成された本発明の第6実施形
態によれば、本発明の第1実施形態の場合と同様に、受
動伝送線路9の占有面積を縮小することによるチップ面
積の縮小化により、チップコストの低減化を図ることが
できると共に、受動伝送線路9のベースとなる絶縁層に
ピンホールが発生しないようにして歩留りの向上を図る
ことができ、更に、キャパシタ23によって、ジョセフ
ソン接合J33と受動伝送線路9とジョセフソン接合J
41とで超電導ループが形成されないようにし、受動伝
送線路9での磁束トラップの発生を避けることができ
る。
【0066】なお、本発明の第1実施形態〜第6実施形
態においては、受動伝送線路として超電導伝送線路を設
ける場合について説明したが、本発明は、金(Au)、
アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の低抵抗率の常電
導体からなる受動伝送線路を設ける場合についても適用
することができる。
【0067】また、本発明の第1実施形態〜第6実施形
態においては、ドライバ回路8のジョセフソン接合は、
例えば、臨界電流値の同一のジョセフソン接合とすると
したが、単一磁束量子の伝送が可能な範囲で、後段のジ
ョセフソン接合ほど臨界電流値が小さなジョセフソン接
合となるように構成しても良い。
【0068】図8は本発明の第1実施形態をシミュレー
ションするための回路の他の例を示す図であり、図8
中、16はドライバ回路8に対応するドライバ回路であ
る。このドライバ回路8は、初段のジョセフソン接合の
臨界電流値を0.2mA 、2段目のジョセフソン接合の
臨界電流値を0.2/√2=0.14mA、3段目のジョ
セフソン接合の臨界電流値を0.2/(√2)2=0.1m
A、4段目のジョセフソン接合の臨界電流値を0.2/
(√2)3=0.07mA 、最終段のジョセフソン接合
の臨界電流値を0.2/(√2)4=0.05mA とした
ものである。
【0069】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、受信回
路のジョセフソン接合は、後段のジョセフソン接合ほど
臨界電流値が大きなジョセフソン接合とし、受信回路
を、初段ほど入力インピーダンスが大きく、後段ほど等
価的なインピーダンスが小さくなるように構成し、受信
回路がインピーダンス変成器としても機能するようにし
たことにより、特性インピーダンスが大きな受動伝送線
路を使用し、受動伝送線路のベースとなる絶縁層を薄く
することなく、受動伝送線路の線路幅を狭くすることが
できるので、受動伝送線路の占有面積を縮小することに
よるチップ面積の縮小化により、チップコストの低減化
を図ることができると共に、受動伝送線路のベースとな
る絶縁層にピンホールが発生しないようにして歩留りの
向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の要部を示す回路図であ
る。
【図2】本発明の第1実施形態をシミュレーションする
ための回路の一例を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態の要部を示す回路図であ
る。
【図4】本発明の第3実施形態の要部を示す回路図であ
る。
【図5】本発明の第4実施形態の要部を示す回路図であ
る。
【図6】本発明の第5実施形態の要部を示す回路図であ
る。
【図7】本発明の第6実施形態の要部を示す回路図であ
る。
【図8】本発明の第1実施形態をシミュレーションする
ための回路の他の例を示す図である。
【図9】ジョセフソン伝送線路の構成を示す回路図であ
る。
【図10】伝送線路として超電導マイクロストリップ線
路を使用した従来の単一磁束量子回路の一例を示す回路
図である。
【符号の説明】
J ジョセフソン接合 L インダクタンス CS 直流電流源
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 秀雄 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター超電導 工学研究所内 (72)発明者 宮原 一紀 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター超電導 工学研究所内 (72)発明者 榎本 陽一 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター超電導 工学研究所内 Fターム(参考) 4M113 AA42 AD11 AD21 5J042 AA04 BA00 CA29 DA01

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】受動伝送線路と、 ジョセフソン伝送線路からなり、前記受動伝送線路に単
    一磁束量子を出力するドライバ回路と、 ジョセフソン伝送線路からなり、前記受動伝送線路を伝
    送されてくる単一磁束量子を受信する受信回路とを備
    え、 前記受信回路のジョセフソン接合は、単一磁束量子の伝
    送が可能な範囲で、後段のジョセフソン接合ほど臨界電
    流値が大きなジョセフソン接合とされていることを特徴
    とする単一磁束量子回路。
  2. 【請求項2】前記受信回路は、各段におけるジョセフソ
    ン接合の臨界電流値とインダクタンスのインダクタンス
    値との積が単一磁束量子の大きさの0.2〜0.99倍の
    範囲で略一定値となるように構成されていることを特徴
    とする請求項1記載の単一磁束量子回路。
  3. 【請求項3】前記受信回路は、k段目(但し、kは1〜
    mの整数であり、mは1以上の任意の整数である。)の
    ジョセフソン接合の臨界電流値をαk ×Ic 、(k+
    1)段目のジョセフソン接合の臨界電流値をαk+1 ×I
    c とすると(但し、α1 =1である。)、1<αk+1
    αk ≦2となるように構成されていることを特徴とする
    請求項1又は2記載の単一磁束量子回路。
  4. 【請求項4】前記受信回路のk段目のインダクタンスの
    インダクタンス値は、L0 /αk とされていることを特
    徴とする請求項3記載の単一磁束量子回路。
  5. 【請求項5】前記αk+1 /αk は、略一定値とされてい
    ることを特徴とする請求項4記載の単一磁束量子回路。
  6. 【請求項6】前記ドライバ回路は、ジョセフソン接合の
    臨界電流値が略αn+1 Ic 、インダクタンスのインダク
    タンス値が略L0 /αn となるように構成されているこ
    とを特徴とする請求項4又は5記載の単一磁束量子回
    路。
  7. 【請求項7】前記受動伝送線路の特性インピーダンス
    は、前記受信回路の初段のジョセフソン接合のノーマル
    抵抗と、これに並列接続されたシャント抵抗との合成並
    列抵抗値の0.4〜0.99倍とされていることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか一項に記載の単一磁束量子
    回路。
  8. 【請求項8】前記受動伝送線路として、それぞれ入力端
    を前記ドライバ回路の出力端に接続された複数の受動伝
    送線路を備えると共に、 前記受信回路として、前記複数の受動伝送線路のそれぞ
    れに対応する受信回路を備えていることを特徴とする請
    求項1〜7のいずれか一項に記載の単一磁束量子回路。
  9. 【請求項9】前記ドライバ回路と前記受動伝送線路との
    間に、前記ドライバ回路側が相対的に低インピーダンス
    で整合し、前記受動伝送線路側が相対的に高インピーダ
    ンスで整合するように、一段又は複数段の第1の1/4
    波長変成器が接続されると共に、 前記受動伝送線路と前記受信回路との間に、前記受動伝
    送線路側が相対的に高インピーダンスで整合し、前記受
    信回路側が相対的に低インピーダンスで整合するよう
    に、一段又は複数段の第2の1/4波長変成器が接続さ
    れていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項
    に記載の単一磁束量子回路。
  10. 【請求項10】前記ドライバ回路と前記受動伝送線路と
    の間に、前記ドライバ回路側が相対的に低インピーダン
    スで整合し、前記受動伝送線路側が相対的に高インピー
    ダンスで整合するように、一段又は複数段の第1のテー
    パ型波長変成器が接続されると共に、 前記受動伝送線路と前記受信回路との間に、前記受動伝
    送線路側が相対的に高インピーダンスで整合し、前記受
    信回路側が相対的に低インピーダンスで整合するよう
    に、一段又は複数段の第2のテーパ型波長変成器が接続
    されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一
    項に記載の単一磁束量子回路。
  11. 【請求項11】前記ドライバ回路のジョセフソン接合
    は、単一磁束量子の伝送が可能な範囲で、後段のジョセ
    フソン接合ほど臨界電流値が小さなジョセフソン接合と
    されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか
    一項に記載の単一磁束量子回路。
  12. 【請求項12】前記受動伝送線路は、超電導伝送線路で
    あり、 前記受動伝送線路の出力端と前記受信回路の入力端との
    間に、前記受動伝送線路を含む超電導ループが形成され
    ることを回避するための素子が直列に接続されているこ
    とを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の
    単一磁束量子回路。
  13. 【請求項13】前記受動伝送線路を含む超電導ループが
    形成されることを回避するための素子は、前記受動伝送
    線路の特性インピーダンスと比べて小さな抵抗値を有す
    る抵抗であることを特徴とする請求項12記載の単一磁
    束量子回路。
  14. 【請求項14】前記受動伝送線路を含む超電導ループが
    形成されることを回避するための素子は、単一磁束量子
    を通過させることができるキャパシタンス値を有するキ
    ャパシタンスであることを特徴とする請求項12記載の
    単一磁束量子回路。
  15. 【請求項15】前記受動伝送線路は、低抵抗率の常電導
    体で構成されていることを特徴とする請求項1〜11の
    いずれか一項に記載の単一磁束量子回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004013965A1 (ja) * 2002-08-05 2004-02-12 International Superconductivity Technology Center, The Juridical Foundation 超電導ドライバ回路
JP2004533061A (ja) * 2001-06-01 2004-10-28 ディー−ウェイヴ システムズ インコーポレイテッド 超伝導位相キュビットのための量子処理システム

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