JP2000343874A - 筆記具 - Google Patents
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- JP2000343874A JP2000343874A JP11154951A JP15495199A JP2000343874A JP 2000343874 A JP2000343874 A JP 2000343874A JP 11154951 A JP11154951 A JP 11154951A JP 15495199 A JP15495199 A JP 15495199A JP 2000343874 A JP2000343874 A JP 2000343874A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】インクの乾燥を確実に防止するとともに、温度
変化、気圧変化等による筆記具内外の差圧を確実に補償
することができる筆記具を提供する。 【解決手段】オイル室10を形成し、このオイル室を介
してインク貯溜室4を大気と連通する。このオイル室1
0内を仕切る仕切部材21形成された小さな断面積のオ
リフィス通路23によりインク貯溜室側と大気連通側と
を連通するとともに、このオリフィス通路の両端部にこ
れより断面積の大きなオイル溜通路24を形成する。オ
イル室内に封入されたシリコーン油は上記のオイル溜室
およびオリフィス通路内に保持され、このオリフィス通
路を介して流動してインク貯溜室内の差圧を解消する。
変化、気圧変化等による筆記具内外の差圧を確実に補償
することができる筆記具を提供する。 【解決手段】オイル室10を形成し、このオイル室を介
してインク貯溜室4を大気と連通する。このオイル室1
0内を仕切る仕切部材21形成された小さな断面積のオ
リフィス通路23によりインク貯溜室側と大気連通側と
を連通するとともに、このオリフィス通路の両端部にこ
れより断面積の大きなオイル溜通路24を形成する。オ
イル室内に封入されたシリコーン油は上記のオイル溜室
およびオリフィス通路内に保持され、このオリフィス通
路を介して流動してインク貯溜室内の差圧を解消する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクの乾燥防止
機構を備えた筆記具に関する。さらに特定すれば、本発
明は蒸発速度の速い溶媒を用いた速乾性のインクであっ
ても、その蒸発乾燥を確実に防止するとともに、インク
貯溜室内の膨張収縮を確実に補償することができる筆記
具に関するものである。
機構を備えた筆記具に関する。さらに特定すれば、本発
明は蒸発速度の速い溶媒を用いた速乾性のインクであっ
ても、その蒸発乾燥を確実に防止するとともに、インク
貯溜室内の膨張収縮を確実に補償することができる筆記
具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、筆記具では温度変化、気圧変
化、またはインクの消費等によって、インク貯溜室内の
圧力が大気圧に対して正圧または負圧の差圧が発生し、
この差圧によりペン体から内部のインクが押し出された
り、またこのペン体を介して内部に空気が侵入する等の
不具合を生じる。
化、またはインクの消費等によって、インク貯溜室内の
圧力が大気圧に対して正圧または負圧の差圧が発生し、
この差圧によりペン体から内部のインクが押し出された
り、またこのペン体を介して内部に空気が侵入する等の
不具合を生じる。
【0003】このような不具合を防止するために、一般
に筆記具には上記の差圧を解消する差圧補償機構が設け
られており、当然ながらこの差圧補償機構は何らかの形
でインク貯溜室が大気と連通する構造となっている。
に筆記具には上記の差圧を解消する差圧補償機構が設け
られており、当然ながらこの差圧補償機構は何らかの形
でインク貯溜室が大気と連通する構造となっている。
【0004】このため、一般の筆記具では、インク貯溜
室内のインクの溶媒の蒸気が外部に散逸してインクが乾
燥してゆくことを完全に防止することは困難である。も
ちろん、現在までに開発された各種の差圧補償機構は、
このインクの乾燥を可能な限り防止するように構成され
ているものが多いが、蒸発速度の速いアルコール系の溶
媒等を使用した速乾性のインクでは、その乾燥を完全に
防止することは極めて困難であった。
室内のインクの溶媒の蒸気が外部に散逸してインクが乾
燥してゆくことを完全に防止することは困難である。も
ちろん、現在までに開発された各種の差圧補償機構は、
このインクの乾燥を可能な限り防止するように構成され
ているものが多いが、蒸発速度の速いアルコール系の溶
媒等を使用した速乾性のインクでは、その乾燥を完全に
防止することは極めて困難であった。
【0005】このように、速乾性のインクであっても、
その乾燥を防止することができる筆記具として、本願の
出願人と同じ出願人の特願平9−321257号に開示
された筆記具がある。
その乾燥を防止することができる筆記具として、本願の
出願人と同じ出願人の特願平9−321257号に開示
された筆記具がある。
【0006】この筆記具は、インク貯溜室の尾栓側に、
このインク貯溜室とは別室のスライド室が形成され、イ
ンク貯溜室内は差圧の補償機構を介してこのスライド室
に連通し、このスライド室は大気に連通している。そし
て、このスライド室内には、スライド栓が軸方向に移動
自在に収容され、このスライド栓によってこのスライド
室内は区画され、インク貯溜室側からの溶媒蒸気が大気
に散逸するのを防止し、インクの乾燥を防止している。
このインク貯溜室とは別室のスライド室が形成され、イ
ンク貯溜室内は差圧の補償機構を介してこのスライド室
に連通し、このスライド室は大気に連通している。そし
て、このスライド室内には、スライド栓が軸方向に移動
自在に収容され、このスライド栓によってこのスライド
室内は区画され、インク貯溜室側からの溶媒蒸気が大気
に散逸するのを防止し、インクの乾燥を防止している。
【0007】上記のスライド栓は、その外周面とスライ
ド室の内周面との間にわずかの隙間が形成され、この隙
間内には不揮発性オイル、たとえばシリコーン油が毛細
管力により保持されている。このシリコーン油の薄膜に
より、このスライド栓の外周がシールされ、インクの溶
媒蒸気の散逸が完全に防止される。
ド室の内周面との間にわずかの隙間が形成され、この隙
間内には不揮発性オイル、たとえばシリコーン油が毛細
管力により保持されている。このシリコーン油の薄膜に
より、このスライド栓の外周がシールされ、インクの溶
媒蒸気の散逸が完全に防止される。
【0008】また、このシリコーン油の薄膜は、このス
ライド栓を実質的に非接触の状態で保持かつ潤滑し、こ
のスライド栓の移動抵抗を実質的に零とする。したがっ
て、このスライド室のスライド栓の前後に差圧が発生す
ると、このスライド栓が移動してこの差圧を解消するの
で、差圧の補償作用を妨げることがない。
ライド栓を実質的に非接触の状態で保持かつ潤滑し、こ
のスライド栓の移動抵抗を実質的に零とする。したがっ
て、このスライド室のスライド栓の前後に差圧が発生す
ると、このスライド栓が移動してこの差圧を解消するの
で、差圧の補償作用を妨げることがない。
【0009】しかし、このようなスライド栓形式の乾燥
防止機構は、このスライド栓を収容しかつこのスライド
栓の移動ストロークを確保するスライド室を必要とする
ので、小形化が困難であるという不具合がある。また、
インク貯溜室内の空気が膨張、収縮を繰り返した場合、
あるいはインク貯溜室内のインクが消費された場合等
に、このスライド栓がスライド室の一方側に移動し、そ
れ以上の移動ができなくなるという問題もある。これを
防止するには、このスライド栓の移動ストロークを大き
くする必要があるが、このようにすると、スライド室が
さらに大形化してしまうという問題がある。
防止機構は、このスライド栓を収容しかつこのスライド
栓の移動ストロークを確保するスライド室を必要とする
ので、小形化が困難であるという不具合がある。また、
インク貯溜室内の空気が膨張、収縮を繰り返した場合、
あるいはインク貯溜室内のインクが消費された場合等
に、このスライド栓がスライド室の一方側に移動し、そ
れ以上の移動ができなくなるという問題もある。これを
防止するには、このスライド栓の移動ストロークを大き
くする必要があるが、このようにすると、スライド室が
さらに大形化してしまうという問題がある。
【0010】また、上記のスライド栓形式の乾燥防止機
構の他に、シリコーン油等の不揮発性オイルによりイン
クの溶媒蒸気の散逸を防止し、かつこのシリコーン油の
流動により差圧を解消する形式の乾燥防止機構も提案さ
れている。この形式の乾燥防止機構は、本願の出願人と
同じ出願人の特願平9−245407号に開示されてい
る。
構の他に、シリコーン油等の不揮発性オイルによりイン
クの溶媒蒸気の散逸を防止し、かつこのシリコーン油の
流動により差圧を解消する形式の乾燥防止機構も提案さ
れている。この形式の乾燥防止機構は、本願の出願人と
同じ出願人の特願平9−245407号に開示されてい
る。
【0011】このような形式のものは、インク貯溜室と
大気とを連通するオイル室を形成し、この内部を仕切部
材によりインク貯溜室側と大気連通側とに区画する。そ
して、この仕切部材の外周面に複数の細溝を形成した
り、またはこの外周面とオイル室の内周面との間に狭い
環状の隙間を形成し、これらを介してインク貯溜室側と
大気側が連通されている。そして、このオイル室内に
は、所定量のシリコーン油が封入されている。
大気とを連通するオイル室を形成し、この内部を仕切部
材によりインク貯溜室側と大気連通側とに区画する。そ
して、この仕切部材の外周面に複数の細溝を形成した
り、またはこの外周面とオイル室の内周面との間に狭い
環状の隙間を形成し、これらを介してインク貯溜室側と
大気側が連通されている。そして、このオイル室内に
は、所定量のシリコーン油が封入されている。
【0012】したがって、通常はこのシリコーン油が上
記の細溝または隙間内に毛細管力により保持されてこれ
らを閉塞し、インクの溶媒蒸気の散逸を防止する。ま
た、インク貯室側と大気側との間に差圧が生じた場合に
は、このオイル室内に封入されているシリコーン油が上
記の細溝または隙間を通ってインク貯溜室側または大気
側に流動し、この差圧を解消する。また、このシリコー
ン油の封入量以上の膨張や収縮が生じた場合には、この
シリコーン油の全量が一方側に流動し、細溝または隙間
が空となり、この細溝または隙間を通って溶媒蒸気また
は空気が流通し、差圧を解消する。なお、この場合に
は、溶媒蒸気の拡散が生じるが、このように封入された
シリコーン油の全量が一方側に流動する場合は少なく、
また散逸する溶媒蒸気の量も少ないので、インクの乾燥
は防止される。
記の細溝または隙間内に毛細管力により保持されてこれ
らを閉塞し、インクの溶媒蒸気の散逸を防止する。ま
た、インク貯室側と大気側との間に差圧が生じた場合に
は、このオイル室内に封入されているシリコーン油が上
記の細溝または隙間を通ってインク貯溜室側または大気
側に流動し、この差圧を解消する。また、このシリコー
ン油の封入量以上の膨張や収縮が生じた場合には、この
シリコーン油の全量が一方側に流動し、細溝または隙間
が空となり、この細溝または隙間を通って溶媒蒸気また
は空気が流通し、差圧を解消する。なお、この場合に
は、溶媒蒸気の拡散が生じるが、このように封入された
シリコーン油の全量が一方側に流動する場合は少なく、
また散逸する溶媒蒸気の量も少ないので、インクの乾燥
は防止される。
【0013】このような形式の乾燥防止機構は、機械的
な可動部分がなく、また構造も簡単であり、製造も容易
である、等の利点がある。しかし、このような乾燥防止
機構では、オイル室内に封入されたシリコーン油が一方
側に流動する前に、複数の細溝の一部、または環状の隙
間の一部分のシリコーン油が排除されて空となり、この
部分を介してインク貯溜室側と大気側とが連通してしま
うことがある。
な可動部分がなく、また構造も簡単であり、製造も容易
である、等の利点がある。しかし、このような乾燥防止
機構では、オイル室内に封入されたシリコーン油が一方
側に流動する前に、複数の細溝の一部、または環状の隙
間の一部分のシリコーン油が排除されて空となり、この
部分を介してインク貯溜室側と大気側とが連通してしま
うことがある。
【0014】このような状態が発生すると、この空にな
った部分を介してインクの溶媒蒸気または空気がインク
貯溜室側と大気側との間を自由に流動し、その際の抵抗
は極めて小さいので、シリコーン油が他の部分を通って
流動しなくなる。したがって、一旦このような状態が発
生するとこの状態が続き、空になった一部の細溝や隙間
を介して溶媒蒸気が大気中に散逸し、インクが乾燥して
しまうことがある。
った部分を介してインクの溶媒蒸気または空気がインク
貯溜室側と大気側との間を自由に流動し、その際の抵抗
は極めて小さいので、シリコーン油が他の部分を通って
流動しなくなる。したがって、一旦このような状態が発
生するとこの状態が続き、空になった一部の細溝や隙間
を介して溶媒蒸気が大気中に散逸し、インクが乾燥して
しまうことがある。
【0015】筆記具を頻繁に使用している場合には、こ
の筆記具の姿勢も頻繁に変化するので、封入されている
シリコーン油はオイル室内全体にわたって流動、移動
し、上記のような空になった一部の細溝や隙間内に再び
シリコーン油が毛細管力により保持され、上記のような
不具合は生じない。しかし、たとえばこの筆記具が机の
中などに長期間にわたって水平の姿勢のまま静止状態で
放置された場合には、上側の細溝または隙間の部分内の
シリコーン油が排除されて空となり、上述のような不具
合が発生しやすい。
の筆記具の姿勢も頻繁に変化するので、封入されている
シリコーン油はオイル室内全体にわたって流動、移動
し、上記のような空になった一部の細溝や隙間内に再び
シリコーン油が毛細管力により保持され、上記のような
不具合は生じない。しかし、たとえばこの筆記具が机の
中などに長期間にわたって水平の姿勢のまま静止状態で
放置された場合には、上側の細溝または隙間の部分内の
シリコーン油が排除されて空となり、上述のような不具
合が発生しやすい。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情に
基づいてなされたもので、インクの乾燥を確実に防止す
るとともに、温度変化、気圧変化、インクの消費等によ
る内部の圧力変動等を補償し、また構造が簡単で製造コ
ストを低減することができる筆記具を提供するものであ
る。
基づいてなされたもので、インクの乾燥を確実に防止す
るとともに、温度変化、気圧変化、インクの消費等によ
る内部の圧力変動等を補償し、また構造が簡単で製造コ
ストを低減することができる筆記具を提供するものであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、筆記具の本体と、この本体内に形成されたインク貯
溜室と、このインク貯溜室と連通したペン体と、上記の
インク貯溜室と連通するとともに大気に連通したオイル
室と、このオイル室内を上記のインク貯溜室側と大気連
通側とに区画する仕切部材と、この仕切部材に形成され
上記のインク貯溜室側と大気連通側とを連通する小断面
積のオリフィス通路と、このオリフィス通路の少なくと
も一方の端部に連続して形成されこのオリフィス通路の
断面積より大きな断面積を有するオイル溜通路と、上記
のオイル室内に封入された不揮発性オイルとを具備した
ことを特徴とするものである。
は、筆記具の本体と、この本体内に形成されたインク貯
溜室と、このインク貯溜室と連通したペン体と、上記の
インク貯溜室と連通するとともに大気に連通したオイル
室と、このオイル室内を上記のインク貯溜室側と大気連
通側とに区画する仕切部材と、この仕切部材に形成され
上記のインク貯溜室側と大気連通側とを連通する小断面
積のオリフィス通路と、このオリフィス通路の少なくと
も一方の端部に連続して形成されこのオリフィス通路の
断面積より大きな断面積を有するオイル溜通路と、上記
のオイル室内に封入された不揮発性オイルとを具備した
ことを特徴とするものである。
【0018】上記のオリフィス通路は、その断面積が小
さく設定されているので、その毛細管力が強く、周囲の
壁面に付着している不揮発性オイルを吸引して常に不揮
発性オイルで満たされた状態を維持する。したがって、
このオリフィス通路が空になったままの状態が継続する
ことはなく、インクの溶媒蒸気の散逸を確実に防止する
ことができる。
さく設定されているので、その毛細管力が強く、周囲の
壁面に付着している不揮発性オイルを吸引して常に不揮
発性オイルで満たされた状態を維持する。したがって、
このオリフィス通路が空になったままの状態が継続する
ことはなく、インクの溶媒蒸気の散逸を確実に防止する
ことができる。
【0019】しかしながら、上記のようにオリフィス通
路の断面積を小さく設定した場合には、当然その内容積
も小さくなるので、インク貯溜室内の空気やインクがわ
ずかに膨張収縮した場合でも、このオリフィス通路内の
不揮発性オイルがすべて排除され、インクの溶媒蒸気の
散逸が頻繁に発生し、インクが乾燥する。
路の断面積を小さく設定した場合には、当然その内容積
も小さくなるので、インク貯溜室内の空気やインクがわ
ずかに膨張収縮した場合でも、このオリフィス通路内の
不揮発性オイルがすべて排除され、インクの溶媒蒸気の
散逸が頻繁に発生し、インクが乾燥する。
【0020】上記の不具合を防止するために、本発明の
ものは上記のオリフィス通路の端部に連続して、断面積
の大きなオイル溜通路が形成されてており、このオイル
溜通路内には毛細管力により多量の不揮発性オイルが保
持されるている。したがって、インク貯溜室内の空気や
インクが膨張収縮した場合には、このオイル溜通路内の
不揮発性オイルが上記のオリフィス通路を通ってインク
貯溜室側と大気連通側との間で流通して差圧を解消し、
多少の膨張収縮では上記のオリフィス通路内が空になっ
てインクの溶媒蒸気が散逸することはない。
ものは上記のオリフィス通路の端部に連続して、断面積
の大きなオイル溜通路が形成されてており、このオイル
溜通路内には毛細管力により多量の不揮発性オイルが保
持されるている。したがって、インク貯溜室内の空気や
インクが膨張収縮した場合には、このオイル溜通路内の
不揮発性オイルが上記のオリフィス通路を通ってインク
貯溜室側と大気連通側との間で流通して差圧を解消し、
多少の膨張収縮では上記のオリフィス通路内が空になっ
てインクの溶媒蒸気が散逸することはない。
【0021】この場合に、上記のオイル溜通路の断面積
はオリフィス通路の断面積より大きいので、このオイル
溜通路の毛細管力はオリフィス通路の毛細管力より弱
い。このため、このオイル溜通路内に不揮発性オイルが
残存している限り、オリフィス通路内に不揮発性オイル
が吸引され続ける。よって、このオイル溜通路内に不揮
発性オイルが残存したまま空気が侵入し、オリフィス通
路内の不揮発性オイルを排除してしまうことはない。し
たがって、このオイル溜通路内に保持されている不揮発
性オイルは、その全量がオリフィス通路を介してインク
貯溜室側と大気連通側との間を流動するので、多少の膨
張収縮では、このオリフィス通路内が空になることが確
実に防止される。
はオリフィス通路の断面積より大きいので、このオイル
溜通路の毛細管力はオリフィス通路の毛細管力より弱
い。このため、このオイル溜通路内に不揮発性オイルが
残存している限り、オリフィス通路内に不揮発性オイル
が吸引され続ける。よって、このオイル溜通路内に不揮
発性オイルが残存したまま空気が侵入し、オリフィス通
路内の不揮発性オイルを排除してしまうことはない。し
たがって、このオイル溜通路内に保持されている不揮発
性オイルは、その全量がオリフィス通路を介してインク
貯溜室側と大気連通側との間を流動するので、多少の膨
張収縮では、このオリフィス通路内が空になることが確
実に防止される。
【0022】また、上記のオイル溜通路も毛細管力を有
しているので、オイル室内に封入されている不揮発性オ
イルは壁面を伝わってこのオイル溜通路内に吸引されて
ゆく。したがって、このオイル溜通路内も、常時不揮発
性オイルが充満された状態に維持され、空になることは
ない。
しているので、オイル室内に封入されている不揮発性オ
イルは壁面を伝わってこのオイル溜通路内に吸引されて
ゆく。したがって、このオイル溜通路内も、常時不揮発
性オイルが充満された状態に維持され、空になることは
ない。
【0023】また、請求項2に記載の本発明は、前記の
オリフィス通路は1個であることを特徴とするものであ
る。このようなオリフィス通路が複数個ある場合に、そ
のひとつでも空になると、前述のようにこの空になった
オリフィス通路を介して空気またはインクの溶媒蒸気が
実質的に無抵抗で流通し、他のオリフィス通路を介して
不揮発性オイルが流通しなくなり、前述のような不具合
を生じる。しかし、このオリフィス通路が1個であれ
ば、このオリフィス通路が空になる可能性は極めて低く
なり、作動の信頼性がより向上する。
オリフィス通路は1個であることを特徴とするものであ
る。このようなオリフィス通路が複数個ある場合に、そ
のひとつでも空になると、前述のようにこの空になった
オリフィス通路を介して空気またはインクの溶媒蒸気が
実質的に無抵抗で流通し、他のオリフィス通路を介して
不揮発性オイルが流通しなくなり、前述のような不具合
を生じる。しかし、このオリフィス通路が1個であれ
ば、このオリフィス通路が空になる可能性は極めて低く
なり、作動の信頼性がより向上する。
【0024】また、請求項3に記載の本発明は、前記の
オイル溜通路は、前記の仕切部材の外周面と前記のオイ
ル室の内周面との間に形成された環状の隙間であること
を特徴とするものである。したがって、構造が簡単であ
るとともに、この環状の隙間内に大量の不揮発性オイル
を保持することができる。
オイル溜通路は、前記の仕切部材の外周面と前記のオイ
ル室の内周面との間に形成された環状の隙間であること
を特徴とするものである。したがって、構造が簡単であ
るとともに、この環状の隙間内に大量の不揮発性オイル
を保持することができる。
【0025】また、請求項4に記載の本発明は、前記の
オイル溜通路は、前記のオリフィス通路の端部から離れ
るに従って間隙が拡大したテーパ状のものであることを
特徴とするものである。
オイル溜通路は、前記のオリフィス通路の端部から離れ
るに従って間隙が拡大したテーパ状のものであることを
特徴とするものである。
【0026】したがって、このオイル溜通路は、その奥
方にゆくに従って毛細管力が強くなり、その奥方、すな
わち前記のオリフイス通路の端部近傍には常に不揮発性
オイルが保持される。よって、このオイル溜通路の幅を
広くし、その容量を増大させても、その奥方には常に不
揮発性オイルが毛細管力により保持されるので、この環
状のオイル溜通路の一部のみが空となり、オリフィス通
路内に空気が侵入して空になることが防止される。
方にゆくに従って毛細管力が強くなり、その奥方、すな
わち前記のオリフイス通路の端部近傍には常に不揮発性
オイルが保持される。よって、このオイル溜通路の幅を
広くし、その容量を増大させても、その奥方には常に不
揮発性オイルが毛細管力により保持されるので、この環
状のオイル溜通路の一部のみが空となり、オリフィス通
路内に空気が侵入して空になることが防止される。
【0027】また、請求項5に記載の本発明は、前記の
オイル溜通路は、前記の仕切部材の端面と前記のオイル
室の端壁面との間に形成された隙間であることを特徴と
するものである。したがって、構造が簡単であり、また
このオイル溜通路の容積を大きくすることが可能であ
る。
オイル溜通路は、前記の仕切部材の端面と前記のオイル
室の端壁面との間に形成された隙間であることを特徴と
するものである。したがって、構造が簡単であり、また
このオイル溜通路の容積を大きくすることが可能であ
る。
【0028】また、請求項6に記載の本発明は、前記の
仕切部材は有底筒状をなし、またこの有底筒状の仕切部
材内には内筒部材が挿入されており、上記の仕切部材の
外周面と前記のオイル室の内周面との間の隙間、および
この仕切部材の内周面と上記の内筒部材の外周面との間
の隙間が、それぞれ前記のオイル溜通路に形成されてい
ることを特徴とするものである。
仕切部材は有底筒状をなし、またこの有底筒状の仕切部
材内には内筒部材が挿入されており、上記の仕切部材の
外周面と前記のオイル室の内周面との間の隙間、および
この仕切部材の内周面と上記の内筒部材の外周面との間
の隙間が、それぞれ前記のオイル溜通路に形成されてい
ることを特徴とするものである。
【0029】したがって、このオイル溜通路を形成する
環状の隙間が同心円状に二重に配置されるので、全体を
小形化し、かつこのオイル溜通路の容積を大きくするこ
とが可能となる。
環状の隙間が同心円状に二重に配置されるので、全体を
小形化し、かつこのオイル溜通路の容積を大きくするこ
とが可能となる。
【0030】また、請求項7に記載の本発明は、前記の
オイル溜通路を構成する前記の隙間は、前記のオリフィ
ス通路の端部から離れるに従って間隙が拡大したテーパ
状のものである。したがって、前記の請求項4に記載の
本発明と同様の作用効果を発揮することができる。
オイル溜通路を構成する前記の隙間は、前記のオリフィ
ス通路の端部から離れるに従って間隙が拡大したテーパ
状のものである。したがって、前記の請求項4に記載の
本発明と同様の作用効果を発揮することができる。
【0031】また、請求項8に記載の本発明は、前記の
オイル溜通路は、前記のオリフィス通路の端部の径を開
口端に行くに従って拡径した円錐形のものであることを
特徴とするものである。よって構造が簡単である。
オイル溜通路は、前記のオリフィス通路の端部の径を開
口端に行くに従って拡径した円錐形のものであることを
特徴とするものである。よって構造が簡単である。
【0032】また、請求項9に記載の本発明は、前記の
オリフィス通路およびオイル溜通路は、前記の仕切部の
中心部に形成されていることを特徴とするものである。
したがって、この筆記具が水平の姿勢で放置された場合
に、このオリフィス通路が上側に位置することはなく、
常に中心部に位置し、周囲の不揮発性オイルを吸引する
特性に変化がなく、一定である。よって、その特性が安
定する。
オリフィス通路およびオイル溜通路は、前記の仕切部の
中心部に形成されていることを特徴とするものである。
したがって、この筆記具が水平の姿勢で放置された場合
に、このオリフィス通路が上側に位置することはなく、
常に中心部に位置し、周囲の不揮発性オイルを吸引する
特性に変化がなく、一定である。よって、その特性が安
定する。
【0033】また、請求項10に記載の本発明は、前記
の仕切部材は、筒状をなす外筒部と、この外筒部内を仕
切る仕切壁部と、この仕切壁部の中心部から軸方向に突
設された内筒部とから構成されており、前記のオリフィ
ス通路およびオイル溜通路は上記の内筒部を軸方向に貫
通して形成されていることを特徴とするものである。
の仕切部材は、筒状をなす外筒部と、この外筒部内を仕
切る仕切壁部と、この仕切壁部の中心部から軸方向に突
設された内筒部とから構成されており、前記のオリフィ
ス通路およびオイル溜通路は上記の内筒部を軸方向に貫
通して形成されていることを特徴とするものである。
【0034】したがって、この内筒部の外周面と外筒部
の内周面との間の環状の隙間には、不揮発性オイルが保
持されるオイル溜部が形成される。そして、このオイル
溜部に保持された不揮発性オイルの自由表面は、上記の
内筒部の端部に開口したオイル溜通路の開口端部にきわ
めて近接しているので、このオイル溜部内の不揮発性オ
イルは上記のオイル溜通路内に容易に吸引され、このオ
イル溜通路は常に不揮発性オイルで満たされた状態に確
実に維持される。
の内周面との間の環状の隙間には、不揮発性オイルが保
持されるオイル溜部が形成される。そして、このオイル
溜部に保持された不揮発性オイルの自由表面は、上記の
内筒部の端部に開口したオイル溜通路の開口端部にきわ
めて近接しているので、このオイル溜部内の不揮発性オ
イルは上記のオイル溜通路内に容易に吸引され、このオ
イル溜通路は常に不揮発性オイルで満たされた状態に確
実に維持される。
【0035】また、このものは、オリフィス通路および
オイル溜通路がオイル室の中心部に位置し、またオイル
溜部はこれを囲んで環状をなしているので、この筆記具
がどのような回転位置となっても、これらの位置関係が
一定であり、その作動の特性が安定している。
オイル溜通路がオイル室の中心部に位置し、またオイル
溜部はこれを囲んで環状をなしているので、この筆記具
がどのような回転位置となっても、これらの位置関係が
一定であり、その作動の特性が安定している。
【0036】また、請求項11に記載の本発明は、前記
の仕切壁部は、前記の外筒部の軸方向の中央部に形成さ
れており、前記の内筒部は前記の仕切壁部の両側に突設
されていることを特徴とするものである。したがって、
この内筒部に形成されたオリフィス通路およびオイル溜
通路の両端部に上記のオイル溜部がそれぞれ形成され、
安定した作動特性を有する。
の仕切壁部は、前記の外筒部の軸方向の中央部に形成さ
れており、前記の内筒部は前記の仕切壁部の両側に突設
されていることを特徴とするものである。したがって、
この内筒部に形成されたオリフィス通路およびオイル溜
通路の両端部に上記のオイル溜部がそれぞれ形成され、
安定した作動特性を有する。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図1ないし図4を参照して
本発明の第1の実施形態を説明する。この実施形態の筆
記具は、たとえばアルコール系等の溶媒を用いた速乾性
のインクを使用し、またペン体としてボールチップを用
いたものである。
本発明の第1の実施形態を説明する。この実施形態の筆
記具は、たとえばアルコール系等の溶媒を用いた速乾性
のインクを使用し、またペン体としてボールチップを用
いたものである。
【0038】図中の1は略円筒形の本体であり、この本
体1の先端部にはチップホルダ9を介してペン体たとえ
ばボールチップ2が設けられ、また尾端部には尾栓3が
設けられている。また、この本体1内は、略円筒形のイ
ンク貯溜室4に形成されており、この内部にはインク5
が充填されている。また、この本体1の尾端部側は隔壁
部6により上記のインク貯溜室4とオイル室10とに区
画されている。なお、上記の尾栓3の内面には、大気連
通管11が突設され、上記のオイル室10を大気に連通
している。
体1の先端部にはチップホルダ9を介してペン体たとえ
ばボールチップ2が設けられ、また尾端部には尾栓3が
設けられている。また、この本体1内は、略円筒形のイ
ンク貯溜室4に形成されており、この内部にはインク5
が充填されている。また、この本体1の尾端部側は隔壁
部6により上記のインク貯溜室4とオイル室10とに区
画されている。なお、上記の尾栓3の内面には、大気連
通管11が突設され、上記のオイル室10を大気に連通
している。
【0039】また、上記のインク貯溜室4の先端部は、
上記のチップホルダ9内の中心部に形成されたインク供
給通路17を介して上記のボールチップ2に連通されて
いる。なお、このインク供給通路17内には、繊維集束
体等からなる中継芯18が収容され、インクの供給量を
調整するように構成されている。なお、このインクの供
給量を調整する機構は、上記のようなものには限定され
ず、各種の構成のものが採用できる。
上記のチップホルダ9内の中心部に形成されたインク供
給通路17を介して上記のボールチップ2に連通されて
いる。なお、このインク供給通路17内には、繊維集束
体等からなる中継芯18が収容され、インクの供給量を
調整するように構成されている。なお、このインクの供
給量を調整する機構は、上記のようなものには限定され
ず、各種の構成のものが採用できる。
【0040】そして、上記のインク貯溜室4の中心部に
は、軸方向に沿って均圧管7が設けられ、この均圧管7
の内部が均圧通路8として形成されている。そして、こ
の均圧管7の先端部は、このインク貯溜室4の先端部の
ボールチップ2の近傍に位置しており、上記の均圧通路
8の先端部はこのボールチップ2の近傍位置に連通して
いる。また、上記の均圧管7の尾端部は、上記の隔壁部
6と一体に形成された円筒状の均圧管ホルダ部12内に
嵌合して保持されている。
は、軸方向に沿って均圧管7が設けられ、この均圧管7
の内部が均圧通路8として形成されている。そして、こ
の均圧管7の先端部は、このインク貯溜室4の先端部の
ボールチップ2の近傍に位置しており、上記の均圧通路
8の先端部はこのボールチップ2の近傍位置に連通して
いる。また、上記の均圧管7の尾端部は、上記の隔壁部
6と一体に形成された円筒状の均圧管ホルダ部12内に
嵌合して保持されている。
【0041】そして、この均圧管7の尾端部、すなわち
均圧通路8の尾端部は、上記の隔壁部6に形成された通
孔13を介して上記のオイル室10に連通している。し
たがって、この均圧管7の内部の均圧通路8の尾端部
は、上記のオイル室10および大気連通管11を介して
大気に連通している。
均圧通路8の尾端部は、上記の隔壁部6に形成された通
孔13を介して上記のオイル室10に連通している。し
たがって、この均圧管7の内部の均圧通路8の尾端部
は、上記のオイル室10および大気連通管11を介して
大気に連通している。
【0042】なお、この実施形態では、この均圧通路8
の断面積は、たとえばインク貯溜室4の断面積の10%
以上に設定され、この均圧通路8の内容積がインク貯溜
室4の内容積の10%以上に設定されている。したがっ
て、温度変化や気圧変化によってインク貯溜室4内の空
気が大幅に膨張、収縮した場合において、この均圧通路
8が十分な補償作用をなすことができるように構成され
ている。
の断面積は、たとえばインク貯溜室4の断面積の10%
以上に設定され、この均圧通路8の内容積がインク貯溜
室4の内容積の10%以上に設定されている。したがっ
て、温度変化や気圧変化によってインク貯溜室4内の空
気が大幅に膨張、収縮した場合において、この均圧通路
8が十分な補償作用をなすことができるように構成され
ている。
【0043】そして、上記のオイル室10内には、イン
クの乾燥防止機構20が設けられている。このインクの
乾燥防止機構20は、インク室4内のインクの溶媒蒸気
の散逸を防止してその乾燥を防止するとともに、上記の
均圧通路8等を大気と等しい圧に維持する作用をなすも
のである。以下、図2ないし図4を参照してこの乾燥防
止機構20の構成を説明する。
クの乾燥防止機構20が設けられている。このインクの
乾燥防止機構20は、インク室4内のインクの溶媒蒸気
の散逸を防止してその乾燥を防止するとともに、上記の
均圧通路8等を大気と等しい圧に維持する作用をなすも
のである。以下、図2ないし図4を参照してこの乾燥防
止機構20の構成を説明する。
【0044】上記のオイル室10内には、仕切部材21
が挿入されている。この仕切部材21は、有底円筒状の
コップ状をなしており、その底壁部をペン体2側、開口
部を尾栓3側に向けて配置されている。
が挿入されている。この仕切部材21は、有底円筒状の
コップ状をなしており、その底壁部をペン体2側、開口
部を尾栓3側に向けて配置されている。
【0045】そして、この仕切部材21の外周面の中央
部には、環状の突条部22が突設されており、この突条
部22がオイル室10の内周面に密嵌し、このオイル室
10内をインク室4側と尾栓3側すなわち大気連通側と
に区画している。そして、この突条部22の一個所に
は、これを軸方向に貫通した細溝状のオリフィス通路2
3が形成されており、このオリフィス通路23を介して
このオイル室10のインク室側と大気連通側とを連通し
ている。このオリフィス通路23は、その断面積が小さ
く形成されている。
部には、環状の突条部22が突設されており、この突条
部22がオイル室10の内周面に密嵌し、このオイル室
10内をインク室4側と尾栓3側すなわち大気連通側と
に区画している。そして、この突条部22の一個所に
は、これを軸方向に貫通した細溝状のオリフィス通路2
3が形成されており、このオリフィス通路23を介して
このオイル室10のインク室側と大気連通側とを連通し
ている。このオリフィス通路23は、その断面積が小さ
く形成されている。
【0046】また、この仕切部材21の外周面とオイル
室10の内周面との間には、上記の突条部22の高さに
相当する間隙の環状の隙間が形成され、この環状の隙間
がオイル溜通路24に形成されている。このオイル溜通
路24は、その断面積が上記のオリフィス通路23の断
面積より大きく設定されている。これらのオイル溜通路
24は、上記のオリフィス通路23の両側に形成され、
このオリフィス通路23の両端部はそれぞれ上記のオイ
ル溜通路24に連通している。
室10の内周面との間には、上記の突条部22の高さに
相当する間隙の環状の隙間が形成され、この環状の隙間
がオイル溜通路24に形成されている。このオイル溜通
路24は、その断面積が上記のオリフィス通路23の断
面積より大きく設定されている。これらのオイル溜通路
24は、上記のオリフィス通路23の両側に形成され、
このオリフィス通路23の両端部はそれぞれ上記のオイ
ル溜通路24に連通している。
【0047】また、上記の仕切部材21の外周面の両端
部には、それぞれ複数個の凸部25が形成され、これら
の凸部25の先端部はこのオイル室10の内周面に当接
し、この仕切部材21を安定させ、また上記の環状の隙
間のオイル溜通路24の間隙を正確に維持している。
部には、それぞれ複数個の凸部25が形成され、これら
の凸部25の先端部はこのオイル室10の内周面に当接
し、この仕切部材21を安定させ、また上記の環状の隙
間のオイル溜通路24の間隙を正確に維持している。
【0048】なお、この実施形態では、この有底筒状の
仕切部材21の底部にも上記の凸部25が突設され、こ
れらの凸部25の先端部はこのオイル室10の端壁部す
なわち前記の隔壁部6に当接し、この底部と隔壁部6と
の間に所定の隙間を形成している。この隙間は、上記の
オイル溜通路24の一方と連続しており、実質的にこの
オイル溜通路24の延長部分として構成されている。
仕切部材21の底部にも上記の凸部25が突設され、こ
れらの凸部25の先端部はこのオイル室10の端壁部す
なわち前記の隔壁部6に当接し、この底部と隔壁部6と
の間に所定の隙間を形成している。この隙間は、上記の
オイル溜通路24の一方と連続しており、実質的にこの
オイル溜通路24の延長部分として構成されている。
【0049】そして、上記のオイル室10内には、所定
量の不揮発性オイル、たとえばシリコーン油29が封入
されている。このシリコーン油29は、上記のオリフィ
ス通路23、オイル溜通路24、仕切部材21の底部と
隔壁部6との間の間隙等の内部に毛細管力により充満保
持されている。また、残余のシリコーン油29は、この
仕切部材21と尾栓3との間のオイル室10内に収容さ
れている。
量の不揮発性オイル、たとえばシリコーン油29が封入
されている。このシリコーン油29は、上記のオリフィ
ス通路23、オイル溜通路24、仕切部材21の底部と
隔壁部6との間の間隙等の内部に毛細管力により充満保
持されている。また、残余のシリコーン油29は、この
仕切部材21と尾栓3との間のオイル室10内に収容さ
れている。
【0050】次に、この実施形態の筆記具の作用を説明
する。上記のオリフィス通路23、およびオイル溜通路
24内には、上述のようにシリコーン油29が毛細管力
により保持されており、これらの通路はこのシリコーン
油29によりシールされている。したがって、通常はこ
のオイル室10のインク室側と大気連通側とは気密に区
画されており、インク貯溜室4内のインクの溶媒蒸気が
散逸することはなく、インクの乾燥が完全に防止され
る。
する。上記のオリフィス通路23、およびオイル溜通路
24内には、上述のようにシリコーン油29が毛細管力
により保持されており、これらの通路はこのシリコーン
油29によりシールされている。したがって、通常はこ
のオイル室10のインク室側と大気連通側とは気密に区
画されており、インク貯溜室4内のインクの溶媒蒸気が
散逸することはなく、インクの乾燥が完全に防止され
る。
【0051】また、温度変化、気圧変化等により、上記
のインク貯溜室4内の空気あるいはインクが膨張、収縮
した場合には、上記のオイル室10内のインク貯溜室側
と大気連通側との間に差圧が生じる。そして、この差圧
により、上記のシリコーン油29が上記のオリフィス通
路23を通ってインク貯溜室側から大気連通側へ、また
はこの逆方向に流動し、この差圧を解消する。
のインク貯溜室4内の空気あるいはインクが膨張、収縮
した場合には、上記のオイル室10内のインク貯溜室側
と大気連通側との間に差圧が生じる。そして、この差圧
により、上記のシリコーン油29が上記のオリフィス通
路23を通ってインク貯溜室側から大気連通側へ、また
はこの逆方向に流動し、この差圧を解消する。
【0052】この場合に、上記のシリコーン油29がオ
リフィス通路23を通過する際には、その粘性による流
動抵抗を生じる。しかしながら、この温度変化や気圧変
化によるインク貯溜室4内の空気やインクの膨張、収縮
の速度は極めて緩慢である。したがって、これを補償す
るための上記のシリコーン油の流動流量は極めて小さ
い。したがって、このシリコーン油29がオリフィス通
路23を通過する際の粘性抵抗は極めて小さくなり、こ
のシリコーン油の流動抵抗は実質的に無視できる程小さ
くなる。したがって、上記の差圧も極めて小さくなり、
ほとんど差圧を生じることなく、この膨張、収縮を補償
することができる。
リフィス通路23を通過する際には、その粘性による流
動抵抗を生じる。しかしながら、この温度変化や気圧変
化によるインク貯溜室4内の空気やインクの膨張、収縮
の速度は極めて緩慢である。したがって、これを補償す
るための上記のシリコーン油の流動流量は極めて小さ
い。したがって、このシリコーン油29がオリフィス通
路23を通過する際の粘性抵抗は極めて小さくなり、こ
のシリコーン油の流動抵抗は実質的に無視できる程小さ
くなる。したがって、上記の差圧も極めて小さくなり、
ほとんど差圧を生じることなく、この膨張、収縮を補償
することができる。
【0053】よって、この膨張、収縮の補償の際にイン
ク貯溜室4内に大気との間の差圧が生じることがなく、
ペン体2からのインクのボタ落ちや、このペン体2から
インク貯溜室4内に空気が侵入する等の不具合を生じる
ことがない。
ク貯溜室4内に大気との間の差圧が生じることがなく、
ペン体2からのインクのボタ落ちや、このペン体2から
インク貯溜室4内に空気が侵入する等の不具合を生じる
ことがない。
【0054】また、上記のオリフィス通路23は、その
断面積が小さいので、シリコーン油29を吸収保持する
毛細管力が強い。したがって、常に周囲のシリコーン油
を吸収保持し、これが空になることはない。また、この
オリフィス通路23の両端部に連続してオイル溜通路2
4が設けられ、これらオイル溜通路24の断面積は上記
のオリフィス通路23の断面積より大きく、よってその
毛細管力はこのオリフィス通路23の毛細管力より小さ
い。
断面積が小さいので、シリコーン油29を吸収保持する
毛細管力が強い。したがって、常に周囲のシリコーン油
を吸収保持し、これが空になることはない。また、この
オリフィス通路23の両端部に連続してオイル溜通路2
4が設けられ、これらオイル溜通路24の断面積は上記
のオリフィス通路23の断面積より大きく、よってその
毛細管力はこのオリフィス通路23の毛細管力より小さ
い。
【0055】したがって、このオイル溜通路24内に保
持されているシリコーン油は、優先的にこのオリフィス
通路23内に吸収される。よって、このオイル溜通路2
4内にシリコーン油が残存している限り、このシリコー
ン油は上記のオリフィス通路23内に吸収され続ける。
したがって、このオイル溜通路24内にシリコーン油が
残存している状態でこのオイル溜通路24の一部に空気
が侵入し、この空気がオリフィス通路23内に吸入され
てこのオリフィス通路23が空になることはない。
持されているシリコーン油は、優先的にこのオリフィス
通路23内に吸収される。よって、このオイル溜通路2
4内にシリコーン油が残存している限り、このシリコー
ン油は上記のオリフィス通路23内に吸収され続ける。
したがって、このオイル溜通路24内にシリコーン油が
残存している状態でこのオイル溜通路24の一部に空気
が侵入し、この空気がオリフィス通路23内に吸入され
てこのオリフィス通路23が空になることはない。
【0056】したがって、このオイル溜通路24内に保
持されているシリコーン油は、その全量がオリフィス通
路23を通って流動し、インク貯溜室4内の膨張、収縮
を補償する。なお、この実施形態では、これらのオイル
溜通路24の内容積は、通常の状態で発生する膨張、収
縮を補償するに十分な内容積に設定されている。よっ
て、通常の状態では、このオイル溜通路24内に保持さ
れているシリコーン油がオリフィス通路24を通過して
流動するだけで十分に膨張、収縮を補償することができ
る。この場合に、上記のオリフィス通路23は空になる
ことがなく、このオイル室10のインク貯溜室側と大気
連通側とは連通することがなく、インクの溶媒蒸気の散
逸が生じることがなく、インクの乾燥を完全に防止する
ことができる。
持されているシリコーン油は、その全量がオリフィス通
路23を通って流動し、インク貯溜室4内の膨張、収縮
を補償する。なお、この実施形態では、これらのオイル
溜通路24の内容積は、通常の状態で発生する膨張、収
縮を補償するに十分な内容積に設定されている。よっ
て、通常の状態では、このオイル溜通路24内に保持さ
れているシリコーン油がオリフィス通路24を通過して
流動するだけで十分に膨張、収縮を補償することができ
る。この場合に、上記のオリフィス通路23は空になる
ことがなく、このオイル室10のインク貯溜室側と大気
連通側とは連通することがなく、インクの溶媒蒸気の散
逸が生じることがなく、インクの乾燥を完全に防止する
ことができる。
【0057】また、上述の如く、上記のオイル溜室24
は、通常の場合には空になることがなく、内部にはシリ
コーン油が存在している。したがって、その毛細管力に
より、常に周囲のシリコーン油を吸収し続け、これらの
オイル溜通路24がシリコーン油で満たされた状態を維
持し、上記のオリフィス通路23が空になることを確実
に防止する。
は、通常の場合には空になることがなく、内部にはシリ
コーン油が存在している。したがって、その毛細管力に
より、常に周囲のシリコーン油を吸収し続け、これらの
オイル溜通路24がシリコーン油で満たされた状態を維
持し、上記のオリフィス通路23が空になることを確実
に防止する。
【0058】また、たとえばこの筆記具が炎天下に駐車
した自動車のダッシュボード等の上に放置された場合等
の極端な条件下では、インク貯溜室4内で急激かつ大き
な膨張が生じることがある。このような場合には、上記
のオイル溜通路24内のシリコーン油29がオリフィス
通路23を介して全て大気連通側に流動してオリフィス
通路23内が空になり、インク貯溜室4内のインクの溶
媒蒸気の散逸が生じる。しかし、このような極端な場合
はまれにしか生じることがない。またこの場合、この溶
媒蒸気がオリフィス通路23を介して大気連通側に放出
されても、この大気連通側のオイル溜通路24内にはシ
リコーン油が保持されている。したがって、この溶媒蒸
気の放出により差圧が解消されると、このオリフィス通
路23内にはその強い毛細管力により、再びシリコーン
油が吸収保持されるので、このようにオリフィス通路2
3が空になるのは一時的である。したがって、このよう
な場合の溶媒蒸気の散逸はわずかである。
した自動車のダッシュボード等の上に放置された場合等
の極端な条件下では、インク貯溜室4内で急激かつ大き
な膨張が生じることがある。このような場合には、上記
のオイル溜通路24内のシリコーン油29がオリフィス
通路23を介して全て大気連通側に流動してオリフィス
通路23内が空になり、インク貯溜室4内のインクの溶
媒蒸気の散逸が生じる。しかし、このような極端な場合
はまれにしか生じることがない。またこの場合、この溶
媒蒸気がオリフィス通路23を介して大気連通側に放出
されても、この大気連通側のオイル溜通路24内にはシ
リコーン油が保持されている。したがって、この溶媒蒸
気の放出により差圧が解消されると、このオリフィス通
路23内にはその強い毛細管力により、再びシリコーン
油が吸収保持されるので、このようにオリフィス通路2
3が空になるのは一時的である。したがって、このよう
な場合の溶媒蒸気の散逸はわずかである。
【0059】また、この実施形態では、上記の仕切部材
21の底壁と隔壁部6との間に隙間が形成され、この隙
間の部分はインク貯溜室側のインク溜通路24の延長部
分として形成されている。したがって、このインク貯溜
室側のインク溜通路24の内容積は実質的に大きく形成
されており、上記のようにインク貯溜室4内で大きな膨
張が生じた場合でも、オリフィス通路23が空になる可
能性が少ない。
21の底壁と隔壁部6との間に隙間が形成され、この隙
間の部分はインク貯溜室側のインク溜通路24の延長部
分として形成されている。したがって、このインク貯溜
室側のインク溜通路24の内容積は実質的に大きく形成
されており、上記のようにインク貯溜室4内で大きな膨
張が生じた場合でも、オリフィス通路23が空になる可
能性が少ない。
【0060】なお、この実施形態の筆記具では、前記の
均圧管7内の均圧通路8により、このインク貯溜室4内
のインクの水頭圧を解消するように構成されており、以
下その作用を説明する。
均圧管7内の均圧通路8により、このインク貯溜室4内
のインクの水頭圧を解消するように構成されており、以
下その作用を説明する。
【0061】この筆記具をそのペン体を下向きにして筆
記を行う場合には、上記のインク貯溜室4内のインク5
の水頭圧に相当する圧力がボールチップ2に作用するこ
とになる。この場合に、インク貯溜室4の尾端部側は閉
塞しているので、この尾端部側に封入された空気は、イ
ンクに作用する重力により、膨張して負圧となる。一
方、上記の空気の膨張により、その分だけインクがイン
ク液柱5aとして均圧通路8の下端部に流入する。
記を行う場合には、上記のインク貯溜室4内のインク5
の水頭圧に相当する圧力がボールチップ2に作用するこ
とになる。この場合に、インク貯溜室4の尾端部側は閉
塞しているので、この尾端部側に封入された空気は、イ
ンクに作用する重力により、膨張して負圧となる。一
方、上記の空気の膨張により、その分だけインクがイン
ク液柱5aとして均圧通路8の下端部に流入する。
【0062】この場合に、この均圧通路8は大気に実質
的に連通しているので、その内部の圧力は常に大気圧で
ある。したがって、この均圧通路8の先端部すなわち均
圧管7の先端部の圧力も大気圧である。よって、インク
貯溜室4の上端部内の空気は、このインク貯溜室4内の
インクの水頭圧に相当する分だけ大気圧より低圧すなわ
ち負圧となり、この状態でバランスする。
的に連通しているので、その内部の圧力は常に大気圧で
ある。したがって、この均圧通路8の先端部すなわち均
圧管7の先端部の圧力も大気圧である。よって、インク
貯溜室4の上端部内の空気は、このインク貯溜室4内の
インクの水頭圧に相当する分だけ大気圧より低圧すなわ
ち負圧となり、この状態でバランスする。
【0063】そして、この均圧通路8の先端は、前述し
たようにボールチップ2の近傍に位置しているので、こ
のボールチップ2に作用するインクの圧力は約大気圧で
あり、このインク貯溜室4内のインクの水頭圧が作用す
ることは防止される。なお、実際には、このボールチッ
プ2に作用するインクの圧力は、このボールチップ2か
ら均圧通路8の先端までの高さおよび均圧通路8の先端
部内に侵入したインク液柱5aの高さに相当する水頭圧
などが作用する。しかし、これらの圧力はわずかであ
り、実質的に略大気圧の圧力がボールチップ2に作用す
る。
たようにボールチップ2の近傍に位置しているので、こ
のボールチップ2に作用するインクの圧力は約大気圧で
あり、このインク貯溜室4内のインクの水頭圧が作用す
ることは防止される。なお、実際には、このボールチッ
プ2に作用するインクの圧力は、このボールチップ2か
ら均圧通路8の先端までの高さおよび均圧通路8の先端
部内に侵入したインク液柱5aの高さに相当する水頭圧
などが作用する。しかし、これらの圧力はわずかであ
り、実質的に略大気圧の圧力がボールチップ2に作用す
る。
【0064】なお、この筆記具をペン体すなわちボール
チップ2を上向きにした場合には、インク貯溜室4の先
端部内はインク5の水頭圧に相当する負圧、筆記具を水
平にした場合には略大気圧が作用するが、上記のインク
液柱5aが移動するだけでバランスする。
チップ2を上向きにした場合には、インク貯溜室4の先
端部内はインク5の水頭圧に相当する負圧、筆記具を水
平にした場合には略大気圧が作用するが、上記のインク
液柱5aが移動するだけでバランスする。
【0065】なお、上記のような作用の際には、均圧通
路8内のインク液柱5aの高さが変化し、その分だけこ
の均圧通路8内の容積が変動する。このような均圧通路
8内の容積の変動は、前記のオイル室10のシリコーン
油29がオリフィス通路23を通過して流動することに
より補償される。このような変化は短時間で生じるが、
この場合のインク液柱5aの高さの変動、すなわち均圧
通路8内の容積の変動の量は極めてわずかであるので、
作動に支障は生じない。
路8内のインク液柱5aの高さが変化し、その分だけこ
の均圧通路8内の容積が変動する。このような均圧通路
8内の容積の変動は、前記のオイル室10のシリコーン
油29がオリフィス通路23を通過して流動することに
より補償される。このような変化は短時間で生じるが、
この場合のインク液柱5aの高さの変動、すなわち均圧
通路8内の容積の変動の量は極めてわずかであるので、
作動に支障は生じない。
【0066】なお、本発明は上記の実施形態には限定さ
れない。たとえば、図5には本発明の第2の実施形態を
示す。このものは、仕切部材21の外周面をその両端部
に向けて径が縮小するようなテーパ状としたものであ
る。したがって、この仕切部材21の外周面とオイル室
10の内周面との間に形成される環状の隙間すなわちオ
イル溜通路24は、その両端部に向かって、すなわちオ
リフィス通路23の端部開口から離れるにしたがって間
隙が増大するようなテーパ状に形成されているものであ
る。
れない。たとえば、図5には本発明の第2の実施形態を
示す。このものは、仕切部材21の外周面をその両端部
に向けて径が縮小するようなテーパ状としたものであ
る。したがって、この仕切部材21の外周面とオイル室
10の内周面との間に形成される環状の隙間すなわちオ
イル溜通路24は、その両端部に向かって、すなわちオ
リフィス通路23の端部開口から離れるにしたがって間
隙が増大するようなテーパ状に形成されているものであ
る。
【0067】この実施形態のものは、オイル溜通路24
の間隙が奥方にゆくにしたがって、すなわちオリフィス
通路23の端部開口に近づくにしたがって狭くなり、そ
の毛細管力も強くなる。したがって、このオイル溜通路
24内に保持されているシリコーン油29の量が減少し
た場合に、このシリコーン油は毛細管力の強い部分、す
なわちこのオイル溜通路24の奥方に優先的に保持され
る。したがって、このオイル溜通路24に保持されてい
るシリコーン油が上記のオリフィス通路23を通って流
動して減少してゆく際に、このオイル溜通路24の奥部
すなわちオリフィス通路23の開口端部の近傍の部分に
は、最後までシリコーン油が残る。したがって、このオ
イル溜通路24の他の部分にシリコーン油が残存した状
態で。このオイル溜通路24の奥方まで空気が侵入し、
この空気がオリフィス通路23内に侵入してしまうこと
がない。
の間隙が奥方にゆくにしたがって、すなわちオリフィス
通路23の端部開口に近づくにしたがって狭くなり、そ
の毛細管力も強くなる。したがって、このオイル溜通路
24内に保持されているシリコーン油29の量が減少し
た場合に、このシリコーン油は毛細管力の強い部分、す
なわちこのオイル溜通路24の奥方に優先的に保持され
る。したがって、このオイル溜通路24に保持されてい
るシリコーン油が上記のオリフィス通路23を通って流
動して減少してゆく際に、このオイル溜通路24の奥部
すなわちオリフィス通路23の開口端部の近傍の部分に
は、最後までシリコーン油が残る。したがって、このオ
イル溜通路24の他の部分にシリコーン油が残存した状
態で。このオイル溜通路24の奥方まで空気が侵入し、
この空気がオリフィス通路23内に侵入してしまうこと
がない。
【0068】このような作用は、このオイル溜通路24
の間隙を大きくした場合に、特に有効である。すなわ
ち、この実施形態において、オイル溜通路24の内容積
を大きくしてシリコーン油の間隙を広くし、このオイル
溜通路24内に保持されるシリコーン油の量を大きくす
る場合には、この環状のオイル溜通路24の間隙を広く
する必要がある。
の間隙を大きくした場合に、特に有効である。すなわ
ち、この実施形態において、オイル溜通路24の内容積
を大きくしてシリコーン油の間隙を広くし、このオイル
溜通路24内に保持されるシリコーン油の量を大きくす
る場合には、この環状のオイル溜通路24の間隙を広く
する必要がある。
【0069】このように間隙を広くすると、このオイル
溜通路24の毛細管力が弱くなる。このため、オイル室
に差圧が生じ、このオイル溜通路24内のシリコーン油
がオリフィス通路を通って流動移動する場合に、このオ
イル溜室24内にシリコーン油が残存したまま、このオ
イル溜通路24の一部内に空気が侵入し、この空気がオ
リフィス通路内に流れ、このオリフィス通路が空になる
ことがある。しかし、この実施形態では、上記のよう
に、このオイル溜通路24の奥部の間隙が狭く、この部
分に最後までシリコーン油が保持されるので、上記のよ
うな不具合を生じることはない。
溜通路24の毛細管力が弱くなる。このため、オイル室
に差圧が生じ、このオイル溜通路24内のシリコーン油
がオリフィス通路を通って流動移動する場合に、このオ
イル溜室24内にシリコーン油が残存したまま、このオ
イル溜通路24の一部内に空気が侵入し、この空気がオ
リフィス通路内に流れ、このオリフィス通路が空になる
ことがある。しかし、この実施形態では、上記のよう
に、このオイル溜通路24の奥部の間隙が狭く、この部
分に最後までシリコーン油が保持されるので、上記のよ
うな不具合を生じることはない。
【0070】なお、この実施形態のものは、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様の構成であり、図5に
おいて第1の実施形態に対応する部分には同じ符号を付
してその説明を省略する。
外は前記の第1の実施形態と同様の構成であり、図5に
おいて第1の実施形態に対応する部分には同じ符号を付
してその説明を省略する。
【0071】また、図6には本発明の第3の実施形態の
筆記具におけるインクの乾燥防止機構30を示す。この
ものは、オイル室10内に中実円柱状の仕切部材31を
挿入したものである。そして、この仕切部材31の外周
面はオイル室10の内周面に密着嵌合している。また、
この仕切部材31の外周面には、一本の細溝が形成さ
れ、この細溝がオリフィス通路33として構成されてい
る。
筆記具におけるインクの乾燥防止機構30を示す。この
ものは、オイル室10内に中実円柱状の仕切部材31を
挿入したものである。そして、この仕切部材31の外周
面はオイル室10の内周面に密着嵌合している。また、
この仕切部材31の外周面には、一本の細溝が形成さ
れ、この細溝がオリフィス通路33として構成されてい
る。
【0072】また、この仕切部材31のインク貯溜室側
の端面には、複数の凸部35が突設され、これらの先端
部は前記のオイル室10の端壁すなわち隔壁部6の端面
に当接している。したがって、この仕切部材31の端面
と、隔壁部6の端面との間には所定の隙間が形成され、
この隙間がオイル溜通路34として構成される。
の端面には、複数の凸部35が突設され、これらの先端
部は前記のオイル室10の端壁すなわち隔壁部6の端面
に当接している。したがって、この仕切部材31の端面
と、隔壁部6の端面との間には所定の隙間が形成され、
この隙間がオイル溜通路34として構成される。
【0073】この実施形態のものは、インク貯溜室4内
の空気または溶媒蒸気が膨張した場合には、上記のオイ
ル溜室34内のシリコーン油がオリフィス通路33を通
ってオイル室10の大気連通側に流れ、この膨張を補償
する。
の空気または溶媒蒸気が膨張した場合には、上記のオイ
ル溜室34内のシリコーン油がオリフィス通路33を通
ってオイル室10の大気連通側に流れ、この膨張を補償
する。
【0074】また、このインク貯溜室4内の空気または
溶媒蒸気が収縮した場合には、オイル室10内のシリコ
ーン油29がオリフィス通路33を通ってオイル溜通路
34に流れ、この収縮を補償する。この場合に、上記の
仕切部材31の空気連通側の端面の周辺部とオイル室1
0の内周面とで形成される環状の隅部には、毛細管力に
よりシリコーン油が保持されている。したがって、この
隅部のシリコーン油が上記のオリフィス通路23を通っ
てオイル溜通路34に流れる。なお、この隅部のシリコ
ーン油がオリフィス通路33内に流入すると、このオイ
ル室10内に封入されているシリコーン油29が毛細管
力により上記の隅部に集められるので、この隅部が完全
に空になることはない。
溶媒蒸気が収縮した場合には、オイル室10内のシリコ
ーン油29がオリフィス通路33を通ってオイル溜通路
34に流れ、この収縮を補償する。この場合に、上記の
仕切部材31の空気連通側の端面の周辺部とオイル室1
0の内周面とで形成される環状の隅部には、毛細管力に
よりシリコーン油が保持されている。したがって、この
隅部のシリコーン油が上記のオリフィス通路23を通っ
てオイル溜通路34に流れる。なお、この隅部のシリコ
ーン油がオリフィス通路33内に流入すると、このオイ
ル室10内に封入されているシリコーン油29が毛細管
力により上記の隅部に集められるので、この隅部が完全
に空になることはない。
【0075】この実施形態のものは、構造が簡単であ
り、容易に製造できるとともに、通常の使用条件の場合
では、インクの乾燥防止および膨張収縮の補償作用を十
分に行うことができる。
り、容易に製造できるとともに、通常の使用条件の場合
では、インクの乾燥防止および膨張収縮の補償作用を十
分に行うことができる。
【0076】すなわち、この筆記具を直射日光下に放置
したような場合には、インク貯溜室4内の空気が比較的
短時間で膨張する場合がある。しかし、この実施形態の
場合には、仕切部材31のインク貯溜室側にインク溜通
路34が形成されているので、多少の膨張では、このイ
ンク溜通路34内のシリコーン油の全部が大気連通側に
移動することはなく、オリフィス通路33が空になるこ
とはない。よって、インクの溶媒蒸気の散逸が生じるこ
とはない。
したような場合には、インク貯溜室4内の空気が比較的
短時間で膨張する場合がある。しかし、この実施形態の
場合には、仕切部材31のインク貯溜室側にインク溜通
路34が形成されているので、多少の膨張では、このイ
ンク溜通路34内のシリコーン油の全部が大気連通側に
移動することはなく、オリフィス通路33が空になるこ
とはない。よって、インクの溶媒蒸気の散逸が生じるこ
とはない。
【0077】一方、温度低下等によりこのインク貯溜室
4内の空気が収縮する場合には、その収縮速度は小さ
い。よって、上記の隅部のシリコーン油の全部がオリフ
ィス通路33内に流入する前に、このオイル室10内の
シリコーン油がこの隅部に集められるので、収縮の場合
でもこのオリフィス通路33が空になることはない。よ
って、この収縮の場合でも、インクの溶媒蒸気が散逸す
ることが防止される。
4内の空気が収縮する場合には、その収縮速度は小さ
い。よって、上記の隅部のシリコーン油の全部がオリフ
ィス通路33内に流入する前に、このオイル室10内の
シリコーン油がこの隅部に集められるので、収縮の場合
でもこのオリフィス通路33が空になることはない。よ
って、この収縮の場合でも、インクの溶媒蒸気が散逸す
ることが防止される。
【0078】なお、上記の実施形態では、上述の点以外
は前記の第1の実施形態と同様の構成であり、図6中で
第1の実施形態と対応する部分には、同じ符号を付して
その説明を省略する。
は前記の第1の実施形態と同様の構成であり、図6中で
第1の実施形態と対応する部分には、同じ符号を付して
その説明を省略する。
【0079】また、図7には、本発明の第4の実施形態
の乾燥防止機構40を示す。このものは、有底筒状の仕
切部材41を備えている。この仕切部材41は、その底
部が上記のインク貯溜室4側、開口端部が尾栓3側に向
けて配置されている。したがって、この有底筒状の仕切
部材41の外側がインク貯溜室側、内側が大気連通側と
なっている。
の乾燥防止機構40を示す。このものは、有底筒状の仕
切部材41を備えている。この仕切部材41は、その底
部が上記のインク貯溜室4側、開口端部が尾栓3側に向
けて配置されている。したがって、この有底筒状の仕切
部材41の外側がインク貯溜室側、内側が大気連通側と
なっている。
【0080】この仕切部材41の開口端部の外周面に
は、環状の突条部42が形成され、この突条部42の外
周面はオイル室10の内周面に密着嵌合している。そし
て、この突条部42には、1本の細溝が形成され、この
細溝がオリフィス通路43として構成されており、この
オリフィス通路43により、この有底筒状の仕切部材の
外側と内側、すなわちインク貯溜室側と大気連通側とが
連通されている。
は、環状の突条部42が形成され、この突条部42の外
周面はオイル室10の内周面に密着嵌合している。そし
て、この突条部42には、1本の細溝が形成され、この
細溝がオリフィス通路43として構成されており、この
オリフィス通路43により、この有底筒状の仕切部材の
外側と内側、すなわちインク貯溜室側と大気連通側とが
連通されている。
【0081】また、この仕切部材41の周壁部は、底部
にゆくにしたがって径が縮小するようなテーパ状に形成
されている。そして、この外周面とオイル室10の内周
面との間の環状の隙間がオイル溜通路44として構成さ
れている。なお、このオイル溜通路44は、その奥部す
なわち上記のオリフィス通路43から離れるにしたがっ
てその間隙が広くなるようなテーパ状に形成されてい
る。
にゆくにしたがって径が縮小するようなテーパ状に形成
されている。そして、この外周面とオイル室10の内周
面との間の環状の隙間がオイル溜通路44として構成さ
れている。なお、このオイル溜通路44は、その奥部す
なわち上記のオリフィス通路43から離れるにしたがっ
てその間隙が広くなるようなテーパ状に形成されてい
る。
【0082】また、上記の尾栓3の縁側からは、円筒状
の内筒部材46が突設されており、この内筒部材46は
上記の仕切部材41内に同心状に挿入されている。そし
て、この内筒部材46内および尾栓3を介して、この仕
切部材41の内側が大気に連通されている。
の内筒部材46が突設されており、この内筒部材46は
上記の仕切部材41内に同心状に挿入されている。そし
て、この内筒部材46内および尾栓3を介して、この仕
切部材41の内側が大気に連通されている。
【0083】そして、この内筒部材46の外周面と仕切
部材41の内周面との間の環状の隙間が第2のオイル溜
通路47として構成されている。なお、この内筒部材4
6は、先端にゆくにしたがって径が縮小するテーパ状に
形成されている。また、この内筒部材46のテーパ角度
は、上記の仕切部材41のテーパ角度より大きい角度に
設定されている。したがって、上記のオイル溜通路47
は、その奥方、すなわちオリフィス通路43に近くなる
にしたがって、その間隙が小さくなるようなテーパ状に
形成されている。
部材41の内周面との間の環状の隙間が第2のオイル溜
通路47として構成されている。なお、この内筒部材4
6は、先端にゆくにしたがって径が縮小するテーパ状に
形成されている。また、この内筒部材46のテーパ角度
は、上記の仕切部材41のテーパ角度より大きい角度に
設定されている。したがって、上記のオイル溜通路47
は、その奥方、すなわちオリフィス通路43に近くなる
にしたがって、その間隙が小さくなるようなテーパ状に
形成されている。
【0084】この実施形態は、オイル室10内に封入さ
れたシリコーン油は、毛細管力により上記のオイル溜通
路44,47に保持される。そして、インク貯溜室4内
で空気の膨張収縮が生じた場合には、前述のように、こ
れらのオイル溜通路44,47のシリコーン油がオリフ
ィス通路43を通って移動し、これら膨張収縮を補償す
る。また、これらオイル溜通路44,47はテーパ状を
なしているので、前述のように、その内部に保持されて
いるシリコーン油の全量がオリフィス通路43を介して
移動する。
れたシリコーン油は、毛細管力により上記のオイル溜通
路44,47に保持される。そして、インク貯溜室4内
で空気の膨張収縮が生じた場合には、前述のように、こ
れらのオイル溜通路44,47のシリコーン油がオリフ
ィス通路43を通って移動し、これら膨張収縮を補償す
る。また、これらオイル溜通路44,47はテーパ状を
なしているので、前述のように、その内部に保持されて
いるシリコーン油の全量がオリフィス通路43を介して
移動する。
【0085】この実施形態のものは、オイル溜通路4
4,47が同心状の二重に配置されているので、オイル
室10内の空間を有効に利用でき、全体を小形に形成す
ることができ、またこれらオイル溜通路44,47の内
容積を大きくすることが容易である。
4,47が同心状の二重に配置されているので、オイル
室10内の空間を有効に利用でき、全体を小形に形成す
ることができ、またこれらオイル溜通路44,47の内
容積を大きくすることが容易である。
【0086】なお、この実施形態は上記の点以外は前記
の第1の実施形態と同様の構成であり、図7中で第1の
実施形態と対応する部分には同じ符号を付してその説明
を省略する。
の第1の実施形態と同様の構成であり、図7中で第1の
実施形態と対応する部分には同じ符号を付してその説明
を省略する。
【0087】また、図8には本発明の第5の実施形態の
乾燥防止機構50を示す。このものは、オイル室10内
に中実円柱状の仕切部材51が挿入され、この仕切部材
51の外周面はオイル室10の内周面に密着嵌合してい
る。
乾燥防止機構50を示す。このものは、オイル室10内
に中実円柱状の仕切部材51が挿入され、この仕切部材
51の外周面はオイル室10の内周面に密着嵌合してい
る。
【0088】そして、この仕切部材51の中心部には、
軸方向にオリフィス通路53が形成されている。また、
このオリフィス通路51の両端部分は、その径が開口端
に向かって拡大したテーパ状に形成され、これらの部分
がそれぞれオイル溜通路54に形成されている。なお、
これらのオイル溜通路54は、この仕切部材51の端面
の中心部に開口している。
軸方向にオリフィス通路53が形成されている。また、
このオリフィス通路51の両端部分は、その径が開口端
に向かって拡大したテーパ状に形成され、これらの部分
がそれぞれオイル溜通路54に形成されている。なお、
これらのオイル溜通路54は、この仕切部材51の端面
の中心部に開口している。
【0089】この実施形態のものは、上記のオイル溜通
路54内のシリコーン油がオリフィス通路53を介して
移動すると、仕切部材51の端面の周辺部の隅部に保持
されているシリコーン油がこの端面の表面を伝わって上
記のオイル溜通路54内に供給される。したがって、こ
のオイル溜通路54の内容積が比較的小さくても、通常
の条件下ではこのオイル溜通路54およびオリフィス通
路53が空になることはなく、インクの乾燥を確実に防
止する。
路54内のシリコーン油がオリフィス通路53を介して
移動すると、仕切部材51の端面の周辺部の隅部に保持
されているシリコーン油がこの端面の表面を伝わって上
記のオイル溜通路54内に供給される。したがって、こ
のオイル溜通路54の内容積が比較的小さくても、通常
の条件下ではこのオイル溜通路54およびオリフィス通
路53が空になることはなく、インクの乾燥を確実に防
止する。
【0090】また、この実施形態のものは、オリフィス
通路53およびオイル溜通路54が仕切部材51の端面
の中心部に開口している。したがって、この筆記具が水
平の姿勢で放置された場合に、どの回転位置であっても
シリコーン油の流動の条件が変化することはなく、常に
作動が安定している。
通路53およびオイル溜通路54が仕切部材51の端面
の中心部に開口している。したがって、この筆記具が水
平の姿勢で放置された場合に、どの回転位置であっても
シリコーン油の流動の条件が変化することはなく、常に
作動が安定している。
【0091】なお、この実施形態のものは、上記の点以
外は前記の第1の実施形態と同様の構成であり、図8中
で第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付して
その説明は省略する。
外は前記の第1の実施形態と同様の構成であり、図8中
で第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を付して
その説明は省略する。
【0092】また、図9には、本発明の第6の実施形態
の乾燥防止機構60を示す。この実施形態のものは、有
底筒状の仕切部材61を備えている。この仕切部材61
は、円筒状の外筒部66、この外筒部66の一端部を仕
切る仕切壁部65、およびこの仕切壁部65の中心部か
ら上記の外筒部と同心状に突設された内筒部67とから
構成されている。なお、この有底筒状の仕切部材61
は、その開口端部をインク貯溜室4側に向けて配置さ
れ、上記の外筒部66の外周面は、オイル室10の内周
面に密着嵌合している。
の乾燥防止機構60を示す。この実施形態のものは、有
底筒状の仕切部材61を備えている。この仕切部材61
は、円筒状の外筒部66、この外筒部66の一端部を仕
切る仕切壁部65、およびこの仕切壁部65の中心部か
ら上記の外筒部と同心状に突設された内筒部67とから
構成されている。なお、この有底筒状の仕切部材61
は、その開口端部をインク貯溜室4側に向けて配置さ
れ、上記の外筒部66の外周面は、オイル室10の内周
面に密着嵌合している。
【0093】そして、上記の内筒部67の中心部を軸方
向に貫通して、前記の図8に示す第5の実施形態と同様
のオリフィス通路53およびオイル溜通路54が形成さ
れている。そして、一方のオイル溜通路54は上記の内
筒部67の先端面に開口し、また他方のオイル溜通路5
4はこの仕切部材61の端面すなわち仕切壁部65の端
面の中心部に開口している。また、上記の内筒部67の
外周面と外筒部66の内周面との間には環状の隙間が形
成され、この隙間はオイル保持部68として構成されて
いる。
向に貫通して、前記の図8に示す第5の実施形態と同様
のオリフィス通路53およびオイル溜通路54が形成さ
れている。そして、一方のオイル溜通路54は上記の内
筒部67の先端面に開口し、また他方のオイル溜通路5
4はこの仕切部材61の端面すなわち仕切壁部65の端
面の中心部に開口している。また、上記の内筒部67の
外周面と外筒部66の内周面との間には環状の隙間が形
成され、この隙間はオイル保持部68として構成されて
いる。
【0094】この実施形態のものは、オイル室10内に
封入されたシリコーン油29は、上記のオリフィス通路
53およびオイル溜通路54内に毛細管力で保持され
る。また、このシリコーン油は、上記の内筒部67の外
周面と外筒部66の内周面との間のオイル保持部68内
にも保持される。このオイル保持部68は、上記の内筒
部の先端面のオイル溜通路54の開口を囲んで形成され
ているので、このオイル溜通路54内のシリコーン油が
オリフィス通路53を通って移動すると、このオイル保
持部68内のシリコーン油がただちにこのオイル溜通路
54に補給される。したがって、インク貯溜室4内で大
きな膨張が生じた場合でも、オイル溜通路54およびオ
リフィス通路53内が空になることはなく、インクの乾
燥をより確実に防止する。
封入されたシリコーン油29は、上記のオリフィス通路
53およびオイル溜通路54内に毛細管力で保持され
る。また、このシリコーン油は、上記の内筒部67の外
周面と外筒部66の内周面との間のオイル保持部68内
にも保持される。このオイル保持部68は、上記の内筒
部の先端面のオイル溜通路54の開口を囲んで形成され
ているので、このオイル溜通路54内のシリコーン油が
オリフィス通路53を通って移動すると、このオイル保
持部68内のシリコーン油がただちにこのオイル溜通路
54に補給される。したがって、インク貯溜室4内で大
きな膨張が生じた場合でも、オイル溜通路54およびオ
リフィス通路53内が空になることはなく、インクの乾
燥をより確実に防止する。
【0095】なお、この実施形態は上記の点以外は前記
の図8に示す第5の実施形態と同様の構成および作用効
果であり、図9中で第5の実施形態と対応する部分には
同じ符号を付してその説明は省略する。
の図8に示す第5の実施形態と同様の構成および作用効
果であり、図9中で第5の実施形態と対応する部分には
同じ符号を付してその説明は省略する。
【0096】また、図10には第7の実施形態の乾燥防
止機構70を示す。この実施形態の仕切部材71は、外
筒部66の軸方向の中央部に仕切壁部65を形成し、こ
の仕切壁部65の中心部の両側にそれぞれ内筒部67を
突設し、これら内筒部67を軸方向に貫通して前述のオ
リフィス通路53およびオイル溜通路54を形成したも
のである。
止機構70を示す。この実施形態の仕切部材71は、外
筒部66の軸方向の中央部に仕切壁部65を形成し、こ
の仕切壁部65の中心部の両側にそれぞれ内筒部67を
突設し、これら内筒部67を軸方向に貫通して前述のオ
リフィス通路53およびオイル溜通路54を形成したも
のである。
【0097】このものは、オリフィス通路53およびオ
イル溜通路54の両側にオイル保持部68が形成されて
いるので、インク貯溜室4で大きな膨張および収縮が生
じた両方の場合でも、このオリフィス通路53およびオ
イル溜通路54内が空になることはなく、インクの乾燥
をより効果的に防止することができる。
イル溜通路54の両側にオイル保持部68が形成されて
いるので、インク貯溜室4で大きな膨張および収縮が生
じた両方の場合でも、このオリフィス通路53およびオ
イル溜通路54内が空になることはなく、インクの乾燥
をより効果的に防止することができる。
【0098】なお、この実施形態は上記の点以外は前記
の第6の実施形態と同様の構成および作用効果であり、
図10中で第6の実施形態と対応する部分には同じ符号
を付してその説明は省略する。
の第6の実施形態と同様の構成および作用効果であり、
図10中で第6の実施形態と対応する部分には同じ符号
を付してその説明は省略する。
【0099】また、本発明は上記の実施形態にも限定さ
れず、各種の変更を行うことが可能である。たとえば、
本発明の筆記具のインク供給機構や水頭圧等の圧力補償
機構は、必ずしも上記の実施形態には限定されない。ま
た、ペン体も、前記のような水性ボールチップには限定
されず、その他のペン体であっても良い。また、本発明
は、速乾性のインクを使用する場合に適するものである
が、このインクは必ずしも速乾性のものには限定され
ず、水性、油性、その他の種類のインクであってもよ
い。
れず、各種の変更を行うことが可能である。たとえば、
本発明の筆記具のインク供給機構や水頭圧等の圧力補償
機構は、必ずしも上記の実施形態には限定されない。ま
た、ペン体も、前記のような水性ボールチップには限定
されず、その他のペン体であっても良い。また、本発明
は、速乾性のインクを使用する場合に適するものである
が、このインクは必ずしも速乾性のものには限定され
ず、水性、油性、その他の種類のインクであってもよ
い。
【0100】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、上記のオリ
フィス通路はその断面積が小さく設定されているので毛
細管力が強く、周囲の不揮発性オイルを吸引して常に不
揮発性オイルで満たされた状態を維持するとともに、上
記のオリフィス通路の端部に連続した断面積の大きなオ
イル溜通路内の不揮発性オイルが上記のオリフィス通路
を通ってインク貯溜室側と大気連通側との間で流通して
差圧を解消する。よって、このオリフィス通路が空にな
ったままの状態が継続することはなく、インクの溶媒蒸
気の散逸を確実に防止することができる。
フィス通路はその断面積が小さく設定されているので毛
細管力が強く、周囲の不揮発性オイルを吸引して常に不
揮発性オイルで満たされた状態を維持するとともに、上
記のオリフィス通路の端部に連続した断面積の大きなオ
イル溜通路内の不揮発性オイルが上記のオリフィス通路
を通ってインク貯溜室側と大気連通側との間で流通して
差圧を解消する。よって、このオリフィス通路が空にな
ったままの状態が継続することはなく、インクの溶媒蒸
気の散逸を確実に防止することができる。
【図1】本発明の第1の実施形態の筆記具の縦断面図。
【図2】第1の実施形態の乾燥防止機構の部分を拡大し
た縦断面図。
た縦断面図。
【図3】図2の3−3線に沿う断面図。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図。
【図5】第2の実施形態の乾燥防止機構の部分を拡大し
た縦断面図。
た縦断面図。
【図6】第3の実施形態の乾燥防止機構の部分を拡大し
た縦断面図。
た縦断面図。
【図7】第4の実施形態の乾燥防止機構の部分を拡大し
た縦断面図。
た縦断面図。
【図8】第5の実施形態の乾燥防止機構の部分を拡大し
た縦断面図。
た縦断面図。
【図9】第6の実施形態の乾燥防止機構の部分を拡大し
た縦断面図。
た縦断面図。
【図10】第7の実施形態の乾燥防止機構の部分を拡大
した縦断面図。
した縦断面図。
1 筆記具の本体 3 尾栓 4 インク貯溜室 6 隔壁部 8 均圧通路 10 オイル室 20,30,40,50,60,70 乾燥防止機構 21,31,41,51,61,71 仕切部材 23,33,43,53 オリフィス通路 24,34,44,54 オイル溜通路 46 内筒部材 65 仕切壁部 66 外筒部 67 内筒部
Claims (11)
- 【請求項1】 筆記具の本体と、この本体内に形成され
たインク貯溜室と、このインク貯溜室と連通したペン体
と、上記のインク貯溜室と連通するとともに大気に連通
したオイル室と、このオイル室内を上記のインク貯溜室
側と大気連通側とに区画する仕切部材と、この仕切部材
に形成され上記のインク貯溜室側と大気連通側とを連通
する小断面積のオリフィス通路と、このオリフィス通路
の少なくとも一方の端部に連続して形成されこのオリフ
ィス通路の断面積より大きな断面積を有するオイル溜通
路と、上記のオイル室内に封入された不揮発性オイルと
を具備したことを特徴とする筆記具。 - 【請求項2】 前記のオリフィス通路は1個であること
を特徴とする請求項1の筆記具。 - 【請求項3】 前記のオイル溜通路は、前記の仕切部材
の外周面と前記のオイル室の内周面との間に形成された
環状の隙間であることを特徴とする請求項1の筆記具。 - 【請求項4】 前記のオイル溜通路は、前記のオリフィ
ス通路の端部から離れるに従って間隙が拡大したテーパ
状のものであることを特徴とする請求項3の筆記具。 - 【請求項5】 前記のオイル溜通路は、前記の仕切部材
の端面と前記のオイル室の端壁面との間に形成された隙
間であることを特徴とする請求項1の筆記具。 - 【請求項6】 前記の仕切部材は有底筒状をなし、また
この有底筒状の仕切部材内には内筒部材が挿入されてお
り、上記の仕切部材の外周面と前記のオイル室の内周面
との間の隙間、およびこの仕切部材の内周面と上記の内
筒部材の外周面との間の隙間が、それぞれ前記のオイル
溜通路に形成されていることを特徴とする請求項1の筆
記具。 - 【請求項7】 前記のオイル溜通路を構成する前記の隙
間は、前記のオリフィス通路の端部から離れるに従って
間隙が拡大したテーパ状のものであることを特徴とする
請求項6の筆記具。 - 【請求項8】 前記のオイル溜通路は、前記のオリフィ
ス通路の端部の径を開口端に行くに従って拡径した円錐
形のものであることを特徴とする請求項1の筆記具。 - 【請求項9】 前記のオリフィス通路およびオイル溜通
路は、前記の仕切部の中心部に形成されていることを特
徴とする請求項8の筆記具。 - 【請求項10】 前記の仕切部材は、筒状をなす外筒部
と、この外筒部内を仕切る仕切壁部と、この仕切壁部の
中心部から軸方向に突設された内筒部とから構成されて
おり、前記のオリフィス通路およびオイル溜通路は上記
の内筒部を軸方向に貫通して形成されていることを特徴
とする請求項8の筆記具。 - 【請求項11】 前記の仕切壁部は、前記の外筒部の軸
方向の中央部に形成されており、前記の内筒部は前記の
仕切壁部の両側に突設されていることを特徴とする請求
項10の筆記具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11154951A JP2000343874A (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | 筆記具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11154951A JP2000343874A (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | 筆記具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000343874A true JP2000343874A (ja) | 2000-12-12 |
Family
ID=15595491
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11154951A Pending JP2000343874A (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | 筆記具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000343874A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6315637B1 (ja) * | 2017-07-05 | 2018-04-25 | ウィントレーディング株式会社 | 塗布具 |
-
1999
- 1999-06-02 JP JP11154951A patent/JP2000343874A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6315637B1 (ja) * | 2017-07-05 | 2018-04-25 | ウィントレーディング株式会社 | 塗布具 |
JP2019013382A (ja) * | 2017-07-05 | 2019-01-31 | ウィントレーディング株式会社 | 塗布具 |
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