JP2000201965A - 医療用貼付材および救急絆創膏 - Google Patents

医療用貼付材および救急絆創膏

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JP2000201965A JP11007175A JP717599A JP2000201965A JP 2000201965 A JP2000201965 A JP 2000201965A JP 11007175 A JP11007175 A JP 11007175A JP 717599 A JP717599 A JP 717599A JP 2000201965 A JP2000201965 A JP 2000201965A
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正善 国谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療衛生分野などで救急絆創膏や大型絆創
膏、ドレッシング材、ドレープ材などの皮膚貼付用途に
使用されるものであって、フィルムに巻き皺の発生が少
なく、フィルム表面の印刷不良がない医療用貼付材およ
び救急絆創膏を提供する。 【解決手段】 オレフィン系フィルムの片面に医療用粘
着剤層を形成し、他面にキャラクターのような多色柄の
印刷層を形成してなり、印刷層形成側のオレフィン系フ
ィルム表面の光沢度(JIS Z8741に規定する6
0度鏡面光沢法に準ずる)が、3〜30%の範囲に調整
する。オレフィン系フィルムとしては、エチレン−酢酸
ビニル共重合体フィルム、エチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合体層/A−B−A型ブロック共重合体層/エチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体層からなる三層フィ
ルムが好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医療衛生分野などで
皮膚貼付用途に使用される医療用貼付材に関するもので
あり、詳しくは救急絆創膏や大型絆創膏、ドレッシング
材、ドレープ材などに好適に使用される医療用貼付材に
関する。
【0002】
【従来の技術】医療用貼付材は、通常、基材フィルムの
片面に粘着剤層を設けてなるものであり、該粘着剤層を
介して適用すべき皮膚面に貼着使用される。
【0003】このような医療用途の貼付材に用いる基材
フィルムは、貼付中の皮膚追従性(柔軟性)や伸縮性、
風合いなどの点から、軟質のポリ塩化ビニルを主成分と
するものが主に用いられている。
【0004】しかしながら、一般に軟質ポリ塩化ビニル
は柔軟性を付与するために、可塑剤が多く配合されてお
り、この可塑剤が粘着剤層中に移行して粘着剤層の凝集
力を低下させ糊残り現象が生じたり、粘着力が低下する
などの問題を有することが指摘されている。さらに近
年、環境問題重視の観点から、ハロゲンである塩素を含
有しているポリ塩化ビニル樹脂の使用量を減少させよう
とする動きが各分野で進んでいる。
【0005】そこで、ポリ塩化ビニル代替樹脂として、
ポリオレフィン系樹脂が注目されており、本発明のよう
な医療用途の貼付材の基材フィルムとしても検討、利用
されるようになっている。これらポリオレフィン系樹脂
からなる基材フィルムは、柔軟性や伸縮性には優れてお
り、ポリ塩化ビニル代替フィルムとして有用である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の医療用貼付材を製品化するにおいて、例えば救急絆創
膏や大型絆創膏などでは片面に印刷層を施して製品化す
ることがあるが、印刷層を形成した場合、その表面の光
沢度に最適値があることが判明した。
【0007】つまり、印刷層表面の光沢度を特定の範囲
内に調製することによって、得られる貼付材に高級感が
得られると共に、貼付使用中でに衣服の擦れなどに対し
ても滑り性が良好であり、しかも製造工程中での巻き取
り、巻き戻し操作が極めてスムースになるのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明はオレフィ
ン系フィルムの片面に医療用粘着剤層を形成し、他面に
多色印刷層を形成してなる貼付材であって、印刷層表面
の光沢度が3〜30%であることを特徴とする医療用貼
付材、および上記医療用貼付材における粘着剤層表面の
中央域に、吸液性パッドを設けてなる救急絆創膏を提供
するものである。
【0009】特に、本発明におけるオレフィン系フィル
ムとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムや、
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層/A−B−A
型ブロック共重合体層/エチレン−メタクリル酸メチル
共重合体層からなる3層フィルムを用いることが好まし
く、A−B−A型ブロック共重合体としては、スチレン
−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、またはスチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用いる
ことが好ましい。
【0010】また、オレフィン系フィルムとして上記3
層フィルムを用いた場合には、エチレン−メタクリル酸
メチル共重合体層はエチレン−メタクリル酸メチル共重
合体と低密度ポリエチレンを含有した層とすることが好
ましく、特に、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体
を連続相とし、低密度ポリエチレンを分散相とするミク
ロドメイン構造(海島構造)を有するものが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の医療用貼付材に用いるこ
とができるオレフィン系フィルムとは、ポリエチレンや
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などに
代表される炭化水素系不飽和単量体の重合物だけでな
く、これらの炭化水素系不飽和単量体と他の改質用単量
体との共重合体も含まれる。具体的には、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−オクテ
ン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、
エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリプロピレン−ポリブテン混合物、ポリ
エチレン−ポリブテン混合物から選ばれる少なくとも一
種であるポリオレフィン系の樹脂が好ましいものとして
挙げられる。
【0012】また、本発明において用いるオレフィン系
フィルムは単層フィルムだけでなく、複層フィルムであ
ってもよく、複層フィルムの場合には何れかの層がオレ
フィン系フィルムであればよいので、オレフィン系フィ
ルム/改質用樹脂フィルムやオレフィン系フィルム/改
質用樹脂フィルム/オレフィン系フィルム、改質用樹脂
フィルム/オレフィン系フィルム/改質用樹脂フィルム
などの構造であってもよい。このような改質用樹脂とし
ては、例えばスチレン/ブタジエン/スチレントリブロ
ック共重合体や、スチレン/イソプレン/スチレントリ
ブロック共重合体のようなA−B−A型ブロック共重合
体などが挙げられる。
【0013】上記オレフィン系フィルムのうち、柔軟性
や伸縮性、適度な引張強度などの点から好ましく用いる
ことができるフィルムとしては、エチレン−酢酸ビニル
共重合体フィルム、またはエチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合体層/A−B−A型ブロック共重合体層/エチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体層からなる3層フィ
ルムであり、A−B−A型ブロック共重合体としてスチ
レン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、または
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用
いたものがさらに好適である。
【0014】オレフィン系フィルムとしてエチレン−酢
酸ビニル共重合体フィルムを用いた場合、適度な弾性や
柔軟性、伸縮性を有するという点から、酢酸ビニル含量
が15〜28重量%、好ましくは20〜25重量%の範
囲のものを用いることが好ましく、また、重量平均分子
量が1×104 〜1×105 であり、分子量分布が4以
下、好ましくは3.5以下の比較的分子量分布の狭いも
のを用いることが好ましい。さらに、JISK−673
0に準じて測定するメルトフローレートが3g/10分
以下の流動性の低いものを用いることが、フィルム化し
た際の適度な引張強度の付与の点で好ましいものであ
る。
【0015】また、上記3層フィルムを構成するエチレ
ン−メタクリル酸メチル共重合体層は、エチレン−メタ
クリル酸メチル共重合体と低密度ポリエチレンを含有し
た層とすることが好ましい。低密度ポリエチレンを含有
させると、フィルム内に低密度ポリエチレンが相溶せず
に微粒子状に分散した状態で存在するので、フィルム表
面にこの微粒子によって適度な凹凸が生じ、その結果、
得られるフィルムに高級感を付与できると共に、表面に
形成する印刷層との接着性(投錨性)が向上するのであ
る。この場合の低密度ポリエチレンの配合量は、エチレ
ン−メタクリル酸メチル共重合体層中に、5〜45重量
%、好ましくは15〜35重量%程度にすることがよ
い。
【0016】さらに、上記のように、低密度ポリエチレ
ンを含有させた場合、各樹脂成分が相溶して均一化する
よりも、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が連続
相(海)としてマトリックスを形成し、低密度ポリエチ
レンがこのマトリックス中に分散相(島)として分散し
てなる、所謂ミクロドメイン構造(海島構造)を有する
ようにすることが好ましい。
【0017】つまり、各樹脂成分が相溶して均一化する
と、各樹脂成分が有する特性の中間的な特性しか得るこ
とができないが、上記のようなミクロドメイン構造をと
ることによって、各樹脂成分が有する特性もある程度発
揮できるので、配合量の調整によって所望する特性を得
ることが容易になるのである。
【0018】上記のようにして得られるオレフィン系フ
ィルムは、本発明の医療用貼付材に用いるためには、そ
の厚みを10〜200μm、好ましくは30〜130μ
m程度になるように成形される。また、得られたフィル
ムの表面には、粘着剤層を形成した際の投錨性を良好に
するために、コロナ放電処理や公知の下塗り剤塗布など
の処理を施すことが好ましい。
【0019】本発明の医療用貼付材においては、上記オ
レフィン系フィルムの片面に粘着剤層を形成して本発明
の医療用貼付材を作製するが、形成する粘着剤として
は、医療用粘着剤として用いられているものであれば特
に限定されない。好ましく用いることができる粘着剤と
しては、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン
系粘着剤、これらのブレンド系粘着剤などがある。
【0020】アクリル系粘着剤としては、好ましくは炭
素数が1〜18、好ましくは4〜12のアルキル基を有
する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体
や該エステルを主成分単量体として他の単量体(例え
ば、官能性単量体など)を3〜50重量%、好ましくは
5〜40重量%の範囲で共重合してなる共重合体などが
用いられる。
【0021】上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチ
ルエステル、デシルエステル、ラウリルエステル、ステ
アリルエステルなどのエステルが挙げられ、これらのエ
ステル鎖は直鎖状や分岐鎖状であってもよい。
【0022】また、上記エステルと共重合することがで
きる単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキ
シエチルエステルや(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ
プロピルエステルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシ
アルキルエステル、(メタ)アクリル酸やマレイン酸、
フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有不飽和
単量体、(メタ)アクリルアミドやジメチル(メタ)ア
クリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの
(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、N−ブトキ
シメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル
(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)
アクリルアミドなどのN−アルコキシアルキル(メタ)
アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチル
アミノエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸N,N
−アルキルアミノアルキルエステル、N−ビニルピロリ
ドンなどの酸アミド基含有不飽和単量体などの官能性単
量体が挙げられる。なお、これらの官能性単量体以外
に、酢酸ビニルやスチレン、α−メチルスチレン、(メ
タ)アクリロニトリルなどの無官能性の単量体も共重合
することができる。
【0023】粘着剤層に用いることができるゴム系の粘
着剤としては、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソ
プレン、ポリブテン、スチレン−イソプレン(またはブ
タジエン)系ブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体などの主材料樹脂に副資材としてロジン系樹脂
やテルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン
−フェノール系樹脂、石油系樹脂などの粘着付与剤を配
合して用いることができる。さらに、必要に応じて液状
ポリブテンや鉱油、ラノリン、液状ポリイソプレンなど
の軟化剤や、酸化チタン、クレーなどの充填剤、ブチル
ヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤などを適宜配合し
てもよい。なお、このような副資材は前記アクリル系粘
着剤に配合してもよい。
【0024】さらに、粘着剤として使用できるシリコー
ン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサンを主成分
とする粘着剤などが挙げられる。
【0025】上記の組成からなる粘着剤層は、基材フィ
ルム上に10〜200μm、好ましくは20〜100μ
m程度の厚みで形成されることによって、本発明の医療
用貼付材とすることができる。
【0026】本発明の医療用貼付材では、支持基材とし
て用いるオレフィン系フィルムの片面(粘着剤層形成面
と反対の面)に多色の印刷層を形成する。印刷層はシア
ンやマゼンタ、イエロー、ブラック、金、銀などの複数
の色のインクを用いて多段印刷によって形成すればよい
が、好ましくは紫外線硬化型のインクを用いることがよ
い。紫外線硬化型のインクを用いて印刷層を形成する
と、印刷速度の向上や印刷精度の向上が望め、特にキャ
ラクター印刷などには効果的である。
【0027】なお、本発明ではオレフィン系フィルムの
表面にキャラクターなどを多色印刷によって形成する
が、印刷の鮮明性や隠蔽性を向上させるために、フィル
ム中にチタン白やゼオライト、亜鉛華などの各種充填剤
をフィルムの白色化のために含有させておくことが好ま
しいものである。
【0028】本発明の医療用貼付材および救急絆創膏に
おいては、上記印刷層の表面の光沢度を3〜30%の範
囲、好ましくは3〜20%の範囲に調整することが最大
の特徴である。なお、本発明における光沢度とは、JI
S Z8741に規定する光沢度測定法(60度鏡面光
沢法)に準じて測定した値を云う。
【0029】即ち、印刷層側の光沢度を3〜30%の範
囲に調整することによって、高級感を付与するだけでな
く、印刷後の貼付材をロール状に巻き取る際や巻き戻す
際に、巻き込まれた空気の逃げ道が確保でき、その結
果、フィルムに巻き皺を発生させることがない。しか
も、ロール状の医療用貼付材を巻き戻して片面に医療用
粘着剤層を形成する場合、巻き戻し時にフィルムの滑り
性が良好となるので、特にフィルム厚が薄い場合でのフ
ィルム切れなどが起こらず、製造上有利なものである。
光沢度が30%を超える場合には上記のような効果を発
揮しがたく、一方、3%に満たない光沢度では上記効果
は発揮するものの、印刷層を形成しがたくなるのであ
る。
【0030】さらに、本発明の医療用貼付材および救急
絆創膏において、支持基材として用いるオレフィン系フ
ィルムの表面粗さを、特定の範囲、つまり印刷層形成側
の表面粗さを2〜12μmの範囲、好ましくは3〜8μ
mの範囲に調整することが望ましい。なお、本発明にお
ける表面粗さとは、JIS B0601に規定する方法
に準じて測定した十点平均粗さを云う。
【0031】即ち、印刷層を形成する側の表面粗さを2
〜12μmの範囲に調整することによっても、オレフィ
ン系フィルムをロール状に巻き取る際にフィルム面同士
の完全密着をさらに防止できるので、巻き取り時に巻き
込まれた空気の逃げ道が確保でき、その結果、フィルム
に巻き皺を発生させることがない。しかも、この印刷さ
れたロール状のオレフィン系フィルムを巻き戻して片面
に医療用粘着剤層を形成する場合、巻き戻し時にフィル
ムの滑り性が良好となるので、特にフィルム厚が薄い場
合でのフィルム切れなどが起こらず、製造上有利なもの
である。表面粗さが2μmに満たない場合には上記のよ
うな効果を発揮しがたく、12μmを超える表面粗さで
は上記効果は発揮するものの、印刷層を形成しがたくな
るのである。
【0032】また、本発明に用いるオレフィン系フィル
ムの上記表面粗さは、印刷層形成側は上記のように2〜
12μmの範囲に調整することが好ましいが、他面側
(粘着剤層形成側)の表面粗さも2〜40μm、好まし
くは10〜30μmの範囲に調整することが好ましい。
【0033】即ち、オレフィン系フィルムの表面に医療
用粘着剤層を密着性よく、しかも強固に接着させる、つ
まりオレフィン系フィルムと医療用粘着剤層との投錨性
を良好にするためには、前記したようにフィルム表面に
コロナ放電処理や下塗り処理を施すことが好ましいが、
密着面積(接着面積)を増大させることも投錨力向上の
一手段である。従って、フィルム表面を荒らすことが効
果的であり、効果的な表面粗さとしては2μm以上であ
る。また、40μmを超える表面粗さの場合、投錨性は
良好となるが、反対表面の表面粗さに対しても影響し、
印刷用インクがきれいに印刷面に塗工できなくなるおそ
れがあり、これらのバランスから2〜40μmの範囲が
良好である。
【0034】本発明の医療用貼付材および救急絆創膏を
製造する方法としては、例えば以下の方法が挙げられ
る。
【0035】まず、オレフィン系フィルムを、カレンダ
ー押出法やインフレーション押出法などの方法によって
所定の厚さに成形し、得られたオレフィン系フィルムの
両面を必要に応じてエンボスロールなどの公知の手段に
よってその表面粗さを特定の範囲内に調整する。
【0036】次いで、得られたオレフィン系フィルムの
医療用粘着剤層形成側に、医療用粘着剤層形成用の粘着
剤溶液を直接塗布、乾燥する直写法によるか、もしくは
片面を剥離処理したセパレータの剥離処理面に、医療用
粘着剤溶液を塗工、乾燥して、所定の厚さの医療用粘着
剤層を形成し、この粘着剤層をオレフィン系フィルムの
表面に転着する転写法によって医療用貼付材を得る。こ
のとき、粘着剤層とオレフィン系フィルムとの投錨性を
向上させるために、オレフィン系フィルムの粘着剤層形
成面にコロナ放電処理や下塗剤処理を施すことが好まし
い。
【0037】次に、オレフィン系フィルムの片面に、必
要に応じてインクの密着性向上を目的としたコロナ放電
処理を施したのち、紫外線硬化型インクを用いて、所定
の光沢度を有するように印刷インクを塗工、乾燥、硬化
し、片面に多色印刷層を設けた本発明の医療用貼付材を
作製する。
【0038】医療用貼付材を用いて救急絆創膏を作製す
るには、上記にて作製した医療用貼付材(原反)の粘着
剤層表面の中央域に、ガーゼや不織布、織布、発泡体な
どの吸液性パッドを設け、さらにその表面に1枚もしく
は2枚のセパレータを積層し、所定形状に裁断して本発
明の救急絆創膏を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】本発明の医療用貼付材および救急絆創膏
は、以上のように特定の光沢度を有する印刷層を有する
オレフィン系フィルムを用いているので、従来から使用
されているポリ塩化ビニル系フィルムを用いた医療用貼
付材の代替品として、柔軟性や伸縮性などの特性を充分
に発揮できると共に、救急絆創膏などに加工した場合に
高級感を有するものになり、しかも、オレフィン系フィ
ルムに巻き皺の発生がなく製造時の作業性に優れ、使用
中の印刷層の磨耗も少ないという効果を発揮するのであ
る。
【0040】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応
用が可能である。
【0041】実施例1 酢酸ビニル含量25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体100重量部に対して、脂肪酸系滑剤1重量部を添
加し、100〜140℃の温度下でカレンダー法によっ
て約80g/m2 のシート状に成形した。
【0042】次いで、得られたシートを70〜120℃
の温度下で、印刷層形成面側は約5μmの表面粗さを有
するロールで、粘着剤層形成側は約5μmの表面粗さを
有するロールで圧着し、オレフィン系フィルム基材を作
製した。
【0043】一方、アクリル酸イソノニルエステル85
重量部、酢酸ビニル12重量部、アクリル酸3重量部か
らなる単量体混合物を、酢酸エチル60重量部に溶解
し、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル
0.3重量部を添加し、55〜65℃で約10時間重合
反応を行い、そののち、酢酸エチルで希釈して、固形分
濃度が30重量%の医療用粘着剤溶液を調製した。
【0044】片面にシリコーン樹脂で剥離処理を施した
セパレータの処理面に、上記にて調製した医療用粘着剤
溶液を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布、乾
燥して医療用粘着剤を形成した。
【0045】次に、前記にて作製したオレフィン系フィ
ルム基材の片面をコロナ放電処理し、この処理面が医療
用粘着剤層に接するように、上記医療用粘着剤層の表面
にオレフィンフィルム基材を圧着し、医療用貼付材を作
製した。
【0046】得られた医療用貼付材の印刷層形成面に、
所定の光沢度を有するキャラクター印刷を多層印刷によ
って施し、この後救急絆創膏に加工して、本発明の救急
絆創膏を作製した。
【0047】実施例2 印刷層形成側にメタクリル酸メチル含量25重量%のエ
チレン−メタクリル酸メチル共重合体100重量部に低
密度ポリエチレン25重量部を添加したシート、中間層
にメルトフロー速度2g/10分のスチレン−ブタジエ
ン−スチレンブロック共重合体100重量部にブチルヒ
ドロキシトルエン1重量部を添加したシート、医療用粘
着剤層形成側にメタクリル酸メチル含量25重量%のエ
チレン−メタクリル酸メチル共重合体からなるシートが
位置するように、150〜200℃の温度下で3層同時
インフレーション法にて約80g/m2 の3層積層のシ
ート状(厚み比率20%/60%/20%)に成形し
た。
【0048】上記にて作製したオレフィン系フィルム基
材を用いた以外は、実施例1と同様の医療用粘着剤を用
いて、救急絆創膏を作製した。
【0049】実施例3 中間層にメルトフロー速度3g/10分のスチレン−イ
ソプレン−スチレンブロック共重合体100重量部にブ
チルヒドロキシトルエン1重量部、酸化チタン5重量部
を添加したシートを用いた以外は、実施例2と同様にし
て3層フィルムを作製した。
【0050】上記にて作製したオレフィン系フィルム基
材を用いた以外は、実施例1と同様の医療用粘着剤を用
いて、救急絆創膏を作製した。
【0051】実施例4 酢酸ビニル含量25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体100重量部に対して、脂肪酸系滑剤1重量部、酸
化チタン5重量部を添加し、100〜140℃の温度下
でカレンダー法によって約80g/m2 のシート状に成
形した。
【0052】次いで、得られたシートを70〜120℃
の温度下で、印刷層形成面側は約5μmの表面粗さを有
するロールで、粘着剤層形成側は約20μmの表面粗さ
を有するロールで圧着し、オレフィン系フィルム基材を
作製した。
【0053】上記にて作製したオレフィン系フィルム基
材を用いた以外は、実施例1と同様の医療用粘着剤を用
いて、救急絆創膏を作製した。
【0054】実施例5 実施例4にて得られたシートを70〜120℃の温度下
で、印刷層形成面側は約10μmの表面粗さを有するロ
ールで、粘着剤層形成側は約5μmの表面粗さを有する
ロールで圧着し、オレフィン系フィルム基材を作製し
た。
【0055】上記にて作製したオレフィン系フィルム基
材を用いた以外は、実施例4と同様の医療用粘着剤を用
いて、救急絆創膏を作製した。
【0056】比較例1 実施例4において、オレフィン系フィルム基材の両面
を、鏡面ロールで圧着して非常に平滑な表面(表面粗さ
約1μm)にした以外は、実施例4と同様にして、救急
絆創膏を作製した。
【0057】比較例2 実施例4にて得られたシートを70〜120℃の温度下
で、印刷層形成面側は約20μmの表面粗さを有するロ
ールで、粘着剤層形成側は約5μmの表面粗さを有する
ロールで圧着して作製したオレフィン系フィルムを用い
た以外は、実施例4と同様の医療用粘着剤を用いて、救
急絆創膏を作製した。
【0058】上記各実施例および比較例にて得られた救
急絆創膏について、以下に示す評価を行い、結果を表1
に示した。
【0059】<巻き取り作業性>各実施例および比較例
の救急絆創膏を作製するにあたって、オレフィン系フィ
ルムや医療用貼付材原反をロール状に巻き取りする際、
およびコロナ放電処理後の巻き取り時に気泡を抱き込む
ことによる巻き皺の発生の度合いを調べた。判断基準は
以下の通りである。 ◎:巻き皺の発生なし。 〇:ごく軽微な巻き皺の発生がある。 ×:印刷不良を起こすような巻き皺の発生がある。
【0060】<表面粗さ>23℃の雰囲気下で、JIS
B0601に準じてオレフィン系フィルム表面に表面
粗さを測定した。測定装置は株式会社ミツトヨ製のサー
フテスト501を使用し、十点平均粗さを求めた。
【0061】<光沢度>スガ試験機株式会社製のデジタ
ル変角光沢計UGV−4Dを用い、JIS Z8741
に規定する光沢度測定方法(60度鏡面光沢法)に準じ
て測定した。
【0062】<印刷性>各実施例および比較例において
市販の印刷装置を用い、各医療用貼付材の表面に紫外線
硬化型インクを塗工、キュアーして4色のキャラクター
印刷を施し、キャラクター印刷が鮮明に印刷できるかを
否かを判定した。判定基準は以下の通りである。 ◎:印刷良好。 〇:印刷がわずかにぼやける。 ×:印刷が不鮮明。
【0063】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高坂 孝広 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4J004 AA04 AA05 AA07 AA09 AA11 AB01 CA04 CA07 CC02 CC03 CC05 CD01 FA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系フィルムの片面に医療用粘
    着剤層を形成し、他面に多色印刷層を形成してなる貼付
    材であって、印刷層表面の光沢度が3〜30%であるこ
    とを特徴とする医療用貼付材。
  2. 【請求項2】 オレフィン系フィルムがエチレン−酢酸
    ビニル共重合体フィルム、またはエチレン−メタクリル
    酸メチル共重合体層/A−B−A型ブロック共重合体層
    /エチレン−メタクリル酸メチル共重合体層からなる3
    層フィルムである請求項1記載の医療用貼付材。
  3. 【請求項3】 エチレン−酢酸ビニル共重合体が、酢酸
    ビニル含量が15〜28重量%である請求項2記載の医
    療用貼付材。
  4. 【請求項4】 エチレン−酢酸ビニル共重合体が、重量
    平均分子量が1×104〜1×105 で、分子量分布が
    4以下で、かつメルトフローレートが3g/10分以下
    である請求項2または3記載の医療用貼付材。
  5. 【請求項5】 A−B−A型ブロック共重合体がスチレ
    ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、またはス
    チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体である
    請求項2記載の医療用貼付材。
  6. 【請求項6】 エチレン−メタクリル酸メチル共重合体
    層が、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体と低密度
    ポリエチレンを含有した層である請求項2記載の医療用
    貼付材。
  7. 【請求項7】 エチレン−メタクリル酸メチル共重合体
    層が、連続相としてのエチレン−メタクリル酸メチル共
    重合体と、分散相としての低密度ポリエチレンからなる
    ミクロドメイン構造(海島構造)を有する請求項4記載
    の医療用貼付材。
  8. 【請求項8】 印刷層が紫外線硬化型インクから形成さ
    れる請求項1記載の医療用貼付材。
  9. 【請求項9】 オレフィン系フィルムが、白色充填剤の
    含有によって白色を呈している請求項1〜8記載の医療
    用貼付材。
  10. 【請求項10】 医療用粘着剤層の表面にセパレータを
    被着してなる請求項1〜9記載の医療用貼付材。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10記載の医療用貼付材に
    おける粘着剤層表面の中央域に、吸液性パッドを設けて
    なる救急絆創膏。
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