JP2002248124A - 医療用貼付材及び救急絆創膏 - Google Patents

医療用貼付材及び救急絆創膏

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JP2002248124A
JP2002248124A JP2001047831A JP2001047831A JP2002248124A JP 2002248124 A JP2002248124 A JP 2002248124A JP 2001047831 A JP2001047831 A JP 2001047831A JP 2001047831 A JP2001047831 A JP 2001047831A JP 2002248124 A JP2002248124 A JP 2002248124A
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Osamu Ohira
治 大平
Kiyoshi Suzuki
清志 鈴木
Yuichi Inoue
祐一 井上
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 消炎鎮痛剤等の薬剤の影響を受けず、柔軟性
や伸縮性、機械的強度、カール防止性などの特性を満足
する医療用貼付材を提供する。 【構成】 厚さ5〜70μmでエチレン−プロピレン共
重合体系などの熱可塑性エラストマーを含有する樹脂か
らなる第1の基材層の片面に、厚さ10〜80μmで重
量平均分子量(Mw)が3×104〜1.5×105で、
分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下でエチレン−α
オレフィン共重合体樹脂からなる第2の基材層を積層
し、若しくはさらに当該第1の基材層に厚さ5〜60μ
mで、第2の基材層の構成樹脂と同一系樹脂若しくはポ
リエチレン樹脂からなる第3の基材層を積層した2層若
しくは3層構造をした貼付材用基材の前記第1の基材層
若しくは第3の基材層上に、粘着剤層を積層して本発明
に係る医療用貼付材を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医療用貼付材並びに
救急絆創膏に関する。具体的には、医療衛生分野などで
皮膚貼付用途、例えば、消炎鎮痛剤等の薬剤含有医療用
貼付材、救急絆創膏や大型絆創膏、ドレッシング材、ド
レープ材などとして用いられ、薬剤による影響や変質を
受け難く、風合いや機械的強度に優れた医療用貼付材及
び当該医療用貼付材の粘着剤層に吸液性のパッドが備え
られた救急絆創膏に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用の貼付材は通常、フィルム状の基
材の片面に粘着剤層あるいは消炎鎮痛剤等の薬剤を含有
した粘着剤層を設けてなるものであり、当該粘着剤層を
介して適用すべき皮膚面に貼着使用される。従来、この
ような医療用途の貼付材に用いる基材としては、貼付中
の皮膚追従性(柔軟性)や伸縮性、風合いなどの点から
軟質のポリ塩化ビニルを主成分としたものが主として用
いられている。
【0003】しかし、一般に軟質ポリ塩化ビニルには、
フィルム化した際に柔軟性を付与するために、ジオクチ
ルフタレートなどの可塑剤が多く配合されており、これ
らの可塑剤が粘着剤層中に移行することによって、粘着
剤層の凝集力を低下させ、皮膚面にいわゆる糊残り現象
を生じたり、粘着力の低下を招くなどの問題を有するこ
とが指摘されている。
【0004】一方、近年、環境問題を重視する視点か
ら、ハロゲンである塩素分子を含む塩化ビニル樹脂の使
用量を減少させようとする動きが各分野で進んでいる。
さらに、ポリ塩化ビニル樹脂は可塑性が大きいので、冬
季にはフィルム基材が硬くなり、貼付した貼付材によっ
て、例えば洗顔時に顔を傷つける恐れがある。そこで、
ポリ塩化ビニル樹脂の代替樹脂として、ポリオレフィン
系樹脂を用いた貼付材用の基材フィルムが検討されるよ
うになっている。
【0005】しかしながら、上記ポリ塩化ビニル樹脂の
代替樹脂からなる基材フィルムにおいて、ポリ塩化ビニ
ル樹脂フィルムと同等の柔軟性を得るために、基材フィ
ルムの厚みを薄くしたり、エラストマー成分を混合する
方法などが試みられているが、消炎鎮痛剤等の薬剤成分
を粘着剤層中に含有させた場合、フィルム基材に影響を
及ぼし、フィルム基材が膨潤して基材に「シワ」が入っ
たりする。これは、従来から使用されている塩化ビニル
フィルムのような耐薬品性を有しておらず、さらに可塑
剤を含まないため薬剤成分がフィルム基材中へ移行、拡
散するためであると推測される。
【0006】又、皮膚へ貼付される用途では、柔軟性を
満足させた場合には機械的強度が劣るようになり、貼付
後、皮膚から剥離する際、フィルム基材がちぎれたりす
るため剥がし難いという問題があった。このため、その
強度を満足させるために多層化することが行われるが、
この場合には粘着剤層面を被覆保護するために積層した
剥離紙を使用時に剥離除去した際に、各層のオレフィン
系樹脂の体積膨張率の違いからフィルム基材がカールす
るという問題を発生させる場合があった。
【0007】さらに、このような基材は貼付材として皮
膚の各部位に貼り付けられる用途に用いられるが、その
柔軟性を維持するため一般に、各層のオレフィン系樹脂
の分子量を下げたり、エラストマー成分が配合又は共重
合される。このため、フィルム基材表面の滑り性が悪く
なり、被服を脱いだり着たりする際や運動をする際に貼
付材が剥がれたりすることがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、従来から汎用されているポリ塩化ビニルからなる基
材フィルムが有する上記問題点や、その代替品としての
ポリオレフィン系樹脂からなる基材フィルムが有する問
題点を解決するために、鋭意検討を行なった結果、特定
の構造を有する積層フィルムが、消炎鎮痛剤等の薬剤の
影響を受けず、柔軟性や伸縮性、機械的強度、カール防
止性などの特性を全て満足する貼付材用基材として好適
であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る医療用貼付
材は、貼付材用基材の片面に粘着剤層が形成された医療
用貼付材において、前記貼付材用基材は、厚さ5〜70
μmでエチレン−プロピレン共重合体系の熱可塑性エラ
ストマーを含有する樹脂からなる第1の基材層の片面
に、厚さ10〜80μmで重量平均分子量(Mw)が3
×104〜1.5×105で、分子量分布(Mw/Mn)
が4.0以下でエチレン−αオレフィン共重合体樹脂か
らなる第2の基材層が積層され、前記第1の基材層に前
記粘着剤層が積層されたことを特徴としている。
【0010】このとき、前記第1の基材層に、ポリエチ
レン系樹脂を重量比で、前記熱可塑性エラストマー:ポ
リエチレン系樹脂=100:0〜70:30の範囲内で
含有するのが好ましい。
【0011】また、本発明においては、前記第1の基材
層の前記第2の基材層積層面と反対面に、厚さ5〜60
μmで、ポリエチレン樹脂若しくは前記第2の基材層を
形成する樹脂と同一樹脂からなる第3の基材層を積層
し、当該第3の基材層上に粘着剤層を積層するのが望ま
しい。
【0012】上記医療用貼付材においては、前記第2の
基材層の表面滑り性を300mN以下とするのが好まし
く、さらに、貼付材用基材の厚さを30〜200μmと
するのがより望ましい。
【0013】また、貼付材用基材の20%モジュラス
が、1.5〜12N/19mm幅で、引張強度が12N
/19mm幅以上であるものが好適に用いられる。これ
らの貼付材用基材は、例えばTダイ法によって成形する
ことができる。
【0014】当該医療用貼付材においては、前記粘着剤
層に薬剤を含有させたり、粘着剤層上にさらに薬剤が含
有された別な粘着剤層を積層することができる。
【0015】本発明に係る救急絆創膏は、貼付材用基材
の片面に粘着剤層が形成された医療用貼付材の前記粘着
剤層表面に吸液性のパッドが備えられた救急絆創膏にお
いて、前記医療用貼付材は、上記本発明に係る医療用貼
付材であることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る医療用貼付材におけ
る貼付材用基材は、2層若しくは3層の基材層を有する
構造をしており、貼付時に露出される表面層となる第2
の基材層と、粘着剤層が積層されるかあるいは中間層と
なる第1の基材層とを備えている。
【0017】第1の基材層は、熱可塑性エラストマーを
含有する樹脂からなり、その厚さが5〜70μmに設定
される。本発明において用いられる熱可塑性エラストマ
ーとしては、エチレン−プロピレン共重合体、より具体
的にはプロピレンを含有したエチレン−プロピレン共重
合体(EPR)若しくはエチレン−プロピレンターポリ
マー(EPDM)、より望ましくはエチレン−プロピレ
ン共重合体(EPR)が用いられる。
【0018】第1の基材層に用いられる熱可塑性エラス
トマーには、プロピレンが10重量%以上含有されたも
のが好適に用いられる。プロピレン含量が10重量%未
満になれば、消炎鎮痛成分などの液状油状成分、サリチ
ル酸やグリコール、l−メントールなどによって第1の
基材層が侵され膨潤していわゆる「シワ」が発生する恐
れがある。一方、プロピレン含量が55重量%を越えた
ものを用いた場合には貼付材用基材に望まれるような剛
性を得ることができなくなる。従って、プロピレン含量
としては10重量%以上55重量%以下、好ましくは2
0重量%以上30重量%以下のものが好適に用いられ
る。
【0019】また、第1の基材層は上記熱可塑性エラス
トマー単独で形成してもよいが、さらにポリエチレン系
樹脂を混合して形成するのが好ましい。このときポリエ
チレン系樹脂を、重量比で前記熱可塑性エラストマー:
ポリエチレン系樹脂=100:0〜70:30となるよ
うに混合するのがよい。このとき、ポリエチレン系樹脂
を30重量部を越えて配合すれば、柔軟性が低下した
り、カールやシワが発生する恐れがある。
【0020】この混合可能な当該ポリエチレン系樹脂は
特に限定されるものではなく、エチレンの単独重合体の
みならずエチレンとこれと共重合可能な他の単量体との
共重合物、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、線
状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチ
レン(HDPE)や、以下に述べるようなエチレン−α
オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0021】このような第1の基材層の片面に、表面層
となる第2の基材層が積層される。当該第2の基材層
は、エチレン−αオレフィン共重合体樹脂からなり、そ
の厚さが厚さ10〜80μmに設定される。当該エチレ
ン−αオレフィン共重合体樹脂には、重量平均分子量
(Mw)が3×104〜1.5×105、好ましくは5×
104〜1.0×105であって、分子量分布(Mw/M
n:Mnは数平均分子量)が4.0以下、好ましくは
3.0以下の比較的分子量分布の狭いものが好適に用い
られる。このような分子量分布の狭いものが、2層若し
くは3層フィルムである貼付材用基材の強度を維持し、
かつフィルムの滑り性を維持させることができる。ま
た、重量平均分子量が1.5×105を越え、フィルム
厚さも80μmを越える程、貼付材用基材の柔軟性が低
下し、重量平均分子量が3×104を下回り、厚さも1
0μm未満になれば機械的強度が不足する傾向を示し好
ましくない。
【0022】又、Mw/Mnが4.0を越えた場合には
同じく機械的強度の面で不十分であって、一般的に用い
られているポリエチレンの分子量分布はMw/Mnが
4.0を越えたものが多く不適切な場合が多い。さら
に、第1の基材層との押出し性のバランスの観点から
は、MRF(メルティングフローレート)は、1〜10
g/10分の範囲内で近似したものがバランスが取れ、
製膜しやすくなる。
【0023】これらの製膜方法としては、押出し成形、
いわゆるTダイ成形により製膜するのが好ましいが、も
ちろんインフレーション法によって製膜することもでき
る。
【0024】本発明の医療用貼付材に用いられる貼付材
用基材は、上記の構成による2層フィルムとすることが
できるが、さらには粘着剤層を積層する側、すなわち、
前記第1の基材層の前記第2の基材層積層面と反対面
に、厚さ5〜60μmで、第2の基材層を形成する構成
樹脂と同一系樹脂若しくはポリエチレン系樹脂からなる
第3の基材層を積層し、第1の基材層が中間層となるサ
ンドイッチ構造とするのが好ましい。このような第3の
基材層を積層することによって、貼付材基材を長尺に巻
き上げた後巻戻しする際ブロッキングもなく工業化する
上で好適である。この第3の基材層には、製膜上の観点
から第2の基材層に用いた樹脂と同一樹脂を用いるの最
も望ましいが、必ずしも同じである必要はない。
【0025】当該第3の基材層には、上記第2の基材層
と同系統の樹脂のみならず、低密度ポリエチレンや線状
低密度ポリエチレン樹脂などの貼付材用基材などに用い
られる汎用ポリエチレンを用いることもできる。
【0026】このとき60μmの厚さを上回ると多層構
造であるが故に基材がカールしたり、粘着剤層に貼り合
わせられた剥離紙を除去する際の応力で簡単にカールし
てしまい、貼付しずらいという問題を有することがあ
り、又、基材として厚みを帯びることになって剛性が高
まり、皮膚貼付時の柔軟性に欠けるものとなる。
【0027】なお、これら3つの各基材層に用いられる
樹脂は、製膜性のバランスからメルトフローレート(M
RF)はそれぞれ近似するものが好ましく、上記の如く
1〜10g/10分以下であるものが好ましく用いられ
る。
【0028】このように本発明において用いられる貼付
材用基材は、2層若しくは3層構造をしたフィルム状で
はあるが、その全体の厚みとしては30〜200μm、
好ましくは70〜120μm程度とすることが、皮膚面
に貼付した際の違和感の少なさや、引張強度などの機械
的強度の点から望ましい。
【0029】さらに本発明においては、貼付材用基材の
20%モジュラスが1.5〜12N/19mm幅である
のが、基材の柔軟性や貼付した皮膚面の動きに対する柔
軟性の点から好ましく、しかも、引張強度が12N/1
9mm幅以上であるものが、貼付後皮膚からの剥離時に
基材の破断を生じさせるものではなく、好適に用いられ
る。
【0030】また、本発明にあっては上記第2の基材
層、つまり貼付材の表面層となる面の滑り性(JIS
K7125による)が、300mN以下であるものが好
ましい。これよりも大きくなれば肌着などの被服との引
っかかりが多くなり、被服を脱いだり運動時に貼付材が
剥がれてしまう恐れが高くなる。従って、当該滑り性を
挙げるため第2の基材層の露出面には、梨地や絹めなど
の各種エンボス加工を施すのが好ましい。
【0031】一方、貼付材用基材の粘着剤層積層面、つ
まり2層フィルムの場合には上記第1の基材層の露出面
若しくは3層フィルムの場合には上記第3の基材層の露
出面には、常法によってコロナ処理を施して濡れ性を3
50μN/cm以上にしたり、公知の各種下塗り剤を塗
布するなどして、粘着剤層との投錨性を向上させるのが
好ましい。
【0032】このようにして得られる貼付材用基材の上
記第1の基材層上若しくは上記第3の基材層上に粘着剤
層が形成されて、本発明の医療用貼付材が得られる。当
該粘着剤層には、アクリル系粘着剤、合成ゴム系粘着
剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン粘着剤など公知の各
種粘着剤を用いることができ、本発明の医療用貼付材に
あっては、特にアクリル系粘着剤や天然ゴム系粘着剤な
どの皮膚刺激性の少ない粘着剤が用いられる。また、粘
着剤が形成可能なものであれば特にその形態にも制約さ
れず、有機溶媒系やエマルジョン系、ホットメルト系な
どの形態で形成される。
【0033】このとき、形成する粘着剤層の厚みは、皮
膚接着性の観点から、20〜100μmとするのが好ま
しい。例えば、消炎鎮痛剤プラスターの場合には、粘着
剤層として、メントール、サリチル酸グルコール等を含
有するゴム系粘着剤を直接80μm程度に塗膜する、又
はコロナ処理して濡れ性を350μN/cm以上にした
貼付材用基材の粘着剤層積層面に60μmの厚さで薬剤
非含有の粘着剤を塗膜し、さらにメントール、サリチル
酸グリコール等を含有するゴム系粘着剤を40μm積層
させて得るのが一般的である。
【0034】本発明の医療用貼付材においては上記消炎
鎮痛プラスターの様に、本発明の貼付材用基材に積層さ
れた粘着剤層中に、各種の薬剤、例えば経皮吸収されて
全身作用・局所作用を発揮したり、適用された部位で経
皮吸収されることなく作用を発揮する各種薬剤、例えば
コルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神
安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、
抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒス
タミン剤、鎮咳剤、性ホルモン剤、抗うつ剤、脳循環改
善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、生体医薬などの種々の薬物を
配合しうる。
【0035】また、本発明に係る医療用貼付材は、適当
な大きさに切断した後、粘着剤層の表面中央領域に吸液
性のパッドを備え、救急絆創膏として用いることもでき
る。当該吸液性パッドとしては、従来から使用されてい
る公知のものが用いられ、例えば、ガーゼや織布、不織
布、脱脂綿と不織布との複合品、脱脂綿と編ネットとの
複合品などを挙げることができる。また、その大きさは
貼付材の大きさによっても異なるが、吸液性パッドの周
囲に該貼付材の粘着剤層が少なくとも2〜30mm程度
露出されるような大きさに調整するのが好ましい。
【0036】上記本発明の救急絆創膏には、粘着剤層の
表面の汚染を防ぐために、使用するまで粘着剤層表面を
セパレータにて被覆しておくことが好ましい。この場
合、使用するセパレータには粘着剤層との離型性を良好
とするため、シリコーン系の離型剤を用いたものを用い
るのが好適である。
【0037】
【実施例】次に以下の実施例に基づいて、本発明につい
てさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範
囲内で数々の応用が可能であるのは言うまでもない。
【0038】表1に示した基材組成物からTダイ多層フ
ィルム成形機を用いて貼付材用基材を作製した。次に、
表面層(第2の基材層)と反対面側(第1の基材層側若
しくは第3の基材層側)にコロナ処理を施し、濡れ性を
350μN/cm以上にした。この処理面に、下記組成
1に示すゴム系粘着剤を60μmの剥離紙上に塗布・乾
燥させたものを貼り合わせた。さらに、下記組成2に示
す薬剤入りの粘着剤をセパレータ上に38μmとなるよ
うに塗布・乾燥させたものを、前記粘着剤層上に貼り合
わせ、実施例及び比較例の薬剤含有医療用貼付材(サリ
チル酸グリコール5g/m2、l−メントール5g/m2
をそれぞれ含有する。)を作製した。 (組成1) 天然ゴム 100重量部 スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー 100重量部 (日本ゼオン社製:「クインタック3420」) ポリブテン 50重量部 (日本石油社製:「ポリブテンHV−300」) これらの組成物を40重量%のトルエン溶液として用いた。 (組成2) 天然ゴム 100重量部 水素添加ロジン酸エステル 50重量部 (荒川化学製:「エステルガムH」) ポリブテン 50重量部 (日本石油社製:「ポリブテンHV−300」) サリチル酸グリコール 36重量部 l−メントール 36重量部 これらの組成物を43重量%のトルエン・ヘキサンの混合溶液(容積比1: 1)として用いた。
【0039】(評価試験)次にこうして得られた医療用
貼付材について、以下の項目について試験を行い、その
結果を表1にまとめた。 〔引き剥がし強度〕各医療用貼付材を幅50mm、長さ
50mmに裁断して肘部に貼り付け、約24時間貼付
後、貼付材を剥離する際の状態を目視観察した。きれい
に剥離することができた場合を「○」、剥離時に千切れ
ないが基材が伸び切ってしまった場合を「△」、剥離時
に基材が千切れた場合を「×」で評価した。
【0040】〔カール性試験〕各医療用貼付材を幅50
mm、長さ50mmに裁断した後セパレータを剥離した
際に、貼付材がカールするか否かを調べた。カールせ
ず、貼付操作が容易にできた場合を「○」で、ややカー
ルするが、貼付操作の障害にはならなかった場合を
「△」で、カールが一周以上生じて、極めて貼付しづら
かった場合を「×」で評価した。
【0041】〔20%モジュラス及び引張強度〕各医療
用貼付材を貼付材の長軸長さ方向に19mm幅、貼付材
の短軸幅方向に長さ100mmに裁断して、23℃の雰
囲気下、テンシロン引張試験機を用いて、引張速度30
0mm/分の条件下で長さ方向に引っ張り、20%モジ
ュラス及び引張強度(破断強度)を測定した。
【0042】〔滑り性試験〕各医療用貼付材の基材表面
を、JIS K7125に準拠して、その静摩擦力(m
N)を測定した。なお、測定条件は、引張速度100m
m/min、滑り片の大きさは63mm×63mm、荷
重を1.96Nとした。このとき、300mN以下の場
合を「○」で、300を越え600mN以下の場合を
「△」で、600mNを越えた場合を「×」で評価し
た。
【0043】〔耐薬剤への耐性〕各医療用貼付材をアル
ミニウムを使用したヒートシール用包装材料で密封した
後、50℃の恒温室に24時間放置した後開封し、医療
用貼付材の基材表面を目視観察した。薬剤の影響がなく
貼付材用基材に変化が見られなかった場合を「○」、基
材がやや膨張し、やや薬剤の影響があった場合を
「△」、薬剤の影響が大きく、基材が膨張してシワが入
り変化が大きかった場合を「×」で評価した。
【0044】
【表1】
【0045】(評価結果)表1から分かるように、実施
例による医療用貼付材によれば、20%モジュラス、引
張強度においても適度なものが得られ、表面の滑り性も
良好なものであった。特に、薬剤を粘着剤層に含有させ
た場合にも貼付材用基材に膨張感もなくシワが入らず、
加温保存下においてもその影響を受けることはなかっ
た。また、剥離紙を剥離した際においても貼付材がカー
ルすることなく、貼付操作も非常に良好に行なえた。ま
た、引き剥がした際も実施例の医療用貼付材において
は、糊残りや基材が千切れることなく良好に剥がすこと
ができた。ただし、粘着剤層を積層した第2の基材層に
おいてEPR含有量/PE含有量比(重量比)が70/
30を越えると、耐薬剤性やカール性が悪くなり、基材
にシワが入ったり、少しカールを帯びるものがあった
が、実際上の使用にはほとんど問題がないものであっ
た。
【0046】一方、比較例の医療用貼付材においては、
引張強度に不足があったり、耐薬剤性に劣りシワを生じ
たり、剥離紙の剥離時にカールを生じさせるものであっ
た。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、特定のエチレン−プロ
ピレン共重合体若しくはエチレン−プロピレンターポリ
マーからなる第1の基材層が、ポリエチレン−αオレフ
ィン共重合体からなる第2の基材層に積層された2層構
造若しくはさらに第2の基材層を形成する樹脂と同一系
樹脂若しくはポリエチレン樹脂からなる第3の基材層が
前記第1の基材層に積層された3層構造の貼付材用基材
を用いているので、前記第1の基材層若しくは前記第3
の基材層上に薬剤が含有された粘着剤層を積層した場合
にも、薬剤による影響を受けることがなく、また、20
%モジュラスや引張強度に見られるような柔軟性、機械
的強度にも満足できる医療用貼付材が得られる。この結
果、貼付の際剥離紙を剥した時にカールを発生したり、
貼付材にシワがよったりせず、貼付操作の容易かつ機械
的強度にも十分な医療用貼付材、特に薬剤を含有させた
医療用貼付材や吸液性のパッドを備えた救急絆創膏を提
供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 祐一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA76 BB31 EE03 EE48 FF63 4C081 AA03 AA12 BB08 CA021 CC01 CE02 DA02 DC02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貼付材用基材の片面に粘着剤層が形成さ
    れた医療用貼付材において、 前記貼付材用基材は、厚さ5〜70μmでエチレン−プ
    ロピレン共重合体系の熱可塑性エラストマーを含有する
    樹脂からなる第1の基材層の片面に、厚さ10〜80μ
    mで重量平均分子量(Mw)が3×104〜1.5×1
    5で、分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下でエチ
    レン−αオレフィン共重合体樹脂からなる第2の基材層
    が積層され、前記第1の基材層に前記粘着剤層が積層さ
    れたことを特徴とする医療用貼付材。
  2. 【請求項2】 前記第1の基材層に、ポリエチレン系樹
    脂が重量比で、前記熱可塑性エラストマー:ポリエチレ
    ン系樹脂=100:0〜70:30の範囲内で含有され
    たことを特徴とする請求項1記載の医療用貼付材。
  3. 【請求項3】 前記第1の基材層の前記第2の基材層積
    層面と反対面に、厚さ5〜60μmで、ポリエチレン樹
    脂若しくは前記第2の基材層を形成する樹脂と同一樹脂
    からなる第3の基材層が積層され、前記粘着剤層は当該
    第3の基材層に積層されたことを特徴とする請求項1又
    は2のいずれかに記載の医療用貼付材。
  4. 【請求項4】 前記第2の基材層の表面滑り性が、30
    0mN以下であることを特徴とする請求項1、2又は3
    のいずれかに記載の医療用貼付材。
  5. 【請求項5】 前記貼付材用基材の厚さが、30〜20
    0μmであることを特徴とする請求項1、2、3又は4
    のいずれかに記載の医療用貼付材。
  6. 【請求項6】 前記貼付材用基材の20%モジュラス
    が、1.5〜12N/19mm幅で、引張強度が12N
    /19mm幅以上であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4又は5のいずれかに記載の医療用貼付材。
  7. 【請求項7】 前記貼付材用基材が、Tダイ法によって
    成形されたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5
    又は6のいずれかに記載の医療用貼付材。
  8. 【請求項8】 前記粘着剤層は、薬剤が含有されたこと
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記
    載の医療用貼付材。
  9. 【請求項9】 前記粘着剤層上に、薬剤が含有された別
    な粘着剤層がさらに積層されたことを特徴とする請求項
    8に記載の医療用貼付材。
  10. 【請求項10】 貼付材用基材の片面に粘着剤層が形成
    された医療用貼付材の粘着剤層表面に吸液性のパッドが
    備えられた救急絆創膏において、 前記医療用貼付材は、請求項1乃至9のいずれかに記載
    の医療用貼付材であることを特徴とする救急絆創膏。
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