ジンのおいしい飲み方は? ボタニカルの香りを堪能する飲み方からおすすめカクテルまで紹介
ジンは、じつにさまざまな飲み方をたのしめるお酒です。今回は、ジンのボタニカルをしっかり味わうストレートから王道カクテル、アルコール初心者に最適なアレンジ、本場イギリスで親しまれるホットスタイルのドライジンなど多彩なジンの飲み方を紹介します。
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ジンの個性や魅力を感じられるおすすめの飲み方をみていきます。
そもそもジンとはどんなお酒?
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「ジン」というお酒を表現するいちばんのキーワードは「ボタニカル」です。ボタニカルとは「植物由来の」といった意味で、ジンには「ジュニパーベリー」という針葉樹の実をはじめとしたハーブやスパイス、果実、果皮、樹皮、根など、多彩な植物由来の風味原料=ボタニカルが使われています。
トウモロコシや大麦、ライ麦、ジャガイモなどの原料を糖化・発酵させ、蒸溜してできたスピリッツにボタニカルの風味を加えて再蒸溜したお酒がジンなのです。
風味のつけ方にはおもに2つの手法があり、ひとつはベースとなるスピリッツにボタニカルを浸漬し、香味を抽出してから再蒸溜する「スティーピング(浸漬)」と呼ばれる方法。もうひとつが蒸溜機の内部にボタニカルを詰めたバスケットを設置し、通り抜けるスピリッツの蒸気で香味を抽出する「ヴェイパー・インフュージョン」と呼ばれる方法です。
ジュニパーベリーをはじめとした多彩なボタニカルやその抽出法によって驚くほど個性豊かな味わいが生まれるジンの世界。使用する原料や配合、スティーピングやヴェイパー・インフュージョンの手法には造り手ごとの深いこだわりがあり、ほとんどの場合、その詳細は門外不出の企業秘密になっているようです。
簡単!ジン本来の香りをたのしむ定番の飲み方
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ジンの基本をおさらいしたところで、ここからはジンの飲み方を紹介していきます。
ちなみにジンのアルコール度数は37〜55度程度。一般的なリカーショップやECサイトなどで手に入りやすいジンは40〜47度程度がボリュームゾーンとなっています。
そのまま飲むには少しアルコール度数が高めといえますが、ジンの新しい銘柄を試すとき、最初のひと口はぜひストレートで味わってみてください。ハーバルなニュアンスが強めなのか、柑橘系の果皮などでフルーティーな大人の苦味を表現しているのか、はたまた緑茶や山椒など和のエレメントが感じられるのか。ほんの少量舌に乗せるだけでも、華やかで複雑なボタニカルの風味が口のなかに広がり、銘柄ごとの個性を感じられるはずです。
そのままストレートで飲みすすめるときは、適宜チェイサーなどをはさみつつ、ジンならではの味わいをゆっくり堪能してください。
ジンのアルコール感をやわらげつつ、香味もしっかり感じたいときは、大きめの氷を入れたシンプルなオン・ザ・ロック・スタイルや水割りで飲むのがおすすめです。氷が溶けるにしたがって風味や口あたりがゆっくり変化し、ジンの持つさまざまな表情をたのしむことができるでしょう。
また近年は、ジンを無糖のソーダ(炭酸水)で割るジンソーダもスタンダードな飲み方として定着しつつあります。食事やおつまみの味に干渉せずにしっかり引き立て、口のなかをさっぱりさせてくれるのがジンソーダの人気の秘密のようです。
ジンの本場イギリスで人気の飲み方「ホット・ジン・トディ」
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ジンはもともとオランダで薬用酒として生まれ、イギリスで「雑味の少ない洗練された辛口ジン=ドライジン」に生まれ変わったといわれていて、現在はこの英国風のドライジンが、世界的にもジンの主流となっています。
そんなジンの本場、イギリスで親しまれている飲み方が「ホット・ジン・トディ」です。「トディ」の綴りは「toddy」。スピリッツやウイスキーに砂糖などで甘味を加え、お湯や水で満たすスタイルを「トディ」といいます。たとえばベースにウイスキーを使い、甘味を加えて水で割ると「ウイスキー・トディ」。ジンに甘味を加えてお湯で割ったものが、この「ホット・ジン・トディ」です。
<材料>
ドライジン…45ミリリットル
角砂糖…1個
※スティックシュガー1本または砂糖小さじ1杯くらい
熱湯…適量
<作り方>
カップに砂糖とジンを入れて熱湯を注ぎ、軽くステアします。
<ポイント>
あらかじめカップを温めておくと、温かさが持続します。スライスしたレモン、少量のレモンジュースやオレンジジュース、クローブやシナモン、ジンジャーといったフレーバーをプラスしたり、砂糖をハチミツやシロップに替えたりするアレンジもおすすめです。
ジンを使った定番カクテル4選!
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1本のボトルに「ボタニカル」という数種類(ときには数十種類)のすばらしい隠し味を持つジンは、カクテルのベースとしてもその実力をいかんなく発揮します。
さわやかで酸味の強い柑橘類、甘いフルーツジュースやフルーツリキュール、香草の効いたリキュールなど、ドライですっきりとしたジンはさまざまな割り材と相性がよく、たくさんの人気カクテルを生み出しています。
ここでは、ジンを使った基本のカクテル4種を紹介。まずは定番を押さえ、そこから自分なりのアレンジを加えて、究極のジンの飲み方を探求していきましょう。
王道カクテル「ジントニック」
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「ジントニック」はジンをベースとしたカクテルの代表格。本格的なバーはもちろん、ダイニングや居酒屋さんのメニューにもあるメジャーな飲み方ながら、ベースとなるジンをはじめ甘さや炭酸強度まで考慮したトニックウォーターのセレクト、ライムやレモンの使い方によって味わいが変わります。「ジントニックを頼んでみればバーテンダーの腕がわかる」という説もあるほど、じつは奥の深いカクテルです。
<材料>
ジン…45ミリリットル
トニックウォーター…適量
カットレモンまたはカットライム…適量
氷…適量
<作り方>
1.氷を入れたグラスにジンを注ぎ、トニックウォーターを加えて軽くステアします。
2.好みでカットレモンまたはカットライムを搾り、グラスに入れます。
<ポイント>
ジンとトニックウォーターの割合は、1:3を目安に、より飲みやすくするなら1:4、濃いめがよければ1:2など、好みで調節しましょう。
甘味を抑えたいときは、加えるトニックウォーターの半量をソーダにすると「ジンソニック(ソニック=ソーダ+トニック)」というカクテルになります。
さわやかなのどごし「ジンバック」
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「ジンバック」はジンにレモンジュースとジンジャーエールをプラスしたカクテル。ジンバックの「バック(buck)」には「雄鹿」という意味があり、その名のとおりキックの効いた爽快な味わいが命名の由来になっているという説も。
ジンのボタニカルにレモンのキリッとした酸味とジンジャーエールの刺激が絶妙にマッチしたジンバックは、渇いたのどを潤す「最初の1杯」にもぴったりです。
<材料>
ジン…45ミリリットル
レモンジュース…20ミリリットル
ジンジャーエール…適量
カットレモン…適量
<作り方>
1.氷を入れたグラスにジンとレモンジュースを注ぎ、ジンジャーエールを加えて軽くステアします。
2.カットレモンを添え、好みで搾り入れます。
<ポイント>
ベースとなるジンの風味もさることながら、ジンバックの味の決め手になるのはジンジャーエールです。ジンバックというジンの飲み方が気に入ったら、ジンジャーの香味が強く感じられる辛口タイプや、飲みやすい甘口タイプ、オーガニックの生姜などを使った個性派のクラフトタイプなど、さまざまなジンジャーエールでアレンジをたのしんでみましょう。
カクテルの王様「マティーニ」
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古くからカクテルファンに愛されるキング・オブ・カクテル、それが「マティーニ」です。マティーニはジンとベルモット(熟成した白ワインに数十種類のハーブやスパイスを漬け込んだフレーバードワイン)のみの極めてシンプルなレシピながら、その分作り手の技量が試され、店ごと、バーテンダーごとに無数のバリエーションが存在するといわれています。アルコール度数が高めの「大人の飲み物」なので、飲み過ぎにはくれぐれも注意してください。
<材料>
ジン…60ミリリットル
ドライ・ベルモット…20ミリリットル
オリーブ…1個
<作り方>
1.氷を入れたミキシンググラス(大ぶりのグラスで代用可能)にジンとベルモットを入れてステアする。
2.氷を除いてカクテルグラスに注ぎ、オリーブを添える。
<ポイント>
ジンとベルモットの割合は、上で紹介した3:1からドライマティーニと呼ばれる4:1、さらにそれ以上のエクストラドライまで、好みでアレンジしましょう。ドライを極めると「グラスに氷とベルモットを入れてステアし、ベルモットを捨ててからジンを入れる」というリンスタイプを好む人も。ベースにするジンの銘柄やベルモットとの割合、仕上げのレモンピールやビターズの有無など、自分なりの「理想のマティーニ」を探求するのもたのしそうです。
初心者にもおすすめ「オレンジブロッサム」
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「オレンジブロッサム」はジンとオレンジジュースだけで作れるシンプルなレシピが魅力。家飲みやホームパーティーはもちろん、キャンプやBBQなどアウトドアでも活躍する人気のカクテルです。
オレンジは花と実を同時につけることから、欧米では愛と豊穣のシンボルとされ、オレンジブロッサムはウエディングパーティーのアペリティフ(食前酒)としても好まれています。
<材料>
ジン…45ミリリットル
オレンジジュース…適量
<作り方>
氷を入れたグラスにジンとオレンジジュースを注ぎ、軽くステアします。
<ポイント>
バーなどではジンとオレンジジュースを2:1程度の比率にしてシェイクするスタイルが主流ですが、家で気軽に飲むときはオレンジジュースが多めの1:2〜1:4くらいでたのしむのがおすすめです。
オレンジブロッサムはジンの華やかで複雑なボタニカルとオレンジジュースのフルーティーな酸味と甘味が見事にマッチして、アルコール初心者も飲みやすいカクテル。ホットでたのしむのもおすすめです。
ジンの飲み方に、初心者には難しい決まりごとはありません。まずは「聞いたことのあるメジャーな銘柄」「ボトルのデザインがおしゃれな銘柄」「好きなハーブやフルーツが使われている銘柄」など、どんな理由でもいいので気に入った1本を選び、さまざまな飲み方を自由に試してみてくださいね。